JPH0765348A - 面内磁気記録媒体 - Google Patents
面内磁気記録媒体Info
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- JPH0765348A JPH0765348A JP20744893A JP20744893A JPH0765348A JP H0765348 A JPH0765348 A JP H0765348A JP 20744893 A JP20744893 A JP 20744893A JP 20744893 A JP20744893 A JP 20744893A JP H0765348 A JPH0765348 A JP H0765348A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 高保磁力などの磁気特性に優れた超高密度磁
気記録に好適な面内磁気記録媒体を提供する。 【構成】 Co基合金磁性膜を形成するに先立って、基
板上にHf,Ir,Mo,Pd,Pt,Re,Ta,T
i,Zrの少なくとも一種の元素を添加したCr合金か
らなる磁性膜の構造制御用薄膜を設け、さらには基板と
上記構造制御用薄膜の間にSi,Ge,C,B,の内か
ら選ばれた1種以上の元素からなる非晶質状薄膜で構成
された核生成制御層を設けた面内磁気記録媒体とする。 【効果】 構造制御用薄膜の上に形成されるCo基合金
磁性薄膜の結晶粒径や面内配向性の制御性が向上し、そ
の波及効果として磁気的に孤立した適正な粒径の磁性膜
が得られ、この薄膜を磁化したときに形成される磁気ク
ラスタの径を小さくでき、さらには高保磁力などの磁気
特性に優れた超高密度磁気記録に好適な面内磁気記録媒
体を提供できる効果がある。
気記録に好適な面内磁気記録媒体を提供する。 【構成】 Co基合金磁性膜を形成するに先立って、基
板上にHf,Ir,Mo,Pd,Pt,Re,Ta,T
i,Zrの少なくとも一種の元素を添加したCr合金か
らなる磁性膜の構造制御用薄膜を設け、さらには基板と
上記構造制御用薄膜の間にSi,Ge,C,B,の内か
ら選ばれた1種以上の元素からなる非晶質状薄膜で構成
された核生成制御層を設けた面内磁気記録媒体とする。 【効果】 構造制御用薄膜の上に形成されるCo基合金
磁性薄膜の結晶粒径や面内配向性の制御性が向上し、そ
の波及効果として磁気的に孤立した適正な粒径の磁性膜
が得られ、この薄膜を磁化したときに形成される磁気ク
ラスタの径を小さくでき、さらには高保磁力などの磁気
特性に優れた超高密度磁気記録に好適な面内磁気記録媒
体を提供できる効果がある。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高密度磁気記録に好適
な面内磁気記録媒体に関する。
な面内磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】面内磁気記録方式は、磁気記録媒体面に
平行に、かつ磁極のN極とN極、S極とS極を互いに突
き合わせる方向に磁化して磁気記録を行うものである。
面内磁気記録において記録密度を上げるには、記録時の
反磁界の影響をするために記録媒体である磁性膜の膜厚
を小さくし、保磁力を増大する必要がある。また磁性膜
の磁化容易軸を基板面に平行に配向させる必要がある。
さらに望ましくは磁化容易軸は一様な方向に配向させ
る。
平行に、かつ磁極のN極とN極、S極とS極を互いに突
き合わせる方向に磁化して磁気記録を行うものである。
面内磁気記録において記録密度を上げるには、記録時の
反磁界の影響をするために記録媒体である磁性膜の膜厚
を小さくし、保磁力を増大する必要がある。また磁性膜
の磁化容易軸を基板面に平行に配向させる必要がある。
さらに望ましくは磁化容易軸は一様な方向に配向させ
る。
【0003】従来、面内磁気記録用媒体としては、Co
−Cr,Co−NiなどのCo基合金薄膜が用いられ、
中でもCo−Crを主成分とする合金にTa,Pt,M
o,Ru,Re,Feなどを添加したものが用いられて
いる。これら面内磁気記録用の磁性薄膜を構成するCo
基合金は稠密六方(h.c.p)格子構造を持ち、この
結晶のc軸、<001>、方向に磁化容易軸を持ち、磁
気特性を向上するためにはこれらCo基合金薄膜のc軸
を高配向させる必要がある。
−Cr,Co−NiなどのCo基合金薄膜が用いられ、
中でもCo−Crを主成分とする合金にTa,Pt,M
o,Ru,Re,Feなどを添加したものが用いられて
いる。これら面内磁気記録用の磁性薄膜を構成するCo
基合金は稠密六方(h.c.p)格子構造を持ち、この
結晶のc軸、<001>、方向に磁化容易軸を持ち、磁
気特性を向上するためにはこれらCo基合金薄膜のc軸
を高配向させる必要がある。
【0004】現在用いられている面内磁気記録媒体は、
NiP被覆したAl基板、ガラス板、あるいはポリイミ
ド、ポリエチレンテレフタレートなどのプラスチックフ
ィルム類などの非磁性基板上にCo基合金薄膜を形成し
たものである。しかし、非磁性基板上に直接形成したC
o基合金薄膜は磁化容易軸であるc軸は全く不揃いであ
り、磁性膜の保磁力も1000 Oe(エルステッド)
以下と小さく、高密度磁気記録用媒体としての性能特性
が良くない。上記の磁性層であるCo基合金薄膜結晶の
c軸を基板面内に高配向化する目的から、基板上に体心
立方格子構造を有するCr下地層を形成し、その上にC
o基合金磁性薄膜を形成する方法が提案され、実用化さ
れている。基板上にCr下地層を直接形成した場合、薄
膜成長の初期にCrの微結晶核が形成されるが、この微
結晶粒は特別な方向に優先配向をしていない。Cr膜厚
の増大とともに結晶粒径が増大し、不規則な向きに配向
した結晶粒から成る初期成長層が形成される。この初期
成長層の厚さは、基板の種類や表面状態あるいは形成温
度やスパッタリングガスの圧力などの形成条件に依存す
るが、およそ50〜70nmである。さらに膜厚の増大
に伴って<110>あるいは<100>方位のCr結晶
粒が支配的になる。実用的に用いられるCr下地層の厚
さは100nm〜200nmである。この膜厚における
Cr下地層の結晶粒径は20〜200nmの範囲で不規
則な形で分布している。CoCrなどのCo基合金薄膜
は、上記Cr下地層の上にエピタキシャル的に成長す
る。Cr(100)面上にはCoCr結晶の(112
0)が平行に、すなわちCoCr結晶のc軸が下地層面
に平行にかつ互いに直交する形の薄膜が形成され、また
Cr(110)面にはCoCr結晶の(1010)面が
平行に形成される。このCoCrなどのCo基合金薄膜
の結晶粒は、粒径が20〜200nmの上記Cr下地層
結晶粒の上にエピタキシャル的に成長して形成される
が、一個のCr結晶粒の上に粒径10〜50nmの複数
個のCoCr結晶が成長する。このような構造をもつ記
録媒体を磁化すると、上記Cr結晶粒の上に形成された
複数個の磁性結晶粒群があたかも単一の磁気クラスタの
ように作用する。すなわち粒径が20〜200nmの一
個のCr結晶上に形成された数個の磁性結晶は、磁性粒
子間の磁気的な相互作用が強いためあたかも単一の磁気
クラスタのように磁化される。高密度磁気記録、特に1
Gb/in2以上の超高密度磁気記録では、ビット長が
数十ナノメートルのオーダまで小さくなることが予想さ
れ、超高密度磁気記録を再現性よく実現するためには、
磁化したとき個々の磁性結晶粒が単一の磁気クラスタと
して作用できるように各々が磁気的に孤立しており、ま
た磁性結晶粒径の均一性や結晶配向性を制御することが
重要になる。このためには基板上に形成するCr下地層
の粒径や結晶配向性を高度に制御する必要がある。すな
わち、従来用いられている磁気記録媒体では、Cr下地
層形成前の基板表面状態が特別に制御されてないため
に、この上に形成するCr結晶粒の大きさや成長方位が
不揃いになり、この上に形成する磁性粒子の粒径や結晶
配向等の微細構造を再現性よく制御できない問題があっ
た。
NiP被覆したAl基板、ガラス板、あるいはポリイミ
ド、ポリエチレンテレフタレートなどのプラスチックフ
ィルム類などの非磁性基板上にCo基合金薄膜を形成し
たものである。しかし、非磁性基板上に直接形成したC
o基合金薄膜は磁化容易軸であるc軸は全く不揃いであ
り、磁性膜の保磁力も1000 Oe(エルステッド)
以下と小さく、高密度磁気記録用媒体としての性能特性
が良くない。上記の磁性層であるCo基合金薄膜結晶の
c軸を基板面内に高配向化する目的から、基板上に体心
立方格子構造を有するCr下地層を形成し、その上にC
o基合金磁性薄膜を形成する方法が提案され、実用化さ
れている。基板上にCr下地層を直接形成した場合、薄
膜成長の初期にCrの微結晶核が形成されるが、この微
結晶粒は特別な方向に優先配向をしていない。Cr膜厚
の増大とともに結晶粒径が増大し、不規則な向きに配向
した結晶粒から成る初期成長層が形成される。この初期
成長層の厚さは、基板の種類や表面状態あるいは形成温
度やスパッタリングガスの圧力などの形成条件に依存す
るが、およそ50〜70nmである。さらに膜厚の増大
に伴って<110>あるいは<100>方位のCr結晶
粒が支配的になる。実用的に用いられるCr下地層の厚
さは100nm〜200nmである。この膜厚における
Cr下地層の結晶粒径は20〜200nmの範囲で不規
則な形で分布している。CoCrなどのCo基合金薄膜
は、上記Cr下地層の上にエピタキシャル的に成長す
る。Cr(100)面上にはCoCr結晶の(112
0)が平行に、すなわちCoCr結晶のc軸が下地層面
に平行にかつ互いに直交する形の薄膜が形成され、また
Cr(110)面にはCoCr結晶の(1010)面が
平行に形成される。このCoCrなどのCo基合金薄膜
の結晶粒は、粒径が20〜200nmの上記Cr下地層
結晶粒の上にエピタキシャル的に成長して形成される
が、一個のCr結晶粒の上に粒径10〜50nmの複数
個のCoCr結晶が成長する。このような構造をもつ記
録媒体を磁化すると、上記Cr結晶粒の上に形成された
複数個の磁性結晶粒群があたかも単一の磁気クラスタの
ように作用する。すなわち粒径が20〜200nmの一
個のCr結晶上に形成された数個の磁性結晶は、磁性粒
子間の磁気的な相互作用が強いためあたかも単一の磁気
クラスタのように磁化される。高密度磁気記録、特に1
Gb/in2以上の超高密度磁気記録では、ビット長が
数十ナノメートルのオーダまで小さくなることが予想さ
れ、超高密度磁気記録を再現性よく実現するためには、
磁化したとき個々の磁性結晶粒が単一の磁気クラスタと
して作用できるように各々が磁気的に孤立しており、ま
た磁性結晶粒径の均一性や結晶配向性を制御することが
重要になる。このためには基板上に形成するCr下地層
の粒径や結晶配向性を高度に制御する必要がある。すな
わち、従来用いられている磁気記録媒体では、Cr下地
層形成前の基板表面状態が特別に制御されてないため
に、この上に形成するCr結晶粒の大きさや成長方位が
不揃いになり、この上に形成する磁性粒子の粒径や結晶
配向等の微細構造を再現性よく制御できない問題があっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した従来技術の欠点を解消したものであって、Crを主
成分とする合金から成る磁性薄膜の構造制御用薄膜を用
い、該構造制御用薄膜の上に磁性薄膜を形成することに
よって、磁気的に孤立した適正な粒径と結晶配向性をも
つCo基合金磁性薄膜の構造制御を行い、高保磁力など
の磁気特性に優れた超高密度磁気記録に好適な面内磁気
記録媒体を提供することにある。
した従来技術の欠点を解消したものであって、Crを主
成分とする合金から成る磁性薄膜の構造制御用薄膜を用
い、該構造制御用薄膜の上に磁性薄膜を形成することに
よって、磁気的に孤立した適正な粒径と結晶配向性をも
つCo基合金磁性薄膜の構造制御を行い、高保磁力など
の磁気特性に優れた超高密度磁気記録に好適な面内磁気
記録媒体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明においては薄膜の結晶核生成を促進するため
の核生成制御層を基板上に設ける手段、Crを主成分と
する体心立方格子構造の合金から成る磁性薄膜の構造制
御用薄膜を設ける手段、該構造制御用薄膜の上にCo基
合金からなる磁性薄膜をエピタキシャル的に形成する手
段により解決した。
に、本発明においては薄膜の結晶核生成を促進するため
の核生成制御層を基板上に設ける手段、Crを主成分と
する体心立方格子構造の合金から成る磁性薄膜の構造制
御用薄膜を設ける手段、該構造制御用薄膜の上にCo基
合金からなる磁性薄膜をエピタキシャル的に形成する手
段により解決した。
【0007】本発明は、以下の知見に基づいて完成され
たものである。すなわち、稠密六方格子構造(以下hc
p構造という)のCo基合金はそのc軸方向に大きな結
晶磁気異方性を有し、面内磁気記録媒体はこのc軸を基
板面内に配向させる。このCo基合金のc軸を基板面内
に高配向させるために、基板上に体心立方格子構造(以
下bcc構造という)のCr下地層を形成し、この上に
Co基合金薄膜が形成される。このCo基合金薄膜のc
軸を面内配向させるには、<100>もしくは<110
>配向したCr下地層が必要とされる。このCr下地薄
膜の成長は、この薄膜を付着させる基板の表面状態によ
って大きく左右される。基板上に形成したCr薄膜の成
長形態を電子顕微鏡などで調べると、Cr薄膜の初期成
長段階においては不規則な方向に配向した微結晶の集合
体からなる初期成長層からなっており、膜厚の増大と共
に<110>または<100>方向に成長方位をもつC
r結晶粒が形成される。従って、Cr薄膜の結晶粒径や
結晶配向は薄膜の膜厚方向で変化している。従来、実用
的に用いられているCr下地層の膜厚(100〜200
nm)では、粒径は20〜200nmの範囲で不均一に
分布している。薄膜成長の初期からCr下地層薄膜の結
晶成長を制御する方法として基板とCr下地層の間にC
r結晶の核生成を制御する層を設けることが考えられ
る。Crやこれを主成分とするbcc構造の薄膜の核生
成を制御する方法としては、これと格子のマッチングの
良い、bcc構造、hcp構造あるいは酸化物材料等の
単結晶や多結晶薄膜を制御層として用いる方法が一般に
採用される。ところで磁気記録媒体用の基板は様々のプ
ロセスにより洗浄した後、真空装置に設置され、この上
に薄膜が形成される。この場合、基板表面のミクロな構
造や表面状態が不均一であるために、この上に形成され
る薄膜の結晶核生成も不揃いになる。本発明者等は、C
rまたはCr合金薄膜の結晶核生成を基板面上で均一に
行うためには、基板洗浄の後、真空装置の内部で基板の
表面状態を制御する必要があると考え、各種基板表面に
薄い核生成制御層を形成し、この上にCrまたはCr合
金薄膜を形成させ、その結晶成長状態を電子顕微鏡で詳
細に調べた。この薄い核生成制御層を形成する目的は、
粒径や結晶配向が一様に揃ったCrやCr合金の結晶が
成長し易い下地層の表面状態を実現させ、膜厚と共に膜
構造が変化する初期成長層の低減を図ることにある。そ
して、この薄い核生成制御層について検討した結果、S
i,Ge,C,Bなどを含む材料から成る薄膜を基板上
に形成すると、この上に形成するCrやCrを主成分と
する合金薄膜の結晶粒径分布や配向性が良くなることを
見出した。上記核生成層として用いるSi,Ge,C,
Bなどを含む材料の薄膜は、非晶質状の表面構造の時、
この上に形成するCrやCr合金薄膜の均一な核生成の
制御に有効であることが確認された。
たものである。すなわち、稠密六方格子構造(以下hc
p構造という)のCo基合金はそのc軸方向に大きな結
晶磁気異方性を有し、面内磁気記録媒体はこのc軸を基
板面内に配向させる。このCo基合金のc軸を基板面内
に高配向させるために、基板上に体心立方格子構造(以
下bcc構造という)のCr下地層を形成し、この上に
Co基合金薄膜が形成される。このCo基合金薄膜のc
軸を面内配向させるには、<100>もしくは<110
>配向したCr下地層が必要とされる。このCr下地薄
膜の成長は、この薄膜を付着させる基板の表面状態によ
って大きく左右される。基板上に形成したCr薄膜の成
長形態を電子顕微鏡などで調べると、Cr薄膜の初期成
長段階においては不規則な方向に配向した微結晶の集合
体からなる初期成長層からなっており、膜厚の増大と共
に<110>または<100>方向に成長方位をもつC
r結晶粒が形成される。従って、Cr薄膜の結晶粒径や
結晶配向は薄膜の膜厚方向で変化している。従来、実用
的に用いられているCr下地層の膜厚(100〜200
nm)では、粒径は20〜200nmの範囲で不均一に
分布している。薄膜成長の初期からCr下地層薄膜の結
晶成長を制御する方法として基板とCr下地層の間にC
r結晶の核生成を制御する層を設けることが考えられ
る。Crやこれを主成分とするbcc構造の薄膜の核生
成を制御する方法としては、これと格子のマッチングの
良い、bcc構造、hcp構造あるいは酸化物材料等の
単結晶や多結晶薄膜を制御層として用いる方法が一般に
採用される。ところで磁気記録媒体用の基板は様々のプ
ロセスにより洗浄した後、真空装置に設置され、この上
に薄膜が形成される。この場合、基板表面のミクロな構
造や表面状態が不均一であるために、この上に形成され
る薄膜の結晶核生成も不揃いになる。本発明者等は、C
rまたはCr合金薄膜の結晶核生成を基板面上で均一に
行うためには、基板洗浄の後、真空装置の内部で基板の
表面状態を制御する必要があると考え、各種基板表面に
薄い核生成制御層を形成し、この上にCrまたはCr合
金薄膜を形成させ、その結晶成長状態を電子顕微鏡で詳
細に調べた。この薄い核生成制御層を形成する目的は、
粒径や結晶配向が一様に揃ったCrやCr合金の結晶が
成長し易い下地層の表面状態を実現させ、膜厚と共に膜
構造が変化する初期成長層の低減を図ることにある。そ
して、この薄い核生成制御層について検討した結果、S
i,Ge,C,Bなどを含む材料から成る薄膜を基板上
に形成すると、この上に形成するCrやCrを主成分と
する合金薄膜の結晶粒径分布や配向性が良くなることを
見出した。上記核生成層として用いるSi,Ge,C,
Bなどを含む材料の薄膜は、非晶質状の表面構造の時、
この上に形成するCrやCr合金薄膜の均一な核生成の
制御に有効であることが確認された。
【0008】上記Cr合金薄膜は、この上に形成するC
o基磁性薄膜の結晶粒径や結晶配向を制御するための構
造制御用薄膜として作用する。また、この構造制御用薄
膜はCrを主成分とする合金薄膜を用いることにより、
Cr単独の薄膜の場合に比べて結晶粒径を小さくでき、
従って、この上に形成する磁性薄膜の結晶粒径も小さく
制御できる利点がある。高密度磁気記録に適した磁性薄
膜としては、磁化容易軸のc軸が基板面に平行に配向し
ており、また磁性粒子が夫れ夫れ磁気的に孤立している
ことが望ましく、このためには構造制御用薄膜を構成す
る一個の結晶粒の上に各々一個の磁性結晶が形成される
のが好適である。また1Gb/in2以上の高密度記録
用の媒体としては、磁性薄膜の粒径は10〜50nmの
範囲で均一であり、磁性粒子が孤立していることが望ま
しい。このためには磁性膜の構造制御用薄膜として作用
するCrを主成分とする合金下地薄膜の結晶粒径も10
〜50nmの範囲で均一に分布しており、また<110
>もしくは<100>方位に配向していることが望まし
い。各種材料の磁性膜の構造制御用薄膜を基板上に形成
し、電子顕微鏡とX線回折などによりその構造を調べた
結果、Crを主成分とし、これにHf,Ir,Mo,P
d,Pt,Re,Ta,Ti,Zrの内から選ばれた少
なくとも1種以上の元素を添加して構成された体心立方
格子構造の材料がCr単独の材料薄膜に比べて粒径が小
さく、均一な薄膜が得られることが見出された。上記H
f,Ir,Mo,Pd,Pt,Re,Ta,Ti,Zr
等の添加元素は、Cr粒子の粒界に偏析する傾向が認め
られ、これがこの上にエピタキシャル成長的に形成され
る磁性薄膜の磁気的な孤立化を促進するのに有効な作用
をする。上記添加元素の量は5〜30at%程度が好適
であり、形成条件により任意に選択できる。
o基磁性薄膜の結晶粒径や結晶配向を制御するための構
造制御用薄膜として作用する。また、この構造制御用薄
膜はCrを主成分とする合金薄膜を用いることにより、
Cr単独の薄膜の場合に比べて結晶粒径を小さくでき、
従って、この上に形成する磁性薄膜の結晶粒径も小さく
制御できる利点がある。高密度磁気記録に適した磁性薄
膜としては、磁化容易軸のc軸が基板面に平行に配向し
ており、また磁性粒子が夫れ夫れ磁気的に孤立している
ことが望ましく、このためには構造制御用薄膜を構成す
る一個の結晶粒の上に各々一個の磁性結晶が形成される
のが好適である。また1Gb/in2以上の高密度記録
用の媒体としては、磁性薄膜の粒径は10〜50nmの
範囲で均一であり、磁性粒子が孤立していることが望ま
しい。このためには磁性膜の構造制御用薄膜として作用
するCrを主成分とする合金下地薄膜の結晶粒径も10
〜50nmの範囲で均一に分布しており、また<110
>もしくは<100>方位に配向していることが望まし
い。各種材料の磁性膜の構造制御用薄膜を基板上に形成
し、電子顕微鏡とX線回折などによりその構造を調べた
結果、Crを主成分とし、これにHf,Ir,Mo,P
d,Pt,Re,Ta,Ti,Zrの内から選ばれた少
なくとも1種以上の元素を添加して構成された体心立方
格子構造の材料がCr単独の材料薄膜に比べて粒径が小
さく、均一な薄膜が得られることが見出された。上記H
f,Ir,Mo,Pd,Pt,Re,Ta,Ti,Zr
等の添加元素は、Cr粒子の粒界に偏析する傾向が認め
られ、これがこの上にエピタキシャル成長的に形成され
る磁性薄膜の磁気的な孤立化を促進するのに有効な作用
をする。上記添加元素の量は5〜30at%程度が好適
であり、形成条件により任意に選択できる。
【0009】1Gb/in2以上の超高密度磁気記録を
実現するには記録媒体表面と磁気ヘッドとの間のスペー
シングは数十ナノメートルと小さく設定されるため、磁
性膜表面の起伏は出来るだけ小さく、望ましくは10n
m以下が良い。このためには上記核生成制御層や磁性膜
の構造制御層の厚さは出来るだけ薄いことが好適であ
り、5nm以上100nm以下が良い。実用的に高い再
現性を得るには10〜50nmが望ましい。
実現するには記録媒体表面と磁気ヘッドとの間のスペー
シングは数十ナノメートルと小さく設定されるため、磁
性膜表面の起伏は出来るだけ小さく、望ましくは10n
m以下が良い。このためには上記核生成制御層や磁性膜
の構造制御層の厚さは出来るだけ薄いことが好適であ
り、5nm以上100nm以下が良い。実用的に高い再
現性を得るには10〜50nmが望ましい。
【0010】
【作用】Crを主成分とする合金からなる上記構造制御
用薄膜は、体心立方構造を有し、その<110>方向ま
たは<100>方向に配向しているのが望ましく、この
上にCo基合金磁性薄膜の(1010)面または(11
20)面がエピタキシャル的に形成されているのが好適
である。
用薄膜は、体心立方構造を有し、その<110>方向ま
たは<100>方向に配向しているのが望ましく、この
上にCo基合金磁性薄膜の(1010)面または(11
20)面がエピタキシャル的に形成されているのが好適
である。
【0011】磁性薄膜はCoCrを主成分とするCo基
合金薄膜を用い、これにPt,Ta,Ni,Re,R
u,Mo,Hf,Wなどを添加して用いても良く、また
磁性薄膜は上記合金薄膜の単層で用いても良い。さらに
は上記の磁性薄膜を多層に積層して用いることができ、
これにより磁性膜の保磁力向上したり、あるいは再生信
号のノイズを低減する効果が得られる。
合金薄膜を用い、これにPt,Ta,Ni,Re,R
u,Mo,Hf,Wなどを添加して用いても良く、また
磁性薄膜は上記合金薄膜の単層で用いても良い。さらに
は上記の磁性薄膜を多層に積層して用いることができ、
これにより磁性膜の保磁力向上したり、あるいは再生信
号のノイズを低減する効果が得られる。
【0012】本発明の磁気記録媒体における薄膜の形成
方法は、真空蒸着法、高周波スパッタリング法、イオン
ビームスパッタリング法、などの物理蒸着法を用いるこ
とができる。
方法は、真空蒸着法、高周波スパッタリング法、イオン
ビームスパッタリング法、などの物理蒸着法を用いるこ
とができる。
【0013】
【実施例】以下に本発明の一実施例を挙げ、図面を参照
しながら詳細に説明する。図において、同一の符号を付
したものは、同じ性能特性を有する部分を示す。
しながら詳細に説明する。図において、同一の符号を付
したものは、同じ性能特性を有する部分を示す。
【0014】(実施例1)図1に示すごとく、ガラス基
板1上に磁性膜の構造制御用薄膜2を形成し、この上に
Co基磁性膜3を設けた面内磁気記録媒体を、以下に示
す手順で作製した。
板1上に磁性膜の構造制御用薄膜2を形成し、この上に
Co基磁性膜3を設けた面内磁気記録媒体を、以下に示
す手順で作製した。
【0015】同一条件で洗浄したガラス基板1をスパッ
タリング装置に設置し、2x10-7Torrの真空まで
排気した。続いて基板を250℃に加熱して、厚さ15
0nmの磁性膜の構造制御用薄膜2を形成した。この上
に引き続き同一真空中で膜厚30nmのCoCrTa系
磁性膜3を形成し、この上に膜厚10nmの保護膜4を
形成した。構造制御用薄膜2はCrを主成分とした合金
薄膜であり、Crに10at%のHf,Ir,Mo,P
d,Pt,Re,Ta,Ti,Zrなどの元素を添加し
たものと、比較用として他の元素を添加しないCr単独
からなる薄膜を形成した。薄膜の形成条件は、スパッタ
リングArガスの圧力10mTorrとし、DCマグネ
トロンスパッタリング法とした。磁性膜はCo−15a
t%Cr−4at%Ta合金を用いた。
タリング装置に設置し、2x10-7Torrの真空まで
排気した。続いて基板を250℃に加熱して、厚さ15
0nmの磁性膜の構造制御用薄膜2を形成した。この上
に引き続き同一真空中で膜厚30nmのCoCrTa系
磁性膜3を形成し、この上に膜厚10nmの保護膜4を
形成した。構造制御用薄膜2はCrを主成分とした合金
薄膜であり、Crに10at%のHf,Ir,Mo,P
d,Pt,Re,Ta,Ti,Zrなどの元素を添加し
たものと、比較用として他の元素を添加しないCr単独
からなる薄膜を形成した。薄膜の形成条件は、スパッタ
リングArガスの圧力10mTorrとし、DCマグネ
トロンスパッタリング法とした。磁性膜はCo−15a
t%Cr−4at%Ta合金を用いた。
【0016】薄膜の構造(結晶配向、粒径)は電子顕微
鏡観察法とX線回折法により調べ、また磁性膜の磁気特
性は振動試料型磁化測定装置(VSM)により測定し、
その結果の一例を表1に比較して示す。
鏡観察法とX線回折法により調べ、また磁性膜の磁気特
性は振動試料型磁化測定装置(VSM)により測定し、
その結果の一例を表1に比較して示す。
【0017】
【表1】
【0018】表1には、上記磁性膜を面内方向に磁化し
たときに形成される磁気クラスタ(磁化したときに隣接
した磁性粒子が磁気的に結合して形成される結晶粒群)
の径を磁気力顕微鏡とスピン偏極走査電子顕微鏡で観察
し計測した結果も示した。
たときに形成される磁気クラスタ(磁化したときに隣接
した磁性粒子が磁気的に結合して形成される結晶粒群)
の径を磁気力顕微鏡とスピン偏極走査電子顕微鏡で観察
し計測した結果も示した。
【0019】上記の構造制御用薄膜は、体心立方構造を
有しその成長方位はいずれも<110>と<100>方
位が混在している。
有しその成長方位はいずれも<110>と<100>方
位が混在している。
【0020】表1に示すごとく、磁性膜の構造制御用薄
膜としてCrを主成分とする合金を用いた場合、Cr単
独の薄膜に比べて構造制御用薄膜の結晶粒径を小さく出
来る。Cr単独の薄膜により構造制御用薄膜2を構成し
た時、この上には複数個の磁性結晶粒が境界を接して形
成され易い。これに対してCrを主成分とする合金から
なる構造制御用薄膜2では粒径が小さいため、一つの構
造制御用薄膜の結晶粒の上には一つの磁性結晶粒が形成
される傾向がある。その結果、媒体を磁化したときの磁
気クラスタの径が小さくなる傾向が認められた。このこ
とは記録ビット長のより小さな高密度磁気記録を行うの
に好適であることを示す。またCr合金構造制御用薄膜
を用いた媒体は、隣接する磁性結晶粒が互いに孤立して
相互作用が小さくなり、保磁力も大きくできる効果があ
る。
膜としてCrを主成分とする合金を用いた場合、Cr単
独の薄膜に比べて構造制御用薄膜の結晶粒径を小さく出
来る。Cr単独の薄膜により構造制御用薄膜2を構成し
た時、この上には複数個の磁性結晶粒が境界を接して形
成され易い。これに対してCrを主成分とする合金から
なる構造制御用薄膜2では粒径が小さいため、一つの構
造制御用薄膜の結晶粒の上には一つの磁性結晶粒が形成
される傾向がある。その結果、媒体を磁化したときの磁
気クラスタの径が小さくなる傾向が認められた。このこ
とは記録ビット長のより小さな高密度磁気記録を行うの
に好適であることを示す。またCr合金構造制御用薄膜
を用いた媒体は、隣接する磁性結晶粒が互いに孤立して
相互作用が小さくなり、保磁力も大きくできる効果があ
る。
【0021】Crを主成分とする合金を用いた構造制御
用薄膜のさらなる効果を調べるために、薄膜の断面試料
を作製し、電子顕微鏡により観察した結果をCr単独の
薄膜と比較して図2に模式的に示す。基板界面付近の初
期成長段階においては不規則な方向に配向した微結晶の
集合体からなる初期成長層5が形成されており、この領
域では膜厚の増大と共に結晶粒径や成長方位などの構造
変化が起きている。膜厚の増大と共に結晶粒の成長が起
き、<110>または<100>方向に成長方位をもつ
結晶粒が支配的に形成されている。上記初期成長層5の
厚さは、Cr単独の場合とCr合金を用いた場合で顕著
な差はなく、およそ80nmである。しかし、Cr合金
を用いた構造制御用薄膜(a)はCr単独の構造制御用
薄膜(b)に比べて粒径が小さい傾向が認められた。
用薄膜のさらなる効果を調べるために、薄膜の断面試料
を作製し、電子顕微鏡により観察した結果をCr単独の
薄膜と比較して図2に模式的に示す。基板界面付近の初
期成長段階においては不規則な方向に配向した微結晶の
集合体からなる初期成長層5が形成されており、この領
域では膜厚の増大と共に結晶粒径や成長方位などの構造
変化が起きている。膜厚の増大と共に結晶粒の成長が起
き、<110>または<100>方向に成長方位をもつ
結晶粒が支配的に形成されている。上記初期成長層5の
厚さは、Cr単独の場合とCr合金を用いた場合で顕著
な差はなく、およそ80nmである。しかし、Cr合金
を用いた構造制御用薄膜(a)はCr単独の構造制御用
薄膜(b)に比べて粒径が小さい傾向が認められた。
【0022】Crを主成分とする合金を用いた構造制御
用薄膜の効果をさらに調べるために、構造制御用薄膜の
平面構造を透過電子顕微鏡で調べた結果の一例を図3に
模式的に示す。スパッタリング法や真空蒸着法で薄膜を
形成する場合、非平衡状態で薄膜が形成されるために、
過剰な添加元素は結晶粒の外側に析出傾向がある。透過
電子顕微鏡像のコントラスト変化と微小電子線プローブ
による組成分析から、上記Cr合金構造制御用薄膜では
Cr過剰領域6と、添加元素過剰領域7が存在している
ものと考えられた。前記添加元素過剰領域7の厚さは
0.5nm〜2nm程度であり、この厚さは添加元素の
種類と、添加量および薄膜の形成条件により制御でき
る。
用薄膜の効果をさらに調べるために、構造制御用薄膜の
平面構造を透過電子顕微鏡で調べた結果の一例を図3に
模式的に示す。スパッタリング法や真空蒸着法で薄膜を
形成する場合、非平衡状態で薄膜が形成されるために、
過剰な添加元素は結晶粒の外側に析出傾向がある。透過
電子顕微鏡像のコントラスト変化と微小電子線プローブ
による組成分析から、上記Cr合金構造制御用薄膜では
Cr過剰領域6と、添加元素過剰領域7が存在している
ものと考えられた。前記添加元素過剰領域7の厚さは
0.5nm〜2nm程度であり、この厚さは添加元素の
種類と、添加量および薄膜の形成条件により制御でき
る。
【0023】(実施例2)真空蒸着法やスパッタリング
法で基板上に薄膜を形成する場合、(実施例1)で述べ
たごとく、膜厚と共に粒径や結晶配向が変化する初期成
長層が形成される。高密度の面内磁気記録では、媒体面
と磁気ヘッド間のスペーシングは50nm以下まで低減
されるものと予想され、このためには媒体表面の起伏は
10nm以下まで小さくするすることが要求される。こ
のためには薄膜の膜厚、特に制御層の厚さはできるだけ
薄いことが望ましい。また記録時の反磁界の影響を少な
くするために、媒体の保磁力は出来るだけ大きく、望ま
しくは2000 Oe以上が必要とされ、磁性結晶粒径
も50nm以下で、互いに磁気的に孤立しているのが望
ましい。これらの要求に対しては、前記したような構造
制御用薄膜の初期成長層を小さくすることが好適であ
る。このために、本発明では構造制御用薄膜形成のとき
の結晶核生成を促進するための核生成制御層をもちいる
ことを考案した。図4のごとく、洗浄した基板1の上に
厚さ10nmのSi薄膜から成る核生成制御層8を形成
する(核生成制御層としては、Siの他にGe,C,B
を用いても同様の効果を得られるがここではSiを例に
挙げて説明する)。このSi薄膜は、多結晶膜、または
酸化膜のいずでも良いが、薄膜の平坦性やこの上に形成
する薄膜の自由核生成の促進効果を向上するには非晶質
状がよい。同一真空中でこの上に膜厚50nmの構造制
御用薄膜2を形成した。構造制御用薄膜2としては、
(実施例1)で説明したHf,Ir,Mo,Pd,P
t,Re,Ta,Ti,Zrなどの元素を添加したいず
れのCr合金薄膜を用いても同様の効果を得ることがで
きるのは言うまでもない。ここでは一例としてCrを主
成分とし、これに8at%のTiを添加した構造制御用
薄膜で説明する。比較用として核生成制御層8を設けな
いで基板上に直接CrおよびCr−8at%Tiからな
る構造制御用薄膜2をそれぞれ厚さ50nm形成した試
料を用意した。上記いずれの試料でも同一真空中で膜厚
20nmのCoCrPt系の磁性膜3を形成し、さらに
厚さ10nmの保護層4を形成した。これらの試料の性
能比較の一例を表2に示す。
法で基板上に薄膜を形成する場合、(実施例1)で述べ
たごとく、膜厚と共に粒径や結晶配向が変化する初期成
長層が形成される。高密度の面内磁気記録では、媒体面
と磁気ヘッド間のスペーシングは50nm以下まで低減
されるものと予想され、このためには媒体表面の起伏は
10nm以下まで小さくするすることが要求される。こ
のためには薄膜の膜厚、特に制御層の厚さはできるだけ
薄いことが望ましい。また記録時の反磁界の影響を少な
くするために、媒体の保磁力は出来るだけ大きく、望ま
しくは2000 Oe以上が必要とされ、磁性結晶粒径
も50nm以下で、互いに磁気的に孤立しているのが望
ましい。これらの要求に対しては、前記したような構造
制御用薄膜の初期成長層を小さくすることが好適であ
る。このために、本発明では構造制御用薄膜形成のとき
の結晶核生成を促進するための核生成制御層をもちいる
ことを考案した。図4のごとく、洗浄した基板1の上に
厚さ10nmのSi薄膜から成る核生成制御層8を形成
する(核生成制御層としては、Siの他にGe,C,B
を用いても同様の効果を得られるがここではSiを例に
挙げて説明する)。このSi薄膜は、多結晶膜、または
酸化膜のいずでも良いが、薄膜の平坦性やこの上に形成
する薄膜の自由核生成の促進効果を向上するには非晶質
状がよい。同一真空中でこの上に膜厚50nmの構造制
御用薄膜2を形成した。構造制御用薄膜2としては、
(実施例1)で説明したHf,Ir,Mo,Pd,P
t,Re,Ta,Ti,Zrなどの元素を添加したいず
れのCr合金薄膜を用いても同様の効果を得ることがで
きるのは言うまでもない。ここでは一例としてCrを主
成分とし、これに8at%のTiを添加した構造制御用
薄膜で説明する。比較用として核生成制御層8を設けな
いで基板上に直接CrおよびCr−8at%Tiからな
る構造制御用薄膜2をそれぞれ厚さ50nm形成した試
料を用意した。上記いずれの試料でも同一真空中で膜厚
20nmのCoCrPt系の磁性膜3を形成し、さらに
厚さ10nmの保護層4を形成した。これらの試料の性
能比較の一例を表2に示す。
【0024】
【表2】
【0025】表2に示した核生成制御層および構造制御
用薄膜の性能効果は、核生成制御層としてSiの他にG
e,C,B、構造制御用薄膜としてTiの他にHf,I
r,Mo,Pd,Pt,Re,Ta,Zrなどの元素を
Crに添加して用いてもほぼ同じ特性が得られ、添加元
素の量は2〜30at%の範囲で変化することができ、
添加量により粒子間の孤立化条件を制御でき、添加量が
多いほど孤立化が促進される傾向がある。構造制御用薄
膜は何れも体心立方構造をもつことがX線回折により確
認された。
用薄膜の性能効果は、核生成制御層としてSiの他にG
e,C,B、構造制御用薄膜としてTiの他にHf,I
r,Mo,Pd,Pt,Re,Ta,Zrなどの元素を
Crに添加して用いてもほぼ同じ特性が得られ、添加元
素の量は2〜30at%の範囲で変化することができ、
添加量により粒子間の孤立化条件を制御でき、添加量が
多いほど孤立化が促進される傾向がある。構造制御用薄
膜は何れも体心立方構造をもつことがX線回折により確
認された。
【0026】上記の比較から明らかなように、磁性膜の
構造制御用薄膜としてCr主成分とする合金系材料用い
ることにより、磁性膜の結晶配向や粒径、保磁力などの
磁気特性の性能向上が促進できる。さらに基板上に核生
成制御層を設けることにより、薄い膜厚の構造制御用薄
膜でも面内配向性の良い磁性膜が作製でき、高い保磁力
と小さな磁気クラスタを形成できる高密度面内磁気記録
に好適な媒体が作製できる。
構造制御用薄膜としてCr主成分とする合金系材料用い
ることにより、磁性膜の結晶配向や粒径、保磁力などの
磁気特性の性能向上が促進できる。さらに基板上に核生
成制御層を設けることにより、薄い膜厚の構造制御用薄
膜でも面内配向性の良い磁性膜が作製でき、高い保磁力
と小さな磁気クラスタを形成できる高密度面内磁気記録
に好適な媒体が作製できる。
【0027】核生成制御層の効果を調べるために、薄膜
の断面試料を作製し電子顕微鏡で観察した結果を図5に
模式的に示す。図に示した様に、核生成制御層の上に形
成した構造制御用薄膜は、初期成長段階から均一な粒径
の結晶成長が実現されており、薄膜の構造が変化する初
期成長層が小さくなっていることが確認された。
の断面試料を作製し電子顕微鏡で観察した結果を図5に
模式的に示す。図に示した様に、核生成制御層の上に形
成した構造制御用薄膜は、初期成長段階から均一な粒径
の結晶成長が実現されており、薄膜の構造が変化する初
期成長層が小さくなっていることが確認された。
【0028】(実施例3)図6は、本発明の他の応用例
を説明する図である。基板1の上に膜厚10nmのGe
薄膜よりなる核生成制御層8を形成し、この上にCr−
8at%Taからなる膜厚50nmの構造制御用薄膜2
形成した。さらに同一真空中でCoCrPtSi磁性層
9とCoCrTa磁性層10をそれぞれ10nmずつ積
層下構造からなる2層構造の磁性膜を形成し、この上に
10nmのC保護層4付着した。X線回折による構造解
析によれば、薄膜の形成温度が200℃以下の時には、
構造制御用薄膜2の結晶方位は<110>方位が主に検
出され、200℃〜400℃では<100>方位の結晶
成長が主に検出された。この上に形成した磁性膜は面内
方向に大きな磁気異方性を有し、磁化容易軸のc軸は基
板面にほぼ平行である。比較のために、基板1の上に膜
厚50nmのCr下地層を形成し、この上に前記と同様
の磁性膜および保護層を形成した試料を用意した。その
結果、本発明による核生成制御層とCr合金からなる構
造制御用薄膜を設けた媒体は、2000〜2500 O
eの高い保磁力をもち、核生成制御層とCr合金からな
る構造制御用薄膜を用いない媒体(1500〜1700
Oe)に比べて優れた磁気特性発揮できることが明ら
かになった。さらに組成の異なる磁性膜を積層すること
により、単一の磁性膜を用いたときに比べて約20%保
磁力を向上できることが確認された。
を説明する図である。基板1の上に膜厚10nmのGe
薄膜よりなる核生成制御層8を形成し、この上にCr−
8at%Taからなる膜厚50nmの構造制御用薄膜2
形成した。さらに同一真空中でCoCrPtSi磁性層
9とCoCrTa磁性層10をそれぞれ10nmずつ積
層下構造からなる2層構造の磁性膜を形成し、この上に
10nmのC保護層4付着した。X線回折による構造解
析によれば、薄膜の形成温度が200℃以下の時には、
構造制御用薄膜2の結晶方位は<110>方位が主に検
出され、200℃〜400℃では<100>方位の結晶
成長が主に検出された。この上に形成した磁性膜は面内
方向に大きな磁気異方性を有し、磁化容易軸のc軸は基
板面にほぼ平行である。比較のために、基板1の上に膜
厚50nmのCr下地層を形成し、この上に前記と同様
の磁性膜および保護層を形成した試料を用意した。その
結果、本発明による核生成制御層とCr合金からなる構
造制御用薄膜を設けた媒体は、2000〜2500 O
eの高い保磁力をもち、核生成制御層とCr合金からな
る構造制御用薄膜を用いない媒体(1500〜1700
Oe)に比べて優れた磁気特性発揮できることが明ら
かになった。さらに組成の異なる磁性膜を積層すること
により、単一の磁性膜を用いたときに比べて約20%保
磁力を向上できることが確認された。
【0029】本実施例では、磁性膜としてCoCrPt
SiとCoCrTa系の薄膜を用いて説明したが、同様
の効果はCr,V,Mo,W,Ru,Re,Ta,P
t,Ni,Hf,の内から選ばれる少なくとも1種以上
の元素を含んでなるCo基合金面内磁気記録媒体でも得
られることは言うまでもない。
SiとCoCrTa系の薄膜を用いて説明したが、同様
の効果はCr,V,Mo,W,Ru,Re,Ta,P
t,Ni,Hf,の内から選ばれる少なくとも1種以上
の元素を含んでなるCo基合金面内磁気記録媒体でも得
られることは言うまでもない。
【0030】
【発明の効果】以上詳細に説明したごとく、本発明の面
内磁気記録媒体によれば、Co基合金磁性膜を形成する
に先立って、基板上にHf,Ir,Mo,Pd,Pt,
Re,Ta,Ti,Zrの少なくとも一種の元素を添加
したCr合金からなる磁性膜の構造制御用薄膜を設け、
さらには基板と上記構造制御用薄膜の間にSi,Ge,
C,B,の内から選ばれた1種以上の元素からなる非晶
質状薄膜で構成された核生成制御層を設けることによ
り、この上に形成されるCo基合金磁性薄膜の結晶粒径
や面内配向性の制御性が向上し、その波及効果として磁
気的に孤立した適正な粒径の磁性膜が得られ、この薄膜
を磁化したときに形成される磁気クラスタの径を小さく
でき、さらには高保磁力などの磁気特性に優れた超高密
度磁気記録に好適な面内磁気記録媒体を提供できる効果
があり、工業上の利用価値は極めて大きい。
内磁気記録媒体によれば、Co基合金磁性膜を形成する
に先立って、基板上にHf,Ir,Mo,Pd,Pt,
Re,Ta,Ti,Zrの少なくとも一種の元素を添加
したCr合金からなる磁性膜の構造制御用薄膜を設け、
さらには基板と上記構造制御用薄膜の間にSi,Ge,
C,B,の内から選ばれた1種以上の元素からなる非晶
質状薄膜で構成された核生成制御層を設けることによ
り、この上に形成されるCo基合金磁性薄膜の結晶粒径
や面内配向性の制御性が向上し、その波及効果として磁
気的に孤立した適正な粒径の磁性膜が得られ、この薄膜
を磁化したときに形成される磁気クラスタの径を小さく
でき、さらには高保磁力などの磁気特性に優れた超高密
度磁気記録に好適な面内磁気記録媒体を提供できる効果
があり、工業上の利用価値は極めて大きい。
【図1】本発明の面内磁気記録媒体の基本的な構成を説
明する図である。
明する図である。
【図2】磁性膜の構造制御用薄膜の断面構造を説明する
図である((a)本発明のCr合金構造制御用薄膜の断
面構造の模式図、(b)Cr薄膜を用いた従来の構造制
御用薄膜の断面構造の模式図)。
図である((a)本発明のCr合金構造制御用薄膜の断
面構造の模式図、(b)Cr薄膜を用いた従来の構造制
御用薄膜の断面構造の模式図)。
【図3】Cr合金構造制御用薄膜の組成分布構造を説明
する図である。
する図である。
【図4】本発明の核生成制御層を用いた媒体の構成を説
明する図である。
明する図である。
【図5】核生成制御層を用いた薄膜の断面構造を説明す
る図である。
る図である。
【図6】本発明を2層磁性膜構造面内記録媒体への応用
例を説明する図である。
例を説明する図である。
1…基板、2…構造制御用薄膜、3…磁性膜、4…保護
膜、5…初期成長層、6…Cr過剰領域、7…添加元素
過剰領域、8…核生成制御層、9…CoCrPtSi磁
性膜、10…CoCrTa磁性膜。
膜、5…初期成長層、6…Cr過剰領域、7…添加元素
過剰領域、8…核生成制御層、9…CoCrPtSi磁
性膜、10…CoCrTa磁性膜。
フロントページの続き (72)発明者 松田 好文 東京都国分寺市東恋ヶ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 二本 正昭 東京都国分寺市東恋ヶ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内
Claims (8)
- 【請求項1】所定の基板上に、Crを主成分とする合金
から成る磁性薄膜の構造制御用薄膜を形成し、該構造制
御用薄膜の上に磁性薄膜を形成することを特徴とする面
内磁気記録媒体。 - 【請求項2】上記磁性薄膜の構造制御用薄膜はCrを主
成分とし、これにHf,Ir,Mo,Pd,Pt,R
e,Ta,Ti,Zrの内から選ばれた少なくとも1種
以上の元素を添加して構成された体心立方格子構造を有
することを特徴とする請求項1記載の面内磁気記録媒
体。 - 【請求項3】上記磁性薄膜の構造制御用薄膜はCrを主
成分とし、これに2〜30at%のHf,Ir,Mo,
Pd,Pt,Re,Ta,Ti,Zrの内から選ばれた
少なくとも1種以上の元素を添加して構成された体心立
方格子構造を有することを特徴とする請求項1記載の面
内磁気記録媒体。 - 【請求項4】所定の基板上に核生成制御層を形成し、こ
の上に該構造制御用薄膜と磁性薄膜を順次形成して成る
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の面
内磁気記録媒体。 - 【請求項5】上記核生成制御層は非晶質状薄膜からなる
ことを特徴とする請求項4記載の面内磁気記録媒体。 - 【請求項6】上記核生成制御層はSi,Ge,C,B,
の内から選ばれた1種以上の元素からなる非晶質状薄膜
からなることを特徴とする請求項4または5記載の面内
磁気記録媒体。 - 【請求項7】上記磁性薄膜の構造制御用薄膜および核生
成制御層の厚さは5〜100nmであることを特徴とす
る請求項1から6のいずれかに記載の面内磁気記録媒
体。 - 【請求項8】上記磁性薄膜はCoを主成分とし、これに
Cr,V,Mo,W,Ru,Re,Ta,Pt,Ni,
Hf,の内から選ばれる少なくとも1種以上の元素を含
んでなることを特徴とする請求項1から7のいずれかに
記載の面内磁気記録媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20744893A JPH0765348A (ja) | 1993-08-23 | 1993-08-23 | 面内磁気記録媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20744893A JPH0765348A (ja) | 1993-08-23 | 1993-08-23 | 面内磁気記録媒体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0765348A true JPH0765348A (ja) | 1995-03-10 |
Family
ID=16539947
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20744893A Pending JPH0765348A (ja) | 1993-08-23 | 1993-08-23 | 面内磁気記録媒体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0765348A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6071607A (en) * | 1996-04-26 | 2000-06-06 | Fujitsu Limited | Magnetic recording medium and magnetic disk device |
-
1993
- 1993-08-23 JP JP20744893A patent/JPH0765348A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6071607A (en) * | 1996-04-26 | 2000-06-06 | Fujitsu Limited | Magnetic recording medium and magnetic disk device |
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