JPH08287833A - プラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents
プラズマディスプレイパネルの製造方法Info
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Abstract
(AC−PDP)の製造方法に関し、誘電体層を保護し
良好な放電特性を得るための<111>に配向した酸化
マグネシウム膜を容易に得ることを目的とする。 【構成】 放電空間5に対して誘電体層6aを被覆する
酸化マグネシウムからなる表面保護層7bを、<111
>配向の酸化マグネシウム膜を保護層形成下地層7aと
して用いて蒸着形成することにより、低基板温度、高堆
積速度で<111>配向の膜とする。
Description
いるガス放電表示パネルの製造方法に関し、特に誘電体
層の保護膜の製造方法に関する。
(以下、AC−PDPと記す)は誘電体層を放電による
イオン衝撃から保護するために耐熱性の保護層が設けら
れている。この保護層は放電空間に接することから放電
開始電圧を下げるために二次電子放出係数の大きいこと
が望ましく、酸化マグネシウム(MgO)が用いられて
いる。
を例えば電子ビーム加熱などによって蒸発させて誘電体
層の表面に結晶成長の形で堆積させる手法、すなわち蒸
着法によって形成される。
ネルの駆動電圧は駆動回路の耐電圧や消費電力の面から
みれば、まだ低いとはいえず、さらなる大面積化を考え
た場合、より一層の低電圧化が望まれる。ガス放電表示
パネルの駆動電圧は、素子の構造、封入ガス等多くの要
因によって決定されるが、保護層の二次電子放出係数も
そのひとつであり、二次電子放出係数が高ければより低
い電圧で駆動することができる。酸化マグネシウムはこ
のような点からも保護層として採用されている。低電圧
化の面では、酸化マグネシウム膜の結晶配向性による二
次電子放出係数の違いが論議されている。すなわち、酸
化マグネシウムの<111>配向膜が他の膜質の酸化マ
グネシウムに対して二次電子放出係数が高いとされてい
る。また、経時変化の面からも<111>配向膜の優位
性が述べられている(例えば、特開平5−23451
9)。ここで、電子ビームを用いた蒸着法で酸化マグネ
シウムの<111>配向膜を得るためには、230℃以
上の基板温度で膜を堆積させるか、または1.5オング
ストローム/秒以上、3オングストローム/秒以下の堆
積速度で形成する必要がある。しかし、230℃以上と
いう高い基板温度で酸化マグネシウム膜を形成すると下
地層である低融点ガラス内の鉛(Pb)成分が酸化マグ
ネシウム膜中に拡散し、このような酸化マグネシウム膜
をAC−PDPの保護層として用いると駆動電圧が上昇
するという問題があった。また、1.5オングストロー
ム/秒以上、3オングストローム/秒以下という堆積速
度は生産性の面からは非常に低い値であり採用し難いと
いう問題があった。
るAC−PDPの製造方法は、上述の問題を解決するた
めに、酸化マグネシウムの<111>配向膜を下地層と
してその上に保護層となる酸化マグネシウム膜を積層形
成する工程を含む。
製造方法は、下地層となる酸化マグネシウムの<111
>配向膜を、230℃以上、350℃以下の基板温度で
蒸着法により形成する工程を含む。
製造方法は、下地層となる酸化マグネシウムの<111
>配向膜を、1.5オングストローム/秒以上、3オン
グストローム/秒以下の堆積速度で蒸着法により形成す
る工程を含む。
ウム膜を形成する場合、基板温度を150℃程度より高
くすると良好な結晶成長がみられるが主に<200>に
配向した膜である。しかし、下地を<111>に配向し
た酸化マグネシウム膜とした場合には、蒸着条件にあま
り左右されずその上に積層される膜にも<111>の配
向性が得られる。
DPの製造方法により製造されたAC−PDPの構造を
模式的に示す要部断面図である。第1のガラス基板1a
と第2のガラス基板1b、互いに平行に隣接配置された
表示電極2a,2b、AC駆動のための誘電体層6a,
6b、放電空間5を単位発光領域毎に区画するための隔
壁4、後述する保護層形成下地層7a及び表面保護層7
b、単位発光領域を選択的に発光させるためのデータ電
極3、及び所定発光色の蛍光体8から構成されている。
ウムとキセノンからなるペニングガスが封入されてい
る。なお、誘電体層6a,6bは低融点ガラスペースト
を所定形状に印刷して焼成することにより形成されてい
る。
らの間の相対電位が交互に反転するように所定の駆動電
圧(交番パルス)を印加すると、印加毎に誘電体層6a
の表面に放電が起こり、これにより生じた紫外線によっ
て蛍光体8が励起されて発光する。
は放電によるイオン衝撃から誘電体層6a,6bを保護
するために設けている。AC−PDPでは放電開始電圧
の低電圧化の上で有利な酸化マグネシウムを保護層材料
として用いる。
2のガラス基板1a,1bについて所定の構成要素を別
個に設ける工程、第1及び第2のガラス基板1a,1b
を対向配置して周囲を封止する工程、及び放電ガスを封
入する工程などを経て製造される。その際、第1のガラ
ス基板1a側において、保護層形成下地層7a及び表面
保護層7bは蒸着によって形成される。
7bの形成工程について述べる。まず所定の構成要素を
設けた第1のガラス基板1aを蒸着装置内で表面温度が
250℃程度になるようにヒータにより加熱する。その
後電子ビームにより蒸着材料である酸化マグネシウムを
加熱、蒸発させ基板ガラス上に下地層とする酸化マグネ
シウム膜から成る保護層形成下地層7aを約3000オ
ングストロームの膜厚に形成する。このとき、堆積速度
は例えば20オングストローム/秒となるように制御す
る。保護層形成下地層7aを形成後、第1のガラス基板
1aの表面温度が170℃程度になるようにヒータを制
御し、さらに7000オングストロームの表面保護層7
bを形成する。このときも堆積速度は20オングストロ
ーム/秒となるように制御する。
0℃程度、堆積速度を20オングストローム/秒として
電子ビーム蒸着法により酸化マグネシウム膜を形成した
場合、<200>に配向した膜となりやすい。しかし、
基板温度を高くすることにより<111>配向の膜を得
ることができる。図2は基板温度と配向性の関係を示し
たものである。図からわかるように230℃程度以上の
基板温度で<111>に配向した膜が得られることがわ
かる。基板温度をさらに高くしても配向性に変化はない
が下地となる誘電体層6aが軟化するため350℃を超
えるような温度での形成は不可能である。
膜を下地層とした場合、基板温度を170℃程度、堆積
速度を20オングストローム/秒としても、積層して形
成される酸化マグネシウム膜は<111>配向となる。
11>配向の酸化マグネシウム膜を下地層として、基板
温度170℃、堆積速度20オングストローム/秒の条
件で7000オングストロームの酸化マグネシウムを積
層形成した膜と、下地酸化マグネシウム層無しで基板温
度170℃、堆積速度20オングストローム/秒で10
000オングストロームの酸化マグネシウムを形成した
膜を、X線回折により評価し、<111>回折ピークと
<200>回折ピークの強度比を示したものである。
は<111>配向の膜が積層されていることがわかる。
7bを形成する時の基板温度は170℃程度と比較的低
いため、膜中への鉛の拡散は起こらない。
成下地層7a及び表面保護層7bの形成工程について述
べる。前述した第1の実施例と同様に蒸着装置内に設置
した基板を表面温度が170℃程度となるようにヒータ
により加熱する。その後電子ビーム蒸着により酸化マグ
ネシウム層を形成する。このとき、膜厚が3000オン
グストロームとなるまでは堆積速度が2オングストロー
ム/秒となるように電子ビームを制御し、その後700
0オングストロームとなるまでは堆積速度が20オング
ストローム/秒となるように電子ビームを制御する。
速度と配向性の関係を示したものである。図から、1.
5〜3オングストローム/秒の堆積速度で<111>配
向の膜が得られることがわかる。
酸化マグネシウム膜を保護層形成下地層7aとすること
により、20オングストローム/秒といった高い堆積速
度で積層形成した酸化マグネシウム膜も<111>とな
る。
ば、保護層の全てを2オングストローム/秒で形成した
場合に比べて、膜形成に要する時間は約1/2になり高
い生産性が得られる。
AC−PDPを例示したが、本発明は対向放電型のAC
−PDPにも適用することができる。上述の実施例にお
いて、蒸発源の形式は酸化マグネシウムの<111>配
向膜が得られる範囲で適宜変更することができる。
な放電特性を得るための酸化マグネシウムの<111>
配向膜を容易に形成することができる。
す要部断面図である。
配向性の関係を示したものである。
マグネシウム膜の結晶配向性の関係を示したものであ
る。
Claims (3)
- 【請求項1】 第1及び第2の絶縁性基板、誘電体に覆
われた電極対、誘電体上に電極部を覆うように形成され
た酸化マグネシウム(MgO)層及び放電ガスで充たさ
れた放電空間からなる交流駆動型ガス放電表示パネルの
製造方法において、前記酸化マグネシウム層の形成工程
が、<111>配向の酸化マグネシウム膜を下地層とし
てさらにその上に酸化マグネシウム膜を積層形成する工
程を含むことを特徴とするプラズマディスプレイパネル
の製造方法。 - 【請求項2】 下地層として用いる<111>に配向し
た酸化マグネシウム層が、230℃以上、350℃以下
の基板温度で蒸着法により形成された膜であることを特
徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイパネルの
製造方法。 - 【請求項3】 下地層として用いる<111>に配向し
た酸化マグネシウム層が、1.5オングストローム/秒
以上、3オングストローム/秒以下の堆積速度で蒸着法
により形成された膜であることを特徴とする請求項1記
載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
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