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JPH09501456A - 粘度が改善されたラクチドポリマー組成物およびその製造方法 - Google Patents

粘度が改善されたラクチドポリマー組成物およびその製造方法

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JPH09501456A
JPH09501456A JP7505959A JP50595995A JPH09501456A JP H09501456 A JPH09501456 A JP H09501456A JP 7505959 A JP7505959 A JP 7505959A JP 50595995 A JP50595995 A JP 50595995A JP H09501456 A JPH09501456 A JP H09501456A
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JP7505959A
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コルスタッド、ジェフリー・ジョン
ウィツケ、デヴィッド・ロイ
ハートマン、マーク・ヘンリー
ブロッシュ、アンドレア・リー
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カーギル・インコーポレイテッド
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 改善された伸び粘度を有するポリラクチドポリマーを含有する組成物および該組成物を製造する方法が開示されている。このポリラクチドポリマー組成物は、組成物中のポリラクチド骨格鎖間の分子相互作用の増加を与えるように、線状の無置換ポリラクチドに対して修飾を加えたポリラクチドポリマー分子を組成物中に供することによって製造する。好ましいポリラクチドポリマー組成物は、少なくとも約10,000(好ましくは、少なくとも50,000)の数平均分子量および少なくとも約2.5の多分散性を有する。さらに、このポリラクチドポリマー組成物は、約0.8未満のネックイン比を有しているべきである。

Description

【発明の詳細な説明】 粘度が改善されたラクチドポリマー組成物およびその製造方法 発明の分野 本発明は、選択したラクチドポリマー組成物および該組成物を製造するための 方法に関する。 発明の背景 本明細書の開示は、好ましい方法で使用し得るラクチドポリマーの開発におけ る継続中の努力に関する。グルーバー(Gruber)らの米国特許5,142,023[1992年8 月25日発行;この特許の開示は本明細書の一部を構成する]は、乳酸からラクチ ドポリマーを製造するための連続法を一般的に開示している。米国特許5,142,02 3に従って選択されるポリマーは、包装、紙被覆および他の適用のための、石油 化学物質を基礎とするポリマーの代替に適した物理的性質を有している。精製ラ クチドおよびそれからのポリマーの創製のための関連法が、グルーバーらの米国 特許5,247,058、5,247,059および5,274,073(これら特許の開示は本明細書の一部 を構成する)に開示されている。 一般に、グルーバーらの特許に開示されているような方法を用いるポリマーの 商業的開発は、粗原料モノマーをポリマービーズ、樹脂、または他のペレット化 もしくは粉末化した製品に変換することからなる。次いで、この形態のポリマー が末端ユーザーに販売され、これらユーザーがこのポリマーを高温で押出、吹込 成形、キャストフィルム、ブローフィルム、発泡、熱成形、射出成形、紡糸また はその他の方法で変換して、有用な物品を形成させる。上記の方法(および関連 の方法)を本明細書においては一括して「溶融加工」と呼ぶ。グルーバーらの特 許に開示されているような方法によって製造されるポリマー、ならびに、ビーズ 、樹脂、粉末または他の未仕上げの固体形態で市販されるポリマーは、本明細書 においては広く一括してポリマー樹脂と呼ぶ。生分解性であるなら、これらのポ リマー樹脂は、例えば包装原料、被覆された紙製品、フィルム、1回使用のおむ つ などの物品の廃棄による環境ストレスを軽減する助けとなることができる。 一般に、ラクチドポリマーまたはポリラクチドは不安定であることが知られて いる。この不安定性の概念は、陰性および陽性の両方の側面を有する。陽性の側 面は、ラクチドポリマーまたはラクチドポリマーから製造された物品がそれらの 有用寿命を終えた後に廃棄または堆肥化されたときに起こる比較的迅速な生分解 または他の分解である。このような不安定性の陰性の側面は、高温での加工中、 例えば末端ユーザー購入者によるポリマー樹脂の溶融加工中のラクチドポリマー の分解の可能性である。このように、ラクチドポリマーを比較的非分解性の石油 化学ポリマーの代替物として望ましいものにしている同じ性質の一部が、ラクチ ドポリマー樹脂の製造中およびこれら樹脂の加工中に望ましくない作用を創出す ることもできる。 ラクチドポリマーは、多数の経路によって溶融加工中に望ましくない分解を受 ける。これらの経路には、例えば、ラクチドの生成およびポリマーの分子量の減 少の結果を与える加水分解および他の副反応が含まれる。さらに、加工温度が上 昇(特に、約230℃以上に)するにつれて、ラクチドポリマーの分解は大きくか つ望ましくなく促進される。従って、比較的溶融安定性のあるラクチドポリマー を製造し得るときであっても、低い温度(即ち、約180℃以下の温度が特に好 ましい)で有用物品に加工し得るラクチドポリマーまたは樹脂配合物を提供する のが一般に望ましいであろう。 ある種の溶融加工操作中に、線状ポリラクチドのような線状ポリマーは、ネッ キングなどのある種の望ましくない流れ特性を示す。例えば、ポリラクチドを移 動支持体上にフィルムとして押出す場合、支持体上に向けられたポリラクチドの フィルムは移動支持体に起因する引張力のもとでネッキングを起こす傾向がある 。ここで言う「ネッキング」は、フィルムが引っ張られるかまたは引き伸ばされ るにつれてフィルムの幅が狭くなることを意味する。このことが、加工の制御に 関する問題およびフィルム厚みの一貫性の維持に関する問題などを導く。具体的 には、ポリプロピレンまたはポリエチレンと比較すると、線状ポリラクチド(P LA)は実質的に一層問題になるネッキングおよびより低い溶融強度を示すのが 普 通である。また、PLAなどの線状ポリマーは、高い延伸比において引取共振ま たは流体力学的不安定性を示す傾向を持つ。この引取共振は、例えば、被覆の幅 および/または厚みの周期的な変動を引き起こすことがあり、また、ポリマーウ ェブの破壊を導くこともある。 さらに、被覆適用またはブローフィルム製造において、ポリマーは、ブローフ ィルムの引き伸ばしを引き起こすガス圧力または被覆適用においてダイから支持 体への進行の加速などの種々の力に耐えなければならない。これらの力に耐える 能力は、「溶融強度」と呼ばれる。改善された溶融強度を有するラクチドポリマ ー配合物に対する必要性が存在している。 発明の要約 改善された溶融強度およびレオロジーを有するポリラクチドポリマー組成物な らびにこれを製造するための方法が開示されている。この方法は、ポリラクチド ポリマー組成物において、組成物中のポリラクチド骨格鎖間の分子相互作用の増 加を与えるように、線状の無置換ポリラクチドに関して、修飾が加えられたポリ ラクチドポリマー分子を提供することを包含する。このポリマー組成物は、線状 の無置換ポリラクチドに関して、以下の少なくとも1つを有することができる( 有するのが好ましい):高い重量平均分子量、高い分岐度および/または高い架 橋度。好ましくは、このポリマーは、約10,000(より好ましくは、少なくと も50,000)〜約300,000の数平均分子量を有する。 さらに、好ましいポリマー組成物は、0〜約2重量%の残留モノマー濃度、お よび0〜約2000ppmの水分濃度を有しているのが好ましい。好ましくは、 このポリマーは約100,000〜約1,200,000の重量平均分子量を有し ているべきである。 多くの有用かつ好ましい適用において、本方法は、少なくとも約2.5の多分 散性を有するポリマー組成物を与えるに十分な分子相互作用を有する修飾化ポリ ラクチドポリマー分子を提供することを包含するであろう。この分子相互作用を 与えることができる1つの方法は、遊離ラジカル反応によってポリラクチド分子 の間に架橋を創出することである。このような架橋は、例えば、0.01:1〜 10:1の範囲内の遊離ラジカル開始剤とポリマーのモル比を用いることによっ て得ることができる。 同等の見掛重量平均分子量(ゲル透過クロマトグラフィーにより測定)の線状の 未置換または無置換ポリラクチドの測定した自然対数の固有粘度(dl/g)より少 なくとも0.1低い測定した自然対数の固有粘度(dl/g)を有するポリマー組成物 が得られるように、十分な分子相互作用を付与するのが好ましい。さらに、同等 の重量平均分子量の線状の無置換ポリラクチドに比べて、加工時のネックインが 減少しているポリマー組成物が得られるように、十分な分子相互作用を付与する のが好ましい。該ポリマー組成物のネックイン比が約0.8未満であるように、 ネックインが減少しているのが好ましい。 好ましくは、ポリマーの製造方法は、未置換の乳酸またはラクチドに加えて反 応物質を含む操作においてポリラクチド分子を形成させることからなっていてよ い。好ましくは、供される反応物質には、非開始性ラクチド反応物質、開始性反 応物質、組合せ反応物質および/またはこれらの混合物が含まれる。 乳酸またはラクチド以外の反応物質は、その中に1つの開始性の基を有する開 始性反応物質であってよい。この開始性の基はヒドロキシル基またはアミン基の どちらかであってよい。このような反応物質は、好ましくはその中に大きな有機 基を含有しているであろう。 未置換の乳酸またはラクチド以外の反応物質は、その中に1を越える開始性の 基を有することができる。これらの開始性の基は、ヒドロキシ基、アミン基、お よび/またはそれらの混合物であってよい。 未置換の乳酸またはラクチド以外の反応物質は、エポキシド、環状エステル、 およびこれらの組合せから選択される1またはそれ以上の非開始性の基を含む非 開始性のラクチド反応物質であってよい。また、組合せ反応物質(開始性および 非開始性の基の両方を含む)を用いることもできる。一部の適用においては、未 置換の乳酸またはラクチドに加えて反応物質が、少なくとも1つの炭素−炭素二 重結合を含む非開始性ラクチド反応物質であってよい。さらに別の適用において は、乳酸またはラクチド以外の反応物質は、その中に大きな有機ポリマー絡み合 い基を含有していてよい。 本発明のある種の適用は、好ましくは少なくとも2.5の多分散性、および少 なくとも10,000(好ましくは、少なくとも50,000)の数平均分子量を有 するポリラクチドを基本とするポリマー組成物を含有する組成物に関する。好ま しくは、このポリマーは、少なくとも約100,000であって約1,200,0 00を越えることのない重量平均分子量を有する。好ましくは、このポリラクチ ドを基本とするポリマー組成物は、約0.8未満のネックイン比を有するように 供する。さらに、このポリマー組成物は、その固有粘度が、ゲル透過クロマトグ ラフィーによって測定したときに、匹敵する見掛重量平均分子量の線状の無置換 ポリラクチドの固有粘度より少なくとも0.1dl/g低いものであるように、十分 な分子相互作用を有することができる。 また、本発明は、(a)ラクチドまたはポリラクチドポリマーを供し、(b)未置換 の乳酸またはラクチド以外の反応物質を供し、そして、(c)該ラクチドまたはポ リラクチドポリマーを該反応物質と反応させて改善されたポリラクチドポリマー 組成物を得る、ことからなる組成物を包含する。このポリラクチドポリマー組成 物は、匹敵する重量平均分子量の線状の無置換ポリラクチドに比べて、ポリラク チド骨格鎖間の増大した分子相互作用、少なくとも10,000(好ましくは、少 なくとも50,000)の数平均分子量、および好ましくは少なくとも2.5の多 分散性を有するように製造されるべきである。 本発明の利点は、改善されたポリラクチドポリマー組成物を、溶媒から再結晶 されていないラクチド混合物から製造し得る点にある。即ち、このラクチド混合 物はその中に少量の水または乳酸などの開始剤を含有していてよく、それでもな お、本発明の改善されたポリマー組成物(例えば、少なくとも50,000の数平 均分子量を有するポリマー組成物)が得られる。これを達成するための本明細書 中に開示した好ましい方法は、溶媒から再結晶されていないラクチド混合物(ま たは、溶媒から再結晶されていないラクチド混合物から得られるポリマー)を、 エポキシド基、環状エステル基およびその組合せからそれぞれが選択される少な くとも2つの非開始性の基を含有する非開始性のラクチドと反応させることから なる。本明細書中に開示されている、所望の結果を達成するために使用し得る別 の方法は、結合を創出するためのラジカル反応、またはポリマー分子中への架橋 可能な基の導入を用いるものである。また、連鎖延長剤を用いることもできる。 これらアプローチの変法およびその他は、以下に挙げる詳細な説明から明らかに なるであろう。 本発明のさらに別の利点は、これを、ポリラクチドを基本とするポリマーの連 続法製造に適用し得ることである。即ち、種々の反応物質を十分に制御しながら 連続法に挿入して、所望のポリマー産物を得ることができる。例えば、ラクチド をポリマー反応器中に連続供給しながら、またはその下流に、反応物質を導入す ることができる。このアプローチの変法は、以下に挙げる詳細な説明から明らか になるであろう。 図面の簡単な説明 図1は、溶融安定性のラクチドポリマーの製造のための好ましい方法を図式的 に示すものである。 図2は、自然対数の線状ラクチドポリマーの固有粘度と自然対数のポリマー分 子量の関係を示すグラフである。 図3は、175℃の温度での3種類のPLAポリマーの見掛剪断粘度と見掛剪 断速度の関係を示すグラフである。 図4は、175℃での2種類のPLAポリマーの見掛剪断粘度と見掛剪断速度 の関係を示すグラフである。 発明の詳細な説明 本発明は、ポリラクチドポリマーのレオロジー(溶融流れ)および溶融強度の性 質を改善する方法に関する。特に、本発明は、「ネックを生成する」かまたは同 様の現象を示す傾向を減少させる、溶融ポリマーのレオロジーおよび/または溶 融強度の改善に関する。好ましくは、本発明は、好ましいポリラクチドポリマー の他の好ましい性質[例えば、堆肥化可能性および/または生分解可能性の性質 、溶融安定性の性質、および、高いかまたは望ましくないレベルの分解が起こり 始める温度に到達することなく、加工のための適切な流れ特性の流動材料の達成 の ために、tg(ガラス転移温度または軟化点)より十分に高くすることができる性 質を含む]に望ましくない影響を及ぼすことなく、上記のような改善を達成する ことに関する。 一部の本発明の適用において達成される改善された加工特性には、より低い温 度での加工、より低い動力消費および圧力、ならびに、増大した溶融強度および 改善された溶融流れ特性が含まれる。本発明のポリマーは、フィルム、シート、 紙被覆、吹込成形物品、繊維、発泡体、発泡物品、熱成形物品、射出成形物品、 不織布などに溶融加工することができる。次いで、これらの物品を、例えばおむ つ用フィルムなどの種々の市販物品の構成成分とすることができる。レオロジー 一般に、樹脂またはポリマーのレオロジー特性とは、その粘度または流れ特性 である。ポリラクチド(PLA)などのポリマー、即ち熱可塑性ポリマーに対して は、レオロジーまたは流れ特性は、ポリマーの温度をtg(または、結晶性ポリマ ーが関係しているときには融点)以上に上げたときにこのポリマーが示す性質に 関連して使用される。通常、ポリマーを十分な温度まで上昇させて、粘度を種々 の溶融加工工程が実行可能である点まで低下させたときの、ポリマーの流れ特性 に関するものが重要である。 一般に、ポリラクチドポリマー(PLA)については、この樹脂の剪断粘度が少 なくとも約10,000Pa-s(パスカル-秒)、通常は約1〜約1,000Pa-sの範 囲内まで低下したときに、溶融加工が実行可能である。グルーバーらの米国特許 5,142,023に記載されているような通常のポリラクチドポリマーについては、tg は約50〜約65℃であり、この材料は加工のために約160〜約200℃まで 加熱するのが普通である。 線状ポリマーのレオロジーについて、種々の特性化が粘度に関連して為される のが一般的である。通常、用語「粘度」を、ポリマーの溶融流れ特性(または、 その流動性)を特性化するために用いる。これらの溶融流れ特性に関しては、2 種類の粘度が一般に重要であると考えられる。これらの1つは剪断粘度であり、 通常、これは毛管流の評価、即ちどのくらい多くの溶融ポリマーが一定時間内に 毛管を流れることができるかなどに関係している。例えば、紙被覆工業において は、剪断粘度を用いて押出機のダイからポリマーを押出すのに必要な力を示す。 より高い剪断粘度は、より大きな力が加工装置(例えば、押出機のダイ)からポリ マー樹脂を押出すのに必要であることを示し、より低い剪断粘度は、より小さな 力が加工装置からポリマーを押出すのに必要であることを示す。 重要な他の種類の粘度特性は、伸び粘度に関するものである。伸び粘度とは、 剪断のないところでの粘度を意味し、通常は、引張るかまたは引伸ばしたときの 流れに対するポリマーの抵抗に関係している。より高い伸び粘度は、樹脂が引張 りまたは引伸ばし時の流れに対して非常に抵抗性が高いことを示し、より低い伸 び粘度は、樹脂が引張りまたは引伸ばし時の流れに対して非常に抵抗性が高いも のではないことを示す。 伸び粘度は、溶融加工およびネッキング特性に関連して特に重要である。また 、増大する歪速度における伸び粘度の変化、および延伸流れ中のポリマーの時間 依存性の反応も、溶融加工操作に関連して重要になりうる。これらが一緒になっ て伸び粘度特性を規定する。通常のポリラクチドを用いたときの困難は、これら が劣った伸び粘度特性のゆえにネックを生成しやすいことである。 溶融加工用の望ましいポリマーの開発は、一部において、伸び粘度特性と剪断 粘度の望ましいバランスの開発を必要とする。伸び粘度が増加するだけでなく、 剪断粘度も大きく増加するときには、ポリマー溶融物の性質は、もはやそれが溶 融加工に望ましくないほどに影響を受けるであろう。例えば、伸び粘度および剪 断粘度の両方が分子量の増加によって大きく増加するときには、ラクチドポリマ ー樹脂は、広く受入れられている通常の加工装置からは通常の加工温度で容易か つ十分に流れないであろう。この加工装置の温度を上げて流動性の欠如を補った 場合には、ポリマーの望ましくない分解がポリマー製造中または溶融加工中に促 進されるであろう。また、例えば、伸び粘度および剪断粘度の両方が分子量の減 少によって大きく減少するときには、ラクチドポリマー樹脂は通常の加工装置か ら容易に流れるのに比較的小さな力を必要とするであろうが、樹脂はさらにネッ クを生成しやすくなるであろう。 さらに、ポリラクチドポリマーを製品の形成に使用する大きな利点は、一般に ポリラクチドが生分解性または堆肥化可能である点にある。このポリマーを、伸 び粘度特性を大きく増加させるが、ポリマーの生分解能力または堆肥化可能性の 大きな損失が生じるような方法で修飾した場合、このような方法はこの材料の広 範囲な利用または受入にとって許容性ではないであろう。 一般に、線状の無置換PLAに対しては、ポリマーの分子量が増大するときに 、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で測定したときの見掛分子量に対する固 有粘度のプロットはよく規定された曲線に従うことを示すことができる。さらに 、ラクチドポリマーが限界分子量を越えるときには、モジュラス、引張強さ、破 断点伸び率(%)、衝撃強さ、曲げ弾性率、および曲げ強さなどの物理的性質が比 較的一定のままであるので、比較的高い分子量(即ち、臨界分子量以上)のラクチ ドポリマーが好ましい。本発明の好ましいポリマー組成物の分子量の下限は、こ の限界点より上に設定するのが好ましく、これによって、溶融加工時の一層予測 可能な物理的性質を有するラクチドポリマーが得られる。通常は、この臨界の「 低い方」の数平均分子量は少なくとも約10,000(好ましくは、少なくとも5 0,000)であり、好ましい「低い方」の重量平均分子量は少なくとも約100 ,000である。 分子量の実際的な上限は、作業可能な粘度の実際的な上限に基づく(通常、粘 度は分子量の増加に伴って増大する)。極めて高い分子量のラクチドポリマーを 溶融加工するためには、溶融加工温度を高めてポリマーの粘度を低くしなければ ならない。しかし、加工温度を高くするにつれて、ラクチドポリマーの望ましく ない分解が促進される。 必要とされる粘度が変化し、また、溶融加工装置内の滞留時間も変化するので 、分子量の正確な上限は、特定の溶融加工適用に依存して変化してよい。従って 、それぞれの種類の加工システムにおけるあるポリマーの分解の程度も変化する ことが予想されるであろう。しかし、任意の選択した適用において粘度と分解の 必要条件を満たす適切な分子量上限は、容易に決定することができると考えれら る。一般に、好ましいポリマーの数平均分子量は約300,000より大きいこ とは なく、重量平均分子量は約1,200,000より大きいことはない。線状のPLA 一般に、劣った伸び粘度特性およびレオロジー特性(有意な量のネッキングを 導く)が線状ポリマーの特性であり、PLAは線状ポリマーである。本発明に従 うPLAを改善するアプローチは、一般的には、レオロジーを改善するに十分で あるように長いポリマー鎖の個々の分子の間の相互作用を増加させるが、同時に 、堆肥化可能性、生分解性および溶融加工性などの他の性質に望ましくない影響 を及ぼすほど多くの相互作用を導入することのない方法に関する。即ち、本発明 に従う改善または修飾されたポリラクチドポリマーは、ポリマーの堆肥化可能性 、生分解性および溶融加工性に実質的に望ましくない影響を与えることなく、レ オロジーが改善されるように、長いポリマー鎖の個々の分子の間の相互作用を増 大させたポリマーである。通常、本明細書中で説明する方法は、ポリマー樹脂生 成中に行うことができる修飾に関する。従って、線状PLAの生成の簡単な考察 を最初に挙げる。 一般に、線状(未置換)のPLAは、乳酸の環状二量化エステル、即ちラクチド の開環重合によって調製する。これは、例えば、グルーバーらの米国特許5,247, 059に記載されている。正確な重合の性質は完全に理解されていないが、一般に 、次のようにして連鎖成長反応に関係しているようである。活性部分を含む基( 例えば、−OH基)を有する開始剤を供し、これをラクチドと混合する。この開 始剤は、例えば、水、アルコール、乳酸、アミンまたは他の物質からなっていて もよい。この「活性部分の基」を、環状二量体のカルボニル基の1つと反応させ て環を開く。それぞれの開環は、ポリマー骨格の末端に活性な−OH基を生成さ せる結果になる。この新たに生成した活性な−OH基は、別のラクチド分子と反 応して環を開くことができる。このように、連鎖成長反応は直線的に起こる。鎖 の長さ(即ち、得られたポリマーの分子量)は、最初に供した活性な−OH基の数 、反応速度および許される時間の長さに一部は依存するであろう。それぞれの開 始剤が1つまたは2つだけの活性な−OH基を有するときには、通常、得られる ポリマーは1つまたは2つのヒドロキシル末端を有する線状ポリマーであろう。 一 般に、より高い当量の開始剤を供するにつれて、得られるポリマーの分子量は低 くなるであろう。即ち、分子量は、開始剤の数に反比例するのが普通である。長いポリマー鎖の間の相互作用を創出するためのアプローチ 上記のように、一般に、線状ポリマーの伸び粘度特性の改善は、長いポリマー 骨格の間に相互作用を付与することによって達成することができる。長いポリマ ー骨格の間への相互作用の付与は、通常、ラクチドポリマー溶融物の重量平均分 子量の増大、ラクチドポリマー内の分岐の付与、および/またはラクチドポリマ ー中の架橋の付与によって達成することができる。ここで、「架橋」とは、長い ポリマーPLAに基づく鎖の間の結合を意味する。用語「分岐」は、線状PLA に基づくポリマー鎖からのペンダント基を供すること、または、ある残基を介し て互いに結合した長いポリマーセグメントを供することのいずれかを意味する。 用語「PLAに基づくポリマー鎖」は、繰返しポリマー単位または残基の大部分 が未置換の乳酸またはラクチド残基であるポリマー鎖を意味する。これらは、少 なくとも50重量%の乳酸またはラクチド由来の残基を含有しているのが好まし い。ラクチドポリマーにおいて分岐および/または架橋を付与することによって 、線状度の比較的低いポリマーを導くことができる。重量平均分子量の増大 分子量が高くなるに従ってポリマー鎖が分子の絡み合いによって互いに相互作 用する可能性が高くなるので、ポリマーの重量平均分子量の増大は、ポリマーの 骨格鎖の間の相互作用を増大させる手段である。この重量平均分子量は、各分子 種の分子量を2乗したものと各分子種の分子の数との積の総和を、各分子種の分 子量と各分子種の分子の数との積の総和で割ったものである。 ポリマーの数平均分子量は、あるポリマー試料の重量を、該試料中の分子の数 で割ったものである。例えば、ポリマー混合物が分子量100,000の1個の ポリマー分子および分子量がそれぞれ10,000の2個のポリマー分子を含ん でいるときには、この組成物の数平均分子量は40,000であり、一方、重量 平均分子量は85,000である。 多分散性は、重量平均分子量の増大の1つの指標であり、従って、長いポリラ クチドポリマー骨格の間の相互作用の増大の1つの指標である。一般に、ポリマ ーの多分散性(または、多分散性インデックスもしくは多分散インデックス)は、 ポリマーの重量平均分子量とポリマーの数平均分子量の間の関係によって定義さ れる。具体的には、多分散性インデックスは、重量平均分子量と数平均分子量の 間の比である。従って、ポリマーの数平均分子量が実質的に一定に保たれている ときには、多分散性インデックスの増大は、ポリマーの重量平均分子量の増大を 示しうる。 米国特許5,247,059および5,274,073に記載されているグルーバーらの方法に従 って製造された線状ポリラクチドの多分散性インデックスは、約1.5〜2.5の 範囲内にあるのが普通であり、通常は約2である。本発明の好ましいポリマーの 多分散性インデックスは、通常は少なくとも約2.5であり、より好ましくは少 なくとも約3である。一般に、実質的に一定の数平均分子量において多分散性イ ンデックスが高くなると、伸び粘度特性がより良好になる。 ポリラクチド分子の絡み合い度を増加させるようにPLAの重量平均分子量を 増大させ、従ってポリラクチドポリマーの伸び粘度特性の改善を増大させる種々 の方法のいずれかを、本発明に従って使用することができる。ポリマー骨格中への分岐の導入 PLAのレオロジー特性を改善するための方法は、ポリマー骨格中に分岐を導 入することによる。特に、ポリマー骨格中への分岐の導入は、線状度のより低い ポリラクチド分子を与える。線状度のより低いポリラクチド分子は、レプテーシ ョン(reptation)(拡散)によって移動する能力の減少のゆえに分子の絡み合いが より長く続くので、改善されたレオロジー特性を示すと考えられる。ネックイン の減少は、線状度のより低いポリマーの改善されたレオロジー挙動によって改善 される性質の1つである。 一般に、図2に示すように、線状のポリラクチドポリマーは、ポリマー分子量 に対する固有粘度の特徴的な曲線を示す。分岐または他の分子相互作用がPLA 中に導入されると、得られる分子量に対する固有粘度の曲線は、線状ラクチドポ リマーの分子量に対する固有粘度のグラフから有意に逸脱する。この逸脱は、分 岐または他の分子相互作用が生じたことの指標である。 十分な分岐を線状ポリラクチド中に導入して改善されたレオロジーを得るため に、種々の方法を利用することができる。例えば、開始剤を用いてPLAに分岐 を導入することができる。さらに別のアプローチにおいては、非開始性のラクチ ド反応物質、例えばエポキシ化炭化水素またはエポキシ化油をPLAに導入して 、分岐した(即ち、線状度がより低い)ポリラクチドポリマーを得ることができる 。別の例として、少なくとも2つの環状エステル環を含有する分子をラクチドと 共重合させて、分岐した(即ち、線状度がより低い)ポリラクチドポリマーを得る ことができる。ここで、用語「環状エステル」は、少なくとも1つのエステル基 を含有し、かつ開環重合が可能なあらゆる環状化合物を包含する。例えば、環状 エステルは、ラクトン、環状カーボネートおよび環状オキサレートを包含するこ とができる。 分岐を導入するための他の方法は、ペンダントとして大きな有機基を含有する 、PLAを基本とするポリマー中に残基単位を残す反応物質を供することからな る。例えば、長いアルキル鎖(少なくともC4)で置換されたラクトンなどの環状 エステルを反応させて、ペンダントとしてC4基を有するポリマー中の残基単位 を形成させることができる。 本明細書で用いる用語「線状ポリラクチド」は、例えばグルーバーらの米国特 許5,142,023、5,247,058および5,247,059に記載されているような、線状の無置 換ポリラクチドポリマーを意味する。本明細書で用いる用語「ポリラクチドポリ マー」は、ポリマー鎖中の繰返し単位の大部分が乳酸またはラクチドに基づく残 基であるポリマーを意味する。例えば、抽出および濾過などの当分野で既知の方 法を用いて、充填剤および可塑剤などの添加物を除去した後に、ポリマー試料を 加水分解または鹸化する。通常、添加物を除去した後のポリラクチドポリマーは 、50重量%またはそれ以上の乳酸残基を与えるであろう。ポリマー骨格の間の架橋の付与 ポリマー鎖間の相互作用を増大し得る別の方法は、ポリマー骨格間に架橋を導 入することである。この架橋は、ポリマー形成の後に導入することができる。一 般に、架橋は、長い骨格の間に少量の架橋を付与し、こうしてポリマー溶融加工 中の引伸しまたは引張りに対する抵抗を創出することによって、PLAの伸び粘 度特性を改善するであろう。通常、共に架橋された長い骨格鎖は、新規な線状度 のより低いポリラクチド分子を形成する。 先に議論したように、一般に、線状ポリラクチドポリマーは、ポリマーの分子 量に対する固有粘度の特徴的な曲線を示す。架橋が線状ポリラクチドポリマー中 に導入されると、得られる分子量に対する固有粘度の曲線は、線状ポリラクチド ポリマーの分子量に対する固有粘度のグラフから有意に逸脱する。この逸脱は、 架橋が生じたこと、および線状度のより低いポリラクチド分子がポリマー中に存 在していることの指標である。 種々の方法のいずれかを用いてポリマー鎖の分岐またはポリマー鎖間の架橋の 存在を測定することができる。以下に挙げるのは、このような方法の例である。 乾燥および脱蔵した線状ポリラクチドの対照試料を調製する。試験試料の分子量 は、この対照の分子量の範囲内であるべきである。次いで、この試料を溶媒に溶 解する。この溶媒は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)の移動相として用い る溶媒と同一であるべきである。各試料の固有粘度を、GPCを行うときの溶媒 と同じ溶媒中、同じ温度で測定する。GPCを用いて、試料の分子量を、ポリス チレンなどの標準に対して測定すべきである。重量平均分子量または粘度平均分 子量のいずれかを用いる。 GPCの結果に基づいて、自然対数の分子量に対して自然対数の固有粘度(dl /g)をプロットすべきである。さらに、対照試料に対して回帰線を作成すべきで ある。この回帰線は、いくつか(即ち、少なくとも3種、好ましくは少なくとも 7種)の線状ポリラクチド試料の分子量と固有粘度を測定し、これらの結果をプ ロットすることによって作成する。これらの対照試料は、回帰線と同じチャート 上にプロットしたときに試験試料を受入れ得るに十分な分子量範囲を与えるもの であるべきである。測定した自然対数の固有粘度が対照試料の回帰線に基づく予 想値を少なくとも約0.1下回るときには、この試験試料は本発明に従う好まし い架橋または分岐を有するものとみなす。より好ましくは、測定した自然対数の 固有粘度が対照の線を少なくとも約0.2下回るように、さらに好ましくは、対 照の線を少なくとも0.4下回るように、試料を調製する。対照の回帰線と試料 の点の例については図2を参照。この架橋または分岐(即ち、分子の相互作用)に よって、ネッキングなどの現象が有意に減少するようにポリラクチドの粘度を修 飾するのが普通である。試験試料が可塑剤または充填剤などの改質剤を含有して いるときには、ポリマー中に架橋または分岐が存在する程度を測定する前にそれ らを除去すべきである。溶解、濾過および沈澱などの当分野で既知の方法を用い てこれらの改質剤を除去することができる。 線状ラクチドポリマー中に架橋を付与し、こうしてそれを線状度のより低いラ クチドポリマーに変換するために、種々の方法を利用することができる。例えば 、遊離ラジカルを生成する過酸化物を用いてポリラクチド骨格から置換基を切断 し、別のポリマーラジカルと結合し得るポリマーラジカルを生成させることがで きる。また、ポリマー鎖を共に連結し、線状度のより低いポリラクチドを得るた めに、多官能の連鎖延長剤の反応によって架橋を供することもできる。分子の相互作用を増大させるいくつかの具体的手段 得られるポリマーのレオロジー特性が改善され、得られるポリマーが溶融加工 操作において使用可能であるように、ポリラクチド骨格間の分子相互作用を増大 させるあらゆる手段が、全体として本発明に従うものである。先に議論したよう に、通常、これらの手段には、重量平均分子量を増大させること、ポリマー中に 分岐を付与すること、および/またはポリマー中に架橋を付与することが含まれ る。以下において、ポリラクチドポリマー骨格間の分子相互作用を増大させるい くつかのより具体的な手段を議論する。一般に、長いポリマー鎖の間の相互作用 の量を制御することは、溶融安定性の高い、作業が可能な、堆肥化が可能な、そ して/または生分解が可能な材料を維持するために望ましい。レオロジー特性を 改善し、同時に、溶融安定性の高いポリラクチドの他の好ましい特性を保持させ るための可能性ある特定の方法を評価する際に、ポリラクチドの長いポリマー鎖 の間の相互作用を増大させる多数のアプローチを評価した。 主要なアプローチは、2つの種類に分けることができる。第1の種類のアプロ ーチは、ラジカルを生成する部分をポリラクチドポリマー鎖中に含まれる基と反 応させて、残留ポリラクチド鎖が別の残留ポリラクチド鎖と反応し得るラジカル になるようにすることからなる。このようにして、2つの残留ポリラクチド鎖が 互いに結合または連結することができる。このアプローチの変法は、ポリマーに 、架橋を引き起こすように後に反応させ得る官能基または大きな有機基(分岐の ため)のどちらかを有する反応物質に連結するために、ラジカルを生成する部分 を用いることからなる。この後者の例は、マレイン酸無水物であろう。 第2の主要なアプローチは、ポリラクチド鎖の一部に未置換ラクチド以外の部 分を含有させることからなる。本発明に従ってポリラクチド骨格中に含有させ得 る未置換ラクチド以外の部分には、少なくとも3つの種類が存在する。これら3 種類の部分は、1またはそれ以上の開始性の基を含有する分子、1またはそれ以 上の非開始性の反応性基を含有する分子、および/または開始性および非開始性 の両方の反応性基を含有する分子に由来する。用語「開始性の基」は、開環反応 において環状ラクチドと反応することによってポリラクチド鎖の形成を開始させ 得る部分を意味する。用語「非開始性の反応性基」は、重合中に乳酸、ラクチド および/または成長中のポリラクチドポリマーと反応し得るが、それ自体は重合 過程(それが乳酸、ラクチドまたは成長中のポリラクチドポリマーと反応する前) においてポリラクチド鎖の形成を開始しない部分を意味する。また、この非開始 性の反応性基は、それが反応した後に、ポリマー鎖の成長反応を継続させるべき である。 開始性の基を含有する少なくとも2種類の分子が存在する。第1の種類は、重 合中にポリラクチド鎖の形成を開始させ得る1つの基を含有している。第2の種 類は、重合中にポリラクチド鎖の形成を開始させ得る1を越える基を含有してい る。1および/または1を越えるこれらの種類の基を含有する化合物を、本明細 書においては、一括して開始性反応物質と呼ぶ。 同様に、非開始性の反応性基を含有する少なくとも2種類の分子が存在する。 第1の種類は、重合中にラクチドが結合し得るが、重合中の反応の前に環状ラク チドの開環によるポリラクチド鎖の形成を開始させない1つの基を含有している 。 第2の種類は、重合中にラクチドが結合し得るが、重合中の反応の前に環状ラク チドの開環によるポリラクチド鎖の形成を開始させない1を越える基を含有して いる。1または1を越えるこれらの種類の基を含有する化合物を、本明細書にお いては、一括して非開始性のラクチド反応物質と呼ぶ。 開始性および非開始性の両方の反応性基を含有する化合物を本発明に従って使 用することができ、これらを本明細書においては一括して組合せ反応物質と呼ぶ 。さらに、開始性反応物質、非開始性ラクチド反応物質、および/または組合せ 反応物質を、2または3種類すべての反応物質が重合過程中に含まれるように混 合することができる。 以下に、開始性反応物質、非開始性ラクチド反応物質、および組合せ反応物質 を含む分子を表す一般的な構造または配置を挙げる。第1の配置(1)は、開始性 の基(X)を1つだけ含有する分子を表す: (1) R−−X Xは開始性の基を表し、開環反応における環状ラクチドとの反応によってポリラ クチド鎖の形成を開始させ得る任意の部分であってよい。Rは、ラクチドポリマ ー鎖の形成を妨げない任意の炭素含有基を表す。Rは、3個を越える炭素原子を 含有する非線状の炭素鎖であってよい。好ましくは、Rは、その中に大きな有機 ポリマー絡み合い基を含有する。また、Rは、ラクチド鎖の形成を開始せず、か つ重合過程を妨げない通常の官能基を含有することもできる。ここで用語「ポリ マー絡み合い基」とは、得られるポリマー分子R−X−PLAと他のポリマー分 子との絡み合いを、得られるポリマー組成物において容易にするに十分大きいR 基またはR基内を意味する。 第2の配置(2)は、配置(1)に示したような分子から形成されるラクチドポリ マーを表す。配置(2)において、文字PLAは、ラクチドまたは乳酸に由来する 残基を含有していてもよい(または、含有していてはならない)PLAを基本とす るポリマーフラグメントを意味する。 (2) R−X−PLA (2)中に示すポリマー分子は、本発明のポリマー組成物中に含まれる分子に対応 するものであってよい。好ましくは、Rは、ポリラクチドポリマーの伸び粘度特 性が匹敵する重量平均分子量の線状ポリラクチドに比べて改善されるように分子 の相互作用を促進する非官能性のポリマー絡み合い基または非線状の基を含有す る。ここで、用語「改善される」は、溶融加工操作における挙動がネッキング、 バブル安定性、減少した引取共振または関連の特性のいずれかに関して改善され ていることを意味する。 第3の配置(3)は、一般的には、1以上(例えば、3個)の開始性基を含有する 分子を表す。 記号X1、X2およびX3のそれぞれは開始性の基を表す。これら基のそれぞれの 化学的構造は同一または異なっていてよい。Rは、先に記したような、重合過程 に干渉しない任意の炭素含有基を表す。開始性の反応物質が必ずしも3つの官能 基を含有する必要がないのは勿論である。少なくとも1つを有する必要があるだ けである。配置(3)は、3つの開始性の基を含有する開始性の反応物質分子の例 であるにすぎない。 一般に、第4の配置(4)は、配置(3)に示した種類のような開始性反応物質か ら形成されるラクチドポリマー分子を表す。配置(4)中の用語「PLA」は、配 置(2)について規定したものと同一であってよい。 配置(4)中のX1、X2およびX3のそれぞれは、ポリラクチド鎖の形成を開始し た残りの開始性基を表す。(4)に示した種類の分子は非線状であるので、分子の 相互作用を促進することができる。開始性の基から形成されるポリラクチド鎖は 、組成物中の他の分子に含まれるポリラクチド鎖とのより大きな絡み合いを与え る。即ち、(3)に示したような開始性反応物質を含有するラクチドプレポリマー 混合物を重合することによって、分子相互作用が増大した線状度のより低いポリ マーを得ることができる。 非開始性のラクチド反応物質中に含まれる分子は、配置(5)で示される。 この配置において、Yは非開始性の反応性基を表す。Rは、先に記したように、 ラクチドポリマー鎖の形成を妨げない炭素含有基を表す。非開始性の反応物質に 対しては、Rは、重合中に他のR基およびラクチドポリマー分子と絡み合うこと ができる、3を越える炭素原子を含有する大きな有機ポリマー絡み合い基を含有 するのが好ましい。Rが大きすぎるときには、ポリマーの流動特性を望ましくな く減少させることができる。 一般に、第6の配置(6)は、配置(5)で示されるような分子から形成されるラ クチドポリマー分子を表す。配置(6)において、それぞれのPLAは、配置(2) に対して規定したものと同じであってよい。 配置(5)中のYは、ラクチドと反応し、得られるポリマー鎖中に導入される、残 留非開始性基を表す。本発明に従い、(6)中のR基によって創製される分岐によ って、骨格鎖間の分子相互作用は増大することができる。上記の配置(6)から、 非開始性基Yは、乳酸、ラクチドまたは成長中のPLA-鎖と反応することがで き、 次いで、反応後にさらに連鎖成長反応を開始し得る活性残基を形成する基である のが好ましいことが明らかであろう。本明細書中で後記するように、このような 基の1つはエポキシ基である。 第7の配置(7)は、1以上(例えば、2つ)の非開始性基を有する非開始性ラク チド反応物質を含有する分子を表す。 1は1つの非開始性の反応性基を表し、Y2は第2の非開始性の反応性基を表す 。Y1とY2は、同一または異なっていてよい。例えば、Y1はエポキシ基である ことができ、Y2は環状エステル含有基であることができる。さらに例を挙げれ ば、Y1はエポキシ基であることができ、Y2はエポキシ基であることができる。 Rは、先に記したように、ラクチドポリマー鎖の形成を妨げない炭素含有基を表 す。 配置(8)は、2つの非開始性の反応性基を含有する配置(7)のような分子から 形成されるラクチドポリマー分子を表す。それぞれの基(PLA)は、配置(2)に 対して規定したものと同じであってよい。 配置(8)中のY1およびY2は、ラクチドと反応し、ポリマー鎖中に導入される残 留の非開始性の反応性基を表す。R基は、2つのPLAを基本とするポリマー鎖 の骨格の間の架橋として働く。この架橋は、ポリマーの伸び粘度特性が改善され 得るように分子相互作用の増大を与える。 第9の配置(9)は、1つの開始性の基と1つの非開始性の反応性基を含有する 分子を表す。この分子は、組合せ反応物質中に見い出し得る種類のものである。 (9) Y−R−X Yは上記のような非開始性の反応性基を表し、Xは上記のような開始性の基を表 す。Rは、先に記したように、重合過程を妨げない任意の炭素含有基を表す。組 合せ反応物質中に含まれるRは、好ましくは、配置(1)〜(8)に関して上記した 好ましい種類の基のいずれかである。 配置(10)は、配置(9)において開示した種類のような分子から形成されるラ クチドポリマー分子を表す。それぞれの基(PLA)は、配置(2)に対して規定し たものと同じであってよい。 配置(10)中のYおよびX基は、残留の非開始性の反応性基および残留の開始性 基を表す。(10)における分子を線状ポリラクチドよりも低い線状度にするよう にポリラクチド鎖が配向されているので、ポリラクチド鎖が他の鎖と絡み合う機 会が増大している。通常、この絡み合う機会の増大は、ポリマーにおける分子相 互作用の増加の結果を与える。 上記の(2)、(4)、(6)、(8)および(10)の配置で示されるポリマー分子は 、その中にそれぞれ(1)、(3)、(5)、(7)および(9)の反応物質の1以上の残 基を含有することができ、そして、通常の適用においては含有している可能性が 高いことは理解されるであろう。 以下の記述は、本発明に従って使用することができるラジカル生成物質、開始 性の反応物質、非開始性のラクチド反応物質、および組合せ反応物質の具体的な 種類を詳しく説明するものである。これら具体的な開始性の反応物質、非開始性 のラクチド反応物質、組合せ反応物質、およびこれらの反応物質を利用するかま たは記載された得られるポリマーは、配置(1)〜(10)で示される一般的な種類 のものである。フリーラジカル反応を用いる線状ポリマー分子間の相互作用の創出 線状ポリラクチド分子間に少量の結合を創出するためのこのアプローチは、上 で一般的に特徴付けられたものであった。以下の筋書が、この方法の一層の理解 を与えるであろう。ポリラクチドポリマー原料の混合物を考慮する。フリーラジ カル開始剤がこの混合物中に供されているときには、この開始剤は活性化によっ てフリーラジカルを生成するであろう。これに続く反応の可能性の中には、開始 剤からの種々のフリーラジカルが異なるポリマー分子中の炭素−水素結合と反応 し、例えばそれぞれから水素原子を除去し、残りのまたは残留するポリマー分子 中にフリーラジカルを生成することが含まれる。この反応は、ポリマー骨格中の 第三炭素のいずれかにおいて起こる可能性が最も高い(統計的に)と考えられる。 ポリマーはここでポリラクチドポリマーのフリーラジカルまたはフリーラジカ ル残基となっている。可能性ある反応の中には、同じ過程によってポリマーラジ カルに変換されたさらに別のポリマー分子との反応がある。他のポリマーラジカ ルとの反応は、2つのポリマー分子の間の結合を創出するであろう。一般に、こ のようなポリマーのフリーラジカル反応は統計的に起こりにくいものであること は理解されるであろう。しかし、十分な線状ポリマーの連結(架橋)が起こって分 子の相互作用が増大し、こうしてレオロジー特性を高めるためには、少しだけ起 こることが必要であるだけである。 ポリラクチドポリマー鎖間に相互作用を付与するためのこの機構は有用ではあ るが、若干の欠点を有している。例えば、ゲル形成の可能性が存在する。さらに 具体的には、多すぎる開始剤を用いたときには、残留ポリマー鎖間に多くの相互 作用が存在するので、ポリマーがゲル化し、その流動特性の多くを失うであろう 。流動特性の劣るポリマーの加工は困難であり、コストが高くなり得る。従って 、ポリマーのゲル化を妨げる。 ラジカル生成物質は、ポリラクチド形成中または形成後に加えるのが好ましい 。重合後のポリラクチドとラジカル生成物質の混合は、ポリマー加工に工程を付 加する。しかし、この過程の反応速度は通常は非常に早いので、極めて少ない追 加 の加工時間しか必要としないのが普通である。 この機構の欠点の別の例は、副産物が生成し得ることである。この過程中に生 成したラジカルが何と反応するかについての厳密な制御は存在しないので、この 反応過程によって得られる数種類の副産物が存在するのが普通である。これらの 副産物は、ポリマーの溶融加工前に得られたポリラクチドポリマーから分離しな ければならないこともある。 ポリラクチド鎖間に相互作用を創出するためのこの機構の利点は、多くのラジ カル生成物質が安価であり、容易に入手し得ることである。さらに、多くが、例 えば脱蔵によって容易に除去される副産物に分解する。また、結合の程度が非常 に小さいので、ポリラクチドポリマーの生分解性または堆肥化可能性が有意に失 われることはない。 種々のフリーラジカル開始剤を用いて、この方法による線状ポリマー分子間の 相互作用を創出することができる。一般に、ポリラクチド鎖から水素などの部分 を容易に除去して残留ポリラクチドフリーラジカル(これは、次いで別の残留ポ リラクチドフリーラジカルと反応することができる)を生成する任意のラジカル 開始剤を、本発明に従って使用することができる。多種多様の過酸化物ラジカル 開始剤が既知であり、使用可能である。本発明に従って使用することができる過 酸化物開始剤には、2,5−ジメチル-2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)3−ヘ キシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5 −ジメチル-2,5−ジ(t−アミルペルオキシ)ヘキサン、4−(t−ブチルペル オキシ)−4−メチル−2−ペンタノール、ビス(t−ブチルペルオキシイソプロ ピル)ベンゼン、過酸化ジクミル、3,3−ビス(t−ブチルペルオキシ)酪酸エチ ル、3,3−ビス(t−アミルペルオキシ)酪酸エチル、および過酸化ジベンゾイ ルが含まれる。市販の製品、例えば、ルーパーゾル(Lupersol)130、ルーパー ゾル101、t−アミル101、ルーパーゾルD−240、ルーペロックス(Lup erox)802、ルーペロックス500、ルーパーゾル233、ルーパーゾル53 3、およびルシドール(Lucidol)78[イー・エル・エフ アトケム(ELF Atoche m;Philadelphia,PA)から入手可能]を用いることができる。好ましいラ ジカル開始剤は3,3−ジ(t−ブチルペルオキシ)酪酸エチル、好ましくはルー パーコ(Luperco)233−XL[イー・エル・エフ アトケムから、CaCO3担体 中の40%濃度の過酸化物として入手可能]としてである。好ましい添加方法は 、2軸スクリュー押出機を用いてPLA中に過酸化物を配合することである。 一般に、ポリマー鎖間に十分な相互作用を達成してネッキングなどを抑制する のに十分であるようにレオロジー(伸び粘度特性)を改善するためには、比較的多 量の開始剤が必要になるであろう。通常、約0.01:1〜10:1(より好まし くは、0.05/1〜3/1)の開始剤とポリマーのモル比を用いたときに、十分 な量のポリマー相互作用が生じてレオロジーの改善が達成されるであろう。この ような環境下では観察されるように、ポリマーの数平均分子量は約10%増加す るにすぎないが、重量平均分子量は約20%またはそれ以上増加する。約10: 1を越える開始剤とポリマーのモル比は、通常の系において過剰のゲル化を引き 起こす可能性が高いと考えられる。連鎖延長剤を用いる架橋の創製 分子の相互作用を増大させるこのアプローチは、連鎖延長剤を供することによ って達成される。この連鎖延長剤は、ポリマー鎖の末端に結合する。3またはそ れ以上の官能基を有する連鎖延長剤を供することにより、線状ポリラクチドを架 橋によって線状度のより低いポリラクチドに調製することができる。ポリラクチ ドが既に線状度の比較的低いポリラクチドであるときには、2官能の連鎖延長剤 を用いて分子量を増大させることができる。しかし、この場合にはゲルおよび網 目の形成が問題となり得る。 好ましくは、連鎖延長剤は3またはそれ以上の官能性を有するであろう。通常 、この延長剤は、1モルのポリマーに対して約0.1〜1.0当量の比で存在して いるべきである。 連鎖延長剤は、−OHまたは−COOH末端基と反応し得るあらゆる化合物を 包含することができる。その例には、オキサゾリン、イソシアネート、ジヒドロ オキサジン、および無水物が含まれる。好ましい連鎖延長剤は非毒性かつ生分解 性であろう。開始性反応物質の供給 線状ポリラクチド鎖間の分子相互作用を増大させる1つの手段は、重合中にラ クチドポリマー鎖が成長することができるプレポリマーまたはポリマー化混合物 中に、開始性反応物質を供することである。先に記したように、開始性反応物質 中に含まれる分子は、それからラクチドポリマー形成が始まり得る1つの開始性 の基、または、それからラクチドポリマー形成が始まり得る1を越える開始性の 基を有することができる。しかし、分子が1つまたは2つだけの開始性の基を含 有しているときには、分子の相互作用を増大させるために、相互作用を付与する 追加の手段を供しなければならないことが多いであろう。換言すると、1つまた は2つの開始性の基だけを供することによっては、ポリマー骨格間の分子相互作 用は増大しないであろう。これは、これら種類の開始性反応物質を用いては、一 般に架橋または分岐を導入することができないためである。 しかし、例えば少なくとも1つの開始性の基と少なくとも1つの非開始性の反 応性基を有する分子を含有する組合せ反応物質を用いるときには、1つまたは2 つの開始性の基が存在するだけであるが、得られるポリマーにおいて分子相互作 用を増大させることができる。これは、配置(9)および(10)に関連して説明し た。要するに、1つまたは2つの開始性の基を有する分子を含有する反応物質を 用いて、他のどのようなものが分子中に存在するかに依存して、ポリラクチド骨 格鎖間の分子相互作用を増大させることができる。 より具体的には、例えば単一の開始性の基を有する開始性反応物質分子を用い るときには、ラクチド重合中に、単一のポリマー鎖が開始性の基(例えば、開始 性反応物質分子中に含まれる−OH基)から形成され始める。しかし、通常はこ の単一鎖だけでは、骨格鎖間の分子相互作用を増大させない(開始性反応物質が 、その中に適当なペンダント基を含有していないとき)。従って、開始性の反応 物質分子がその中に十分に大きい有機基を含有していないときには、分岐および /または架橋を供することによって分子相互作用を増大させるために、開始性の 反応物質分子はその中に非開始性の反応性基(例えば、エポキシドなど)を含有し ているべきである(即ち、この開始性反応物質を組合せ反応物質にする)。 1を越える開始性の基を有する分子を含有する開始性の反応物質を用いて、線 状ポリラクチド鎖間の分子相互作用を増大させることができる。しかし、この種 類の開始性反応物質分子がその上に2つだけの開始性の基(例えば、2つの活性 な−OH基)を含有しているときには、ポリマーはこの開始性の基から2方向で 成長し始めることができる(即ち、成長はそれぞれの開始剤から始まるであろう) 。従って、1つだけの開始性の基を有する開始性反応物質分子の使用に関連して 先に説明したように、線状ポリマーが生成することができ、骨格間の分子相互作 用は増大しない(この開始性反応物質がその中に適当な大きいペンダント基を含 有しないか、またはそれが組合せ反応物質ではないとき)。従って、1つの開始 性の基を有する開始性反応物質に関連して説明したように、分子相互作用を増大 させる追加の手段を使用することができるか、または反応物質分子を適切に構成 することができ、これによって分子相互作用を増大させることができる。例えば 、この反応物質分子は分岐したポリマー分子であってよい。 例えば、開始性反応物質分子がその上に3またはそれ以上の開始性の基(例え ば、−OH基)を含有しているときには、長いポリマー鎖が、開始性反応物質分 子から少なくとも3方向で成長し始めることができる。配置(3)および(4)に関 連して先に説明したように、それぞれの開始性の基は、本質的に、3またはそれ 以上の長いポリマー鎖のそれぞれの末端において単一の分岐点を与えることがで きる。従って、3またはそれ以上の活性な基を有する開始性反応物質を使用した 結果として、長いポリマー鎖間の少量の相互作用を導入することができる。即ち 、ネッキングに関連するレオロジー特性の改善および伸び粘度特性の改善を得る ことができる。これらの開始性反応物質は、例えばグルーバー(Gruber)らに発行 された米国特許5,247,059および5,274,073に記載されているように、ラクチドの 重合前または重合中のどちらかに添加することができる。これらの反応物質は、 所望の特定のポリマーに依存して、1種類または数種類の混合物である分子(ま たは1分子中に等しい反応性基)を含有することができる。 種々の種類の開始性反応物質を、本発明に従って使用することができる。ポリ ラクチド鎖の形成を開始させるために使用することができる1またはそれ以上の 開始性の基を有するあらゆる開始性反応物質分子が、本発明において使用可能で ある(得られるポリマーが、使用が意図されている特定の適用に対して十分な分 子量を有するものである限り)。得られるポリマーは溶融安定性であるのが好ま しい。これらの基は、通常は−OH(ヒドロキシ)またはNH2(アミン)基であろ う。さらに、これらの開始性の反応物質は生分解性であるのが好ましいであろう 。本発明に従って使用することができる開始性反応物質のいくつかの例は、糖、 ドデカノールなどのアルコール;1,6−ヘキサンジオールなどのジオール;乳 酸メチルなどのヒドロキシエステル;グリセロール;2−エチル−2−(ヒドロ キシメチル)−1,3−プロパンジオール;ペンタエリスリトール;ジ−ペンタエ リスリトール;エリスリトール;キシリトール;およびソルビトールである。 3の反応性官能基を有しているので、後者の7種の化合物が好ましい。 重合中に、ラクチド鎖は開始性の基から成長する。従って、開始性の基の残基 を含有するラクチドポリマー鎖(即ち、PLAに基づくポリマー)が得られる。こ の得られたポリマーは、大きく改善された伸び粘度特性および溶融流れ特性を有 しており、また、線状度が比較的低いであろう。さらに、開始性反応物質から形 成されたラクチドポリマー鎖については、ゲル形成が比較的少ないのが普通であ る。本発明に従い、一部の他の方法によって製造したラクチドポリマーは有意に ゲル化するが、これは望ましいものではなく、粘度を増大させてポリマーがその 流動特性を失うことがある。 ラクチドは、開始性の基と非常に早く反応する傾向を持つ。従って、開始性反 応物質を用いる重合の反応時間は短くすることができる。通常、改善された伸び 粘度特性を有する線状度の比較的低いポリマーの生成に必要とされる開始性反応 物質の量は、ポリマーの特定の応用によって変化する。一般的には、十分な分子 相互作用(例えば、ラクチドポリマー鎖の絡み合い)を存在させて伸び粘度特性を 改善し、溶融流れ特性を改善するために、十分な開始性反応物質をプレポリマー またはポリマー化混合物に加えるべきである。しかし、ポリマーの分子量が臨界 分子量以下に低下するほどには、多くの開始性反応物質を加えることはできない 。通常、数量でポリマー組成物の約5%以上が、開始性反応物質分子の残基を含 有 する分子であるべきである。好ましくは、開始性反応物質分子の残基を含有する 分子の濃度は、約20数量%以上である。最も好ましくは、非反応性の開始性反 応物質分子の残基を含有する分子の濃度は、約33数量%以上である。本発明に 従って得られるポリマーは、少なくとも約100,000の重量平均分子量を有 するのが好ましい。 本質的には線状のポリマー(例えば、ポリラクチド)のポリマー鎖間の相互作用 を創出する本アプローチは、常に実際の応用において完全に満足させるものでは ない。通常、市販品の開発のためには、グルーバーらの米国特許5,142,023およ び5,247,059に記載されている方法に従って精製されたラクチドの重合によって ポリラクチドを製造することができる。即ち、精製操作には溶媒からラクチド混 合物を再結晶することが含まれていない。このようなラクチドは比較的純粋では あるが、その中に、ラクチド製造工程の副産物である開始剤を有意量で含有する ことがある。例えば、これら開始剤の一部は、活性な−OH基を有する。この精 製したラクチド中の副産物の量は厳格な精製法(例えば、溶媒からの再結晶)によ って実質的にゼロにまで減少させることができるが、一般に、過剰の精製操作を 行うことは必ずしも市販品では実際的とはならない。これらの副産物には、例え ば水および乳酸が含まれ、これらが、ほとんど全ての市販品のために実施可能な 大スケールの重合法において、プレポリマー混合物に加えた開始性反応物質と競 合することができる。これが、添加した開始性反応物質の残基を含有する分子の 濃度を制限する。 反応の副産物または中間体である実質的な量の反応性開始剤(例えば、乳酸お よび水)の存在下で開始性反応物質(例えば、ヒドロキシル開始性反応物質)を使 用したときの正味の結果として、得られるポリマーの分子量が減少することがあ る。この結果は、溶融加工特性に関して比較的望ましくないポリマーとなりうる 。特に、プレポリマーまたはポリマー化混合物への開始性反応物質の添加は、重 量平均分子量の低下を促進することができる。重量平均分子量の低下は、分子の 絡み合いなどの分子相互作用の量が減少する結果になることがある。従って、ポ リラクチドのフィルム形成特性は、分岐の導入にもかかわらず損なわれることが あ る。 要するに、開始性反応物質を用いて、長いポリマー鎖の間に若干の相互作用を 有するように修飾されたポリラクチドポリマーを得ることができるが、実際上は このアプローチは常に完全に望ましいものではない。望ましい方法でポリマーの 分子量を制御するためには、原料中の反応性開始剤(例えば、水、乳酸またはオ リゴマー)の共存の非常に厳密な制御を行うことが望ましいであろう。市販品か ら利用可能な精製ラクチド(溶媒からの再結晶によって精製されていない)におい ては、十分な量の残留の水および/または乳酸またはオリゴマーが存在している のが普通であって一定レベルの単一の連鎖開始を与え、これが、重合過程に開始 性反応物質をも加えたときに分子量に関して望ましくないポリマーを与えること がある。従って、ラクチド精製のために現在商業的に実施可能な方法(特に、溶 媒からの再結晶を含まない方法)とともに使用するためには、長いポリマー鎖の 間に若干の相互作用を有するポリラクチドを提供するために本明細書中に記載し た別のアプローチが通常は好ましいであろう。非開始性のラクチド反応物質の供給 分子の相互作用を増大させる別のアプローチは、非開始性のラクチド反応物質 を用いて長いポリマー鎖間に相互作用を創出することからなる。この方法は、プ レポリマーまたはポリマー化混合物中に開始性反応物質を添加することを包含し ないので有利である。従って、この方法は、溶媒からの再結晶によって精製され ていないポリラクチド混合物を用いて加工する際に、適合させて適用することが 多い。 一般的に、非開始性のラクチド反応物質とは、乳酸、ラクチドまたはポリラク チドと反応させたときにポリラクチド中の活性な−OHと反応するが、それ自体 では、そして乳酸、ラクチドまたはポリラクチドと反応する前には、成長を開始 することができない物質である。例えば、ポリラクチドを形成させるのにラクチ ドの開環が関与する成長に対しては、エポキシ化合物が非開始性ラクチド反応物 質である。詳細には、ラクチドまたはポリラクチド分子の活性な−OH基が非開 始性のラクチド反応物質中に含まれるエポキシ基と反応したときに、オキシラン 環が開き、ラクチドとさらに反応する新たな−OH基を与える(即ち、連鎖成長) 。しかし、それぞれのオキシラン基については、唯一の反応性−OH基(成長用) が乳酸またはラクチドポリマーとの反応によって生成する。従って、オキシラン 環はポリマーの形成を開始せず、その代わりにポリマー鎖中に導入されることに なるにすぎず、連鎖成長を継続させるであろう。 通常、非開始性ラクチド反応物質が実質的に1つの非開始性の基(例えば、オ キシラン環またはエポキシ基)を有しているときには、その正味の結果は、それ ぞれの分子がその中に導入された1またはそれ以上の非開始性ラクチド反応物質 分子の残基を有する、線状分子のポリマーの形成である。また、この非開始性ラ クチド反応物質がポリマー絡み合い基(例えば、ポリエステル、ポリエーテルま たは炭化水素)を有しているときには、これらのペンダント鎖はポリラクチド鎖 および/または他の絡み合い基と絡み合って分子の絡み合いを増大させることが でき、従って、分子相互作用を増大させ、溶融流れ特性を改善することができる 。このペンダント鎖中の基がポリマーの少なくとも約10重量%を構成するよう なものであるときに、溶融流れ特性が有意かつ有利に改変されるものと考えられ る。これらのペンダント鎖は、多数の短い鎖または少数の長い鎖のどちらかとし て供することができる。また、この単一のエポキシ基が関与する機構は、唯一の 非開始性の反応性基を含有する他の非開始性ラクチド反応物質分子に当てはめる ことができる。通常、反応物質を基準に少なくとも10%に決定されるであろう 。 非開始性ラクチド反応物質分子が2つの非開始性の反応性基(例えば、環状エ ステルまたはエポキシ基)を含有しているときには、これを用いて長いポリマー 鎖を共に連結することができる(即ち、この非開始性ラクチド反応物質分子の残 基が架橋になる)。この架橋は、例えば活性な基が炭化水素鎖の末端にあるとき には、比較的長いものになりうる。同様に、非開始性ラクチド反応物質が3また はそれ以上の非開始性の反応性基を含有しているときには、結果として、異なる 方向に延長した多数の長いポリラクチド鎖を有するポリマー分子になることがで きる。一般に、非開始性ラクチド反応物質の使用により、改善された溶融流れ特 性、および加工時の現象(例えば、ネッキング)に対して好ましい性質を有するポ リマーが導かれる。 非開始性ラクチド反応物質との反応によって溶融流れ特性が改善されたポリラ クチドポリマーを創製するために種々の物質を使用することができる。この目的 に有用な非開始性ラクチド反応物質には、例えば、分子あたりに1つのエポキシ 基および大きな有機基(例えば、少なくとも4個の炭素原子を含有する炭化水素 鎖)を有する共重合試薬が含まれる。他の有用な非開始性ラクチド反応物質には 、例えば、分子あたりに2またはそれ以上のエポキシ基を有する共重合試薬(例 えば、多くのエポキシ化した油)が含まれる。分子あたりに少なくとも1つのエ ポキシ基を有し、少なくとも4個の炭素原子の炭化水素鎖を含有する共重合試薬 を重合前または重合中に加えたときには、非共重合のラクチドポリマーに比べて 線状度のより低いポリマーを得ることができる。また、分子あたりに2またはそ れ以上のエポキシ基を有する共重合試薬を重合前または重合中にプレポリマー混 合物に加えたときには、非共重合のラクチドポリマーに比べて線状度のより低い ポリマーを得ることができる。 エポキシド基を有する有用な共重合試薬または非開始性ラクチド反応物質には 、多くの種類のエポキシ化した脂肪および油が含まれる。特に、ラクチドをエポ キシ化油と共重合したときには、このエポキシ化油のオキシラン環は反応中にラ クチドポリマーの末端アルコール基または末端酸基のどちらかと反応して、非共 重合のラクチドポリマーに比べて線状度のより低いラクチドポリマーを与える。 好ましくは、エポキシ化した脂肪酸、グリセリド、ジグリセリド、トリグリセ リドおよびこれらの混合物を共重合試薬として用いる。さらに好ましくは、エポ キシ化した動物脂肪、動物油、植物脂肪、植物油、モノグリセリド、ジグリセリ ド、トリグリセリド、遊離脂肪酸およびこれらの誘導体を用いる。最も好ましく は、エポキシ化した植物油、例えば、エポキシ化した亜麻仁油、エポキシ化した 大豆油およびこれらの混合物を用いる。さらに別の有用なエポキシ化油には、エ ポキシ化した綿実油、地下豆油、大豆油、ヒマワリ油、菜種油またはキャンノラ (cannola)油、ゴマ種油、オリーブ油、トウモロコシ油、ベニバナ油、ピーナッ ツ油、ゴマ油、麻油、桐油、牛食用油、鯨油、魚油、ヒマシ油、およびタール油 が含まれるであろう。 エポキシ化した亜麻仁油を共重合試薬として用いて大きな成功を収めた。特に 、フレキソール・プラスチサイザー(FlexolR Plasticizer)LOE[ユニオンカー バイド社(Union Carbide Corporation)から市販]として知られているエポキシ化 亜麻仁油が、本発明の好ましい共重合試薬である。 エポキシ化した亜麻仁油が可塑剤として市販されているのは興味深いが、得ら れるポリマーのTgはあまり変わらず、このことは、試験したレベルにおいて可 塑効果がわずかであることを示している。エポキシ化した亜麻仁油などの共重合 試薬に伴う利点は、得られるポリマーが脂じみた感触を有することなく、これら が加工中に潤滑剤として働き得ることである。 また、エポキシ化した大豆油、例えばパラプレックス(ParaplexR)G-62[シ ー・ピー・ホール社(C.P.Hall Corp.)から市販]も、本発明にとって好ましい共 重合試薬である。 本発明の組成物および方法を用いることによってダイ加工特性を改善し得るこ とを見い出した。特に、温度、分子量、ポリマー流速および可塑剤濃度を一定に 保ちながら本発明のポリマーを加工したときに、同等の重量平均分子量の線状非 官能化ポリラクチドポリマーと比べて、ダイ圧力の減少が存在し得ることを見い 出した。このダイ圧力の好都合の減少は、本発明に従って分子相互作用を促進す るためにエポキシドなどの非開始性ラクチド反応物質を使用したときに、最も明 白であることがわかった。 例えば、被覆操作は、改善されたダイ加工特性(例えば、ダイ圧力の減少)に寄 与するポリマーを使用することによってより効率的に行うことができる。この減 少は、エネルギーを節約し、装置の摩耗を減少させることができる。本発明に従 い、同等の条件下で加工した同等の重量平均分子量の線状非官能化PLAに比べ て少なくとも10%減少したダイ圧力で加工し得るように、ポリマーを調製する のが好ましい。より好ましくは、少なくとも15%のダイ圧力の減少が存在する ように、最も好ましくは、少なくとも20%のダイ圧力の減少が存在するように 、ポリマーを調製する。一般に、本発明に従う好ましいポリマーは、同じ条件下 で 溶融加工される同等の重量平均分子量の線状ポリラクチドに比べて、減少したダ イ圧力で加工し得るように調製される。このダイ圧力の減少は、後記の実施例9 および13で説明する。 どのような種類の共重合試薬(即ち、非開始性ラクチド反応物質)を使用するか には関係なく、プレポリマー混合物に添加する共重合試薬の量は特定の応用に伴 って変化することができる。一般に、プレポリマーまたはポリマー化混合物に添 加する共重合試薬(即ち、非開始性ラクチド反応物質)の量が実質的なものではな い場合、得られるポリマーの溶融流れ特性は改善されないであろう。さらに、多 すぎる共重合試薬(即ち、非開始性ラクチド反応物質)をプレポリマーまたはポリ マー化混合物に添加した場合、この反応は極めて高い分子量のポリマーおよび/ またはゲルを導くことがある。一般に、共重合試薬の量は、得られるポリマーの 所望の分子量および多分散性インデックスに応じて変化するであろう。共重合試 薬の実際上の下限は、ポリマー20モル毎に少なくとも1当量(当量=官能基の モル)の共重合試薬を有することである。より好ましくは、共重合試薬は、ポリ マー10モル毎に少なくとも1当量の共重合試薬のレベルで存在する。最も好ま しくは、共重合試薬は、ポリマー5モル毎に少なくとも1当量の共重合試薬のレ ベルで存在する。 共重合試薬の実際上の上限は、以下の理論的ゲル点(TGP)の保守的評価に基 づいて決定する。ポリマー1モルあたりの共重合試薬の当量で表すTGPは、次 のように概算する: TGP= f/f−1 [式中、fは共重合試薬の官能性である]。 共重合試薬の濃度は、好ましくは5xTGP未満であり、より好ましくは2xT GP未満であり、最も好ましくは1xTGP未満である。ポリマーのモル数は、 例えばゲル透過クロマトグラフィーによって測定されるように、開始剤の全モル 数から予め概算することができる。 f=1についてはTGPは無限大に向かい、ゲル化は起こり得ない。この場合 には、共重合試薬の最大量は好ましくはポリマー重量の50%未満であり、より 好ましくは10%未満である。 好ましくは、共重合試薬は生分解性であるか、またはポリマー中で生分解性残 基を形成し、従って、ラクチドと共重合試薬(即ち、非開始性ラクチド反応物質) の組合せも生分解性であり得る。 エポキシドに加えて、環状エステルを非開始性ラクチド反応物質として用いる ことができる。ラクトンなどの環状エステルを非開始性ラクチド反応物質として 用いることができる。エポキシドに関連して上で説明したように、1官能の環状 エステルを用いるときには、好ましくは、この非開始性の反応性基はその中に含 まれる非官能性ポリマー絡み合い基の末端に存在しているべきである。例えば、 多官能性の環状エステルを用いるときには、この多官能性環状エステルの非開始 性の反応性基は2つのポリラクチド鎖の間の架橋として働く。これらの機構の両 方が有意の分岐または架橋を与え、従って、ポリマー中の分子相互作用の増大を 与える。 得られるポリマーの加工性が損なわれない限り、成長を開始または停止するこ となく乳酸、ラクチドまたは成長中のラクチドポリマーと反応する種々の環状エ ステルを、非開始性ラクチド反応物質として用いることができる。これらの非反 応性ラクチド反応物質は、ポリラクチドの重合前または重合中に添加することが できる。 好ましくは、非開始性ラクチド反応物質として使用する環状エステルまたはラ クトンは、得られるポリラクチドポリマーの生分解性に応じて生分解性であるも のである。 また、多環状エステルを非開始性ラクチド反応物質として用いることもできる 。例えば、ビス−2,2−(E−カプロラクトン−4−イル)プロパンを使用する ことができる。他の使用し得る多環状エステルは米国特許3,072,680に挙げられ ている(この文献の開示は本明細書の一部を構成する)。 環状エステルを使用することの欠点は、現在これらが比較的高価である点であ る。しかし、その利点は、これらの反応物質が重合中にラクチドとほぼ同じ速度 で反応し得る点にあり、従って予測可能な均質な分岐ポリマーを製造し得る点に ある。 この節に記載した化合物および/または方法の全てを混合して、粘度が修飾さ れたポリラクチドポリマーを形成させることができる。例えば、1種類を越える 非開始性ラクチド反応物質をプレポリマー混合物に加えて、1種類を越える非開 始性ラクチド反応物質の残基を含有するポリマーを形成させることができる。化 学的に異なる種類の非開始性ラクチド反応物質を混合し、プレポリマー混合物に 加えることができる(例えば、環状エステルを含有する反応物質とエポキシドを 含有する反応物質の両方を用いることができる)。さらに、非開始性ラクチド反 応物質と開始性反応物質の両方をプレポリマー混合物に加えることができる。さ らに、本発明に従い、開始性反応物質および/または非開始性ラクチド反応物質 の代わりに、組合せ反応物質を用いることができる。さらに、組合せ反応物質を 開始性および/または非開始性ラクチド反応物質と混合して、本発明に従う分子 相互作用を促進することができる。制御された反応が可能な基を含有する開始性反応物質および/または非開始性ラ クチド反応物質の使用 線状ポリラクチド鎖の間の分子相互作用を促進する別手段は、重合反応中にそ れ自体は開始性または非開始性ではない基であるが、その代わり後に反応して線 状ポリマー鎖を連結することができる基をその中に有する、選択した開始性反応 物質および/または非開始性ラクチド反応物質を使用することによって供される 。例えば、反応物質分子がその中に1つの活性なヒドロキシ基を有する部分(即 ち、開始性の基)を含有し、この開始性反応物質分子中の他の部分に炭素−炭素 二重結合が存在している場合には、次の筋書が可能である。 この開始性の基を利用し、活性なヒドロキシ基の反応によって、炭素−炭素二 重結合部分が一方の末端近くに配置している1つの線状ポリマー鎖を形成させる ことができる。結果として、このような開始性反応物質分子を用いるときには、 得られるポリマー混合物は末端近くに炭素−炭素二重結合を有する種々のポリマ ー分子をその中に含有するであろう。これらの二重結合を種々の方法により制御 下に反応させて、線状ポリマー分子を互いに「連結」することができる。例えば 、 この炭素−炭素二重結合を、フリーラジカル重合が可能な追加のモノマーを含む かまたは含むことなく、後のフリーラジカル反応によって反応させることができ る。他の例として、非開始性ラクチド反応物質は、炭化水素鎖の一方の末端にエ ポキシ基を、そして該鎖の他の末端に炭素−炭素二重結合を有することができる 。この後者の場合には、炭素−炭素二重結合は、得られるPLAを基本とするポ リマー分子中のどこかに存在する非開始性ラクチドの残基からのペンダント基中 に配置されるであろう。 非開始性ラクチド反応物質として炭素−炭素二重結合および例えばエポキシド 基を含有する反応物質を用いるラクチドポリマーの製造方法は追加の工程を必要 とするが、この種の非開始性ラクチド反応物質は容易に入手することができ、ゲ ルおよび反応の制御を与える。この非開始性ラクチド反応物質は、ラクチドポリ マーの重合前または重合中のどちらかに加えられるであろう。エポキシドが反応 すると、炭素−炭素二重結合はさらにポリラクチド部分が反応する手段を与える であろう。即ち、この二重結合は、以下に説明するように、ポリマー間に架橋を 付与するように反応させることができるであろう。 使用することができる炭素−炭素二重結合を含有する非開始性反応物質は、米 国特許4,644,038(この特許の開示は本明細書の一部を構成する)の7〜8欄に記載 されており、以下のものを包含する:1,2−エポキシ−7−オクテン、グリシ ジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルウンデシレネート、 アリルグリシジルエーテル、メチルビニルグリシジルアミン、ビニル3,5−エ ポキシシクロヘキサン、アリル3,4−エポキシシクロヘキサン、3,4−エポキ シ−シクロヘキシルアクリレート、2,3−エポキシプロピル4−ビニルフェニ ルエーテル、2,3−エポキシシンナミルアクリレート、2,3−エポキシブチル メタクリレート、および、9,10−エポキシオレイルアクリレート。 一般に、本発明に従うこのような原則的適用のために好ましい開始性反応物質 および非開始性ラクチド反応物質は、その中に(好ましくは)末端ヒドロキシ、ア ミン、および/またはエポキシ基、ならびに、(好ましくは)末端炭素−炭素二重 結合または他の潜在的反応性の部分を有する開始性反応物質および非開始性ラク チド反応物質を含有するであろう。反応速度およびゲル形成は、これら種類の開 始性反応物質および/または非開始性ラクチド反応物質を用いたときに、さらに 良好に制御される。さらに、これら種類の開始性反応物質および非開始性ラクチ ド反応物質の多くは容易に入手することができる。これら開始性反応物質および 非開始性ラクチド反応物質は重合前または重合中に加えることができるが、二重 結合などの潜在的反応性の部分を反応させるために反応工程が必要になる。二重 結合を供したときには、これらを当分野で既知の任意の手段、例えばフリーラジ カル法の使用によって反応させることができる。後に行うこの反応工程は比較的 早いので、反応所要時間は大きく増加することはないであろう。 添加すべき二重結合を含有する開始性および/または非開始性ラクチド反応物 質の量は、特定の適用および使用する反応物質の種類に応じて変化する。通常は 、ポリマーの伸び粘度が十分に改善されるように、十分な開始性および/または 非開始性ラクチド反応物質を添加すべきである。しかし、ポリマーがその流動特 性を失い、加工が困難になるほど多くの開始性反応物質および/または非開始性 ラクチド反応物質は添加すべきではない。通常、約0.01〜約0.30当量の開 始性反応物質および/または非開始性ラクチド反応物質をポリマー1モルあたり に用いるべきであり、好ましくは約0.02〜約0.15モル/モルを用いるべき である。 重合中に不飽和結合を保護するために、フリーラジカル阻害剤を用いるべきで ある。本発明に従って使用し得るフリーラジカル阻害剤のいくつかの種類には、 次のものが含まれる:キノン類(例えば、p−ベンゾキノン、ヒドロキノン、2, 5−ジヒドロキシ−p−ベンゾキノン、1,4−ナフトキノン、および2,5−ジ フェニル−p−ベンゾキノン)、芳香族窒素化合物、トリニトロベンゼン、硫黄 、アンモニウムチオシアネート、ジニトロクロロベンゼン、2,2−ジフェニル −1−ピクリルヒドラジル、金属ハロゲン化物、2,6−ジ−t−ブチルクレゾ ール、第四アンモニウムハロゲン化物、ピクリン酸、クロラニル、4−アミノ− 1−ナフトール、銅、および銅化合物。ヒドロキシ基を含まないキノン類を用い るのが好ましい。この方法において使用するフリーラジカル阻害剤、開始性反応 物 質、および/または非開始性ラクチド反応物質の残基は可能なら生分解性である べきであり、これにより、得られるポリラクチドポリマーがその生分解性を失わ ないようにする。ラジカル阻害剤の量は反応条件に応じて変化する。少なすぎる ラジカル阻害剤をプレポリマー混合物に添加したときには、結合のかなりの部分 が保護されないであろう。多すぎるラジカル阻害剤を添加したときには、後の反 応を開始させるのが困難になるであろう。あらゆる与えられた系のための適切な 阻害剤の量は、実験により当業者が容易に決定することができる。一般に、炭素 −炭素二重結合を含む反応物質の重量を基準にして、約0.01〜1.0重量%の 阻害剤濃度が適当である。改善された溶融安定性のラクチドポリマーの製造 一般的に、本発明のラクチドポリマーは、ラクチドの重合によって製造する。 レオロジー改善のために長いポリマー鎖を相互作用させることに関して本明細書 中で明確にした改善を除いて、本発明のラクチドポリマーの製造のための一般的 方法は、グルーバーらの米国特許5,142,023および5,247,059に記載されている。 即ち、本明細書中に記載の方法は連続加工における使用によく適しており、バッ チ加工における使用に限定されない。本明細書に記載した修飾とともに、これら の方法を適用して、本発明の改善されたポリマーを得ることができる。 一般に、線状ポリマー間の相互作用を創出するための上記した種々の方法は、 以下の3種類の一般的様式の少なくとも1つで実施されるものと特徴付けること ができる:重合前にプレポリマー混合物に反応物質または開始剤を供給する;ラ クチド重合中に反応物質または開始剤を供給する;あるいは、ラクチド重合後に 反応物質または開始剤を供給することもある。第1の種類の修飾の例は、プレポ リマー混合物に開始性反応物質を供給する普通の方法である。第2の方法の例は 、重合中のラクチド混合物に非開始性ラクチド反応物質を供給することである。 第3の方法の例は、フリーラジカル開始剤を用いて、重合後にポリマー分子間に 結合を創出するように反応するポリマーラジカルを創製することである。一般的な溶融安定性ポリマー 本発明の好ましいラクチドポリマーは溶融安定性である。「溶融安定性」とは 、 一般的に、ラクチドポリマーが溶融加工法に供したときに、その物理的性質を適 切に維持し、加工装置を汚すかまたは覆うに十分な量で副産物を生成しないこと を意味する。この溶融安定性のラクチドポリマーは、通常のラクチドポリマーに 比べて分解の減少を示す。分解は溶融加工中に起こることを理解すべきである。 組成物の必要条件および安定化剤の使用は、このような分解の程度を、物理的性 質が溶融加工によって有意に悪影響を受けず、かつ不純物または分解副産物によ る汚れが起こらない点まで低下させる。 さらに、この溶融安定性ポリマーは、市販の溶融加工装置などの装置において 溶融加工し得るものであるべきである。また、このポリマーは、分子量および粘 度を保持すべきである。このポリマーは、溶融加工温度において十分に低い粘度 を有するものであって、溶融加工装置が例えばポリマー加工操作においてラクチ ドポリマーを機械的に押出し得るものであるべきである。また、十分に低い粘度 が得られる温度は、大きな分解が起こる温度よりも低いものであるべきである。 ラクチドポリマーが溶融安定性であるか否かを決定するための通常の試験は、 ラクチドポリマーの少量の脱蔵試料を密閉バイアルに入れ、このバイアルを18 0℃の油浴に入れることからなる。試料を15分および1時間の時点で取り出す 。溶融安定性のラクチドポリマーは、15分試料において2%未満のラクチドの 生成を示し、より好ましくは、1時間試料において2%未満のラクチドの生成を 示すであろう。安定化したラクチドポリマーが15分および1時間の両方の試料 において1%未満のラクチド含量を与えるのが一層好ましい。平衡時に、180 ℃で3.6重量%のラクチド濃度が存在する。 溶融安定なラクチドポリマー組成物は、例えば溶融混合中に導入し得る他のポ リマー種を含有することができる。混合し得る他のポリマーの例には、ポリ(ヒ ドロキシブチレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート/ヒドロキシバレレート)、 ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(カプロラクトン)、およびポリ(グリコリド)が含 まれるが、これらに限定はされない。混合されるポリマーは、生分解が可能、堆 肥化が可能であり、かつ毎年再生が可能な供給源から製造されるのが好ましい。ポリマー組成物 本発明の好ましい溶融安定性ラクチドポリマー組成物は、約10,000〜約 300,000の数平均分子量を有するポリラクチドポリマー鎖の混合物からな る。より好ましくは、数平均分子量は少なくとも50,000である。さらに好 ましい組成物においては、数平均分子量は約50,000〜約150,000の範 囲内である。一般に、モジュラス、引張強さ、破断点伸び率、衝撃強さ、曲げ弾 性率、曲げ強さなどの物理的性質は、ラクチドポリマー試料が閾値分子量より上 であるときには、統計学的に一定のままである。本発明のポリマー組成物の分子 量の下限は、溶融加工時に予測可能な物理的性質を有するラクチドポリマーを得 るために、約50,000以上であるのが好ましい。通常、分子量の増加に伴う 粘度の増加に基づいて、分子量の実際上の上限が存在する。高分子量のラクチド ポリマーを溶融加工するためには、溶融加工温度を高めてポリマーの粘度を低下 させるべきである。分子量の正確な上限は、必要粘度が異なり、さらに溶融加工 装置内の滞留時間も異なるであろうそれぞれの溶融加工適用に対して決定すべき である。即ち、それぞれの種類の加工システムにおける分解の程度も異なるであ ろう。あらゆる適用において粘度および分解の要件を満足させる適切な分子量上 限を決定することができると考えられる。 好ましくは、少なくとも約100,000であって1,200,000を越えな い重量平均分子量を有するようにポリマーを製造する。好ましい態様における溶 融安定性ラクチドポリマー組成物は、産物の所望の結晶状態に依存する。半結晶 性の産物のためには、ポリマー組成物は、約15重量%またはそれ以下のメソお よびD−ラクチドを、残りのL−ラクチドとともに含有するラクチド混合物を重 合させた反応産物である。より好ましくは、この反応混合物は、6重量%未満の メソおよびD−ラクチドを残りのL−ラクチドとともに含有するであろう。無定 形の産物のためには、通常、ポリマー組成物は、約6重量%またはそれ以上のメ ソ−およびD−ラクチドを、残りのL−ラクチドとともに含有するラクチド混合 物を重合させた反応産物である。より好ましくは、この反応混合物は、約9重量 %以上であって約50重量%未満のメソ−およびD−ラクチドを、残りのL−ラ クチドとともに含有するであろう。開示されている光学組成物は、1992年10月2 日に出願された米国特許出願No.07/955,690(この出願の開示は本明細書の一部 を構成する)においてグルーバーらが開示しているようなメソ−ラクチドを利用 する利点を含んでいる。 本発明に従い、プレポリマー混合物(即ち、ラクチドモノマー)は、ラクチドと ともに追加の環状エステルモノマーを含有することができる。例えば、ジオキサ ノン類(p-ジオキサノンなど)、ラクトン類(ε-カプロラクトンまたは4-バレロ ラクトンなど)、ジオキサン(ジオン)類(グリコリドまたはテトラメチル1,4− ジオキサン−2,5−ジオンなど)、またはエステル−アミド類(モルホリン−2, 5−ジオンなど)である。 好ましい溶融安定性ラクチドポリマー組成物における残留モノマー濃度は、そ れが存在するとしても、約2重量%未満である。好ましい組成物においては、ポ リマー中の残留ラクチドモノマーの濃度は約1重量%未満であり、より好ましく は、約0.5重量%未満である。加工装置における大きな汚れまたはプレートア ウトの問題のゆえに、モノマーを本発明の樹脂において可塑剤として使用すべき でないことが見い出された。通常、低レベルのモノマー濃度は最終的なポリマー を可塑化しないと考えられる。 溶融安定性ラクチドポリマー組成物中の水濃度は、それが存在するとしても、 約2,000ppm未満であるのが好ましい。より好ましくは、この濃度は約1, 000ppm未満であり、最も好ましくは、500ppm未満である。ポリマー の溶融安定性は、水分含量によって大きく影響される。従って、溶融安定性ポリ マーは、溶融加工前に水を除去しておくべきである。水濃度は、重合したラクチ ドを樹脂に加工する前に減少させ得ることがわかっている。従って、既に乾燥し た樹脂に水分が接触するのを防止するように樹脂を梱包することによって、水分 の制御を行うことができる。別法によれば、乾燥機において溶融加工工程の直前 に溶融加工者の設備で水分含量を減少させることもできる。水の存在は分子量の 過剰の損失を引き起こすことがあり、これが溶融加工されたポリマーの物理的性 質に影響を及ぼすこともあることが見い出されている。 本発明の好ましい組成物においては、黄変および分子量低下を減少させるため のある種の安定化剤をそれに十分な量で、溶融安定な組成物中に含有させる。本 発明のポリマー組成物において有用な安定化剤には、酸化防止剤および/または 水捕捉剤が含まれる。好ましい酸化防止剤は、ホスファイト含有化合物、障害性 フェノール化合物または他のフェノール化合物である。有用な酸化防止剤には、 トリアルキルホスフェート、混合アルキル/アリールホスフェート、アルキル化 アリールホスフェート、立体障害アリールホスフェート、脂肪族スピロ環式ホス フェート、立体障害フェニルスピロ環式化合物、立体障害ビスホスホナイト、ヒ ドロキシフェニルプロピオネート、ヒドロキシベンジル、アルキリデンビスフェ ノール、アルキルフェノール、芳香族アミン、チオエーテル、障害性アミン、ヒ ドロキノンなどの化合物およびこれらの混合物が含まれる。市販の安定化剤が試 験され、これらは本発明の溶融安定性ラクチドポリマー組成物の範囲内にある。 生分解性の酸化防止剤が好ましい。 溶融安定性ラクチドポリマー組成物の好ましい態様において使用することがで きる水捕捉剤には、カーボンジイミド、無水物、塩化アシル、イソシアネート、 アルコキシシラン、および乾燥性物質、例えば粘土、アルミナ、シリカゲル、ゼ オライト、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸ナトリウム、炭酸水素塩また は水を結合する他のあらゆる化合物が含まれる。水捕捉剤は、生分解性または堆 肥化可能であるのが好ましい。 本発明の溶融安定性ラクチドポリマー組成物の製造においては、ラクチド重合 のための反応を触媒させるのが普通である。多くの触媒が、ラクトンの開環重合 において使用するために文献に挙げられている。これらには、SnCl2、SnBr2 、SnCl4、SnBr4、アルミニウムアルコキシド、スズアルコキシド、亜鉛アル コキシド、SnO、PbO、Sn(2−エチルヘキサノエート)、Sb(2−エチルヘ キサノエート)、Bi(2−エチルヘキサノエート)、Na(2−エチルヘキサノエー ト)(八隅子類と呼ばれることもある)、Caステアレート、Mgステアレート、Zn ステアレート、およびテトラフェニルスズが含まれるが、これらに限定はされな い。また、出願人は180℃でラクチドを重合させるための触媒をいくつか試験 した。 これらの触媒には、スズ(II)ビス(2−エチルヘキサノエート)[T-9、アトケム (Atochem)]、ジブチルチンジアセテート[ファスキャット(Fascat)4200R、ア トケム]、ブチルチントリス(2−エチルヘキサノエート)[ファスキャット910 2R、アトケム]、水和モノブチルチンオキシド[ファスキャット9100R、アト ケム]、アンチモントリアセテート[S-21、アトケム]、およびアンチモントリ ス(エチレングリコキシド)[S-24、アトケム]が含まれる。これら触媒の中で 、スズ(II)ビス(2−エチルヘキサノエート)、ブチルチントリス(2−エチルヘ キサノエート)およびジブチルチンジアセテートが最も効果的なようである。 ラクチド重合のための触媒の使用は樹脂産物の安定性に大きく影響することが 見い出された。ポリマー中に導入された触媒は、逆の解重合反応を触媒するのに も有効であるようである。この陰性の効果を最小にするために、好ましい組成物 においては、樹脂中の残留触媒量は、モノマーと触媒のモル比が3,000以上 :1、好ましくは5,000以上:1、最も好ましくは10,000以上:1で存 在する。20,000:1の比を用いることもできるが、重合が遅くなると考え られる。触媒量がこれらのバラメーター内に制御されたときには、触媒活性は、 ラクチドを重合するに十分であり、その一方で、悪影響を及ぼすことなく溶融加 工を可能にするに十分に低いことが見い出された(10,000〜約300,00 0の数平均分子量のポリマーにおいて上記のように低い残留モノマー量および低 い水濃度と組合せたとき)。大部分の適用において、触媒量が最適化されている ときには安定化剤の添加は不要であると考えられる。 また、溶媒からの沈澱によって重合後に触媒濃度を減少させ得ることが見い出 された。これにより、触媒濃度が減少した樹脂が得られる。別の態様においては 、触媒不活性化剤をポリラクチドポリマー鎖の触媒的解重合を減少させるに十分 な量で溶融安定性ラクチドポリマー組成物中に含有させることによって、重合中 に溶融安定性ラクチドポリマー組成物中に導入されたポリラクチドポリマー鎖を 形成させるためのラクチド重合を触媒させるための触媒手段を不活性化する。こ のような触媒不活性化剤には、障害性のアルキル、アリールおよびフェノール性 ヒドラジド、脂肪族および芳香族モノおよびジカルボン酸のアミド、環状アミド 、 脂肪族および芳香族アルデヒドのヒドラゾンおよびビスヒドラゾン、脂肪族およ び芳香族モノおよびジカルボン酸のヒドラジド、ビスアシル化ヒドラジン誘導体 、ならびに複素環式化合物が含まれる。好ましい金属不活性化剤は、チバ-ガイ ギー(Ciba-Geigy)からのイルガノックス(IrganoxR)MD1024である。 別の態様においては、固体に支持された触媒をラクチドの重合に用いることに よって、触媒濃度をゼロ近くまで減少させる。利用し得る触媒には、支持された 金属触媒、固体の酸触媒、酸粘土、ケイ酸アルミナ、アルミナ、シリカおよびこ れらの混合物が含まれると考えられる。 好ましい溶融安定性ラクチドポリマー組成物は、約160℃より高い温度でラ クチドを重合させた反応生成物である。より高い温度での重合は、重合中のエス テル交換反応の増加によって、より高い溶融安定性を有すると考えられる性質の 異なるポリマーを与える結果になることを見い出した。 ラクチドポリマー組成物を被覆剤として用いるときには、係属中の米国出願N o.08/034,099(この出願は、1993年3月22日に出願されたものであり、米国出願N o.07/955,690の一部継続出願である;この出願の開示は本明細書の一部を構成す る)に記載されているように、ポリマーの被覆特性を改善するためにポリマー配 合物中に可塑剤を含有させることができる。さらに詳しくは、可塑剤はポリ(ラ クチド)のガラス転移温度を低下させ、これが、比較的低い温度でのポリマーの 加工および被覆を助け、柔軟性を改善することができ、そして被覆した生成物の クラッキング傾向を減少させる。 可塑剤の選択は、多くの可能性ある化合物のスクリーニングおよびいくつかの 基準の考慮を必要とする。生分解性の被覆に用いるためには、好ましい可塑剤は 、生分解性であり、非毒性であり、樹脂に適合するものであり、そして比較的揮 発性の低いものであるべきである。 アルキルもしくは脂肪族エステル、エーテル、および多官能エステルおよび/ またはエーテルの一般的種類の可塑剤が好ましい。これらには、アルキルホスフ ェートエステル、ジアルキルエーテル ジエステル、トリカルボン酸エステル、 エポキシ化油およびエステル、ポリエステル、ポリグリコールジエステル、アル キ ル アルキルエーテル ジエステル、脂肪族ジエステル、アルキルエーテル モノ エステル、クエン酸エステル、ジカルボン酸エステル、植物油およびそれらの誘 導体、およびグリセリンのエステルが含まれる。最も好ましい可塑剤は、トリカ ルボン酸エステル、クエン酸エステル、グリセリンのエステルおよびジカルボン 酸エステルである。これらのエステル類は、生分解性であることが既にわかって いる。芳香族基またはハロゲンを含有する可塑剤は、これらの環境に対する可能 性ある負の影響のゆえに好ましくない。 例えば、適当な非毒性の性質は、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリ エチル、クエン酸トリ-n-ブチル、クエン酸アセチルトリ-n-ブチル、クエン酸ア セチルトリ-n-ヘキシル、クエン酸n-ブチリルトリ-n-ヘキシルおよびアジピン酸 ジオクチルによって示される。 適当な適合性は、クエン酸アセチルトリ-n-ブチルおよびクエン酸トリエチル によって示される。他の適合性の可塑剤には、ポリ(ラクチド)と混合することが でき、そしてポリ(ラクチド)と相溶することができるかまたは機械的に安定な混 合物を形成するあらゆる可塑剤または可塑剤の組合せが含まれる。トウモロコシ 油および鉱油は、相分離(機械的に安定ではない)および可塑剤の移動のゆえに、 単独で用いたときにポリ(ラクチド)に適合しないことが見い出された。 揮発性は、可塑剤の蒸気圧によって測定する。適当な可塑剤は十分に非揮発性 であって、被覆を調製するのに必要な工程中に可塑剤が樹脂配合物中に実質的に 残っているものでなければならない。過剰の揮発性は加工装置の詰まりを導くこ とがあり、これは、高いラクチド含量のポリ(ラクチド)を溶融加工することによ ってフィルムを製造するときに観察される。好ましい可塑剤は、170℃で約1 0mmHg未満の蒸気圧を持つべきであり、さらに好ましい可塑剤は、200℃で 10mmHg未満の蒸気圧を持つべきである。好ましい可塑剤ではないラクチドは 、170℃で約40mmHgの蒸気圧を有している。 ある種の適用のための好ましい組成物においては、貯蔵および輸送中の被覆生 成物のブロッキングまたは粘着を防止するために充填剤が有用になることがある 。無機充填剤には、表面改質されたかまたはされていない粘土および鉱物が含ま れ る。その例には、タルク、シリカ、マイカ、カオリン、二酸化チタンおよびウォ ラストナイトが含まれる。好ましい無機充填剤は、環境的に安定であり、非毒性 である。タルクなどの一部の充填剤は、核剤として作用し、結晶化速度を増大さ せることが見い出された。 有機充填剤には、改質が為されたかまたは為されていない種々の森林および農 産物が含まれる。その例には、セルロース、コムギ、デンプン、改質デンプン、 キチン、キトサン、ケラチン、農産物から誘導したセルロース物質、グルテン、 果皮粉末、木材粉末、トウモロコシ穂軸粉末およびグアールガムが含まれる。充 填剤は、単独で、または2もしくはそれ以上の充填剤の混合物として用いること ができる。 また、表面処理を用いてブロッキングを減少させることができる。このような 処理には、ポリ(ラクチド)に基づく被覆と隣接表面の間の表面接触を減少させる 物質による表面の粉付けが含まれる。表面処理に用いることができる物質の例に は、タルク、シリカ、トウモロコシデンプン、トウモロコシ粉、ラテックス球ま たは他の粒子が含まれる。セライト(Celite)社から市販されているセライトスー パーフロス(CeliteR Super Floss)が有効であることがわかった。 ある種の適用のためには、被覆が良好な滑り特性を有しているのが望ましい。 フッ素ポリマー粉末またはグラファイトなどの潤滑性固体が、滑り特性を増大さ せるために原料中に導入されることがある。溶融状態のための潤滑剤として普通 に用いられる脂肪酸エステルまたは炭化水素ワックスは、非常に高い濃度で用い たときに徐々に滲出し、これによって永続的な潤滑作用を生じる。ある種の添加 物は冷却中であっても表面に非常に強く移動するので、均一な目に見えないほど 薄い被膜が形成される。従って、これらのスリップ剤は、自動包装機において使 用する被膜を製造する際に重要になるであろう。 帯電防止剤を本発明において使用することができる。帯電防止剤は、陽イオン 、陰イオン、および非イオン性の物質にさらに分類し得る界面活性剤である。 また、顔料または着色剤を必要に応じて添加することができる。その例には、 二酸化チタン、白土、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、シリカ、ケイ酸塩、酸 化鉄および水酸化鉄、カーボンブラックおよび酸化マグネシウムが含まれる。 さらに、得られたポリラクチドは、同等の分子量の線状の非官能化ポリラクチ ドと比較したときに、ネックインの減少を示すべきである。ポリラクチドのネッ クインが減少したか否かを測定するために、当分野で周知のあらゆる方法を用い ることができる。以下の方法を用いることができる。ポリラクチドポリマーのフ ィルムを以下の条件下で押出す。適当なフィルムダイを備えた押出機、例えば、 6インチのフィルムダイと冷却ロール層(スタック)を備えた1インチ押出機を用 いる。この押出機を、試験ポリマーと同等の数平均分子量を有する線状ポリマー を用いて押出キャストフィルムを製造するのに適した条件に設定する。この線状 ポリラクチドの数平均分子量は、線状度の低いポリラクチド試験試料の20%以 内であるべきである。ポリラクチドのための通常のダイ温度は、160〜約18 0℃である。押出機速度および引取りロール速度は、約0.5〜約3.0ミルの厚 みのフィルムが得られるように調節する。ネックインは、ダイの幅から最終フィ ルムの幅を引いたものとして測定する。試験ポリマーは線状の対照ポリマーと同 じ条件で行うべきであり、試験試料のネックインは同じ方法で測定すべきである 。ネックイン比は、試験試料(修飾された)ポリマーのネックインを線状の対照ポ リマーのネックインで割ったものである。有意の改善は、約0.8未満のネック イン比が得られたときである。好ましい改善は、ネックイン比が約0.4未満で あるときである。溶融安定性ラクチドポリマーの加工 溶融安定性ラクチドポリマーの製造方法は、グルーバー(Gruber)らが米国特許 5,247,059および5,244,073に開示している方法において調製しているような精 製ラクチド混合物を最初に提供する工程を包含するが、このラクチドの供給源は 本発明の方法にとって重要ではない。 このラクチド混合物を、ラクチドの重合を触媒してポリラクチドを形成させる ための触媒手段の存在下に重合させて、若干の残留する未反応モノマーを含むラ クチドポリマーまたはポリラクチドを形成させる。このような重合に適する触媒 は先に列挙した。使用する触媒の濃度は、先に記したようにして最適化すること ができる。 好ましい態様においては、上記のような安定化剤(これらは酸化防止剤および /または水捕捉剤であってよい)をラクチドポリマーに加える。このような安定 化剤は、ラクチドポリマーを形成させるためのラクチド重合と同時またはその前 に加えることができる。また、この安定化剤は重合後に加えることもできる。 次いで、このラクチドポリマーを脱蔵して未反応モノマーを除去する。この未 反応モノマーは、分解反応または平衡に導かれたポリラクチド解重合の副産物で あることもある。また、ポリマー中に存在するであろう全ての残留水も脱蔵中に 除去されるであろうが、水濃度を約1,000ppm未満に低下させるために別 個の乾燥工程が利用されるであろう。このラクチドポリマーの脱蔵は、任意の既 知の脱蔵法で行ってよい。方法の選択の鍵となるのは、高温で、そして通常は真 空条件下で操作して、ポリマーから揮発性成分を分離させることである。このよ うな方法には、撹拌タンク脱蔵または溶融押出法(脱蔵チャンバーを含む)などが 含まれる。 溶融安定性ラクチドポリマー組成物の好ましい製造方法においては、ラクチド の重合を触媒させる前に、ラクチドに分子量制御剤を添加する工程が含まれる。 分子量制御剤には、活性水素を保持する化合物、例えば、乳酸、乳酸のエステル 、アルコール、アミン、グリコール、ジオールおよびトリオール(これらは、連 鎖開始剤として機能する)が含まれる。このような分子量制御剤を、ポリラクチ ドの数平均分子量を約10,000〜約300,000の間に制御するに十分な量 で加える。 次に、溶融安定性ラクチドポリマー組成物を製造するための好ましい方法を説 明する図1を参照する。ラクチド混合物を、パイプライン(1)から混合容器(3)に 入れる。ラクチド重合のための触媒も、パイプライン(13)から加える。混合容器 (3)中に、安定化剤をパイプライン(2)から加えることができる。また、水捕捉剤 をパイプライン(2)から加えることもできる。この安定化したラクチド混合物を 、パイプライン(4)から重合工程(5)に供給する。この重合工程は160℃を越え る温度で行ってよい。この重合されたラクチドまたはラクチドポリマーは、パイ プ ライン(6)を通って重合工程を離れる。この流れを第2の混合容器(8)に供給し、 この容器中で、安定化剤および/または触媒不活性化剤をパイプライン(7)から 加えることができる。次いで、この安定化したラクチドポリマー組成物を、パイ プライン(9)から脱蔵工程(10)に供給する。揮発性成分はパイプライン(11)を通 って脱蔵工程を離れ、脱蔵されたラクチドポリマー組成物はパイプライン(12)を 通って脱蔵工程(10)を離れる。この脱蔵されたラクチド組成物を樹脂仕上げ工程 (14)に供給する。この樹脂仕上げ工程中に、ポリマーを固化および加工して、ペ レット化したかまたは顆粒状の樹脂またはビーズを形成させる。ポリマーを固化 および加工して初めに樹脂またはビーズを形成させ、次いで脱蔵することもでき る。次いで、この樹脂を輸送手段(15)によって乾燥工程(16)に供給する。この乾 燥工程(16)中で、水分をパイプライン(17)から蒸気として除去する。この乾燥し たラクチドポリマー樹脂は輸送手段(18)によって乾燥工程(16)を離れ、溶融加工 装置(19)に供給される。この溶融加工装置(19)中で、樹脂を上記のような有用な 物品に変換する。この有用な物品は、輸送手段(20)によって溶融加工装置(19)を 離れる。図1に示した工程は、容易に連続法として実施することができる。 本明細書中に記載したような改善されたポリマーを得るために使用し得る種々 の物質(例えば、ラジカル開始剤、非開始性反応物質または開始性反応物質)を、 工程中の種々の時点で添加することができる。例えば、混合容器3において、重 合反応器において、容器8において、脱蔵10において、あるいは、その後の加 工工程において。 有用な物品の1つの例は、被覆された紙物品である。紙を被覆する代表的な方 法は、米国出願 No.08/034,099(1993年3月22日出願;この出願は本明細書の一部 を構成する)に記載されているように、移動している基材にダイから溶融物を押 出すことによる。この被覆工程の後、紙をカレンダーに掛けて平滑性および光沢 などの表面特性を改善することができる。このカレンダー工程において、被覆さ れた紙は交互の硬および軟ロールを通り、これが表面を改善し、表面の面輪郭を 滑らかにまたは平坦にしながら光沢を生じることが多い。 実施例 実施例1〜10および16〜18は、配置(5)〜(8)に関連して先に説明した 非開始性ラクチド反応物質を用いる方法および組成物を開示するものである。実 施例11〜15は、先に説明した過酸化物およびフリーラジカル反応を用いる方 法および組成物を開示するものである。これら実施例において、Mnは、ゲル透 過クロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量であり、Mwは、GPC による重量平均分子量である。Mzは、ある分子量の分子の数と該分子量の3乗 の積の総和を、ある分子量の分子の数と該分子量の2乗の総和で割ったものであ る。 実施例1 ラクチドとエポキシ化大豆油およびエポキシ化タール油との共重合 エポキシ化大豆油[フレキソール(FLEXOLR)EPO、ユニオン カーバイド(Unio n Carbide)から市販]およびエポキシ化タール油[フレキソールEP8、ユニオン カーバイドから市販]を、別々にラクチドと共重合させた。ホスファイトを基本 とする工程安定剤[ウェストン(Weston)TNPP、ゼネラルエレクトリック(Gene ral Electric)から市販]を、0.4重量%でラクチドに加えた。テトラヒドロフ ラン担体中の触媒[2−エチルヘキサン酸のスズ(II)塩、アルドリッチ社(Aldric h Co., Milwaukee, WI)から]を、1部の触媒/10,000部のラクチドのモル 比で加えた。溶融ラクチド、エポキシ化油、安定剤および触媒の混合物をバイア ル中に封入し、180℃で2.5時間重合させた。次いで、この試料をクロロホ ルムに溶解し、ウォーターズ クロマトグラフィー(Waters Chromatography)から のウルトラスチラゲル(UltrastyragelR)IRカラムおよび屈折率検出器を用いて ゲル透過クロマトグラフィーによって分析し、得られた共重合樹脂の重量平均お よび数平均分子量を測定した。この系の温度は35℃であり、GPCカラムはポ リ(スチレン)標準に対して検量した。これら試験の結果を表1に示す。 エポキシ化大豆油の結果は重量平均分子量の有意の増加を示すが、これは共重 合中の連結または架橋の機構を示すものである。これは、大部分のエポキシ化大 豆油分子中に含まれる複数のオキシラン官能基(平均で約4.6オキシラン酸素/ 分子)に起因すると考えられる。エポキシ化タール油コポリマーは重量平均分子 量の増加を示さないが、これは恐らくは、タール油分子のそれぞれが平均で約1 つのオキシラン基しか含んでいないためであろう。エポキシ化タール油およびエ ポキシ化大豆油の両方の結果は共重合の反応速度の増加を示し、モノマーの96 %の変換が達成されるが、一方、対照の反応は71%の変換を示すにすぎない。 実施例2 共重合試薬としてエポキシ化亜麻仁油の例 実施例1の記載と同様にして、ラクチドの連続パイロットプラント重合にエポ キシ化亜麻仁油を加えることによって、共重合ポリ(ラクチド)を製造した。これ は、1:2の重量比のTNPPおよびエポキシ化亜麻仁油[フレキソール可塑剤 LOE、ユニオンカーバイドから]の溶液を、10g/時の速度で連続重合に加え 、エポキシ化油のラクチドに対する重量比が0.55になるようにして行った。 乳酸を連続パイロットスケールの反応器中でラクチドに加工し、蒸留によって精 製し、連続重合反応器の系に供給した。この重合系は、連続した1ガロンおよび 5ガロンの反応器からなっていた。これら反応器は、連続供給の撹拌タンク反応 器であった。ラクチドの供給速度は1.1kg/時であり、触媒であるスズ(II)ビ ス(2−エチルヘキサノエート)[T-9、アトケム(Atochem)から]は0.03重量 %の割合で加えた。ホスファイト工程安定剤[ウェストンTNPPR、ゼネラルエ レクトリックから]を、0.3重量%の割合で加えた。反応器の温度は190〜2 00℃であった。得られたポリマーペレットを8時間毎に袋に詰め、試料I〜 VIIと表示した。これらペレットを乾燥し、GPC分析用に集めた。合計の運転 時間は52時間であり、60kgの物質を得た。乾燥後のGPCの結果 次いで、得られた物質を脱蔵工程に付して残留量の未反応モノマーラクチドを 除去した。脱蔵後に試料III〜VIIを混合し、以後の試験に用いた。脱蔵後に混合 した分画の分子量は、Mn 75,000、Mw 325000、PDI 4.3であ り、残留ラクチド量は、GPCで測定して0.5%未満であった。 実施例3 エポキシ化油を用いるバイアル重合が重合速度に効果を示す例 アルドリッチ ケミカル社(Aldrich Chemical Company)から2−エチルヘキサ ン酸スズ(II)塩として市販されているスズ(II)ビス(2−エチルヘキサノエート) 、およびエポキシ化亜麻仁油[フレキソールR可塑剤LOE、ユニオンカーバイド から]をバイアル中に入れた。次いで、0.4重量%の安定剤(ウェストンTNP P)を含む90% L−ラクチドと10% D,L−ラクチドの溶融混合物をこのバ イアルに加えた。エポキシ化油を含まずに同一設定のものを調製した。それぞれ の場合において、最終触媒濃度は5000部のラクチドあたり1部の触媒であり 、エポキシ化油は最終反応混合物の1重量%であった。この溶液を密封し、18 0 ℃の油浴中に入れた。試料を時間毎に抜取り、GPCによって分子量およびラク チド変換度を分析した。 溶融ラクチドをそれぞれのバイアルに入れる前にこの溶融ラクチドに触媒およ びエポキシ化油を加えたことを除き、上記の実験を繰返した。 両実験の結果を、それぞれ表3および表4に示す。エポキシ化油は、それぞれ の研究において重合反応速度が増大する結果を与えた。また、重量平均分子量お よびPDI(多分散インデックス)もより高い。 実施例4 通常の押出し温度でのキャストフィルム 対照ポリマーおよび本発明のコポリマーのフィルムを押出した。その条件およ び結果は次の通りである。押出機 装置:3層冷却ロールから約1/2インチずらした6”キャストシートを有す るキリオン(Killion)1”押出機 30/1 L/D比。 温度(°F)を以下に挙げる。 これらの結果は、エポキシ化亜麻仁油と共重合されたポリ(ラクチド)が比較的 低い電力消費および加圧下に加工され、ネックインの減少したポリマーを与える ことを示す。 実施例5 押出し温度を低下させたときのキャストフィルム ポリ(ラクチド)対照ポリマーから、および実施例2に記載した本発明のコポリ マーから製造される別々のフィルムを、種々の条件下で押出した。次いで、得ら れたフィルムを標準的な測定方法を用いて評価した。押出し条件およびこの評価 から集めたデータを以下に示す。 同様の押出し温度のもとで、対照のポリ(ラクチド)は、電力消費が最大レベル を越えたので(>15amp)、操作できなかった。これらの結果は、エポキシ化亜 麻仁油とともに重合させたポリ(ラクチド)が比較的低い温度で加工される利点を 有し、そして、溶融強度が高く、ネックインが比較的少ないポリマーおよび比較 的厚みの小さいフィルムを与えることを示す。 実施例6 エポキシ化亜麻仁油を含む基本ポリ(ラクチド)のブローフィルム ラクチドのエポキシ化亜麻仁油とのコポリマーを実施例2の記載のようにして 調製し、3.0〜0.5ミルの厚みで8インチ幅のフィルムにブローした。このブ ローフィルムのラインは、2.25インチのブローフィルムダイを装着したキリ オン(Killion)1”押出機 30:1 L/D比に接続したキリオン塔からなって いた。ダイから塔ニップロールまでの距離は、2.5フィートであった。 ブローフィルムラインの運転は非常に円滑であった。 実施例7 ヒドロキシル開始剤の使用および分子量に対する影響 L−ラクチドを窒素下に溶融し、触媒[スズ(II)ビス(2−エチルヘキサノエー ト)、スズとラクチドの1:5000のモル比]を加えた。開始剤を、開始剤とラ クチドの1:500モル比で加えた。この試料を、80℃で2時間重合させた。 次いで、試料を粉砕し、125℃および10mmHgの圧力で一晩脱蔵した。試料 を再粉砕し、クロロホルムに溶解し、そして、ポリスチレン標準に対してゲル透 過クロマトグラフィー(GPC)によって分析した。これらの結果を以下に示す。 2−EHMPDは、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジ オールである。数平均分子量は、ヒドロキシル開始剤を加えたときに予想される 値と一致する。低いPDI(PDI<2)は、多官能性の開始剤に対して最も可能 性の高い分布に一致する。このPDIは、ラクチドのバイアル重合に対して通常 見られる約2.0のPDIよりも低い。 実施例8 ラクチド/エポキシ化大豆油の共重合 ラクチドを、連続パイロットラインにおいてエポキシ化大豆油と共重合させた 。この供給物は、0.25重量%のエポキシ化大豆油[パラプレックス(Paraplex) G−62;シー・ピー・ホール(C.P.Hall)]、0.1重量%のPNPG工程安定剤 [ウェストン]、および0.03重量%の触媒[スズ(II)ビス(2−エチルヘキサノ エート)]を含有していた。連続した2つの後混合反応器(1ガロンおよび5ガロ ン)を用いた。反応温度は約215℃であり、反応器は約75%満たした。 このコポリマーは、約70,000の数平均分子量および約210,000の重 量平均分子量を有し、約3.0のPDIを与えた。同様の条件下ではあるがエポ キシ化油を含まないときには、このパイロットラインは、2.1〜2.5のPDI および同等の数平均分子量を有するポリ(ラクチド)を与えた。 実施例9 エポキシ化大豆油で修飾したPLAを用いたキャストフィルムにお けるネックイン 通常の線状ポリ(ラクチド)および実施例8のエポキシ化大豆油と共重合させた 線状度の低いポリ(ラクチド)を用いて、キャストシートを押出すときの挙動の比 較を行った。この試験は、6”キャストシートダイに接続した30/1 L/D の1”キリオン押出機を用いて行った。ダイは、3ロール冷却スタックから約1 /2インチであった。押出機ダイの温度は345°Fであり、冷却ロールは10 0°Fであった。以下に挙げる表は、基本ポリ(ラクチド)および修飾ポリマーに ついて測定した電力使用、ダイ圧力、およびフィルムのネックイン(ダイの幅− 最小シート幅)を示す。引取り設定は一定に保った。 実施例10 エポキシ化大豆油で修飾されたPLAによるカーテン被覆 線状ポリ(ラクチド)と実施例8の修飾ポリ(ラクチド)コポリマーの比較を、押 出しカーテン被覆ラインで行った。線状ポリ(ラクチド)は95,000の数平均 分子量と2.34のPDIを有し、修飾ポリマーは70,000の数平均分子量と 3.08のPDIを有していた。 押出しカーテン被覆ラインは、垂直13”コートハンガーダイに接続した24 :1のL/Dを有する1.5”押出機からなっていた。この押出機を425°F のダイ温度で操作した。ポリマーを、150フィート/分の速度で15ポンド基 本重量のクラフト紙に被覆した。ダイは基材の3”上に保持した。ポリマーの押 出量を押出機のスクリュー速度によって変化させ、種々の厚みの被覆を得た。以 下の表に、種々のスクリュー速度での電力消費、被覆厚み、およびネックイン量 (ダイ幅−最小被覆幅)を示す。 線状ポリマーは非常に不均一な被覆挙動を示し、被覆の縁が内と外を縫うように なっており、不均一な幅の被覆が得られた。両材料は紙に対して優れた密着を示 し、裂け目またはゲルのない被覆を与えた。 実施例11 可塑化したポリ(ラクチド)の過酸化物処理 可塑剤として10.5重量%のアセチル トリ-n-ブチル シトレートを含むポリ (ラクチド)を、0.25%および0.5%過酸化ジクミルと混合した。この過酸化 物はアセトン中の50%溶液としてペレットに霧状にかけ、次いで、室温で3時 間真空乾燥してアセトンを除去した。次に、このペレットを4.5分の保持時間 とともに180℃で射出成形した。分子量をGPCによって測定した。還流アセ トンに1%で3時間溶解し、そして濾過した後に残る残留物として、ゲル含量を 測定した。以下の表は、処理後の分子量プロフィールの変化を示す。高分子量成 分の増加は、過酸化物に誘導される架橋による橋架けに対応する。 0.25%処理した試料はわずかに濁っており、0.5%処理した試料は曇りかつ 濁っていた。ガラス転移温度、融点、アニール結晶度(%)、破断応力、モジュラ ス、および熱変形温度の物性は変わらなかった。 実施例12 過酸化物処理/キャストフィルムのネックイン ポリ(ラクチド)のペレットを0.2重量%のルーパーゾル(Lupersol)101ま たはルーパーゾルTBEC[ELFアトケム]のどちらかで被覆し、6”ダイを用 いて押出機で加工して押出しキャストフィルムを調製した。この押出機のダイ温 度は335°Fであり、約4分の滞留時間であった。以下の表は、GPCで測定 したときの分子量分布およびアセトン不溶分で測定したときのゲル含量を示す。 全てのフィルムが透明であった(濁りはなかった)。 ネックインを、ダイ幅−フィルム幅として測定した。 実施例13 過酸化物処理/キャストフィルムのネックイン 可塑剤(アセチル トリ-n-ブチル シトレート)と過酸化物[エチル 3,3-ビス- (t-ブチルペルオキシ)-ブチレート][ELFアトケムからルーパーコ(Luperco)2 33XLとして市販]の混合物を、ライストリッツ(Leistritz)二軸スクリュー押 出機を用いて、ポリ(ラクチド)および4重量%のセライト・スーパー・フロス(C elite Super Floss)[セライト]珪藻土と配合した。この物質をペレット化し、乾 燥した。この物質は、以下に示す分子量を有していた。 過酸化物量の増加に伴うMwおよびPDIにおいて観察される高分子量成分の増 加が明瞭に示されている。 6”押出しダイを用い、押出しキャストフィルム条件のもとで、試料のネック インを試験した。このネックインは、ダイ(6”)の幅−実際のシート幅(インチ) として測定する。以下に挙げる値は、押出機スクリュー速度の関数として得た。 過酸化物の増加は、全てのスクリュー速度でネックインを明らかに減少させた。 以下に挙げるampおよびダイ圧力を、種々のスクリュー速度で測定した。全 ての試験の溶融温度は165〜172℃であった。 フィルム1とその他の間のampおよびダイ圧力の大きな低下は、恐らく、他の 配合物中への可塑剤の添加によるものであろう。過酸化物の効果を見るために、 フィルム3と5(一定の15%可塑剤のもとで0.25%および1%過酸化物)お よびフィルム4と6(一定の20%可塑剤のもとで0.50%および1%過酸化物 )を比較する。過酸化物はアンペア数のわずかな減少を引き起こしたようである が、ダイ圧力に対する効果ははっきりしない(恐らくは増加)。 実施例14 過酸化物処理/ブローフィルムの結果 実施例13の試料3、4、5および6を、キリオン塔および2.25”ブロー フィルムダイを備えたキリオン押出機を用いて、2ミルにブローした。これら材 料は、線状ポリ(ラクチド)よりも困難性が少なくブローフィルムに形成された。 引張およびトラウザー(trouser)引裂試験結果からのフィルムの性質を以下に示 す。引張試験はASTM D882に示され、トラウザー引裂試験はASTM D 1938に例示されている。 実施例15 細管レオメトリーによって測定したときの剪断粘度に対する過酸 化物処理の影響 実施例13の方法と同様にして調製した15%可塑剤と種々レベルの過酸化物 (ルーパーコ233XL)を含む一連のポリマーを、175℃の温度で細管粘度計 を用いて試験した。これらの粘度データを以下の表に示す。 これらのデータは、過酸化物レベルが高くなると見掛け剪断密度が増大すること を示している。これは、架橋による分子量の増大に対応する。 実施例16 固有粘度と分子量データ 一連の線状非官能化ポリ(ラクチド)試料を、分子量制御剤として添加した乳酸 を用い、バイアル重合によって調製した。これらの試料を乾燥および脱蔵し、次 いで、GPC分子量測定(ポリスチレン標準に対して)および固有粘度(IV)のた めにクロロホルム中に溶解した。これらGPCおよび固有粘度の両方は、35℃ で行った。固有粘度測定は、標準操作に従い、3またはそれ以上の濃度ポイント で行い、ゼロ濃度に外挿した。 また、実施例2のエポキシ化亜麻仁油との分岐ポリ(ラクチド)コポリマーもこ のようにして試験した。 これらの結果を図2に示すが、この図においては、ln(IV)をln(見掛け 重量平均分子量)に対してプロットしている(I.V.はdl/gで測定)。約2のPD Iを有する通常のポリ(ラクチド)については、全ての点が、マーク-ホーウィン ク(Mark-Houwink)定数によって決定される単一のライン上に位置することが予想 される。十分に長いアームを有する分岐ポリマーは比較的小さい回転半径を有し 、ある分子量のところで比較的低い固有粘度を示すことが予想される。図は、見 掛け分子量(ここではGPC保持時間に等しく、従って流体力学容量に等しい)と の関係で固有粘度を示している。分岐ポリマーは、その比較的小さい回転半径の ゆえに、ある流体力学容量のところで比較的大きい分子量と比較的低いIVを有 することを示すことができる。この例は、修飾ポリマーの点である。 線状ポリ(ラクチド)のそれぞれは、ln(IV)とln(見掛け重量平均分子量) のラインの0.07単位の範囲内に位置する。修飾ポリマーは、このラインによ って予想されるよりも0.5単位低い。上記の試験によれば、これは、長鎖の分 岐を有し、従って分子相互作用の増加を有するポリ(ラクチド)の例である。 実施例17 エポキシ化油との共重合とエポキシ化油の混合の比較 基本ポリ(ラクチド)、0.2%および0.5%エポキシ化大豆油(ESO)と押出 機中で配合された基本ポリ(ラクチド)、ならびに、ポリ(ラクチド)と約0.3% エポキシ化大豆油とのコポリマーのポリマー試料について、細管粘度計を用いて 見掛け剪断粘度を調べた。ゲル透過クロマトグラフィーによって測定した分子量 データを以下に示す。 175℃で調べた細管粘度の結果を、図3および図4に示す。コポリマーが、劇 的に低い見掛け剪断粘度を有していることがわかる。比較的高い重量平均分子量 での比較的低い剪断粘度は驚くべきものであるが、実施例4および9のエポキシ 化油コポリマーの加工時に観察されるダイ圧力の減少に対応する。 実施例18 スクリュー粘着の評価 射出成型機を350°Fに設定し、スクリューに試験ポリマーを満たした。試 験ポリマーをスクリュー中に2分間位置させ、次いで、これを500psiで押出 した。材料を押出しながら、スクリューの実際のrpmをモニターした。粘着がな いときには、150rpmの最大値が得られた。基本ポリ(ラクチド)(または、線状 の非官能化ポリラクチド)については、これらの条件は、粘着のゆえにスクリュ ーが全く回転しない結果をも与えることがある。以下に挙げる表は、実施例17 のポリマーを試験した結果を示す。 この表は、コポリマーを加工したときに射出成形機スクリューが最高rpmを示し 、粘着の傾向が比較的低いことを示す。これは驚くべきことであり、エポキシ化 油コポリマーの大きな加工上の利点である。この利点は、基本ポリ(ラクチド)と エポキシ化油の単なる混合物によっては得られない。
【手続補正書】特許法第184条の8 【提出日】1995年7月24日 【補正内容】 クチドとともに含有するであろう。開示されている光学組成物は、1992年10月2 日出願の米国特許No.5,338,822(この出願の開示は本明細書の一部を構成する) においてグルーバーらが開示しているようなメソ−ラクチドを利用する利点を含 んでいる。 本発明に従い、プレポリマー混合物(即ち、ラクチドモノマー)は、ラクチドと ともに追加の環状エステルモノマーを含有することができる。例えば、ジオキサ ノン類(p-ジオキサノンなど)、ラクトン類(ε-カプロラクトンまたは4-バレロ ラクトンなど)、ジオキサン(ジオン)類(グリコリドまたはテトラメチル1,4− ジオキサン−2,5−ジオンなど)、またはエステル−アミド類(モルホリン−2, 5−ジオンなど)である。 好ましい溶融安定性ラクチドポリマー組成物における残留モノマー濃度は、そ れが存在するとしても、約2重量%未満である。好ましい組成物においては、ポ リマー中の残留ラクチドモノマーの濃度は約1重量%未満であり、より好ましく は、約0.5重量%未満である。加工装置における大きな汚れまたはプレートア ウトの問題のゆえに、モノマーを本発明の樹脂において可塑剤として使用すべき でないことが見い出された。通常、低レベルのモノマー濃度は最終的なポリマー を可塑化しないと考えられる。 溶融安定性ラクチドポリマー組成物中の水濃度は、それが存在するとしても、 約2,000ppm未満であるのが好ましい。より好ましくは、この濃度は約1, 000ppm未満であり、最も好ましくは、500ppm未満である。ポリマー の溶融安定性は、水分含量によって大きく影響される。従って、溶融安定性ポリ マーは、溶融加工前に水を除去しておくべきである。水濃度は、重合したラクチ ドを樹脂に加工する前に減少させ得ることがわかっている。従って、既に乾燥し た樹脂に水分が接触するのを防止するように樹脂を梱包することによって、水分 の制御を行うことができる。別法によれば、乾燥機において溶融加工工程の直前 に溶融加工者の設備で水分含量を減少させることもできる。水の存在は分子量の 過剰の損失を引き起こすことがあり、これが溶融加工されたポリマーの物理的性 質に影響を及ぼすこともあることが見い出されている。 本発明の好ましい組成物においては、黄変および分子量低下を減少させるため のある種の安定化剤をそれに十分な量で、溶融安定な組成物中に含有させる。本 発明のポリマー組成物において有用な安定化剤には、酸化防止剤および/または 水捕捉剤が含まれる。好ましい酸化防止剤は、ホスファイト含有化合物、障害性 フェノール化合物または他のフェノール化合物である。有用な酸化防止剤には、 トリアルキルホスフェート、混合アルキル/アリールホスフェート、アルキル化 アリールホスフェート、立体障害アリールホスフェート、脂肪族スピロ環式ホス フェート、立体障害フェニルスピロ環式化合物、立体障害ビスホスホナイト、ヒ ドロキシフェニルプロピオネート、ヒドロキシベンジル、アルキリデンビスフェ ノール、アルキルフェノール、芳香族アミン、チオエーテル、障害性アミン、ヒ ドロキノンなどの化合物およびこれらの混合物が含まれる。市販の安定化剤が試 験され、これらは本発明の溶融安定性ラクチドポリマー組成物の範囲内にある。 生分解性の酸化防止剤が好ましい。 溶融安定性ラクチドポリマー組成物の好ましい態様において使用することがで きる水捕捉剤には、カルボジイミド、無水物、塩化アシル、イソシアネート、ア ルコキシシラン、および乾燥性物質、例えば粘土、アルミナ、シリカゲル、ゼオ ライト、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸ナトリウム、炭酸水素塩または 水を結合する他のあらゆる化合物が含まれる。水捕捉剤は、生分解性または堆肥 化可能であるのが好ましい。 本発明の溶融安定性ラクチドポリマー組成物の製造においては、ラクチド重合 のための反応を触媒させるのが普通である。多くの触媒が、ラクトンの開環重合 において使用するために文献に挙げられている。これらには、SnCl2、SnBr2 、SnCl4、SnBr4、アルミニウムアルコキシド、スズアルコキシド、亜鉛アル コキシド、SnO、PbO、Sn(2−エチルヘキサノエート)、Sb(2−エチルヘ キサノエート)、Bi(2−エチルヘキサノエート)、Na(2−エチルヘキサノエー ト)(八隅子類と呼ばれることもある)、Caステアレート、Mgステアレート、Zn ステアレート、およびテトラフェニルスズが含まれるが、これらに限定はされな い。また、出願人は180℃でラクチドを重合させるための触媒をいくつか試験 した。 脂肪族および芳香族アルデヒドのヒドラゾンおよびビスヒドラゾン、脂肪族およ び芳香族モノおよびジカルボン酸のヒドラジド、ビスアシル化ヒドラジン誘導体 、ならびに複素環式化合物が含まれる。好ましい金属不活性化剤は、チバ-ガイ ギー(Ciba-Geigy)からのイルガノックス(IrganoxR)MD1024である。 別の態様においては、固体に支持された触媒をラクチドの重合に用いることに よって、触媒濃度をゼロ近くまで減少させる。利用し得る触媒には、支持された 金属触媒、固体の酸触媒、酸粘土、ケイ酸アルミナ、アルミナ、シリカおよびこ れらの混合物が含まれると考えられる。 好ましい溶融安定性ラクチドポリマー組成物は、約160℃より高い温度でラ クチドを重合させた反応生成物である。より高い温度での重合は、重合中のエス テル交換反応の増加によって、より高い溶融安定性を有すると考えられる性質の 異なるポリマーを与える結果になることを見い出した。 ラクチドポリマー組成物を被覆剤として用いるときには、係属中の米国出願N o.08/034,099(この出願は、1993年3月22日に出願されたものであり、米国特許N o.5,338,822の一部継続出願である;この出願の開示は本明細書の一部を構成す る)に記載されているように、ポリマーの被覆特性を改善するためにポリマー配 合物中に可塑剤を含有させることができる。さらに詳しくは、可塑剤はポリ(ラ クチド)のガラス転移温度を低下させ、これが、比較的低い温度でのポリマーの 加工および被覆を助け、柔軟性を改善することができ、そして被覆した生成物の クラッキング傾向を減少させる。 可塑剤の選択は、多くの可能性ある化合物のスクリーニングおよびいくつかの 基準の考慮を必要とする。生分解性の被覆に用いるためには、好ましい可塑剤は 、生分解性であり、非毒性であり、樹脂に適合するものであり、そして比較的揮 発性の低いものであるべきである。 アルキルもしくは脂肪族エステル、エーテル、および多官能エステルおよび/ またはエーテルの一般的種類の可塑剤が好ましい。これらには、アルキルホスフ ェートエステル、ジアルキルエーテル ジエステル、トリカルボン酸エステル、 エポキシ化油およびエステル、ポリエステル、ポリグリコールジエステル、アル キ ル アルキルエーテル ジエステル、脂肪族ジエステル、アルキルエーテル モノ エステル、クエン酸エステル、ジカルボン酸エステル、植物油およびそれらの誘 導体、およびグリセリンのエステルが含まれる。最も好ましい可塑剤は、トリカ ルボン酸エステル、クエン酸エステル、グリセリンのエステルおよびジカルボン 酸エステルである。これらのエステル類は、生分解性であることが既にわかって いる。芳香族基またはハロゲンを含有する可塑剤は、これらの環境に対する可能 性ある負の影響のゆえに好ましくない。 例えば、適当な非毒性の性質は、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリ エチル、クエン酸トリ-n-ブチル、クエン酸アセチルトリ-n-ブチル、クエン酸ア セチルトリ-n-ヘキシル、クエン酸n-ブチリルトリ-n-へキシルおよびアジピン酸 ジオクチルによって示される。 適当な適合性は、クエン酸アセチルトリ-n-ブチルおよびクエン酸トリエチル によって示される。他の適合性の可塑剤には、ポリ(ラクチド)と混合することが でき、そしてポリ(ラクチド)と相溶することができるかまたは機械的に安定な混 合物を形成するあらゆる可塑剤または可塑剤の組合せが含まれる。トウモロコシ 油および鉱油は、相分離(機械的に安定ではない)および可塑剤の移動のゆえに、 単独で用いたときにポリ(ラクチド)に適合しないことが見い出された。 揮発性は、可塑剤の蒸気圧によって測定する。適当な可塑剤は十分に非揮発性 であって、被覆を調製するのに必要な工程中に可塑剤が樹脂配合物中に実質的に 残っているものでなければならない。過剰の揮発性は加工装置の詰まりを導くこ とがあり、これは、高いラクチド含量のポリ(ラクチド)を溶融加工することによ ってフィルムを製造するときに観察される。好ましい可塑剤は、170℃で約1 0mmHg未満の蒸気圧を持つべきであり、さらに好ましい可塑剤は、200℃で 10mmHg未満の蒸気圧を持つべきである。好ましい可塑剤ではないラクチドは 、170℃で約40mmHgの蒸気圧を有している。 ある種の適用のための好ましい組成物においては、貯蔵および輸送中の被覆生 成物のブロッキングまたは粘着を防止するために充填剤が有用になることがある 。無機充填剤には、表面改質されたかまたはされていない粘土および鉱物が含ま れ 請求の範囲 1.ポリラクチドポリマー組成物を製造する方法であって、以下の工程を含む 方法: (a)フリーラジカル反応によってポリラクチド分子間に架橋を生成させること により、または、少なくとも2つのエポキシド基を含む反応物質を含有する操作 においてポリラクチド分子を形成させることによって分岐を生成させることによ り、ポリラクチド分子間の分子相互作用の増加を供する。 2.ポリラクチドポリマー組成物が、少なくとも2.5の多分散インデックス を有する請求項1に記載の方法。 3.(a)約50,000〜約300,000の数平均分子量を有するポリラクチ ドポリマー鎖の混合物; を有するポリマーを製造することからなる請求項2に記載の方法。 4.(a)約100,000〜約1,200,000の重量平均分子量を有するポ リラクチドポリマー鎖の混合物; を有するポリマーを製造することからなる請求項2に記載の方法。 5.ポリラクチド分子間に架橋を生成させる工程が、0.01:1〜10:1 の範囲内のフリーラジカル開始剤とポリマーのモル比を供することからなる請求 項1に記載の方法。 6.ポリラクチドポリマー組成物を製造する方法であって、以下の工程を含む 方法: (a)組成物中のポリラクチド骨格鎖間の分子相互作用の増加および3以上の多 分散インデックスを与えるように、線状の無置換ポリラクチドに対して修飾を加 えたポリラクチドポリマー分子を、ポリラクチドポリマー組成物中に供する。 7.修飾されたポリラクチドポリマー分子を供する工程が、 (a)ゲル透過クロマトグラフィーで測定して、同等の見掛重量平均分子量の線 状の非官能化ポリラクチドの測定した自然対数の固有粘度(dl/g)より少なくと も0.1低い、クロロホルム中35℃で測定した自然対数の固有粘度(dl/g)を有 するポリマー組成物を供する; ことからなる請求項6に記載の方法。 8.修飾されたポリラクチドポリマー分子を供する工程が、 (a)同等の重量平均分子量の線状の非官能化ポリラクチドに比べて、加工時の ネックインが、ポリマー組成物のネックイン比が約0.8未満であるように減少 しているポリマー組成物が得られるように、十分な分子相互作用を供する; ことからなる請求項6に記載の方法。 9.分子相互作用の増加が、線状の無置換ポリラクチドに対して、重量平均分 子量の増加、分岐の増加および架橋の増加の少なくとも1つを有するポリマー組 成物を供することによって達成される請求項6に記載の方法。 10.(a)約50,000〜約300,000の数平均分子量を有するポリラクチ ドポリマー鎖の混合物; を有するポリマーを製造することからなる請求項9に記載の方法。 11.(a)約100,000〜約1,200,000の重量平均分子量を有するポ リラクチドポリマー鎖の混合物; を有するポリマーを製造することからなる請求項9に記載の方法。 12.(a)フリーラジカル反応によりポリラクチド分子間に架橋を生成させる; ことを含む請求項9に記載の方法。 13.ポリラクチド分子間に架橋を生成させる工程が、0.01:1〜10:1 の範囲内のフリーラジカル開始剤とポリマーのモル比を供することからなる請求 項12に記載の方法。 14.修飾されたポリラクチドポリマー分子を供する工程が、 (a)無置換の乳酸またはラクチドに加えて反応物質を含有する操作においてポ リラクチド分子を形成させる工程であって、以下の種類の反応物質: (i)非開始性反応物質、 (ii)開始性反応物質、または (iii)組合せ反応物質、 の少なくとも1種を供することからなる工程; を含む請求項6に記載の方法。 15.無置換の乳酸またはラクチドに加える反応物質が、ヒドロキシ基、アミン 基およびこれらの混合物からそれぞれが選択される2以上の開始性の基をその中 に有する反応物質である請求項14に記載の方法。 16.無置換の乳酸またはラクチドに加える反応物質が、エポキシド基、環状エ ステル基およびこれらの組合せからそれぞれが選択される少なくとも2つの非開 始性の基を含む非開始性反応物質からなる請求項14に記載の方法。 17.無置換の乳酸またはラクチド以外の反応物質が、少なくとも1つの炭素− 炭素二重結合を含む非開始性ラクチド反応物質からなる請求項14に記載の方法。 18.無置換の乳酸またはラクチドに加える反応物質が、エポキシド基、イソシ アネート基、環状エステル基およびこれらの組合せからそれぞれが選択される少 なくとも2つの非開始性の基を含む非開始性ラクチド反応物質からなる請求項14 に記載の方法。 19.改善されたポリラクチドポリマー組成物を製造する方法であって、以下の 工程を含む方法: (a)無置換の乳酸またはラクチドに加えて、エポキシド基からそれぞれが選択 される少なくとも2つの非開始性の基を含む非開始性ラクチド反応物質からなる 反応物質を含有する操作において、組成物中にポリラクチド分子を形成させる。 20.(a)ラクチド、ポリラクチド、またはこれらの混合物からなるラクチド原 料;および (b)1分子あたりに2またはそれ以上のエポキシ基を含有するエポキシ化原料 からなる約0.1〜10重量%の共重合試薬; を含有する混合物の反応生成物からなるポリマー組成物。 21.共重合試薬がエポキシ化亜麻仁油からなる請求項20に記載のポリマー組成 物。 22.少なくとも4.0の多分散インデックスを有する請求項21に記載のポリマ ー組成物。 23.少なくとも296,000の重量平均分子量を有する請求項21に記載のポ リマー組成物。 24.少なくとも2.9の多分散インデックスを有する請求項20に記載のポリマ ー組成物。 25.約100,000〜約1,200,000の重量平均分子量を有する請求項2 4に記載のポリマー組成物。 26.共重合試薬がエポキシ化大豆油からなる請求項20に記載のポリマー組成物 。 27.約100,000〜約1,200,000の重量平均分子量を有する請求項2 0に記載のポリマー組成物。 28.反応物質が、 (c)ラクチドの重合を触媒してポリ(ラクチド)ポリマー鎖を形成させるための 触媒手段; をさらに含有する請求項20に記載のポリマー。 29.請求項20に記載のポリマーからなるフィルム。 30.請求項29に記載のフィルムからなるおむつ。 31.請求項20に記載のポリマーからなるシート。 32.請求項20に記載のポリマーからなる被覆紙。 33.請求項20に記載のポリマーからなるブロー成形物品。 34.請求項20に記載のポリマーからなる熱成形物品。 35.請求項20に記載のポリマーからなる射出成形物品。 36.請求項20に記載のポリマーからなる不織布。 37.(a)3以上の多分散インデックスを有するポリラクチドポリマー; を含有する組成物。 38.ポリラクチドポリマーが、少なくとも50,000の数平均分子量、およ び約1,200,000を越えない重量平均分子量を有する請求項37に記載の組成 物。 39.約0.8未満のネックイン比を有する請求項37に記載の組成物。 40.多分散インデックスが少なくとも3.6である請求項37に記載の組成物。 41.請求項5の記載に従って製造した組成物。 42.請求項41に記載のポリマーからなるフィルム。 43.請求項41に記載のポリマーからなる被覆紙。 44.請求項41に記載のポリマーからなる不織布。 45.請求項41に記載のポリマーからなる射出成形物品。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C08G 18/42 NDW 8620−4J C08G 18/42 NDW 59/40 NHX 8416−4J 59/40 NHX 63/78 NLX 8933−4J 63/78 NLX C08J 3/24 CFD 9268−4F C08J 3/24 CFDZ 5/18 CFD 9267−4F 5/18 CFD // A61F 13/15 7633−3B D04H 1/42 Z D04H 1/42 2119−3B A41B 13/02 M D21H 19/24 7633−3B D21H 1/34 J B29K 67:00 C08L 67:00 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD),AM,AT, AU,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C Z,DE,DK,ES,FI,GB,GE,HU,JP ,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LT,LU, LV,MD,MG,MN,MW,NL,NO,NZ,P L,PT,RO,RU,SD,SE,SI,SK,TJ ,TT,UA,UZ,VN (72)発明者 ウィツケ、デヴィッド・ロイ アメリカ合衆国 55408 ミネソタ、ミネ アポリス、ハンボルト・アヴェニュー・サ ウス・ナンバー1 2740番 (72)発明者 ハートマン、マーク・ヘンリー アメリカ合衆国 55343 ミネソタ、ミネ トンカ、サニベル・ドライヴ 5474番 (72)発明者 ブロッシュ、アンドレア・リー アメリカ合衆国 55346 ミネソタ、エデ ン・プレイリー、アンダースタッド・スト リート 6470番

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.ポリラクチドポリマー組成物を製造する方法であって、以下の工程を含む 方法: (a)組成物中のポリラクチド骨格鎖間の分子相互作用の増加および少なくとも 2.5の多分散インデックスを与えるように、線状の無置換ポリラクチドに対し て修飾を加えたポリラクチドポリマー分子を、ポリラクチドポリマー組成物中に 供する。 2.分子相互作用の増加が、線状の無置換ポリラクチドに対して、重量平均分 子量の増加、分岐の増加および架橋の増加の少なくとも1つを有するポリマー組 成物を供することによって達成される請求項1に記載の方法。 3.(a)約50,000〜約300,000の数平均分子量を有するポリラクチ ドポリマー鎖の混合物; を有するポリマーを製造することからなる請求項2に記載の方法。 4.(a)約100,000〜約1,200,000の重量平均分子量を有するポ リラクチドポリマー鎖の混合物; を有するポリマーを製造することからなる請求項2に記載の方法。 5.(a)フリーラジカル反応によりポリラクチド分子間に架橋を生成させる; ことを含む請求項2に記載の方法。 6.ポリラクチド分子間に架橋を生成させる工程が、0.01:1〜10:1 の範囲内の開始剤とポリマーの比を供することからなる請求項5に記載の方法。 7.修飾されたポリラクチドポリマー分子を供する工程が、 (a)ゲル透過クロマトグラフィーで測定して、同等の見掛重量平均分子量の線 状の非官能化ポリラクチドの測定した自然対数の固有粘度(dl/g)より少なくと も0.1低い測定した自然対数の固有粘度(dl/g)を有するポリマー組成物を供す る; ことからなる請求項1に記載の方法。 8.修飾されたポリラクチドポリマー分子を供する工程が、 (a)同等の重量平均分子量の線状の非官能化ポリラクチドに比べて、加工時の ネックインが、ポリマー組成物のネックイン比が約0.8未満であるように減少 しているポリマー組成物が得られるように、十分な分子相互作用を供する; ことからなる請求項1に記載の方法。 9.修飾されたポリラクチドポリマー分子を供する工程が、 (a)無置換の乳酸またはラクチドに加えて反応物質を含有する操作においてポ リラクチド分子を形成させる工程であって、以下の種類の反応物質: (i)非開始性ラクチド反応物質、 (ii)開始性反応物質、または (iii)組合せ反応物質、 の少なくとも1種を供することからなる工程; を含む請求項1に記載の方法。 10.無置換の乳酸またはラクチドに加える反応物質が、実質的にヒドロキシ基 、アミン基およびこれらの混合物からなる群からそれぞれが選ばれる2以上の開 始性の基をその中に有する反応物質である請求項9に記載の方法。 11.無置換の乳酸またはラクチドに加える反応物質が、エポキシド基、環状エ ステル基およびこれらの組合せからそれぞれが選択される少なくとも2つの非開 始性の基を含む非開始性ラクチド反応物質からなる請求項9に記載の方法。 12.無置換の乳酸またはラクチド以外の反応物質が、少なくとも1つの炭素− 炭素二重結合を含む非開始性ラクチド反応物質からなる請求項9に記載の方法。 13.無置換の乳酸またはラクチド以外の反応物質が、その中に大きな有機ポリ マー絡み合い基を含んでいる請求項9に記載の方法。 14.(a)少なくとも2.5の多分散性を有するポリラクチドポリマー; を含有する組成物。 15.ポリラクチドポリマーが、少なくとも50,000の数平均分子量、およ び少なくとも約100,000であって約1,200,000を越えない重量平均 分子量を有する請求項14に記載の組成物。 16.約0.8未満のネックイン比を有する請求項14に記載の組成物。 17.溶媒から再結晶されていないラクチド混合物から、少なくとも50,00 0の数平均分子量を有するポリラクチドポリマー組成物を製造する方法であって 、以下の工程を含む方法: (a)組成物中のポリラクチド骨格鎖間の分子相互作用の増加を与えるように、 線状の無置換ポリラクチドに対して修飾を加えたポリラクチドポリマー分子を、 ポリラクチドポリマー組成物中に供する。 18.(a)無置換の乳酸またはラクチドに加えて、エポキシド基、イソシアネー ト基、環状エステル基およびこれらの組合せからそれぞれが選択される少なくと も2つの非開始性の基を含む非開始性ラクチド反応物質からなる反応物質を含有 する操作において、組成物中にポリラクチド分子を形成させる; ことを含む請求項17に記載の方法。 19.改善されたポリラクチドポリマー組成物を製造する方法であって、以下の 工程を含む方法: (a)無置換の乳酸またはラクチドに加えて、エポキシド基からそれぞれが選択 される少なくとも2つの非開始性の基を含む非開始性ラクチド反応物質からなる 反応物質を含有する操作において、組成物中にポリラクチド分子を形成させる。 20.(a)ラクチド、ポリラクチド、またはこれらの混合物からなるラクチド原 料;および (b)1分子あたりに2またはそれ以上のエポキシ基を含有するエポキシ化原料 からなる約0.1〜10重量%の共重合試薬; を含有する混合物の反応生成物からなるポリマー組成物。 21.共重合試薬がエポキシ化亜麻仁油からなる請求項20に記載のポリマー組成 物。 22.少なくとも4.0の多分散インデックスを有する請求項21に記載のポリマ ー組成物。 23.少なくとも296,000の重量平均分子量を有する請求項21に記載のポ リマー組成物。 24.少なくとも2.9の多分散インデックスを有する請求項20に記載のポリマ ー組成物。 25.約100,000〜約1,200,000の重量平均分子量を有する請求項2 4に記載のポリマー組成物。 26.共重合試薬がエポキシ化大豆油からなる請求項20に記載のポリマー組成物 。 27.約100,000〜約1,200,000の重量平均分子量を有する請求項2 0に記載のポリマー組成物。 28.反応物質が、 (iii)ラクチドの重合を触媒してポリ(ラクチド)ポリマー鎖を形成させるため の、重合中に生分解性ポリマー中に導入される触媒手段; をさらに含有する請求項20に記載のポリマー。 29.請求項20に記載のポリマーからなるフィルム。 30.請求項29に記載のフィルムからなるおむつ。 31.請求項20に記載のポリマーからなるシート。 32.請求項20に記載のポリマーからなる被覆紙。 33.請求項20に記載のポリマーからなるブロー成形物品。 34.請求項20に記載のポリマーからなる熱成形物品。 35.請求項20に記載のポリマーからなる射出成形物品。 36.請求項20に記載のポリマーからなる不織布。
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