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JPH11154783A - 半田用フラックスの這い上がりを防止する組成物 - Google Patents

半田用フラックスの這い上がりを防止する組成物

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Publication number
JPH11154783A
JPH11154783A JP16740398A JP16740398A JPH11154783A JP H11154783 A JPH11154783 A JP H11154783A JP 16740398 A JP16740398 A JP 16740398A JP 16740398 A JP16740398 A JP 16740398A JP H11154783 A JPH11154783 A JP H11154783A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymerized unit
group
composition
polymer
meth
Prior art date
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Granted
Application number
JP16740398A
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English (en)
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JP3710290B2 (ja
Inventor
Takashi Fukatsu
隆 深津
Toshiharu Otaka
俊治 尾高
Seisaku Kumai
清作 熊井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seimi Chemical Co Ltd
Original Assignee
Seimi Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seimi Chemical Co Ltd filed Critical Seimi Chemical Co Ltd
Priority to JP16740398A priority Critical patent/JP3710290B2/ja
Publication of JPH11154783A publication Critical patent/JPH11154783A/ja
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  • Non-Metallic Protective Coatings For Printed Circuits (AREA)
  • Electric Connection Of Electric Components To Printed Circuits (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】地球環境、作業環境上の問題がない半田用フラ
ックスの這上りを防止する組成物の提供。 【解決手段】ポリフルオロアルキル基を含む不飽和エス
テルの重合単位を含有する重合体、フッ素系界面活性
剤、水系媒体を含む組成物からなる、半田用フラックス
の這上りを防止する組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気接点を有する
電子部品または電気接点を有するプリント基板等を半田
づけする場合の前処理に用いられる組成物であって、半
田用フラックスの這い上がりを防止する組成物に関す
る。また本発明は該組成物を用いた半田づけ方法、該方
法により得られた電子部品またはプリント基板、さらに
電気製品に関する。
【0002】
【従来の技術】プリント基板に各種部品を半田づけす
る、またはICをICソケットに半田づけする場合に
は、半田の接着性を向上させるために、あらかじめプリ
ント基板をフラックスで処理することが行われる。一般
に、フラックスは酸性成分を含み、腐食性がある。した
がって、コネクタ、スイッチ、ボリューム、および半固
定抵抗等の電子部品の電気接点部分や、プリント基板に
おける半田づけが不必要な部分には、フラックスが浸透
したり付着するのを防ぐ必要がある。特に、電子部品に
おいては、スルーホール部分での半田づけが多く行われ
る。フラックスがスルーホール部分から毛細管現象等に
より這い上がり、電子部品の不要な部分に付着または浸
透する現象は、フラックスの這い上がりと呼ばれ、これ
を防ぐ必要がある。
【0003】フラックスの浸透防止や付着防止を目的と
して、フラックス這い上がり防止剤が使用されている。
半田用フラックス這い上がり防止剤としては、以下の例
が知られている。 (1)ポリフルオロアルキル基を含有する化合物、また
は、それらの重合物を必須成分として含む組成物(特開
昭60−49859)。該組成物中には、ヘプタン等の
炭化水素系溶剤、酢酸エチル等のエステル系溶剤、1,
1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン
(CFC−113)等のクロロフルオロカーボン(CF
C)、沸点60〜120℃のペルフルオロカーボン(P
FC)、または、1,3−ビス(トリフルオロメチル)
ベンゼン等の含フッ素芳香族炭化水素系溶剤が溶剤とし
て含まれている。
【0004】(2)ポリフルオロアルキル基を含有する
低分子化合物やポリフルオロアルキル基を含有する重合
物を、エタノール等のアルコール系溶剤に溶解させた組
成物。 (3)テトラフルオロエチレン、ペルフルオロ(アルキ
ルビニルエーテル)、フッ化ビニリデン等を重合させた
フッ素ポリマー、界面活性剤、および展着剤を水に分散
させた組成物(特開平5−175642)。 (4)C817SO2 N(CH2 CH3 )CH2 CH2
OCOCH=CH2 とメタクリル酸ドデシルとの共重合
体、およびフッ素を含まない乳化剤を含む水性分散液
(特開昭62−149784)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の半田用
フラックス這い上がり防止剤には、以下の問題がある。
(1)の組成物は、有機溶剤が可燃性を有するために取
扱いに注意を要し、また、揮発性の溶剤を含むことから
作業環境上の問題がある。また、溶剤が炭化水素系溶剤
である場合には、組成物中の含フッ素成分の溶解性が低
い問題もある。また、溶剤のうちCFCは、オゾン層へ
の影響が懸念されており、フロン規制による使用の制約
がある。CFCの代替物であるHCFC−225やHC
FC−141bにも、同様の問題がある。また、PFC
は、地球温暖化係数が高いことから環境への影響が懸念
される。含フッ素芳香族炭化水素系溶剤は、可燃性であ
り、臭気の問題がある。(2)の組成物は、アルコール
系溶剤に対する低分子化合物や重合物の溶解性を上げる
ために、これらのフッ素含量を下げる必要がある。ま
た、フラックス這い上がり防止効果は、不充分である。
【0006】(3)の組成物中のフッ素ポリマーは非粘
着性であり、基材である電子部品表面への濡れ性および
付着性が悪いため、実際には展着剤の添加が必須であ
る。また、該フッ素ポリマーは、軟化点が150℃より
高いために、展着剤を介して基材に付着したフッ素ポリ
マー粒子を乾燥させて塗膜化するためには、高温での熱
処理が必須である。この熱処理の温度は、プラスチック
部分を有するほとんどの部品の耐熱温度以上になるた
め、実際には熱処理ができない問題がある。一方、熱処
理をしないと、白色固体のフッ素ポリマー粒子が、白色
固体として電子部品に付着するおそれがあり、また処理
表面の光沢が損なわれる欠点もある。(4)の組成物
は、表面張力が高く、基材である電子部品表面への濡れ
性が悪く、実際に電子部品に塗布した際、塗布むらを生
じる問題がある。また、該組成物が電気接点部分に付着
した場合には導通が不良になる問題がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の問題を
解決するためになされたものであり、下記重合単位(a
1 )を含む重合体(A)、フッ素系界面活性剤(B
1 )、および水系媒体(C)を含むことを特徴とする半
田用フラックス這い上がり防止剤組成物、該組成物を用
いた半田づけ方法、該方法により得た電子部品またはプ
リント基板、さらに電気製品を提供する。 重合単位(a1 ):ポリフルオロアルキル基を含む不飽
和エステルの重合単位、または、炭素−炭素結合間にエ
ーテル性酸素原子が挿入されたポリフルオロアルキル基
を含む不飽和エステルの重合単位。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明における重合体(A)は、
特定の構成単位、すなわち重合単位(a1 )を含む重合
体である。なお、以下においてポリフルオロアルキル基
と炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子が挿入された
ポリフルオロアルキル基とを総称して「Rf 基」と記
す。アルキル基と炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原
子が挿入されたアルキル基を総称して「エーテル性酸素
原子を含んでいてもよいアルキル基」と記す。アクリレ
ートとメタアクリレートを総称して(メタ)アクリレー
トと記し、他の(メタ)アクリル酸などについても同様
である。
【0009】重合単位(a1 )は、Rf 基を含む不飽和
エステルの重合単位である。Rf 基は、エーテル性酸素
原子を含んでいてもよいアルキル基、の水素原子の2個
以上がフッ素原子に置換された基を意味する。Rf 基中
のフッ素原子数は、[(Rf 基中のフッ素原子数)/
(Rf 基に対応する構造を有するエーテル性酸素原子を
含んでいてもよいアルキル基中に含まれる水素原子
数)]×100%で表現した場合に、60%以上が好ま
しく、特に80%以上が好ましい。
【0010】また、エーテル性酸素原子を有するRf
としては、オキシポリフルオロエチレン、オキシポリフ
ルオロプロピレン等のオキシポリフルオロアルキレン部
分を含有するRf 基が挙げられる。Rf 基の炭素数は4
〜14が好ましく、特に6〜12が好ましい。Rf 基は
直鎖構造または分岐構造のいずれであってもよく、直鎖
構造が好ましい。分岐構造である場合には、分岐部分が
f 基の末端部分に存在し、かつ、炭素数1〜3程度の
短鎖である場合が好ましい。また、Rf 基は末端部分に
塩素原子が存在してもよい。Rf 基の末端部分の構造と
しては、CF3 CF2 −、CF2 H−、CF2 Cl−、
(CF32 CF−等の構造が挙げられる。
【0011】本発明におけるRf 基は、エーテル性の酸
素原子を含んでいてもよいアルキル基、の水素原子の実
質的にすべてが、フッ素原子に置換された、エーテル性
の酸素原子を含んでいてもよいペルフルオロアルキル基
(以下RF 基と記す。)が好ましい。RF 基の炭素数は
4〜14が好ましく、6〜12が特に好ましい。またR
F 基は直鎖構造または分岐構造のいずれであってもよ
く、直鎖構造の基が好ましい。RF 基は、アルキル基の
水素原子の実質的に全てがフッ素原子に置換された基
(すなわち、エーテル性酸素原子を含まない基)が好ま
しく、特にF(CF2n −[nは6〜12の整数]で
表される直鎖の基が好ましい。
【0012】Rf 基の具体例としては、以下の構造が挙
げられるがこれらに限定されない。なお、以下の具体例
中には、構造異性の基に相当する基も含まれる。 エーテル性酸素原子を含まないRf 基の例。 C25 −、C37 −[F(CF23 −、および
(CF32 CF−の両者を含む]、C49 −[F
(CF24 −、(CF32 CFCF2 −、(CF
33 C−、F(CF22 CF(CF3 )−を含
む]、C511−[F(CF25 −、(CF32
F(CF22 −、(CF33 CCF2 −、F(CF
22 CF(CF3 )CF2 −などの構造異性の基を含
む]、C613−[F(CF23 C(CF32 −な
どの構造異性の基を含む]、C817−、C1021−、
1225−、C1531−、HCt2t−(tは1〜18
の整数)、(CF32 CFCs2s−(sは1〜15
の整数)など。
【0013】エーテル性酸素原子を含むRf 基の例。 F(CF25 OCF(CF3 )−、F[CF(CF
3 )CF2 O]s CF(CF3 )CF2 CF2 −、F
[CF(CF3 )CF2 O]t CF(CF3 )−、F
[CF(CF3 )CF2 O]u CF2 CF2 −、F(C
2 CF2 CF2 O)v CF2 CF2 −、F(CF2
2 O)w CF2 CF2 −(sおよびtは、それぞれ独
立に1〜10の整数であり、1〜3の整数が好ましい。
uは2〜6の整数。vは1〜11の整数であり、1〜4
の整数が好ましい。wは1〜11の整数であり、1〜6
の整数が好ましい。)など。
【0014】本発明における重合単位(a1 )は、下式
(1)で表されるRf 基含有(メタ)アクリレートの重
合単位が好ましい。 CH2 =CR1 COO−Q1 −Rf ・・式(1) ただし、式中の記号は、以下の意味を示す。 Q1 :単結合または2価連結基。 R1 :水素原子またはメチル基。 Rf :Rf 基。
【0015】式中のQ1 は2価有機連結基が好ましく、
特に、後述の具体例中に挙げるものが好ましい。式中の
f は、エーテル性酸素原子を含まないポリフルオロア
ルキル基が好ましく、特にエーテル性の酸素原子を含ま
ないペルフルオロアルキル基が好ましい。式(1)で表
されるRf 基含有(メタ)アクリレートの具体例として
は、下記化合物が挙げられる。
【0016】
【化1】 F(CF28 (CH22 OCOCH=CH2 、 F(CF28 (CH22 OCOC(CH3 )=CH
2 、 F(CF28 (CH23 OCOCH=CH2 、 F(CF27 CH2 OCOCH=CH2 、 F(CF210(CH22 OCOC(CH3 )=CH
2 、 H(CF28 (CH22 OCOC(CH3 )=CH
2 、 (CF32 CF(CF26 (CH22 OCOC
(CH3 )=CH2 、 F(CF28 SO2 N(CH2 CH2 CH3 )−−
(CH22 OCOCH=CH2
【0017】重合体(A)中の重合単位(a1 )は、1
種のみであっても2種以上であってもよい。2種以上で
ある場合には、Rf 基部分の炭素数が異なる2種以上の
単量体の重合単位であるのが好ましい。重合体(A)
は、重合単位(a1 )以外の重合単位を含んでいてもよ
い。重合単位(a1 )以外の重合単位としては、Rf
を持たず重合性の不飽和基を有する単量体(以下、他の
単量体という。)の重合単位であれば特に限定されな
い。他の単量体としては、公知または周知の化合物から
採用され、1種または2種以上を使用できる。他の単量
体の重合単位を含む重合体(A)を採用した場合には、
レベリング性が向上し、塗膜の均一性も向上することか
ら好ましい。
【0018】他の単量体としては、アクリル酸エステル
等のポリオレフィン系不飽和エステル、エポキシ基を有
する不飽和エステル、ビニル基を有する化合物、アミノ
基と重合性不飽和基を有する化合物、および置換アミノ
基と重合性不飽和基を有する化合物から選ばれるのが好
ましい。
【0019】さらに、重合体(A)は、重合単位(a
1 )とともに、下記重合単位(a2 )および/または下
記重合単位(a3 )を含む重合体であるのが好ましい。 重合単位(a2 ):エチレン、塩化ビニル、スチレン、
(メタ)アクリル酸、シクロヘキシル(メタ)アクリレ
ート、アルキル(メタ)アクリレート、ポリオキシアル
キレンジオールのモノ(メタ)アクリル酸エステル、お
よびグリシジル(メタ)アクリレートから選ばれる1種
以上の不飽和化合物の重合単位。 重合単位(a3 ):アミノ基と重合性不飽和基を有する
化合物の重合単位、または、置換アミノ基と重合性不飽
和基を有する化合物の重合単位。
【0020】重合単位(a2 )は、重合体(A)の軟化
点を下げて、適当な温度に調節する効果がある。また、
重合単位(a3 )は、本発明の組成物の濡れ性、重合体
(A)の展着性や塗膜のレベリング性を改良する性質が
ある。なお、重合体(A)が他の単量体の重合単位を含
まない場合には、満足するレベリングが得られず、塗膜
が均一にならないおそれがある。
【0021】重合単位(a3 )における置換アミノ基と
は、アミノ基の水素原子の1個または2個が1価置換基
で置換された基をいう。該1価置換基としては脂肪族炭
化水素基が好ましく、特にアルキル基が好ましく、とり
わけ炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。なお、以下
において、アミノ基と置換アミノ基とを総称して「置換
されていてもよいアミノ基」と記す。置換されていても
よいアミノ基としては、ジメチルアミノ基、モノメチル
アミノ基、モノエチルアミノ基、ジエチルアミノ基等が
好ましい。
【0022】重合単位(a3 )は、置換されていてもよ
いアミノ基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物
の重合単位が好ましく、特に下式(2)で表される化合
物の重合単位が好ましい。 CH2 =CR2 CO−Q2 −NR1011・・式(2) ただし、式中の記号は、以下の意味を示す。 R2 :水素原子またはメチル基。 R10、R11:それぞれ独立に、水素原子または炭素数1
〜6のアルキル基。 Q2 :単結合または2価連結基。
【0023】式(2)のR10およびR11が炭素数1〜6
のアルキル基である場合、メチル基、エチル基、または
イソプロピル基が好ましい。R10およびR11はそれぞれ
独立に、水素原子、メチル基、またはエチル基が好まし
く、とりわけR10およびR11の一方がメチル基、または
エチル基であるのが好ましい。Q2 の具体例としては下
記化合物中の例が挙げられ、単結合またはオキシエチレ
ン基が好ましい。式(2)の具体例を以下に挙げる。
【0024】
【化2】 CH2 =CHCOO(CH22 N(CH32 、 CH2 =CHCOO(CH22 N(CH2 CH3
2 、 CH2 =CHCON(CH32 、 CH2 =C(CH3 )CON(CH2 CH32 、 CH2 =CHCONH(CH23 N(CH32 、 CH2 =CHCONHCH(CH32
【0025】重合体(A)が重合単位(a2 )を含む共
重合体である場合には、重合体(A)中の重合単位(a
1 )の割合は60〜99重量%が好ましく、特に70〜
95重量%が好ましい。重合体(A)が重合単位(a
3 )を含む共重合体である場合には、重合体(A)中の
重合単位(a1 )の割合は50〜99重量%が好まし
く、特に70〜90重量%が好ましい。重合単位(a
1 )の割合が低いと、塗膜表面の表面張力が下がらず、
フラックス這い上がり防止性能が不充分になるおそれが
ある。重合体(A)中の重合単位(a2 )の割合は、1
〜40重量%が好ましく、特に10〜30重量%が好ま
しい。重合体(A)中の重合単位(a3 )の割合は、1
〜50重量%が好ましく、特に10〜30重量%が好ま
しい。
【0026】重合単位(a2 )としては、(メタ)アク
リル酸、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、アルキ
ル(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレンジオー
ルのモノ(メタ)アクリル酸エステル、またはグリシジ
ル(メタ)アクリレートの重合単位が好ましく、特にア
ルキル(メタ)アクレートの重合単位が好ましい。アル
キル(メタ)アクレートとしては、アルキル基部分の炭
素数が6以上であるアルキル(メタ)アクレートが好ま
しく、特に2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、
ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)ア
クリレートが好ましい。
【0027】本発明の重合体(A)は、重合単位(a
1 )とともに、重合単位(a2 )および重合単位(a
3 )を含む重合体であるのが好ましい。重合体(A)
は、重合単位(a1 )、重合単位(a2 )、および重合
単位(a3 )以外の重合単位を含んでいてもよいが、本
発明においては、含まないのが好ましい。
【0028】重合体(A)中のフッ素含量は30重量%
以上が好ましく、特に45重量%以上が好ましく、とり
わけ45〜80重量%が好ましい。フッ素含量が50重
量%未満となると、処理後に形成される塗膜表面の臨界
表面張力が高くなり、満足するフラックス這い上がり防
止性能が得られないおそれがある。
【0029】重合体(A)の平均分子量は1×103
1×107 が好ましく、特に1×104 〜1×105
好ましく、とりわけ2×104 〜5×104 が好まし
い。また、重合体(A)が2種以上の重合単位を含む重
合体である場合は、各重合単位の連なり方はブロックで
もランダムでもよく、特にランダムが好ましい。
【0030】本発明の組成物は、重合体(A)ととも
に、フッ素系界面活性剤(B1 )、および水系媒体
(C)を含む。組成物中の重合体(A)は、後述する水
系媒体中に粒子となって分散しているのが好ましい。組
成物中の分散粒子の粒子径としては、0.01〜1μm
が好ましい。本発明の組成物中の重合体(A)の濃度は
0.01〜3重量%が好ましく、0.03〜1重量%が
特に好ましい。該重合体(A)の濃度が0.01重量%
未満では満足するフラックス這い上がり防止の効果が得
られないおそれがあり、また、濃度が3重量%より高い
場合には、処理した際に形成される該重合体(A)の被
膜が厚すぎて半田が付きにくくなるおそれがある。
【0031】本発明の組成物は、上記重合体(A)を必
須とする。通常の処理方法で該組成物を処理する場合、
電子部品表面に組成物を付着後、乾燥して重合体(A)
を軟化させ均一な塗膜にする。
【0032】本発明の組成物が汎用性であるためには、
重合体(A)の軟化点は低いのが好ましい。電子部品に
使用されるプラスチックの耐熱温度は、大部分が150
℃程度であることから、重合体(A)の軟化点は150
℃未満であるのが好ましい。また乾燥しやすさも考慮す
ると、重合体(A)の軟化点は、40℃以上150℃未
満が好ましく、80〜120℃が特に好ましい。
【0033】本発明においては、組成物中に、上記重合
体(A)とフッ素系界面活性剤(B1 )とを組み合わせ
て含有させることにより、組成物の表面張力を10〜2
5dyn/cm(20〜30℃)にできる。フッ素系界
面活性剤(B1 )を含まない重合体(A)の水系分散液
の通常の表面張力は、40〜70dyn/cm(20〜
30℃)程度である。一方、本発明の組成物を適用しう
る基材の臨界表面張力は、通常は25〜40dyn/c
m程度になる。したがって、フッ素系界面活性剤(B
1 )を含む本発明の組成物の表面張力は、基板の表面張
力より低くなり、基材への濡れ性や付着性にすぐれ、か
つフラックス這い上がり防止性能を発揮する。
【0034】重合単位(a3 )を含む重合体(A)の水
系分散液は、フッ素系界面活性剤(B1 )を含まなくて
も低表面張力になりうるが、フッ素系界面活性剤(B
1 )を添加することによって、さらに表面張力が低下し
うる。
【0035】フッ素系界面活性剤(B1 )としては、フ
ッ素原子を有するイオン性界面活性剤またはフッ素原子
を有するノニオン性界面活性剤が挙げられる。さらに、
フッ素系界面活性剤(B1 )としては、Rf 基とアニオ
ン性基とを併有するアニオン性フッ素系界面活性剤、R
f 基とカチオン性基とを併有するカチオン性フッ素系界
面活性剤、Rf 基とカチオン性基とアニオン性基とを併
有する両性界面活性剤、Rf 基と親水性基とを併有する
ノニオン性界面活性剤のいずれでもよい。
【0036】フッ素系のカチオン性界面活性剤の商品名
としては、旭硝子社製「サーフロンS−121」、スリ
ーエム社製「フロラードFC−134」、大日本インキ
化学工業社製「メガファックF−150」が挙げられ
る。フッ素系のアニオン性界面活性剤の商品名として
は、旭硝子社製「サーフロンS−111」、スリーエム
社製「フロラードFC−143」、大日本インキ化学工
業社製「メガファックF−120」が挙げられる。フッ
素系の両性界面活性剤の商品名としては、旭硝子社製
「サーフロンS−132」、スリーエム社製「フロラー
ドFX−172」、大日本インキ化学工業社製「メガフ
ァックF−120」が挙げられる。フッ素系のノニオン
性界面活性剤の商品名としては、旭硝子社製「サーフロ
ンS−145」、スリーエム社製「フロラードFC−1
70」、大日本インキ化学工業社製「メガファックF−
141」が挙げられる。
【0037】フッ素系界面活性剤(B1 )量は、組成物
中に20〜2000ppmが好ましく、特に100〜1
000ppmが特に好ましい。フッ素系界面活性剤(B
1 )量を20ppm以上にすることにより、基材に対す
る組成物の濡れ性、フラックス這い上がり防止性能が向
上する。一方、2000ppm以下とすることによっ
て、形成された塗膜の臨界表面張力が低くなり、フラッ
クス這い上がり防止性能も満足に得られる。フッ素系界
面活性剤(B1 )を多くした場合には、フッ素系界面活
性剤(B1 )が塗膜表面に残存し、臨界表面張力が高
く、目的の性能が得られない場合もある。この場合、水
を用いて処理基板をリンスして、塗膜表面の界面活性剤
を除去してもよいが、リンス、再乾燥の2工程が増える
ことになり望ましくない。
【0038】また、本発明の組成物は、水系媒体(C)
を含む。水系媒体(C)としては、水、または水に水溶
性有機溶剤を含ませたものが挙げられる。水溶性有機溶
剤としては、ケトン類、エステル類、グリコール類、グ
リコールエーテル類、またはアルコール等が挙げられ
る。水系媒体(C)が、水溶性有機溶剤を含む場合には
水系媒体(C)中の水の割合は50〜95重量%が好ま
しく、一方、水溶性有機溶剤の割合は5〜50重量%が
好ましい。
【0039】さらに水溶性有機溶剤は、乾燥しやすさの
点から沸点が40〜200℃であるものが好ましい。ま
た、水系媒体(C)は、20℃における水への溶解度が
1重量%以上の有機溶剤であるのが好ましい。さらに組
成物中の水系媒体(C)量は5〜50重量%が好まし
く、特に10〜30重量%が好ましい。
【0040】本発明の重合体(A)の製造方法として
は、特に限定されない。乳化重合法で合成した場合に
は、直接本発明の組成物を得られるため好ましい。乳化
重合法で実施する場合には、下記方法1または方法2で
実施するのが好ましい。 [方法1]媒体および乳化剤の存在下に単量体を乳化さ
せ、つぎに撹拌しながら重合させる方法。 [方法2]重合開始剤を添加する前に、媒体および乳化
剤の存在下で単量体をホモミキサーまたは高圧乳化装置
により乳化して、つぎに、重合開始源を作用させて重合
する方法。
【0041】上記のいずれの方法においても、単量体と
して塩化ビニルなどのガス状の単量体を採用する場合に
は、圧力容器を用いて、加圧下に連続供給してもよい。
重合開始源としては、特に限定されず、有機過酸化物、
アゾ化合物、過硫酸塩等の通常の重合開始剤、または、
γ線のような電離性放射線等が採用できる。媒体として
は、水系媒体(C)と同じものを採用するのが好まし
い。
【0042】すなわち、本発明の組成物を乳化重合法で
製造する場合には、式(1)で表される化合物と必要に
応じた他の単量体を、乳化剤の存在下に、水系媒体
(C)中で乳化重合する方法を採用するのが好ましい。
また、上記の方法の全てにおいて、乳化剤はフッ素系界
面活性剤(B1 )であっても、また、非フッ素系界面活
性剤(B2 )であってもよく、非フッ素系界面活性剤
(B2 )を用いるのが乳化作用に優れるため好ましい。
本発明の組成物は、非フッ素系界面活性剤(B2 )も含
むのが好ましいことから、乳化重合後に非フッ素系界面
活性剤(B2 )を除去することなく、フッ素系界面活性
剤(B1 )を加えて調製するのが好ましい。
【0043】非フッ素系界面活性剤(B2 )としては、
HLB値が7以上の非フッ素系非イオン性界面活性剤、
炭素数6以上のアルキル基を分子内に有する非フッ素系
カチオン性界面活性剤、または、炭素数6以上のアルキ
ル基を分子内に有する非フッ素系アニオン性界面活性剤
が好ましい。
【0044】HLB値が7以上の非フッ素系非イオン性
界面活性剤としては、オキシアルキレン単位を分子中に
5個以上含有する公知の非イオン性界面活性剤が好まし
い。オキシアルキレン単位としては、オキシエチレンま
たはオキシプロピレンが好ましい。また、炭素数6以上
のアルキル基を分子内に有する非フッ素系カチオン性界
面活性剤としては、アルキルアンモニウム塩等が挙げら
れ、炭素数6以上のアルキル基を分子内に有する非フッ
素系アニオン性界面活性剤としては、アルキル硫酸塩等
が挙げられる。
【0045】本発明における非フッ素系界面活性剤(B
2 )の具体例を以下に挙げる。ポリオキシエチレンラウ
リルエーテル(HLB=14.5、オキシエチレン付加
モル数=9)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレ
ンセチルエーテル(HLB=9.5、オキシエチレン付
加モル数=1、オキシプロピレン付加モル数=8)、ポ
リオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(HLB=
11.5、オキシエチレン付加モル数=10)、ポリオ
キシオキシエチレンノニルフェニルエーテル(HLB=
8.0、オキシエチレン付加モル数=5)、塩化ステア
リルトリメチルアンモニウム、塩化ジオクチルジメチル
アンモニウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシ
エチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ジメチルオ
クタデシルアミン酢酸塩。これらのうち、非フッ素系界
面活性剤(B2 )としては、ポリオキシエチレンラウリ
ルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエー
テル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ジ
メチルオクタデシルアミン酢酸塩等が好ましい。
【0046】また、乳化重合時に界面活性剤を用いる場
合には、フッ素系界面活性剤(B1)および非フッ素系
界面活性剤(B2 )のいずれを用いてもよく、イオン性
の異なる界面活性剤を2種以上併用してもよい。ただ
し、イオン性の異なる界面活性剤を用いる場合には、カ
チオン性と非イオン性、アニオン性と非イオン性、また
は非イオン性と両性とを組合わせるのが好ましい。
【0047】本発明の組成物はフッ素系界面活性剤(B
1 )とともに非フッ素系界面活性剤(B2 )を含むのが
好ましく、非フッ素系界面活性剤(B2 )量は、フッ素
系界面活性剤(B1 )と非フッ素系界面活性剤(B2
との合計量に対して50〜80重量%であるのが好まし
い。非フッ素系界面活性剤(B2 )は、乳化重合時に用
いたものであってもよく、重合後に添加したものであっ
てもよい。
【0048】また、重合体(A)は、含フッ素溶剤を用
いて溶液重合させてもよい。含フッ素溶剤としては、
1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2,3
−ジヒドロデカフルオロ(n−)ペンタン等のHFC、
3 HF5 Cl2 (旭硝子社製商品名「AK−22
5」)等のHCFCが挙げられる。該含フッ素溶剤は重
合後に除去し、重合体(A)をフッ素系界面活性剤(B
1 )の存在下で水系媒体(C)に分散させて本発明の組
成物とするのが好ましい。
【0049】本発明の組成物は、目的や用途に応じて、
任意の濃度に希釈されて、被処理物に処理される。処理
方法としては、一般的な被覆加工方法が採用できる。た
とえば、浸漬塗布、スプレー塗布、または本発明の組成
物を充填したエアゾール缶による塗布等の方法がある。
【0050】被処理物としてはコネクタ、スイッチ、ボ
リューム、または半固定抵抗等の電気接点を有する電子
部品、電気接点を有するプリント基板が挙げられる。本
発明の組成物によって処理される箇所としては、プリン
ト基板にコネクタ等の電子部品を半田づけする際に、フ
ラックスの這い上がりがおこりうる箇所が挙げられる。
より詳しくは、プリント基板に取り付けるコネクタ等の
電子部品の付け根部分、プリント基板の電子部品本体が
実装される側の基板表面、または電子部品を取り付ける
ためのプリント基板に設けられたスルーホール等が挙げ
られる。本発明の組成物を処理することによって、不要
な箇所への半田用フラックスの付着が防止できる。
【0051】また、本発明の組成物は、接点部分に付着
しても、電気特性(たとえば導通性等)および部品の外
観を損なわない利点がある。したがって、電子部品また
はプリント基板の表面全体に処理してもよく、上記以外
の処理方法が採用できる。たとえば、処理効率のよい全
浸漬または半浸漬による処理方法も採用でき、好まし
い。
【0052】本発明の組成物を全浸漬で処理する場合に
は、被処理物である電子部品の種類ごとに重合体(A)
の最適濃度がある。全浸漬で処理する場合の、組成物中
の重合体(A)の最適濃度範囲としては、電子部品の種
類ごとに表1に示すことができる。
【0053】
【表1】
【0054】表1に示す最適濃度が存在するのは、以下
の理由による。すなわち、組成物を全浸漬で処理する場
合には、該組成物は、目的とする箇所だけ(たとえばリ
ード線部分だけ)ではなく、それ以外の場所にも付着
し、組成物由来の被膜が形成されうる。一方、被処理物
となりうる電子部品は、種類または形状により、導通に
必要な電気接点の接点荷重が異なる。したがって、本発
明の組成物の濃度を調節することにより、電子部品の設
置時の各荷重により被膜がはがれる膜厚に調節される。
【0055】また、本発明の組成物中に、処理が必要な
電子部品のみ浸漬する半浸漬による方法では、電子部品
における重合体(A)の最適濃度範囲は、いずれの電子
部品においても、組成物中に3重量%以下とするのが好
ましく、0.01〜0.3重量%とするのが特に好まし
い。
【0056】本発明の組成物は、電子部品またはプリン
ト基板の半田づけをする表面に処理し、つぎに乾燥する
ことにより、該表面に被膜を形成させる。処理後には、
乾燥させ、さらにキュアリングさせるのが好ましく、キ
ュアリングにより被処理物表面により均一な被膜を形成
させうる。キュアリングの温度は重合体(A)の軟化点
超の温度が好ましい。
【0057】本発明の組成物中には、分散安定性、フラ
ックス這い上がり防止性、絶縁性、または外観等に悪影
響を与えない範囲で、他の化合物を含ませてもよい。他
の化合物としては、腐食を防止するためのpH調節剤、
防錆剤、液中の重合体の濃度を管理するための染料、染
料の安定剤、難燃剤、または帯電防止剤等が挙げられ
る。
【0058】本発明の組成物は、電子部品またはプリン
ト基板の表面に被膜を形成させ、半田用フラックスの這
い上がりを防止する。そして、フラックスによる腐食が
防止された電子部品またはプリント基板が提供されう
る。本発明の組成物を乾燥させてなる被膜が表面に形成
された電子部品またはプリント基板は、つぎに半田用フ
ラックスで処理され、さらに半田づけが行われ、半田づ
けがされた電子部品またはプリント基板が提供される。
そして該電子部品またはプリント基板は種々の電気製品
に用いられる。該電気製品は、フラックスによる腐食が
原因で起こり得る障害が防止された、すぐれた品質の電
気製品となりうる。該電気製品の具体例としては、コン
ピュータ用機器、テレビ、オーディオ用機器(ラジオカ
セット、コンパクトディスク、ミニディスク等に用いら
れる機器用、携帯電話などが挙げられる。
【0059】
【作用】本発明の組成物が優れた性能を示す機構は必ず
しも明確ではないが、以下のように推測される。すなわ
ち、組成物中に含まれる重合体(A)とフッ素系界面活
性剤(B1 )の相互作用により液の表面張力が下がり、
濡れ性が改良され、組成物から均一な塗膜が形成され
る。また、重合体(A)の軟化点が適度に調節されてい
るために、塗膜の質が改良される。また、組成物の乾燥
時に重合体(A)中のRf 基は膜表面に規則的に配向
し、効率的に性能を発揮する。
【0060】
【実施例】以下に、本発明を具体的に説明するが、本発
明はこれらに限定されない。なお、分子量はゲル透過ク
ロマトグラフィ(GPC)により測定し、ポリスチレン
換算した値である。軟化点はDurransの水銀法に
より測定した値である。
【0061】[例1]重合体Aの合成例 1リットルのガラス製オートクレーブにF(CF28
(CH22 OCOCH=CH2 167g、シクロヘキ
シルメタクリレート42g、ポリオキシエチレンオクチ
ルフェニルエーテル(オキシエチレン付加モル数=1
0、HLB=11.5)21g、ドデシルメルカプタン
1g、アセトン52g、イオン交換水365gを加え、
50℃で1時間の前乳化を行った。その後2,2’−ア
ゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)塩酸塩2gを
加え、オートクレーブを窒素置換した。
【0062】撹拌しながら60℃に昇温して15時間重
合を行い、冷却後、ガスクロマトグラフィ(GC)で分
析した結果、F(CF28 (CH22 OCOCH=
CH2 およびシクロヘキシルメタクリレートの反応率は
ともに99%以上であり、重合反応が順調に進行したこ
とがわかった。その後、孔径6μmのフィルタでろ過し
て乳白色エマルションを得た。エマルションの固形分濃
度は30%、分散粒子の粒子径は0.4μmであった。
また、共重合体の平均分子量は3×104 、軟化点は1
30℃、フッ素含量は49重量%であった。
【0063】[例2]重合体Aの合成例 シクロヘキシルメタクリレートをベヘニルメタクリレー
トに変更した以外は例1と同様の条件で重合反応を行
い、冷却後、GCで分析した結果、F(CF28 (C
22 OCOCH=CH2 およびベヘニルメタクリレ
ートの反応率はともに99%以上であり、重合反応が順
調に進行したことがわかった。その後、孔径6μmのフ
ィルタでろ過して乳白色エマルションを得た。エマルシ
ョンの固形分濃度は34%、分散粒子の粒子径は0.3
μmであった。また、共重合体の平均分子量は2×10
4 、軟化点は100℃、フッ素含量は47重量%であっ
た。
【0064】[例3]重合体Aの合成例 シクロヘキシルメタクリレートをCH2 =C(CH3
COO(CH2 CH2O)4 Hに変更し、ポリオキシエ
チレンオクチルフェニルエーテルをジメチルオクタデシ
ルアミン酢酸塩に変更した以外は例1と同様の条件で重
合反応を行い、冷却後、GCで分析した結果、F(CF
28 (CH22 OCOCH=CHおよびCH
=C(CH3 )COO(CH2 CH2 O)4 Hの反応率
はともに99%以上であり、重合反応が順調に進行した
ことがわかった。その後、孔径6μmのフィルタでろ過
し乳白色エマルションを得た。エマルションの固形分濃
度は32%、分散粒子の粒子径は0.2μmであった。
また共重合体の平均分子量は2×104 、軟化点は11
0℃、フッ素含量は48重量%であった。
【0065】[例4]重合体Aの合成例 1リットルのガラス製オートクレーブにCF3 (CF
27 (CH22 OCOCH=CH2 167g、N,
N−ジメチルアミノエチルメタクリレート42g、ポリ
オキシエチレンオクチルフェニルエーテル(オキシエチ
レン付加モル数=10、HLB=11.5)21g、ド
デシルメルカプタン1g、アセトン52g、イオン交換
水365gを加え、50℃で1時間の前乳化を行った。
その後アゾビス(メチルプロピオンアミジン)塩酸塩2
gを加え、オートクレーブを窒素置換した。撹拌しなが
ら60℃に温して15時間重合を行い、冷却後、GC分
析した結果、CF3 (CF27 (CH22 OCOC
H=CH2 およびN,N−ジメチルアミノエチルメタク
リレートの反応率はともに99%以上であり、重合反応
が順調に進行したことがわかった。その後、孔径6μm
のフィルタでろ過して乳白色エマルションを得た。エマ
ルションの固形分濃度は34%、分散粒子の粒子径は
0.1μmであった。また、共重合体の平均分子量は3
×104 、軟化点は110℃であった。
【0066】[例5]比較重合体の合成例 1リットルのガラス製ビーカーに、平均分子量が1×1
4 かつ軟化点が200℃以上の四フッ化エチレン樹脂
20g、展着剤としてカゼインカルシウムを10g、ポ
リオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(オキシエ
チレン付加モル数=10、HLB=11.5)3g、イ
オン交換水80gを加え、50℃で1時間乳化操作を行
ったところ、固形分濃度33%、粒子径0.5μmの白
色エマルションが得られた。
【0067】[組成物1〜8の調製]例1〜5で調製し
たエマルションに、それぞれ表2に示す種類および量
(単位:重量%)のフッ素系界面活性剤組成物およびイ
オン交換水を調合して共重合体濃度が1重量%である組
成物1〜8を得た。なお、組成物5〜8は比較組成物で
ある。ただし、サーフロンS−145は、水およびフッ
素系非イオン性界面活性剤(30重量%)を含む組成
物、サーフロンS−121は、水およびフッ素系カチオ
ン性界面活性剤(30重量%)を含む組成物である。
【0068】
【表2】
【0069】[性能評価方法および評価結果] (1)濡れ性 組成物1〜8の濡れ性を評価するために常温での表面張
力をウィルヘルミー表面張力計で測定した。結果(単
位:dyn/cm)を表3に示す。 (2)造膜性の評価 組成物1〜8を、2000穴/枚のスルーホールを有す
るプリント基板の非半田面に塗布した後、120℃で5
分間加熱処理して水を除去し、塗膜を形成させた。塗膜
の表面状態を目視で判定し、以下の基準で判断した。結
果を表3に示す。 A:表面に光沢があり、均一な厚さの膜。 B:表面に光沢がなく、厚さが不均一な膜。 C:全体が白くなった膜。
【0070】(3)フラックス這い上がり防止性能の評
価(その1) 容器に約2mmの深さまでフラックスを入れ、その上に
(2)で作成した表面に塗膜が形成されたプリント基板
5個を乗せ、1分間放置した。1分後にプリント基板の
スルーホールを通してフラックスが這い上がったかどう
か目視で判定し、這い上がりのあった穴の総数を数え
た。結果を表3に示す。 (4)フラックスの付着性(接触角)の評価 組成物1〜8を、それぞれ10重量%エタノール水溶液
で共重合体濃度ポリマー濃度が0.2重量%となるよう
に希釈した。通常のスイッチ用材料である、銀めっきリ
ン青銅板を20個用意し、希釈した組成物1〜8にそれ
ぞれ浸漬した。さらに、120℃で5分間加熱処理を行
い、表面に塗膜を形成させた。銀めっきリン青銅板を5
個選び、それらの表面におけるフラックスの接触角を協
和界面科学社製の液滴式投影形接触角計で測定した。接
触角の平均値を表4に示す。
【0071】(5)接触抵抗の評価 (4)で作成した塗膜の形成された銀めっきリン青銅板
を15個選び、ケーエス(KS)部品研究所製の接触抵
抗計により、1mmの半球状測定プローブを用いて3端
子法で接触抵抗を測定した。測定は、エアコンにより2
3℃に温度調節がされている部屋で行い、接点荷重10
gf、測定ポイント数を1個に対して5箇所(計75箇
所)とした。接触抵抗が100mΩ以下を合格とし、合
格した測定ポイントの数を求めた。結果を表4に示す。
【0072】(6)導通性の評価 (4)における銀めっきリン青銅板の代わりに20個の
タクトスイッチを用いること以外は同様に希釈された組
成物1〜8を浸漬塗布した。これをプリント基板に半田
づけした後、導通不良の有無を検査した。導通不良があ
ったものの個数を表4に示す。 (7)フラックス這い上がり防止性能の評価(その2) (6)の評価に用いたタクトスイッチをプリント基板か
らはずし、リード線部分の表面状態をそこなわないよう
に分解して、フラックス這い上がりの有無を目視で判定
した。這い上がりがあるリード線を有するタクトスイッ
チ数を数えた。結果を表4に示す。
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
【発明の効果】本発明の組成物は、オゾン層破壊、地球
温暖化の心配がなく、不燃性である水系の組成物であ
る。該組成物においては、臭気の問題もほとんどないた
め、作業環境上も大変有利である。該組成物は、効率的
な浸漬塗布で処理した場合においても、形成される被膜
は、外観が優れ、膜厚の均一性にも優れる。したがっ
て、組成物の成分濃度を調製するたけで、適度な膜厚の
被膜を形成でき、導通不良を防ぎうる。また、フラック
スの濡れ性にも優れることから、汎用の処理方法を採用
できる。さらに、本発明の組成物は、優れたフラックス
這い上がり防止性能を示す。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記重合単位(a1 )を含む重合体
    (A)、フッ素系界面活性剤(B1 )、および水系媒体
    (C)を含むことを特徴とする半田用フラックスの這い
    上がりを防止する組成物。 重合単位(a1 ):ポリフルオロアルキル基を含む不飽
    和エステルの重合単位、または、炭素−炭素結合間にエ
    ーテル性酸素原子が挿入されたポリフルオロアルキル基
    を含む不飽和エステルの重合単位。
  2. 【請求項2】重合単位(a1 )が、下式(1)で表され
    る化合物の重合単位である請求項1に記載の組成物。 CH2 =CR1 COO−Q1 −Rf ・・式(1) ただし、式(1)においてQ1 、R1 、およびRf は以
    下の意味を示す。 Q1 :単結合または2価連結基。 R1 :水素原子またはメチル基。 Rf :ポリフルオロアルキル基、または、炭素−炭素結
    合間にエーテル性酸素原子が挿入されたポリフルオロア
    ルキル基。
  3. 【請求項3】重合体(A)がさらに、下記重合単位(a
    2 )および/または下記重合単位(a3 )を含む請求項
    1または2に記載の組成物。 重合単位(a2 ):エチレン、塩化ビニル、スチレン、
    (メタ)アクリル酸、シクロヘキシル(メタ)アクリレ
    ート、アルキル(メタ)アクリレート、ポリオキシアル
    キレンジオールのモノ(メタ)アクリル酸エステル、お
    よびグリシジル(メタ)アクリレートから選ばれる1種
    以上の不飽和化合物の重合単位。 重合単位(a3 ):アミノ基と重合性不飽和基を有する
    化合物の重合単位、または、置換アミノ基と重合性不飽
    和基を有する化合物の重合単位。
  4. 【請求項4】さらに、非フッ素系界面活性剤(B2 )を
    含む請求項1、2、または3に記載の組成物。
  5. 【請求項5】重合体(A)の軟化点が40℃以上150
    ℃未満である請求項1、2、3、または4に記載の組成
    物。
  6. 【請求項6】水系媒体(C)が水溶性有機溶剤を含有
    し、該水溶性有機溶剤の沸点が40〜200℃である、
    請求項1、2、3、4、または5に記載の組成物。
  7. 【請求項7】組成物の表面張力が10〜25dyn/c
    mである、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
  8. 【請求項8】電子部品またはプリント基板の表面に、請
    求項1〜7のいずれかの組成物を乾燥させてなる被膜を
    形成させ、つぎに該被膜が形成された表面を半田用フラ
    ックスで処理し、つぎに半田づけを行うことを特徴とす
    る電子部品またはプリント基板の半田づけ方法。
  9. 【請求項9】請求項8に記載の方法により得られた、半
    田づけがなされた電子部品またはプリント基板。
  10. 【請求項10】請求項9に記載の電子部品またはプリン
    ト基板を用いた電気製品。
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