JPH0713250B2 - 耐火性の優れた建築用低降伏比鋼の製造方法 - Google Patents
耐火性の優れた建築用低降伏比鋼の製造方法Info
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- JPH0713250B2 JPH0713250B2 JP2165809A JP16580990A JPH0713250B2 JP H0713250 B2 JPH0713250 B2 JP H0713250B2 JP 2165809 A JP2165809 A JP 2165809A JP 16580990 A JP16580990 A JP 16580990A JP H0713250 B2 JPH0713250 B2 JP H0713250B2
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Description
各種構造物に用いる耐火性の優れた低降伏比鋼の製造方
法に関する。
各種構造物用構築材として、一般構造用圧延鋼材(JIS
G 3103)、溶接構造用圧延鋼材(JIS G 3106)、溶接構
造用耐候性熱間圧延鋼材(JIS G 3114)、高耐候性圧延
鋼材(JIS G 3444)、一般構造用角形鋼板(JIS G 346
6)等が広く利用されている。
脱Pしたのち転炉精錬を行ない、連続鋳造もしくは分塊
工程において鋼片とし、ついで熱間塑性加工をすること
により、所望の特性を備えたものとして製品化される。
や事務所及び住居等の建造物に前記周知鋼材を用いる場
合、火災における安全性を確保するため、十分な耐火被
覆を施すことが義務づけられており、建築関係諸法令で
は、火災時に鋼材温度が350℃程度で耐力が常温時の60
〜70%になり、建造物の倒壊を引き起こす恐れがあるた
め、たとえば、一般構造用圧延鋼材(JIS G 3101)に規
定される形鋼を柱材とする構造物の例では、その表面に
スラグウール、ガラスウール、アスベスト等を基材とす
る吹き付け材やフェルトを展着するほか、防火モルタル
で包皮する方法及び前記断熱材層の上に、さらに金属薄
板すなわちアルミニウムやステンレス薄板で保護する方
法等、耐火被覆を入念に施し、火災時における熱的損傷
により該鋼材が載荷力を失うことのないようにして利用
する。
建築コストが大幅に上昇することを避けることができな
い。
が循環するように構成し、火災時における温度上昇を防
止し載荷力を低下させない技術が提案され、ビルの建築
コストの引き下げと利用空間の拡大が図られている。
に水タンクを置き、中空鋼管からなる柱材に冷却水を供
給する耐火構造建造物が開示されている。また、特願平
2−72566号明細書では、一定量のMoの添加とC/Mn比の
制限及び焼入性の確保によりミクロ組織をベイナイトと
して、600℃の高温強度が常温強度の70%以上確保でき
ることが示されている。
S−Sカーブは明確な降伏点は見られずラウンド型とな
る。このタイプの鋼は見かけ上の降伏比は低いが、耐震
性に十分とは言えないことが明らかにされ、問題点を含
んでいた。
−Sカーブ、第1図(b)はミクロ組織がベイナイト主
体のS−Sカーブである。
結果、無被覆使用を目標とした場合、火災時の最高到達
温度が1000℃であることから、鋼材が該温度で常温耐力
の70%以上の耐力を備えるためには、やはり高価な金属
元素を多量に添加せねばならず、経済性を失することを
知った。
費用以上に鋼材単価が高くなり、そのような鋼材は実際
的に利用することができない。
が常温時の70%以上となる鋼材が最も経済的であること
をつきとめ、高価な添加元素の量を少なくし、且つ、耐
火被覆を薄くすることが可能で、火災荷重が小さい場合
は、無被覆で使用することができる鋼材の製造方法を開
発した。
重量比で、C0.04〜0.11%、Si0.6%以下、Mn0.3〜0.7
%、Mo0.5〜0.8%、Ni0.05〜0.50%、Cu0.05〜0.50%、
Cr0.05〜0.50%、Al0.1%以下、N0.006%以下に加えてV
0.005〜0.05%、Ti0.005〜0.03%、Zr0.005〜0.03%、C
a0.0005〜0.005%、REM0.001〜0.005%の一種または二
種以上、残部がFe及び不可避的不純物を含み、しかも
(1)式で与えられるDi*値が0.80未満の成分組成より
なる鋼片を1150〜1300℃の温度域で再加熱後、熱間圧延
を800〜1000℃の温度範囲で終了し、その後空冷してミ
クロ組織をフェライト主体とする耐火性の優れた建築用
低降伏比鋼の製造方法である。
加し(1)式で与えられるDi*値(ここでDi*とは焼入れ
に寄与する合金元素の効果を定量化したものである。)
が0.80未満の組成の鋼片を高温で再加熱したのち、比較
的高温で圧延を終了することにあり、本発明法によって
製造した鋼及び鋼材(以下鋼)は適当な常温耐力と明確
な降伏現象(降伏点が明瞭に認められる)を伴った低い
降伏強度を有するとともに、高温耐力が高い特性を備え
ている。
合が大きい。この理由は中Cのベース成分に相当量のMo
を添加した鋼で、フェライト組成(フェライト面積率60
%以上)としているためである。
について説明する。
って高温強度を増加させるが、ミクロ組織がフェライト
でNbを添加しない本発明鋼の場合、その添加量は比較的
多く必要である。そのため、Mo添加量の下限は0.5%で
ある。しかしながら、Mo量が多すぎると、溶接性が悪く
なり、さらに、溶接熱影響部(HAZ)の靱性が劣化する
ので、Mo量の上限は0.8%とする必要がある。
に規定する性能を満足し、且つ、600℃の高温において
高い耐力を維持せしめるためには、鋼成分と共に鋼の再
加熱及び圧延にかかる条件が重要である。
加熱時に十分に溶体化させる必要があり、このため再加
熱温度の下限を1150℃とする。また、再加熱温度が高す
ぎると結晶粒が大きくなって低温靱性が劣化するので、
その上限は1300℃にせねばならない。
にMoの炭窒化物を析出させないためである。周知の低温
圧延(制御圧延)はラインパイプ等低温靱性が必要な鋼
材では必須要件であるが、本発明鋼のように低温靱性に
ついて、高い要求がなく、常温強度と600℃の強度及び
そのバランスが重要な場合には、ミクロ組織を比較的粗
粒のフェライト主体とするため、圧延を高温で終了せね
ばならない。
したのは、建築用鋼としての靱性を確保するためであ
る。
は、従来のボイラー用鋼管等に利用されている鋼では知
られているが、この鋼は基本的な特性を得るため、圧延
/造管後調質熱処理を施しており、本発明鋼とは製造プ
ロセスが異なる。
願している特開平2−77523号公報がある。この鋼は微
量のMoとNbを添加し、高温加熱−高温圧延により製造す
るプロセスである。この製造法は本発明鋼と同じである
が、高温強度を得るため、MoとNbの複合添加を必須とし
ており、本発明のMoの単独添加とは異なる。
知られており、その理由は、フェライト粒径を細粒にす
る効果や圧延中にNbが析出するためと考えられている。
このため、比較的薄い鋼板では、圧下比が大きいことや
圧延温度が低下しやすいため、上記の理由から常温の降
伏比が増加しやすい。この発明鋼では、常温の降伏比が
75%以下で製造できることが明らかにされているが、薄
手の低降伏比鋼板を工業的に製造することは難しいと考
えられる。
常温の70%以上の降伏強度を有する板厚40mm以下の鋼板
の製造に適しており、工業的な生産に適している。
いて詳細に説明する。
発揮させるために必要であり、0.04%未満では効果が薄
れるので下限は0.04%とする。また、C量が多すぎると
常温の降伏比が上昇し、さらに、HAZの低温靱性に悪影
響を及ぼすので、0.11%が上限となる。
性、HAZ靱性が劣化するため、その上限を0.6%とした。
あり、その下限は0.3%である。しかし、Mn量が多すぎ
ると焼入性が増加して溶接性、HAZ靱性が劣化するた
め、Mnの上限を0.7%とした。
05%未満の添加量では効果が薄く、Cr量が0.5%を超え
ると溶接性やHAZ靱性を劣化させるため、上下限をそれ
ぞれ0.05%,0.5%とした。
の強度、靱性を向上させるが、0.05%未満では効果が薄
く、0.5%超の添加は建築用鋼としての目的に対し、極
めて高価になるため経済性を失うので、上下限をそれぞ
れ0.50%,0.5%とした。
温強度の増加や耐食性、耐候性の向上にも効果を有す
る。しかし、0.05%未満では効果が薄く、0.5%を超え
ると熱間圧延時にCu割れが発生するため上下限をそれぞ
れ0.05%,0.5%とした。
によっても脱酸は行なわれるので、本発明鋼については
下限は限定しない。しかしAl量が多くなると鋼の清浄度
が悪くなり、溶接部の靱性が劣化するので上限を0.1%
とした。
あるが、N量が多くなるとHAZ靱性の劣化や連続鋳造ス
ラブの表面キズの発生等を助長するので、その上限を0.
006%とした。
有する。P,Sは高温強度に与える影響は小さいので、そ
の量について特に限定しないが、一般に靱性、板厚方向
強度等に関する鋼の特性は、これらP,S元素の量が少な
いほど向上する。望ましいP,S量はそれぞれ0.02%,0.00
5%以下である。
が、本発明鋼は用途が厳しい条件(溶接部の水素割れ性
が要求されたり、大入熱の溶接が適用される)での適用
を考慮しており、以下に述べる元素即ちV,Ti,Zr,Ca,REM
を選択的に添加することにより特性の向上を図ってい
る。
が、0.005%未満では効果が認められず、0.05%超ではH
AZ靱性を害するので0.005〜0.05%の範囲に限定した。
少ない場合、Tiの酸化物を形成しHAZ靱性を向上させる
が、0.005%未満では効果がなく、0.03%を超えるとHAZ
靱性に好ましくない影響があるため、0.005〜0.03%に
限定する。
は0.005〜0.03%である。
ラーテアの改善や耐水素有機割れ性の改善に効果を発揮
するほか、シャルピー吸収エネルギーを増加させ、低温
靱性を向上させる効果がある。しかし、Ca量は0.0005%
未満では実用上効果がなく、また、0.005%を超える
と、CaO,CaSが多量に生成して大形介在物となり、鋼の
靱性のみならず清浄度も害し、さらに、溶接性、耐ラメ
ラーテア性にも悪影響を与えるので、Ca添加量の範囲を
0.0005〜0.005%とする。また、REMについてもCaと同様
な効果があり、添加量を多くするとCaと同様な問題を生
じ、さらに経済性も悪くなるのでREM量の下限を0.001
%、上限を0.005%とした。
と600℃の高温強度を調査した。
較鋼の化学成分を示す。
造条件とその強度特性を示す。
フェライト分率が60%超で、常温の降伏比(降伏強度/
引張強度)が70%以下と低く、600℃の降伏強度が常温
の70%以上を有している。
00℃の強度とも低く、常温の降伏強度に対する600℃の
降伏強度の割合が70%に達しないレベルであった。ま
た、比較鋼No.17では、Mnが高すぎるため、600℃の降伏
強度は十分であるが、常温の降伏比が高すぎ77%にも達
した。比較鋼No.18では、Moが低いため、600℃の降伏強
度が低く、70%に達しないレベルであった。これとは逆
に、比較鋼No.19では、Moが高すぎ、600℃の降伏強度は
十分であるが、常温の降伏比が高すぎ、80%にも達し
た。比較鋼No.20では、Cが低いため、常温と600℃の降
伏強度が低く、常温の降伏強度に対する600℃の降伏強
度の割合が70%に達しないレベルであった。さらに、比
較鋼No.21では、Cが高すぎるため、600℃の降伏強度は
十分であるが、常温の降伏比が高すぎ、82%にも達し
た。
降伏強度が高く且つ、600℃の降伏強度が常温降伏強度
の70%以上で、常温の降伏比も70%以下と低く、耐火性
及び耐震性の優れた全く新しい鋼である。
ライト主体、(b)はベイナイト主体の場合を示す。
Claims (1)
- 【請求項1】重量比で C :0.04〜0.11%、 Si:0.6%以下、 Mn:0.3〜0.7%、 Mo:0.5〜0.8%、 Ni:0.05〜0.50%、 Cu:0.05〜0.50%、 Cr:0.05〜0.50%、 Al:0.1%以下、 N :0.006%以下 に加えて V :0.005〜0.05%、 Ti:0.005〜0.03%、 Zr:0.005〜0.03%、 Ca:0.0005〜0.005%、 REM:0.001〜0.005%の一種または二種以上、 残部がFe及び不可避的不純物を含み、しかも(1)式で
与えられるDi*値が0.80未満の成分組成よりなる鋼片を1
150〜1300℃の温度域で再加熱後、熱間圧延を800〜1000
℃の温度範囲で終了し、その後空冷してミクロ組織をフ
ェライト主体とすることを特徴とする耐火性の優れた建
築用低降伏比鋼の製造方法。 (1)式
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2165809A JPH0713250B2 (ja) | 1990-06-26 | 1990-06-26 | 耐火性の優れた建築用低降伏比鋼の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2165809A JPH0713250B2 (ja) | 1990-06-26 | 1990-06-26 | 耐火性の優れた建築用低降伏比鋼の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0456723A JPH0456723A (ja) | 1992-02-24 |
JPH0713250B2 true JPH0713250B2 (ja) | 1995-02-15 |
Family
ID=15819410
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2165809A Expired - Lifetime JPH0713250B2 (ja) | 1990-06-26 | 1990-06-26 | 耐火性の優れた建築用低降伏比鋼の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0713250B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE19724051C1 (de) * | 1997-06-07 | 1999-03-11 | Thyssen Stahl Ag | Grobbleche einer Dicke bis 50 mm aus feuerresistenten nickelfreien Stählen für den Stahlbau und Verfahren zur Herstellung von Grobblech daraus |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0277523A (ja) * | 1988-06-13 | 1990-03-16 | Nippon Steel Corp | 耐火性の優れた建築用低降伏比鋼材の製造方法およびその鋼材を用いた建築用鋼材料 |
-
1990
- 1990-06-26 JP JP2165809A patent/JPH0713250B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0277523A (ja) * | 1988-06-13 | 1990-03-16 | Nippon Steel Corp | 耐火性の優れた建築用低降伏比鋼材の製造方法およびその鋼材を用いた建築用鋼材料 |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0456723A (ja) | 1992-02-24 |
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