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JPH11222641A - 導電性ばね用銅合金及及びその製造方法 - Google Patents

導電性ばね用銅合金及及びその製造方法

Info

Publication number
JPH11222641A
JPH11222641A JP3362898A JP3362898A JPH11222641A JP H11222641 A JPH11222641 A JP H11222641A JP 3362898 A JP3362898 A JP 3362898A JP 3362898 A JP3362898 A JP 3362898A JP H11222641 A JPH11222641 A JP H11222641A
Authority
JP
Japan
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copper alloy
conductive spring
less
stress relaxation
cold working
Prior art date
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Application number
JP3362898A
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English (en)
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JP3510469B2 (ja
Inventor
Takao Hirai
崇夫 平井
Takayuki Usami
隆行 宇佐見
Koichi Yoshida
浩一 吉田
Yoshimasa Oyama
好正 大山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
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Publication date
Application filed by Furukawa Electric Co Ltd filed Critical Furukawa Electric Co Ltd
Priority to JP03362898A priority Critical patent/JP3510469B2/ja
Publication of JPH11222641A publication Critical patent/JPH11222641A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた機械的特性、伝導性、応力緩和特性と
曲げ加工性を兼ね備えた銅合金を提供する。 【解決手段】 主成分としてNiを1.0〜3.5wt
%、Siを0.2〜0.9wt%、Mgを0.01〜
0.20wt%、Snを0.05〜1.5wt%含み、
S、O含有量をそれぞれ0.005wt%未満に制限
し、残部Cu及び不可避的不純物からなり、その結晶粒
度が1μmを越え25μm以下であることを特徴とする
導電性ばね用銅合金であり、端子、コネクター材、スイ
ッチ材に適するものである。また製造方法は冷間加工後
に再結晶処理を700〜920℃で行うものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性ばね用銅合
金及びその製造方法に関し、特に端子・コネクター材、
スイッチ材等に適する導電性ばね用銅合金とその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より端子、コネクター用材料として
銅合金が用いられ、Cu−Zn系合金、耐熱性に優れた
Cu−Fe系合金、Cu−Sn系合金が多く用いられて
いる。特に、自動車等の用途では安価なCu−Zn系合
金が多く使用されているが、近年の自動車用端子、コネ
クターは小型化傾向が著しく、またエンジンルーム内な
どの過酷な環境にさらされる場合が多いため、Cu−Z
n系合金ではもちろんのこと、Cu−Fe系合金、Cu
−Sn系合金でも対応出来なくなってきているのが現状
である。
【0003】このように、使用されている環境の変化に
伴い、端子、コネクター用材料に求められる特性もより
厳しくなってきている。このような用途に使用される銅
合金には、応力緩和特性、機械的強度、熱伝導性、曲げ
加工性、耐熱性、Snメッキの接続信頼性、マイグレー
ション特性など多岐に渡っているが、特に機械的強度や
応力緩和特性、熱・電気の伝導性、曲げ加工性が重要な
特性である。
【0004】これらの厳しい要求特性を満たす銅系材料
として、Cu−Ni−Si系合金が注目されており、例
えば、特開昭61−127842号公報が知られてい
る。しかしながら、このようなCu−Ni−Si系合金
でも使用に耐え得ない状態に陥っている。具体的には部
品の小型化、例えば一般的な箱型端子において、挿入さ
れるオス端子のタブ幅が約2mmである090端子から
約1mmである040端子へ小型化されると、バネ部の
幅が1mm程度であり、このように部品が小型化される
と、充分な接続強度を得ることが困難になっている。ま
た、小型化に関連してバネ部での接続強度を確保するた
めに、端子の構造にも多くの工夫がなされているが、そ
の結果、材料に要求される曲げ加工性もより厳しくなっ
ており、従来のCu−Ni−Siでは曲げ部にクラック
が生じる場合も多い。応力緩和特性も同様であり、材料
に負荷される応力の増大、使用環境の高温化により従来
のCu−Ni−Si系合金では長時間の使用は不可能な
状況である。
【0005】このような状況下、例えば応力緩和特性を
改善するためにMgの添加が有効であり、例えば、特開
昭61−250134号公報、特開平5−59468号
公報などにもMgの有効性が示されている。しかしなが
らMg添加により応力緩和特性は向上するものの、曲げ
加工性が劣化し、180°密着曲げには耐え得ないもの
であり自動車コネクターなどに使用するには曲げ加工性
の改善が不可欠である。また曲げ加工性を改善するため
の検討もされているが、これは強度の低い材料であるた
めに所望の特性が得られないものであった。さらに、熱
・電気の伝導性が悪いと、応力緩和特性が良くとも、自
己の発熱で応力緩和を促進するため、伝導性と応力緩和
特性のバランスが重要である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、曲げ
加工性、応力緩和特性等について検討し、厳しい要求特
性を満たす銅系材料が提案されているが、本発明は、優
れた機械的特性、伝導性、応力緩和特性と曲げ加工性を
兼ね備えた銅合金であり、端子、コネクターに好適な銅
合金を提供するものである。
【0007】
【問題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するもので、主成分としてNiを1.0〜3.5wt
%、Siを0.2〜0.9wt%、Mgを0.01〜
0.20wt%、Snを0.05〜1.5wt%含み、
S、O含有量をそれぞれ0.005wt%未満に制限
し、残部Cu及び不可避的不純物からなり、その結晶粒
度が1μmを越え25μm以下であることを特徴とする
導電性ばね用銅合金である。また、上記構成において、
本発明の特性に悪影響を与えない範囲で、他の添加元
素、例えば0.2%未満のZnを添加しても差し支えな
いものである。また、本発明は、主成分としてNiを
1.0〜3.5wt%、Siを0.2〜0.9wt%、
Mgを0.01〜0.20wt%、Snを0.05〜
1.5wt%、Znを0.2〜1.5wt%含み、S、
O含有量をそれぞれ0.005wt%未満に制限し、残
部Cu及び不可避的不純物からなり、その結晶粒度が1
μmを越え25μm以下であることを特徴とする導電性
ばね用銅合金である。
【0008】また、本発明は、上記の銅合金に、さらに
Ag、Mn、Fe、Cr、Co、Pの中から選ばれ1種
または2種以上を総量で0.005wt%〜2.0wt
%含むことを特徴とする銅合金である。具体的には、主
成分としてNiを1.0〜3.5wt%、Siを0.2
〜0.9wt%、Mgを0.01〜0.20wt%、S
nを0.05〜1.5wt%含み、さらに0.005〜
0.3wt%Ag、0.01〜0.5wt%Mn、それ
ぞれ0.005〜0.2wt%のFe、Cr、0.05
〜2.0wt%Co、0.005〜0.1wt%Pの中
から選ばれ1種または2種以上を総量で0.005wt
%〜2.0wt%含み、S、O含有量をそれぞれ0.0
05wt%未満に制限し、残部Cu及び不可避的不純物
からなり、その結晶粒度が1μmを越え25μm以下で
あることを特徴とする導電性ばね用銅合金である。ま
た、主成分としてNiを1.0〜3.5wt%、Siを
0.2〜0.9wt%、Mgを0.01〜0.20wt
%、Snを0.05〜1.5wt%、Znを0.2〜
1.5wt%含み、さらに0.005〜0.3wt%A
g、0.01〜0.5wt%Mn、それぞれ0.005
〜0.2wt%のFe、Cr、0.05〜2.0wt%
Co、0.005〜0.1wt%Pの中から選ばれ1種
または2種以上を総量で0.005wt%〜2.0wt
%含み、S、O含有量をそれぞれ0.005wt%未満
に制限し、残部Cu及び不可避的不純物からなり、その
結晶粒度が1μmを越え25μm以下であることを特徴
とする導電性ばね用銅合金である。
【0009】また、本発明は、上記の銅合金に、さらに
Pb、Biの1種または2種を総量で0.005〜0.
13wt%含むことを特徴とする銅合金である。具体的
には、主成分としてNiを1.0〜3.5wt%、Si
を0.2〜0.9wt%、Mgを0.01〜0.20w
t%、Snを0.05〜1.5wt%含み、さらに0.
005〜0.1wt%Pb、0.005〜0.03wt
Biの1種または2種を総量で0.005〜0.13w
t%含み、S、O含有量をそれぞれ0.005wt%未
満に制限し、残部Cu及び不可避的不純物からなり、そ
の結晶粒度が1μmを越え25μm以下であることを特
徴とする導電性ばね用銅合金である。また、主成分とし
てNiを1.0〜3.5wt%、Siを0.2〜0.9
wt%、Mgを0.01〜0.20wt%、Snを0.
05〜1.5wt%、Znを0.2〜1.5wt%含
み、さらに0.005〜0.1wt%Pb、0.005
〜0.03wtBiの1種または2種を総量で0.00
5〜0.13wt%含み、S、O含有量をそれぞれ0.
005wt%未満に制限し、残部Cu及び不可避的不純
物からなり、その結晶粒度が1μmを越え25μm以下
であることを特徴とする導電性ばね用銅合金である。
【0010】また、上記の銅合金に、さらにAg、M
n、Fe、Cr、Co、Pの中から選ばれ1種または2
種以上、及びPb、Biの1種または2種を総量で0.
005wt%〜2.0wt%含むことを特徴とする銅合
金である。具体的には、主成分としてNiを1.0〜
3.5wt%、Siを0.2〜0.9wt%、Mgを
0.01〜0.20wt%、Snを0.05〜1.5w
t%含み、さらに0.005〜0.3wt%Ag、0.
01〜0.5wt%Mn、それぞれ0.005〜0.2
wt%のFe、Cr、0.05〜2.0wt%Co、
0.005〜0.1wt%Pの中から選ばれ1種または
2種以上、及び0.005〜0.1wt%Pb、0.0
05〜0.03wtBiの1種または2種を総量で0.
005wt%〜2.0wt%含み、S、O含有量をそれ
ぞれ0.005wt%未満に制限し、残部Cu及び不可
避的不純物からなり、その結晶粒度が1μmを越え25
μm以下であることを特徴とする導電性ばね用銅合金で
ある。また、主成分としてNiを1.0〜3.5wt
%、Siを0.2〜0.9wt%、Mgを0.01〜
0.20wt%、Snを0.05〜1.5wt%、Zn
を0.2〜1.5wt%含み、さらに0.005〜0.
3wt%Ag、0.01〜0.5wt%Mn、それぞれ
0.005〜0.2wt%のFe、Cr、0.05〜
2.0wt%Co、0.005〜0.1wt%Pの中か
ら選ばれ1種または2種以上、及び0.005〜0.1
wt%Pb、0.005〜0.03wtBiの1種また
は2種を総量で0.005wt%〜2.0wt%含み、
S、O含有量をそれぞれ0.005wt%未満に制限
し、残部Cu及び不可避的不純物からなり、その結晶粒
度が1μmを越え25μm以下であることを特徴とする
導電性ばね用銅合金である。
【0011】また、本発明の上記銅合金は、端子、コネ
クター材、スイッチ材のいずれかに用いられるものであ
ることを特徴とするものである。また、本発明は、冷間
加工後に再結晶処理を700〜920℃で行うことを特
徴とする導電性ばね用銅合金の製造方法である。また、
冷間加工後に再結晶処理を700〜920℃で行った後
に、420〜550℃で時効処理を行うことを特徴とす
る導電性ばね用銅合金の製造方法であるまた、冷間加工
後に再結晶処理を700〜920℃で行い、さらに25
%以下の冷間加工を行った後に、420〜550℃で時
効処理を行うことを特徴とする導電性ばね用銅合金の製
造方法である。さらに、冷間加工後に再結晶処理を70
0〜920℃で行い、次に25%以下の冷間加工、42
0〜550℃での時効処理を行った後に、さらに25%
以下の冷間加工、及び低温焼鈍を行うことを特徴とする
導電性ばね用銅合金の製造方法である。
【0012】
【作用】本発明の銅合金は、Cuマトリックス中にNi
とSiの化合物を析出させ、適当な機械的強度及び熱・
電気導電性を有する銅合金に、Sn、Mg、Znを特定
量添加し、S、O含有量を制限して、かつ結晶粒度を1
μmを越え25μm以下として応力緩和特性と曲げ加工
性を改善することを骨子としている。本発明者らは、こ
の銅合金成分の含有量を詳細に規定することで実用的に
優れた特性を有する導電性ばね用銅合金、特に端子、コ
ネクター用として優れた特性を有する材料を実現させる
ことができることを見いだし、その結果本発明の銅合金
を得たものである。
【0013】以下に本発明の銅合金の成分限定理由を説
明する。CuにNiとSiを含有させるとNi−Si化
合物を作り、これをCu中に析出させ強度及び導電率を
向上させるものである。Ni量が1.0wt%未満であ
ると析出量が少なく目標とする強度が得られない。逆に
Ni量が3.5wt%を越えると鋳造、熱間加工時に強
度上昇に寄与しない析出が生じ含有量に見合う強度を得
ることができないばかりか、熱間加工性、曲げ加工性に
も悪影響を与えることになる。Si量は析出するNiと
Siの化合物がNiSi相であると考えられるため、
Ni量を決定すると最適なSi含有量が決まる。Si量
が0.2wt%未満であるとNi量が少ないときと同様
充分な強度を得ることができない。逆にSi含有量が
0.9wt%を越えるときもNi量が多い場合と同様の
問題が生ずる。好ましくは、Niを1.7〜2.8wt
%、Siを0.4〜0.7wt%に調整することが望ま
しい。
【0014】Mg、Snは本発明の銅合金を構成する重
要な添加元素である。これらの元素は相互に関係しあっ
て良好な特性バランスを実現している。次に、これら元
素の限定理由を説明する。Mgは応力緩和特性を大幅に
改善するが、曲げ加工性には悪影響を及ぼす。応力緩和
特性の観点からは、0.01wt%以上で含有量は多い
ほどよい。逆に曲げ加工性の観点からは、含有量が0.
20wt%を越えると良好な曲げ加工性を得ることは困
難である。このような観点から、Mgの含有範囲は0.
01〜0.20wt%において良好なバランスを示す。
曲げ加工性の観点からより好ましいMgの含有範囲は、
0.01〜0.1wt%である。
【0015】さらに、Snを加えることにより、良好な
曲げ加工性を保ったまま、より応力緩和特性を改善でき
ることを見いだした。Snは、応力緩和特性の改善効果
を有するものの、その効果はMgほど大きくないが、M
gと相互に関係しあって良好な特性バランスを示すもの
である。Snを1.5wt%を越えて含有すると、熱及
び電気の伝導性が劣化し、実用上問題を来たす。Sn含
有量はMg量との兼ね合いもあるが、0.05〜1.5
wt%で良好な特性バランスを示す。具体的には、Mg
が0.01〜0.05wt%の場合には、Snは0.8
〜1.5wt%が好ましく、Mg量が0.05〜0.1
wt%の場合には、Snは0.05〜0.8wt%が好
ましい。
【0016】Znは応力緩和特性に寄与しないが、曲げ
加工性を改善することができる。Znを0.2〜1.5
wt%、好ましくは0.3〜1.0wt%含有すること
により、Mgを最大0.20wt%まで含有させても実
用上問題ないレベルの曲げ加工性を達成できる。またZ
nはSnメッキやハンダメッキの耐熱剥離性、マイグレ
ーション特性を改善する効果を有し、打ち抜き加工性を
改善する作用も有し、実用上の観点からZnを0.2w
t%、好ましくは0.3wt%以上含有させることが望
ましい。打ち抜き加工性を改善する元素としては、P
b、Biがあるが、Pb、Biは多量に添加すると熱間
加工性を阻害するが、Znは製造性に悪影響を及ぼさず
に、打ち抜き加工性を改善できるため有効な添加元素で
ある。その上限は熱・電気の伝導性を考慮し、1.5w
t%、好ましくは1.0wt%である。なお、本実施例
からも、Mgとの共添でより良い傾向にあることが示さ
れている。
【0017】以上、Mg、Sn、Znの添加範囲を限定
した理由を詳述したが、これらの元素の限定範囲内でそ
れぞれ最大含有量とすることは好ましくない。実用上、
最もバランスの良好な含有量の範囲は、Mg:0.05
〜0.15wt%、Sn:0.2〜0.5wt%、Z
n:0.3〜0.8wt%である。
【0018】次に、Ag、Mn、Fe、Cr、Co、P
の含有量の範囲を限定した理由を説明する。Ag、M
n、Fe、Cr、Co、Pは、加工性を改善するという
点で類似の機能を有しているものであり、Ag、Mn、
Fe、Cr、Co、Pの中から選ばれ1種または2種以
上を0.005wt%〜2.0wt%含有させるもので
ある。
【0019】Agは、耐熱性を上げ、強度を上昇させる
と同時に、結晶粒の粗大化を阻止し、曲げ加工性を改善
することができる。従来より、Cu−Ni−Si系合金
の強度を上昇させるために種々の第三元素を添加するこ
とが試みられている処であるが、それらは大幅に導電率
を下げたり、曲げ成形性が劣化し、電子機器用用途とし
て好ましくない特性が現れるものであった。本発明は、
強度を向上し、且つその他の特性に悪影響を及ぼさない
元素の検討を繰り返した結果、Agが有効であることを
見いだしたものである。含有量が0.005wt%未満
であるとその効果が現れず、逆に0.3wt%越えて含
有すると特性上の悪影響はないものの、コスト高となる
ので、Agの最適含有量は0.005〜0.3wt%で
あり、より好ましくは0.005〜0.1wt%であ
る。
【0020】Mnは、強度を上昇させると同時に熱間加
工性を改善する効果があり、0.01wt%未満である
とその効果が小さく、0.5wt%を越えて含有して
も、含有量に見合った効果が得られないばかりでなく、
伝導性を劣化させる。よってMnの最適含有範囲は、
0.01〜0.5wt%であり、より好ましくは0.0
3〜0.3wt%である。
【0021】Fe、Crは、Siと結合し、Fe−Si
化合物、Cr−Si化合物を形成し強度を上昇させる。
またNiとの化合物を形成せずに銅マトリックス中に残
存するSiをトラップし、導電性を改善する効果があ
る。Fe−Si化合物、Cr−Si化合物は析出硬化能
が低いため、多くの化合物を生成させることは得策でな
い。また、0.2wt%を越えて含有すると曲げ加工性
が劣化してくる。これらの観点から、Fe、Crを含有
する場合の添加量は、0.005〜0.2wt%であ
り、より好ましくは0.005〜0.1wt%である。
【0022】Coは、Niと同様にSiと化合物を形成
し、機械的強度を向上させる。Coは、Niに比し高価
であるため、本発明ではCu−Ni−Si系合金を利用
しているが、コスト的に許されるのであれば、Cu−C
o−Si系やCu−Ni−Co−Si系を選択しても良
い。Cu−Co−Si系は時効析出させた場合に、Cu
−Ni−Si系より機械的強度、導電性共に僅かに良く
なる。したがって熱・電気の伝導性をが重視される部材
には有効である。また、Co−Si化合物は析出硬化能
が僅かに高いため、応力緩和特性も若干改善される傾向
にある。これらの観点から、Coを添加する場合の最適
添加量は、0.05〜2.0wt%である。
【0023】Pは、強度を上昇させると同時に導電性を
改善する効果を有する。多量の含有は粒界析出を助長し
て曲げ加工性を低下させる。よってPを添加する場合の
最適含有範囲は、0.005〜0.1wt%であり、よ
り好ましくは0.005〜0.05wt%である。これ
らを2種以上同時に添加する場合には、求められる特性
に応じて適宜決定すれば良いが、耐熱性、Snメッキ、
ハンダメッキ耐熱剥離性、伝導性などの観点から総量で
0.005〜2.0wt%とした。
【0024】次に、Pb、Biの含有量の範囲を限定し
た理由を説明する。Pb、Biは、打ち抜き加工性を改
善するもので、Pb、Biの1種または2種を0.00
5〜0.13wt%含有するものである。Pbは打ち抜
き加工性を改善する添加元素である。近年のプレス高速
化にともない、端子用材料にはより優れた加工性が求め
られている。Pbは銅マトリックス中に分散し、破壊の
起点になるため打ち抜き加工性を改善する。Pb量が
0.005wt%未満であると特性改善効果がなく、
0.1wt%を越えて添加すると熱間加工性を低下させ
るばかりでなく、曲げ加工性をも劣化させるため、0.
005〜0.1wt%が最適であり、より好ましくは
0.005〜0.05wt%である。Biも打ち抜き加
工性を改善する添加元素である。0.005wt%未満
であると特性改善効果が小さく、0.03wt%を越え
て添加するとPbと同様の特性低下を来す。よってBi
の最適含有範囲は、0.005〜0.03wt%であ
り、より好ましくは0.005〜0.02wt%であ
る。
【0025】これらAg、Mn、Fe、Cr、Co、P
の中から選ばれ1種または2種以上、及びPb、Biの
1種または2種を同時に含有する場合には、求められる
特性に応じて適宜決定すれば良いが、耐熱性、Snメッ
キ、ハンダメッキ耐熱剥離性、伝導性などの観点から総
量で0.005〜2.0wt%とした。
【0026】次に、S、O含有量を0.005wt%未
満に制限しした理由を説明する。通常、工業的な銅材料
にはS、O等が微量含まれるが、本発明はこれらの含
有量を厳密に制限することで上述した合金成分と後述す
る結晶粒度の規定と相まって優れた特性の実現を図るも
のである。Sは、熱間加工性を悪化させる元素であり、
その含有量を0.005wt%未満と規定することで、
熱間加工性を向上させる。特にS含有量を0.002w
t%未満にすることが望ましい。Oは、その含有量が
0.005wt%以上であると、Mgが酸化されて曲げ
加工性が劣化する。O含有量を0.005wt%以下、
特に0.002wt%未満にすることが望ましい。以上
説明したS、Oは、通常の銅系材料中に微量に含有され
る場合が多いが、本発明の銅合金においては特に重要で
あり、その含有量を規定することで優れた特性が得られ
るもので、端子、コネクター用材料に好適な特性を実現
することを見いだしたのである。
【0027】上述した本発明の銅合金の構成において、
その特性を好適に実現するためには、結晶粒度が1μm
を越え25μm以下とすることが必要である。結晶粒度
が1μm以下であると、再結晶組織において混粒と成り
易く、曲げ加工性が低下すると同時に応力緩和特性が低
下する。逆に結晶粒度が25μmを越えて成長しても、
曲げ加工性に悪影響を及ぼす。従って、結晶粒度は1μ
mを越え25μm以下に調整する必要がある。
【0028】次いで、本発明の銅合金の製造法について
説明する。本発明の銅合金は、冷間加工、例えば冷間圧
延した後に、再結晶と溶体化させる目的で熱処理を行
い、直ちに焼き入れを行う。また必要に応じて時効処理
を行うものである。本発明の銅合金における結晶粒度を
1μmを越え25μm以下の範囲に調整するためには、
再結晶処理の条件を詳細に制御する必要がある。700
℃未満の温度での熱処理は、混粒となり易く、920℃
を越える温度では結晶粒が粗大に成長しやすいので、冷
間加工後に再結晶処理を700〜920℃で行うもので
ある。また、冷却速度は出来るだけ素早く、10℃/s
以上の速度で冷却することが望ましい。
【0029】次に、時効熱処理の条件については、時効
温度が420℃未満であると、析出硬化量が不十分であ
り、充分な特性を引き出すことができない。逆に550
℃を越える温度で処理すると、析出相が粗大に成長し、
強度が低下するばかりでなく、応力緩和特性も低下させ
てしまう。よって、時効処理温度は420〜550℃と
した。さらには、応力緩和特性は析出相の状態に大きく
影響を受けることが判っており、時効強度がピークを示
す温度近傍が最良条件である。一方、曲げ加工性は時効
強度がピークを示す温度から若干過時効側で熱処理を行
うことが望ましい。このような観点から好ましくは46
0〜530℃での処理が最適である。
【0030】また、冷間加工後に再結晶処理(溶体化)
を700〜920℃で行い、さらに冷間加工(25%以
下)を行った後に420〜550℃で時効処理を行うも
のである。 後に述べる実施例では、溶体化後直ぐに時
効処理を行ったが、溶体化と時効の間に冷間加工を施す
ことも有効である。この場合には、曲げ加工性を劣化さ
せない断面減少率25%以下の加工が望ましい。また、
冷間加工後に再結晶処理(溶体化)を700〜920℃
で行い、冷間加工(25%以下)、420〜550℃で
時効処理を行った後に、さらに25%以下の冷間加工、
及び低温焼鈍を行うものである。このように時効処理後
に冷間加工を施しても構わない。この場合は本発明の特
徴である曲げ加工性を劣化させないために、断面減少率
25%以下の加工が望ましい。更に、前述の時効処理後
の冷間加工を行う場合には、その後に比較的低温での焼
鈍を行うことが推奨される。この焼鈍をバッチ式焼鈍で
行う場合には、250〜400℃の温度で0.5〜5h
r、走間焼鈍で行う場合には600〜800℃の温度で
5〜60sの条件で行うことが望ましい。この焼鈍は冷
間加工で導入された転位を再配列し、結果的には転位の
移動を抑制する作用を有する。従って、前述の冷間加工
を行った場合には、焼鈍を行うことにより応力緩和特性
を改善することができる。必要に応じて最終の熱処理前
若しくは後にテンションレベラーやローラーベラー等の
矯正を行っても良い。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明の銅合金は、優れた機械的
強度、曲げ加工性、応力緩和特性、Snメッキ剥離性、
打ち抜き性等を有し、特に、端子・コネクター材、スイ
ッチ材、リレー材等、一般導電材料等に求められる特性
を備えたものであり、実施例により詳細に説明する。
【0032】
【実施例1】本発明の第1の実施例を表1〜6に示し説
明する。表1は本発明例の合金組成、表2、表3は比較
例、従来例の合金組成であり、表4は本発明例合金の特
性、表5、表6は比較例、従来例の合金の特性を示すも
のである。なお、なお、表中の矢印は上の欄と同じこと
を示すものであり、(*)は耐力値が低く、試料セット
段階で塑性変形を起こしたために試験中止したものであ
る。
【0033】まず、高周波溶解炉にて、表1〜表3に記
す組成の合金を溶解し、冷却速度6℃/sで鋳込んだ。
鋳塊のサイズは厚さ30mm、幅100mm、長さ15
0mmである。次にこれらの鋳塊を900℃で熱間圧延
をしてから、速やかに冷却を行った。表面の酸化膜を除
去するため厚さ9mmまで面削してから、冷間圧延によ
り厚さ0.25mmに加工した。この後、供試材を再結
晶と溶体化させる目的で、750℃で30sの熱処理を
行い、直ちに15℃/s以上の冷却速度で焼き入れを行
った。時効処理は、不活性雰囲気中で515℃×2時間
の熱処理を施し、試験に供する材料とした。
【0034】製造した材料からサンプリングして、結晶
粒度を測定し、TS(引張り強度)N/mm、El
(伸び)%、EC(導電率)%IACS、曲げ加工性、
S.R.R(応力緩和率)%、Snメッキ剥離性、打ち
抜き性として破断面比率(%)、バリ(μm)の各種特
性評価を行った。
【0035】結晶粒度、即ち結晶粒の大きさは、JIS
H0501に準じ、比較法と切断法を併用し観察を行っ
た。比較法では試験片を顕微鏡観察(75倍または20
0倍)して測定した。切断法では加工方向に平行な板厚
断面で測定を行った。引っ張り強度はJISZ2241
で、熱・電気の伝導性を示す値として、導電率をJIS
H0505に準じて測定した。
【0036】曲げ加工性の評価は、内側曲げ半径がOR
の180°密着曲げを行った。評価の指標は、 A.しわもなく良好 B.小さなしわが観察される C.大きなしわが観察されるが、クラックには至ってい
ない D.微細なクラックが観察される E.明瞭にクラックが観察される の5段階で評価し、評価C以上を実用上問題の無いレベ
ルと判断した。
【0037】応力緩和特性の評価は、日本電子材料工業
会標準規格であるEMAS−3003に準拠して行っ
た。ここで片持ちブロック式を採用し、表面最大応力が
450N/mmとなるように負荷応力を設定し、15
0℃の恒温槽で試験を行った。表4〜表6には、100
0hr試験後の緩和率(S.R.R)で示した。
【0038】応力緩和の試験方法の片持ちブロック法に
ついて、図1(a)(b)(c)に示す。図1(a)は
斜視図、(b)は側面図であり、サンプル(1)の一方
は基台(2)に保持部材(3)で片持ち状態に支持し、
もう一方はブロック(4)によりサンプル(1)に歪み
δo(初期たわみ変位)を与えた状態にする。この状態
でサンプル(1)を150℃に所定時間(本実施例では
1000hr)加熱する。所定時間経過後、図1(c)
の側面図に示すように、ブロック(4)を取り除いた状
態での歪みδt(永久たわみ変位)を測定し、応力緩和
率(%)は次式で求めた。 応力緩和率(%)=(δt/δo)×100 なお、初期たわみ変位は、表面最大応力が所定の値(4
50N/mm)になるよう、ヤング率、板厚等から計
算するものである(計算方法はEMAS−3003によ
る)。
【0039】Snメッキの加熱剥離性は、1μmの光沢
Snメッキを施した試験片を150℃×1000時間の
大気加熱をしてから、180度の密着曲げ、および曲げ
戻しをした後、その部分のメッキ剥離を目視にて評価し
た。半田の剥離が認められる場合、表4〜6に「有」と
記した。
【0040】打ち抜き性は、金型(SKD11製)で打
ち抜き試験(1mm×5mmの角孔を設ける)を行うこ
とにより調べた。そして5001回目から10000回
目の打ち抜き分から20個無作為に抽出したサンプルの
打ち抜き面を観察して破断部の厚さを測定した。表4〜
6には試験片の厚さに対する破断部の厚さの割合の平均
値を%表示で示す(表中でF.A.Rと表示)。バリ測
定についても同様に、5001回目から10000回目
の打ち抜き部分から20個無作為に抽出したサンプルの
バリの高さを接触式形状測定機で求め、平均値を表に記
載した。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【0041】表4から明らかなように、本発明例1〜2
1は、TS(引張り強度)、El(伸び)、EC(導電
率)、曲げ加工性、S.R.R(応力緩和率)、Snメ
ッキ剥離性、打ち抜き性の各種特性の何れも優れた特性
を示していることが判る。
【0042】一方、Ni−Si量の少ない比較例No.
22は、目的とする強度が得られず、打ち抜き加工性も
他の材料と比較して劣っている。逆にNi−Si量の多
い比較例No.23は、Ni−Si量の少ない本発明例
No.4と比較し強度の点では差はないが、曲げ加工性
では劣化傾向を示した。即ち、本発明で規定する量以上
のNi−Siを添加することは、曲げ加工性が劣るの
で、端子・コネクター用として不適である。
【0043】Mgの添加量が少ない比較例No.24
は、本発明例のNo.2,No.5と比較し、応力緩和
特性が大幅に劣っている。これと同じ理由で比較例N
o.25は本発明例No.6,No.7より劣ってい
る。このことは、従来のCu−Ni−Si合金(従来例
No.42)にSnを単独で添加しても、応力緩和特性
には大きな改善効果を期待できないことを示すものであ
り、従来のSn入りCu−Ni−Si合金(従来例N
o.43)の特性と一致する。
【0044】Mgの添加量が、本発明の規定量以上であ
る比較例No.26は、曲げ加工性が劣化している。こ
れは端子・コネクター材としては不適である。曲げ加工
性を若干改善できるZnを1wt%以上添加しても良好
な曲げ加工性は確保できなかった。Snの添加量が少な
い比較例No.27は、本発明例のNo.2と比較し、
応力緩和特性の点で劣っている。逆にSnの添加量が多
い比較例No.28は、Mgの効果と相まり、今回製造
を行った中で最も優れた応力緩和特性を示した組成の一
つであった。しかしながら、導電率が最も低くなり、バ
ランス的に優れているとは言えない。Znの添加量が多
い比較例No.29も導電率が低くなり、特性バランス
に優れない。
【0045】Feの添加量が規定量以上である比較例N
o.30は、Fe−Si化合物が多量に生成し、析出硬
化量が低下したばかりでなく、曲げ加工性にも悪影響を
及ぼした。Pbの添加量を多くした比較例No.31は
熱間加工中に割れを生じ、正常に製造することが出来な
かった。その他、Sが本発明範囲外にある比較例No.
32は、熱間加工時に割れが生じ、その後の特性評価を
行えなかった。また、Oが多い比較例No.33は、M
gの酸化物が生成しており、曲げ加工性が劣化した。
【0046】比較例No.34は、再結晶させるための
焼鈍を680℃×30sで行った。その結果、平均結晶
粒は1μm以下で、比較的大きな結晶粒と小さな結晶粒
が混在する組織となった。不均一な組織のため、曲げ加
工性を行う試験片を採取する場所によっては、クラック
を生ずる結果となった。逆に、比較例No.35は93
0℃×30sで熱処理を行ったため、結晶粒はおよそ3
0μmとなった。粗大な結晶粒となったため、曲げ加工
性に悪影響を及ぼすばかりでなく、若干応力緩和特性も
低下した。
【0047】また比較例No.36〜No.41は、C
u−Ni−Si−Mg−Zn合金にSn以外の元素を添
加した比較例である。これらいずれの合金の応力緩和特
性もSnの添加量が少ない比較例No.27と同程度の
応力緩和特性であり、これらの元素の添加は応力緩和に
ほとんど寄与しないことが判る。
【0048】次に、従来から存在する合金についてみる
と、従来例No.42は、Cu−Ni−Si合金であ
り、その他の添加元素は含まれていない。この場合、応
力緩和特性が良くない点と、Znを含まないため、Sn
メッキの加熱剥離性に問題がある。従来例No.43は
先述のとおり、Cu−Ni−Si系合金にSnとZnを
添加した材料である。Snメッキの加熱剥離性は改善さ
れているが、応力緩和特性は従来例No.41と同等で
あり不十分である。
【0049】No.44は、Mgを添加し、応力緩和特
性の改善を図った材料である。Mgの効果により応力緩
和特性は改善されているが、曲げ加工性に問題がある。
この従来例No.44と同等の応力緩和特性と良好な曲
げ加工性を得るためには、本発明例No.2のように、
Mg量を減らし、Snを添加し、更に曲げ加工性を改善
するZnを添加することで達成される。Zn添加効果に
より、Snメッキの加熱剥離性も改善される。
【0050】
【実施例2】本発明の第2の実施例を表7、表8で説明
する。第2の実施例は、上記実施例1に示した本発明例
No.2の組成からなる合金を、表7よる工程で製造し
て、表8に示すように、TS(引張り強度)N/m
、El(伸び)%、EC(導電率)%IACS、曲
げ加工性、S.R.R(応力緩和率)%、Snメッキ剥
離性、打ち抜き性としてF.A.R(%)、バリ(μ
m)の各種特性評価を行った。評価方法は実施例1と同
様である。
【表7】
【表8】
【0051】表7、表8から明らかなように、本発明例
の工程で製造した合金である本発明例No.45〜N
o.53は何れも優れた特性を示した。しかしながら、
比較例No.54は熱処理温度が低く、結果的に、結晶
粒が均一でなく、曲げ加工性が劣化した。比較例No.
55は930℃×30sで熱処理を行ったために、結晶
粒はおよそ30μmとなった。粗大な結晶粒であるた
め、曲げ加工性に悪影響を及ぼすばかりでなく、若干応
力緩和特性も低下した。
【0052】比較例No.56は時効温度が低く、析出
が不十分なため強度特性が劣化した。同時に応力緩和特
性も大幅に低下した。逆にNo.57は時効温度が高
く、析出物が粗大化したため、応力緩和特性が大幅に低
下した。比較例No.58は時効後に本発明で規定する
以上の加工率で冷間加工を行った例である。応力緩和特
性はむしろ優れるが、曲げ加工性が低下した。比較例N
o.59は時効後の冷間加工率は高くないが、その後熱
処理を行わなかった例である。伸びが低く曲げ加工性が
低下したばかりでなく、応力緩和特性も若干低下した。
【0053】
【発明の効果】以上記述したように、本発明の銅合金
は、Cuマトリックス中にNiとSiの化合物を析出さ
せ、Sn、Mg、或いは更にZnを特定量添加し、S、
O含有量を制限して、かつ結晶粒度を1μmを越え25
μm以下としたことにより、優れた機械的特性、伝導
性、応力緩和特性と曲げ加工性を兼ね備えた銅合金が得
られるという効果を奏するものである。特に、端子・コ
ネクター用として、強度や伝導性、応力緩和特性、曲げ
成形性に優れ、またSnメッキの耐加熱剥離性や打ち抜
き性にも優れるものであるから、近年の傾向である小
型、高性能化に好適に対応できる。また本発明は端子・
コネクター用途に好適なものであるが、その他スイッ
チ、リレー材等、一般導電材料としても好適な銅合金を
提供するという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明実施例の応力緩和の試験を説明する図
【符号の説明】
1 サンプル 2 基台 3 保持部材 4 ブロック
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22F 1/00 661 C22F 1/00 661A 685 685Z 686 686A 686B 691 691B 694 694A (72)発明者 大山 好正 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号古河 電気工業株式 会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主成分としてNiを1.0〜3.5wt
    %、Siを0.2〜0.9wt%、Mgを0.01〜
    0.20wt%、Snを0.05〜1.5wt%含み、
    S、O含有量をそれぞれ0.005wt%未満に制限
    し、残部Cu及び不可避的不純物からなり、その結晶粒
    度が1μmを越え25μm以下であることを特徴とする
    導電性ばね用銅合金。
  2. 【請求項2】 主成分としてNiを1.0〜3.5wt
    %、Siを0.2〜0.9wt%、Mgを0.01〜
    0.20wt%、Snを0.05〜1.5wt%、Zn
    を0.2〜1.5wt%含み、S、O含有量をそれぞれ
    0.005wt%未満に制限し、残部Cu及び不可避的
    不純物からなり、その結晶粒度が1μmを越え25μm
    以下であることを特徴とする導電性ばね用銅合金。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の銅合金に、さら
    に0.005〜0.3wt%Ag、0.01〜0.5w
    t%Mn、それぞれ0.005〜0.2wt%のFe、
    Cr、0.05〜2.0wt%Co、0.005〜0.
    1wt%Pの中から選ばれ1種または2種以上を総量で
    0.005wt%〜2.0wt%含むことを特徴とする
    導電性ばね用銅合金。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2に記載の銅合金に、さら
    に0.005〜0.1wt%Pb、0.005〜0.0
    3wtBiの1種または2種を総量で0.005〜0.
    13wt%含むことを特徴とする導電性ばね用銅合金。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2に記載の銅合金に、さら
    に0.005〜0.3wt%Ag、0.01〜0.5w
    t%Mn、それぞれ0.005〜0.2wt%のFe、
    Cr、0.05〜2.0wt%Co、0.005〜0.
    1wt%Pの中から選ばれ1種または2種以上、及び
    0.005〜0.1wt%Pb、0.005〜0.03
    wtBiの1種または2種を総量で0.005wt%〜
    2.0wt%含むことを特徴とする導電性ばね用銅合
    金。
  6. 【請求項6】 端子、コネクター材、スイッチ材のいず
    れかに用いられるものであることを特徴とする請求項1
    乃至5のいずれかに記載の導電性ばね用銅合金。
  7. 【請求項7】 冷間加工後に再結晶処理を700〜92
    0℃で行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか
    に記載の導電性ばね用銅合金の製造方法。
  8. 【請求項8】 冷間加工後に再結晶処理を700〜92
    0℃で行った後に、420〜550℃で時効処理を行う
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の導
    電性ばね用銅合金の製造方法。
  9. 【請求項9】 冷間加工後に再結晶処理を700〜92
    0℃で行い、さらに25%以下の冷間加工を行った後
    に、420〜550℃で時効処理を行うことを特徴とす
    る請求項1乃至6のいずれかに記載の導電性ばね用銅合
    金の製造方法。
  10. 【請求項10】 冷間加工後に再結晶処理を700〜9
    20℃で行い、次に25%以下の冷間加工、420〜5
    50℃での時効処理を行った後に、さらに25%以下の
    冷間加工、及び低温焼鈍を行うことを特徴とする請求項
    1乃至6のいずれかに記載の導電性ばね用銅合金の製造
    方法。
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