JPH07154940A - 回転電機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】回転電機１の固定子枠を、常時設置されている
冷却用のフィン６の他に、様々な大きさを有する質量体
７が設置できる構造にする。質量体７は、流線形状を持
つ。 【効果】電磁加振力の周波数成分と機構の固有振動数一
致し、共振によって振動，騒音が発生するのを防止す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電磁振動を低減する機
構を有する回転電機に係り、特に、発電機，モータ等に
関する。

【０００２】

【従来の技術】回転電機の振動，騒音の原因の大きな一
つとして、電源周波数の二倍成分，スロットリップル，
ロータリップル等に起因する高調波成分の電磁加振力に
よって発生する固定子並び固定子枠の共振時の円環振動
が挙げられる。これらの解決方法として、特開昭55−13
619 号公報に記載されているように補助的な中空円板に
よって固定子枠に剛性を付加するものや、特開昭58−11
9743号公報に記載されているように固定子と固定枠間を
接続する支持棒に付加質量を与えるものがある。

【０００３】従来技術では、剛性を付加する機構を設け
ることによって固定子の固有振動数を上げたり、付加質
量を与えることによって固有振動数を下げ、電磁加振力
の周波数成分と構造物の固有振動数が一致し、共振する
ことを避けている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来技術では、固定子
に剛性を付加することによって機構の固有振動数を上げ
たり、付加質量を与えることによって固有振動数を下
げ、電磁加振力と構造物との共振を避けるように設計さ
れている。ところが、一般に、回転電機はそれ自体単独
で用いられることは少なく、必ず何らかの装置内に組み
込まれて使用さている。このため、回転電機の取り付け
状況によってその固有振動数は変化する。また、回転電
機の回転数も接続された負荷状態によって変化するた
め、電磁加振力の周波数成分も変化する。これらの原因
から、出荷段階の無負荷試験によって発生しなかった周
波数成分の振動，騒音が、装置組込後の運転状況下で発
生することがある。ところが、従来技術では、前述した
回転電機の装置組込後に発生する振動，騒音について何
等配慮されていないのが現状である。

【０００５】本発明の目的は、装置組込後に発生する振
動，騒音を低減することができ、さらに冷却性能を向上
させることが出来る回転電機を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的は、脱着可能
で、任意の質量をもち、放熱性を考慮した流線形状の質
量体ならびに、それを任意の位置に設置することが出来
る固定子枠によって可能となる。

【０００７】

【作用】固定子枠の円環モードの腹の位置に基準のフィ
ンよりも軽い付加質量体を取り付ければ、その円環モー
ドの固有振動数を上げることが、また基準のフィンより
も重い付加質量体つければ、その円環モードの固有振動
数を下げることが可能となる。

【０００８】また、負荷質量自体冷却フィンの性能を有
しているため、付加質量の設置によって、冷却風の流れ
を阻害し、大きく回転電機の冷却性能の低下を及ぼすこ
とがない。

【０００９】さらに、固定子枠の外側に質量体を取り外
しするだけなので、エンドブラケット等を取り外し付加
質量や付加剛性を取り付けする必要がなく、回転電機を
装置に組み込んだ状態でも容易に固有振動数の変更が可
能となる。

【００１０】

【実施例】図１は本発明による振動低減用の機構を有す
る誘導電動機の一実施例を示す斜視図である。誘導電動
機１は、固定子枠２，エンドブラット３，ロータシャフ
ト４，支持脚５，固定された冷却用フィン６，脱着可能
な質量体７とその取り付け用ねじ穴８で構成される。

【００１１】脱着可能で、様々な質量の選択が可能な質
量体を、固定子枠上に設けられているねじ穴８を利用し
ねじ締結することによって、付加質量の効果によって回
転電機の固有振動数を変更し、電磁加振力との共振現象
に伴う振動，騒音を回避することが出来る。

【００１２】図２に、脱着可能な質量体の取り付け位置
を示す。固定子枠が、図２に示すように(２)(４)(６)
(８)に節を持つ四節楕円モードで共振している場合、こ
のモードの固有振動数を変更するためには、(１)(３)
(５)(７)のすべて、もしくは、いずれかの位置に質量の
異なる質量体を取り付けるのが有効である。また逆に、
(１)(３)(５)(７)を節に持つ四節楕円モードで振動する
場合には、(２)(４)(６)(８)のすべて、もしくは、いず
れかの位置に質量の異なる質量体を取り付ける。

【００１３】この位置に付加質量を配置することによっ
て、最小の付加質量の増減で、楕円モードの固有振動数
を変更することが出来る。

【００１４】質量の異なる質量体の製作は、図３，図４
に示すように質量体の断面積を変更するか、形状は同一
で材質を変更するか、もしくは、質量体の形状を変更
し、かつ材質を変更する手段がある。

【００１５】次に、質量体の形状、並び質量体の固定子
枠への接続方法に関して説明する。

【００１６】図５は、脱着可能な付加質量体の実施例の
一つを示す斜視図である。質量体７は、流線形状をして
いる。質量体の両端は、ねじ止め出来るように加工され
ており、一つ以上のざぐり穴１１があけてある。固定子
枠には、ねじ目がきってあり、質量体と固定子枠はねじ
９によって締結される。質量体と固定子枠の間には熱的
な接続を良好にする充填剤１０が用いられている。

【００１７】実施例では、質量体が流線形状に製作され
ているため、冷却風が、固定子枠全面に行きわたり固定
子および固定子枠の温度上昇を防ぐ。また、質量体をね
じ締結しているために、容易に取り付け取り外しが可能
である。また、熱的接続を良好にする充填剤の使用によ
って固定子枠から質量体への熱伝導性を向上させ、固定
子ならびに固定子枠の温度上昇を抑制することが出来
る。

【００１８】図６は、図５の通風性をさらに改良した実
施例の図である。流線形状の質量体７の尾根部１２に、
一個以上のねじ止め用ざぐり穴１１を設ける。質量体の
両端は、ねじ締結のための段差はない形状になってい
る。

【００１９】フィン尾根部にざぐり穴をもうけることに
よって質量体の先端部で、流れの乱れが発生することな
く、冷却風が回転電機の端まで行きわたるようになる。
このため固定子枠の冷却性能がより向上する。

【００２０】次にねじどめ以外の質量体と固定子枠との
締結方法の例を示す。

【００２１】図５，図６で示したものと同様な質量体７
に、図７に示すように突起部１３を設ける。突起部に
は、長手方向にテーパ角が付けてある。図７，図８に示
すように、固定子枠には、突起１３が噛み合うような溝
１４があり、突起１３が溝に挿入するための開口部１５
が設けてある。開口部と質量体突起の間隔は同じであ
る。質量体の突起部を固定子枠の開口部に合わせ挿入、
質量体を固定子枠の長手方向にスライドすることによっ
て、丁度キーとキー溝の関係のように質量体と固定子枠
は締結される。逆に、図９に示すように、固定子枠２に
突起１７を、質量体に溝１６を設け、それを噛み合わせ
ることによって締結させることも可能である。

【００２２】実施例では、質量体をねじで固定子枠に締
結する必要がないので、固定子枠にねじ目を切る必要が
ない。固定子枠の溝，突起，質量体の突起、溝は、鋳造
時の鋳型をあらかじめ溝や突起が出来るように加工して
おけば良い。

【００２３】図５から図９の実施例では、付加質量の増
減を行うために異なる形状，材質の質量体を新たに製作
する必要があるが、図１０，図１１に、そのような製作
を避けることが出来る一つの実施例を示す。質量体７
は、高さ方向に数等分されており、その分割要素１８に
ざぐり穴があけられている。それらの要素は、付加質量
の増減に伴い積み上げ数がかえられ、ねじを利用して固
定子枠に締結される。

【００２４】この実施例では、数多くの質量体の製作が
不要となる。また、付加質量の微調整も可能となる。

【００２５】図１２に、上記以外の質量体の取付方法を
示す。質量体７は、固定子枠上の冷却用フィン６上に設
置されている。フィンの先端は質量体固定用にＴ型の受
けになっており、ねじ固定用の貫通孔１９が、質量体，
フィンに設けてある。

【００２６】この実施例では、上述の実施例同様、固定
子，固定子枠の固有振動数の変更が質量体の配置によっ
て可能である。また、冷却用フィン上に付加質量体を設
置するため冷却性能を低下させることもない。

【００２７】

【発明の効果】本発明によれば、装置組み込み時の回転
電機の固有振動数と、電磁加振力の周波数成分が一致
し、円環モードで共振した場合、冷却性能を考慮した質
量体の付替えによって回転電機の固有振動数を変更し、
回転電機の振動，騒音を低減出来る。

【００２８】また、振動のエネルギは、固定子枠と取り
付け可能なフィンの間に生じる滑りによる摩擦によって
消費，振動そのものが抑制され、したがって騒音の低減
にもつながる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の質量体を誘導電動機に取り付けた時の
斜視図。

【図２】質量体の回転電機への取り付け位置を示す説明
図。

【図３】質量体（小）の断面図。

【図４】質量体（大）の断面図。

【図５】質量体の形状の一つを示す斜視図。

【図６】固定用のざぐり穴を尾根部に設けた質量体の例
を示した斜視図。

【図７】埋込式の質量体，固定子枠の断面図。

【図８】埋込式の質量体，固定子枠の斜視図。

【図９】固定子枠に質量体固定用の突起部を設けた断面
図。

【図１０】分割された質量体によって付加質量を与える
方法を示した上面図。

【図１１】分割された質量体によって付加質量を与える
方法を示した側面図。

【図１２】放熱用のフィン上に付加質量を取り付けるよ
うにした説明図。

【符号の説明】

１…誘導電動機、２…固定子枠、３…エンドブラケッ
ト、４…ロータシャフト、５…支持脚、６…固定フィ
ン、７…質量体、８…ねじ穴。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 基八郎 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 (72)発明者 與那嶺 操 千葉県習志野市東習志野七丁目１番１号 株式会社日立製作所習志野工場内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】回転電機の固定子枠に、その固有振動数を
   変更するための質量体を回転軸方向に着脱可能に設けた
   ことを特徴とする回転電機。