JPH09218206A - 静電アクチュエータおよび該アクチュエータを用いたプローブ、走査型プローブ顕微鏡、加工装置、記録再生装置 - Google Patents
静電アクチュエータおよび該アクチュエータを用いたプローブ、走査型プローブ顕微鏡、加工装置、記録再生装置Info
- Publication number
- JPH09218206A JPH09218206A JP4676196A JP4676196A JPH09218206A JP H09218206 A JPH09218206 A JP H09218206A JP 4676196 A JP4676196 A JP 4676196A JP 4676196 A JP4676196 A JP 4676196A JP H09218206 A JPH09218206 A JP H09218206A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- probe
- substrate
- fixed electrode
- torsion bar
- electrode
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Supporting Of Heads In Record-Carrier Devices (AREA)
- Moving Of Heads (AREA)
- Micromachines (AREA)
Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】安定して使用できるストロークを従来に比較し
て大きく取れるアクチュエータと、それを用いたプロー
ブと、そのプローブを用いた走査型トンネル顕微鏡や原
子間力顕微鏡等の走査型プローブ顕微鏡、加工装置、お
よび記録再生装置を提供する。 【解決手段】静電アクチュエータは、基板と、該基板上
に形成された固定電極と、ねじれの軸が一直線上に配置
された2本のトーションバー部と、TBの一端を、TA
が前記基板に対して空隙を介するように、前記基板上の
前記固定電極が形成された側に固定する支持部と、トー
ションバー部の基板に非固定側の端に、ねじれの軸回り
に回転自由に支持の回転部材と、その上に形成され、固
定電極と対向配置された可動電極と、該回転部材のME
よりもTBの取付部から離れた端に配置された変位規制
部材とを有することを特徴とする。
て大きく取れるアクチュエータと、それを用いたプロー
ブと、そのプローブを用いた走査型トンネル顕微鏡や原
子間力顕微鏡等の走査型プローブ顕微鏡、加工装置、お
よび記録再生装置を提供する。 【解決手段】静電アクチュエータは、基板と、該基板上
に形成された固定電極と、ねじれの軸が一直線上に配置
された2本のトーションバー部と、TBの一端を、TA
が前記基板に対して空隙を介するように、前記基板上の
前記固定電極が形成された側に固定する支持部と、トー
ションバー部の基板に非固定側の端に、ねじれの軸回り
に回転自由に支持の回転部材と、その上に形成され、固
定電極と対向配置された可動電極と、該回転部材のME
よりもTBの取付部から離れた端に配置された変位規制
部材とを有することを特徴とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイクロメカニク
ス技術を用いて作成される、静電引力を用いて変位制御
を行う静電アクチュエータ、該アクチュエータを用いた
静電駆動プローブ、該静電駆動プローブを用いた走査型
トンネル顕微鏡(以下、STMと略す)や原子間力顕微
鏡(以下、AFMと略す)等の走査型プローブ顕微鏡
(以下、SPMと略す)、加工装置、情報処理装置に関
するものである。
ス技術を用いて作成される、静電引力を用いて変位制御
を行う静電アクチュエータ、該アクチュエータを用いた
静電駆動プローブ、該静電駆動プローブを用いた走査型
トンネル顕微鏡(以下、STMと略す)や原子間力顕微
鏡(以下、AFMと略す)等の走査型プローブ顕微鏡
(以下、SPMと略す)、加工装置、情報処理装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体の表面原子の電子構造を直
接観測できるSTMがジー・ビーニッヒらにより開発
(フェルベティカフィジカアクタ.55,726(19
82))されて以来、先端の尖った探針を走査すること
により様々な情報を得るSPM装置や、さらに基板に電
気的、化学的あるいは物理的作用を及ぼす事を目的とし
たSPMを応用した微細加工技術の研究開発が行われて
いる。また、このような微細加工技術はメモリ技術にも
応用されつつある。これらの微細加工技術による加工精
度は原子レベルの大きさから数μm程度の大きさまで様
々であるが、例えば数nmの構造物1ビットとして情報
を記録した場合、媒体が1cm角のものでも1012ビッ
トオーダの記録密度を持つ情報処理装置が実現できる。
また近年、半導体フォトプロセス等の微細加工技術を用
いたマイクロマシニング技術の分野で、各種のマイクロ
アクチュエータが考案されている。SPM探針の位置制
御機構にこれらのマイクロアクチュエータを用いること
で、複数のプローブを持つSPM装置なども可能となっ
てきており、上述の微細加工のスループットや情報処理
装置の転送レートの向上等の改善がみられている。
接観測できるSTMがジー・ビーニッヒらにより開発
(フェルベティカフィジカアクタ.55,726(19
82))されて以来、先端の尖った探針を走査すること
により様々な情報を得るSPM装置や、さらに基板に電
気的、化学的あるいは物理的作用を及ぼす事を目的とし
たSPMを応用した微細加工技術の研究開発が行われて
いる。また、このような微細加工技術はメモリ技術にも
応用されつつある。これらの微細加工技術による加工精
度は原子レベルの大きさから数μm程度の大きさまで様
々であるが、例えば数nmの構造物1ビットとして情報
を記録した場合、媒体が1cm角のものでも1012ビッ
トオーダの記録密度を持つ情報処理装置が実現できる。
また近年、半導体フォトプロセス等の微細加工技術を用
いたマイクロマシニング技術の分野で、各種のマイクロ
アクチュエータが考案されている。SPM探針の位置制
御機構にこれらのマイクロアクチュエータを用いること
で、複数のプローブを持つSPM装置なども可能となっ
てきており、上述の微細加工のスループットや情報処理
装置の転送レートの向上等の改善がみられている。
【0003】現在までに提案されているマイクロアクチ
ュエータを以下に例示する。第1の例は、圧電効果を利
用したものであり、これに関する米国特許第49068
40号明細書には、片持ち梁を圧電バイモルフ構造とし
た圧電型アクチュエータの例が開示されている。第2の
例は、電極間に働く静電引力を利用するものである。こ
の形式は第1の例の圧電効果を利用したものに比較して
構造が簡単であるという特徴がある。片持ち梁自体ある
いは片持ち梁に形成された可動電極と基板上に形成され
た固定電極とに電圧を印加することにより静電引力を働
かせて梁を変位させるタイプ(特開昭62−28113
8号公報)や、トーションバーのねじれ弾性を利用し
て、トーションバーに支持された平板部を静電駆動させ
るタイプ(Pertersen,IBMJ.RES.D
EVELOP.,VOL.24,No.5,Sep.1
980,pp.631−637)等が提案されている。
ュエータを以下に例示する。第1の例は、圧電効果を利
用したものであり、これに関する米国特許第49068
40号明細書には、片持ち梁を圧電バイモルフ構造とし
た圧電型アクチュエータの例が開示されている。第2の
例は、電極間に働く静電引力を利用するものである。こ
の形式は第1の例の圧電効果を利用したものに比較して
構造が簡単であるという特徴がある。片持ち梁自体ある
いは片持ち梁に形成された可動電極と基板上に形成され
た固定電極とに電圧を印加することにより静電引力を働
かせて梁を変位させるタイプ(特開昭62−28113
8号公報)や、トーションバーのねじれ弾性を利用し
て、トーションバーに支持された平板部を静電駆動させ
るタイプ(Pertersen,IBMJ.RES.D
EVELOP.,VOL.24,No.5,Sep.1
980,pp.631−637)等が提案されている。
【0004】図5は、トーションバーのねじれ弾性を利
用した静電駆動アクチュエータをSTM探針の位置制御
に利用したプローブを示す図である。図5において、基
板1001上には、絶縁層1002が形成されている。
絶縁層1002上には固定電極1003が形成され、そ
の上に空隙部1004を介してレバー1007が形成さ
れている。レバー1007は、回転支持を行うトーショ
ンバー1008によって支持部1009に支持されてお
り、レバー1007の一方の端には探針1005が配置
され、トーションバー1008を挟んでレバー1007
の反対側には導電性薄膜で形成された可動電極1006
が配置されている。1010〜1012はそれぞれ可動
電極印加電圧信号線、固定電極印加電圧信号線、そして
トンネル電流検出信号線である。
用した静電駆動アクチュエータをSTM探針の位置制御
に利用したプローブを示す図である。図5において、基
板1001上には、絶縁層1002が形成されている。
絶縁層1002上には固定電極1003が形成され、そ
の上に空隙部1004を介してレバー1007が形成さ
れている。レバー1007は、回転支持を行うトーショ
ンバー1008によって支持部1009に支持されてお
り、レバー1007の一方の端には探針1005が配置
され、トーションバー1008を挟んでレバー1007
の反対側には導電性薄膜で形成された可動電極1006
が配置されている。1010〜1012はそれぞれ可動
電極印加電圧信号線、固定電極印加電圧信号線、そして
トンネル電流検出信号線である。
【0005】次に、以上のように構成されたトーション
レバー型STMプローブにおける探針高さの制御法につ
いて述べる。可動電極印加電圧信号線1010と固定電
極印加電圧信号線1011を介して、固定電極1003
と可動電極1006の間に電圧を印加すると、固定電極
1003と可動電極1006との間に静電引力が働く。
すると、レバー1007は、この静電引力によるトルク
とトーションバー1008の復元トルクの釣り合う位置
まで回転する。静電引力は印加電圧によって変化するの
で、固定電極l003と可動電極1006の間に印加す
る電圧を変化させることで、探針1005の高さを制御
することができる。静電引力を利用したアクチュエータ
を単純にモデル化すると図10の様になる。図10にお
いて、可動電極906と固定電極903の間に駆動電圧
Vを印加すると、両電極間に静電引力Faが働く。Fa
は以下のように表される。 Fa=ε0AV2/(d−x)2 ここで、ε0は真空の誘電率、Aは電極の面積、dは電
極間の初期ギャップ、xは可動電極の変位である。一方
ばねの復元力Frは、ばね915のばね定数をkとする
と次のように表される。 Fr=−kx 図7の実線は3種類の印加電圧(V1<V2<V3)にお
ける変位xに対する静電引力Faの大きさを実数で、ば
ねの復元力Frを点線でプロットしたものである。比較
を行いやすいように、ばねの復元力は符号を反転してプ
ロットしている。V=V1のとき、FaとFrはxがxA
のときとxBの時に等しくなる。x=xAにおいてxが減
少する向きに変位したとすると、FaがFrよりも強く
なりxを増加させる向きに力が働く。逆に、xが増加す
る向きに変位したとすると、FrがFaよりも強くなり
xを減少させる方向に力が働く。すなわち、x=xAに
おいては、変化した向きとは逆向きの復元力が働くの
で、x=xAは安定な平衡点といえる。一方、x=xBの
ときには、変化した向きと同じ方向に力が働くので、こ
の点は安定な点ではないことがわかる。つまり、V=V
1のときのアクチュエータの安定な平衡点はx=xAであ
る。V=V2のときFaとFrはx=d/3の1点で接
する。このときの電圧V2を崩れ電圧といい、以下Vc
で表す。V=V3においては、FaとFrは等しくなる
点は存在せず、常に静電引力Faの方が強くなる。この
状態になるとアクチュエータは変位xがdと等しくな
る。電圧Vとアクチュエータの変位xの関係を図8に示
す。電圧Vを上げてゆくと、アクチュエータの変位xは
増加してゆき、Vが崩れ電圧Vcに達するとxが一気に
dまで増加することがわかる。この現象を利用してアク
チュエータをデジタル的に変位させる技術も公知である
(特開平4−230723号公報)。この現象を利用す
ると、崩れた時の変位はアクチュエータの構造で決定さ
れるので、変位量のばらつきのきわめて小さなアクチュ
エータを得ることができる。
レバー型STMプローブにおける探針高さの制御法につ
いて述べる。可動電極印加電圧信号線1010と固定電
極印加電圧信号線1011を介して、固定電極1003
と可動電極1006の間に電圧を印加すると、固定電極
1003と可動電極1006との間に静電引力が働く。
すると、レバー1007は、この静電引力によるトルク
とトーションバー1008の復元トルクの釣り合う位置
まで回転する。静電引力は印加電圧によって変化するの
で、固定電極l003と可動電極1006の間に印加す
る電圧を変化させることで、探針1005の高さを制御
することができる。静電引力を利用したアクチュエータ
を単純にモデル化すると図10の様になる。図10にお
いて、可動電極906と固定電極903の間に駆動電圧
Vを印加すると、両電極間に静電引力Faが働く。Fa
は以下のように表される。 Fa=ε0AV2/(d−x)2 ここで、ε0は真空の誘電率、Aは電極の面積、dは電
極間の初期ギャップ、xは可動電極の変位である。一方
ばねの復元力Frは、ばね915のばね定数をkとする
と次のように表される。 Fr=−kx 図7の実線は3種類の印加電圧(V1<V2<V3)にお
ける変位xに対する静電引力Faの大きさを実数で、ば
ねの復元力Frを点線でプロットしたものである。比較
を行いやすいように、ばねの復元力は符号を反転してプ
ロットしている。V=V1のとき、FaとFrはxがxA
のときとxBの時に等しくなる。x=xAにおいてxが減
少する向きに変位したとすると、FaがFrよりも強く
なりxを増加させる向きに力が働く。逆に、xが増加す
る向きに変位したとすると、FrがFaよりも強くなり
xを減少させる方向に力が働く。すなわち、x=xAに
おいては、変化した向きとは逆向きの復元力が働くの
で、x=xAは安定な平衡点といえる。一方、x=xBの
ときには、変化した向きと同じ方向に力が働くので、こ
の点は安定な点ではないことがわかる。つまり、V=V
1のときのアクチュエータの安定な平衡点はx=xAであ
る。V=V2のときFaとFrはx=d/3の1点で接
する。このときの電圧V2を崩れ電圧といい、以下Vc
で表す。V=V3においては、FaとFrは等しくなる
点は存在せず、常に静電引力Faの方が強くなる。この
状態になるとアクチュエータは変位xがdと等しくな
る。電圧Vとアクチュエータの変位xの関係を図8に示
す。電圧Vを上げてゆくと、アクチュエータの変位xは
増加してゆき、Vが崩れ電圧Vcに達するとxが一気に
dまで増加することがわかる。この現象を利用してアク
チュエータをデジタル的に変位させる技術も公知である
(特開平4−230723号公報)。この現象を利用す
ると、崩れた時の変位はアクチュエータの構造で決定さ
れるので、変位量のばらつきのきわめて小さなアクチュ
エータを得ることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たような従来の静電アクチュエータには、安定して使用
できるストロークが小さいという問題点があった。以下
にこの点について説明する。走査型プローブ顕微鏡にお
いては探針の高さを連続的に変位させる必要があるの
で、VはVc未満の範囲で使用しなければならない。さ
らに、アクチュエータを外乱が入っても安定して使用す
るためには駆動電圧VはVcよりも十分低くなければな
らない。このことを図を用いて説明する。図9のA点に
おいて、プローブは安定である。このときのプローブの
変位xAを平衡点という。ここで、A点において平衡状
態にあるアクチュエータに外乱が働いて、B点よりも右
側に強制的に変位させられたとする。するとグラフより
静電引力がばねの復元力よりも大きくなることがわか
る。すると駆動電圧Vが崩れ電圧Vcよりも小さいのに
も関らず、アクチュエータはx=dになるまで一気に変
位する。このB点におけるアクチュエータの変位xBを
以下では安定限界点と称する。このように崩れ電圧Vc
よりも低い電圧Vで駆動を行っていても、何らかの外乱
により安定限界点xBを越えるまでアクチュエータが変
位すると、アクチュエータが一気にストロークし制御不
能になってしまうので、アクチュエータの使用にあたっ
ては外乱によって安定限界点xBを越えることのないよ
うにしなければならない。安定限界点xBは駆動電圧V
を上げていくと小さくなり、平衡点xAは駆動電圧Vを
上げていくと大きくなる。そして駆動電圧Vが崩れ電圧
Vcに等しくなると、平衡点xAと安定限界点xBはx=
d/3において一致する。つまり、駆動電圧VがVcに
近いほど、平衡点xAと安定限界点xBは近くなり、外乱
に対するアクチュエータの許容変位量が少なくなってし
まう。そこで、従来は外乱が入っても安定限界点xBを
越えないようにするために、平衡点xAと安定限界点xB
が十分に離れているようにVcよりも十分に低い電圧範
囲で使用していた。そのため、アクチュエータの使用可
能なストローク範囲が極めて制限されていた。例えば、
特開昭62−281138号公報で開示された例におい
ては、片持ち梁の長さが100μm、電極間距離が6μ
mのプローブの最大ストロークが0.2μmとなってお
り、最大ストロークは電極間距離の3.3%にすぎない
このように従来の静電アクチュエータには、安定して使
用できるストロークが小さいという問題点があった。
たような従来の静電アクチュエータには、安定して使用
できるストロークが小さいという問題点があった。以下
にこの点について説明する。走査型プローブ顕微鏡にお
いては探針の高さを連続的に変位させる必要があるの
で、VはVc未満の範囲で使用しなければならない。さ
らに、アクチュエータを外乱が入っても安定して使用す
るためには駆動電圧VはVcよりも十分低くなければな
らない。このことを図を用いて説明する。図9のA点に
おいて、プローブは安定である。このときのプローブの
変位xAを平衡点という。ここで、A点において平衡状
態にあるアクチュエータに外乱が働いて、B点よりも右
側に強制的に変位させられたとする。するとグラフより
静電引力がばねの復元力よりも大きくなることがわか
る。すると駆動電圧Vが崩れ電圧Vcよりも小さいのに
も関らず、アクチュエータはx=dになるまで一気に変
位する。このB点におけるアクチュエータの変位xBを
以下では安定限界点と称する。このように崩れ電圧Vc
よりも低い電圧Vで駆動を行っていても、何らかの外乱
により安定限界点xBを越えるまでアクチュエータが変
位すると、アクチュエータが一気にストロークし制御不
能になってしまうので、アクチュエータの使用にあたっ
ては外乱によって安定限界点xBを越えることのないよ
うにしなければならない。安定限界点xBは駆動電圧V
を上げていくと小さくなり、平衡点xAは駆動電圧Vを
上げていくと大きくなる。そして駆動電圧Vが崩れ電圧
Vcに等しくなると、平衡点xAと安定限界点xBはx=
d/3において一致する。つまり、駆動電圧VがVcに
近いほど、平衡点xAと安定限界点xBは近くなり、外乱
に対するアクチュエータの許容変位量が少なくなってし
まう。そこで、従来は外乱が入っても安定限界点xBを
越えないようにするために、平衡点xAと安定限界点xB
が十分に離れているようにVcよりも十分に低い電圧範
囲で使用していた。そのため、アクチュエータの使用可
能なストローク範囲が極めて制限されていた。例えば、
特開昭62−281138号公報で開示された例におい
ては、片持ち梁の長さが100μm、電極間距離が6μ
mのプローブの最大ストロークが0.2μmとなってお
り、最大ストロークは電極間距離の3.3%にすぎない
このように従来の静電アクチュエータには、安定して使
用できるストロークが小さいという問題点があった。
【0007】そこで、本発明は、上記従来技術が有する
課題を解決するため、安定して使用できるストロークを
従来に比較して大きく取ることができるアクチュエータ
と、そのアクチュエータを用いたプローブと、そのプロ
ーブを用いた走査型トンネル顕微鏡や原子間力顕微鏡等
の走査型プローブ顕微鏡、加工装置、および記録再生装
置を提供することを目的とする。
課題を解決するため、安定して使用できるストロークを
従来に比較して大きく取ることができるアクチュエータ
と、そのアクチュエータを用いたプローブと、そのプロ
ーブを用いた走査型トンネル顕微鏡や原子間力顕微鏡等
の走査型プローブ顕微鏡、加工装置、および記録再生装
置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、静電アクチュエータおよび該アクチュエー
タを用いたプローブ、走査型プローブ顕微鏡、加工装
置、記録再生装置について、つぎのように構成したもの
である。すなわち、本発明の静電アクチュエータの一つ
は、基板と、該基板上に形成された固定電極と、ねじれ
の軸が一直線上に配置された2本のトーションバー部
と、該トーションバー部の一端を、前記ねじれの軸が前
記基板に対して空隙を介するように、前記基板上の前記
固定電極が形成された側に固定する支持部と、前記トー
ションバー部の基板に固定されていない側の端に、前記
ねじれの軸回りに回転自由に支持される回転部材と、該
回転部材上に形成され、前記固定電極と対向するように
配置された可動電極と、該回転部材の前記可動電極より
もトーションバーの取付部から離れた端に配置された変
位規制部材とを有することを特徴としている。そして、
本発明においては、前記変位規制部材を、前記回転部材
と同一平面上に配置され且つ前記回転部材と一体的に構
成することができ、また、前記基板に向かって突出する
ように前記回転部材に取り付けて構成することができ
る。また、本発明においては、前記トーションバーの回
転軸から前記平板部の前記固定電極と対向している側の
端までの距離をL1、前記トーションバーの回転軸を前
記基板上に投影した線と固定電極の端までの距離をL2
としたときに、距離L1と距離L2との関係を、L1≧
3×L2とし、また、本発明の静電アクチュエータにお
いては、前記基板には、前記平板部がトーションバーの
軸回りに回転変位した際に該基板と接触する位置に、電
気的に接地された第2の固定電極を設け、また、前記平
板部の前記回転軸から見て前記可動電極が存在する側の
うち、前記可動電極の存在しない部分の幅が、前記可動
電極の幅に比べて狭くすることが好ましい。また、前記
固定電極と前記可動電極の間への電圧の印加は、電圧を
連続的に変化させることができる可変電圧電源により行
われることが好ましい。また、本発明においては、請求
項1〜請求項5のいずれか1項に記載のアクチュエータ
を用い、該アクチュエータ前記平板部の一端にテイップ
を設けて静電駆動プローブを構成することができる。ま
た、本発明においては、上記静電駆動プローブを用い、
このプローブと前記可動電極と前記固定電極の間に印加
する電圧を連続的に制御する駆動制御部と、前記プロー
ブと観察すべき試料の相対位置を変化させる走査装置
と、前記試料の表面情報を処理する信号処理部とを備え
た走査型プローブ顕微鏡を構成することができる。そし
て、この走査型プローブ顕微鏡には、静電容量検出ユニ
ットを備えるようにしてもよい。また、本発明において
は、上記静電駆動プローブを用い、このプローブと、前
記可動電極と前記固定電極の間に印加する電圧を連続的
に制御する駆動制御部と、前記プローブと加工すべき試
料の相対位置を変化させる走査装置と、前記試料の表面
情報を処理する信号処理部とを備えた加工装置を構成す
ることができる。また、本発明においては、上記静電駆
動プローブを用い、このプローブと、前記可動電極と前
記固定電極の間に印加する電圧を連続的に制御する駆動
制御部と、前記プローブと記録媒体の相対位置を変化さ
せる走査装置と、前記記録媒体上に信号を記録もしくは
再生する手段を有する記録再生回路を備えた記録再生装
置を構成することができる。そして、これらのいずれの
装置もそれらを複数のプローブで構成することができる
ことは勿論のことである。さらに、本発明においては、
基板と、該基板上に形成された固定電極と、ねじれの軸
が一直線上に配置された2本のトーションバー部と、該
トーションバー部の一端を、前記ねじれの軸が前記基板
に対して空隙を介するように、前記基板上の前記固定電
極が形成された側に固定する支持部と、前記トーション
バー部の基板に固定されていない側の端に、前記ねじれ
の軸回りに回転自由に支持される回転部材と、該回転部
材上に形成され、前記固定電極と対向するように配置さ
れた可動電極と、前記基板上に、前記固定電極よりもト
ーションバーの取付部から離れた位置に配置された変位
規制部材とにより静電アクチュエータを構成することが
できる。
決するため、静電アクチュエータおよび該アクチュエー
タを用いたプローブ、走査型プローブ顕微鏡、加工装
置、記録再生装置について、つぎのように構成したもの
である。すなわち、本発明の静電アクチュエータの一つ
は、基板と、該基板上に形成された固定電極と、ねじれ
の軸が一直線上に配置された2本のトーションバー部
と、該トーションバー部の一端を、前記ねじれの軸が前
記基板に対して空隙を介するように、前記基板上の前記
固定電極が形成された側に固定する支持部と、前記トー
ションバー部の基板に固定されていない側の端に、前記
ねじれの軸回りに回転自由に支持される回転部材と、該
回転部材上に形成され、前記固定電極と対向するように
配置された可動電極と、該回転部材の前記可動電極より
もトーションバーの取付部から離れた端に配置された変
位規制部材とを有することを特徴としている。そして、
本発明においては、前記変位規制部材を、前記回転部材
と同一平面上に配置され且つ前記回転部材と一体的に構
成することができ、また、前記基板に向かって突出する
ように前記回転部材に取り付けて構成することができ
る。また、本発明においては、前記トーションバーの回
転軸から前記平板部の前記固定電極と対向している側の
端までの距離をL1、前記トーションバーの回転軸を前
記基板上に投影した線と固定電極の端までの距離をL2
としたときに、距離L1と距離L2との関係を、L1≧
3×L2とし、また、本発明の静電アクチュエータにお
いては、前記基板には、前記平板部がトーションバーの
軸回りに回転変位した際に該基板と接触する位置に、電
気的に接地された第2の固定電極を設け、また、前記平
板部の前記回転軸から見て前記可動電極が存在する側の
うち、前記可動電極の存在しない部分の幅が、前記可動
電極の幅に比べて狭くすることが好ましい。また、前記
固定電極と前記可動電極の間への電圧の印加は、電圧を
連続的に変化させることができる可変電圧電源により行
われることが好ましい。また、本発明においては、請求
項1〜請求項5のいずれか1項に記載のアクチュエータ
を用い、該アクチュエータ前記平板部の一端にテイップ
を設けて静電駆動プローブを構成することができる。ま
た、本発明においては、上記静電駆動プローブを用い、
このプローブと前記可動電極と前記固定電極の間に印加
する電圧を連続的に制御する駆動制御部と、前記プロー
ブと観察すべき試料の相対位置を変化させる走査装置
と、前記試料の表面情報を処理する信号処理部とを備え
た走査型プローブ顕微鏡を構成することができる。そし
て、この走査型プローブ顕微鏡には、静電容量検出ユニ
ットを備えるようにしてもよい。また、本発明において
は、上記静電駆動プローブを用い、このプローブと、前
記可動電極と前記固定電極の間に印加する電圧を連続的
に制御する駆動制御部と、前記プローブと加工すべき試
料の相対位置を変化させる走査装置と、前記試料の表面
情報を処理する信号処理部とを備えた加工装置を構成す
ることができる。また、本発明においては、上記静電駆
動プローブを用い、このプローブと、前記可動電極と前
記固定電極の間に印加する電圧を連続的に制御する駆動
制御部と、前記プローブと記録媒体の相対位置を変化さ
せる走査装置と、前記記録媒体上に信号を記録もしくは
再生する手段を有する記録再生回路を備えた記録再生装
置を構成することができる。そして、これらのいずれの
装置もそれらを複数のプローブで構成することができる
ことは勿論のことである。さらに、本発明においては、
基板と、該基板上に形成された固定電極と、ねじれの軸
が一直線上に配置された2本のトーションバー部と、該
トーションバー部の一端を、前記ねじれの軸が前記基板
に対して空隙を介するように、前記基板上の前記固定電
極が形成された側に固定する支持部と、前記トーション
バー部の基板に固定されていない側の端に、前記ねじれ
の軸回りに回転自由に支持される回転部材と、該回転部
材上に形成され、前記固定電極と対向するように配置さ
れた可動電極と、前記基板上に、前記固定電極よりもト
ーションバーの取付部から離れた位置に配置された変位
規制部材とにより静電アクチュエータを構成することが
できる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は、上記した構成により本
発明の課題を達成することができるものであるが、その
内容をつぎに図に基づいて具体的に説明する。図6に本
発明の静電アクチュエータを用いたプローブの側面図を
示す。図6において、平板部101が第2の固定電極1
14と接触するまでトーションレバー108の軸の回り
に回転変位したとすると、可動電極105と固定電極1
03が最も近くなる部位の可動電極の変位はd・L2/
L1で与えられる。ここで、dは初期ギャップ、L1は
トーションバーの回転軸から平板部の前記固定電極と対
向している側の端までの距離、L2はトーションバーの
回転軸を基板上に投影した線と固定電極の端までの距離
である。既に説明したように、静電アクチュエータの可
動電極の変位の安定限界点はd/3以上であるが、本発
明の静電アクチュエータはL1≧3L2となるように設
定するので、可動電極の変位はd/3以下に規制され、
外乱によって可動電極の変位がd/3を越えることがな
い。本発明においては以上により、アクチュエータの駆
動中に、アクチュエータに外乱が働いても、アクチュエ
ータが急にストロークして制御不能に陥る恐れがないの
で、つぎのような静電アクチュエータおよび該アクチュ
エータを用いたプローブ、走査型プローブ顕微鏡、加工
装置、記録再生装置を提供することが可能となる。すな
わち、静電アクチュエータを本発明のように構成するこ
とにより、従来よりも大きなストローク範囲で使用する
ことが可能な静電アクチュエータを提供することができ
る。また、本発明の静電アクチュエータにおいて、回転
軸から見て可動電極側のうち、可動電極以外の部分の幅
を狭くすることにより、空気のダンピングが必要以上に
大きくなることを防ぐことができる静電アクチュエータ
を提供することができる。また、本発明の静電アクチュ
エータにおいて、上記したように第2の固定電極を設け
ることにより、基板が帯電することによってレバーが張
り付くという問題のないアクチュエータを提供すること
ができるの静電アクチュエータを提供することができ
る。また、本発明の静電アクチュエータにおいて、電圧
を連続的に変化させることができる可変電圧電源を用い
ることにより、静電アクチュエータのストロークを連続
的に変化させることができるアクチュエータを提供する
ことができる。また、本発明の静電アクチュエータを用
いて、走査型プローブ顕微鏡用の静電駆動プローブを構
成することにより、従来よりも探針の高さ制御範囲が大
きなプローブを提供することができる。また、本発明の
静電駆動プローブによって走査型プローブ顕微鏡を構成
することにより、従来よりも高さ方向の観察範囲が大き
な走査型プローブ顕微鏡を提供することができる。ま
た、本発明の静電駆動プローブによって試料表面への選
択堆積あるいはエッチング等の加工が可能な加工装置を
構成することにより、従来よりも高さ方向の加工範囲が
大きな加工装置を提供することができる。また、本発明
の静電駆動プローブによって記録再生装置を構成するこ
とにより、従来よりも凹凸の大きな媒体を使用すること
ができる記録再生装置を提供することができる。
発明の課題を達成することができるものであるが、その
内容をつぎに図に基づいて具体的に説明する。図6に本
発明の静電アクチュエータを用いたプローブの側面図を
示す。図6において、平板部101が第2の固定電極1
14と接触するまでトーションレバー108の軸の回り
に回転変位したとすると、可動電極105と固定電極1
03が最も近くなる部位の可動電極の変位はd・L2/
L1で与えられる。ここで、dは初期ギャップ、L1は
トーションバーの回転軸から平板部の前記固定電極と対
向している側の端までの距離、L2はトーションバーの
回転軸を基板上に投影した線と固定電極の端までの距離
である。既に説明したように、静電アクチュエータの可
動電極の変位の安定限界点はd/3以上であるが、本発
明の静電アクチュエータはL1≧3L2となるように設
定するので、可動電極の変位はd/3以下に規制され、
外乱によって可動電極の変位がd/3を越えることがな
い。本発明においては以上により、アクチュエータの駆
動中に、アクチュエータに外乱が働いても、アクチュエ
ータが急にストロークして制御不能に陥る恐れがないの
で、つぎのような静電アクチュエータおよび該アクチュ
エータを用いたプローブ、走査型プローブ顕微鏡、加工
装置、記録再生装置を提供することが可能となる。すな
わち、静電アクチュエータを本発明のように構成するこ
とにより、従来よりも大きなストローク範囲で使用する
ことが可能な静電アクチュエータを提供することができ
る。また、本発明の静電アクチュエータにおいて、回転
軸から見て可動電極側のうち、可動電極以外の部分の幅
を狭くすることにより、空気のダンピングが必要以上に
大きくなることを防ぐことができる静電アクチュエータ
を提供することができる。また、本発明の静電アクチュ
エータにおいて、上記したように第2の固定電極を設け
ることにより、基板が帯電することによってレバーが張
り付くという問題のないアクチュエータを提供すること
ができるの静電アクチュエータを提供することができ
る。また、本発明の静電アクチュエータにおいて、電圧
を連続的に変化させることができる可変電圧電源を用い
ることにより、静電アクチュエータのストロークを連続
的に変化させることができるアクチュエータを提供する
ことができる。また、本発明の静電アクチュエータを用
いて、走査型プローブ顕微鏡用の静電駆動プローブを構
成することにより、従来よりも探針の高さ制御範囲が大
きなプローブを提供することができる。また、本発明の
静電駆動プローブによって走査型プローブ顕微鏡を構成
することにより、従来よりも高さ方向の観察範囲が大き
な走査型プローブ顕微鏡を提供することができる。ま
た、本発明の静電駆動プローブによって試料表面への選
択堆積あるいはエッチング等の加工が可能な加工装置を
構成することにより、従来よりも高さ方向の加工範囲が
大きな加工装置を提供することができる。また、本発明
の静電駆動プローブによって記録再生装置を構成するこ
とにより、従来よりも凹凸の大きな媒体を使用すること
ができる記録再生装置を提供することができる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。 [実施例1]本実施例の静電駆動型STM装置につい
て、図を用いて説明する。図1は本実施例で作製した静
電駆動プローブユニットの斜視図、図2は図1の静電駆
動プローブユニットの断面図と制御回路の概略を示した
ものである。絶縁性の基板101上には第一の固定電極
103と第二の固定電極114が形成され、その上に空
隙部104を介してレバー107が形成されている。レ
バー107は、回転支持を行うトーションバー108に
よって支持部109に支持されている。そのレバー10
7上の一方の端にはトンネル電流検出用の導電性探針1
05が配置され、導電性薄膜で形成された可動電極10
6が第一の固定電極103と対向する位置にトーション
バー108を挟んでレバーの反対側に配置されている。
レバー107の一端は変位規制部材199を一体的に形
成している。110〜112の配線はそれぞれ、可動電
極印加電圧信号線、固定電極印加電圧信号線、そしてト
ンネル電流検出信号線である。可動電極106と第2の
固定電極114は可動電極印加電圧信号線110を介し
てグランドにバイアスされている。第二の固定電極11
4は絶縁性の基板101が帯電して、平板部107が基
板101に張り付くことを防止するために設けられてい
る。120は観察試料を示しており、本実施例ではグラ
ンドにバイアスされている。測定バイアス印加回路は探
針105に測定バイアスを印加する。I−V変換回路1
23は、探針105によって検出されてトンネル電流信
号線112を介して入力されたトンネル電流を、電圧信
号に変換する。その信号はZ方向位置制御回路122に
伝えられ、Z方向位置制御回路122はそれを受けて固
定電極印加電圧信号線111を介して第一の固定電極1
03に印加する電圧を生成する。データ等生成回路12
4は画像や情報を得るためのデータを生成する。
て、図を用いて説明する。図1は本実施例で作製した静
電駆動プローブユニットの斜視図、図2は図1の静電駆
動プローブユニットの断面図と制御回路の概略を示した
ものである。絶縁性の基板101上には第一の固定電極
103と第二の固定電極114が形成され、その上に空
隙部104を介してレバー107が形成されている。レ
バー107は、回転支持を行うトーションバー108に
よって支持部109に支持されている。そのレバー10
7上の一方の端にはトンネル電流検出用の導電性探針1
05が配置され、導電性薄膜で形成された可動電極10
6が第一の固定電極103と対向する位置にトーション
バー108を挟んでレバーの反対側に配置されている。
レバー107の一端は変位規制部材199を一体的に形
成している。110〜112の配線はそれぞれ、可動電
極印加電圧信号線、固定電極印加電圧信号線、そしてト
ンネル電流検出信号線である。可動電極106と第2の
固定電極114は可動電極印加電圧信号線110を介し
てグランドにバイアスされている。第二の固定電極11
4は絶縁性の基板101が帯電して、平板部107が基
板101に張り付くことを防止するために設けられてい
る。120は観察試料を示しており、本実施例ではグラ
ンドにバイアスされている。測定バイアス印加回路は探
針105に測定バイアスを印加する。I−V変換回路1
23は、探針105によって検出されてトンネル電流信
号線112を介して入力されたトンネル電流を、電圧信
号に変換する。その信号はZ方向位置制御回路122に
伝えられ、Z方向位置制御回路122はそれを受けて固
定電極印加電圧信号線111を介して第一の固定電極1
03に印加する電圧を生成する。データ等生成回路12
4は画像や情報を得るためのデータを生成する。
【0011】つぎに、STM測定動作について説明す
る。本実施例ではトンネル電流が一定になるように探針
・試料間距離を制御する場合(トンネル電流一定モー
ド)について説明する。探針105には、測定バイアス
印加回路125によって試料基板120に対して所定量
の測定バイアス電圧が印加されている。探針105と試
料基板120が接近装置(不図示)によって接近させら
れると、ある距離以内で両者の間にトンネル電流が流れ
はじめる。このトンネル電流信号はI−V変換回路12
3によって電圧信号に変換されZ方向位置制御回路12
2に送られる。このトンネル電流信号は探針105と試
料基板120との距離制御に用いられる。本実施例では
Z方向位置制御回路122はトンネル電流が一定になる
ように駆動電圧制御回路121に制御電圧データを送
り、駆動電圧制御回路121はその値から第一の固定電
極103に印加する電圧を算出し、算出した電圧を固定
電極印加電圧信号線111を介して印加する。このよう
な手続きによってフィードバックループが構成され、ト
ンネル電流一定制御が実現される。次に、表面観察像を
得るために探針105と試料基板120とを試料面と平
行な方向(x、Y方向)に相対移動させる。これを以下
xY走査と呼ぶ。なお、このxY走査機構に関しては図
示していない。このxY走査によって得られたトンネル
電流信号はデータ等生成回路124に送られ、xY走査
によって得られたトンネル電流信号(カレント信号)ま
たはそのトンネル電流信号による制御信号(トポグラフ
ィック信号)は、CRT等のモニタ(不図示)上のx−
Y座標に対応する位置に、それらの信号の大きさに応じ
て輝度や色信号などによって出力されることで試料表面
を画像として観察することができるようになっている。
る。本実施例ではトンネル電流が一定になるように探針
・試料間距離を制御する場合(トンネル電流一定モー
ド)について説明する。探針105には、測定バイアス
印加回路125によって試料基板120に対して所定量
の測定バイアス電圧が印加されている。探針105と試
料基板120が接近装置(不図示)によって接近させら
れると、ある距離以内で両者の間にトンネル電流が流れ
はじめる。このトンネル電流信号はI−V変換回路12
3によって電圧信号に変換されZ方向位置制御回路12
2に送られる。このトンネル電流信号は探針105と試
料基板120との距離制御に用いられる。本実施例では
Z方向位置制御回路122はトンネル電流が一定になる
ように駆動電圧制御回路121に制御電圧データを送
り、駆動電圧制御回路121はその値から第一の固定電
極103に印加する電圧を算出し、算出した電圧を固定
電極印加電圧信号線111を介して印加する。このよう
な手続きによってフィードバックループが構成され、ト
ンネル電流一定制御が実現される。次に、表面観察像を
得るために探針105と試料基板120とを試料面と平
行な方向(x、Y方向)に相対移動させる。これを以下
xY走査と呼ぶ。なお、このxY走査機構に関しては図
示していない。このxY走査によって得られたトンネル
電流信号はデータ等生成回路124に送られ、xY走査
によって得られたトンネル電流信号(カレント信号)ま
たはそのトンネル電流信号による制御信号(トポグラフ
ィック信号)は、CRT等のモニタ(不図示)上のx−
Y座標に対応する位置に、それらの信号の大きさに応じ
て輝度や色信号などによって出力されることで試料表面
を画像として観察することができるようになっている。
【0012】つぎに、各々の電極の働きについて説明す
る。探針105と試料基板120の間に流れるトンネル
電流が目標とする電流値よりも小さい、すなわち両者の
間隔が遠すぎる場合には駆動電圧制御回路121から第
一の固定電極103に印加する電圧を増加させる。する
と、第一の固定電極103と可動電極106が引き寄せ
られる方向に動くので、シーソーのように探針105は
試料基板120に近づくことになる。反対に探針105
と試料基板120の間に流れるトンネル電流が目標とす
る電流値よりも大きい、すなわち両者の間隔が近すぎる
場合には駆動電圧制御回路121から第一の固定電極1
03に印加する電圧を減少させる。これにより探針10
5と試料基板120は離れることになる。また、Z方向
位置制御回路122による制御電圧の算出方法はデジタ
ルによるPID制御手段(不図示)を用いて行う。具体
的には、トンネル電流信号からI−V変換回路123に
よって検出された電圧値をデジタル値に変換し、デジタ
ル演算回路によってPID制御手段の制御出力を算出す
る。PID制御手段の各ゲインを適当に調整することに
より、フィードバック制御を安定に維持することができ
る。実際にAuの抵抗加熱による蒸着によって成膜した
薄膜表面を、本発明のSTMで観察し、従来型の変位規
制部材を持たないトーション型機構による観察結果と比
較する。この試料の凹凸は基板全体で数μm程度である
と考えられる。従来型の変位規制部材を持たない卜ーシ
ョン型機構は、安定して使用できるレンジが±1μmと
小さく、試料の凹みが大きい部分では探針がその凹みの
底まで届かないためトンネル電流が全く観測できない領
域や、反対に凸状態の大きいところでは探針が持ち上が
らずに試料表面に接触し、トンネル電流の飽和してしま
う領域が各所に見られた。しかし、本発明を用いた観察
装置では、安定して使用できるレンジが±1.5μmに
増加したため、トンネル電流の飽和や電流ゼロの領域が
明らかに減少した。また、平板部の回転軸から見て可動
電極が存在する側のうち可動電極が存在しない部分の幅
が、可動電極に比べて十分狭いので、空気によるダンピ
ングの影響も従来と大差なく、同程度の追従性が得られ
た。なお、本実施例で用いた回路は一例として示したも
のであってこれに限定されるものではなく、たとえば全
体をアナログで制御することも可能であることはいうま
でもない。
る。探針105と試料基板120の間に流れるトンネル
電流が目標とする電流値よりも小さい、すなわち両者の
間隔が遠すぎる場合には駆動電圧制御回路121から第
一の固定電極103に印加する電圧を増加させる。する
と、第一の固定電極103と可動電極106が引き寄せ
られる方向に動くので、シーソーのように探針105は
試料基板120に近づくことになる。反対に探針105
と試料基板120の間に流れるトンネル電流が目標とす
る電流値よりも大きい、すなわち両者の間隔が近すぎる
場合には駆動電圧制御回路121から第一の固定電極1
03に印加する電圧を減少させる。これにより探針10
5と試料基板120は離れることになる。また、Z方向
位置制御回路122による制御電圧の算出方法はデジタ
ルによるPID制御手段(不図示)を用いて行う。具体
的には、トンネル電流信号からI−V変換回路123に
よって検出された電圧値をデジタル値に変換し、デジタ
ル演算回路によってPID制御手段の制御出力を算出す
る。PID制御手段の各ゲインを適当に調整することに
より、フィードバック制御を安定に維持することができ
る。実際にAuの抵抗加熱による蒸着によって成膜した
薄膜表面を、本発明のSTMで観察し、従来型の変位規
制部材を持たないトーション型機構による観察結果と比
較する。この試料の凹凸は基板全体で数μm程度である
と考えられる。従来型の変位規制部材を持たない卜ーシ
ョン型機構は、安定して使用できるレンジが±1μmと
小さく、試料の凹みが大きい部分では探針がその凹みの
底まで届かないためトンネル電流が全く観測できない領
域や、反対に凸状態の大きいところでは探針が持ち上が
らずに試料表面に接触し、トンネル電流の飽和してしま
う領域が各所に見られた。しかし、本発明を用いた観察
装置では、安定して使用できるレンジが±1.5μmに
増加したため、トンネル電流の飽和や電流ゼロの領域が
明らかに減少した。また、平板部の回転軸から見て可動
電極が存在する側のうち可動電極が存在しない部分の幅
が、可動電極に比べて十分狭いので、空気によるダンピ
ングの影響も従来と大差なく、同程度の追従性が得られ
た。なお、本実施例で用いた回路は一例として示したも
のであってこれに限定されるものではなく、たとえば全
体をアナログで制御することも可能であることはいうま
でもない。
【0013】本実施例では図11や、図12に示すよう
な静電駆動プローブを使用することもできる。図1に示
すプローブにおいては、変位規制部材は回転部材と一体
に形成されているが、図11に示すプローブは、変位規
制部材199が別体で且つ基板101に向かって突出す
るように回転部材107に取り付けられており、図12
に示すプローブは、変位規制部材199が回転部材10
7に向かって突出するように基板101に取り付けられ
ている。図11、図12に示すプローブは図1に示すプ
ローブに比較して、作成行程が複雑になるものの、回転
部材のねじりの軸回りの慣性モーメントが小くなるの
で、動特性が向上するという利点がある。
な静電駆動プローブを使用することもできる。図1に示
すプローブにおいては、変位規制部材は回転部材と一体
に形成されているが、図11に示すプローブは、変位規
制部材199が別体で且つ基板101に向かって突出す
るように回転部材107に取り付けられており、図12
に示すプローブは、変位規制部材199が回転部材10
7に向かって突出するように基板101に取り付けられ
ている。図11、図12に示すプローブは図1に示すプ
ローブに比較して、作成行程が複雑になるものの、回転
部材のねじりの軸回りの慣性モーメントが小くなるの
で、動特性が向上するという利点がある。
【0014】[実施例2]本実施例では本発明のAFM
/STM装置を図を用いて説明する。図3は本実施例の
レバー機構の断面図と制御回路の概略を示したものであ
る。201〜215は実施例1の101〜115に対応
している。実施例1と異なる点は、AFM装置として使
用するための静電容量検出ユニット216が設けられて
いる点である。まず、この装置は実施例1に示したのと
同様な方法で静電駆動型STM装置として使用すること
ができる。
/STM装置を図を用いて説明する。図3は本実施例の
レバー機構の断面図と制御回路の概略を示したものであ
る。201〜215は実施例1の101〜115に対応
している。実施例1と異なる点は、AFM装置として使
用するための静電容量検出ユニット216が設けられて
いる点である。まず、この装置は実施例1に示したのと
同様な方法で静電駆動型STM装置として使用すること
ができる。
【0015】つぎに、この装置を静電容量型AFM装置
として使用する場合の方法を説明する。試料220と探
針205とが一定の弱い圧力で接した状態で基板201
と試料220との距離が変化しないように、不図示の距
離(Z方向)制御機構によって固定し、基板201を試
料面に対して平行にxY走査する。この時、探針205
は試料220表面の凹凸に従ってZ方向に上下すること
になるので、固定電極203と可動電極206間の距離
が変わり、固定電極203と可動電極206間の静電容
量が変化する。この静電容量変化を静電容量検出ユニッ
ト226で検出し、前記xY走査した位置に合わせてプ
ロットすることにより、試料の表面形状とする。本実施
例のSTM/AFM装置を用いることで、同一試料の同
一領域を、STMモード及びAFMモードで観測するこ
とにより、表面形状と導電性分布との両方の情報を混同
することなく調べることが可能である。
として使用する場合の方法を説明する。試料220と探
針205とが一定の弱い圧力で接した状態で基板201
と試料220との距離が変化しないように、不図示の距
離(Z方向)制御機構によって固定し、基板201を試
料面に対して平行にxY走査する。この時、探針205
は試料220表面の凹凸に従ってZ方向に上下すること
になるので、固定電極203と可動電極206間の距離
が変わり、固定電極203と可動電極206間の静電容
量が変化する。この静電容量変化を静電容量検出ユニッ
ト226で検出し、前記xY走査した位置に合わせてプ
ロットすることにより、試料の表面形状とする。本実施
例のSTM/AFM装置を用いることで、同一試料の同
一領域を、STMモード及びAFMモードで観測するこ
とにより、表面形状と導電性分布との両方の情報を混同
することなく調べることが可能である。
【0016】[実施例3]本実施例では、探針が設けら
れたレバーを複数個有するマルチSTM装置について図
4を用いて説明する。図4は、本実施例の静電駆動型マ
ルチSTM装置のプローブの概略説明図であり、(a)
は断面図であり、(b)は平面図である。図4の構成
は、基本的には実施例1で示したSTMプローブ(図1
参照)を同一基板内に3つ形成したものである。401
〜414は、101〜114にそれぞれ対応している。
本実施例では基板401の材質にシリコンを用いている
ため、実施例1と異なり表面に絶縁層402を形成し、
基板上の各電極を絶縁している。半導体プロセス技術を
用いて作製することにより、容易に、かつ、ばらつき無
く複数個のプローブを形成可能である。また、並べ方も
直線状以外にも、マトリクス状など2次元配列すること
が可能である。本実施例においては、それぞれのトーシ
ョン型レバーを独立に駆動することが可能であり、即
ち、同時に複数のSTM観察が可能となる。
れたレバーを複数個有するマルチSTM装置について図
4を用いて説明する。図4は、本実施例の静電駆動型マ
ルチSTM装置のプローブの概略説明図であり、(a)
は断面図であり、(b)は平面図である。図4の構成
は、基本的には実施例1で示したSTMプローブ(図1
参照)を同一基板内に3つ形成したものである。401
〜414は、101〜114にそれぞれ対応している。
本実施例では基板401の材質にシリコンを用いている
ため、実施例1と異なり表面に絶縁層402を形成し、
基板上の各電極を絶縁している。半導体プロセス技術を
用いて作製することにより、容易に、かつ、ばらつき無
く複数個のプローブを形成可能である。また、並べ方も
直線状以外にも、マトリクス状など2次元配列すること
が可能である。本実施例においては、それぞれのトーシ
ョン型レバーを独立に駆動することが可能であり、即
ち、同時に複数のSTM観察が可能となる。
【0017】[実施例4]本実施例では実施例1で示し
た静電駆動型STM装置(図1、図2参照)と、金(A
u)を表面に堆積したシリコンウェハとを、真空排気し
たチャンバー内に設置し、チャンバー内の真空度が約1
×10-4Torrとなるように6フッ化タングステン
(WF6)ガスを導入する。この状態で試料(Au)表
面のSTM観察を行うと、探針走査部分に対応してタン
グステンが試料表面に堆積する。この様なSTM装置構
成による試料表面への選択堆積あるいはエッチングなど
の加工においても、本発明の装置は従来の装置に比較し
てZ軸方向の変位量が大きいので、より深いエッチング
や厚い堆積が可能となり有効である。
た静電駆動型STM装置(図1、図2参照)と、金(A
u)を表面に堆積したシリコンウェハとを、真空排気し
たチャンバー内に設置し、チャンバー内の真空度が約1
×10-4Torrとなるように6フッ化タングステン
(WF6)ガスを導入する。この状態で試料(Au)表
面のSTM観察を行うと、探針走査部分に対応してタン
グステンが試料表面に堆積する。この様なSTM装置構
成による試料表面への選択堆積あるいはエッチングなど
の加工においても、本発明の装置は従来の装置に比較し
てZ軸方向の変位量が大きいので、より深いエッチング
や厚い堆積が可能となり有効である。
【0018】[実施例5]本実施例では実施例3で示し
た複数のプローブを持つマルチSTM装置を用いて、試
料としての記録媒体に電気的な加工を施すことにより記
録ビットの書き込みを行ない、実際にそのビットを用い
て情報の記録再生消去を行なった例を示す。記録媒体と
しては特開昭63−161552号公報および特開昭6
3−161553号公報に開示されている記録媒体であ
るAu電極上に積層されたSOAZ−ラングミュアープ
ロジェット(LB)膜(2層膜)を試料として用いる。
Au電極には実施例1で用いた抵抗加熱によるAuの蒸
着膜を用いている。この記録媒体に、レバー上の探針を
用いて波高値−6Vおよび+1.5Vの連続したパルス
電圧を重畳したバイアスを探針と記録媒体の間に印加す
ることで電気的な情報の書き込みを行う。さらにその書
き込んだ情報を読み出すために、STM装置と同様な走
査方法によってトンネル電流を測定し、得られるトンネ
ル電流信号から、電気的加工によって書き込んだビット
信号を抽出し、抽出したビット信号から書き込んだ情報
の再生を行う。再生した情報は、トンネル電流信号の飽
和や不検出状態等が起こらず、情報の欠落等も発生せ
ず、書き込んだ情報は100%再生できる。また、一度
書き込んだ一連の部分に上述のバイアスと逆の大きさの
パルスを重畳したバイアスを探針と記録媒体の間に印加
する。その後に一連のビットを形成する部分を走査しト
ンネル電流を測定すると、すべてビットがない場合の大
きさに戻っている。すなわち書き込んだデータが消去さ
れていることを確認でき、本発明によって、消去に対し
ても安定に探針制御ができる。以上は実施例1に基づい
たSTMでの記録再生について述べたが、AFM/ST
M複合機についても同様に記録再生が可能である。AF
M/STM複合機においては、STMの場合と同様に、
探針によってバイアスを印加する方法により情報の書き
込みをし、AFM機構によって媒体と探針の距離を一定
に保ちながら、観測されるトンネル電流の変化から情報
を読みとるという方法によって記録再生がを実現するこ
とができる。もちろん、消去についても本実施例前半で
述べた方法と同一に行ない確認した。
た複数のプローブを持つマルチSTM装置を用いて、試
料としての記録媒体に電気的な加工を施すことにより記
録ビットの書き込みを行ない、実際にそのビットを用い
て情報の記録再生消去を行なった例を示す。記録媒体と
しては特開昭63−161552号公報および特開昭6
3−161553号公報に開示されている記録媒体であ
るAu電極上に積層されたSOAZ−ラングミュアープ
ロジェット(LB)膜(2層膜)を試料として用いる。
Au電極には実施例1で用いた抵抗加熱によるAuの蒸
着膜を用いている。この記録媒体に、レバー上の探針を
用いて波高値−6Vおよび+1.5Vの連続したパルス
電圧を重畳したバイアスを探針と記録媒体の間に印加す
ることで電気的な情報の書き込みを行う。さらにその書
き込んだ情報を読み出すために、STM装置と同様な走
査方法によってトンネル電流を測定し、得られるトンネ
ル電流信号から、電気的加工によって書き込んだビット
信号を抽出し、抽出したビット信号から書き込んだ情報
の再生を行う。再生した情報は、トンネル電流信号の飽
和や不検出状態等が起こらず、情報の欠落等も発生せ
ず、書き込んだ情報は100%再生できる。また、一度
書き込んだ一連の部分に上述のバイアスと逆の大きさの
パルスを重畳したバイアスを探針と記録媒体の間に印加
する。その後に一連のビットを形成する部分を走査しト
ンネル電流を測定すると、すべてビットがない場合の大
きさに戻っている。すなわち書き込んだデータが消去さ
れていることを確認でき、本発明によって、消去に対し
ても安定に探針制御ができる。以上は実施例1に基づい
たSTMでの記録再生について述べたが、AFM/ST
M複合機についても同様に記録再生が可能である。AF
M/STM複合機においては、STMの場合と同様に、
探針によってバイアスを印加する方法により情報の書き
込みをし、AFM機構によって媒体と探針の距離を一定
に保ちながら、観測されるトンネル電流の変化から情報
を読みとるという方法によって記録再生がを実現するこ
とができる。もちろん、消去についても本実施例前半で
述べた方法と同一に行ない確認した。
【0019】
【発明の効果】本発明は以上の構成によりつぎのような
効果を奏する。本発明の静電アクチュエータは、上記の
ように基板と、該基板上に形成された固定電極と、ねじ
れの軸が一直線上に配置された2本のトーションバー部
と、該トーションバー部の一端を、前記ねじれの軸が前
記基板に対して空隙を介するように、前記基板上の前記
固定電極が形成された側に固定する支持部と、前記トー
ションバー部の基板に固定されていない側の端に、前記
ねじれの軸回りに回転自由に支持される回転部材と、該
回転部材上に形成され、前記固定電極と対向するように
配置された可動電極と、該回転部材の前記可動電極より
もトーションバーの取付部から離れた端に配置された変
位規制部材とで構成することによて、静電アクチュエー
タの可動電極の変位が外乱によりその安定限界点を越え
ないようにすることが可能となる。また、本発明におい
ては、前記変位規制部材を、前記回転部材と同一平面上
に配置され且つ前記回転部材と一体的に構成することに
より、その作成を容易とすることができ、また、前記変
位規制部材を、前記基板に向かって突出するように前記
回転部材に取り付けることにより、回転部材のねじり軸
回りの慣性モーメントを小さくすることができ、動特性
を向上させることができる。また、トーションバーの回
転軸から平板部の固定電極と対向している側の端までの
距離(L1)と、前記トーションバーの回転軸を基板上
に投影した線と固定電極の端までの距離(L2)との関
係を、L1≧3×L2とすることにより、平板部が基板
にぶつかることで可動電極のストロークを初期ギャップ
の1/3以下に制限することができ、大きなストローク
においても崩れることがなく、従来の静電アクチュエー
タよりも大きなストロークを得ることができる。また、
本発明のアクチュエータは、上記したように基板に第2
の固定電極を設けることで平板部が帯電によって基板に
張り付くことを防止することができる。また、本発明の
アクチュエータは、回転軸から見て可動電極側のうち、
可動電極以外の部分の幅を狭くすることにより、空気の
ダンピングが必要以上に大きくなることを防止すること
ができる。また、本発明の静電アクチュエータにおい
て、電圧を連続的に変化させることができる可変電圧電
源を用いることにより、静電アクチュエータのストロー
クを連続的に変化させることができる。また、本発明の
静電アクチュエータを用いて、走査型プローブ顕微鏡用
の静電駆動プローブを構成することにより、従来よりも
探針の高さ制御範囲が大きなプローブを提供することが
できる。また、本発明の静電駆動プローブによって走査
型プローブ顕微鏡を構成することにより、高さ方向の観
察範囲としての探針のストロークを、従来よりも大きく
とることができ、より正確な表面凹凸状態を観察するこ
とができる。また、本発明の静電駆動プローブによって
試料表面への選択堆積あるいはエッチング等の加工が可
能な加工装置を構成することにより、高さ方向の加工範
囲としての探針のストロークを、従来よりも大きく取る
ことができ、より深いエッチングや厚い堆積が可能とな
る。また、本発明の静電駆動プローブによって記録再生
装置を構成することにより、探針のストロークを従来よ
りも大きく取ることができるので、従来よりも凹凸の大
きな媒体を使用することが可能な記録再生装置を実現す
ることができる。
効果を奏する。本発明の静電アクチュエータは、上記の
ように基板と、該基板上に形成された固定電極と、ねじ
れの軸が一直線上に配置された2本のトーションバー部
と、該トーションバー部の一端を、前記ねじれの軸が前
記基板に対して空隙を介するように、前記基板上の前記
固定電極が形成された側に固定する支持部と、前記トー
ションバー部の基板に固定されていない側の端に、前記
ねじれの軸回りに回転自由に支持される回転部材と、該
回転部材上に形成され、前記固定電極と対向するように
配置された可動電極と、該回転部材の前記可動電極より
もトーションバーの取付部から離れた端に配置された変
位規制部材とで構成することによて、静電アクチュエー
タの可動電極の変位が外乱によりその安定限界点を越え
ないようにすることが可能となる。また、本発明におい
ては、前記変位規制部材を、前記回転部材と同一平面上
に配置され且つ前記回転部材と一体的に構成することに
より、その作成を容易とすることができ、また、前記変
位規制部材を、前記基板に向かって突出するように前記
回転部材に取り付けることにより、回転部材のねじり軸
回りの慣性モーメントを小さくすることができ、動特性
を向上させることができる。また、トーションバーの回
転軸から平板部の固定電極と対向している側の端までの
距離(L1)と、前記トーションバーの回転軸を基板上
に投影した線と固定電極の端までの距離(L2)との関
係を、L1≧3×L2とすることにより、平板部が基板
にぶつかることで可動電極のストロークを初期ギャップ
の1/3以下に制限することができ、大きなストローク
においても崩れることがなく、従来の静電アクチュエー
タよりも大きなストロークを得ることができる。また、
本発明のアクチュエータは、上記したように基板に第2
の固定電極を設けることで平板部が帯電によって基板に
張り付くことを防止することができる。また、本発明の
アクチュエータは、回転軸から見て可動電極側のうち、
可動電極以外の部分の幅を狭くすることにより、空気の
ダンピングが必要以上に大きくなることを防止すること
ができる。また、本発明の静電アクチュエータにおい
て、電圧を連続的に変化させることができる可変電圧電
源を用いることにより、静電アクチュエータのストロー
クを連続的に変化させることができる。また、本発明の
静電アクチュエータを用いて、走査型プローブ顕微鏡用
の静電駆動プローブを構成することにより、従来よりも
探針の高さ制御範囲が大きなプローブを提供することが
できる。また、本発明の静電駆動プローブによって走査
型プローブ顕微鏡を構成することにより、高さ方向の観
察範囲としての探針のストロークを、従来よりも大きく
とることができ、より正確な表面凹凸状態を観察するこ
とができる。また、本発明の静電駆動プローブによって
試料表面への選択堆積あるいはエッチング等の加工が可
能な加工装置を構成することにより、高さ方向の加工範
囲としての探針のストロークを、従来よりも大きく取る
ことができ、より深いエッチングや厚い堆積が可能とな
る。また、本発明の静電駆動プローブによって記録再生
装置を構成することにより、探針のストロークを従来よ
りも大きく取ることができるので、従来よりも凹凸の大
きな媒体を使用することが可能な記録再生装置を実現す
ることができる。
【図1】実施例1の静電駆動型STMプローブユニット
の斜視図である。
の斜視図である。
【図2】実施例1の静電駆動型STMプローブユニット
の断面図と制御回路の概略図である。
の断面図と制御回路の概略図である。
【図3】実施例2のSTM/AFMプローブユニットの
断面図と制御回路の概略図である。
断面図と制御回路の概略図である。
【図4】実施例3の静電駆動型マルチSTM装置のプロ
ーブの概略説明図である。
ーブの概略説明図である。
【図5】従来の静電駆動型STMプローブユニットの斜
視図である。
視図である。
【図6】本発明の動作を説明する図である。
【図7】静電駆動アクチュエータの安定点と崩れ電圧を
説明する図である。
説明する図である。
【図8】静電駆動アクチュエータの駆動電圧と変位の関
係を説明する図である。
係を説明する図である。
【図9】静電駆動アクチュエータの安定限界点を説明す
る図である。
る図である。
【図10】静電駆動アクチュエータの動作原理図であ
る。
る。
【図11】実施例1における別の静電駆動型STMプロ
ーブユニットの構成を示す斜視図である。
ーブユニットの構成を示す斜視図である。
【図12】実施例1におけるさらに別の静電駆動型ST
Mプローブユニットの構成を示す斜視図である。
Mプローブユニットの構成を示す斜視図である。
101、201、401、1001:基板 402、1002:絶縁層 103、203、403、903、1003:固定電極 104、204、404、1004:空隙部 105、205、405、1005:探針 106、206、406、906、1006:可動電極 107、207、407、1007:平板部 108、208、408、1008:トーションバー 109、409、1009:支持部 110、210、410、1010:可動電極印加電圧
信号線 111、211、411、1011:固定電極印加電圧
信号線 112、212、412、1012:トンネル電流検出
信号線 114、214、414:第2の固定電極 120、220:試料基板 121、221:駆動電圧制御回路 122、222:Z方向位置制御回路 123、223:I−V変換回路 124、224:データ等生成回路 125、225:測定バイアス印加回路 199、1991、1992:変位規制部材 226:静電容量検出ユニット 915:ばね
信号線 111、211、411、1011:固定電極印加電圧
信号線 112、212、412、1012:トンネル電流検出
信号線 114、214、414:第2の固定電極 120、220:試料基板 121、221:駆動電圧制御回路 122、222:Z方向位置制御回路 123、223:I−V変換回路 124、224:データ等生成回路 125、225:測定バイアス印加回路 199、1991、1992:変位規制部材 226:静電容量検出ユニット 915:ばね
Claims (16)
- 【請求項1】基板と、該基板上に形成された固定電極
と、 ねじれの軸が一直線上に配置された2本のトーションバ
ー部と、 該トーションバー部の一端を、前記ねじれの軸が前記基
板に対して空隙を介するように、前記基板上の前記固定
電極が形成された側に固定する支持部と、 前記トーションバー部の基板に固定されていない側の端
に、前記ねじれの軸回りに回転自由に支持される回転部
材と、 該回転部材上に形成され、前記固定電極と対向するよう
に配置された可動電極と、 該回転部材の前記可動電極よりもトーションバーの取付
部から離れた端に配置された変位規制部材と、 を有することを特徴とする静電アクチュエータ。 - 【請求項2】前記変位規制部材が、前記回転部材と同一
平面上に配置され且つ前記回転部材と一体的に構成され
ていることを特徴とする請求項1に記載の静電アクチュ
エータ。 - 【請求項3】前記変位規制部材が、前記基板に向かって
突出するように前記回転部材に取り付けられていること
を特徴とする請求項1に記載の静電アクチュエータ。 - 【請求項4】前記トーションバーの回転軸から前記平板
部の前記固定電極と対向している側の端までの距離をL
1、前記トーションバーの回転軸を前記基板上に投影し
た線と固定電極の端までの距離をL2としたときに、距
離L1と距離L2との関係を、L1≧3×L2としたこ
とを特徴とする請求項1に記載の静電アクチュエータ。 - 【請求項5】前記基板には、前記平板部がトーションバ
ーの軸回りに回転変位した際に該基板と接触する位置
に、電気的に接地された第2の固定電極が設けられてい
ることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項
に記載の静電アクチュエータ。 - 【請求項6】前記平板部の前記回転軸から見て前記可動
電極が存在する側のうち、前記可動電極の存在しない部
分の幅が、前記可動電極の幅に比べて狭いことを特徴と
する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の静電ア
クチュエータ。 - 【請求項7】前記固定電極と前記可動電極の間への電圧
の印加は、電圧を連続的に変化させることができる可変
電圧電源により行われることを特徴とする請求項1〜請
求項6のいずれか1項に記載の静電アクチュエータ。 - 【請求項8】走査型プローブ顕微鏡用の静電駆動プロー
ブにおいて、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載
のアクチュエータを用い、該アクチュエータの前記平板
部の一端にテイップを設けてプローブを構成したことを
特徴とする静電駆動プローブ。 - 【請求項9】請求項8に記載の静電駆動プローブと、前
記可動電極と前記固定電極の間に印加する電圧を連続的
に制御する駆動制御部と、前記プローブと観察すべき試
料の相対位置を変化させる走査装置と、前記試料の表面
情報を処理する信号処理部とを備えたことを特徴とする
走査型プローブ顕微鏡。 - 【請求項10】請求項9に記載の走査型プローブ顕微鏡
において、静電容量検出ユニットを有することを特徴と
する走査型プローブ顕微鏡。 - 【請求項11】前記プローブを、複数有することを特徴
とする請求項9に記載の走査型プローブ顕微鏡。 - 【請求項12】請求項8に記載のプローブと、前記可動
電極と前記固定電極の間に印加する電圧を連続的に制御
する駆動制御部と、前記プローブと加工すべき試料の相
対位置を変化させる走査装置と、前記試料の表面情報を
処理する信号処理部とを備えたことを特徴とする加工装
置。 - 【請求項13】前記プローブを、複数有することを特徴
とする請求項12に記載の加工装置。 - 【請求項14】請求項8に記載のプローブと、前記可動
電極と前記固定電極の間に印加する電圧を連続的に制御
する駆動制御部と、前記プローブと記録媒体の相対位置
を変化させる走査装置と、前記記録媒体上に信号を記録
もしくは再生する手段を有する記録再生回路を備えたこ
とを特徴とする記録再生装置。 - 【請求項15】前記プローブを、複数有することを特徴
とする請求項14に記載の記録再生装置。 - 【請求項16】基板と、該基板上に形成された固定電極
と、 ねじれの軸が一直線上に配置された2本のトーションバ
ー部と、 該トーションバー部の一端を、前記ねじれの軸が前記基
板に対して空隙を介するように、前記基板上の前記固定
電極が形成された側に固定する支持部と、 前記トーションバー部の基板に固定されていない側の端
に、前記ねじれの軸回りに回転自由に支持される回転部
材と、 該回転部材上に形成され、前記固定電極と対向するよう
に配置された可動電極と、 前記基板上に、前記固定電極よりもトーションバーの取
付部から離れた位置に配置された変位規制部材と、 を有することを特徴とする静電アクチュエータ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4676196A JPH09218206A (ja) | 1996-02-08 | 1996-02-08 | 静電アクチュエータおよび該アクチュエータを用いたプローブ、走査型プローブ顕微鏡、加工装置、記録再生装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4676196A JPH09218206A (ja) | 1996-02-08 | 1996-02-08 | 静電アクチュエータおよび該アクチュエータを用いたプローブ、走査型プローブ顕微鏡、加工装置、記録再生装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09218206A true JPH09218206A (ja) | 1997-08-19 |
Family
ID=12756327
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4676196A Pending JPH09218206A (ja) | 1996-02-08 | 1996-02-08 | 静電アクチュエータおよび該アクチュエータを用いたプローブ、走査型プローブ顕微鏡、加工装置、記録再生装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09218206A (ja) |
-
1996
- 1996-02-08 JP JP4676196A patent/JPH09218206A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3576677B2 (ja) | 静電アクチュエータ及び、該アクチュエータを用いたプローブ、走査型プローブ顕微鏡、加工装置、記録再生装置 | |
JP4614398B2 (ja) | 走査型プローブ顕微鏡 | |
JP2566653B2 (ja) | 間隔制御トンネリング変換器 | |
US6000280A (en) | Drive electrodes for microfabricated torsional cantilevers | |
US5574279A (en) | Probe with torsion lever structure, and scanning probe microscope and record/reproducing apparatus utilizing the same | |
US7260051B1 (en) | Molecular memory medium and molecular memory integrated circuit | |
EP0334677B1 (en) | Information recording device and information recording and reproducing process | |
US5717680A (en) | Information processing apparatus with mechanism for adjusting interval between substrate for supporting a plurality of probes and recording medium | |
JP4194151B2 (ja) | 駆動ステージ、走査型プローブ顕微鏡、加工装置 | |
US5444191A (en) | Information processing apparatus and device for use in same | |
US5751686A (en) | Scanning probe tip covered with an electrical resistance to limit recording/reproducing current | |
US5793040A (en) | Information processing aparatus effecting probe position control with electrostatic force | |
JP3599440B2 (ja) | 情報処理装置の探針位置制御機構および探針位置制御方法、情報処理装置 | |
JPH09218206A (ja) | 静電アクチュエータおよび該アクチュエータを用いたプローブ、走査型プローブ顕微鏡、加工装置、記録再生装置 | |
JP3076467B2 (ja) | 面合わせ方法およびそれを用いたトンネル顕微鏡および記録再生装置 | |
JP3226424B2 (ja) | 走査型プローブ顕微鏡ならびに該顕微鏡を用いた加工装置および情報処理装置 | |
JPH0763548A (ja) | カンチレバー型プローブ、及びそれを有する走査型トンネル顕微鏡並びに情報処理装置 | |
JP3015974B2 (ja) | マルチプローブユニット、情報処理装置、走査型トンネル顕微鏡、カンチレバー型プローブ | |
JPH06241780A (ja) | 走査型トンネル顕微鏡、原子間力顕微鏡及びそれらを 用いた加工装置 | |
JP3234722B2 (ja) | 円弧状反りレバー型アクチュエータ、該アクチュエータの駆動方法及び情報入出力用プローブを用いた情報処理装置 | |
JPH0552508A (ja) | カンチレバー型アクチユエータ及びそれを用いた走査型トンネル顕微鏡、情報処理装置 | |
JPH05231815A (ja) | 変位素子、及びこれを用いた検出素子、及びこの検出素子を用いた走査型トンネル顕微鏡、原子間力顕微鏡、情報処理装置 | |
JPH06317404A (ja) | カンチレバー型アクチュエータ及びそれを用いた走査型探針顕微鏡並びに情報処理装置 | |
JPH1196607A (ja) | プローブ、および情報処理装置 | |
JPH07110969A (ja) | 面合わせ方法,位置制御機構および該機構を有する情報処理装置 |