JPH0246480B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、主に流体荷役装置の緊急切離し部に
設けられ、遮断弁を閉じて輸送管を切り離す直前
に、その部分に残された輸送液を輸送管の他の部
分に戻して外部への流出を防止する残液処理装置
に関する。

〔従来の技術〕

例えば、シーバースに接岸した石油タンカーか
ら石油を陸上の貯蔵タンクに荷揚げしたり、ある
いは貯蔵タンクから石油タンカーに荷積みする際
に使用される流体荷役装置においては、強風や波
浪等の影響で石油タンカーの動きが大きくなつた
ような場合、そのままであると輸送管が破壊して
大きな損害を出すことから、輸送管に緊急切離し
装置と遮断装置とを設け、遮断装置により輸送管
を閉じた後、緊急切離し装置を作動させて輸送管
を切り離し、石油等の輸送液の流出と輸送管の破
壊を防止している。

〔発明が解決しようとする問題点〕

ところが、遮断装置の作動によつて輸送管の接
続部分に閉じ込められた輸送液が、輸送管が切り
離されると同時に外に流出して船の諸設備を汚
し、また海に流れて海水を汚染するなどの不都合
があつた。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は、遮断弁を備え緊急切離し装置により
切離し自在に接続される２本の輸送管の少なくと
も一方に、逆止弁を備えた気体の圧入パイプを、
上記２本の輸送管と双方の遮断弁によつて囲まれ
る接続空間に開口して設け、かつ、上記各遮断弁
に、上記接続空間と輸送管の他の部分とを連通す
る送液通路をそれぞれ設けるとともに、それらの
送液通路に、上記接続空間内の輸送液を輸送管の
他の部分に逃がすことを許容するとともに輸送管
の他の部分から接続空間への輸送液の流入を阻止
するための逆止弁をそれぞれ設けることによつ
て、上記従来の問題点を解消したものである。

〔作用〕

船舶の揺れが大きくなつて輸送管を切り離す必
要が生じた場合、まず２本の輸送管の各遮断弁を
作動させて輸送管を閉じる。次いで２本の輸送管
と遮断弁によつて囲まれた接続空間に圧入パイプ
から窒素ガス等の気体を圧入する。上記の操作に
より上記接続空間内の輸送液は各遮断弁に設けら
れた送液通路を通つて輸送管の他の部分に送り込
まれる。この場合、圧入パイプの逆止弁は気体の
戻りを阻止し、また送液通路の逆止弁は輸送液の
接続空間への戻りを防止する。このようにして接
続空間の輸送液を排出し終わつたら緊急切離し装
置を作動させて２本の輸送管を切り離なす。

〔実施例〕

第１図は本発明の一実施例を示すもので、符号
１と２は共に輸送管であり、輸送管１はローデイ
ングアーム（図示せず）を介して地上の貯蔵タン
クに、また他の輸送管２は船のタンクに、それぞ
れ周知のように連絡されている。輸送管１の端部
を構成する接続管１ａには、枢軸３ａによる弁体
３ｂの回動で輸送管１を開閉する遮断弁（バタフ
ライ弁）３が設けられ、また他の輸送管２の端部
を構成する接続管２ａにも、上記同様に、枢軸４
ａによる弁体４ｂの回動で輸送管２を開閉する遮
断弁（バタフライ弁）４が設けられている。上記
接続管１ａ，２ａの端部には、接続フランジ１
ｂ，２ｂが設けられており、周知の緊急切離し装
置５によつて切離し自在に接続される構成となつ
ている。

また、上記接続管１ａには、逆止弁６を備えた
気体の圧入パイプ７が取り付けられ、その内端部
は接続管１ａ，２ａと弁体３ｂ，４ｂにより囲ま
れた接続空間Ｋに開口している。上記弁体３ｂ，
４ｂには、接続空間Ｋを輸送管１，２の他の部分
に連通する送液通路８，９が穿設され、かつ送液
通路８，９の部分に、接続空間Ｋの側から輸送管
１，２の他の部分側への流体の流通を許容し、そ
の逆の流体の流通を止める逆止弁１０，１１が設
けられている。なお、１ｃと２ｃは弁座、１４は
バルブである。

次ぎに上記のように構成された本発明に係る流
体荷役装置等の緊急切離し部における残液処理装
置の作用を説明する。

石油等の輸送中において、輸送管１，２を緊急
に切り離す必要が出た場合、２個の遮断弁３，４
を作動させて輸送管１，２を第１図のように閉じ
る。輸送管１，２を閉じ終わつたら、バルブ１４
を明け、接続管１ａ，２ａと弁体３ｂ，４ｂとに
よつて囲まれた接続空間Ｋ内に窒素ガスや空気等
の気体を圧入パイプ７から圧入する。これによつ
て接続空間Ｋ内にそれまで残留していた輸送液
は、送液通路８，９を通つて輸送管１，２の他の
部分に押し入れられ、逆止弁１０，１１により接
続空間Ｋへ戻りを阻止される。なお、図では輸送
管１，２が横に描かれているが、実際には輸送管
の接続管１ａ，２ａ部分を縦にして、接続空間Ｋ
内の輸送液の大半が下側の送液通路８，９から排
出されるように構成する。

輸送液の排出が終了したら緊急切離し装置５を
作動させて２個の接続管１ａ，２ａを切り離す。

なお、上記の作動は、通常、リミツトスイツチ
やタイマ等の連係手段により自動的に行なわれる
ように構成される。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明の流体荷役装置等
の緊急切離し部における残液処理装置は、２本の
輸送管の少なくとも一方に気体の圧入パイプが上
記輸送管の接続空間に開口して設けられるととも
に、各輸送管に備えられた双方の遮断弁にそれぞ
れ逆止弁を備えた送液通路が設けられており、圧
入パイプから圧力気体を送り込んで接続空間内の
残留輸送液を排出できる構成とされているので、
接続空間に閉じ込められている輸送液が輸送管の
緊急切離し時に流出して船の諸設備を汚したり、
海に流れて海水を汚染するようなことがない。ま
た、残留輸送液は上記のように外に流出しないだ
けでなく、輸送管に戻される構成となつているた
め無駄が無いとともに、残留輸送液を受けるため
に専用のタンク等を設ける必要がなく、それだけ
実施が容易でしかもコスト安につく長所がある。

さらに、双方の遮断弁に送液通路を設けるとと
もに、それら送液通路にそれぞれ逆止弁を設けた
ので、輸送液はそれら双方の送液通路を通つて各
輸送管内に排出されることになり、したがつて接
続空間からの輸送液の排出が速やかに行なわれ、
その結果、緊急切離しまでに要する時間が極めて
短くて済むという利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の第１実施例を示す断面図であ
る。 １，２……輸送管、３，４……遮断弁、５……
緊急切離し装置、６，１０，１１……逆止弁、７
……圧入パイプ、８，９……送液通路、Ｋ……接
続空間。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 遮断弁を備え緊急切離し装置により切離し自
   在に接続される２本の輸送管の少なくとも一方
   に、逆止弁を備えた気体の圧入パイプが、上記２
   本の輸送管と双方の遮断弁によつて囲まれる接続
   空間に開口して設けられ、かつ、上記各遮断弁に
   は、上記接続空間と輸送管の他の部分とを連通す
   る送液通路がそれぞれ設けられ、それらの送液通
   路には、上記接続空間内の輸送液を輸送管の他の
   部分に逃がすことを許容するとともに輸送管の他
   の部分から接続空間への輸送液の流入を阻止する
   ための逆止弁がそれぞれ設けられていることを特
   徴とする流体荷役装置等の緊急切離し部における
   残液処理装置。