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JPH07290643A - 樹脂被覆金属板、およびこれからなる絞りしごき缶または絞り缶 - Google Patents

樹脂被覆金属板、およびこれからなる絞りしごき缶または絞り缶

Info

Publication number
JPH07290643A
JPH07290643A JP6083056A JP8305694A JPH07290643A JP H07290643 A JPH07290643 A JP H07290643A JP 6083056 A JP6083056 A JP 6083056A JP 8305694 A JP8305694 A JP 8305694A JP H07290643 A JPH07290643 A JP H07290643A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
polyester
metal plate
coated metal
drawn
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP6083056A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3300527B2 (ja
Inventor
Koji Takahashi
橋 浩 二 高
Takayuki Hiraoka
岡 孝 之 平
Koji Niimi
美 宏 二 新
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Petrochemical Industries Ltd filed Critical Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Priority to JP08305694A priority Critical patent/JP3300527B2/ja
Publication of JPH07290643A publication Critical patent/JPH07290643A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3300527B2 publication Critical patent/JP3300527B2/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、絞りしごきまたは絞り成形性に優
れ、金属板との密着性に優れるとともに耐衝撃性にも優
れ、さらにピンホールがなく、フレーバー性に優れるな
どの特性を有する樹脂が被覆された樹脂被覆金属板、お
よびこのような樹脂被覆金属板から形成された絞りしご
き缶または絞り缶を提供する。 【構成】本発明に係る樹脂被覆金属板は、金属板と、該
金属板片面上または両面上に設けられた樹脂組成物被膜
とからなり、該樹脂組成物被膜は、[A]飽和ポリエス
テル樹脂;50〜95重量部と、[B]ポリエステルエ
ラストマー;1〜30重量部と、[C]アイオノマー樹
脂;1〜25重量部とからなることを特徴としている。
本発明に係る絞りしごき缶または絞り缶は、上記のよう
な樹脂被覆金属板からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、樹脂被覆金属板およびこ
れからなる絞りしごき缶または絞り缶に関し、さらに詳
しくは特定の樹脂組成物が被覆されてなる樹脂被膜金属
板およびこれからなる絞りしごき缶または絞り缶に関す
る。
【0002】
【発明の技術的背景】従来より、ブリキ板などの鋼板あ
るいはアルミニウム板を絞りしごき加工または絞り加工
して得られる絞りしごき缶(以下DI缶という)または
絞り缶(以下DRD缶という)は、継ぎ目がなく諸物性
に優れており、広く用いられている。
【0003】このようなDI缶およびDRD缶などに
は、金属板からの金属溶出による味の低下、フレーバー
の低下、内容物の変質およびピンホールの発生などを防
止するために、缶内面側に樹脂層を設けることがある。
このような缶内面側に樹脂層が設けられた缶およびこれ
を形成しうる樹脂被覆金属板としては、たとえば特開昭
51−130647号公報には、飽和ポリエステル層で
被覆された鋼板およびこれから得られる容器が提案され
ている。また特開平1−180336号公報には、ポリ
ブチレンテレフタレート層で被覆された鋼板が提案され
ており、特開平1−192545号公報、特開平2−5
7339号公報、特開平3−10835号公報には、特
定の飽和共重合ポリエステル層で被覆された鋼板および
これから得られる容器が提案されている。
【0004】ところで、絞りしごき缶用鋼板に用いられ
る被覆用樹脂には、絞りしごき加工および絞り加工に追
従しうる優れた成形性が要求されると共に、鋼板から剥
離しないような優れた密着性が要求される。さらにこの
樹脂には、打缶時、缶詰工程および運搬時の衝撃に耐え
得るような優れた耐衝撃性が要求される。また、保存時
に腐食の原因となるピンホールがないとともに、飲料の
味に影響を及ぼさないすなわちフレーバー性に優れるこ
となどの特性が要求される。
【0005】しかしながら従来の缶用鋼板に被覆される
樹脂は、このような要求を必ずしも満足するものではな
かった。たとえば、絞りしごき加工または絞り加工時に
樹脂被膜中にピンホールを生じることがあった。また製
缶後、乾燥、印刷、焼き付け等の工程において加熱され
た缶は、耐衝撃性が低下することがあった。
【0006】従来このような飽和ポリエステル樹脂の衝
撃強度を改善するために、一般的に、飽和ポリエステル
樹脂に、ポリカーボネート、マレイン酸変性エチレンプ
ロピレンランダム共重合体などをそれぞれブレンドする
方法が知られている。しかしこれらの樹脂ブレンド物
は、いずれもアニール処理を行うと堅く、脆くなってし
まい、衝撃強度が充分とはいえない。
【0007】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に鑑み
てなされたものであり、絞りしごきまたは絞り成形性に
優れ、金属板との密着性に優れるとともに耐衝撃性にも
優れ、さらにピンホールがなく、フレーバー性に優れる
などの特性を有する樹脂が被覆された樹脂被覆金属板、
およびこのような樹脂被覆金属板から形成された絞りし
ごき缶または絞り缶を提供することを目的としている。
【0008】
【発明の概要】本発明に係る樹脂被覆金属板は、金属板
と、該金属板片面上または両面上に設けられた樹脂組成
物被膜とからなり、該樹脂組成物被膜は、[A]飽和ポ
リエステル樹脂;50〜95重量部と、[B]ポリエス
テルエラストマー;1〜30重量部と、[C]アイオノ
マー樹脂;1〜25重量部とからなることを特徴として
いる。
【0009】これら[A]、[B]および[C]は、
【0010】
【数2】
【0011】いることが好ましい。本発明に係る絞りし
ごき缶または絞り缶は、上記のような樹脂被覆金属板か
らなる。
【0012】
【発明の具体的説明】以下に本発明に係る樹脂被覆金属
板、およびこのような樹脂被覆金属板から形成された絞
りしごき缶または絞り缶について説明する。
【0013】本発明に係る樹脂被覆金属板は、金属板
と、この金属板片面上または両面上に設けられた樹脂組
成物被膜とからなる。本発明では、金属板として、一般
的に缶用途に用いられている従来公知の金属が広く用い
られ、具体的に、表面が公知の方法でSn(錫)メッキ
された鋼板(ブリキ)、錫無し鋼板(ティンフリースチ
ール、電解クロム酸処理鋼板)あるいはアルミニウム板
などが用いられる。
【0014】この金属板は、厚さが、通常0.01〜5
mm、好ましくは0.1〜2mmである。この金属板片
面上または両面上には、[A]飽和ポリエステル樹脂
と、[B]ポリエステルエラストマーと、[C]アイオ
ノマー樹脂とからなる樹脂組成物が被覆されている。
【0015】[A]飽和ポリエステル樹脂 本発明で用いられる[A]飽和ポリエステルは、テレフ
タル酸またはそのエステル誘導体(例えば低級アルキル
エステル、フェニルエステルなど)などのジカルボン酸
と、エチレングリコールまたはそのエステル誘導体(例
えばモノカルボン酸エステルエチレンオキサイドなど)
などのジヒドロキシ化合物とから誘導される構成単位か
ら形成されている。
【0016】この飽和ポリエステルは、他のジカルボン
酸および/または他のジヒドロキシ化合物から誘導され
る構成単位を40モル%以下の量で含有していてもよ
い。テレフタル酸以外のジカルボン酸としては、具体的
に、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン
酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカ
ルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、セバ
シン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪
族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂
環族ジカルボン酸などが挙げられる。
【0017】これらのテレフタル酸以外のジカルボン酸
は、そのエステル誘導体として用いてもよい。またエチ
レングリコール以外のジヒドロキシ化合物としては、具
体的には、トリメチレングリコール(プロピレングリコ
ール)、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリ
コール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレング
リコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコ
ールなどの脂肪族グリコール;シクロヘキサンジメタノ
ールなどの脂環族グリコール;ビスフェノール類、ハイ
ドロキノン、2,2-ビス(4-β-ヒドロキシエトキシフェ
ニル)プロパンなどの芳香族ジオール類などが挙げられ
る。
【0018】これらのジヒドロキシ化合物は、そのエス
テル誘導体として用いてもよい。また本発明で用いられ
る[A]飽和ポリエステル樹脂は、トリメシン酸、ピロ
メリット酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプ
ロパン、トリメチロールメタン、ペンタエリスリトール
などの多官能化合物から誘導される構成単位を少量、た
とえば2モル%以下の量で含んでいてもよい。
【0019】このような[A]飽和ポリエステル樹脂
は、実質上線状であり、このことは該飽和ポリエステル
が、o-クロロフェノールに溶解することによって確認さ
れる。本発明で用いられる飽和ポリエステル樹脂は、o-
クロロフェノール中で25℃で測定した極限粘度[η]
は、通常0.5〜1.4dl/g、好ましくは0.5〜
1.3dl/g、さらに好ましくは0.6〜1.2dl/g
であることが望ましい。
【0020】このような極限粘度[η]を有する(a) 飽
和ポリエステルは、溶融成形性および絞りしごき成形性
に優れるとともに耐衝撃性などの機械的強度にも優れて
いて好ましい。
【0021】本発明で用いられる[A]飽和ポリエステ
ル樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が、通常50〜12
0℃、好ましくは60〜100℃であることが望まし
い。この(a) 飽和ポリエステル樹脂は、非晶性であって
も結晶性であってもよく、結晶性である場合には、結晶
融解温度(Tm)が、通常210〜265℃、好ましく
は220〜260℃であり、低温結晶化温度(Tcc)
が、通常110〜210℃、好ましくは120〜200
℃であることが望ましい。
【0022】[B]ポリエステルエラストマー 本発明で用いられる[B]ポリエステルエラストマーと
しては、従来公知のポリエステルエラストマーが制限さ
れることなく用いられるが、このポリエステルエラスト
マーは、結晶性であって高融点を有するハードセグメン
トと、ソフトセグメントとを有する熱可塑性エラストマ
ーであって、このハードセグメントが(i) 芳香族ポリエ
ステルからなり、ソフトセグメントが(ii)ポリエーテル
または(iii) 脂肪族ポリエステルからなる[B-1]ポリ
エステル・ポリエーテルブロック共重合体または[B-
2]ポリエステル・ポリエステルブロック共重合体であ
ることが望ましい。
【0023】このような[B-1]ポリエステル・ポリエ
ーテルブロック共重合体または[B-2]ポリエステル・
ポリエステルブロック共重合体は、(i) 芳香族ポリエス
テルと、(ii)ポリエーテルまたは(iii) 脂肪族ポリエス
テルとを、公知の方法により共縮合させて得られる。
【0024】本発明で用いられる[B-1]ポリエステル
・ポリエーテルブロック共重合体または[B-2]ポリエ
ステル・ポリエステルブロック共重合体を形成している
(i)芳香族ポリエステルセグメントは、芳香族ジカルボ
ン酸とジヒドロキシ化合物とから誘導される構成単位か
らなっている。
【0025】芳香族ジカルボン酸としては、具体的に、
テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン
酸、ジフェニルジカルボン酸などが挙げられる。これら
は、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0026】またジヒドロキシ化合物としては、具体的
に、エチレングリコール、トリメチレングリコール(プ
ロピレングリコール)、テトラメチレングリコール、ペ
ンタメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2,
2-ジメチルトリメチレングリコール、ヘキサメチレング
リコール、ドデカメチレングリコールなどの脂肪族ジヒ
ドロキシ化合物、p-キシレングリコールなどの芳香族ジ
ヒドロキシ化合物、シクロヘキサンジメタノールなどの
脂環族ジヒドロキシ化合物が挙げられる。これらは、2
種以上の組み合わせであってもよい。
【0027】(i) 芳香族ポリエステルセグメントは、テ
レフタル酸と1種のアルキレングリコールとのホモポリ
エステルであってもよく、ジカルボン酸成分とジヒドロ
キシ成分とのいずれか一方が2種以上からなるか、ある
いは両成分がそれぞれ2種以上からなる共重合ポリエス
テルであってもよい。
【0028】本発明で用いられる[B-1]ポリエステル
・ポリエーテルブロック共重合体および[B-2]ポリエ
ステル・ポリエステルブロック共重合体を形成している
(i)芳香族ポリエステルセグメントは、ジカルボン酸成
分を100モル%とするときに、テレフタル酸を50モ
ル%以上の量で含有するジカルボン酸成分と、炭素数2
〜10のアルキレングリコールからなるジヒドロキシ成
分とから形成されていることが好ましい。
【0029】[B-1]ポリエステル・ポリエーテルブロ
ック共重合体を形成する(ii)ポリエーテルセグメント
は、分子量が300〜6000のポリ(アルキレンオキ
サイド)グリコールから形成される。このようなポリ
(アルキレンオキサイド)グリコールとしては、具体的
に、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリブチレングリコールなどが挙げられる。
【0030】また[B-2]ポリエステル・ポリエステル
ブロック共重合体を形成する(iii)脂肪族ポリエステル
セグメントは、脂肪族ジカルボン酸成分と、炭素数2〜
10のアルキレングリコールとから誘導される構成単位
からなる。
【0031】脂肪族ジカルボン酸としては、具体的に、
アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカル
ボン酸などが挙げられる。炭素数2〜10のアルキレン
グリコールとしては、具体的には、上記に(i) 芳香族ポ
リエステルセグメントを形成するジヒドロキシ化合物と
して示したものが挙げられる。
【0032】[C]アイオノマー樹脂 本発明で用いられる[C]アイオノマー樹脂としては、
従来公知のアイオノマー樹脂が広く用いられるが、この
アイオノマー樹脂は、エチレンとα,β-不飽和カルボ
ン酸との共重合体中のカルボキシル基の一部または全部
が金属陽イオンで中和されたイオン性塩である。
【0033】このα,β-不飽和カルボン酸としては、
炭素数3〜8の不飽和カルボン酸、具体的には、アクリ
ル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マ
レイン酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸
モノメチルエステルなどが挙げられる。
【0034】このようなエチレンと不飽和カルボン酸と
の共重合体中のカルボキシル基を中和する金属陽イオン
としては、具体的に、Na+ 、K+ 、Li+ 、Zn+
Zn ++、Mg++、Ca++、Co++、Ni++、Mn++、P
++、Cu++などの1〜2価の金属陽イオンが挙げられ
る。また金属陽イオンで中和されてない残余のカルボキ
シル基の一部は、低級アルコールでエステル化されてい
てもよい。
【0035】本発明で用いられる[C]アイオノマー樹
脂は、上述のようにエチレンと不飽和カルボン酸との共
重合体の金属塩であるが、金属塩を形成するためのエチ
レン・不飽和カルボン酸との共重合体は、エチレンから
誘導される構成単位を、80〜99モル%、好ましくは
85〜98モル%であり、不飽和カルボン酸から誘導さ
れる構成単位(カルボキシル基を有する構成単位)を1
〜20モル%、好ましくは2〜15モル%の量で含有し
ている。
【0036】本発明で用いられる[C]アイオノマー樹
脂では、エチレンと不飽和カルボン酸との共重合体中の
カルボキシル基の一部または全部が、具体的には15〜
100%のカルボキシル基が中和されている。この中和
度は、好ましくは20〜80%、さらに好ましくは30
〜70%であり、このような中和度の[C]アイオノマ
ー樹脂から形成される組成物は、溶融押出性に優れてい
る。
【0037】このような[C]アイオノマー樹脂として
は、具体的には、エチレンとアクリル酸、メタクリル酸
などの不飽和モノカルボン酸との共重合体あるいはエチ
レンとマレイン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン
酸との共重合体中のカルボキシル基の一部または全部が
ナトリウム、カリウム、リチウム、亜鉛、マグネシウ
ム、カルシウムなどの1価または2価の金属イオンで中
和されたアイオノマー樹脂が挙げられる。
【0038】これらのうち、エチレンとアクリル酸また
はメタクリル酸の共重合体(カルボキシル基を有する構
成単位が2〜15モル%)中のカルボキシル基の30〜
70%が、Naなどの1価の金属イオンで中和されたも
のが好ましく用いられる。
【0039】これらアイオノマー樹脂としては、“ハイ
ミラン”(商品名:三井デュポンポリケミカル社製)な
どの市販品を使用することができる。樹脂組成物 本発明において、金属板上に被覆される樹脂組成物は、
上記のような[A]飽和ポリエステル樹脂と[B]ポリ
エステルエラストマーと[C]アイオノマー樹脂との合
計は100重量部としたときに、[A]飽和ポリエステ
ル樹脂を50〜95重量部、好ましくは60〜90重量
部の量で、[B]ポリエステルエラストマーを1〜30
重量部、好ましくは1〜20重量部の量で、[C]アイ
オノマー樹脂を1〜25重量部、好ましくは5〜20重
量部の量で含有している。
【0040】[A]飽和ポリエステル樹脂と[B]ポリ
エステルエラストマーと[C]アイオノマー樹脂とを上
記のような量で含有する樹脂組成物からなる被膜は、耐
衝撃性に優れるとともに金属板への密着性に優れ、押し
出し成形および絞りしごきまたは絞り加工に追従しうる
優れた成形性を示し、絞りしごきまたは絞り加工後にピ
ンホールのない均一な被膜を形成する。
【0041】なお上記のような各成分からなる樹脂組成
物において、[B]ポリエステルエラストマーの量が1
重量部未満であると、[A]飽和ポリエステル樹脂と
[C]アイオノマー樹脂とが十分に相溶しないため、ピ
ンホール、ゲルなどが発生した被膜が形成されることが
あり、また被膜の衝撃強度が不十分なことがある。一方
[B]ポリエステルエラストマーの量が30重量部を超
えると、ピンホールを生じることなく樹脂被膜を形成す
ることができるが、フレーバー性が著しく低下してしま
う。
【0042】また[C]アイオノマー樹脂の量が1重量
部未満であると、金属板との密着性に劣り、耐衝撃強度
にも劣る被膜が形成されることある。一方[C]アイオ
ノマー樹脂の量が25重量部を超えると、他の成分との
相溶性が低下してしまい、また押出成形時にサージング
が発生してしまうので、均一膜厚のフィルムが形成され
にくい。
【0043】本発明において、金属板上に被覆される樹
脂組成物は、上記のような量の各成分[A]、[B]お
よび[C]から形成されているが、特に
【0044】
【数3】
【0045】0.05〜0.3好ましくは0.10〜0.2
5であることが望ましい。なお上記で示される重量比が
0.05未満であると、被膜は金属板に対する密着性、
衝撃強度に劣ることがあり、一方0.3を超えるとフレ
ーバー性が著しく低下することがあり、また押出成形時
にゲルが発生することがある。
【0046】樹脂被覆金属板 本発明に係る樹脂被覆金属板は、上記のような樹脂組成
物を金属板片面上または両面上に公知の複合材積層方法
により被覆して製造することができ、被覆方法は特に限
定されない。具体的には、たとえば下記のように行われ
る。
【0047】(1) [A]飽和ポリエステル樹脂と[B]
ポリエステルエラストマーと[C]アイオノマー樹脂と
を、タンブラーブレンダー、ヘンシェルミキサー、V形
ブレンダーなどにより混合した後、さらに押出機、ニー
ダーバンバリーミキサーなどで溶融混合し、次いで先端
にTダイを有する押出機あるいはギヤーポンプで定量的
に押し出すことにより金属板上に被覆することができ
る。
【0048】(2) [A]飽和ポリエステル樹脂と[B]
ポリエステルエラストマーと[C]アイオノマー樹脂と
を、タンブラーブレンダー、ヘンシェルミキサー、V形
ブレンダーなどにより混合した後、直接Tダイを有する
押出機あるいはギヤーポンプで定量的に押し出すことに
より金属板上に被覆することもできる。
【0049】(3) [A]飽和ポリエステル樹脂と[B]
ポリエステルエラストマーと[C]アイオノマー樹脂と
からなる樹脂組成物を一旦フィルムにした後、このフィ
ルムと金属板と貼り合わせてもよい。
【0050】上記のような樹脂組成物を金属板に被覆す
るに際しては、押出機から溶融状態で押し出されて金属
板上に被覆された樹脂組成物は、急冷して樹脂組成物の
結晶化を防止することが好ましい。
【0051】このように被覆された樹脂組成物層の厚さ
は、通常5〜500μm、好ましくは10〜100μ
m、特に好ましくは20〜60μmであることが望まし
い。本発明に係る樹脂被覆金属板は、上記のように金属
板と、この片面上または両面上に設けられた樹脂組成物
被膜とからなり、優れた耐衝撃性を有するとともに絞り
しごきおよび絞り成形性などの成形性に優れ、成形時に
被膜中にピンホールを生じることなく均一に加工され
る。またこの樹脂組成物は、金属板との密着性にも優
れ、成形時の加工追従性に優れるため、外観に優れた缶
が得られる。
【0052】本発明に係る絞りしごき缶または絞り缶
は、上記のような樹脂被覆鋼板が、樹脂組成物被膜が内
面側になるように絞りしごき加工または絞り加工されて
形成される。
【0053】絞りしごき缶(DI缶)または絞り缶(D
RD缶)を製造する方法は、公知の各種の方法が採用で
きる。最も一般的な方法としては、樹脂被覆鋼板をしご
きポンチを用いて一段階もしくは数段階しごき加工する
ことにより製造することができる。
【0054】たとえば、絞りしごき加工は、下記のよう
な条件下に行うことができる。 プランク径 …120〜150mm 絞り条件 …1段絞り比 H/D=20〜40/70
〜95mmφ 2段絞り比 H/D=30〜60/50〜80mmφ 絞りしごき径…3段アイアニング 50〜80mmφ 総しごき率 …60〜80%
【0055】
【発明の効果】本発明に係る樹脂被覆金属板は、樹脂と
金属板との密着性に優れており、絞りしごき成形性また
は絞り成形性に優れ、成形加工時の樹脂の追随性に優れ
ており、外観に優れた缶を形成しうる。
【0056】また本発明に係る絞りしごき缶または絞り
缶は、打缶、缶詰工程および運搬時の衝撃に耐え得る優
れた耐衝撃性を有しており、製缶後、乾燥、印刷、焼き
付けなどの工程において加熱されても、優れた耐衝撃性
を保持している。
【0057】本発明に係る絞りしごき缶または絞り缶
は、ピンホールがなく、内容物の長期保存性に優れると
ともに内容物の香り、フレーバー性などの保存性にも優
れている。
【0058】
【実施例】次に本発明を実施例により具体的に説明する
が、本発明はこれら実施例により限定されるものではな
い。
【0059】
【実施例1〜13】表1に示すような飽和ポリエステル
樹脂と、ポリエステルエラストマーと、アイオノマー樹
脂とを、表1に示す量で押出機に供給し、樹脂組成物を
得た。
【0060】両面に片面あたり2.8g/m2 のSnめ
っきが施された鋼板(板厚み0.30mm、硬度T−1
相当)の片面のSnめっき層上に、上記のような樹脂組
成物を、押出Tダイを用いて30μmの厚みで被覆し
た。このときのTダイでの樹脂溶解温度は265〜30
0℃であり、被覆時の鋼板温度は、150〜200℃で
あった。またTダイで樹脂が被覆された鋼板は、10秒
以内に100℃以下まで急冷した。
【0061】原料としての飽和ポリエステル樹脂の固有
粘度[dl/g]と、この飽和ポリエステル樹脂とポリエ
ステルエラストマーとアイオノマー樹脂とからなる樹脂
組成物のTg(ガラス転移温度)、Tm(融点)、Tcc
(低温結晶化温度)、QTcc(冷却結晶化熱量)、QT
m(融解熱量)を、表1中に示す。
【0062】なおTg、Tm、Tcc、QTcc、QTm
は、示差熱分析計(Perkin Elmer-7型)を用いて10℃
/分の昇温速度で測定した。冷結晶化熱量[J/g]
は、示差熱分析計(Perkin Elmer-7型)を用いて10℃
/分の昇温速度で測定したときに観察される結晶化によ
る発熱量であり、融解熱量[J/g]は示差熱分析計
(Perkin Elmer-7型)を用いて10℃/分の昇温速度で
測定したときに観察される樹脂の融解による吸熱量であ
る。
【0063】このようにして得られた常温の樹脂被覆鋼
板を、缶内面が樹脂被覆面となるようにして下記のよう
な成形条件で、絞りしごき加工を行って絞りしごき缶
(DI缶)を製造した。得られたDI缶の内面を洗浄
し、210℃のオーブン中で約2分間乾燥した。さらに
缶外面に塗装、焼き付けを行なった。
【0064】<成形条件> 1.絞りしごき加工直前の樹脂温度:常温 2.プランク径:137mm 3.絞り条件:1段絞り比 H/D=33/86mmφ 2段絞り比 H/D=50/65mmφ 4.しごきポンチ径:3段アイアニング65.5mmφ 5.総しごき率:70.5% 得られたDI缶について、下記のようなピンホール試
験、耐衝撃性試験、密着性試験、フレーバー性評価、押
出ラミネート成形性評価を行った。結果を表2に示す。
【0065】<缶内面(樹脂被覆面)のピンホール試験
>得られたDI缶について、以下のような硫酸銅試験を
行ってピンホールの有無を試験した。
【0066】缶の中に硫酸20g/リットル、硫酸銅
(CuSO4・7H2O)50g/リットルを含むCuの
化学メッキ液を入れて10分間放置し、液を除去、水洗
した後、析出したCuを観察した。缶内面の樹脂層に欠
如(ピンホール)があれば、欠如部から鉄が溶出して、
Cuが置換メッキされる。
【0067】<樹脂組成物被膜の耐衝撃性の評価> (i) 衝撃後電流試験 製缶後に、乾燥、印刷、焼き付け工程などにより缶が加
熱される状態を想定して、以下のように樹脂被覆鋼板を
加熱した後、衝撃後電流試験を行った。
【0068】樹脂被覆鋼板を210℃、10分のオーブ
ンで加熱した後、常温まで冷却し、樹脂組成物を被覆し
ていない鋼板側から30cmの高さから2.0kgの鉄球を
落とした。凸状に膨らんだ側が上面となるように鋼板を
底面にして、鋼板の端に柔らかいゴム状の樹脂で壁を形
成した後、凸状に膨らんだ側に1.0%食塩水を入れ、
鋼板を陽極とし、膨らみの近くに設置した白金を陰極と
して+6Vの電圧をかけたときに流れる電流値(mA)
を測定した。
【0069】(ii)密着性試験 缶内面被覆樹脂のSnめっき鋼板への密着性は次のよう
に評価した。常温の樹脂被覆鋼板を、クエン酸1.5重
量%、食塩1.5重量%水溶液(UCC液)に24時間
浸した後、フィルムのはがれた長さを測定し、その長さ
(mm)で評価した。
【0070】0.0mmを◎とし、0.0〜0.5を○と
し、0.5〜2.0を△とし、2.0〜を×とした。 <フレーバー性の評価>上記のようにして得られたDI
缶に、5%エタノール、20ppm リモネン溶液を充填
し、20℃で、10分間放置した。リモネンのフィルム
への吸着量を上層がホモポリエチレンテレフタレートで
形成されているときを100として比較した。フレーバ
ー性の評価基準は下記のとおりである。
【0071】〇 … 70未満 △ … 70以上100未満 × … 100以上 <押出ラミネート成形性の評価>上記のように樹脂組成
物をTダイ押出ラミネート(樹脂温度265〜300
℃)した際の、成形性について評価した。
【0072】〇 … 問題なく成形可能 × … ゲル、ブツが発生する。または押出状態が幅方
向で安定しない(サージング)。
【0073】
【比較例1〜4】実施例において、表1に示すような樹
脂組成物に代えた以外は、実施例と同様にして樹脂被覆
鋼板を得た。原料としての飽和ポリエステル樹脂の固有
粘度[dl/g]と、樹脂組成物のTg、Tm、Tc、Q
Tc、QTmを、表1に示す。
【0074】こうして得られた常温の樹脂被覆鋼板を、
実施例1と同様にして缶内面が樹脂被覆面となるように
してそれぞれ絞りしごき加工して、絞りしごき缶(DI
缶)を製造した。得られたDI缶について、実施例1と
同様にして試験、評価を行った。結果を表2に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】[A]飽和ポリエステル樹脂 *1)2種以上のジカルボン酸成分を含む共重合ポリエ
ステル TA…テレフタル酸、IA…イソフタル酸(ジカルボン
酸成分を100モル%とする) *2)2種以上のジヒドロキシ成分を含む共重合ポリエ
ステル EG…エチレングリコール、CHDM…シクロヘキサン
ジメタノール(ジヒドロキシ化合物成分を100モル%
とする) *3)ホモPET;テレフタル酸とエチレングリコール
とのホモポリエステル [B]ポリエステルエラストマー *4)ハイトレル4057(東レデュポン社製);ポリ
エステル・ポリエーテルブロック共重合体 ポリエステルセグメント;酸成分/テレフタル酸、イソ
フタル酸、グリコール成分/1,4-ブタンジオール、 ポリエーテルセグメント;ポリブチレンオキサイド、 *5)デカン2酸共重合ポリエステル; ポリエステル・ポリエステルブロック共重合体 酸成分/テレフタル酸、デカン2酸、グリコール成分/
1,4-ブタンジオール、[C]アイオノマー樹脂 *6)アイオノマー樹脂;ハイミラン1707(三井デ
ュポンケミカル社製、Naタイプ) *7)アイオノマー樹脂;ハイミラン1706(三井デ
ュポンケミカル社製、Znタイプ)
【0078】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08G 63/91 NLL C08L 67/02 LNZ C09D 167/02 PKZ //(C08L 67/02 23:26)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属板と、 該金属板片面上または両面上に設けられた樹脂組成物被
    膜とからなり、 該樹脂組成物被膜は、[A]飽和ポリエステル樹脂;5
    0〜95重量部と、[B]ポリエステルエラストマー;
    1〜30重量部と、[C]アイオノマー樹脂;1〜25
    重量部とからなることを特徴とする樹脂被覆金属板。
  2. 【請求項2】前記[B]ポリエステルエラストマーは、 [B-1](i) テレフタル酸を50モル%以上含有するジ
    カルボン酸成分と、炭素数2〜10のアルキレングリコ
    ールとから誘導される芳香族ポリエステルセグメント
    と、(ii)分子量が300〜6000のポリ(アルキレン
    オキサイド)グリコールからなるポリエーテルセグメン
    トとからなるポリエステル・ポリエーテルブロック共重
    合体であるか、または [B-1](i) テレフタル酸を50モル%以上含有するジ
    カルボン酸成分と、炭素数2〜10のアルキレングリコ
    ールとから誘導される芳香族ポリエステルセグメント
    と、(iii) 脂肪族ジカルボン酸成分と、炭素数2〜10
    のアルキレングリコールとから誘導される脂肪族ポリエ
    ステルセグメントとからなるポリエステル・ポリエステ
    ルブロック共重合体であることを特徴とする請求項1に
    記載の樹脂被覆金属板。
  3. 【請求項3】前記の[A]、[B]および[C]は、 【数1】 いることを特徴とする請求項1に記載の樹脂被覆金属
    板。
  4. 【請求項4】前記[C]アイオノマー樹脂は、エチレン
    とα,β-不飽和カルボン酸との共重合体中のカルボキ
    シル基の一部または全部が1価または2価の金属陽イオ
    ンで中和されたイオン性塩であることを特徴とする請求
    項1に記載の樹脂被覆金属板。
  5. 【請求項5】金属板が、鋼板あるいはアルミニウム板で
    あることを特徴とする請求項1に記載の樹脂被覆金属
    板。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂被覆
    金属板を、樹脂被膜面が内面側になるように絞りしごき
    成形または絞り成形してなる絞りしごき缶または絞り
    缶。
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