JPH0313092Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、車両の後輪を操舵操作に連動して操
舵し得る前後輪操舵車の後輪操舵装置に関する。

〔従来技術〕

従来の後輪操舵装置の一形式として、実開昭56
−154269号および同57−114768号にて提案されて
いるように、前輪側ステアリングリンク機構に連
結されて後方へ延び前輪の操舵操作に応じて前後
動する第１リンクと、後輪側ステアリングリンク
機構に連結されて前方へ延びその前後動により後
輪を操舵する第２リンクと、これら両リンクを互
に連結し前後方向へ揺動可能な揺動レバーを備え
た形式のものがある。かかる形式の後輪操舵装置
は、揺動レバーのレバー比を車速に応じて変化さ
せるもので、揺動レバーの揺動中心が車速に応じ
て移動可能な可動支点に構成されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところで、かかる形式の後輪操舵装置において
は、揺動レバーが可動支点を中心に前後方向に揺
動することは勿論であるが、その両揺動端部が上
下方向にも揺動するとともに揺動レバーに対する
各リンクの連結部が揺動レバーの揺動時円弧運動
を行うため、後輪の操舵を適確に行うことが難し
い。また、これらの現象に対処するには、かかる
レバー比変換機構が複雑になるという問題があ
る。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案はかかる問題に対処すべくなされたもの
で、その要旨は、前輪側ステアリングリンク機構
にその前端部を連結されて後方へ延び前輪の操舵
操作に応じて回転する回転シヤフトと、この回転
シヤフトを後輪側ステアリングリンク機構の作動
ロツドに連結し前記回転シヤフトの回転に応じて
前記作動ロツドを左右方向へ変位させて後輪を操
舵する連結機構を備え、この連結機構を、前記回
転シヤフトの後端部に前後方向へ移動可能に螺着
したナツト部材と、水平方向に延びる長孔を備え
前記ナツト部材の上面側または下面側に水平方向
へ回転可能に組付けたガイド部材と、前記作動ロ
ツドの中間部に突設され前記ガイド部材の長孔内
に摺動可能に臨む突起部と、前記ガイド部材を回
転して前記長孔の前記回転シヤフトに対する左右
方向の傾斜角を調整する駆動手段とにより構成し
てなる前後輪操舵車の後輪操舵装置にある。

〔考案の作用〕

これにより、本考案においては、前輪の操舵時
にこの操舵に応じて回転シヤフトを回転させ、ナ
ツト部材およびガイド部材を前後方向へ移動させ
ることができる。これらの移動時、ガイド部材の
長孔が回転シヤフトに平行な場合には、同長孔は
作動ロツドの突起部には係合することはなく、作
動ロツドが左右動されることはない。このため、
後輪は操舵されない。また、長孔が回転シヤフト
に対して傾斜している場合には、同長孔は作動ロ
ツドの突起部に係合してこれを左右動する。この
ため、後輪が操舵されるが、後輪の操舵角は作動
ロツドの左右方向への移動量、換言すれば長孔の
傾斜角に比例し、かつ後輪の操舵方向は長孔の傾
斜方向により定まる。従つて、長孔の傾斜角およ
び傾斜方向を駆動手段により車速等車両の走行状
態に応じて制御すれば、前後輪舵角比を車両の走
行状態に応じて適宜変化させることができるとと
もに、後輪の前輪に対する操舵方向を同相、逆相
のいずれにも選択することができる。

〔考案の効果〕

従つて、本考案によれば、従来のごとく揺動レ
バーを用いることなく前後輪舵角比が可変の後輪
操舵装置を構成することができ、これにより揺動
レバーに起因する問題を解消し得て後輪の操舵を
適確に行うことができる。

また、本考案においては、連結機構をナツト部
材、これに直接組付けたガイド部材、これに設け
た長孔に臨む作動ロツドの突起部およびガイド部
材の駆動手段により構成しているにすぎないた
め、連結機構の構成が簡単かつ小型化するととも
に、各構成部材間の摺動部分が少いためガタが少
く、後輪を一層適確に操舵し得る。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
するに、第１図には本考案に係る後輪操舵装置を
備えた車両が概略的に示されている。

当該車両において、前輪側ステアリングリンク
機構１０を構成するラツクバー１１はステアリン
グホイールWSの操作により左右方向へ変位する
もので、各前輪WFに舵角を与えるナツクルアー
ム１２にタイロツド１３を介して連結されてい
る。また、後輪側ステアリングリンク機構２０を
構成する作動ロツド２１は後述する連結機構３０
ｂにて左右方向へ変位するもので、各後輪WRに
舵角を与えるナツクルアーム２２にタイロツド２
３を介して連結されている。ラツクバー１１と作
動ロツド２１とは、回転シヤフト３０ａと連結機
構３０ｂとによつて連結されている。

回転シヤフト３０ａはメインシヤフト３１、中
間シヤフト３２およびピニオンシヤフト３３の３
本のシヤフトに分割されており、メインシヤフト
３１は中間シヤフト３２およびピニオンシヤフト
３３を介してラツクバー１１に連結されている。
このメインシヤフト３１は車体に回転可能に支持
されて、車体の前部から後方へ所定長さ延びてい
る。

しかして、連結機構３０ｂは第２図〜第４図に
示すようにナツト部材３４、ガイド部材３５、作
動ロツド２１に設けた突起部３６および駆動手段
３７を構成部材としている。

ナツト部材３４はメインシヤフト３１の後端部
に設けたネジ部３１ａに多数のボールを介して螺
着し、メインシヤフト３１の軸方向すなわち前後
方向へ移動可能になつている。このナツト部材３
４の上面側には、ガイド部材３５の脚部３５ａが
回転可能に組付けられている。

ガイド部材３５は円板状を呈し、その略中央部
には前後方向に延びる長孔３５ｂを備えるととも
にその外周に歯部３５ｃを備え、この長孔３５ｂ
内には作動ロツド２１の中間部に突設した突起部
３６が臨んでいる。また、ガイド部材３５の歯部
３５ｃには駆動手段３７を構成するウオームギヤ
３７ａが噛合しており、電動モータ３７ｂの駆動
により長孔３５ｂのメインシヤフト３１に対する
左右方向の傾斜角が調整される。なお、第２図に
おける符号３８ａ，３８ｂ，３８ｃは駆動回路、
これを制御するコントローラおよび車速センサー
を示しており、電動モータ３７ｂは車速センサー
３８ｃからの車速信号に基づき車速に応じてその
駆動を適宜制御される。

このように構成した車両においては、ステアリ
ングホイールWSを操作すると、ラツクバー１１
が左右方向へ変位して前輪WFを操舵する。この
操舵時、回転シヤフト３０ａが回転してナツト部
材３４がメインシヤフト３１上を前後方向へ移動
する。

しかして、ガイド部材３５の長孔３５ｂが第４
図ａに示すようにメインシヤフト３１の軸線Ｌと
同一方向にある場合には、ナツト部材３４および
ガイド部材３５は同図ｂで示すように軸線Ｌに沿
つて例えば前方へ移動する。この際、長孔３５ｂ
は突起部３６に係合することはないため作動ロツ
ド２１は左右動せず、後輪WRは操舵されること
なく中立状態に保持される。

一方、ガイド部材３５が回転して長孔３５ｂが
第４図ｃまたはｄに示すように軸線Ｌに対して傾
斜している場合には、長孔３５ｂは突起部３６と
係合して作動ロツド２１を右方または左方へ移動
させる。この結果、後輪WRは左方または右方へ
操舵される。

かかる連結機構３０ｂにおいて、作動ロツド２
１の左右方向への移動方向は長孔３５ｂの傾斜方
向に関連し、かつその移動量は長孔３５ｂの傾斜
角に比例する。従つて、モータ３７ｂによりガイ
ド部材３５を回転してその長孔３５ｂの傾斜方向
および傾斜角を車速に応じて適宜制御すれば、後
輪WRを前輪WFに対して同相、逆相のいずれの
方向にも操舵することができるとともに、前後輪
舵角比を車速に応じて適宜変更することができ
る。

従つて、本実施例によれば、従来のごとく揺動
レバーを用いることなく前後輪舵角比が可変の後
輪操舵装置を構成することができ、これにより揺
動レバーを採用することに起因する問題を解消し
得て、後輪WRの操舵を適確に行うことができ
る。

また、本実施例においては、連結機構３０ｂを
ナツト部材３４、ガイド部材３５、突起部３６お
よび駆動手段３７にて構成しているにすぎないた
め、連結機構３０ｂの構成が簡単かつ小型化する
とともに、連結機構３０ｂの摺動部分はガイド部
材３５の長孔３５ｂと突起部３６間にすぎないた
めガタが少く、後輪WRを一層適確に操舵し得
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る後輪操舵装置を備えた車
両の一例を概略的に示す平面図、第２図は同操舵
装置における連結機構の拡大斜視図、第３図は同
機構の拡大部分破断側面図、第４図ａ，ｂ，ｃ，
ｄは同機構の作動説明図である。 符号の説明、１０，２０……ステアリングリン
ク機構、１１……ラツクバー、２１……作動ロツ
ド、３０ａ……回転シヤフト、３０ｂ……連結機
構、３４……ナツト部材、３５……ガイド部材、
３５ｂ……長孔、３６……突起部、３７……駆動
手段。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 前輪側ステアリングリンク機構にその前端部を
   連結されて後方へ延び前輪の操舵操作に応じて回
   転する回転シヤフトと、この回転シヤフトを後輪
   側ステアリングリンク機構の作動ロツドに連結し
   前記回転シヤフトの回転に応じて前記作動ロツド
   を左右方向へ変位させて後輪を操舵する連結機構
   を備え、この連結機構を、前記回転シヤフトの後
   端部に前後方向へ移動可能に螺着したナツト部材
   と、水平方向に延びる長孔を備え前記ナツト部材
   の上面側または下面側に水平方向へ回転可能に組
   付けたガイド部材と、前記作動ロツドの中間部に
   突設され前記ガイド部材の長孔内に摺動可能に臨
   む突起部と、前記ガイド部材を回転して前記長孔
   の前記回転シヤフトに対する左右方向の傾斜角を
   調整する駆動手段とにより構成してなる前後輪操
   舵車の後輪操舵装置。