JPH08273622A - アーク放電ランプ用陰極 - Google Patents
アーク放電ランプ用陰極Info
- Publication number
- JPH08273622A JPH08273622A JP7100736A JP10073695A JPH08273622A JP H08273622 A JPH08273622 A JP H08273622A JP 7100736 A JP7100736 A JP 7100736A JP 10073695 A JP10073695 A JP 10073695A JP H08273622 A JPH08273622 A JP H08273622A
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- Japan
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- impregnated
- sharp electrode
- tungsten
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 アーク放電ランプ用陰極の頂点近傍への局部
的加熱による影響を少なくし、長寿命化したアーク放電
ランプ用陰極を提供する。 【構成】 頂点に高融点金属からなる鋭利電極1を有
し、鋭利電極1の周辺に少なくともバリウム酸化物を含
む化合物を含浸した多孔質タングステンからなる含浸型
陰極2を固着した。
的加熱による影響を少なくし、長寿命化したアーク放電
ランプ用陰極を提供する。 【構成】 頂点に高融点金属からなる鋭利電極1を有
し、鋭利電極1の周辺に少なくともバリウム酸化物を含
む化合物を含浸した多孔質タングステンからなる含浸型
陰極2を固着した。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアーク放電ランプ、特に
高出力ランプを安定に動作させるためのアーク放電ラン
プ用陰極に関する。
高出力ランプを安定に動作させるためのアーク放電ラン
プ用陰極に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、アーク放電ランプ用陰極として
は、図6に示すようなTh―W(トリウム―タングステ
ン合金)陰極を鋭利化したものや、図7に示すような含
浸型陰極を鋭利化したものが使われていた。
は、図6に示すようなTh―W(トリウム―タングステ
ン合金)陰極を鋭利化したものや、図7に示すような含
浸型陰極を鋭利化したものが使われていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】アーク放電ランプは、
陰極と陽極間に電圧を印加しガスを電離し、プラズマを
生成する。そのプラズマより光を取り出す。ランプ内の
陰極はランプの動作中、プラズマによる電離で発生した
イオンに表面を叩かれ加熱され、所定の温度になった時
点で熱電子を放出し、以降、放電が持続される。これを
自己加熱と呼び、陰極が目的の電流量を取り出すのに十
分な温度になるまで自動的に昇温する現象である。
陰極と陽極間に電圧を印加しガスを電離し、プラズマを
生成する。そのプラズマより光を取り出す。ランプ内の
陰極はランプの動作中、プラズマによる電離で発生した
イオンに表面を叩かれ加熱され、所定の温度になった時
点で熱電子を放出し、以降、放電が持続される。これを
自己加熱と呼び、陰極が目的の電流量を取り出すのに十
分な温度になるまで自動的に昇温する現象である。
【0004】イオンによる加熱は、陰極の熱電子放出能
力(仕事関数)に深く関係する。例えば同一の電流値を
得るにしても、熱電子放出能力の低い(仕事関数の高
い)陰極は高いそれに比べ、イオンの陰極降下電圧が必
然的に高くなり、昇温が激しくなる。即ち、この自己加
熱が熱電子放出能力の低い陰極では強くなり、温度が過
剰に上昇し陰極のダメージが大きくなる。
力(仕事関数)に深く関係する。例えば同一の電流値を
得るにしても、熱電子放出能力の低い(仕事関数の高
い)陰極は高いそれに比べ、イオンの陰極降下電圧が必
然的に高くなり、昇温が激しくなる。即ち、この自己加
熱が熱電子放出能力の低い陰極では強くなり、温度が過
剰に上昇し陰極のダメージが大きくなる。
【0005】図6のTh―W陰極よりなるものは低消費
電力化、イオンスパッタ衝撃緩和のため放電開始電圧を
低くする必要があり、先端部10aを鋭利化し電界集中
を企図している。このため頂点10bに集中してイオン
がスパッタされ、頂点10b近傍の温度が過剰に上昇し
やすい。頂点10bは長期間高温に晒されるので溶融蒸
発による変形が起こり、結晶組織も変化し、タングステ
ンの単結晶が成長して粗大な結晶粒が生成する。結果、
電子放射性原子であるTh原子の頂点10bへの供給が
ままならなくなり結晶粒界に沿ってアークが移動するア
ーク揺らぎが発生する。よって陰極寿命の設定において
は、これらのことを考慮しなければならず、エミッショ
ンの減少のみで寿命設定をすることができなかった。
電力化、イオンスパッタ衝撃緩和のため放電開始電圧を
低くする必要があり、先端部10aを鋭利化し電界集中
を企図している。このため頂点10bに集中してイオン
がスパッタされ、頂点10b近傍の温度が過剰に上昇し
やすい。頂点10bは長期間高温に晒されるので溶融蒸
発による変形が起こり、結晶組織も変化し、タングステ
ンの単結晶が成長して粗大な結晶粒が生成する。結果、
電子放射性原子であるTh原子の頂点10bへの供給が
ままならなくなり結晶粒界に沿ってアークが移動するア
ーク揺らぎが発生する。よって陰極寿命の設定において
は、これらのことを考慮しなければならず、エミッショ
ンの減少のみで寿命設定をすることができなかった。
【0006】図7の含浸型陰極を利用したものは、含浸
型陰極2の熱電子放出能力がTh―タングステン陰極に
比較し高いため陰極降下電圧が低くなり、それほど陰極
頂点の温度は上昇しない。そのため、上記Th−W陰極
の例よりも長寿命を実現している。しかし、粗大結晶粒
は生成せずとも陰極母材の熱伝導の関係から、イオンに
叩かれる頂点2b近傍は局部的に上昇し約2000℃以
上になる。この頂点近傍における局部的昇温はしばしば
表層部のみに留まり、この場合表層部を除いた部分の最
低温度は1400〜1800℃と温度に差がある。この
ため陰極全体の温度はさほど上昇していなくとも頂点2
b近傍のみ上昇し、その結果頂点2b近傍から陰極に含
浸してあるバリウム酸化物を含む化合物(以下含浸剤と
呼ぶ)が蒸発・逸散しランプ内壁に付着し、動作時間の
経過と共に堆積してゆくので光の透過率が減少してゆ
き、結果、ランプ寿命となる。この温度上昇は、先端部
2aの鋭利角を鈍角にすることで若干緩和されるが、そ
の結果アークの起点が広がりランプの輝度が低下し芳し
くない。よってこの場合もエミッション減少のみでは陰
極寿命を決定することはできず、他の要因も考慮にいれ
て陰極寿命の設定をしなければならなかった。
型陰極2の熱電子放出能力がTh―タングステン陰極に
比較し高いため陰極降下電圧が低くなり、それほど陰極
頂点の温度は上昇しない。そのため、上記Th−W陰極
の例よりも長寿命を実現している。しかし、粗大結晶粒
は生成せずとも陰極母材の熱伝導の関係から、イオンに
叩かれる頂点2b近傍は局部的に上昇し約2000℃以
上になる。この頂点近傍における局部的昇温はしばしば
表層部のみに留まり、この場合表層部を除いた部分の最
低温度は1400〜1800℃と温度に差がある。この
ため陰極全体の温度はさほど上昇していなくとも頂点2
b近傍のみ上昇し、その結果頂点2b近傍から陰極に含
浸してあるバリウム酸化物を含む化合物(以下含浸剤と
呼ぶ)が蒸発・逸散しランプ内壁に付着し、動作時間の
経過と共に堆積してゆくので光の透過率が減少してゆ
き、結果、ランプ寿命となる。この温度上昇は、先端部
2aの鋭利角を鈍角にすることで若干緩和されるが、そ
の結果アークの起点が広がりランプの輝度が低下し芳し
くない。よってこの場合もエミッション減少のみでは陰
極寿命を決定することはできず、他の要因も考慮にいれ
て陰極寿命の設定をしなければならなかった。
【0007】以上の問題は、通常の出力でも生ずるがこ
れが数百から数kWの直流点灯の高出力ランプになると
顕著に現れる。陰極寿命は上記したようにエミッション
の減少のみならず昇温の陰極先端への影響に大きく左右
される。本発明はこれらの問題に鑑み、長寿命化したア
ーク放電ランプ用陰極を提供することを目的とする。
れが数百から数kWの直流点灯の高出力ランプになると
顕著に現れる。陰極寿命は上記したようにエミッション
の減少のみならず昇温の陰極先端への影響に大きく左右
される。本発明はこれらの問題に鑑み、長寿命化したア
ーク放電ランプ用陰極を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のアーク放電ランプ用陰極は頂点に高融点金
属からなる鋭利電極を有し、該鋭利電極の周辺に少なく
とも含浸剤を含浸した多孔質タングステンからなる含浸
型陰極を固着したことを特徴とする。また、頂点に高融
点金属からなる鋭利電極を有し、該鋭利電極の周辺に少
なくとも含浸剤を含浸した多孔質高融点金属からなる含
浸型陰極を固着し、前記鋭利電極及び前記含浸型陰極の
表面に亘りスパッタで形成した前記多孔質高融点金属よ
り仕事関数の低い高融点金属被膜が形成されていること
を特徴とする。
め、本発明のアーク放電ランプ用陰極は頂点に高融点金
属からなる鋭利電極を有し、該鋭利電極の周辺に少なく
とも含浸剤を含浸した多孔質タングステンからなる含浸
型陰極を固着したことを特徴とする。また、頂点に高融
点金属からなる鋭利電極を有し、該鋭利電極の周辺に少
なくとも含浸剤を含浸した多孔質高融点金属からなる含
浸型陰極を固着し、前記鋭利電極及び前記含浸型陰極の
表面に亘りスパッタで形成した前記多孔質高融点金属よ
り仕事関数の低い高融点金属被膜が形成されていること
を特徴とする。
【0009】
【作用】放電開始時、イオンに叩かれ発生した熱は、陰
極頂部の鋭利電極より該鋭利電極の周りに固着された含
浸型陰極に伝えられる。これにより含浸型陰極の多孔質
タングステン内を含浸剤が拡散し、還元され、遊離バリ
ウムが生成され、該バリウムが単原子蒸発する。単原子
蒸発したバリウムは近傍にある鋭利電極に付着する。そ
の結果鋭利電極の表面にはバリウムの単原子層が形成さ
れ、熱電子放出能力が向上し、陰極降下電圧が減少す
る。鋭利電極は例えばモリブデンやタングステン等の高
融点金属からなり、自己加熱の結果発生した熱によく耐
える。含浸型陰極先端の表層部における過昇温領域には
鋭利電極が存在することになり、含浸剤は存在しない。
極頂部の鋭利電極より該鋭利電極の周りに固着された含
浸型陰極に伝えられる。これにより含浸型陰極の多孔質
タングステン内を含浸剤が拡散し、還元され、遊離バリ
ウムが生成され、該バリウムが単原子蒸発する。単原子
蒸発したバリウムは近傍にある鋭利電極に付着する。そ
の結果鋭利電極の表面にはバリウムの単原子層が形成さ
れ、熱電子放出能力が向上し、陰極降下電圧が減少す
る。鋭利電極は例えばモリブデンやタングステン等の高
融点金属からなり、自己加熱の結果発生した熱によく耐
える。含浸型陰極先端の表層部における過昇温領域には
鋭利電極が存在することになり、含浸剤は存在しない。
【0010】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面に沿って説明す
る。なお、図において同一の符号のものは同一または相
当するものを示す。図1は本発明の第一の実施例を示
し、図の理解のため部分断面を施してある。本実施例は
鋭利電極1とその周辺に固着した含浸型陰極2からな
る。含浸型陰極2は導電路3に後端を支持され、鋭利電
極1は含浸型陰極2の先端に形成した穴に挿嵌されてい
る。鋭利電極1は直径0.2mmのタングステンワイヤ
ー等の棒材を含浸型陰極の鋭利化した先端部2aの長さ
程に切断し、一端をグラインディングにて20〜30°
に尖らせて形成する。含浸型陰極2は、先端部2aが2
0〜30°の円錐状に鋭利化され、後端が円柱状となっ
ている。これは粒径4〜6μmのタングステン粉末を最
終形状にほぼ近い形に圧縮成形したものを焼結し、多孔
質タングステンを得、無酸素銅を浸銅し、機械加工にて
最終形状に仕上げる。その後、脱銅し、含浸剤としてモ
ル比(BaO:CaO:Al2O3)=(4:1:1)の
アルミン酸バリウムカルシウムを含浸して形成する。な
お、鋭利化した先端の頂部には穴を空け、そこに鋭利電
極1が鋭利化した一端のみ露出して嵌挿可能なようにす
る。この穴は、焼結を仮焼結と本焼結の二段階に分けれ
ば、仮焼結時に機械加工にて空けることができる。導電
路3はモリブデン丸棒材の先端を旋削し、凹陥部を設け
て形成する。鋭利電極1と含浸型陰極2の固着方法は、
Mo―Ru(モリブデン―ルテニウム)合金等の高融点
ロウ材によるロウ付けでも、焼き付けによる方法でもよ
い。また、先端部を尖らせる加工は、鋭利電極1と含浸
型陰極2を固着後に行っても良い。なお、製造工程にお
ける加熱が電子放出特性に悪影響を及ぼす可能性がある
場合、含浸作業は鋭利電極1と含浸型陰極2(多孔質タ
ングステン)の固着後に行った方が望ましい。含浸型陰
極2と導電路3の固着はMo―Ru合金等の高融点ロウ
材によるロウ付けで可能である。
る。なお、図において同一の符号のものは同一または相
当するものを示す。図1は本発明の第一の実施例を示
し、図の理解のため部分断面を施してある。本実施例は
鋭利電極1とその周辺に固着した含浸型陰極2からな
る。含浸型陰極2は導電路3に後端を支持され、鋭利電
極1は含浸型陰極2の先端に形成した穴に挿嵌されてい
る。鋭利電極1は直径0.2mmのタングステンワイヤ
ー等の棒材を含浸型陰極の鋭利化した先端部2aの長さ
程に切断し、一端をグラインディングにて20〜30°
に尖らせて形成する。含浸型陰極2は、先端部2aが2
0〜30°の円錐状に鋭利化され、後端が円柱状となっ
ている。これは粒径4〜6μmのタングステン粉末を最
終形状にほぼ近い形に圧縮成形したものを焼結し、多孔
質タングステンを得、無酸素銅を浸銅し、機械加工にて
最終形状に仕上げる。その後、脱銅し、含浸剤としてモ
ル比(BaO:CaO:Al2O3)=(4:1:1)の
アルミン酸バリウムカルシウムを含浸して形成する。な
お、鋭利化した先端の頂部には穴を空け、そこに鋭利電
極1が鋭利化した一端のみ露出して嵌挿可能なようにす
る。この穴は、焼結を仮焼結と本焼結の二段階に分けれ
ば、仮焼結時に機械加工にて空けることができる。導電
路3はモリブデン丸棒材の先端を旋削し、凹陥部を設け
て形成する。鋭利電極1と含浸型陰極2の固着方法は、
Mo―Ru(モリブデン―ルテニウム)合金等の高融点
ロウ材によるロウ付けでも、焼き付けによる方法でもよ
い。また、先端部を尖らせる加工は、鋭利電極1と含浸
型陰極2を固着後に行っても良い。なお、製造工程にお
ける加熱が電子放出特性に悪影響を及ぼす可能性がある
場合、含浸作業は鋭利電極1と含浸型陰極2(多孔質タ
ングステン)の固着後に行った方が望ましい。含浸型陰
極2と導電路3の固着はMo―Ru合金等の高融点ロウ
材によるロウ付けで可能である。
【0011】図2は本発明の第二の実施例を示し、図の
理解のため部分断面を施してある。本実施例の上記第一
実施例と相違するところは、導電路3の先端に凸部3a
を形成し、凸部3aの先端に鋭利電極1を固着し、これ
ら凸部3aと鋭利電極1を含浸型陰極2に形成した透孔
に嵌合固着しているところである。本例により陰極先端
の熱は熱伝導により鋭利電極1から凸部3aにも伝わる
ので含浸型陰極2全体に速やかに熱を伝えることがで
き、結果、陰極に均一な含浸剤の拡散を促し、バリウム
の均一な単原子蒸発を誘発するため、良好なアーク放電
を持続することができる。
理解のため部分断面を施してある。本実施例の上記第一
実施例と相違するところは、導電路3の先端に凸部3a
を形成し、凸部3aの先端に鋭利電極1を固着し、これ
ら凸部3aと鋭利電極1を含浸型陰極2に形成した透孔
に嵌合固着しているところである。本例により陰極先端
の熱は熱伝導により鋭利電極1から凸部3aにも伝わる
ので含浸型陰極2全体に速やかに熱を伝えることがで
き、結果、陰極に均一な含浸剤の拡散を促し、バリウム
の均一な単原子蒸発を誘発するため、良好なアーク放電
を持続することができる。
【0012】図3は本発明の第三の実施例を示し、図の
理解のため部分断面を施してある。本例にて使用する含
浸型陰極4はモリブデン多孔質焼結体に含浸剤としてモ
ル比(BaO:CaO:Al2O3)=(4:1:1)の
アルミン酸バリウムカルシウムを含浸して形成したもの
である。含浸型陰極4の鋭利化された先端部4a及び含
浸型陰極4から露出した鋭利電極1の表面に亘りタング
ステンを数百オングストローム〜数μmスパッタにより
被覆し、高融点金属被膜5を形成している。本例は被着
する高融点金属としてタングステンを採用し、これをス
パッタにより被着している。よって、形成されたタング
ステンの被膜は多孔質モリブデンの表面形状が転写され
るので含浸型陰極4の表面は多孔質タングステンと等価
の構造となる。よって、含浸型陰極の仕事関数は実質、
多孔質モリブデンではなく、多孔質タングステンを使用
した含浸型陰極の仕事関数に近くなり、熱電子放出特性
を上げることができる。また、モリブデンはタングステ
ンに比較し安価なため、生産コストが著しく削減され
る。
理解のため部分断面を施してある。本例にて使用する含
浸型陰極4はモリブデン多孔質焼結体に含浸剤としてモ
ル比(BaO:CaO:Al2O3)=(4:1:1)の
アルミン酸バリウムカルシウムを含浸して形成したもの
である。含浸型陰極4の鋭利化された先端部4a及び含
浸型陰極4から露出した鋭利電極1の表面に亘りタング
ステンを数百オングストローム〜数μmスパッタにより
被覆し、高融点金属被膜5を形成している。本例は被着
する高融点金属としてタングステンを採用し、これをス
パッタにより被着している。よって、形成されたタング
ステンの被膜は多孔質モリブデンの表面形状が転写され
るので含浸型陰極4の表面は多孔質タングステンと等価
の構造となる。よって、含浸型陰極の仕事関数は実質、
多孔質モリブデンではなく、多孔質タングステンを使用
した含浸型陰極の仕事関数に近くなり、熱電子放出特性
を上げることができる。また、モリブデンはタングステ
ンに比較し安価なため、生産コストが著しく削減され
る。
【0013】以上例示した陰極は図5に示すように中央
が回転楕円体状の石英ガラス製の発光管6内に陽極7と
共に封入され、排気され、キセノンガス等のガス充填が
行われ、放電管として使用される。導電路3はモリブデ
ン箔8を介してリード9に繋がり、リード9に外部電源
からの給電が行われる。以上、実施例について述べた
が、本発明はこれに限られるものではなく、種々の変更
が可能である。例えば、上記実施例では鋭利電極として
タングステンを使用したが、モリブデンとしても良い。
また、鋭利電極は独立した棒状のものである必要はな
く、例えば図4に示すように導電路3を例えばタングス
テン棒材等の高融点金属とし、その先端を鋭利化し、先
端部3bを形成し、先端部3bに含浸型陰極2を勘合固
着させ、含浸型陰極2の先端頂部より先端部3bの頂部
を露出させる構成としてもよい。この場合、鋭利電極は
導電路3が兼ねるので部品点数の削減が図られる。
が回転楕円体状の石英ガラス製の発光管6内に陽極7と
共に封入され、排気され、キセノンガス等のガス充填が
行われ、放電管として使用される。導電路3はモリブデ
ン箔8を介してリード9に繋がり、リード9に外部電源
からの給電が行われる。以上、実施例について述べた
が、本発明はこれに限られるものではなく、種々の変更
が可能である。例えば、上記実施例では鋭利電極として
タングステンを使用したが、モリブデンとしても良い。
また、鋭利電極は独立した棒状のものである必要はな
く、例えば図4に示すように導電路3を例えばタングス
テン棒材等の高融点金属とし、その先端を鋭利化し、先
端部3bを形成し、先端部3bに含浸型陰極2を勘合固
着させ、含浸型陰極2の先端頂部より先端部3bの頂部
を露出させる構成としてもよい。この場合、鋭利電極は
導電路3が兼ねるので部品点数の削減が図られる。
【0014】
【効果】含浸型陰極からのBaの単原子蒸発により陰極
先端の鋭利電極へBa原子が付着し、鋭利電極表面にB
aの単原子層が形成され、電子放出能力が高められるた
め、陰極先端の過昇温領域に使用する部材には電子放出
能力を考慮することなく耐熱温度の高い高融点金属を任
意選択することができ、陰極先端の耐熱温度を向上する
ことが可能であり、陰極先端の変質を防止することがで
きる。また、陰極頂点近傍の局部的加熱によって含浸剤
の逸散しやすい部分には鋭利電極または導電路が存在
し、含浸剤が存在しないため、含浸剤の蒸発が少なくな
り、含浸剤のランプ内壁に付着する量が著しく減少す
る。
先端の鋭利電極へBa原子が付着し、鋭利電極表面にB
aの単原子層が形成され、電子放出能力が高められるた
め、陰極先端の過昇温領域に使用する部材には電子放出
能力を考慮することなく耐熱温度の高い高融点金属を任
意選択することができ、陰極先端の耐熱温度を向上する
ことが可能であり、陰極先端の変質を防止することがで
きる。また、陰極頂点近傍の局部的加熱によって含浸剤
の逸散しやすい部分には鋭利電極または導電路が存在
し、含浸剤が存在しないため、含浸剤の蒸発が少なくな
り、含浸剤のランプ内壁に付着する量が著しく減少す
る。
【0015】以上詳述したように、本発明はアーク放電
ランプ用陰極の長寿命化を実現し、更にはアーク放電ラ
ンプを安定に長寿命動作させることができ、特に安定長
寿命の困難であった高出力直流点灯のアーク放電ランプ
の安定動作に貢献すること著しい。
ランプ用陰極の長寿命化を実現し、更にはアーク放電ラ
ンプを安定に長寿命動作させることができ、特に安定長
寿命の困難であった高出力直流点灯のアーク放電ランプ
の安定動作に貢献すること著しい。
【図1】本発明の第一の実施例を示す図である。
【図2】本発明の第二の実施例を示す図である。
【図3】本発明の第三の実施例を示す図である。
【図4】本発明の第四の実施例を示す図である。
【図5】アーク放電ランプを示す図である。
【図6】従来のTh―W陰極を使用したアーク放電ラン
プ用陰極を示す図である。
プ用陰極を示す図である。
【図7】従来の含浸型陰極を使用したアーク放電ランプ
用陰極を示す図である。
用陰極を示す図である。
1、鋭利電極 2、含浸型陰極 2a、先端部 3、導電路 4、含浸型陰極 4a、先端部 5、タングステン被膜 6、発光管 7、陽極 8、モリブデン箔 9、リード 10、Th−W陰極 10a、先端部 10b、頂点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小ノ沢 和男 埼玉県上福岡市福岡二丁目1番1号 新日 本無線株式会社川越製作所内
Claims (6)
- 【請求項1】 頂点に高融点金属からなる鋭利電極を有
し、該鋭利電極の周辺に少なくともバリウム酸化物を含
む化合物を含浸した多孔質タングステンからなる含浸型
陰極を固着したことを特徴とするアーク放電ランプ用陰
極。 - 【請求項2】 上記鋭利電極は上記含浸型陰極内を貫通
し、給電のための導電路を兼ねていることを特徴とする
請求項1に記載のアーク放電ランプ用陰極。 - 【請求項3】 上記鋭利電極はタングステン棒材からな
ることを特徴とする請求項1に記載のアーク放電ランプ
用陰極。 - 【請求項4】 上記鋭利電極はタングステン棒材からな
ることを特徴とする請求項2に記載のアーク放電ランプ
用陰極。 - 【請求項5】 頂点に高融点金属からなる鋭利電極を有
し、該鋭利電極の周辺に少なくともバリウム酸化物を含
む化合物を含浸した多孔質高融点金属からなる含浸型陰
極を固着し、前記鋭利電極及び前記含浸型陰極の表面に
亘りスパッタで形成した前記多孔質高融点金属より仕事
関数の低い高融点金属被膜が形成されていることを特徴
とするアーク放電ランプ用陰極。 - 【請求項6】 上記多孔質高融点金属は多孔質モリブデ
ンであり、上記高融点金属被膜はタングステン被膜であ
ることを特徴とする請求項4に記載のアーク放電ランプ
用陰極。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7100736A JPH08273622A (ja) | 1995-03-30 | 1995-03-30 | アーク放電ランプ用陰極 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7100736A JPH08273622A (ja) | 1995-03-30 | 1995-03-30 | アーク放電ランプ用陰極 |
Publications (1)
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JPH08273622A true JPH08273622A (ja) | 1996-10-18 |
Family
ID=14281868
Family Applications (1)
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JP7100736A Pending JPH08273622A (ja) | 1995-03-30 | 1995-03-30 | アーク放電ランプ用陰極 |
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JP (1) | JPH08273622A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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US10669046B2 (en) | 2017-03-02 | 2020-06-02 | 8 Rivers Capital, Llc | Systems and methods for improving efficiency of electroantimagnetic launchers |
US11667405B2 (en) | 2016-12-13 | 2023-06-06 | 8 Rivers Capital, Llc | Vehicle launch system and method |
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1995
- 1995-03-30 JP JP7100736A patent/JPH08273622A/ja active Pending
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