JPH0221180Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、閉断面箱型柱（ワーク）の溶接装置
の改良に関する。

〔従来技術と問題点〕

一般に、第１図に示すような閉断面箱型柱（ワ
ーク）の最終的隅部溶接は、該ワークを門型溶接
装置に挿通させた状態で行うが、アーク自体が第
２図の仮想線で示すように、熱応力による歪が生
じ、トーチに対する溶接姿勢が変化する。即ち、
この溶接姿勢の変化により、溶融池における溶融
金属が未溶接側にも流動する部位が必ず生ずる。
このように溶融金属が未溶接側に流動すること
は、被溶接部の溶け込みがこの溶融金属により邪
魔され溶け込み不良が生ずるとともに、溶接完了
側の固化が早く、内部気泡の放出が完全に行われ
ないという問題点がある。

このため従来技術では、先行、後行側のトーチ
電流容量を高め、溶け込み量を確保させるととも
に、気泡の放出が充分に行えるようにしている
が、このようにトーチ電流容量を調整すること
は、作業者の勘、即ち、熟練と経験に頼らざるを
得ないという問題点が残されていた。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、このような実情に鑑みなされたもの
で、簡単な而も合理的構成、詳しくは、ワークの
両端を支持する支持台車のワーク受部を昇降可能
としたことにより、従来技術の問題点を解消せし
め、溶融池における溶融金属を溶接完了側に流動
させるようにワークを適宜傾斜させ、溶け込みの
均一性、空気の放出が充分に行われる良溶接が容
易になしうる溶接装置を提供せんとするもので、
従来技術の問題点を解決する本考案の構成は、両
端を支持台車上に支持させる閉断面箱型柱（ワー
ク）を門型溶接装置に挿通させ、ワークの隅部を
溶接するようにした装置において、上記両支持台
車のワーク受部を昇降可能となしたことを特徴と
するものである。

〔実施例〕

図面について実施例の詳細を説明する。

第１図はワークの斜視図で、門型溶接装置によ
る隅部溶接線を示しており、第２図は本考案装置
の正面図、第３図はワークの溶接始動時の姿勢を
示す正面図、第４図は溶融池の溶け込み状態を示
す説明図、第５図は溶け込み状態の説明図であ
る。

第２〜５図について本考案の実施例を詳述する
と、１は溶接トーチ８，９を備えた門型溶接装置
で、該門型溶接装置１は基礎２上に固定されてい
る。３はワーク４の両端を載置支持する支持台車
で、この両支持台車３は、上記門型溶接装置１を
構成する門構１ａを通り抜けるように基礎２上に
敷設されたレール５上を自走する構造で、各支持
台車３には、ワーク受部６を有するシリンダ７が
夫々設けてあり、ワーク４の端部が適宜昇降され
るようにしてある。

〔作用の説明〕

次に、溶接作業について説明すると、ワーク隅
部の溶接始動時には、第３図に示すように、溶接
始端部と反対側の支持台車３のシリンダ７を働か
せて、ワーク４を図のように溶接始端側が下向き
傾斜するような姿勢にしておき、先行、後行トー
チ８，９によりアーク溶接を行いながらワーク４
を矢印方向に順次移動せる。トーチ８，９による
被溶接機の溶け込みは、第４，５図に示されるよ
うに、溶融池における溶融金属は傾斜にそつて溶
接完了側に流れ、溶融金属の固化に十分の時間
（例えば10秒程度）がかかり、このように固化が
遅れることは溶融金属内の気泡の放出が十分に行
われるとともに、トーチによる溶け込みが十分で
あるため溶け込みが十分に、かつ、均一に行わ
れ、良溶接が可能となる。

溶接の進行に伴い、ワーク４自体は第２図仮想
線で示すように熱応力による歪が生じ、ワークの
溶接姿勢が順次変化することから、溶接条件が一
定となるようにシリンダ７を操作し、適性な溶接
姿勢、詳しくは、溶接完了側に溶融金属が流動す
るように溶接姿勢を保たせる。

尚ワーク４を傾斜させ、上述のような良好な溶
接を行わせるためには、該ワークが実施例で示し
たように移動するようにするか、あるいは、ワー
クを定着させておき、門型溶接装置を移動させる
かは任意であり、実施例のものに特定されること
はない。

また本考案の他の特長として、ワークが支持台
車３により移動するようにしたことにある。従来
この種溶接装置においては、ワークを支持台車に
支持した状態で、門型溶接装置をワークにそつて
移動させながら溶接するものであつた。このよう
なワークを固定しておく溶接手段は、クレーン作
業によりワークを所定個所に搬入、搬出する作業
が要求され、作業性に支障を来すことがあり、ま
た、ワークの製造を一貫ラインの製造設備とした
場合、最終段階において製造の流れが中断され、
連続生産ができなくなる問題点を抱えている。ま
たトーチに対する給電設備にロスが多く、更に、
溶接機の振れが多く、これらを解消するために、
多くの防止対策が必要となるなどの問題点がある
が、本考案のように、ワークを移動することによ
りこれらの問題点は解消される。

〔考案の効果〕

このように本考案によれば、ワークの溶接姿勢
を変化、詳しくは、溶接完了側に溶融金属が流れ
るように溶接姿勢を変化させ、十分な溶け込み
と、溶融金属の固化時間を十分にして気泡の放出
が完全に行われる良好な溶接がなし得られ、従来
技術のように、作業者の勘によつて溶接条件を変
えるという熟練を必要とせず、信頼性の高いワー
ク溶接が連続的になしうるなど実用上の効果ば大
きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は閉断面箱型柱（ワーク）の一部斜視
図、第２図は本考案装置の正面図、第３図はワー
クの溶接開始状態の姿勢を示す正面図、第４，５
図は溶融池における溶け込みを示す説明図であ
る。 １……門型溶接装置、１ａ……門構、２……基
礎、３……支持台車、４……ワーク、５……レー
ル、６……ワーク受部、７……シリンダ、８，９
……トーチ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 両端を支持台車上に支持させた閉断面箱型柱
   （ワーク）を門型溶接装置に挿通させ、ワークの
   隅部を溶接するようにした装置において、 上記両支持台車のワーク受部を昇降可能となし
   たことを特徴とする閉断面箱型柱の溶接装置。