JPH07108805A - スパイラルベルト構造の二輪車用空気入りタイヤ - Google Patents
スパイラルベルト構造の二輪車用空気入りタイヤInfo
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Abstract
きベルト構造のラジアルタイヤの車両旋回時の操縦性能
を、他のタイヤ性能を損なうことなく、向上させた二輪
車用タイヤを提供する。 【構成】 ほぼ周方向のコ−ド角度を持つスパイラル巻
きベルト構造のラジアルタイヤのトレッド部を3分割し
て両側方区域のトレッドゴムのJIS(A)硬度と動的
複素弾性率に対するロスタンジェントの比を中央区域の
それらの値より高い値に設定する。
Description
能、ユニフォミティ性能などの期待性能を損傷すること
なく優れた旋回操縦性能を発揮する、単線又は、複数本
コ−ドを被覆ゴム中に埋設してタイヤの周方向に巻回し
たスパイラルベルト構造の二輪車用空気入りラジルタイ
ヤに関するものである。
複数本のコ−ドから成る素材をほぼタイヤの周方向に向
かう角度でスパイラル状にタイヤ軸線方向に巻回したベ
ルト層を一層以上有するベルト構造を持つ所謂スパイラ
ルベルト構造を二輪車用ラジアルタイヤに採用すると、
タイヤの高速耐久性、直進安定性、ユニフォミティ性能
等を向上させる一方で車両が旋回時に重要となるコ−ナ
リングフォ−スや大キャンバ−角時のキャンバ−スラス
トが従前の交錯ベルト構造に比較して小さくなる傾向が
ある為、この点を改良するべく従来より種々の工夫が試
みられて来た。例えば、特開平4−197805の従来
の技術及び実施例において記述されている構造のタイヤ
がある。即ち、該公報の従来の技術に記述される如くケ
−ス(プライ)ゴムの弾性率を高めケ−ス剛性を向上さ
せる技術、及びキャップベ−ス構造のベ−スゴムに硬ゴ
ムを用いる技術があるが、前者はサイド剛性が高くなり
接地性が悪化しグリップ性能の低下を招き又、後者は初
期の接地性が損なわれるとして共に実用に供し得なかっ
たとされている。また更に、前記公報の実施例に記述さ
れている発明においては、補強コ−ドをほぼ周方向に配
したベルト構造を有する二輪車用空気入りラジアルタイ
ヤにおいて、大キャンバ−時の横力を大幅に改善するこ
との出来るトレッド構造として、3区域に分割されたト
レッド部の両側区域のトレッドの一部を内層ゴムと外層
ゴムの2層に形成し、内層ゴムのJIS硬度を外層ゴム
のJIS硬度より少なくとも5度以上大きくする様にし
たタイヤが提案されている。
発明技術を本願の対象とする所謂スパイラルベルト構造
のラジアルタイヤに適応した場合は、タイヤ接地面に於
いて、接地面に平行するトレッド、ベルト、プライカ−
カス等を積層したタイヤ部材をその面内で曲げる変形に
対する剛性(即ち、接地面で遠心力に対抗する摩擦力を
受ける時、タイヤはこの様な面内での曲げ変形を受け
る。以後面内曲げ剛性と呼称する。)が十分に大きくな
らずスパイラルベルト構造の欠点である旋回時の操縦性
能低下を挽回し得ないこと、更には前記両側区域のトレ
ッドの一部を内層ゴムと外層ゴムの2層に形成するため
タイヤ製造上の煩雑さが免れないという問題点があっ
た。
イラル巻きベルト構造のラジアルタイヤの操縦性能特に
コ−ナリングフォ−ス及び大キャンバ−時のキャンバ−
スラストで代表される旋回性能を、他のタイヤ性能を損
なうことなく向上させた二輪車用タイヤを提供すること
を目的としている。
に、本発明の二輪車用空気入りラジアルタイヤに於て
は、請求項1では単線又は並列した複数本のコ−ドを被
覆ゴム中に埋設して成る素材を、ほぼタイヤの周方向に
向かう角度でスパイラル状にタイヤ軸線方向に巻回した
ベルト層を一層以上有するベルト構造を持つ二輪車用空
気入りラジアルタイヤにおいて、トレッド部をタイヤの
軸方向に中央区域と両側方区域とに3区分し、両側方区
域のトレッドゴムのJIS硬度が中央区域のトレッドゴ
ムのJIS硬度より少なくとも3ポイント以上大きく、
同時に、両側方区域トレッドゴムの動的複素弾性率に対
するロスタンジェントの比tanδ/E´が中央区域ト
レッドゴムのそれよりも大きいことを特徴とし、また、
請求項2では、請求項1において両側方区域のJIS硬
度が55〜65、動的複素弾性率に対するロスタンジェ
ントの比tanδ/E´が3.5×10-9〜7×10-9
cm2 /dyneの範囲にあることを特徴としている。
のトレッドゴムの占める面積はトレッドゴム全体の面積
に対して50〜80%が好ましく、又、前記中央区域と
側方区域とのトレッド外表面上での分割位置は、中央区
域の幅がタイヤ赤道面を挟んで弧長でトレッド幅の20
%〜50%の範囲になるように適宜選択するのが良い。
更に又、タイヤ子午線断面における中央区域と両側方区
域との境界線はタイヤの内方で交錯するのが好ましい。
に埋設した素材を、ほぼタイヤの周方向に向かう角度で
スパイラル状にタイヤ軸線方向に巻回したベルト層を一
層以上積層したベルト構造に於ては、コ−ドがほぼタイ
ヤの周方向に向いているためタイヤ周方向の伸縮に対す
る剛性は高いが、他方コ−ドが配列される面内において
前記スパイラルベルト層を曲げる場合に対する剛性(前
記面内曲げ剛性)が非常に小さくなる。従って、二輪車
が旋回時に遠心力に対抗する接地面の摩擦力はこの面内
剛性の多寡に連動しているためスパイラルベルト層のラ
ジアルタイヤでは接地面の摩擦力に基ずくコ−ナリング
フォ−ス及びキャンバ−スラストが小さくなる。
ルタイヤのこの欠点を改善するために、タイヤトレッド
部の両側方区域に硬度の高いトレッドゴムを相当に大き
な容積で配置しタイヤトレッド、ベルト、プライカ−カ
スなどを積層した部材の前記面内曲げ剛性を大きくして
路面から受ける力に対する抵抗力を増加させると共に、
両側方区域トレッドゴムの動的複素弾性率に対するロス
タンジェントの比tanδ/E´を大きく設定して路面
との密着性(路面の凹凸を包み込む能力)を高めると同
時に、外部からの入力に対し部材内部でのエネルギ−吸
収量を大きくして接地面での摩擦力の発生を増加させる
様にしたので、タイヤのコ−ナリングフォ−ス及びキャ
ンバ−スラストが高い値となり、実車走行特に旋回時に
所謂腰の強い、路面に対して踏ん張りの効く、強いグリ
ップのタイヤを得ることが出来る。
は、中央区域トレッドゴムとの硬度差を後述する実験結
果に基ずいて3ポイント以上とする。3ポイト未満の場
合はタイヤトレッド部の中央区域まで硬度の高いゴムを
用いることとなりトレッド中央区域の発熱が増加し高速
性能を劣化させる。又、両側方区域トレッドゴムの選択
する硬度値としては、硬度が65度を越えると外部入力
によってベルト端末またはトレッド〜ベルト間の応力集
中が大きく増加しこれらの部位での疲労剥離故障が起こ
り易くなり、一方硬度を55度未満に設定すると前記面
内曲げ剛性を向上する効果が十分に得られない。
弾性率に対するロスタンジェントの比tanδ/E´の
値は、この値が7×10-9cm2 /dyneを越えると
トレッド側方区域の発熱性能を低下させベルト端末また
はトレッド〜ベルト間の熱疲労破壊を促進させる恐れが
急増する。又、前記の比の値を3.5×10-9cm2/
dyne未満の値に採ると、路面との密着性や摩擦係数
が向上されず所望のグリップ性が得られなくなる。
本発明によるスパイラルベルト構造の二輪車用ラジアル
タイヤの子午線断面図を示し、タイヤサイズは170/
60ZR17である。タイヤの骨格を構成するベルト
(1)は芳香族ポリアミド繊維(商品名;ケブラ−)コ
−ド3本をタイヤの赤道面に対して0度の角度で配列し
て加硫後のJIS(A)硬度が約70度となるゴム中に
埋設したリボン状の素材(2)をタイヤクラウン部
(3)のほぼ全幅に亙ってスパイラル状に巻回した一層
のベルトであり、一方カ−カスプライ(4)は、ナイロ
ンコ−ドを赤道面に対して90度の方向に配列し、加硫
後のJIS(A)硬度が約60度となるゴム中に埋設し
た一層のラジアルプライから出来ている。クラウン部を
占めるトレッドゴム(5)は、タイヤ子午線断面おい
て、トレッド表面の1/4点(弧長で測定したトレッド
幅を4等分した点)からタイヤの内方に延長した境界線
(6)がタイヤ赤道面となす角度を45度としてトレッ
ドを3区域に分割して、両側方区域のトレッドゴムの加
硫後JIS(A)硬度と中央区域のトレッドゴムの加硫
後JIS(A)硬度との差を3ポイント以上に採り、
又、両側方区域のトレッドゴムの動的複素弾性率に対す
るロスタンジェントの比tanδ/E´を中央区域のそ
の値より大きく設定した。しかも、両側方区域のトレッ
ドゴムの上記各々の物性値は、それぞれ55〜65、
3.5×10−9〜7×10-9cm2 /dyneの範囲
内から選択した。一方比較例のタイヤは、上記実施例の
タイヤと同一のタイヤサイズ、同一のベルト及びカ−カ
ス構造材料であるが、両側方区域と中央区域のトレッド
ゴムの上記物性値の選択が本発明の特定する条件または
範囲から外れるものである。
6301加硫ゴム物理試験法のスプリング式硬さ試験A
形に基ずいて測定した。又、動的複素弾性率及びロスタ
ンジェントの粘弾性値は東洋精機社製のレオグラフソリ
ッドを使用して、ゴムサンプルの幅、厚さ、長さが5×
2×20mm、初期張力2kg/cm2 、振動歪±1
%、振動周波数50Hz、測定温度25度にて測定し
た。
能改善効果を確認するために、実施例、比較例のタイヤ
を実際に試作し、操縦性能を比較した結果を説明する。
表1には、各種の配合処方からなるトレッドゴムについ
て、それぞれのゴム物性値を測定したものを示した。表
2には、これらのトレッドゴムを組み合わせて上記の各
区域のトレッドゴム物性値の選択条件に適合する様にし
て試作した実施例のタイヤ4種類と比較例のタイヤ3種
類について、タイヤ操縦性能を表すキャンバ−スラスト
とコ−ナリングフォ−スを二輪車用室内操縦性試験機を
用いてJIS規格100%のタイヤ内圧荷重条件の下で
測定した結果を示した。なお、表2の数値はキャンバ−
アングル30度時のキャンバ−スラスト値及びスリップ
アングルに対するコ−ナリングフォ−スの最大値を比較
例1を100とした時の指数で示してある。
−スラスト値及びコ−ナリングフォ−ス最大値は比較例
タイヤ対比それぞれ105〜114%、105〜110
%の向上が得られており操縦性能の改善が達成されてい
ることがわかる。尚、詳細な実際のデ−タ−は省略した
が、室内ドラムテストによる耐久性試験及び実車操縦安
定性試験を実施例のタイヤについて別に行った結果で
は、前記スパイラルベルト構造のラジアルタイヤに本来
期待される優れた高速耐久性、直進走行安定性等が十分
保持されていることが確認された。
は、周方向コ−ド角度のスパイラルベルト構造に付随す
る面内剛性低下という欠点を、スパイラルベルト構造に
本来期待される安定した直進走行性能、高速性能等を損
なうことなく改善して、操縦安定性能に優れた高性能タ
イヤを提供する。
子午線断面図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 単線又は並列した複数本のコ−ドを被覆
ゴム中に埋設して成る素材を、ほぼタイヤの周方向に向
かう角度でスパイラル状にタイヤ軸線方向に巻回したベ
ルト層を一層以上有するベルト構造を持つ二輪車用空気
入りラジアルタイヤにおいて、トレッド部をタイヤの軸
方向に中央区域と両側方区域とに3区分し、両側方区域
のトレッドゴムのJIS硬度が中央区域のトレッドゴム
のJIS硬度より少なくとも3ポイント以上大きく、同
時に、両側方区域トレッドゴムの動的複素弾性率に対す
るロスタンジェントの比tanδ/E´が中央区域トレ
ッドゴムのそれよりも大きいことを特徴とするスパイラ
ルベルト構造の二輪車用空気入りタイヤ。 - 【請求項2】 両側方区域のJIS硬度が55〜65、
動的複素弾性率に対するロスタンジェントの比tanδ
/E´が3.5×10-9〜7×10-9cm2/dyne
の範囲にある1項請求のタイヤ。
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