JPH11154488A - 放電管用陰極およびアークランプ - Google Patents
放電管用陰極およびアークランプInfo
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- JPH11154488A JPH11154488A JP10020344A JP2034498A JPH11154488A JP H11154488 A JPH11154488 A JP H11154488A JP 10020344 A JP10020344 A JP 10020344A JP 2034498 A JP2034498 A JP 2034498A JP H11154488 A JPH11154488 A JP H11154488A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 アークランプの高出力時においても安定した
動作ができる放電管用陰極およびアークランプを提供す
る 【解決手段】 先端鋭利な高融点金属の内部に空洞12
とそこから先端を貫通する透孔13を形成してなる陰極
基材11と、空洞12内に充填された電子放射材料14
とを具備し、陰極基材11表面が少なくとも陰極輝点と
なる陰極基材11先端の透孔13の開口とその周縁を除
き高融点炭化物金属15でコーティングされる構成とす
る。
動作ができる放電管用陰極およびアークランプを提供す
る 【解決手段】 先端鋭利な高融点金属の内部に空洞12
とそこから先端を貫通する透孔13を形成してなる陰極
基材11と、空洞12内に充填された電子放射材料14
とを具備し、陰極基材11表面が少なくとも陰極輝点と
なる陰極基材11先端の透孔13の開口とその周縁を除
き高融点炭化物金属15でコーティングされる構成とす
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高圧にて動作させ
る放電管用陰極に関し、特に高出力動作を行うアークラ
ンプ用陰極に関する。
る放電管用陰極に関し、特に高出力動作を行うアークラ
ンプ用陰極に関する。
【0002】
【従来技術】従来のアークランプ用陰極は、先端が鋭利
化された形状をしており、その材料には、大別して、ト
リア入りタングステン陰極、タングステン陰極、含浸型
陰極の3種類が使用されてきた。
化された形状をしており、その材料には、大別して、ト
リア入りタングステン陰極、タングステン陰極、含浸型
陰極の3種類が使用されてきた。
【0003】トリア入りタングステン陰極は、1〜5%
程度の二酸化トリウムをタングステン中に含有させた材
料を機械加工により、図4(a)に示すような先端鋭利
な形状の陰極基材1を形成し、図5(a)に示すよう
に、この陰極基材1をモリブデン製リボン2にロウ付
け、カシメ、または溶接などで固着して形成している。
程度の二酸化トリウムをタングステン中に含有させた材
料を機械加工により、図4(a)に示すような先端鋭利
な形状の陰極基材1を形成し、図5(a)に示すよう
に、この陰極基材1をモリブデン製リボン2にロウ付
け、カシメ、または溶接などで固着して形成している。
【0004】タングステン陰極は、99%以上の純度を
持つタングステン材料を使用したもので、その形状は上
記と同様である。
持つタングステン材料を使用したもので、その形状は上
記と同様である。
【0005】含浸型陰極は、多孔質タングステンを図4
(b)に示すように、先端を上記の2種類のものよりや
や緩い勾配で尖らせた形状に成形し、空孔に電子放射材
料としBaO、CaO、Al2O3を混合した酸化物を水
素ガス中、1700℃程度の高温下でしみこませて陰極
基材3を形成し、図5(b)に示すように、陰極基材3
をモリブデン製のリード4で支持し、リード4にモリブ
デン製リボン2を接続して形成したものである。
(b)に示すように、先端を上記の2種類のものよりや
や緩い勾配で尖らせた形状に成形し、空孔に電子放射材
料としBaO、CaO、Al2O3を混合した酸化物を水
素ガス中、1700℃程度の高温下でしみこませて陰極
基材3を形成し、図5(b)に示すように、陰極基材3
をモリブデン製のリード4で支持し、リード4にモリブ
デン製リボン2を接続して形成したものである。
【0006】これらの陰極は、図6に示すように、陽極
5とともに放電ガスが充填されたガラス管6内に封止さ
れ、アークランプ7となる。
5とともに放電ガスが充填されたガラス管6内に封止さ
れ、アークランプ7となる。
【0007】アークランプにおいて、放電は上記3種類
の陰極のいずれかにより行われる。高圧点灯を行うと、
陰極における放電の輝点は、陰極の鋭利化された先端に
集中する。陰極の先端は、放電によって生じるガスイオ
ンにたえず叩かれ、陰極先端が高エネルギーで加熱され
る。この温度上昇は、放電電流を一定に制御して安定し
た放電をさせ、発光させるとき、その放電の陰極降下電
圧により変化する。この陰極降下電圧は、陰極の電子放
射能力により、異なりその能力が高いと陰極降下電圧は
低くなる。すなわち、電子放射能力が高いと、陰極にお
ける温度上昇は緩和され、陰極への負荷が小さくなる。
の陰極のいずれかにより行われる。高圧点灯を行うと、
陰極における放電の輝点は、陰極の鋭利化された先端に
集中する。陰極の先端は、放電によって生じるガスイオ
ンにたえず叩かれ、陰極先端が高エネルギーで加熱され
る。この温度上昇は、放電電流を一定に制御して安定し
た放電をさせ、発光させるとき、その放電の陰極降下電
圧により変化する。この陰極降下電圧は、陰極の電子放
射能力により、異なりその能力が高いと陰極降下電圧は
低くなる。すなわち、電子放射能力が高いと、陰極にお
ける温度上昇は緩和され、陰極への負荷が小さくなる。
【0008】従来のタングステン陰極では、電子放射能
力が低いため、高温に加熱され、先端が溶解し、タング
ステンの単結晶が成長して粗大化し、アーク発生点が後
方に下がり、かつ不安定に動き回る。その結果、アーク
の「ゆらぎ」が大きくなり、精密な点光源として不適当
になる。そして、さらに進んで、先端が溶解すると、放
電が停止してしまう。トリア入りタングステンにおいて
も、その程度は、緩やかではあるが、同じ現象を生じ
る。
力が低いため、高温に加熱され、先端が溶解し、タング
ステンの単結晶が成長して粗大化し、アーク発生点が後
方に下がり、かつ不安定に動き回る。その結果、アーク
の「ゆらぎ」が大きくなり、精密な点光源として不適当
になる。そして、さらに進んで、先端が溶解すると、放
電が停止してしまう。トリア入りタングステンにおいて
も、その程度は、緩やかではあるが、同じ現象を生じ
る。
【0009】含浸型陰極では、その高電子放射能力によ
り溶解まではいかないが、内部に含浸しているBaOを
主とする化合物が溶けて陰極全体の表面に噴出し、放電
位置が不安定となる。また、蒸発したそれら化合物がラ
ンプのガラス管内壁に付着して透光率を低下させてしま
う。
り溶解まではいかないが、内部に含浸しているBaOを
主とする化合物が溶けて陰極全体の表面に噴出し、放電
位置が不安定となる。また、蒸発したそれら化合物がラ
ンプのガラス管内壁に付着して透光率を低下させてしま
う。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解決し、アークランプの高出力時においても安定した
動作ができる放電管用陰極およびアークランプを提供す
ることを目的とする。
を解決し、アークランプの高出力時においても安定した
動作ができる放電管用陰極およびアークランプを提供す
ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の放電管用陰極は、先端鋭利な高融点金属の
内部に空洞と該空洞から先端を貫通する透孔を形成して
なる陰極基材と、前記空洞内に充填された電子放射材料
とを具備する放電管用陰極であって、前記陰極基材表面
が少なくとも陰極輝点となる前記陰極基材先端の前記透
孔の開口とその周縁を除き高融点炭化物でコーティング
されていることを特徴とする。
に、本発明の放電管用陰極は、先端鋭利な高融点金属の
内部に空洞と該空洞から先端を貫通する透孔を形成して
なる陰極基材と、前記空洞内に充填された電子放射材料
とを具備する放電管用陰極であって、前記陰極基材表面
が少なくとも陰極輝点となる前記陰極基材先端の前記透
孔の開口とその周縁を除き高融点炭化物でコーティング
されていることを特徴とする。
【0012】なお、前記陰極基材はタングステンとして
よい。この際、前記高融点炭化物は周期律表のIVa
族、Va族、VIa族元素の炭化物のいずれか若しくは
組み合わせとしてよく、特に炭化タンタル、炭化ハフニ
ウム、炭化ジルコニウム、炭化ニオブ、炭化チタン、炭
化タングステンのいずれか若しくは組み合わせとして好
適である。
よい。この際、前記高融点炭化物は周期律表のIVa
族、Va族、VIa族元素の炭化物のいずれか若しくは
組み合わせとしてよく、特に炭化タンタル、炭化ハフニ
ウム、炭化ジルコニウム、炭化ニオブ、炭化チタン、炭
化タングステンのいずれか若しくは組み合わせとして好
適である。
【0013】また、前記陰極基材はトリア入りタングス
テンとしてもよい。この際、前記高融点炭化物は炭化タ
ングステンを除く周期律表のIVa族、Va族、VIa
族元素の炭化物のいずれか若しくは組み合わせとしてよ
く、特に炭化タンタル、炭化ハフニウム、炭化ジルコニ
ウム、炭化ニオブ、炭化チタンのいずれか若しくは組み
合わせとして好適である。
テンとしてもよい。この際、前記高融点炭化物は炭化タ
ングステンを除く周期律表のIVa族、Va族、VIa
族元素の炭化物のいずれか若しくは組み合わせとしてよ
く、特に炭化タンタル、炭化ハフニウム、炭化ジルコニ
ウム、炭化ニオブ、炭化チタンのいずれか若しくは組み
合わせとして好適である。
【0014】また、これらの陰極の前記陰極基材の空洞
に充填する前記電子放射材料はバリウム化合物として好
適である。
に充填する前記電子放射材料はバリウム化合物として好
適である。
【0015】また、本発明のアークランプは上記いずれ
かの陰極と陽極を放電ガスを充填したガラス管内に封入
して構成したことを特徴とする。
かの陰極と陽極を放電ガスを充填したガラス管内に封入
して構成したことを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に沿って説明する。なお、複数の図面にわたって同一ま
たは相当するものには同一の符号を付し、説明の重複を
避けた。
に沿って説明する。なお、複数の図面にわたって同一ま
たは相当するものには同一の符号を付し、説明の重複を
避けた。
【0017】図1は、本発明により形成した陰極の一部
を断面で示した図である。本図において10は陰極、1
1はタングステンからなる陰極基材、12は陰極基材1
1の内部に形成された空洞、13は空洞と陰極10先端
を貫通する透孔、14は空洞12内に充填された電子放
射材料としてのバリウム化合物、15は陰極基材11の
表面をコーティングした高融点炭化物(以下、炭化物と
略称する)、16はモリブデン製のリードを示す。
を断面で示した図である。本図において10は陰極、1
1はタングステンからなる陰極基材、12は陰極基材1
1の内部に形成された空洞、13は空洞と陰極10先端
を貫通する透孔、14は空洞12内に充填された電子放
射材料としてのバリウム化合物、15は陰極基材11の
表面をコーティングした高融点炭化物(以下、炭化物と
略称する)、16はモリブデン製のリードを示す。
【0018】なお、炭化物15は透孔13の開口とその
周縁を被覆せず、この被覆されない部分が陰極の放電
時、陰極輝点の範囲になる。
周縁を被覆せず、この被覆されない部分が陰極の放電
時、陰極輝点の範囲になる。
【0019】図2は、本発明の放電管用陰極の製造工程
を示す図である。本発明の放電管用陰極の製作は、次の
ようにして行われる。まず、機械加工または放電加工に
より陰極基材11の先端を円錐状に形成し、底面から空
洞12を形成する。(図2(a))。この空洞12は後に
電子放射材料14を充填するほか、リード16を内嵌す
るので、充填する電子放射材料の量とリード16の径か
らその大きさが決定される。
を示す図である。本発明の放電管用陰極の製作は、次の
ようにして行われる。まず、機械加工または放電加工に
より陰極基材11の先端を円錐状に形成し、底面から空
洞12を形成する。(図2(a))。この空洞12は後に
電子放射材料14を充填するほか、リード16を内嵌す
るので、充填する電子放射材料の量とリード16の径か
らその大きさが決定される。
【0020】その後、レーザ加工により、陰極基材11
の先端から底面に向かって、円錐の中心軸に沿った透孔
13を形成する。この透孔13は陰極の用途により適宜
選択するべきものであるが、本実施の形態ではφ0.1
〜0.3とした。(図2(c))。
の先端から底面に向かって、円錐の中心軸に沿った透孔
13を形成する。この透孔13は陰極の用途により適宜
選択するべきものであるが、本実施の形態ではφ0.1
〜0.3とした。(図2(c))。
【0021】次に、陰極基材11の空洞12内にBa
O、CaO、Al2O3を4:1:1のmol比で混合し
た酸化物粉末を充填し、水素炉内で約1700℃に加熱
し、バリウム化合物14を形成する(図2(d))。こ
のとき、透孔13内にはバリウム化合物14が存在して
いても、いなくてもよい。その後、空洞12にリード1
6を嵌合し、ロウ付けする。
O、CaO、Al2O3を4:1:1のmol比で混合し
た酸化物粉末を充填し、水素炉内で約1700℃に加熱
し、バリウム化合物14を形成する(図2(d))。こ
のとき、透孔13内にはバリウム化合物14が存在して
いても、いなくてもよい。その後、空洞12にリード1
6を嵌合し、ロウ付けする。
【0022】次に、陰極基材11の表面を炭化タンタル
をターゲットとした高周波スパッタリングにより被覆
し、炭化物15によるコーティング膜を形成する。この
膜厚は、透孔13が閉塞しないような厚さが上限であ
り、通常、1〜10μmの厚さが適当である(図2
(e))。
をターゲットとした高周波スパッタリングにより被覆
し、炭化物15によるコーティング膜を形成する。この
膜厚は、透孔13が閉塞しないような厚さが上限であ
り、通常、1〜10μmの厚さが適当である(図2
(e))。
【0023】炭化物15をコーティング後、陰極基材1
1先端の透孔13の開口を下地金属が僅かに露出するよ
うに、グラインディング等で軽く研磨し炭化物を除去す
る。除去する炭化物の範囲は、除去によって露出する陰
極基材11の透孔13の開口とその周縁が陰極輝点とな
るため、所望する輝点の範囲となるが、本実施の形態で
は透孔13の開口を中心としてφ0.1〜0.5mmと
した(図2(f))。
1先端の透孔13の開口を下地金属が僅かに露出するよ
うに、グラインディング等で軽く研磨し炭化物を除去す
る。除去する炭化物の範囲は、除去によって露出する陰
極基材11の透孔13の開口とその周縁が陰極輝点とな
るため、所望する輝点の範囲となるが、本実施の形態で
は透孔13の開口を中心としてφ0.1〜0.5mmと
した(図2(f))。
【0024】このようにして形成された陰極基材11に
リード16を嵌合し、高融点ロウ材等で固着して陰極1
0が完成する(図1)。
リード16を嵌合し、高融点ロウ材等で固着して陰極1
0が完成する(図1)。
【0025】この陰極10は、図5に示した放電ガスを
充填したガラス管8内に従来の陰極3に代えて陽極7と
対向配置し、アークランプを形成することができる。
充填したガラス管8内に従来の陰極3に代えて陽極7と
対向配置し、アークランプを形成することができる。
【0026】なお、このアークランプを動作すると、放
電開始時のエネルギーにより、陰極の先端が温度上昇
し、バリウム化合物14より蒸発したBaOが透孔13
を通り、透孔13の開口に到達する。そこでBaOが還
元され、透孔13の開口及びその周縁にバリウムの単原
子層が形成され、その部分で仕事関数が下がり、電子放
出能力が高くなる。よってタングステン等の高融点金属
の単結晶が粗大化する温度にまで上昇しないので、ラン
プの長寿命化が可能となる。
電開始時のエネルギーにより、陰極の先端が温度上昇
し、バリウム化合物14より蒸発したBaOが透孔13
を通り、透孔13の開口に到達する。そこでBaOが還
元され、透孔13の開口及びその周縁にバリウムの単原
子層が形成され、その部分で仕事関数が下がり、電子放
出能力が高くなる。よってタングステン等の高融点金属
の単結晶が粗大化する温度にまで上昇しないので、ラン
プの長寿命化が可能となる。
【0027】また、上記実施の形態の陰極は、BaOの
供給箇所が透孔開口とその周縁の陰極先端のみなので、
電子放出に関与しないバリウム化合物の蒸発が抑制さ
れ、ガラス管に付着し透光度が下がることもない。
供給箇所が透孔開口とその周縁の陰極先端のみなので、
電子放出に関与しないバリウム化合物の蒸発が抑制さ
れ、ガラス管に付着し透光度が下がることもない。
【0028】さらに、上記実施の形態の陰極は、陰極表
面を仕事関数の高い炭化物で覆われているため、透孔1
3から発生したBaOが炭化物上に到達しても仕事関数
は低下しないため、陰極輝点は拡大せず、輝度の高い陰
極が得られる。
面を仕事関数の高い炭化物で覆われているため、透孔1
3から発生したBaOが炭化物上に到達しても仕事関数
は低下しないため、陰極輝点は拡大せず、輝度の高い陰
極が得られる。
【0029】以上、発明の実施の形態について述べた
が、本発明はこれに限らず種々の変更が可能である。例
えば、上記実施の形態では陰極基材を炭化タンタルでコ
ーティングしたが、その他の炭化物でもよい。高融点の
炭化物は周期律表のIVa族、Va族、VIa族元素を
炭化したものが熱的にも機械的にも安定しており、これ
ら元素の炭化物を単体でまたは組み合わて使用してもよ
い。特に融点の高さから炭化ハフニウム、炭化ジルコニ
ウム、炭化ニオブ、炭化チタン、炭化タングステンの組
み合わせまたはいずれかとして好適である。
が、本発明はこれに限らず種々の変更が可能である。例
えば、上記実施の形態では陰極基材を炭化タンタルでコ
ーティングしたが、その他の炭化物でもよい。高融点の
炭化物は周期律表のIVa族、Va族、VIa族元素を
炭化したものが熱的にも機械的にも安定しており、これ
ら元素の炭化物を単体でまたは組み合わて使用してもよ
い。特に融点の高さから炭化ハフニウム、炭化ジルコニ
ウム、炭化ニオブ、炭化チタン、炭化タングステンの組
み合わせまたはいずれかとして好適である。
【0030】陰極基材として多孔質タングステンを採用
した場合は、上記バリウム化合物を得る熱処理によって
バリウム化合物の一部が含浸されてしまうが、炭化物に
よる目潰しの効果のため、放電に寄与しない極先端以外
からのバリウム化合物の蒸発が回避できる。また、含浸
させないためには、空洞や透孔の内壁にスパッタ等で金
属膜を形成することが有効である。
した場合は、上記バリウム化合物を得る熱処理によって
バリウム化合物の一部が含浸されてしまうが、炭化物に
よる目潰しの効果のため、放電に寄与しない極先端以外
からのバリウム化合物の蒸発が回避できる。また、含浸
させないためには、空洞や透孔の内壁にスパッタ等で金
属膜を形成することが有効である。
【0031】また、陰極基材として上記タングステンの
代わりに、トリア入りタングステンとしても可能であ
る。この際、コーティングする炭化物は上記のタングス
テン基材と同様に周期律表のIVa族、Va族、VIa
族元素を炭化したものが使用でき、上記の炭化タンタル
の他、炭化ハフニウム、炭化ジルコニウム、炭化ニオ
ブ、炭化チタンの組み合わせまたはいずれかとして好適
である。但し、本発明の主旨のひとつは、陰極基材表面
に炭化物をコーティングし、その表面における仕事関数
を高くすることであるから、陰極基材がトリア入りタン
グステンの場合、逆に仕事関数を低下させる炭化タング
ステン等のコーティングは不適である。
代わりに、トリア入りタングステンとしても可能であ
る。この際、コーティングする炭化物は上記のタングス
テン基材と同様に周期律表のIVa族、Va族、VIa
族元素を炭化したものが使用でき、上記の炭化タンタル
の他、炭化ハフニウム、炭化ジルコニウム、炭化ニオ
ブ、炭化チタンの組み合わせまたはいずれかとして好適
である。但し、本発明の主旨のひとつは、陰極基材表面
に炭化物をコーティングし、その表面における仕事関数
を高くすることであるから、陰極基材がトリア入りタン
グステンの場合、逆に仕事関数を低下させる炭化タング
ステン等のコーティングは不適である。
【0032】また、炭化物の被着はスパッタによった
が、その他CVD、プラズマCVD等の他の方法でも可
能であることは言うまでもない。例えば、高融点金属を
スパッタ後、水素と炭化水素の混合ガスによるプラズマ
処理で炭化物を形成することもできる。
が、その他CVD、プラズマCVD等の他の方法でも可
能であることは言うまでもない。例えば、高融点金属を
スパッタ後、水素と炭化水素の混合ガスによるプラズマ
処理で炭化物を形成することもできる。
【0033】さらに、上記実施の形態では陰極基材を円
錐形としたが、電界集中をさせるに足る多角錐その他の
先端鋭利な形状でもよいことは言うまでもない。
錐形としたが、電界集中をさせるに足る多角錐その他の
先端鋭利な形状でもよいことは言うまでもない。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
陰極先端の透孔開口とその周縁には、透孔を通り、電子
放射材料が充填された陰極基材の空洞から電子放射物質
が供給され、単原子層を形成するため、陰極先端の温度
上昇を低くすることができる。
陰極先端の透孔開口とその周縁には、透孔を通り、電子
放射材料が充填された陰極基材の空洞から電子放射物質
が供給され、単原子層を形成するため、陰極先端の温度
上昇を低くすることができる。
【0035】また、電子放射物質は、陰極先端の透孔開
口からのみ供給されるので、一部の放電に寄与しない電
子放射材料の蒸発が抑えられ、蒸発によるガラス管への
付着を防止できる。
口からのみ供給されるので、一部の放電に寄与しない電
子放射材料の蒸発が抑えられ、蒸発によるガラス管への
付着を防止できる。
【0036】また、陰極先端の透孔開口とその周縁を除
いた表面が、炭化物でコーティングされているので、高
出力点灯時においても輝点の拡大が発生せず、「ゆら
ぎ」のない安定した放電が実現できる。
いた表面が、炭化物でコーティングされているので、高
出力点灯時においても輝点の拡大が発生せず、「ゆら
ぎ」のない安定した放電が実現できる。
【図1】本発明の放電管用陰極の実施の形態を示す断面
図である。
図である。
【図2】本発明の放電管用陰極の製造方法を示す図であ
る。
る。
【図3】従来の陰極基材を示す図である。
【図4】従来の陰極を示す図である。
【図5】アークランプを示す図である。
11 陰極基材 12 空洞 13 透孔 14 電子放射材料 15 炭化物 16 リード
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮本 洋之 埼玉県上福岡市福岡二丁目1番1号 新日 本無線株式会社川越製作所内
Claims (9)
- 【請求項1】 先端鋭利な高融点金属の内部に空洞と該
空洞から先端を貫通する透孔を形成してなる陰極基材
と、前記空洞内に充填された電子放射材料とを具備する
放電管用陰極であって、前記陰極基材表面が少なくとも
陰極輝点となる前記陰極基材先端の前記透孔の開口とそ
の周縁を除き高融点炭化物でコーティングされているこ
とを特徴とする放電管用陰極。 - 【請求項2】 前記陰極基材がタングステンからなるこ
とを特徴とする請求項1に記載の放電管用陰極。 - 【請求項3】 前記高融点炭化物が、周期律表のIVa
族、Va族、VIa族元素の炭化物のいずれか若しくは
組み合わせであることを特徴とする請求項2に記載の放
電管用陰極。 - 【請求項4】 前記高融点炭化物が、炭化タンタル、炭
化ハフニウム、炭化ジルコニウム、炭化ニオブ、炭化チ
タン、炭化タングステンのいずれか若しくは組み合わせ
であることを特徴とする請求項3に記載の放電管用陰
極。 - 【請求項5】 前記陰極基材がトリア入りタングステン
からなることを特徴とする請求項1に記載の放電管用陰
極。 - 【請求項6】 前記高融点炭化物が、炭化タングステン
を除く周期律表のIVa族、Va族、VIa族元素の炭
化物のいずれか若しくは組み合わせであることを特徴と
する請求項5に記載の放電管用陰極。 - 【請求項7】 前記高融点炭化物が、炭化タンタル、炭
化ハフニウム、炭化ジルコニウム、炭化ニオブ、炭化チ
タンのいずれか若しくは組み合わせであることを特徴と
する請求項6に記載の放電管用陰極。 - 【請求項8】 前記電子放射材料がバリウム化合物から
なることを特徴とする請求項1乃至7に記載の放電管用
陰極。 - 【請求項9】 陰極と陽極を放電ガスを充填したガラス
管内に封入したアークランプにおいて、前記陰極に請求
項1乃至7のいずれかの放電管用陰極を用いたことを特
徴とするアークランプ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10020344A JPH11154488A (ja) | 1997-09-20 | 1998-01-16 | 放電管用陰極およびアークランプ |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9-273718 | 1997-09-20 | ||
JP27371897 | 1997-09-20 | ||
JP10020344A JPH11154488A (ja) | 1997-09-20 | 1998-01-16 | 放電管用陰極およびアークランプ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11154488A true JPH11154488A (ja) | 1999-06-08 |
Family
ID=26357271
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10020344A Pending JPH11154488A (ja) | 1997-09-20 | 1998-01-16 | 放電管用陰極およびアークランプ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11154488A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20010112865A (ko) * | 2000-06-15 | 2001-12-22 | 김병관 | 가스 방전등의 전극 장치 |
CN101847562A (zh) * | 2009-03-27 | 2010-09-29 | 优志旺电机株式会社 | 短弧型放电灯 |
DE102010034661A1 (de) | 2009-09-02 | 2011-03-03 | Ushio Denki Kabushiki Kaisha | Kurzbogen-Entladungslampe |
DE102012002048A1 (de) | 2011-02-03 | 2012-08-09 | Ushio Denki Kabushiki Kaisha | Kathode für eine Entladungslampe |
-
1998
- 1998-01-16 JP JP10020344A patent/JPH11154488A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20010112865A (ko) * | 2000-06-15 | 2001-12-22 | 김병관 | 가스 방전등의 전극 장치 |
CN101847562A (zh) * | 2009-03-27 | 2010-09-29 | 优志旺电机株式会社 | 短弧型放电灯 |
DE102010034661A1 (de) | 2009-09-02 | 2011-03-03 | Ushio Denki Kabushiki Kaisha | Kurzbogen-Entladungslampe |
DE102010034661B4 (de) * | 2009-09-02 | 2016-06-30 | Ushio Denki Kabushiki Kaisha | Kurzbogen-Entladungslampe mit Längsöffnung in der Anode, an deren Innenfläche Mikrorisse gebildet sind |
DE102012002048A1 (de) | 2011-02-03 | 2012-08-09 | Ushio Denki Kabushiki Kaisha | Kathode für eine Entladungslampe |
JP2012178329A (ja) * | 2011-02-03 | 2012-09-13 | Ushio Inc | 放電ランプ用陰極 |
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