JPH0687881A - ロキタマイシン・一水和物結晶、及びその製造法 - Google Patents
ロキタマイシン・一水和物結晶、及びその製造法Info
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- JPH0687881A JPH0687881A JP4238083A JP23808392A JPH0687881A JP H0687881 A JPH0687881 A JP H0687881A JP 4238083 A JP4238083 A JP 4238083A JP 23808392 A JP23808392 A JP 23808392A JP H0687881 A JPH0687881 A JP H0687881A
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- acid
- crystal
- rokitamycin
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- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07H—SUGARS; DERIVATIVES THEREOF; NUCLEOSIDES; NUCLEOTIDES; NUCLEIC ACIDS
- C07H17/00—Compounds containing heterocyclic radicals directly attached to hetero atoms of saccharide radicals
- C07H17/04—Heterocyclic radicals containing only oxygen as ring hetero atoms
- C07H17/08—Hetero rings containing eight or more ring members, e.g. erythromycins
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P31/00—Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
- A61P31/04—Antibacterial agents
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- Medicinal Chemistry (AREA)
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- Veterinary Medicine (AREA)
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- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【構成】 式(1)
【化1】
で表されるロキタマイシン・一水和物結晶及びロキタマ
イシンを酸性水溶液中で結晶化してなる式(1)で表さ
れるロキタマイシン・一水和物結晶(以下RKM水和物
と略す)の製造法。 【効果】 ロキタマイシンより苦味が極めて改善された
新規なRKM水和物を提供するものであり、新規なRK
M水和物を使用するこにより従来のロキタマイシンの苦
味を隠蔽する必要が無く、簡便な工程で従来品以上の品
質のシロップ剤の製剤化が可能であり、また、RKM水
和物は水濡れが優れており、従来のショ糖脂肪酸エステ
ルによる表面処理の必要はなく、従来品と同等の品質の
錠剤化を実施できる。
イシンを酸性水溶液中で結晶化してなる式(1)で表さ
れるロキタマイシン・一水和物結晶(以下RKM水和物
と略す)の製造法。 【効果】 ロキタマイシンより苦味が極めて改善された
新規なRKM水和物を提供するものであり、新規なRK
M水和物を使用するこにより従来のロキタマイシンの苦
味を隠蔽する必要が無く、簡便な工程で従来品以上の品
質のシロップ剤の製剤化が可能であり、また、RKM水
和物は水濡れが優れており、従来のショ糖脂肪酸エステ
ルによる表面処理の必要はなく、従来品と同等の品質の
錠剤化を実施できる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は式(1)
【0002】
【化3】
【0003】で表されるロキタマイシン・一水和物結
晶、及びロキタマイシンを酸性水溶液中で結晶化するこ
とを特徴とする式(1)で表されるロキタマイシン・一
水和物結晶の製造法に関する。
晶、及びロキタマイシンを酸性水溶液中で結晶化するこ
とを特徴とする式(1)で表されるロキタマイシン・一
水和物結晶の製造法に関する。
【0004】
【従来の技術】ロキタマイシン(以下RKMと略す)は
式(2)
式(2)
【0005】
【化4】
【0006】で表される化合物であって、キタサマイシ
ン生産菌ストレプトミセス・キタサトエンシス(Str
eptomyces kitasatoensis)に
属する一変異株が生産するロイコマイシンA5 を原料と
し3”位三級水酸基を選択的にプロピオニル化して得ら
れる、半合成マクロライド系抗生物質である。その合成
法及び物理化学的性質は特許(特公昭59−46520
号公報)及び文献(J.Antibiotics,3
4,1001(1981))において公知である。その
抗菌力は既存の16員環マクロライドのキタサマイシ
ン、ジョサマイシン、ミデカマイシン及びミオカマイシ
ンより強く、14員環のエリスロマイシンに匹敵する
(同文献)。さらに、RKMは既存のマクロライド系抗
生物質がまったく無効である耐性菌にも優れた抗菌作用
をしめす薬剤であり、また例えばグリシン、クエン酸を
配合した経口投与用錠剤(米国特許第4716153号
明細書)やドライ・シロップ剤として安全性も高く、今
日、広く使用されているものである。
ン生産菌ストレプトミセス・キタサトエンシス(Str
eptomyces kitasatoensis)に
属する一変異株が生産するロイコマイシンA5 を原料と
し3”位三級水酸基を選択的にプロピオニル化して得ら
れる、半合成マクロライド系抗生物質である。その合成
法及び物理化学的性質は特許(特公昭59−46520
号公報)及び文献(J.Antibiotics,3
4,1001(1981))において公知である。その
抗菌力は既存の16員環マクロライドのキタサマイシ
ン、ジョサマイシン、ミデカマイシン及びミオカマイシ
ンより強く、14員環のエリスロマイシンに匹敵する
(同文献)。さらに、RKMは既存のマクロライド系抗
生物質がまったく無効である耐性菌にも優れた抗菌作用
をしめす薬剤であり、また例えばグリシン、クエン酸を
配合した経口投与用錠剤(米国特許第4716153号
明細書)やドライ・シロップ剤として安全性も高く、今
日、広く使用されているものである。
【0007】従来、工業的にはRKMはロイコマイシン
A5 を原料として合成され、得られた粗生成物をカラム
クロマトグラフィーにより精製し、得られた溶出液を濃
縮し、濃縮液を水中に滴下し晶析した沈澱物を濾取し、
これを乾燥して製品としていた。このようにて晶析した
原末は非晶質で無水状態のRKM(以下RKM無水物と
略す)となるものであり、このRKM無水物のX線回折
スペクトルを図1に示す。これは回折角(2θ)12及
び19°をピークとするブロードなスペクトルを示すこ
とからも非晶質であることが明白であった。
A5 を原料として合成され、得られた粗生成物をカラム
クロマトグラフィーにより精製し、得られた溶出液を濃
縮し、濃縮液を水中に滴下し晶析した沈澱物を濾取し、
これを乾燥して製品としていた。このようにて晶析した
原末は非晶質で無水状態のRKM(以下RKM無水物と
略す)となるものであり、このRKM無水物のX線回折
スペクトルを図1に示す。これは回折角(2θ)12及
び19°をピークとするブロードなスペクトルを示すこ
とからも非晶質であることが明白であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】また、この非晶質のR
KM無水物は強い苦味を有しており、シロップ剤として
製剤化する際、高分子フィルムなどをコーティング剤と
するスプレードライ法によりRKMを前処理することに
より苦味の改善を計っていた。更に、RKM無水物の物
理化学的性質に関する研究から、RKM無水物自体は、
脂溶性が高く水に濡れにくい事から、錠剤にする際、安
全性の高い通常経口製剤に用いられるショ糖脂肪酸エス
テル(以下DKエステルと略す)を原末に対して4%使
用し、表面処理を施すことより、胃液中での分散性を良
好にし、溶解を速やかにする製剤化を計っていた(特公
平2−59129号公報、薬剤学,48,147(19
88))。このように、RKM無水物はそれ自体強い苦
味及び水に濡れ難いという性状を有していた。また、R
KM原末製造において、上記のカラムクロマトグラフィ
ー工程だけによる精製法ではさらなる品質向上は困難で
あった。
KM無水物は強い苦味を有しており、シロップ剤として
製剤化する際、高分子フィルムなどをコーティング剤と
するスプレードライ法によりRKMを前処理することに
より苦味の改善を計っていた。更に、RKM無水物の物
理化学的性質に関する研究から、RKM無水物自体は、
脂溶性が高く水に濡れにくい事から、錠剤にする際、安
全性の高い通常経口製剤に用いられるショ糖脂肪酸エス
テル(以下DKエステルと略す)を原末に対して4%使
用し、表面処理を施すことより、胃液中での分散性を良
好にし、溶解を速やかにする製剤化を計っていた(特公
平2−59129号公報、薬剤学,48,147(19
88))。このように、RKM無水物はそれ自体強い苦
味及び水に濡れ難いという性状を有していた。また、R
KM原末製造において、上記のカラムクロマトグラフィ
ー工程だけによる精製法ではさらなる品質向上は困難で
あった。
【0009】そこで、RKMの品質向上を目的に、その
精製法を検討したところ、RKM無水物はメタノールを
用いて結晶化を行うと、新規なメタノール含有RKM結
晶を得ることが出来た。このメタノール含有RKM結晶
のX線回折スペクトルを図2に示す。これは7.8、
8.3、10.3、10.7、12.1、12.6、1
4.2、15.8、16.6、18.2、20.3、2
1.7、22.1、23.2、24.0及び25.5°
の回折角(2θ)にシャープな回折スペクトルを示すこ
とから結晶性であることが明白であった。しかしなが
ら、このものも同様に苦味を有するものであった。
精製法を検討したところ、RKM無水物はメタノールを
用いて結晶化を行うと、新規なメタノール含有RKM結
晶を得ることが出来た。このメタノール含有RKM結晶
のX線回折スペクトルを図2に示す。これは7.8、
8.3、10.3、10.7、12.1、12.6、1
4.2、15.8、16.6、18.2、20.3、2
1.7、22.1、23.2、24.0及び25.5°
の回折角(2θ)にシャープな回折スペクトルを示すこ
とから結晶性であることが明白であった。しかしなが
ら、このものも同様に苦味を有するものであった。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者は、上
記の問題点を解決すべく鋭意研究の結果、従前ではマク
ロライド系抗生物質については全く一水和物の報告はな
いところ、RKM無水物またはメタノール含有RKM結
晶を酢酸、プロピオン酸、酒石酸、クエン酸などの有機
酸、またはリン酸、塩酸、硫酸などの無機酸の水溶液に
溶解して結晶化せしめることにより、簡便かつ高収率で
全く新規なRKM・一水和物結晶が得られることを見い
出した。しかも全く意外なことに、このRKM・一水和
物はRKM原末の苦味がほとんど感じられない結晶体と
して得られ、更に、高純度かつ熱安定性が高く、水濡れ
が改善された良好な性質を有することを見い出し、本発
明を完成するに至った。
記の問題点を解決すべく鋭意研究の結果、従前ではマク
ロライド系抗生物質については全く一水和物の報告はな
いところ、RKM無水物またはメタノール含有RKM結
晶を酢酸、プロピオン酸、酒石酸、クエン酸などの有機
酸、またはリン酸、塩酸、硫酸などの無機酸の水溶液に
溶解して結晶化せしめることにより、簡便かつ高収率で
全く新規なRKM・一水和物結晶が得られることを見い
出した。しかも全く意外なことに、このRKM・一水和
物はRKM原末の苦味がほとんど感じられない結晶体と
して得られ、更に、高純度かつ熱安定性が高く、水濡れ
が改善された良好な性質を有することを見い出し、本発
明を完成するに至った。
【0011】本発明は、上記の知見に基づいて完成され
たもので、式(1)
たもので、式(1)
【0012】
【化5】
【0013】で表されるRKM・一水和物結晶であり、
RKMを酸性水溶液中で結晶化することを特徴とする式
(1)で表されるRKM・一水和物結晶の製造法であ
る。本発明で使用される原料としてのRKMとは、前記
した合成手順によって得られた粗製ないし適宜に精製さ
れたRKMを含有するものであれば何ら限定されるもの
ではなく、例えばRKM無水物またはメタノール含有結
晶が簡便に利用でき、特にRKMメタノール含有結晶を
用いる方が高純度のRKM・一水和物結晶を得ることが
出来る。
RKMを酸性水溶液中で結晶化することを特徴とする式
(1)で表されるRKM・一水和物結晶の製造法であ
る。本発明で使用される原料としてのRKMとは、前記
した合成手順によって得られた粗製ないし適宜に精製さ
れたRKMを含有するものであれば何ら限定されるもの
ではなく、例えばRKM無水物またはメタノール含有結
晶が簡便に利用でき、特にRKMメタノール含有結晶を
用いる方が高純度のRKM・一水和物結晶を得ることが
出来る。
【0014】本発明のRKM・一水和物結晶を得るため
には、先ず、酸性水溶液、例えば、酢酸、プロピオン
酸、酒石酸、クエン酸などの有機酸、またはリン酸、塩
酸、硫酸などの無機酸、もしくはこれらの混合酸をpH
1〜4の水溶液に調製する。好ましくは酢酸、プロピオ
ン酸などの有機酸、またはリン酸の無機酸である。次い
でこのようにして調製した酸性水溶液を0℃〜10℃に
冷却撹拌下、前記のRKM無水物及び/またはメタノー
ル含有RKM結晶を20〜300mg/mlの濃度で溶
解する。完全に溶解後、結晶化せしめるために、水酸化
ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水
酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸
アンモニウム、アンモニウム水等を5〜20%濃度に希
釈したアルカリ水で、例えばpH4〜5.5付近、好ま
しくは4.4〜5.0付近に調整し、溶解液を20〜3
0℃の室温まで徐々に昇温し、約2〜72時間静置して
結晶を形成せしめ、この成長した結晶を濾取し、水洗
後、減圧乾燥することにより目的のRKM・一水和物結
晶を得ることが出来る。
には、先ず、酸性水溶液、例えば、酢酸、プロピオン
酸、酒石酸、クエン酸などの有機酸、またはリン酸、塩
酸、硫酸などの無機酸、もしくはこれらの混合酸をpH
1〜4の水溶液に調製する。好ましくは酢酸、プロピオ
ン酸などの有機酸、またはリン酸の無機酸である。次い
でこのようにして調製した酸性水溶液を0℃〜10℃に
冷却撹拌下、前記のRKM無水物及び/またはメタノー
ル含有RKM結晶を20〜300mg/mlの濃度で溶
解する。完全に溶解後、結晶化せしめるために、水酸化
ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水
酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸
アンモニウム、アンモニウム水等を5〜20%濃度に希
釈したアルカリ水で、例えばpH4〜5.5付近、好ま
しくは4.4〜5.0付近に調整し、溶解液を20〜3
0℃の室温まで徐々に昇温し、約2〜72時間静置して
結晶を形成せしめ、この成長した結晶を濾取し、水洗
後、減圧乾燥することにより目的のRKM・一水和物結
晶を得ることが出来る。
【0015】このようにして得られた本発明のRKM・
一水和物結晶(以下RKM水和物と略す)のX線回折ス
ペクトルを図3に示す。これは5.2、6.8、8.
3、10.3、11.2、12.3、13.3、13.
8、14.7、15.1、15.8、16.4、17.
1、18.1、19.1、19.5、20.4、21.
5、22.0、22.7、23.8、24.8、25.
1、26.6及び28.6°の回折角(2θ)にシャー
プな回折スペクトルを示すことから結晶性であることが
明白である。本発明のRKM水和物は前記のRKM無水
物及びメタノール含有結晶とは回折スペクトルの2θ値
が明らかに異なる。更に、本発明のRKM水和物は元素
分析、水分測定(カールフィシャー法)及び熱重量分析
等の機器分析結果からRKMの1分子当たり水分子が1
個水和していることが同定され、新規結晶体であること
が判明した。
一水和物結晶(以下RKM水和物と略す)のX線回折ス
ペクトルを図3に示す。これは5.2、6.8、8.
3、10.3、11.2、12.3、13.3、13.
8、14.7、15.1、15.8、16.4、17.
1、18.1、19.1、19.5、20.4、21.
5、22.0、22.7、23.8、24.8、25.
1、26.6及び28.6°の回折角(2θ)にシャー
プな回折スペクトルを示すことから結晶性であることが
明白である。本発明のRKM水和物は前記のRKM無水
物及びメタノール含有結晶とは回折スペクトルの2θ値
が明らかに異なる。更に、本発明のRKM水和物は元素
分析、水分測定(カールフィシャー法)及び熱重量分析
等の機器分析結果からRKMの1分子当たり水分子が1
個水和していることが同定され、新規結晶体であること
が判明した。
【0016】本発明の新規なRKM水和物の抗菌活性
は、従来のRKM無水物の抗菌活性と同一であった。更
に、本発明のRKM水和物はマウス(一群5匹)に対す
る腹腔内投与による急性毒性は2000mg/kgにお
いて死亡例は全く見られなかった。このようにして得ら
れた新規なRKM水和物は、苦味がほとんど感じられな
く、水濡れも良好であって、経口投与用製剤、特にドラ
イ・シロップ剤や錠剤において優位に使用できるもので
あった。さらに、製剤学上の利点として、本発明のRK
M水和物を用いたトローチ剤、顆粒剤、眼軟膏剤、軟膏
剤など従来困難とされていた新剤型の製剤の開発が可能
となり、製剤学的見地において、非常に優れた特異性を
有するものである。
は、従来のRKM無水物の抗菌活性と同一であった。更
に、本発明のRKM水和物はマウス(一群5匹)に対す
る腹腔内投与による急性毒性は2000mg/kgにお
いて死亡例は全く見られなかった。このようにして得ら
れた新規なRKM水和物は、苦味がほとんど感じられな
く、水濡れも良好であって、経口投与用製剤、特にドラ
イ・シロップ剤や錠剤において優位に使用できるもので
あった。さらに、製剤学上の利点として、本発明のRK
M水和物を用いたトローチ剤、顆粒剤、眼軟膏剤、軟膏
剤など従来困難とされていた新剤型の製剤の開発が可能
となり、製剤学的見地において、非常に優れた特異性を
有するものである。
【0017】さらに製剤において、RKM水和物は、1
日1〜3回100〜600mgを投与するに用いればよ
い。これら以外に、RKM水和物は従来品のRKM無水
物と比べ、比容積が約30%小さく、結晶であることか
ら硬度が高く、錠剤のサイズダウン及び高硬度化が可能
である他、粉砕時における静電気の帯電が少ないなど
の、特異性を有するものである。従って、本発明のRK
M水和物は製剤化において、上記の優れた性質を有する
結晶であり、常法における製剤の処方にて適宜な製剤と
なし得る。
日1〜3回100〜600mgを投与するに用いればよ
い。これら以外に、RKM水和物は従来品のRKM無水
物と比べ、比容積が約30%小さく、結晶であることか
ら硬度が高く、錠剤のサイズダウン及び高硬度化が可能
である他、粉砕時における静電気の帯電が少ないなど
の、特異性を有するものである。従って、本発明のRK
M水和物は製剤化において、上記の優れた性質を有する
結晶であり、常法における製剤の処方にて適宜な製剤と
なし得る。
【0018】
【実施例】次いで、以下に参考例及び実施例を挙げて本
発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら
限定されるものではない。
発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら
限定されるものではない。
【0019】
【参考例1】 RKM合成法 RKMの合成法は特許(特公昭59−46520号公
報、特公昭63−5037号公報)または文献(J.A
ntibiotics,34,1001(1981))
に基づいたものであり、即ち、ロイコマイシンA5 を出
発原料として、次の工程に従って合成し、RKM無水物
として単離精製した。 (1) 2’位水酸基の保護反応 培養液から単離されたロイコマイシンA5 原末50gを
無水1,2−ジクロルエタン250mlに溶解し、室温
撹拌下、無水酢酸21mlを滴下し、0.5時間反応さ
せた。次に、氷冷水1Lを加え、7%アンモニア水でp
H10に調整後、約1時間撹拌し、1,2−ジクロルエ
タン相を分液した。次いで得られた1,2−ジクロルエ
タン相を無水硫酸マグネシウム10gで乾燥後、減圧下
濃縮乾固し2’−O−アセチルロイコマイシンA5 50
gを得た。 (2) 3、9位水酸基の保護反応 上記2’−O−アセチルロイコマイシンA5 50gを無
水1,2−ジクロルエタン250mlに溶解させ、次い
でトリベンジルアミン50gを加えた。撹拌冷却下トリ
メチルクロルシラン33mlを滴下し、15時間反応さ
せた。次に、別の容器に予め準備した水1L中に反応液
を滴下し、7%アンモニア水でpH9.5に調整後、
1,2−ジクロルエタン相を分液した。次いで得られた
1,2−ジクロルエタン相を無水硫酸マグネシウム10
gで乾燥後、減圧下濃縮乾固し、2’−O−アセチル−
3,9−ジ−O−トリメチルシリルロイコマイシンA5
63gを得た。 (3) 3”位三級水酸基のプロピオニル化反応 上記、2’−O−アセチル3,9−ジ−O−トリメチル
シリルロイコマイシンA5 63gを無水1,2−ジクロ
ルエタン250mlに溶解させ、次いでトリベンジルア
ミン150gを加えて後、氷冷下、プロピオニルクロラ
イド50mlを滴下し、次いで75℃にて約20時間還
流した。反応終了後室温になるまで冷却してから、別の
容器に予め準備した1,2−ジクロルエタン250m
l、水1Lの混合液中に滴下し、7%アンモニア水でp
H9.5に調整後、1,2−ジクロルエタン相を分液し
た。次いで得られた1,2−ジクロルエタン相を無水硫
酸マグネシウム10gで乾燥後、減圧下濃縮乾固し、
2’−O−アセチル−17,18−エノ−ル−18,
3”−ジ−O−プロピオニル−3,9−ジ−O−トリメ
チルシリルロイコマイシンA5 及び2’−O−アセチル
−3”−O−プロピオニル−3,9−ジ−O−トリメチ
ルシリルロイコマイシンA5 の混合物68gを得た。 (4) 保護基の脱離反応 上記混合物68gをメタノール2.5Lと8%炭酸カル
シウム275mlの混合溶媒に溶解させ、室温で1時間
反応させた。この反応液を酢酸でpH7.5に調整し、
次いで、63℃で20時間加熱還流した後、5℃以下に
冷却し、反応液中に生じたトリベンジルアミンの結晶を
濾別した。このトリベンジルアミンの結晶は5℃以下に
冷却した90%メタノール220mlで洗浄し、濾液と
洗浄液を合併し、減圧下でメタノールを完全に留去し
た。次いで残留物をベンゼン300mlに溶解させ、分
配し、残りの水相を分離除去した。ベンゼン相は水30
0mlで洗浄後減圧下で約100mlまで濃縮した。 (5) 単離精製 ベンゼンにて充填したシリカゲル系カラム(30mmφ
X600mmL)に上記ベンゼン濃縮液約100mlを
吸着させ、次いでベンゼン:酢酸エチル:メタノール
(36:4:1、v/v)にて展開した。溶出液は経時
的にサンプリングし、高速液体クロマトグラフィー(以
下HPLCと略す)にて分析し、RKM含量が90%以
上の分画約650mlを集め、減圧下濃縮乾固した。こ
の濃縮残差をエタノール60mlに溶解させ、このエタ
ノール溶解液を水800ml中に滴下するとRKMが白
色沈澱として析出した。この沈澱を濾取し、水洗後、減
圧乾燥することによりRKM35gを得た。
報、特公昭63−5037号公報)または文献(J.A
ntibiotics,34,1001(1981))
に基づいたものであり、即ち、ロイコマイシンA5 を出
発原料として、次の工程に従って合成し、RKM無水物
として単離精製した。 (1) 2’位水酸基の保護反応 培養液から単離されたロイコマイシンA5 原末50gを
無水1,2−ジクロルエタン250mlに溶解し、室温
撹拌下、無水酢酸21mlを滴下し、0.5時間反応さ
せた。次に、氷冷水1Lを加え、7%アンモニア水でp
H10に調整後、約1時間撹拌し、1,2−ジクロルエ
タン相を分液した。次いで得られた1,2−ジクロルエ
タン相を無水硫酸マグネシウム10gで乾燥後、減圧下
濃縮乾固し2’−O−アセチルロイコマイシンA5 50
gを得た。 (2) 3、9位水酸基の保護反応 上記2’−O−アセチルロイコマイシンA5 50gを無
水1,2−ジクロルエタン250mlに溶解させ、次い
でトリベンジルアミン50gを加えた。撹拌冷却下トリ
メチルクロルシラン33mlを滴下し、15時間反応さ
せた。次に、別の容器に予め準備した水1L中に反応液
を滴下し、7%アンモニア水でpH9.5に調整後、
1,2−ジクロルエタン相を分液した。次いで得られた
1,2−ジクロルエタン相を無水硫酸マグネシウム10
gで乾燥後、減圧下濃縮乾固し、2’−O−アセチル−
3,9−ジ−O−トリメチルシリルロイコマイシンA5
63gを得た。 (3) 3”位三級水酸基のプロピオニル化反応 上記、2’−O−アセチル3,9−ジ−O−トリメチル
シリルロイコマイシンA5 63gを無水1,2−ジクロ
ルエタン250mlに溶解させ、次いでトリベンジルア
ミン150gを加えて後、氷冷下、プロピオニルクロラ
イド50mlを滴下し、次いで75℃にて約20時間還
流した。反応終了後室温になるまで冷却してから、別の
容器に予め準備した1,2−ジクロルエタン250m
l、水1Lの混合液中に滴下し、7%アンモニア水でp
H9.5に調整後、1,2−ジクロルエタン相を分液し
た。次いで得られた1,2−ジクロルエタン相を無水硫
酸マグネシウム10gで乾燥後、減圧下濃縮乾固し、
2’−O−アセチル−17,18−エノ−ル−18,
3”−ジ−O−プロピオニル−3,9−ジ−O−トリメ
チルシリルロイコマイシンA5 及び2’−O−アセチル
−3”−O−プロピオニル−3,9−ジ−O−トリメチ
ルシリルロイコマイシンA5 の混合物68gを得た。 (4) 保護基の脱離反応 上記混合物68gをメタノール2.5Lと8%炭酸カル
シウム275mlの混合溶媒に溶解させ、室温で1時間
反応させた。この反応液を酢酸でpH7.5に調整し、
次いで、63℃で20時間加熱還流した後、5℃以下に
冷却し、反応液中に生じたトリベンジルアミンの結晶を
濾別した。このトリベンジルアミンの結晶は5℃以下に
冷却した90%メタノール220mlで洗浄し、濾液と
洗浄液を合併し、減圧下でメタノールを完全に留去し
た。次いで残留物をベンゼン300mlに溶解させ、分
配し、残りの水相を分離除去した。ベンゼン相は水30
0mlで洗浄後減圧下で約100mlまで濃縮した。 (5) 単離精製 ベンゼンにて充填したシリカゲル系カラム(30mmφ
X600mmL)に上記ベンゼン濃縮液約100mlを
吸着させ、次いでベンゼン:酢酸エチル:メタノール
(36:4:1、v/v)にて展開した。溶出液は経時
的にサンプリングし、高速液体クロマトグラフィー(以
下HPLCと略す)にて分析し、RKM含量が90%以
上の分画約650mlを集め、減圧下濃縮乾固した。こ
の濃縮残差をエタノール60mlに溶解させ、このエタ
ノール溶解液を水800ml中に滴下するとRKMが白
色沈澱として析出した。この沈澱を濾取し、水洗後、減
圧乾燥することによりRKM35gを得た。
【0020】このようにして得られたRKMの物理化学
的性質は特許(特公昭59−46520号公報)及び文
献(J.Antibiotics,34,1001(1
981))において公知の結果と一致した。また、X線
回折スペクトルは図1に示したものと同一のX線回折パ
ターンを示すことからも非晶質であることが明白であ
り、さらに、元素分析、水分測定(カールフィシャー
法)及び熱重量分析の結果からこのRKMは無水物であ
ることが同定された。
的性質は特許(特公昭59−46520号公報)及び文
献(J.Antibiotics,34,1001(1
981))において公知の結果と一致した。また、X線
回折スペクトルは図1に示したものと同一のX線回折パ
ターンを示すことからも非晶質であることが明白であ
り、さらに、元素分析、水分測定(カールフィシャー
法)及び熱重量分析の結果からこのRKMは無水物であ
ることが同定された。
【0021】
【参考例2】 RKMのメタノール含有結晶の製造法 上記参考例1で得られたRKM無水物35gをメタノー
ル120mlで40℃撹拌下、溶解した(RKM濃度約
300mg/ml)。この溶解液は撹拌下、40℃で白
濁するまで蒸留水を加えた後、10℃以下に冷却し、更
に20時間撹拌して結晶を生じさせ、この結晶を濾取
後、水洗し、RKMのメタノール含有結晶(図2参照)
25g(湿潤重量)を得た。
ル120mlで40℃撹拌下、溶解した(RKM濃度約
300mg/ml)。この溶解液は撹拌下、40℃で白
濁するまで蒸留水を加えた後、10℃以下に冷却し、更
に20時間撹拌して結晶を生じさせ、この結晶を濾取
後、水洗し、RKMのメタノール含有結晶(図2参照)
25g(湿潤重量)を得た。
【0022】
【実施例1】 RKM水和物の製造法 参考例2で得られたRKMメタノール含有結晶25g
(湿潤重量)を、10℃に冷却した3%酢酸水100m
lに溶解した。その後10%水酸化ナトリウム水でpH
5に調整し、室温(約26℃)で24時間静置後、生じ
た結晶を濾取し、水洗後、減圧乾燥することによりRK
M水和物8gを得た。
(湿潤重量)を、10℃に冷却した3%酢酸水100m
lに溶解した。その後10%水酸化ナトリウム水でpH
5に調整し、室温(約26℃)で24時間静置後、生じ
た結晶を濾取し、水洗後、減圧乾燥することによりRK
M水和物8gを得た。
【0023】この結晶をX線回折法(理学電気社製X線
回折計)により分析したところ図3に示すパターンを示
した。これは、従来、工業生産されるRKM無水物(図
1参照)とは明らかに異なった。元素分析値(実験式;
C42H69NO15・H2 Oとして)を表1に示す。
回折計)により分析したところ図3に示すパターンを示
した。これは、従来、工業生産されるRKM無水物(図
1参照)とは明らかに異なった。元素分析値(実験式;
C42H69NO15・H2 Oとして)を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】水分(京都電子工業社製カールフィシャー
水分計);約2.1%(理論値;2.13%)。 融点;112℃付近。 熱重量分析(マックサイエンス社製熱分析計);融点付
近で約2%の重量変化した。
水分計);約2.1%(理論値;2.13%)。 融点;112℃付近。 熱重量分析(マックサイエンス社製熱分析計);融点付
近で約2%の重量変化した。
【0026】以上のこれらの機器分析値からも、また、
さらに乾燥しても減量がみられない点からして、この結
晶はRKM1分子に対し水1分子を含有していることが
同定された。また、質量分析(MASS)スペクトル、
1H−及び13C−核磁気共鳴(NMR)スペクトル、赤
外線吸収(IR)スペクトル、紫外線吸収(UV)スペ
クトル、旋光度([α]D ) 等の機器分析結果より得
られる物理化学的性質は特許(特公昭59−46520
号公報)及び文献(J.Antibiotics,3
4,1001(1981))において公知の結果と一致
した。
さらに乾燥しても減量がみられない点からして、この結
晶はRKM1分子に対し水1分子を含有していることが
同定された。また、質量分析(MASS)スペクトル、
1H−及び13C−核磁気共鳴(NMR)スペクトル、赤
外線吸収(IR)スペクトル、紫外線吸収(UV)スペ
クトル、旋光度([α]D ) 等の機器分析結果より得
られる物理化学的性質は特許(特公昭59−46520
号公報)及び文献(J.Antibiotics,3
4,1001(1981))において公知の結果と一致
した。
【0027】さらに、クロロホルム:メタノール:氷酢
酸:水(80:7:7:1)の展開溶媒を用いたRKM
水和物の薄層クロマトグラフィーの結果はRf値0.3
6(硫酸発色、紫外線吸収等)に単一のスポットを示
し、これはRKMのRf値と一致した。かつ、その生物
活性はS.aureus ATCC6538P、S.p
yogenes N.Y.5、M.luteus AT
CC9341などの検定菌に対し従来のRKM無水物と
同一の抗菌活性を示した。
酸:水(80:7:7:1)の展開溶媒を用いたRKM
水和物の薄層クロマトグラフィーの結果はRf値0.3
6(硫酸発色、紫外線吸収等)に単一のスポットを示
し、これはRKMのRf値と一致した。かつ、その生物
活性はS.aureus ATCC6538P、S.p
yogenes N.Y.5、M.luteus AT
CC9341などの検定菌に対し従来のRKM無水物と
同一の抗菌活性を示した。
【0028】
【実施例2】 RKM水和物の製造法 上記参考例2と同様にして得られたRKMメタノール含
有結晶500g(湿潤重量)を10℃に冷却した3%酢
酸水2Lに溶解した。その後10%水酸化ナトリウム水
でpH5に調整後、実施例1で得られたRKM水和物5
g添加し、室温(約26℃)で24時間静置後、生じた
結晶を濾取し、水洗後、減圧乾燥することによりRKM
水和物(図3に示す同一のX線回折パターンを示し、実
施例1の結晶と同一物であった)約250gを得た。
有結晶500g(湿潤重量)を10℃に冷却した3%酢
酸水2Lに溶解した。その後10%水酸化ナトリウム水
でpH5に調整後、実施例1で得られたRKM水和物5
g添加し、室温(約26℃)で24時間静置後、生じた
結晶を濾取し、水洗後、減圧乾燥することによりRKM
水和物(図3に示す同一のX線回折パターンを示し、実
施例1の結晶と同一物であった)約250gを得た。
【0029】
【実施例3】 RKM水和物の製造法 まず、水100mlにプロピオン6mlを溶解し、10
℃に冷却した酸性水に上記参考例2と同様にして得られ
たRKMメタノール含有結晶35g(湿潤重量)を溶解
後、10%水酸化ナトリウム水でpH5に調整し、次い
で実施例1で得られたRKM水和物結晶1g添加し、室
温(約26℃)で24時間静置後、生じた結晶を濾取
し、水洗後、減圧乾燥することによりRKM水和物(図
3に示す同一のX線回折パターンを示し、実施例1の結
晶と同一物であった)12gを得た。
℃に冷却した酸性水に上記参考例2と同様にして得られ
たRKMメタノール含有結晶35g(湿潤重量)を溶解
後、10%水酸化ナトリウム水でpH5に調整し、次い
で実施例1で得られたRKM水和物結晶1g添加し、室
温(約26℃)で24時間静置後、生じた結晶を濾取
し、水洗後、減圧乾燥することによりRKM水和物(図
3に示す同一のX線回折パターンを示し、実施例1の結
晶と同一物であった)12gを得た。
【0030】
【実施例4】 RKM水和物の製造法 上記参考例2と同様にして得られたRKMメタノール含
有結晶35g(湿潤重量)を10℃に冷却した3%リン
酸水100mlに溶解後、10%水酸化ナトリウム水で
pH5に調整し、次いで実施例1で得られたRKM水和
物結晶1g添加し、室温(約26℃)で 24時間静置
後、生じた結晶を濾取し、水洗後、減圧乾燥することに
よりRKM水和物(図3に示す同一のX線回折パターン
を示し、実施例1の結晶と同一物であった)10gを得
た。
有結晶35g(湿潤重量)を10℃に冷却した3%リン
酸水100mlに溶解後、10%水酸化ナトリウム水で
pH5に調整し、次いで実施例1で得られたRKM水和
物結晶1g添加し、室温(約26℃)で 24時間静置
後、生じた結晶を濾取し、水洗後、減圧乾燥することに
よりRKM水和物(図3に示す同一のX線回折パターン
を示し、実施例1の結晶と同一物であった)10gを得
た。
【0031】
【実施例5】 RKM水和物の製造法 上記参考例1で得られたRKM無水物35gを10℃に
冷却した3%酢酸水150mlに溶解した。その後10
%水酸化ナトリウム水でpH5に調整後、実施例1で得
られたRKM水和物1g添加し、室温(約26℃)で2
4時間静置後、生じた結晶を濾取し、水洗後、減圧乾燥
することによりRKM水和物(図3に示す同一のX線回
折パターンを示し、実施例1の結晶と同一物であった)
16gを得た。
冷却した3%酢酸水150mlに溶解した。その後10
%水酸化ナトリウム水でpH5に調整後、実施例1で得
られたRKM水和物1g添加し、室温(約26℃)で2
4時間静置後、生じた結晶を濾取し、水洗後、減圧乾燥
することによりRKM水和物(図3に示す同一のX線回
折パターンを示し、実施例1の結晶と同一物であった)
16gを得た。
【0032】
【実験例】次ぎに、本発明のRKM水和物と従来の工業
的生産による非晶質のRKM無水物との対比実験につい
て述べる。
的生産による非晶質のRKM無水物との対比実験につい
て述べる。
【0033】
【実験例1】 安定性試験 実施例1と同様にして得られたRKM水和物及びRKM
無水物を各々80℃、4週間の苛酷条件下に保存し、経
日的にサンプリングし、水分測定(カールフィシャー
法)及びHPLC分析により、RKMの絶対含量を求め
た。HPLC測定用サンプルはRKM各原末を約5mg
秤量後、5mlのアセトニトリル:0.1%酢酸水
(1:1)溶液に溶解し、調整した。その結果を図4
(図中、―○―がRKM水和物、―□―がRKM無水
物)に示す。RKM水和物は無水物に比べ熱安定性が良
好なものであった。
無水物を各々80℃、4週間の苛酷条件下に保存し、経
日的にサンプリングし、水分測定(カールフィシャー
法)及びHPLC分析により、RKMの絶対含量を求め
た。HPLC測定用サンプルはRKM各原末を約5mg
秤量後、5mlのアセトニトリル:0.1%酢酸水
(1:1)溶液に溶解し、調整した。その結果を図4
(図中、―○―がRKM水和物、―□―がRKM無水
物)に示す。RKM水和物は無水物に比べ熱安定性が良
好なものであった。
【0034】分析条件; カ ラ ム:ステンレス、4mmφX150mm、Unis
il Q, C18, 5μm 移 動 相:0.2M酢酸アンモニウム溶液:メタノー
ル:アセトニトリル=(31.5:62.0:6.5) 検 出 器:分光光度計(測定波長:232nm) カラム温度:40℃ 流 量:0.8ml/min.
il Q, C18, 5μm 移 動 相:0.2M酢酸アンモニウム溶液:メタノー
ル:アセトニトリル=(31.5:62.0:6.5) 検 出 器:分光光度計(測定波長:232nm) カラム温度:40℃ 流 量:0.8ml/min.
【0035】
【実験例2】 官能試験 RKM水和物及び無水物について、つぎの処方条件によ
りシロップ剤を作成した。これらのシロップ剤につい
て、選ばれた10人(成人)のパネラーにより官能試験
を実施した。その結果を表2に示す(表中、A:苦味を
感じない、B:どちらとも言えない、C:苦い)。
りシロップ剤を作成した。これらのシロップ剤につい
て、選ばれた10人(成人)のパネラーにより官能試験
を実施した。その結果を表2に示す(表中、A:苦味を
感じない、B:どちらとも言えない、C:苦い)。
【0036】処方1:RKM水和物2g、グリシン0.
8g、白糖12gを乳鉢で混合し、蒸留水80mlに懸
濁した。 処方2:RKM無水物2g、グリシン0.8g、白糖1
2gを乳鉢で混合し、蒸留水80mlに懸濁した。 処方3:RKM無水物400mg、グリシン0.8g、
白糖12gを乳鉢で混合し、蒸留水80mlに懸濁し
た。
8g、白糖12gを乳鉢で混合し、蒸留水80mlに懸
濁した。 処方2:RKM無水物2g、グリシン0.8g、白糖1
2gを乳鉢で混合し、蒸留水80mlに懸濁した。 処方3:RKM無水物400mg、グリシン0.8g、
白糖12gを乳鉢で混合し、蒸留水80mlに懸濁し
た。
【0037】処方4:RKM無水物20mg、グリシン
0.8g、白糖12gを乳鉢で混合し、蒸留水80ml
に懸濁した。
0.8g、白糖12gを乳鉢で混合し、蒸留水80ml
に懸濁した。
【0038】
【表2】
【0039】RKM水和物の場合、ほとんど苦味が感じ
られなかったが、一方、RKM無水物を高分子フィルム
などと共にスプレードライ法によりマイクロカプセル化
し苦味の隠ぺいを行わず、そのまま用いた場合、RKM
無水物はRKM水和物の1/100量においても苦味が
感じられたもので、RKM水和物を用いた処方では極め
て苦味が改善されたものであった。
られなかったが、一方、RKM無水物を高分子フィルム
などと共にスプレードライ法によりマイクロカプセル化
し苦味の隠ぺいを行わず、そのまま用いた場合、RKM
無水物はRKM水和物の1/100量においても苦味が
感じられたもので、RKM水和物を用いた処方では極め
て苦味が改善されたものであった。
【0040】
【実験例3】 溶出(水濡れ)試験 RKM水和物及び無水物を錠剤の基本組成による処方組
成に従い乳鉢で混合した粉末を用い溶出試験を行った。
RKM水和物の処方について下記に処方5とし、RKM
無水物の処方について下記に処方6として示したもの
で、これらを以下の試験に用いた。溶出試験の条件は、
無酸胃液モデル160ml(生理食塩水40ml+蒸留
水120ml)を200mlビーカー内いで37℃に保
ち、スターラー撹拌(約200r.p.m.)下、薬剤の1回
臨床用量相当(RKM200mg含有)を添加し経時的
に溶出液を採取し、濾過後薬物濃度をHPLCにて上記
と同一の条件にて測定した。対照として、RKM無水物
をDKエステルで表面処理した粉末(処方7)を用いた
溶出試験を行った。
成に従い乳鉢で混合した粉末を用い溶出試験を行った。
RKM水和物の処方について下記に処方5とし、RKM
無水物の処方について下記に処方6として示したもの
で、これらを以下の試験に用いた。溶出試験の条件は、
無酸胃液モデル160ml(生理食塩水40ml+蒸留
水120ml)を200mlビーカー内いで37℃に保
ち、スターラー撹拌(約200r.p.m.)下、薬剤の1回
臨床用量相当(RKM200mg含有)を添加し経時的
に溶出液を採取し、濾過後薬物濃度をHPLCにて上記
と同一の条件にて測定した。対照として、RKM無水物
をDKエステルで表面処理した粉末(処方7)を用いた
溶出試験を行った。
【0041】その結果を図5(処方5の場合)、図6
(処方6の場合)、図7(処方7の場合)に示す。製剤
の生物学的利用能(以下B.A.と略す)を推定する上
で、溶出試験が一般に行われており、この溶出試験法は
文献において公知の方法(特公平2−59129号公
報、薬剤学.48,No.2,147,1988)を用
いた。
(処方6の場合)、図7(処方7の場合)に示す。製剤
の生物学的利用能(以下B.A.と略す)を推定する上
で、溶出試験が一般に行われており、この溶出試験法は
文献において公知の方法(特公平2−59129号公
報、薬剤学.48,No.2,147,1988)を用
いた。
【0042】 処方5:RKM水和物 200mg グリシン 340mg クエン酸 70mg 処方6:RKM無水物 200mg グリシン 340mg クエン酸 70mg 処方7:DKエステル表面処理RKM無水物(RKM無水物10部を乳鉢に取 り、ショ糖脂肪酸エステルF−160の0.4重量部を水10重量部に懸濁した 懸濁液で、混合しながら充分に湿潤せしめた後、減圧乾燥した。) 210mg グリシン 340mg クエン酸 70mg この図5、図6及び図7から明らかな通り、RKM水和
物は何ら前処理としてDKエステル表面処理をすること
なく対照として挙げた処方7の製剤と同様の優れた溶出
曲線を示した。しかしながら、RKM無水物の場合は水
に濡れ難いために溶出速度の遅れが観察された。この結
果から、RKM水和物は水濡れが非常に良く溶出試験液
中に速やかに分散する優れた性質を有する結晶であっ
た。
物は何ら前処理としてDKエステル表面処理をすること
なく対照として挙げた処方7の製剤と同様の優れた溶出
曲線を示した。しかしながら、RKM無水物の場合は水
に濡れ難いために溶出速度の遅れが観察された。この結
果から、RKM水和物は水濡れが非常に良く溶出試験液
中に速やかに分散する優れた性質を有する結晶であっ
た。
【0043】
【実験例4】 かさ密度(比容積)試験 目盛付試験管(10ml)に、それぞれRKM水和物及
び無水物の各原末2gを充填し、4〜5cm高さからタ
ッピングを行い、タッピング回数に対する容積を計量し
た。その結果を表3に示す。RKM水和物は無水物に比
べ約30%比容積が小さく、錠剤などのサイズダウンが
可能となり、飲用し易い製剤化を成しうるものであっ
た。
び無水物の各原末2gを充填し、4〜5cm高さからタ
ッピングを行い、タッピング回数に対する容積を計量し
た。その結果を表3に示す。RKM水和物は無水物に比
べ約30%比容積が小さく、錠剤などのサイズダウンが
可能となり、飲用し易い製剤化を成しうるものであっ
た。
【0044】
【表3】
【0045】
【発明の効果】以上の結果より、本発明は、RKMより
苦みの極めて改善された新規なRKM水和物を提供する
ものであり、これを使用すればRKMをシロップ剤とし
て製剤化する際、従来の高分子フィルムなどをコーティ
ング剤とするスプレードライ法によりRKMをマイクロ
カプセル化する必要が無く、原末を加工せずに、従来品
と同等或はそれ以上の品質のシロップ剤の製剤化が可能
であること、又、RKM水和物は水濡れが非常に優れて
いるため、錠剤として製剤化する際、従来のDKエステ
ルによる表面処理の必要はなく、溶出試験結果から、
B.A.においても従来品と同等の品質の錠剤の製剤化
を実施できる。以上、本発明により得られたRKM水和
物は製剤化においても、上記の極めて優れた性質を有す
る結晶である。
苦みの極めて改善された新規なRKM水和物を提供する
ものであり、これを使用すればRKMをシロップ剤とし
て製剤化する際、従来の高分子フィルムなどをコーティ
ング剤とするスプレードライ法によりRKMをマイクロ
カプセル化する必要が無く、原末を加工せずに、従来品
と同等或はそれ以上の品質のシロップ剤の製剤化が可能
であること、又、RKM水和物は水濡れが非常に優れて
いるため、錠剤として製剤化する際、従来のDKエステ
ルによる表面処理の必要はなく、溶出試験結果から、
B.A.においても従来品と同等の品質の錠剤の製剤化
を実施できる。以上、本発明により得られたRKM水和
物は製剤化においても、上記の極めて優れた性質を有す
る結晶である。
【0046】更に、前述の製造法により得られた本発明
のRKM水和物は高純度、高収率かつ熱安定性が高く、
工業的規模における、目的に合致した有効成分の単品も
しくは一定の成分比の製品を製造できる分離精製法をも
提供できるものである。
のRKM水和物は高純度、高収率かつ熱安定性が高く、
工業的規模における、目的に合致した有効成分の単品も
しくは一定の成分比の製品を製造できる分離精製法をも
提供できるものである。
【図1】RKM無水物のX線回折スペクトルを示す。
【図2】メタノール含有RKM結晶のX線回折スペクト
ルを示す。
ルを示す。
【図3】本発明により得た(実施例1)RKM水和物の
X線回折スペクトルを示す。
X線回折スペクトルを示す。
【図4】本発明により得た(実施例1)RKM水和物及
びRKM無水物の80℃における熱安定性曲線を示す。
びRKM無水物の80℃における熱安定性曲線を示す。
【図5】処方5における無酸胃液モデルでの溶出曲線を
示す。
示す。
【図6】処方6における無酸胃液モデルでの溶出曲線を
示す。
示す。
【図7】処方7における無酸胃液モデルでの溶出曲線を
示す。
示す。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年9月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】で表される化合物であって、キタサマイシ
ン生産菌ストレプトミセス・キタサトエンシス(Str
eptomyces kitasatoensis)に
属する一変異株が生産するロイコマイシンA5 を減量と
し3”位三級水酸基を選択的にプロピオニル化して得ら
れる、半合成マクロライド系抗生物質である。その合成
法及び物理化学的性質は特許(特公昭59−46520
号公報)及び文献(J.Antibiotics,3
4,1001(1981))において公知である。その
抗菌力は既存の16員環マクロライドのキタサマイシ
ン、ジョサマイシン、ミデカマイシン及びミオカマイシ
ンより強く、14員環のエリスロマイシンに匹敵する
(同文献)。さらに、RKMは既存のマクロライド系抗
生物質がまったく無効である耐性菌にも優れた抗菌作用
をしめす薬剤であり、また例えばグリシン、クエン酸を
配合した経口投与用製剤(米国特許第4716153号
明細書)やドライ・シロップ剤として安全性も高く、今
日、広く使用されているものである。これらの16員環
または14員環マクロライド系抗生物質は、強い苦味を
有している欠点が知られていた。また14員環マクロラ
イド系抗生物質であるエリスロマイシンやその誘導体の
一水和物及び二水和物結晶(Journal ofPh
armaceutical Science,67,
(8),pp1087(Aug.1978)、米国特許
第2864817号明細書、特開昭64−38096号
公報)が知られているが、このエリスロマイシンやその
誘導体の水和物結晶は、その溶解性を改善する目的で得
られたものである。しかしながらこれらの化合物は、経
口投与において、他のマクロライド系抗生物質と同様に
強い苦味を有していたものであり、何ら苦味の改善はな
されていないものであった。
ン生産菌ストレプトミセス・キタサトエンシス(Str
eptomyces kitasatoensis)に
属する一変異株が生産するロイコマイシンA5 を減量と
し3”位三級水酸基を選択的にプロピオニル化して得ら
れる、半合成マクロライド系抗生物質である。その合成
法及び物理化学的性質は特許(特公昭59−46520
号公報)及び文献(J.Antibiotics,3
4,1001(1981))において公知である。その
抗菌力は既存の16員環マクロライドのキタサマイシ
ン、ジョサマイシン、ミデカマイシン及びミオカマイシ
ンより強く、14員環のエリスロマイシンに匹敵する
(同文献)。さらに、RKMは既存のマクロライド系抗
生物質がまったく無効である耐性菌にも優れた抗菌作用
をしめす薬剤であり、また例えばグリシン、クエン酸を
配合した経口投与用製剤(米国特許第4716153号
明細書)やドライ・シロップ剤として安全性も高く、今
日、広く使用されているものである。これらの16員環
または14員環マクロライド系抗生物質は、強い苦味を
有している欠点が知られていた。また14員環マクロラ
イド系抗生物質であるエリスロマイシンやその誘導体の
一水和物及び二水和物結晶(Journal ofPh
armaceutical Science,67,
(8),pp1087(Aug.1978)、米国特許
第2864817号明細書、特開昭64−38096号
公報)が知られているが、このエリスロマイシンやその
誘導体の水和物結晶は、その溶解性を改善する目的で得
られたものである。しかしながらこれらの化合物は、経
口投与において、他のマクロライド系抗生物質と同様に
強い苦味を有していたものであり、何ら苦味の改善はな
されていないものであった。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者は、上
記の苦味の問題点を解決すべき鋭意研究の結果、従前で
は16員環マクロライド系抗生物質については全く一水
和物の報告はないところ、RKM無水物またはメタノー
ル含有RKM結晶を酢酸、プロピオン酸、酒石酸、クエ
ン酸などの有機酸、またはリン酸、塩酸、硫酸などの無
機酸の水溶液に溶解して結晶化せしめることにより、簡
便かつ高収率で全く新規なRKM・一水和物結晶が得ら
れることを見い出した。しかも全く意外なことに、この
RKM・一水和物はRKM原末の苦味がほとんど感じら
れない結晶体として得られ、更に、高純度かつ熱安定性
が高く、水濡れが改善された良好な性質を有することを
見い出し、本発明を完成するに至った。
記の苦味の問題点を解決すべき鋭意研究の結果、従前で
は16員環マクロライド系抗生物質については全く一水
和物の報告はないところ、RKM無水物またはメタノー
ル含有RKM結晶を酢酸、プロピオン酸、酒石酸、クエ
ン酸などの有機酸、またはリン酸、塩酸、硫酸などの無
機酸の水溶液に溶解して結晶化せしめることにより、簡
便かつ高収率で全く新規なRKM・一水和物結晶が得ら
れることを見い出した。しかも全く意外なことに、この
RKM・一水和物はRKM原末の苦味がほとんど感じら
れない結晶体として得られ、更に、高純度かつ熱安定性
が高く、水濡れが改善された良好な性質を有することを
見い出し、本発明を完成するに至った。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】本発明のRKM・一水和物結晶を得るため
には、先ず、酸性水溶液、例えば、酢酸、プロピオン
酸、酒石酸、クエン酸などの有機酸、またはリン酸、塩
酸、硫酸などの無機酸、もしくはこれらの混合酸をpH
1〜4の水溶液に調整する。好ましくは酢酸、プロピオ
ン酸などの有機酸、またはリン酸の無機酸である。次い
でこのようにして調整した酸性水溶液を0℃〜10℃に
冷却攪拌下、前記のRKM無水物及び/またはメタノー
ル含有RKM結晶を20〜300mg/mlの濃度で溶
解する。完全に溶解後、結晶化せしめるために、水酸化
ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水
酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸
アンモニウム、アンモニウム水等を5〜20%濃度に希
釈したアルカル水で、例えばpH4〜6.5付近、好ま
しくは4.4〜5.0付近に調整し、溶解液を20〜3
0℃の室温まで徐々に昇温し、約2〜72時間静置して
結晶を形成せしめ、この成長した結晶を濾取し、水洗
後、減圧乾燥することにより目的のRKM・一水和物結
晶を得ることが出来る。
には、先ず、酸性水溶液、例えば、酢酸、プロピオン
酸、酒石酸、クエン酸などの有機酸、またはリン酸、塩
酸、硫酸などの無機酸、もしくはこれらの混合酸をpH
1〜4の水溶液に調整する。好ましくは酢酸、プロピオ
ン酸などの有機酸、またはリン酸の無機酸である。次い
でこのようにして調整した酸性水溶液を0℃〜10℃に
冷却攪拌下、前記のRKM無水物及び/またはメタノー
ル含有RKM結晶を20〜300mg/mlの濃度で溶
解する。完全に溶解後、結晶化せしめるために、水酸化
ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水
酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸
アンモニウム、アンモニウム水等を5〜20%濃度に希
釈したアルカル水で、例えばpH4〜6.5付近、好ま
しくは4.4〜5.0付近に調整し、溶解液を20〜3
0℃の室温まで徐々に昇温し、約2〜72時間静置して
結晶を形成せしめ、この成長した結晶を濾取し、水洗
後、減圧乾燥することにより目的のRKM・一水和物結
晶を得ることが出来る。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】この結晶をX線回折法(理学電気社製X線
回折計)により分析したところ図3のパターンを示し
た。これは、従来、工業生産されるRKM無水物(図1
参照)とは明らかに異なった。元素分析値(実験式;C
42H69NO15・H2 Oとして)を表1に示す。
回折計)により分析したところ図3のパターンを示し
た。これは、従来、工業生産されるRKM無水物(図1
参照)とは明らかに異なった。元素分析値(実験式;C
42H69NO15・H2 Oとして)を表1に示す。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】水分(京都電子工業社製カールフィシャー
水分計);約2.1%(一水和物としての理論値;2.
13%)。 融点;112℃付近。 熱重量分析(マックサイエンス社製熱分析計);融点付
近で約2%の重量変化した。示差走査熱量測定(マックサイエンス社製熱分析計);
融点付近で約20cal/gの吸熱ピークが観察され
た。
水分計);約2.1%(一水和物としての理論値;2.
13%)。 融点;112℃付近。 熱重量分析(マックサイエンス社製熱分析計);融点付
近で約2%の重量変化した。示差走査熱量測定(マックサイエンス社製熱分析計);
融点付近で約20cal/gの吸熱ピークが観察され
た。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正内容】
【0039】RKM水和物の場合、ほとんど苦味が感じ
られなかったが、一方、RKM無水物を高分子フィルム
などと共にスプレードライ法によりマイクロカプセル化
し苦味の隠ぺいを行わず、そのまま用いた場合、RKM
無水物はRKM水和物の1/100量においても苦味が
感じられたもので、RKM水和物を用いた処方では極め
て苦味が改善されたものであった。参考例3 RKM水和物100g力価と日局精製白糖(三井製糖社
製、商品名:白ザラAA)543.9g、日局結晶セル
ロース(旭化成工業社製、商品名:アビセルRC−59
1)30gを混合し、、結合剤として日局ヒドロキシプ
ロピルセルロース(信越化学社製、商品名:HPC−
(L))10gを蒸留水200mlに溶解した液を用い
て、流動層造粒機(富士産業社製、SPRAY−GRA
NULATOR MODEL STREA−1)にて常
法により造粒した。得られた顆粒を整粒し、30〜83
メッシュの粒度である顆粒A550gを得た。またこの
83メッシュを通過したものは、上記の流動層造粒機に
より、同様にして顆粒となし、30〜83メッシュ区分
を回収して、先に得た顆粒Aと合わせて合計680gの
顆粒Bを得た。別に、日局アミノ酢酸(昭和電工社製、
商品名:グリシン「微粉」)40g、日局D−マンニト
ール(東和化成社製、商品名:マンニットP)263g
を混合し、結合剤として日局ヒドロキシプロピルセルロ
ース5gを蒸留水100mlに溶解した液を用いて、顆
粒Aと同様に造粒し、30〜83メッシュの粒度である
顆粒C300gを得た。この顆粒B343.5gと顆粒
C156.5gを混合し、RKM水和物を含有するドラ
イ・シロップ製剤500g(1g中RKM100mg力
価)を得た。このドライ・シロップ製剤は、通常3g
(RKMとして300mg力価)を1回として一日3回
小児に投与される。 参考例4 RKM水和物100g力価を用いて、以下上記参考例1
と同様にして、680gの顆粒Bを得た。別に、日局ア
ミノ酢酸40g、日局D−マンニトール260gを混合
し、結合剤として日局ヒドロキシプロピルセルロース5
gを蒸留水100mlに溶解した液に日局沈降炭酸カル
シウム(白石カルシウム社製、商品名:コロカルソW
B)3gを懸濁した液を用いて、顆粒Aと同様に造粒
し、30〜83メッシュの粒度である顆粒C300gを
得た。この顆粒B343.5gと顆粒C156.5gを
混合し、RKM水和物を含有するドライ・シロップ製剤
500g(1g中RKM100mg力価)を得た。
られなかったが、一方、RKM無水物を高分子フィルム
などと共にスプレードライ法によりマイクロカプセル化
し苦味の隠ぺいを行わず、そのまま用いた場合、RKM
無水物はRKM水和物の1/100量においても苦味が
感じられたもので、RKM水和物を用いた処方では極め
て苦味が改善されたものであった。参考例3 RKM水和物100g力価と日局精製白糖(三井製糖社
製、商品名:白ザラAA)543.9g、日局結晶セル
ロース(旭化成工業社製、商品名:アビセルRC−59
1)30gを混合し、、結合剤として日局ヒドロキシプ
ロピルセルロース(信越化学社製、商品名:HPC−
(L))10gを蒸留水200mlに溶解した液を用い
て、流動層造粒機(富士産業社製、SPRAY−GRA
NULATOR MODEL STREA−1)にて常
法により造粒した。得られた顆粒を整粒し、30〜83
メッシュの粒度である顆粒A550gを得た。またこの
83メッシュを通過したものは、上記の流動層造粒機に
より、同様にして顆粒となし、30〜83メッシュ区分
を回収して、先に得た顆粒Aと合わせて合計680gの
顆粒Bを得た。別に、日局アミノ酢酸(昭和電工社製、
商品名:グリシン「微粉」)40g、日局D−マンニト
ール(東和化成社製、商品名:マンニットP)263g
を混合し、結合剤として日局ヒドロキシプロピルセルロ
ース5gを蒸留水100mlに溶解した液を用いて、顆
粒Aと同様に造粒し、30〜83メッシュの粒度である
顆粒C300gを得た。この顆粒B343.5gと顆粒
C156.5gを混合し、RKM水和物を含有するドラ
イ・シロップ製剤500g(1g中RKM100mg力
価)を得た。このドライ・シロップ製剤は、通常3g
(RKMとして300mg力価)を1回として一日3回
小児に投与される。 参考例4 RKM水和物100g力価を用いて、以下上記参考例1
と同様にして、680gの顆粒Bを得た。別に、日局ア
ミノ酢酸40g、日局D−マンニトール260gを混合
し、結合剤として日局ヒドロキシプロピルセルロース5
gを蒸留水100mlに溶解した液に日局沈降炭酸カル
シウム(白石カルシウム社製、商品名:コロカルソW
B)3gを懸濁した液を用いて、顆粒Aと同様に造粒
し、30〜83メッシュの粒度である顆粒C300gを
得た。この顆粒B343.5gと顆粒C156.5gを
混合し、RKM水和物を含有するドライ・シロップ製剤
500g(1g中RKM100mg力価)を得た。
Claims (5)
- 【請求項1】 式(1) 【化1】 で表されるロキタマイシン・一水和物結晶。
- 【請求項2】 ロキタマイシンを酸性水溶液中で結晶化
することを特徴とする式(1) 【化2】 で表されるロキタマイシン・一水和物結晶の製造法 - 【請求項3】 酸性水溶液が、有機酸または無機酸のp
H1〜4の水溶液である請求項2記載の製造法。 - 【請求項4】 有機酸が、酢酸、プロピオン酸である請
求項3記載の製造法。 - 【請求項5】 無機酸がリン酸である請求項2記載の製
造法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4238083A JPH0687881A (ja) | 1992-09-07 | 1992-09-07 | ロキタマイシン・一水和物結晶、及びその製造法 |
PCT/JP1993/001189 WO1994005683A1 (en) | 1992-09-07 | 1993-08-25 | Rokitamycin monohydrate crystal and process for producing the same |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4238083A JPH0687881A (ja) | 1992-09-07 | 1992-09-07 | ロキタマイシン・一水和物結晶、及びその製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0687881A true JPH0687881A (ja) | 1994-03-29 |
Family
ID=17024912
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4238083A Withdrawn JPH0687881A (ja) | 1992-09-07 | 1992-09-07 | ロキタマイシン・一水和物結晶、及びその製造法 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0687881A (ja) |
WO (1) | WO1994005683A1 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003503508A (ja) * | 1999-07-02 | 2003-01-28 | アストラゼネカ アクチボラグ | メラガトランの実質的結晶形 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5811928B2 (ja) * | 1975-10-16 | 1983-03-05 | 山之内製薬株式会社 | ジヨサマイシンノヨウバイヒガンユウケツシヨウノ セイホウ |
JPS5946520B2 (ja) * | 1978-05-10 | 1984-11-13 | 東洋醸造株式会社 | 新規3″−アシル化マクロライド系抗生物質 |
-
1992
- 1992-09-07 JP JP4238083A patent/JPH0687881A/ja not_active Withdrawn
-
1993
- 1993-08-25 WO PCT/JP1993/001189 patent/WO1994005683A1/ja active Application Filing
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003503508A (ja) * | 1999-07-02 | 2003-01-28 | アストラゼネカ アクチボラグ | メラガトランの実質的結晶形 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO1994005683A1 (en) | 1994-03-17 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 19991130 |