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JPH0998698A - ポリオレフィンの糸 - Google Patents

ポリオレフィンの糸

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Publication number
JPH0998698A
JPH0998698A JP8109428A JP10942896A JPH0998698A JP H0998698 A JPH0998698 A JP H0998698A JP 8109428 A JP8109428 A JP 8109428A JP 10942896 A JP10942896 A JP 10942896A JP H0998698 A JPH0998698 A JP H0998698A
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yarn
temperature
filaments
gel
exposing
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Application number
JP8109428A
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JP3669527B2 (ja
Inventor
Roger B Cook
ロジャー・ビー・クック
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BAAKUREI and CO Inc
Berkley and Co Inc
Original Assignee
BAAKUREI and CO Inc
Berkley and Co Inc
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Publication date
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Application filed by BAAKUREI and CO Inc, Berkley and Co Inc filed Critical BAAKUREI and CO Inc
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  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)
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  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)
  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 末端の擦り切れが少なく、常用のモノフィラ
メントと同様の切断特性を示す、ゲル紡糸ポリオレフィ
ンフィラメントの融着糸から成る、水中での可視性が小
さい釣り糸を提供する。 【解決手段】 ゲル紡糸されたポリオレフィンのフィラ
メントからできている、編組された又は加撚された不透
明な糸を、そのポリオレフィンの融点範囲内のある温度
に、隣接するフィラメントの接触表面を少なくとも一部
融着させるのに十分な時間暴露することにより、末端の
擦り切れが少なく、かつ切断特性に優れた、水中での可
視性が小さい釣り糸が製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は高強力、超高分子量
のフィラメント、繊維又はヤーンからできているブレー
ド、又は加撚及び諸撚されたヤーンの延伸に関する。
【0002】
【従来の技術】紡糸されたポリオレフィンに基づく超高
分子量、高強力のフィラメントは多数の特許、公開され
た特許出願及び技術文献に記載されている。代表的な文
献に、カベッシュ(Kavesh)等の米国特許第4,41
3,110号、スミス(Smith)等の米国特許第4,3
44,908号、スミス等の米国特許第4,422,9
93号、カベッシュ等の米国特許第4,356,138
号、モーラー(Maurer)の欧州特許(EP)第55,0
01号、ハーペル(Harpell)等の米国特許第4,45
5,273号、カベッシュ等の米国特許第4,897,
902号、ニール(Neal)の米国特許第5,277,8
58号及びカークランド(Kirkland)等のWO94/0
0627号明細書がある。
【0003】これらのフィラメントは、一般に、分子量
が少なくとも400,000、強力、即ちテナシティー
(tenacity)が少なくとも15グラム/デニール(g/
d)、引張モジュラスが少なくとも500g/d(ナイ
ロンモノフィラメントでは約20〜50g/d)、融点
が少なくとも140℃である線状のポリエチレン鎖又は
ポリプロピレン鎖からできており、高耐摩耗性、低伸長
性、高靭性、良好な寸法及び加水分解安定性並びに長期
荷重下での高耐クリープ性を有している。そのヤーンは
不透明で、外観が白色である。このようなヤーンは米
国、ニュー・ジャージー州(New Jersey)、モリス(M
orris)のアライド−シグナル社(Allied-Signal
Inc.)からスペクトラ(SPECTRA)繊維として、またオ
ランダ(Netherlands)のDSM,NV(DSM, NV)から
ダイニーマ(DYNEEMA)なる商品名で市販されている。
これら市販ヤーン中のフィラメントは400,000よ
り相当に大きい分子量を有している。
【0004】スペクトラ及びダイニーマの両フィラメン
トは、基本的には、同じようにして製造される。即ち、
適当な溶媒で膨潤されたポリエチレンゲルを含有する溶
液を紡糸して高分子量ポリエチレンのフィラメントとな
すのである。その溶媒を除去し、得られたヤーンを1段
又は多段で伸長(stretch)、即ち延伸(draw)する。
このようなフィラメントは、この技術分野において、一
般に、“ゲル紡糸されたポリオレフィン”として知られ
るもので、ゲル紡糸されたポリエチレンが最も商業的に
売られている。
【0005】高分子量のゲル紡糸ポリオレフィンフィラ
メントの、十分な直径でのモノフィラメント釣り糸は市
販されていない。その最も可能性のある理由は、そのフ
ィラメントの製造プロセスには、フィラメントの形成に
続いてフィラメントから除去しなければならない溶媒が
大量に使用されていることにある。フィラメントが太く
なると、溶媒除去プロセスの効率と完全性が妨げられ、
仕上げフィラメントの強さに悪影響が出て来る。更に、
そのような釣り糸が持つであろう柔軟性(limpness)の
程度並びにそのような釣り糸の実際の釣り条件での取り
扱い特性に対して懸念もある。
【0006】釣り糸は通常の淡水及び塩水における釣り
条件下で、有効かつ妥当な柔軟性を持っていなければな
らない。例えば、ナイロンモノフィラメントの曲げモジ
ュラスは約15〜50g/dの範囲内である。ゲル紡糸
ポリオレフィンの高分子量特性は、しかし、釣り糸を、
そのような釣り糸が製造できるとして、釣り糸に一般に
求められる直径では、許容できないほど剛くしてしま
う。このような材料からのモノフィラメントは通常のリ
ールには簡単には巻けず、またこれを結んで釣り糸にル
ア(lure:疑似餌)を固定するために使用するもののよ
うな結節(knot)を、釣り糸を弱め、結節の質を落とす
危険なしに、作ることは困難であろう。
【0007】従って、淡水及び塩水での、通常の釣り用
具及びルアを用いて釣りを行うのに使用するモノフィラ
メントのような、十分に柔軟なゲル紡糸ポリオレフィン
製釣り糸があれば、それは望ましいことであろう。
【0008】ゲル紡糸ポリエチレンヤーンのブレード
(braid)からできている釣り糸が、通常の編組(braid
ed)釣り糸材料(一般にポリエステル)及びナイロンの
モノフィラメント糸(monofilament line)と競合する
ようになって来ている。このような編組ポリエステル糸
で、その大きい強さは際立った利点である。このような
ブレードには、しかし、ある種の不利な特性がある。
【0009】モノフィラメント糸は、一般に、ベート・
キャスティング(bait casting:疑似餌や生き餌などを
釣り糸に付けて投げて釣る方法)、スピニング法(spin
ning:投げ釣りの1種)及びスピン・キャスティング法
(spin casting:投げ釣りの1種)にとってより好まし
いものである。モノフィラメントは丸い、堅固な構造を
有し、それが取り扱いを一層便利にしている。モノフィ
ラメント糸のこのより剛い性質とより滑らかな表面は、
釣り糸の投げ入れ時の抵抗が小さくなることと結び付い
ており、これによってリールからの解除が良好になると
共に、一層遠くへの投げ入れが可能になる。モノフィラ
メント糸は水を取り込まず、またからまったり、もつれ
たりし易いそのような外表面もない。
【0010】編組された糸(line)には、また、糸の末
端が擦り切れる傾向がある。結んで結節を作るとき、こ
の“端の部分”が擦り切れ、釣りをしているときにルア
の外観とその許容性に悪影響を及ぼし得る毛羽状の突起
物を作る。更に、ゲル紡糸ポリエチレンからできている
編組された糸は、釣り人の中で一般に使用されている圧
縮タイプの釣り糸切断具できれいには切断できない。ブ
レードはハサミ又は他の切断具を使用して、ブレードの
中の全てのフィラメントが確実かつ均一に切断されるよ
うに切断されなければならないのである。
【0011】従って、取り扱い特性がモノフィラメント
により似ているゲル紡糸ポリオレフィン糸の高強力を持
つ糸、即ちモノフィラメントのような堅固な構造を有
し、直径がブレードより小さく、水が滲み込まず、そし
て末端が擦り切れることと結び付いた諸問題と糸切断の
困難性が減少又は取り除かれている糸があれば、それは
望ましいことであろう。
【0012】ゲル紡糸ポリオレフィンヤーンからできて
いる編組又は加撚された糸には、また、不透明で色が白
色である(光の内部透過性(transmittivity)がない)
と言う特徴がある。白は、しかしながら、釣り糸で使用
する色としては好ましいものではない。白い糸は水面下
で見え過ぎ、魚をおびえさせ、餌又はルアから遠ざける
傾向があると考えられている。
【0013】従って、外観が不透明でなく、好ましくは
糸をそれが水面下にあるとき、それをより十分に隠すゲ
ル紡糸ポリオレフィンを提供する方法があれば有用であ
ろう。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の1つの目的
は、末端の擦り切れが少なく、常用のモノフィラメント
と同様の切断特性を示す、ゲル紡糸ポリオレフィンから
のヤーンを提供することである。
【0015】本発明のもう1つの目的は、加撚又は編組
された糸より剛く、しかも十分に剛くて、モノフィラメ
ント糸に似たリール取り扱い(荷重あり及び荷重なし)
特性を示す、ゲル紡糸ポリオレフィンフィラメントから
できている釣り糸を提供することである。
【0016】本発明の更にもう1つの目的は、少なくと
も一部は半透明で、ゲル紡糸ポリオレフィンから作られ
た従来の不透明な白色の糸より水中での可視性が小さ
い、ゲル紡糸ポリオレフィンからの釣り糸を提供するこ
とである。
【0017】
【課題を解決するための手段】発明の概要 以上の目的及び本明細書の記載から明らかになるだろう
本発明の他の目的によれば、本発明による糸は、ゲル紡
糸されたポリオレフィンのフィラメントからできてい
る、編組された又は加撚された不透明な糸をそのポリオ
レフィンの融点範囲内のある温度に、隣接するフィラメ
ントの接触表面を少なくとも一部融着させるのに十分な
時間暴露することから成る方法によって製造される。ゲ
ル紡糸されたポリエチレンでは、その温度は約150〜
157℃の範囲内であるのが好ましい。
【0018】本発明により製造された糸は、超高分子量
のゲル紡糸ポリオレフィンの編組又は加撚された糸中の
モノフィラメントが所望の取り扱い特性を備えていると
共に、同時にゲル紡糸ポリオレフィン材料の高強力特性
の利点も併せ持つ。釣り糸のキャステイング、即ち投げ
入れ特性がブレード類より改善されている。この糸はブ
レード又は撚糸より硬く、剛直でかつ摩擦が小さい表面
を有し、少ない抵抗でガイドを移動し、リールを離れ
る。この糸は、また、擦り切れが少なく、常用の切断具
による切断がより容易である。得られた糸は伸長性が低
く、釣り糸を高度の鋭敏さを持ったものに変える。
【0019】発明の詳しい説明 本発明において、ゲル紡糸ポリオレフィンのヤーンは編
組又は加撚されて糸に形成され、次いでそのフィラメン
ト材料の融点範囲内の、ヤーン内の個々のフィラメント
の接触表面を少なくとも一部融着させてモノフィラメン
ト様の特性を有する糸を形成させるのに十分なある昇温
された温度で更に伸長される。未融着の表面はその糸に
フィラメントの動き易さと柔軟さを保持せしめ、一方融
着表面は個々のフィラメントが末端で擦り切れるのを確
実に防ぎ、常用の圧縮切断具で確実に切断できるように
する。
【0020】本発明による融着プロセスの条件は、フィ
ラメントを軟化させ、かつそれらフィラメントを編組又
は加撚された糸構造物内で少なくとも部分的に融着させ
るべく十分に高く、かつ十分な滞留時間となるように選
択される。表面融着プロセスに有用な条件に、フィラメ
ントを構成する重合体の融点範囲内の、暴露期間中に十
分な融着を可能にする温度又は一連の炉温度がある。こ
の温度は、20℃/分の走査速度において138〜約1
62℃の緩和融点(relaxed melting point)範囲を示
す高分子量のゲル紡糸ポリエチレンヤーンでは、約15
0℃から約157℃までの範囲内であるのが好ましい。
糸がその融解温度に暴露される滞留時間は約6〜約15
0秒の範囲内である。より高度の融解は温度を上げるこ
とによって達成されるけれども、融解温度(例えば、加
熱炉の設定点温度)を上げると、それに応じて強力の損
失が生じる。
【0021】ここで留意すべきは、温度を上げることの
効果は適用融解温度での滞留時間の長さ以上に影響が大
きいと思われることである。言い換えると、炉温度の変
化は融解炉を通る際の滞留時間の変化よりも著しい影響
がある。
【0022】融着プロセスの後では、本発明による糸は
それらの外観が未処理フィラメントの初めの不透明な白
色(光の透過率(transmission)0%)特性から不透明
でない外観に変化している。特に、これらフィラメント
は光の内部透過率が約1〜約100%、好ましくは約2
〜約50%の範囲内である半透明の、乳白色の、又は実
質的に透明な表面を有している。このような光透過率の
増加は水面下で糸を見えないようにするのに役立つ。
【0023】フィラメントは、融着の進行度としての光
透過率の増加で分かるように、その外表面だけが軟化及
び融解を始めるべきである。光透過率の変化は、観察者
には、加熱されていない延伸ローラー間にある炉から糸
が出て行くときに、又は加熱された延伸ローラーを糸が
離れるときに視認できる。外表面の光透過性が大きくな
ると(即ち、糸がより澄明になると)、しかし、糸はよ
り剛くなり、モノフィラメントに一層似て来る。融解し
た表面の接触は、末端の擦り切れが少ないことと圧縮型
の切断具により便利に切断できることに関して、モノフ
ィラメント様の性格を持つ糸を提供する。
【0024】糸は、また、加熱され、同時に、好ましく
は連続的に加えられる張力下で伸長(この技術分野で
は、“延伸”と称される場合もある)される。その伸長
張力は多数の利点を提供する。即ち、(1)張力は融解
温度での強力の損失を防ぐ;(2)張力は未融解の編組
又は加撚された糸に比較して融着構造物の強力を保存又
は増大させる;(3)張力はより良好な融着のために糸
構造物を半径方向に圧縮するのに役立つ;及び(4)張
力は溶融を防ぐ。
【0025】温度、滞留時間及び選択された温度におけ
る伸長率はある程度の光透過率と約230〜約780g
/dの範囲内の引張モジュラスを有し、かつ少なくとも
15g/d、更に好ましくは少なくとも25g/dの強
力を持つ糸を提供するように選ばれるのが好ましい。糸
強力の有意の低下は、温度と滞留時間の組み合わせが大
き過ぎてフィラメントの配向が損なわれていることを示
す。
【0026】隣接する繊維の表面が融着しているかどう
かを調べるのに、簡単な試験が使用できる。即ち、十分
な数又は割合の表面融着繊維を有する糸をスライド上に
載置する。永久マーカー(permanent marker)を垂直に
保持し、定常位置で5〜10秒間接触させて置く。レギ
ュラーの編組された糸では、マーカーから色が糸表面へ
と滲み出る。十分に融着した糸では、色は接触領域から
それを越えて滲み出ない。
【0027】別法として、フィラメント又はヤーンが圧
縮されたときに容易に分離するかどうかを観察するの
に、光学顕微鏡が使用できる。不十分に融着した糸は容
易に分離する。糸が容易には分離しないときは、十分な
融着が存在しており、従ってフィラメント又はヤーンを
糸から分離させ始めるには、一連の圧縮/張力の印加サ
イクルが必要とされる。
【0028】本発明の融着条件は、また、分子鎖の配向
を保存又は増加させるために、1段伸長段階又は多段伸
長段階による総伸長率(overall stretching ratio)を
含むのが好ましい。このような伸長率は、一般に、約
1.01〜約2.5の範囲内であり、約1.35〜約
2.2の範囲内の伸長率が好ましい。
【0029】この融着プロセスの条件は、フィラメント
表面がフィラメントの外表面に沿う接触点において軟化
及び融解し始めるように、フィラメントの外表面温度を
フィラメントの構成重合体の融点又は融点範囲内に置く
ものである。この融着条件は糸の張力をそれが中心線分
子鎖の再配向を反映するように維持し、フィラメントの
配向の減損を避けるように選ばれる。
【0030】本発明のゲル紡糸ポリオレフィンの糸の不
透明でない外表面は、着色剤なしでも水面下で背景の色
に更に良好に溶け込むことができる。澄明な外表面が自
らを最もカモフラージすることができる。着色する場
合、その改善された光の透過率は未処理の不透明、白色
の表面より更に容易に着色される外表面を与える。
【0031】本発明の糸は編組若しくは加撚後、又は本
発明による融着後に着色された着色ヤーンから製造して
もよい。色付与プロセスで使用することができる浸透性
着色溶液はエチレン−アクリル酸共重合物、低分子量ポ
リエチレン、低分子量イオノマー、高分子量イオノマー
及びポリウレタンの各水溶液;並びに有機溶媒又は鉱油
(特に、フィラメントに浸透する分子量200〜700
のもの)中の染料又は顔料を含む。好ましい着色剤は青
色又は緑色の染料又は顔料を含むエチレン−アクリル酸
共重合物を含有する水溶液である。
【0032】着色剤は本発明の糸を着色剤溶液が入って
いる浴に室温、例えば約20〜約25℃の範囲内の温度
で通し、通過させることによって適用することができ
る。ただし、所望とされるならば、もっと高い温度も使
用できる。その後、こうして被覆された糸を乾燥し、こ
の被覆糸を約100〜約130℃の範囲内のある温度に
保たれた炉に通し、通過させることによってその着色剤
をセットする。
【0033】本発明で使用されるゲル紡糸ポリオレフィ
ンのヤーンは超高分子量、高強力のポリエチレン又はポ
リプロピレンのフィラメントから製造するのが好まし
い。このようなフィラメントは、分子量が少なくとも4
00,000、更に好ましくは少なくとも約800,0
00;強力が少なくとも15g/d;引張モジュラスが
少なくとも500g/d;及び融点が少なくとも140
℃であると言う特徴を有する。カベッシュ等の米国特許
第4,413,110号及び同第4,551,296号
明細書を参照されたい。これら米国特許を本明細書で引
用し、参照するものとする。
【0034】このポリオレフィンは1種又は2種以上の
充填剤を含有していることができる。代表的な充填剤に
磁性材料、導電性物質、高誘電率を有する物質があり、
所望によってはそれらの混合物も使用できる。具体的な
例を挙げると、重合体と充填剤との間の結合を高めるた
めに他の材料、例えばステアリン酸又はアクリル酸で被
覆されているか、又は被覆されていない、炭酸カルシウ
ム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、クレー、タル
ク、雲母、長石、ベントナイト、酸化アルミニウム、酸
化マグネシウム、二酸化チタン、シリカ、石膏がある。
モーラーの欧州特許(EP)第55,001号明細書を
参照されたい。
【0035】本発明による編組された糸は常用の編組装
置で作られ、3〜16本の個別のヤーンが1つの中心軸
の回りに編組される。ブレードの締まり具合(インチ当
たりの緯糸の本数で測定される)は、製糸業者が一般に
採用している規格に従って、良好な表面品質を持つ柔軟
な糸を与えるように調整される。本発明の融着プロセス
に供給される原料として使用されるブレードは、約10
0〜約3000デニールの範囲内、更に好ましくは約2
00〜800デニールの範囲内の太さを有するのが好ま
しい。
【0036】本発明の加撚された糸は、単糸、撚糸ヤー
ン、又は2〜4諸撚りの、トルクがバランスされたヤー
ン構造物から製造できる。糸は偏りのない正味の撚り
(neutral net twist)、即ち加撚された繊維が引っ張
りの荷重がないときでも撚り合わされたままになってい
るそのような撚りをもたらすように加撚するのが好まし
い。この技術分野の慣用的な言い方で述べると、単糸は
“z”方向に撚が掛けられ、一方2〜4本のこれら
“z”撚りヤーンに、次いで、それらを一緒にして、
“s”(反対)方向に諸撚を掛けることができる。
“z”撚りのピッチと“s”撚りのピッチとは、各撚り
のトルクをバランスさせるように選ばれる。撚りは“撚
り数/インチ”(tpi)又は“撚り数/メートル”(tp
m)で測定される。ブレードと同様に、本発明の融着プ
ロセスに供給される原料として用いられる撚糸は、好ま
しくは約100〜約3000デニールの範囲内、更に好
ましくは約200〜1200デニールの範囲内の太さを
有するものである。
【0037】糸、ヤーン又はフィラメントの表面には、
隣接フィラメント間の融着プロセスを強化するために、
1種又は2種以上の被覆材料を施すことができる。この
ような被覆剤に鉱油(例えば、平均分子量が250〜7
00の伝熱性グレードの鉱油)、パラフィン油及び植物
油(例えば、ヤシ油)がある。糸又はヤーンと被覆材料
との間の接触は、外囲条件下(例えば、20〜25℃)
又は昇温下(例えば、約100〜150℃まで、又はそ
れより高い温度)で遂行することができる。鉱油は融着
プロセスの効率を高める可塑剤として作用し、融着プロ
セスをより低い温度で実施できるようにする。このよう
な向上した効率は、フィラメント、ヤーン又は糸により
作られる構造物、例えば布帛、複合材料又は急断抵抗性
服飾品(ballistic apparel)の如何にかかわらず具備
せしめられる。
【0038】
【実施例】次の実施例は3基の10フィート炉を備えた
2基の加熱生産ラインの1つで実施されたものである。
ここで、最後の2基の炉は端と端がつながれており、そ
して伸長ローラーは第一の炉の後と、最後の炉に続く
“倍長(double length)”炉の中に配置されている。
特に断らなければ、温度は全て摂氏温度である。
【0039】実施例1〜9 ゲル紡糸ポリエチレンフィラメントのヤーンからできて
いる編組された及び加撚された糸を作り、それらを本発
明の融着プロセスに供した。総延伸率は1.8〜1.9
の範囲内であり、第一ローラーでの延伸率の方が第二ロ
ーラーのそれより大きかった。実施例の各々でモノフィ
ラメント様の特性と良好な強力値を有する糸が形成され
た。(比較のために示すと、常用のポリエステル系ブレ
ードの強力値は、一般に、8g/d未満、通常は約6〜
7g/dであり、またナイロンブレードが示す強力値は
約5〜6g/dである。)実施例8及び9は緑色顔料を
含むエチレン−アクリル酸共重合物樹脂で予め被覆され
た編組糸を用いて行われた。これら実施例の条件と結果
をまとめて表1及び2に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】ブレードの構成と糸の太さの相違は融着プ
ロセスの性質に悪影響を及ぼさなかった。強力値は許容
範囲内でかつ分散量(variance)内であった。
【0043】実施例10〜13 実施例10〜13では、可塑剤及び融解向上剤として鉱
油が用いられた。実施例10と12では、鉱油は染料を
含有していた。実施例10〜13において、編組された
糸は鉱油に約1秒間浸漬され、過剰の油はスキージーで
で拭い取って除去された。油は、ブレードが油と接触す
ると直ちにブレードに滲み込まれることが観察された。
この糸を次に融着ラインの炉とローラーに供給し、通過
させた。その通過期間の間に、油はブレードのヤーンに
浸透し続けると考えられた。鉱油を使用する場合、鉱油
は、最終の処理糸のヘプタンによる抽出で測定して約1
〜約30%、好ましくは約1〜25%、更に好ましくは
約1〜20%の範囲内の量で使用されるべきである。表
3に結果を示す。
【0044】
【表3】
【0045】融着の容易さ及び得られた糸のモノフィラ
メント特性の質については鉱油による改善はなかった。
可塑化された糸はより可撓性で、かつ良く融着した。強
力値は、しかし、若干低くなった。ただし、それらの強
力値は依然として許容できるものであった。
【0046】実施例14 ゲル紡糸ポリエチレンの編組されたヤーンを152℃に
おいて延伸比1.9:1で伸長した。この構造物は半融
着状態となったが、鋭角な角を巡らす周期的摩耗試験で
離層を起こし、元の4本のヤーンに戻ってしまうことが
あった。比較のために、同じ材料の編組ヤーンを次に伝
熱グレードの鉱油(平均分子量350)に通し、通過さ
せ、続いて152℃で伸長及び処理した。このブレード
は融着状態となり、離層性が著しく低下し、その延伸さ
れた編組構造物の性質はそのほとんどが保持されてい
た。
【0047】実施例15 初め400デニールの、シングル・プライ(single pl
y)又は4プライの構成を持つ、ゲル紡糸ポリエチレン
フィラメントの加撚ヤーンを152℃において延伸率
1.3〜1.4で延伸した。延伸構造物を軽く融着させ
ると、この構造物はそれを曲げることで簡単に離層し
た。比較のために、同じ材料と太さのシングル・プライ
及び4プライの構造物を次に実施例14で使用した鉱油
の浴に通し、通過させ、伸長し、そして152℃で処理
した。この加撚構造物は完全に融着された状態になった
が、元の加撚構造物で所望とされた性質のほとんどを保
持しており、しかもモノフィラメント様の取り扱い特性
をも有していた。
【0048】実施例16 無撚りのゲル紡糸ポリエチレンヤーンを152℃におい
て1.3〜1.45の伸長率で伸長した。このヤーンは
融着の兆候をほとんど示さなかった。比較のために、無
撚りヤーンを実施例14の鉱油を通し、通過させ、伸長
し、そして152℃で融着させた。このヤーンはモノフ
ィラメント様の取り扱い特性と元の伸長ヤーンの強さを
ほとんど有する融着構造物を形成した。
【0049】実施例17〜18 実施例17では、4本のヤーンから、加撚及び諸撚りす
ることによって糸を作った。得られた糸は偏りのない撚
りを有するもので、これを本発明による融着プロセスに
供給するための原料として用いた。表4にそのプロセス
条件と得られた融着糸の物理的特性を示す。
【0050】
【表4】
【0051】加撚ヤーンからできている糸は良く融着
し、かつ強力の損失はなかった。破断強さの低下は糸の
太さが412.4デニールから235.2デニールに落
ちたことに因る。
【0052】ここに挙げた実施例は説明のためだけのも
のであって、添付請求の範囲に記載される発明の範囲を
限定するものではない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A01K 91/00 F (71)出願人 596059831 One Trilene Drive,H ighways 9 & 71,Spiri t Lake,Iowa 51360,Uni ted States of Ameri ca

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゲル紡糸されたポリオレフィンのフィラ
    メントのヤーンからできている、編組された、若しくは
    加撚された、又は加撚及び諸撚された釣り糸を該ポリオ
    レフィンの融点範囲内のある温度に、隣接するフィラメ
    ントを少なくとも一部融着させるのに十分な時間暴露す
    ることから成る、ゲル紡糸ポリオレフィンフィラメント
    を含有する釣り糸の製造法。
  2. 【請求項2】 前記釣り糸を前記温度に前記フィラメン
    トの光の内部透過率を増加させるのに十分な時間暴露す
    ることから成る、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記釣り糸を前記温度に前記フィラメン
    トを乳白色にするのに十分な時間暴露することから成
    る、請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記釣り糸を前記温度に前記フィラメン
    トを実質的に透明にするのに十分な時間暴露することか
    ら成る、請求項2に記載の方法。
  5. 【請求項5】 ゲル紡糸されたポリエチレンを含有する
    フィラメントからできている加撚された糸を前記温度に
    暴露することから成る、請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 ゲル紡糸されたポリエチレンを含有する
    フィラメントからできている編組された糸を前記温度に
    暴露することから成る、請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記釣り糸を、更に、約1.01〜約
    2.20の範囲内の伸長率で伸長することから成る、請
    求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 約1〜約30重量%の範囲内の量の可塑
    剤で被覆されている、編組された、若しくは加撚され
    た、又は加撚及び諸撚りされた糸を暴露することから成
    る、請求項1に記載の方法。
  9. 【請求項9】 ゲル紡糸されたポリオレフィンのフィラ
    メントからできている複数のヤーンを加撚して偏りのな
    い正味の撚りを有する糸となし;該糸を約150〜約1
    55℃の範囲内の温度に、隣接するフィラメントを少な
    くとも一部融着させるのに十分な時間暴露してモノフィ
    ラメントの特性を有する釣り糸となすことから成る、ゲ
    ル紡糸されたポリオレフィンからできているフィラメン
    トからモノフィラメントの特性を有する糸を製造する方
    法。
  10. 【請求項10】 前記糸を前記温度に前記フィラメント
    の光の内部透過率を増加させるのに十分な時間暴露する
    ことから成る、請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記糸を前記温度に前記フィラメント
    を乳白色にするのに十分な時間暴露することから成る、
    請求項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記糸を前記温度に前記フィラメント
    を実質的に透明にするのに十分な時間暴露することから
    成る、請求項10に記載の方法。
  13. 【請求項13】 ゲル紡糸されたポリエチレンを含有す
    るフィラメントからできている前記糸を前記温度に暴露
    することから成る、請求項9に記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記糸を可塑剤で被覆し、その後該糸
    を前記温度に暴露することから成る、請求項9に記載の
    方法。
  15. 【請求項15】 前記糸を約1〜30重量%の鉱油で被
    覆することから成る、請求項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 少なくとも2本のゲル紡糸されたポリ
    オレフィンのフィラメントにして、一緒に編組又は加撚
    され、次いで該ポリオレフィンフィラメントの融点範囲
    内のある温度に、隣接するフィラメントの表面を少なく
    とも一部融着させるのに十分な時間暴露された該ゲル紡
    糸ポリオレフィンフィラメントから成る、モノフィラメ
    ントの特性を有するゲル紡糸ポリオレフィンフィラメン
    トからできているヤーン。
  17. 【請求項17】 前記フィラメントが偏りのない正味の
    撚りを持つように一緒に加撚され、次いで前記温度に該
    フィラメントを半透明にするのに十分な時間暴露せしめ
    られている、請求項16に記載のヤーン。
  18. 【請求項18】 前記ヤーンが前記温度に前記フィラメ
    ントを実質的に透明にするのに十分な時間暴露されてい
    る、請求項17に記載のヤーン。
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