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JP2007246931A - 電気伝導性に優れた電子電気機器部品用銅合金 - Google Patents

電気伝導性に優れた電子電気機器部品用銅合金 Download PDF

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邦照 三原
Isao Takahashi
高橋  功
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Abstract

【課題】電子電気機器部品の小型化および高密度化に十分対応し得る、強度、導電率、および耐応力緩和特性に優れる電子電気機器部品用銅合金材料を提供する。
【解決手段】Niを1.0〜5.0mass%、Siを0.2〜1.1mass%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなり、NiとSiの含有量の比(Ni/Si)が4.4〜4.9であり、且つ圧延方向に平行な断面において0.1μm以上の析出物が5×10個/mm〜5×10個/mm存在している、電子電気機器部品用銅合金。
【選択図】なし

Description

本発明は、特に、強度と導電率に優れ、電子電気機器部品の小型化、高密度化に十分対応し得る端子、コネクタ、スイッチ、リレーなどの電子電気機器部品用銅合金に関する。
従来、電子電気機器部品には、Cu−Zn系合金、Cu−Fe系合金、Cu−Sn系合金などの銅合金が使用され、特に、強度と導電率の両立が求められる部品にはCu−Ni−Si系合金(特許文献1)などが使用されている。
ところで、近年、電子電気機器部品の小型化、高密度化に伴い、例えば、箱型端子などではオス端子のタブ幅が2mm(090端子)から、約1mm(040端子)へと所謂バネ部の断面積が減少する傾向にあるが、バネ部に要求される接触圧力は従来と同じため、断面積の減少には、バネの変位を大きく取ることで対処しており、このため材料への負荷応力が従来にも増して高くなり、応力緩和が生じ易い状況になっている。さらにバネ部の断面積の減少は導電量の低下を招く。
特開昭61−127842号公報 特開平5−59468号公報
このような状況から、Cu−Ni−Si系合金にMgを添加して耐応力緩和特性を改善した銅合金が提案された(特許文献2)が、この銅合金は強度が高くなるが、導電率が低下してしまうという問題があった。
本発明は、電子電気機器部品の小型化および高密度化に十分対応し得る、所望の強度や耐応力緩和特性を維持しつつ導電率を向上でき、場合によっては所望の導電率を維持しつつ強度や耐応力緩和特性を向上できる銅合金の提供を目的とする。
請求項1記載発明は、Niを1.0〜5.0mass%、Siを0.2〜1.1mass%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなり、NiとSiの含有量の比(Ni/Si)が4.4〜4.9であり、且つ圧延方向に平行な断面において0.1μm以上の析出物が5×10〜5×10個/mm存在していることを特徴とする電子電気機器部品用銅合金である。
請求項2記載発明は、Niを1.0〜5.0mass%、Siを0.2〜1.1mass%含有し、さらにAg、Co、Crの1種以上を合計で0.005〜2.0mass%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなり、NiとSiの含有量の比(Ni/Si)が4.4〜4.9であり、且つ圧延方向に平行な断面において0.1μm以上の析出物が5×10〜5×10個/mm存在していることを特徴とする電子電気機器部品用銅合金である。
請求項3記載発明は、Niを1.0〜5.0mass%、Siを0.2〜1.1mass%、Mgを0.01〜0.2mass%、Snを0.05〜1.5mass%、Znを0.2〜1.5mass%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなり、NiとSiの含有量の比(Ni/Si)が4.4〜4.9であり、且つ圧延方向に平行な断面において0.1μm以上の析出物が5×10〜5×10個/mm存在していることを特徴する電子電気機器部品用銅合金である
請求項4記載発明は、Niを1.0〜5.0mass%、Siを0.2〜1.1mass%、Mgを0.01〜0.2mass%、Snを0.05〜1.5mass%、Znを0.2〜1.5mass%含有し、さらにAg、Co、Crの1種以上を合計で0.005〜2.0mass%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなり、NiとSiの含有量の比(Ni/Si)が4.4〜4.9であり、且つ圧延方向に平行な断面において0.1μm以上の析出物が5×10〜5×10個/mmで存在していることを特徴する電子電気機器部品用銅合金である。
請求項1記載発明の銅合金はNiおよびSiを適量含む銅合金であり、請求項2記載発明の銅合金はNi、Siに、さらにMg、Sn、Znを適量含む銅合金であり、請求項3記載発明の銅合金はNi、Si、Mg、Sn、Znに、さらにAg、Co、Crのうちの少なくとも1種を適量含む銅合金であり、これらの銅合金は、NiとSiの含有量比と、0.1μm以上の析出物の個数を規定したものなので、強度および耐応力緩和特性を低下させずに、導電率を高めることができる。従って、端子、コネクタ、スイッチ、リレーなどの電子電気機器部品の小型化、高密度化に十分対応できる。
NiとSiの含有量比(Ni/Si)は、NiSi化合物のNiとSiの比(mass%比4.2)に合わせるのが一般的であるが、本発明の銅合金は、Niの割合を多くして、前記比が4.4〜4.9になるようにし、かつ圧延方向に平行な断面における、大きさが0.1μm以上の析出物を5×10〜5×10個/mm存在させたもので、所望の強度および応力緩和特性を維持しつつ導電率を向上させるなど、強度、応力緩和特性、導電率をバランスよく向上或いは維持できるものである。
本発明において、Niの含有量を1.0〜5.0mass%、Siの含有量を0.2〜1.1mass%に規定する理由は、いずれが下限値未満でも、強度、応力緩和特性、導電率をバランスよく向上或いは維持できるという本発明の効果が十分に得られず、いずれが上限値を超えても鋳造時および熱間加工時に、強度に影響しない粗大な化合物が晶出(析出)して含有量に見合う強度が得られなくなり、また熱間加工性および曲げ加工性が低下するためである。特に望ましい含有量はNi1.7〜3.0mass%、Si0.4〜0.7mass%である。
請求項2記載発明は、Ni、Siの他に、さらにMg、Sn、Znを含有させた銅合金であって、これらの合金元素は相互に関係しあって種々の特性をバランス良く改善する。Mgは応力緩和特性を大幅に改善する。その含有量を0.01〜0.2mass%に規定する理由は、0.01mass%未満ではその効果が十分に得られず、0.2mass%を超えると曲げ加工性が低下するためである。
SnはMgと相互に関係し合って応力緩和特性をより一層向上させる。その含有量を0.05〜1.5mass%に規定する理由は、0.05mass%未満ではその効果が十分に得られず、1.5mass%を超えると導電率が低下するためである。
ZnはMgを含有させることによる曲げ加工性の低下を緩和する。また錫めっき層や半田めっき層の耐熱剥離性、耐マイグレーション特性を改善する。Znの含有量を0.2〜1.5mass%に規定する理由は、0.2mass%未満ではその効果が十分に得られず、1.5mass%を超えると導電率が低下するためである。
請求項3記載発明は、Ni、Si、Mg、Sn、Znに加えて、さらにAg、Co、Crの群から選ばれる1種または2種以上を含有させたものであって、前記Ag、Co、Crは強度向上に寄与し、その他、Agは耐熱性を向上させる効果および結晶粒の粗大化を阻止して曲げ加工性を向上させる効果も有する。前記Ag、Co、Crの合計の含有量を0.005〜2.0mass%に規定する理由は、0.005mass%未満ではその効果が十分に得られず、2.0mass%を超えると、高価なAgはコスト高を招き、CoおよびCrは鋳造時および熱間加工時に粗大な化合物を晶出(析出)して含有量に見合う強度が得られなくなり、また熱間加工性および曲げ加工性が低下するためである。
Coは、高価であるが、Niと同様の作用を果たし、Niよりもその効果が大きい。またCo−Si化合物は析出硬化能が高いため応力緩和特性も改善される。従って、電気伝導性が重視される部材などにはNiの一部をCoで代替するのが有効である。
Crは銅中に微細に析出して強度向上に寄与する。Crは曲げ加工性を低下させるため0.2mass%以下に規定するのが望ましい。Agは高価なので0.3mass%以下が望ましい。
本発明では、Fe、Zr、P、Mn、Ti、V、Pb、Bi、Alなどの元素を添加して種々特性を改善することが可能である。例えば、Mnを、導電率を低下させない範囲(0.01〜0.5mass%)で添加して熱間での加工性を改善することができる。
不純物元素のSは熱間加工性を悪化させるので、その含有量は0.005mass%未満に規定する。特には0.002mass%未満が望ましい。
本発明の銅合金は、NiとSiの含有量の比(Ni/Si)を4.4〜4.9に規定する。4.4未満でも、4.9を超えても導電率が低下してしまうためである。好ましくは4.55〜4.7である。本発明の銅合金は、例えば、鋳造、熱間圧延、冷間圧延、所定の溶体化処理および時効処理などを施す通常の工程により製造できる。
以下に本発明を実施例により詳細に説明する。
表1に示す組成の銅合金を高周波溶解炉にて溶解し、DC法により鋳造して、厚さ30mm、幅100mm、長さ150mmの鋳塊を得た。次にこれら鋳塊を900℃に加熱し、この温度に1時間保持後、厚さ12mmに熱間圧延し、速やかに冷却した。次いで両面を各1.5mmづつ切削して酸化皮膜を除去したのち、冷間圧延により厚さ0.25〜0.50mmに加工した。この後、750〜900℃の種々の条件で溶体化熱処理を行い、直ちに15℃/秒以上の冷却速度で冷却した。次いで10〜30%の加工率で冷間圧延を行った。次に不活性ガス雰囲気中で、500℃、2hの時効熱処理を施し、その後、最終塑性加工である冷間圧延を行い、最終的な板厚を0.25mmに揃えた。最終塑性加工後、350℃で2時間の低温焼鈍処理を施した材料で各種特性評価を行った。
実施例1で製造した各々の銅合金板について(1)引張強さ、(2)導電率、(3)応力緩和特性を調べた。
(1)引張強さは、JIS Z 2201記載の5号試験片を用い、JIS Z 2241に準拠して求めた。
(2)導電率はJISH0505に準拠して求めた。
(3)応力緩和特性は、日本電子材料工業会標準規格(EMAS−3003)の片持ちブロック式を採用し、表面最大応力が450N/mmになるように負荷応力を設定して150℃の恒温槽に1000時間保持して緩和率(S.R.R)を求めた。
[比較例1]
NiとSiの含有量比または/および析出物の個数が本発明規定値外の銅合金板を製造し、実施例1と同じ調査を行った。
実施例1および比較例1の結果を表1に示した。表1には0.1μm以上の析出物(NiSi)の個数を併記した。析出物の個数は厚み0.25mmの板の圧延方向に平行な面をエッチングして顕微鏡観察により測定した。測定面積は1mm(0.25mm(厚み)×4.0mm(圧延方向))とした。
Figure 2007246931
このCu−Ni−Si系合金では、強度、導電率、応力緩和特性はNi量およびSi量によって異なるが、表1から明らかなように、本発明の銅合金(実施例1、No.1〜11)は、強度が同じ場合、比較例1の銅合金より導電率が2〜3%IACS高くなっている(備考欄参照)。これはNiとSiの含有量の比(Ni/Si)が4.4〜4.9であり、且つ圧延方向に平行な断面に0.1μm以上の析出物が5×10〜5×10個/mm存在していることによる。応力緩和率も10〜16%で問題ないことが分かる。No.8はSを含むが、微量なので熱間加工性を悪化させることもなく特性にも影響を及ぼさなかった。
なお、比較例1のNo.12、18はNi/Si比が小さいため、No.14はNi/Si比が大きいため、No.13、16、17、20は析出物の個数が少ないためいずれも導電率が劣る。No.15は析出物個数が多いため強度が劣る。No.19はNi、Si比が小さく、析出物個数も少ないため導電率が劣る。

Claims (4)

  1. Niを1.0〜5.0mass%、Siを0.2〜1.1mass%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなり、NiとSiの含有量の比(Ni/Si)が4.4〜4.9であり、且つ圧延方向に平行な断面において0.1μm以上の析出物が5×10〜5×10個/mm存在していることを特徴とする電子電気機器部品用銅合金。
  2. Niを1.0〜5.0mass%、Siを0.2〜1.1mass%含有し、さらにAg、Co、Crの1種以上を合計で0.005〜2.0mass%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなり、NiとSiの含有量の比(Ni/Si)が4.4〜4.9であり、且つ圧延方向に平行な断面において0.1μm以上の析出物が5×10〜5×10個/mm存在していることを特徴とする電子電気機器部品用銅合金。
  3. Niを1.0〜5.0mass%、Siを0.2〜1.1mass%、Mgを0.01〜0.2mass%、Snを0.05〜1.5mass%、Znを0.2〜1.5mass%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなり、NiとSiの含有量の比(Ni/Si)が4.4〜4.9であり、且つ圧延方向に平行な断面において0.1μm以上の析出物が5×10〜5×10個/mm存在していることを特徴する電子電気機器部品用銅合金。
  4. Niを1.0〜5.0mass%、Siを0.2〜1.1mass%、Mgを0.01〜0.2mass%、Snを0.05〜1.5mass%、Znを0.2〜1.5mass%含有し、さらにAg、Co、Crの1種以上を合計で0.005〜2.0mass%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなり、NiとSiの含有量の比(Ni/Si)が4.4〜4.9であり、且つ圧延方向に平行な断面において0.1μm以上の析出物が5×10〜5×10個/mmで存在していることを特徴する電子電気機器部品用銅合金。
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