JPH1030938A - 自己回帰モデルを利用した時系列データの収集、処理方法及び自己回帰モデルを利用した時系列データからの有意な信号の抽出システム - Google Patents
自己回帰モデルを利用した時系列データの収集、処理方法及び自己回帰モデルを利用した時系列データからの有意な信号の抽出システムInfo
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- JPH1030938A JPH1030938A JP8183845A JP18384596A JPH1030938A JP H1030938 A JPH1030938 A JP H1030938A JP 8183845 A JP8183845 A JP 8183845A JP 18384596 A JP18384596 A JP 18384596A JP H1030938 A JPH1030938 A JP H1030938A
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Abstract
対応するように特性を固定的に設定したフィルタでは、
測定条件の変化等により、識別すべき音のスペクトル等
の性質が変化したり、識別すべき音とノイズのスペクト
ルが近い場合、もしくは重なっている場合には対応しな
くなってしまい、所定の機能が発揮出来なくなってしま
う。 【解決手段】収集した時系列データ中の、有意な信号を
含む部分と、ノイズの部分の夫々から自己回帰係数を算
出し、前者の自己回帰係数から求めた伝達関数を設定し
て強調のフィルタを構成すると共に、後者の自己回帰係
数から求めた伝達関数を設定して阻止のフィルタを構成
し、時系列データをこれらのフィルタに通して処理す
る。
Description
用した時系列データの収集、処理方法に関するもので、
例えばガス供給用等の導管のピグトラッキング、他工事
による損傷音の発見、その他、音による機器の故障診断
や、音による流体の漏洩位置の検出等における音響デー
タの解析や、振動等の各種時系列データの解析等の各種
分野に利用できるものである。
ばれる物体を移動させて管内の清掃や検査等を行う作業
があり、この作業では、ピグの移動に伴って生じる音を
導管の適所に配置したマイクロフォンを介して収集し
て、導管の溶接部の内壁に生じた盛り上がり部、いわゆ
る周溶接部の裏波をピグが通過する際に生じる特定の音
を識別し、この数をカウントして導管の配置図と照合す
ることによりピグの現在位置を検出する、いわゆるピグ
トラッキングが行われている。
のスペクトルや音圧レベルはノイズ(環境騒音)を含め
多種多様であるため、上記のような特定の音をノイズか
ら分離して自動的に識別するのは困難であり、従って、
従来は現場の熟練者が音を聴取して識別を行っている。
識別のように、特定の音をノイズから分離して識別する
ために、バンドパスフィルタ等のフィルタを利用するこ
とは一般的な技術であるが、従来のフィルタは、識別す
べき音を予め調べて、この音に対応するように特性を固
定的に設定して利用している。
的に設定したフィルタでは、測定条件の変化等により、
識別すべき音のスペクトル等の性質が変化したり、識別
すべき音とノイズのスペクトルが近い場合、もしくは重
なっている場合には対応しなくなってしまい、所定の機
能が発揮出来なくなってしまう。
タを、自己回帰モデルにより構成したフィルタを通して
処理することを先に提案した。例えば特願平7年第28
5926号の願書に添付した明細書及び図面を参照。こ
の処理方法は、収集した時系列データ中の有意な信号を
含む所望部分に対して自己回帰係数を算出して、この自
己回帰係数を、自己回帰モデルにより構成したフィルタ
に設定し、このフィルタに時系列データを通すことによ
り、自己回帰係数を算出した有意な信号と同様な性質の
有意な信号のみを強調してノイズと分離して出力するこ
とができるものである。
用した時系列データの処理方法を更に推し進め、有意な
信号の強調とノイズの阻止の両方を自己回帰モデルを利
用して行うことにより、ノイズに埋もれた任意の有意な
信号の抽出を良好に行えるようにし、以て、上述した従
来の課題を解決することを目的とするものである。
ために、本発明では、まず、収集した時系列データ中
の、有意な信号を含む部分と、ノイズの部分の夫々から
自己回帰係数を算出し、前者の自己回帰係数から求めた
伝達関数を設定して強調のフィルタを構成すると共に、
後者の自己回帰係数から求めた伝達関数を設定して阻止
のフィルタを構成し、時系列データをこれらのフィルタ
に通して処理する時系列データの収集、処理方法を提案
する。
調のフィルタと阻止のフィルタを経た時系列データを、
更に他の強調のフィルタと阻止のフィルタを通して処理
することを提案する。
調のフィルタと阻止のフィルタを経た時系列データを、
更に他の強調のフィルタ又は阻止のフィルタを通して処
理することを提案する。
調のフィルタと阻止のフィルタを経た時系列データを、
移動平均フィルタ等の低域通過フィルタを通して処理す
ることを提案する。
調のフィルタと、阻止のフィルタは独立して順次構成し
たり、又は強調のフィルタと、阻止のフィルタは共通の
フィルタにより構成し、強調のフィルタの伝達関数を阻
止のフィルタの伝達関数で除した商を伝達関数として共
通のフィルタを構成することを提案する。
るシステムとして、時系列データの収集手段と、収集し
た時系列データを通し、伝達関数が設定可能なフィルタ
と、フィルタを通した時系列データを処理する処理手段
と、収集した時系列データ中の有意な信号を含む部分か
ら自己回帰係数を算出し、この自己回帰係数から伝達関
数を求めて前記フィルタに設定する強調のフィルタ設定
手段と、収集した時系列データ中のノイズの部分から自
己回帰係数を算出し、この自己回帰係数から伝達関数を
求めて前記フィルタに設定する阻止のフィルタ設定手段
とから構成した時系列データからの有意な信号の抽出シ
ステムを提案する。
フィルタ設定手段により伝達関数を設定する強調のフィ
ルタと、阻止のフィルタ設定手段により伝達関数を設定
する阻止のフィルタを独立して順次構成すること、又は
強調のフィルタ設定手段により伝達関数を設定する強調
のフィルタと、阻止のフィルタ設定手段により伝達関数
を設定する阻止のフィルタは、共通のフィルタとして構
成し、強調のフィルタ設定手段の伝達関数を阻止のフィ
ルタ設定手段の伝達関数で除した商を伝達関数として共
通フィルタに設定することを提案する。
強調のフィルタと阻止のフィルタは、複数組構成するこ
とを提案する。
強調のフィルタと阻止のフィルタの入力側や出力側に他
のフィルタを構成することを提案する。
を自己回帰モデルにより構成し、時系列データ中の有意
な信号を含む所望の部分から算出した自己回帰係数によ
り求めた伝達関数をフィルタに設定することにより、上
記所望の部分とスペクトル特性が同様な性質のデータを
通過させる動作のフィルタ、即ち強調のフィルタを構成
することができる。このような強調のフィルタでは、ノ
イズが含まれる時系列データ中から上記所望の部分と同
様なスペクトル特性を有するデータを強調して抽出する
ことができる。
算出した自己回帰係数により求めた伝達関数をフィルタ
に設定することにより、このフィルタを、形としては上
記強調のフィルタと同様に、上記ノイズ部分と同様なス
ペクトル特性を有するノイズを通過させるフィルタとし
て動作させることもできるが、これと逆に有用なフィル
タとして、上記ノイズ部分と同様なスペクトル特性のノ
イズを阻止する動作のフィルタ、即ち阻止のフィルタを
構成することができる。このような阻止のフィルタで
は、有意な信号が含まれる時系列データのノイズのみを
阻止することにより、有意な信号を抽出することができ
る。
強調のフィルタと阻止のフィルタの双方で処理し、有意
な信号の強調動作とノイズの阻止動作により、有意な信
号の抽出を行うことができる。このような強調のフィル
タや阻止のフィルタは、従来のフィルタの設計手順が不
要であり、即ち、フィルタを通過させたい有意な信号を
含む時系列データがあれば、そのデータ中の有意な信号
の部分とノイズの部分からフィルタを構成することがで
きる。
して順次構成することもできるし、強調のフィルタと阻
止のフィルタの夫々の伝達関数を商の形で内在させた共
通のフィルタとして構成することもできる。
複数構成すれば、複数の異なったスペクトル特性の有意
な信号、ノイズに対応するフィルタ群を構成することが
でき、従って複数の特性のノイズが含まれる時系列デー
タ中から、複数の異なった性質の有意な信号を抽出する
ことができる。
る処理を複数段行ったり、移動平均フィルタ等の他のフ
ィルタ処理と併用して行うことにより、更に効果的な有
意な信号の抽出を計ることができる。
な信号を建設機械等によるパイプラインへの打撃音とし
てパイプラインの損傷監視システムを構成したり、抽出
する有意な信号をパイプラインからのガスの漏洩に伴う
音として、パイプラインの漏洩監視システムを構成した
り、抽出する有意な信号を回転機械の異常回転に伴う音
または振動として、回転機械の異常監視システムを構成
したり、抽出する有意な信号を異常燃焼に伴う音または
振動として、燃焼装置の異常燃焼監視システムを構成す
ることができる。
共に添付図面を参照して詳細に説明する。まず、自己回
帰モデルにより強調のフィルタを構成する方法を説明す
る。尚、この説明では、上述した先の出願、特願平7年
第285926号の願書に添付した明細書及び図面の記
載に倣っている。自己回帰モデルは、1969年に赤池によ
り提案されたものであるが、この方法は、信号処理を必
要とする多くの分野で近来注目されている、Burg提案の
最大エントロピー法(MEM…Maximum Entropy Metho
d)と同一のスペクトル解析法である。MEMの理論に
おいて、最も重要な点は、観測された時系列データ(以
降、観測データと記す)に対して自己回帰(AR…Auto
Regressive)モデルを仮定するところにある。この自
己回帰モデルは図4に概略図として示している。図4に
示すように、観測データx(k)をm次の線形離散値モデル
の出力であると考える。また自己回帰モデルは、次式で
与えられる確率過程のモデルである。
とにより、次式が与えられる。
x(k-m)を掛けて期待値をとることにより、次の行列方
程式が得られる。
次式が得られ、この式により自己回帰モデル{a}とパ
ワースペクトルS(ω)の関係が示される。
(5)式に代入することによって自己回帰係数aとPが推
定できる。MEMによりスペクトル推定を行うには、
(5)式のm+1元連立方程式を解かなければならない。しか
も、自己回帰モデルの次数を決定するために、mを変化
させながら夫々の次元の連立方程式を繰り返して解かな
ければならない。そこで(5)式の自己相関関数を情報エ
ントロピーが増加しないように配慮して計算するのがバ
ーグ(Burg)法である。
前に得られないので、例えば、赤池により提案されたF
PE規範(最終予測誤差:Final Prediction Error)に
よる決定法により決定する。尚、FPEとは、時系列x
(k)から次数mで推定した自己回帰係数に対して、次式で
定義される統計量Qmであり、このQを最小にする次数m
を自己回帰モデルの次数とする。
回帰係数を用いて、以下に示すようにフィルタを構成す
る。このフィルタは図5に概略図として示している。図
5の上段に示す自己回帰モデルは、上記(1)と同様に次
式で与えられる。
より、観測データx1(k)の特徴を示す自己回帰係数aを
推定し、この自己回帰係数aを用いたフィルタを構成す
る。このフィルタは次式のように示すことができる。
モデルの入出力関係を変更し、(8)式の白色雑音n(k)
を、フィルタ処理を施したい観測データx2(k)に、(8)式
の観測データx1(k)を、フィルタ処理後のデータy2(k)に
置き換えたもので、即ち、観測データx2(k)に対して(9)
式に示される演算を行うことにより、フィルタ処理後の
データy2(k)を得ることができる。この演算において
は、n番目のフィルタ処理後のデータを求める際に、m個
の既に算出したデータが必要になるため、フィルタ処理
後のデータの最初の係数の数だけは正確ではないが、一
般に、係数の数は、データ長と比較して非常に小さいの
で実際上の支障はない。
タを構成する原理を概念的に示したもので、このフィル
タは、以下に示す原理により構成する。尚、以下の説明
では上記と異なり、次のように変数、定数を定義してい
る。
えられる。
した強調のフィルタの伝達関数に対応しており、この伝
達関数は、上述したように最大エントロピー法(Burg
法…MEM)によって自己回帰係数(ai1,ai2,…,
aiL)を推定して行う。この際、自己回帰係数の次数L
は、上述したようにFPE規範を用いて求める。
信号である打撃音と同様に、次式で与えられる。
した強調のフィルタの伝達関数に対応しているが、その
逆数を伝達関数とするフィルタは、上述した阻止のフィ
ルタに対応する。尚、この伝達関数は上記伝達関数と同
様に最大エントロピー法(MEM…Burg 法)によって
自己回帰係数(ai1,ai2,…,aiL)を推定して行
い、自己回帰係数の次数LはFPE規範を用いて求め
る。
フィルタを共通のフィルタとして構成すると、次式のよ
うになる。
式で示すように、強調のフィルタの伝達関数を阻止のフ
ィルタの伝達関数で除した商である。
ィルタと阻止のフィルタの機能が内在した共通のフィル
タ、即ち強調・阻止フィルタを次式に示すように表すこ
とができる。
の係数を次式のように選ぶことにより、直流ゲインを1
とすることができる。
を構成要素とする本発明の時系列データの収集、処理方
法を適用するシステム構成の一例を概念的に示すもので
あり、このシステムは、ガスパイプラインの幹線損傷監
視システム、即ち他工事の建設機械がガスパイプライン
を打撃した時に発生する音・振動に着目し、これらをモ
ニタすることにより、パイプラインの損傷によるガス漏
れ事故を防止するものである。従って、このシステムで
は、時系列データは、パイプラインの適所に設置したマ
イクロフォン等の音響センサや加速度センサ等のセンサ
を介して収集する音又は振動のデータであり、抽出する
有意な信号は建設機械等によるパイプラインへの打撃音
である。
収集手段であり、このデータ収集手段1は、マイクロフ
ォンや加速度センサ等のセンサ2、増幅器、A/D変換
器等から構成し、採取した音響又は振動のデータをディ
ジタル量に変換する機能を有する構成としている。符号
3は複数の強調・阻止フィルタF1,F2,…から成るフ
ィルタ群であり、これらの強調・阻止フィルタF1,F
2,…は夫々伝達関数を設定可能に構成している。符号
4はデータ処理手段であり、このデータ処理手段4に
は、データ収集手段1により収集したデータを、そのま
まと、各強調・阻止フィルタF1,F2,…を経て入力す
るように構成している。
は、データ切換手段5を介して、強調フィルタ演算手段
6と阻止フィルタ演算手段7に入力され、夫々のデータ
から自己回帰係数を算出し、強調のフィルタと阻止のフ
ィルタの夫々の伝達関数を、商の形で内在した伝達関数
となるように各強調・阻止フィルタF1,F2,…に設定
する。
例を、図3の流れ図につき説明する。まずデータ処理手
段4は、ステップS1において、各強調・阻止フィルタ
F1,F2,…通過後のデータを、例えば電圧レベルによ
り、リアルタイムで監視する。データの電圧レベルが設
定値レベルよりも高くなった場合には、ステップS2か
ら次のステップS3に移行し、そうでない場合にはステ
ップS2からステップS1に戻って監視を継続する。デ
ータの電圧レベルが設定値レベルよりも高くなりステッ
プS2からステップS3に移行した場合には、有意の信
号を含むデータとして、各強調・阻止フィルタF1,F
2,…通過後のデータと、通過前のデータ、即ち原デー
タの取り込みを開始する。これらの有意な信号を含むデ
ータは、適宜の記憶手段に取り込む。このようにデータ
の取り込みを開始した後も、各強調・阻止フィルタF
1,F2,…通過後のデータの監視を継続し、設定値レベ
ルよりも高い間はステップS4とステップS3のループ
によりデータの取り込みを継続する。データが設定値レ
ベルよりも低くなった場合には、ステップS4からステ
ップS5に移行し、ステップS5において環境データ、
即ち、データが設定値レベルよりも低い時点の背景ノイ
ズを取り込む。次いでステップS6においては、ステッ
プS3で取り込んだ有意の信号を含む原データにより自
己回帰係数を算出すると共に、ステップS5において取
り込んだ環境データにより自己回帰係数を算出して、夫
々の自己回帰係数から求めた伝達関数を上述した商の形
で適宜の強調・阻止フィルタF1,F2,…に設定する。
このようにして有意な信号を含むデータと環境ノイズの
データにより強調・阻止フィルタを構成することがで
き、ステップS7においてこの強調・阻止フィルタに原
データを通過させることにより、有意な信号、この例の
場合では、打撃音を強調することができ、従ってこのよ
うにして強調されたデータにより、データ処理手段4に
おいて特徴量の抽出が可能となる。例えばバックホーに
よる打撃音は減衰する特徴を有するのに対してバイブロ
ハンマによる打撃音は減衰しない特徴を有するので、こ
のような減衰、非減衰の特徴量により、打撃音の発生原
因がバックホーであるかバイブロハンマであるかを識別
することができる。このような打撃音の識別は、例えば
データ処理手段に打撃音のデータベースを構成し、これ
らと新たなデータの特徴量とを比較する等により行うこ
とができ、このデータベースのデータ量は、フィルタの
更新毎に増加させることができる。
(正規積分、レベル変化、勾配)を用いた手法等により
把握することができ、この傾向は、包絡線、関数等によ
り近似することができる。また特徴量による発生原因の
識別は、例えばレベル・継続時間による箱形判定の手法
等を利用することができる。
取り込む毎に、これらのデータ中の有意な信号に対応し
た強調・阻止フィルタを構成して、この強調・阻止フィ
ルタによる、有意な信号の強調、そしてその特徴量の抽
出、更には特徴量が同一又は類似の有意な信号の抽出が
可能である。この際、この例では、有意な信号を含むデ
ータの検出を、強調・阻止フィルタF1,F2,…通過後
のデータにより行っているが、原データを用いて行うこ
ともできる。
のフィルタの夫々の伝達関数を商の形で内在させた共通
の強調・阻止フィルタとして構成しているが、強調のフ
ィルタと阻止のフィルタを独立して順次構成することも
できる。
複数構成しており、このことから複数の異なったスペク
トル特性の有意な信号、ノイズに対応するフィルタ群を
構成することができ、従って複数の特性のノイズが含ま
れる時系列データ中から、複数の異なった性質の有意な
信号を抽出することができるのであるが、強調・阻止フ
ィルタ、又は強調、阻止の夫々のフィルタの組は単一の
構成も可能である。
による処理を複数段行ったり、移動平均フィルタ等の他
のフィルタ処理と併用して行うことにより、更に効果的
な有意な信号の抽出を計ることができる。
とおり伝達関数を随時更新可能に構成するのが好ましい
が、場合によっては更新ができない固定式の構成であっ
ても良い。
は、以上の幹線損傷監視システム及び従来技術の説明中
に記載したピグトラッキングの他、例えば次のようなシ
ステムにも利用できるものである。 a.ガスパイプラインにおけるガスの漏洩及びその位置
を、漏洩に伴う音により検出するシステム このシステムでは、通常時のガス流通に伴う音をノイズ
として、そのデータから阻止のフィルタを構成する。ノ
イズとしてのガスの流通音は、ガスの流量により変化す
るため、ガスの流量が変わる度毎に、上述した手順で阻
止のフィルタを算出して更新することにより、常時適切
な阻止のフィルタ又はこの阻止のフィルタを内在した強
調・阻止フィルタを構成することができる。阻止のフィ
ルタを更新するためのガスの流量の変化に対する追随
は、例えば、ガスの流量の変化の実績データに基づき、
時刻に対応して行ったり、ガバナ操作に対応して行うこ
とができる。 b.ガスタ−ビン等の回転機械の異常監視システム このシステムでは、正常時の回転音をノイズとして、そ
のデータから阻止のフィルタを構成する。ノイズとして
の回転音は、回転数により変化するので、回転数に応じ
て阻止のフィルタを算出して更新することにより、常時
適切な阻止のフィルタを構成することができる。このシ
ステムでは、回転音に代えて回転に伴う振動を監視する
ように構成することができる。 c.ガスバ−ナの燃焼異常監視システム このシステムでは、正常時の燃焼音をノイズとして、そ
のデータから阻止のフィルタを構成する。ノイズとして
の燃焼音は、燃焼量により変化するので、燃焼量に応じ
て阻止のフィルタを算出して更新することにより、常時
適切な阻止のフィルタを構成することができる。燃焼量
の変化に対する追随は、例えばバルブ開度に基づいて行
うことができる。
ステムに適用した場合のシミュレーションの例を説明す
る。
る管壁打撃音の実際の収集データに、様々なノイズデー
タを加えてフィルタの効果を検証する。この打撃音は上
述したように減衰する点が特徴であり、設定値レベルを
越えたピークから200点(約0.04秒間)のデータにより
上述したBurg法を用いて自己回帰モデルを求めており、
この自己回帰モデルは、上述した先の出願、特願平7年
第285926号の願書に添付した明細書及び図面に記
載のものと同様である。一方ノイズは1000点(0.2秒
間)のデータからBurg法を用いて自己回帰モデルを求め
ている。図6(a)はバックホーによる管壁打撃音のデー
タを示すもので、図6(b)はその自己回帰係数のスペク
トル特性を示すものである。図7、図8は、夫々、車の
走行音、ガス流通音をノイズデータとしたもので、夫々
の図において、(a)はノイズの自己回帰係数のスペクト
ル特性、(b)は図6(a)の打撃音に夫々のノイズを加えた
データ、(c)は(b)のデータを強調のフィルタのみを通し
て得られたデータ、(d)は(b)のデータを強調・阻止フィ
ルタに通して得られたデータである。これらの結果か
ら、強調のフィルタのみでは、図8(c)で示されるよう
に打撃音が確認できない場合であっても、強調・阻止フ
ィルタを通すことによって打撃音が確認できるようにな
ることがわかる。
発生プログラムを用いて白色雑音データを生成し、その
データにバンドパスフィルタを通して2種のノイズを作
成し、これらを上述した打撃音データに加えてフィルタ
に通すデータを作成した。2種のノイズは図9…50Hz〜
150Hz、図10…50Hz〜1250Hzであり、これらの図にお
いては図7、図8の場合と同様に、(a)はノイズの自己
回帰係数のスペクトル特性、(b)は図6(a)の打撃音に夫
々のノイズを加えたデータ、(c)は(b)のデータを強調の
フィルタのみを通して得られたデータ、(d)は(b)のデー
タを強調・阻止フィルタに通して得られたデータであ
る。これらの結果から次のことがわかる。 a.図9に示されるようにノイズの周波数帯域が狭い場
合には、強調のフィルタのみでは打撃音が確認できない
場合であっても、強調・阻止フィルタを通すことによっ
て打撃音が確認できることがわかる。 b.ところが、図10に示すように、ノイズの周波数帯
域が広がり、自己回帰係数のスペクトル特性に多くの鋭
いピークが立つと、ノイズ阻止の効果が下がることがわ
かる。
ン−2において強調・阻止フィルタに通して得られたデ
ータ、即ち、図10(d)のデータを更に他のフィルタに
より処理した結果を図11に示す。図11において、
(a)は図10(d)のデータと同じ、(b)は(a)のデータを更
に強調のフィルタに通して得られたデータ、(c)は(a)の
データをノイズの自己回帰係数から求めた移動平均フィ
ルタに通して得られたデータ、(d)は(a)のデータを更に
強調・阻止フィルタに通して得られたデータである。こ
れらの結果から次のことがわかる。 a.(b)に示されるように、(a)のデータを強調のフィル
タのみに通しても依然として打撃音が確認できない。従
ってノイズの周波数の帯域が広い場合には、さらに強調
のフィルタで処理しても殆ど効果がない。 b.(c)、(d)に示されるように、(a)のデータを、移動
平均フィルタと強調・阻止フィルタのいずれに通しても
打撃音が確認できるようになり、本発明にかかる強調・
阻止フィルタの処理を複数段で行ったり、強調・阻止フ
ィルタの処理と移動平均フィルタの処理を引き続いて行
うことにより、周波数帯域の広いノイズに対しても打撃
音の抽出が可能となる。 [シミュレーション−4]ボーリングマシンによる管壁
打撃音の実際の収集データに、シミュレーション−1に
おける図7、図8と同様なノイズデータを加えてフィル
タの効果を検証する。この打撃音は上述したように非減
衰の点が特徴であり、1000点(約0.2秒間)のデータに
より上述したBurg法を用いて自己回帰モデルを求めてい
る。またノイズはシミュレーション−1と同様に、1000
点(0.2秒間)のデータからBurg法を用いて自己回帰モ
デルを求めている。図12(a)はボーリングマシンによ
る管壁打撃音のデータを示すもので、図12(b)はその
自己回帰係数のスペクトル特性を示すものである。また
図13、図14は、図7、図8と同様に、夫々の図にお
いて、(a)はノイズの自己回帰係数のスペクトル特性、
(b)は図12(a)の打撃音に夫々のノイズを加えたデー
タ、(c)は(b)のデータを強調のフィルタのみを通して得
られたデータ、(d)は(b)のデータを強調・阻止フィルタ
に通して得られたデータである。これらの結果から、強
調のフィルタのみの処理ではいずれの図の場合も打撃音
が確認できないが、強調・阻止フィルタでは、図14の
場合には打撃音が確認できる。これは図13の場合のノ
イズ(車の走行音)と打撃音の自己回帰モデルの周波数
特性が類似しているためフィルタの効果が表れないもの
と考えられる。そこで図13(d)のデータを、シミュレ
ーション−3と同様に、更に他のフィルタにより処理す
る。即ち、図15において、(a)は図13(d)のデータと
同じ、(b)は(a)のデータを更に強調のフィルタに通して
得られたデータ、(c)は(a)のデータをノイズの自己回帰
係数から求めた移動平均フィルタに通して得られたデー
タ、(d)は(a)のデータを更に強調・阻止フィルタに通し
て得られたデータである。これらの結果から、図15
(b)、(d)に示されるように、更に強調のフィルタや強調
・阻止フィルタの処理を行っても打撃音が確認できない
が、図15(c)に示されるように、ノイズの移動平均フ
ィルタ処理を行うことにより、打撃音が確認できるよう
になることがわかる。これにより、打撃音とノイズの自
己回帰モデルが似ている場合でも、強調・阻止フィルタ
と移動平均フィルタにより対応できることがわかる。
は、上述したとおり音響データの他、振動等の各種時系
列データを含むものである。
のような効果がある。 a.従来のようなフィルタの設計手順が不要になり、時
系列データ中に存在するフィルタを通過させたい所望デ
ータ部分とノイズ部分とから、前者を強調するフィルタ
と、ノイズを阻止するフィルタを構成することができ
る。 b.複数の所望データ部分及びノイズ部分の夫々に対応
するフィルタを構成して、以降の同様なデータ部分の識
別に供することができる。 c.例えば、本発明を、音響又は振動のデータの収集、
処理に適用した場合には、(a).収集した音響又は振動
データに基づきフィルタを構成するので、未知の音又は
振動に対しても、又環境音等としてのノイズの条件が変
化した場合にも、夫々に対応するフィルタを構成して、
以降の同一音の識別に供することができる。(b).複数
の未知の音の夫々に対してフィルタを構成して、夫々に
類似する音の識別に供することができる。というような
効果がある。
る原理を概念的に示した模式図である。
データ収集、処理方法を適用するシステムの一例を示す
模式図である。
を示す流れ図である。
ある。
係を示す説明図である。
し、バックホーによる管壁打撃音のデータ例を示すもの
である。
てのフィルタ処理の結果を示すものである。
ついてのフィルタ処理の結果を示すものである。
ンドパスフィルタを通過させて加えたデータについての
フィルタ処理の結果を示すものである。
他の周波数帯域のバンドパスフィルタを通過させて加え
たデータについてのフィルタ処理の結果を示すものであ
る。
理した結果を示すものである。
し、ボーリングマシンによる管壁打撃音のデータ例を示
すものである。
ついてのフィルタ処理の結果を示すものである。
タについてのフィルタ処理の結果を示すものである。
理した結果を示すものである。
Claims (19)
- 【請求項1】 収集した時系列データ中の、有意な信号
を含む部分と、ノイズの部分の夫々から自己回帰係数を
算出し、前者の自己回帰係数から求めた伝達関数を設定
して強調のフィルタを構成すると共に、後者の自己回帰
係数から求めた伝達関数を設定して阻止のフィルタを構
成し、時系列データをこれらのフィルタに通して処理す
ることを特徴とする自己回帰モデルを利用した時系列デ
ータの収集、処理方法 - 【請求項2】 強調のフィルタと阻止のフィルタを経た
時系列データを、更に他の強調のフィルタと阻止のフィ
ルタを通して処理することを特徴とする請求項1記載の
自己回帰モデルを利用した時系列データの収集、処理方
法 - 【請求項3】 強調のフィルタと阻止のフィルタを経た
時系列データを、更に他の強調のフィルタ又は阻止のフ
ィルタを通して処理することを特徴とする請求項1又は
2記載の自己回帰モデルを利用した時系列データの収
集、処理方法 - 【請求項4】 強調のフィルタと阻止のフィルタを経た
時系列データを、低域通過フィルタを通して処理するこ
とを特徴とする請求項1、2又は3記載の自己回帰モデ
ルを利用した時系列データの収集、処理方法 - 【請求項5】 低域通過フィルタは移動平均フィルタで
ある請求項4記載の自己回帰モデルを利用した時系列デ
ータの収集、処理方法 - 【請求項6】 強調のフィルタと、阻止のフィルタは独
立して順次構成することを特徴とする請求項1〜5まで
のいずれか1項に記載の自己回帰モデルを利用した時系
列データの収集、処理方法 - 【請求項7】 強調のフィルタと、阻止のフィルタは共
通のフィルタにより構成し、強調のフィルタの伝達関数
を阻止のフィルタの伝達関数で除した商を伝達関数とし
て設定して共通のフィルタを構成することを特徴とする
請求項1〜5までのいずれか1項に記載の自己回帰モデ
ルを利用した時系列データの収集、処理方法 - 【請求項8】 時系列データの収集手段と、収集した時
系列データを通し、伝達関数が設定可能なフィルタと、
フィルタを通した時系列データを処理する処理手段と、
収集した時系列データ中の有意な信号を含む部分から自
己回帰係数を算出し、この自己回帰係数から求めた伝達
関数を前記フィルタに設定する強調のフィルタ設定手段
と、収集した時系列データ中のノイズの部分から自己回
帰係数を算出し、この自己回帰係数から求めた伝達関数
をフィルタに設定する阻止のフィルタ設定手段とから構
成したことを特徴とする自己回帰モデルを利用した時系
列データからの有意な信号の抽出システム - 【請求項9】 強調のフィルタ設定手段により伝達関数
を設定する強調のフィルタと、阻止のフィルタ設定手段
により伝達関数を設定する阻止のフィルタを独立して順
次構成することを特徴とする請求項8記載の自己回帰モ
デルを利用した時系列データからの有意な信号の抽出シ
ステム - 【請求項10】 強調のフィルタ設定手段により伝達関
数を設定する強調のフィルタと、阻止のフィルタ設定手
段により伝達関数を設定する阻止のフィルタは、共通の
フィルタとして構成し、強調のフィルタ設定手段の伝達
関数を阻止のフィルタ設定手段の伝達関数で除した商を
伝達関数として共通フィルタに設定することを特徴とす
る請求項8記載の自己回帰モデルを利用した時系列デー
タからの有意な信号の抽出システム - 【請求項11】 強調のフィルタと阻止のフィルタは、
複数組構成することを特徴とする請求項8、9又は10
記載の自己回帰モデルを利用した時系列データからの有
意な信号の抽出システム - 【請求項12】 強調のフィルタと阻止のフィルタの入
力側や出力側に他のフィルタを構成したことを特徴とす
る請求項8〜11までのいずれか1項に記載の自己回帰
モデルを利用した時系列データからの有意な信号の抽出
システム - 【請求項13】 時系列データはパイプラインを伝播す
る音または振動のデータであり、抽出する有意な信号を
建設機械等によるパイプラインへの打撃音として、パイ
プラインの損傷監視システムを構成することを特徴とす
る請求項8〜12までのいずれか1項に記載の自己回帰
モデルを利用した時系列データからの有意な信号の抽出
システム - 【請求項14】 時系列データはパイプラインを伝播す
る音または振動のデータであり、抽出する有意な信号を
パイプラインからのガスの漏洩に伴う音として、パイプ
ラインの漏洩監視システムを構成することを特徴とする
請求項8〜12までのいずれか1項に記載の自己回帰モ
デルを利用した時系列データからの有意な信号の抽出シ
ステム - 【請求項15】 パイプラインを流れるガスの流量が変
化する毎に、阻止のフィルタを更新することを特徴とす
る請求項13または14記載の自己回帰モデルを利用し
た時系列データからの有意な信号の抽出システム - 【請求項16】 時系列データは回転機械の回転に伴う
音または振動のデータであり、抽出する有意な信号を回
転機械の異常回転に伴う音または振動として、回転機械
の異常監視システムを構成することを特徴とする請求項
8〜12までのいずれか1項に記載の自己回帰モデルを
利用した時系列データからの有意な信号の抽出システム - 【請求項17】 回転機械の回転数が変化する毎に、阻
止のフィルタを更新することを特徴とする請求項16記
載の自己回帰モデルを利用した時系列データからの有意
な信号の抽出システム - 【請求項18】 時系列データは燃焼装置の燃焼に伴う
音または振動のデータであり、抽出する有意な信号を異
常燃焼に伴う音または振動として、燃焼装置の異常燃焼
監視システムを構成することを特徴とする請求項8〜1
2までのいずれか1項に記載の自己回帰モデルを利用し
た時系列データからの有意な信号の抽出システム - 【請求項19】 燃焼装置の燃焼量が変化する毎に、阻
止のフィルタを更新することを特徴とする請求項18記
載の自己回帰モデルを利用した時系列データからの有意
な信号の抽出システム
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18384596A JP3675965B2 (ja) | 1996-07-12 | 1996-07-12 | 自己回帰モデルを利用した音響または振動データの収集、処理方法及び自己回帰モデルを利用した音響または振動データからの有意な信号の抽出システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18384596A JP3675965B2 (ja) | 1996-07-12 | 1996-07-12 | 自己回帰モデルを利用した音響または振動データの収集、処理方法及び自己回帰モデルを利用した音響または振動データからの有意な信号の抽出システム |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1030938A true JPH1030938A (ja) | 1998-02-03 |
JP3675965B2 JP3675965B2 (ja) | 2005-07-27 |
Family
ID=16142850
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18384596A Expired - Fee Related JP3675965B2 (ja) | 1996-07-12 | 1996-07-12 | 自己回帰モデルを利用した音響または振動データの収集、処理方法及び自己回帰モデルを利用した音響または振動データからの有意な信号の抽出システム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3675965B2 (ja) |
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
1996
- 1996-07-12 JP JP18384596A patent/JP3675965B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
JP3675965B2 (ja) | 2005-07-27 |
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