JPH06311634A - 保護継電器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 トリップリレーをロックした状態でもタイマ
コイル及びタイマコイル接点によらずに故障通報に時限
をもたせることができる保護継電器を提供する。 【構成】 ロックスイッチ３ａがロック状態でも不足電
圧保護継電器用の動作時間整定スイッチ１ａからはロッ
クスイッチ３ａの状態と無関係に動作時間信号が出力さ
れる。電圧低下が検出されてから動作時間信号に基づく
動作時間後に故障信号出力回路２ａによって故障信号が
出力される。よって、故障通報リレー７ａが動作して故
障の通報が行われるので、故障の通報に時限をもたせる
ことができる。一方、ロックスイッチ３ａから出力され
たロック信号によってトリップリレー６がロックされて
遮断器がロックされる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は保護継電器に関し、特に
故障トリップ接点をロックするロックスイッチを備えた
保護継電器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から複数の保護継電器、例えば過電
流で動作する過電流保護継電器、過電圧で動作する過電
圧保護継電器、電圧低下で動作する不足電圧保護継電器
等の保護継電器を１つにまとめ、いずれかの保護継電器
が動作する故障が発生したときに共通の遮断器を動作さ
せて故障箇所を切り離す複合保護継電器がある。図５は
このような従来の保護継電器における故障トリップ接点
及び故障通報接点の制御部のブロック図、図６はこの保
護継電器中の不足電圧保護継電器の操作盤を示す図、図
７はこの不足電圧保護継電器の故障通報回路の回路図で
ある。

【０００３】図５において、２１ａ、２１ｂ、２１ｃは
それぞれ例えば不足電圧保護継電器、過電流保護継電
器、過電圧保護継電器が故障を検出してから図示しない
故障トリップ接点を動作させるまでの動作時間の設定に
使用される動作時間整定スイッチであり、その動作時間
を示す動作時間信号を出力し、「ＬＯＣＫ」の位置に設
定されたときはロック信号を後述する論理積回路へ出力
する。２２ａ、２２ｂ、２２ｃは後述する検出信号が入
力されるとそれぞれ動作時間整定スイッチ２１ａ、２１
ｂ、２１ｃから出力された動作時間信号に基づいてその
動作時間後に故障信号を出力する故障信号出力回路、２
４ａ、２４ｂ、２４ｃは論理積回路、２５は論理和回
路、２６は図示しない遮断器を動作させる故障トリップ
接点を制御するトリップリレー、２７ａ、２７ｂ、２７
ｃはそれぞれ不足電圧保護継電器、過電流保護継電器、
過電圧保護継電器が故障を検出したことを通報するため
の故障通報リレーである。

【０００４】また、ｋａ、ｋｂ、ｋｃは検出信号であ
り、それぞれ不足電圧保護継電器、過電流保護継電器、
過電圧保護継電器の図示しない検出回路から出力され、
それぞれの保護継電器が故障を検出したことを示す。図
６において、２９は不足電圧保護継電器の動作電圧を設
定する動作値整定スイッチであり、図７において、３０
は不足電圧保護継電器の故障通報リレー２７ａによって
制御される故障通報接点、３２は故障通報に時限をもた
せるためのタイマコイル、３３はタイマコイル３２によ
って制御されるタイマコイル接点、３１は故障を通報す
るブザーである。ここでは不足電圧保護継電器だけを図
示するが、過電流保護継電器、過電圧保護継電器にも図
６、７と同様の操作盤、故障通報回路がある。また、図
５の保護継電器では３つの保護継電器を１つにしている
が、３つ以上の保護継電器を複合することもある。

【０００５】次に、このような保護継電器の動作を説明
する。この保護継電器のオペレータは、不足電圧保護継
電器を設定操作する場合は図６のような操作盤上で例え
ば動作値整定スイッチ２９を８０（Ｖ）にし、動作時間
整定スイッチ２１ａを６（ＳＥＣ）にする。上記の設定
が行われて電力系統の電圧が８０Ｖ以下になると、不足
電圧保護継電器は故障と判断し、その６秒後に動作する
ようになっている。図５においてこの動作を説明する
と、まず不足電圧保護継電器の検出回路にて故障が検出
されると検出信号ｋａが出力される。

【０００６】次に、動作時間整定スイッチ２１ａからは
６秒という動作時間信号が出力されているので、故障信
号出力回路２２ａは、検出信号ｋａが入力されてから６
秒後に故障信号を出力する（ここでは、「Ｈ」レベ
ル）。また、動作時間整定スイッチ２１ａはロック信号
は出力しない（「Ｌ」レベル）。そして、故障信号出力
回路２２ａから出力された故障信号が「Ｈ」レベルで動
作時間整定スイッチ２１ａの出力が「Ｌ」レベルなの
で、論理積回路２４ａの出力は「Ｈ」レベルとなって論
理和回路２５の出力が「Ｈ」レベルとなる。よって、ト
リップリレー２６が動作して故障トリップ接点が閉じる
ことにより、遮断器が動作して故障箇所を切り離す。

【０００７】また、故障信号が出力されると故障通報リ
レー２７ａが動作し、図７の故障通報接点３０が閉じて
電流が流れ、タイマコイル３２が励磁される。そして、
その設定時限後にタイマコイル接点３３が閉じて電流が
流れることによりブザー３１が鳴って故障が通報され
る。このようにして故障箇所の切り離しと故障の通報が
行われるが、これは他の過電流保護継電器、過電圧保護
継電器でも同様である。

【０００８】また、過電流保護継電器のように短絡故障
を検出して遮断器を動作させる保護継電器と異なり、不
足電圧保護継電器は電圧低下を検出するので、遮断器を
動作させずに故障の通報のみを行いたい場合がある。こ
の場合は動作時間整定スイッチ２１ａを「ＬＯＣＫ」の
位置にする。動作時間整定スイッチ２１ａを「ＬＯＣ
Ｋ」の位置にしたときは、動作時間整定スイッチ２１ａ
からロック信号が出力され（「Ｈ」レベル）、動作時間
信号は出力されない。動作時間信号の入力がない故障信
号出力回路２２ａに検出信号ｋａが入力されると故障信
号出力回路２２ａは、動作時間整定スイッチ２１ａの最
小動作時間（この場合は０．５秒）後に故障信号を出力
するようになっている。

【０００９】よって、ロック信号が出力されていると論
理積回路２４ａの出力は常に「Ｌ」レベルであり、トリ
ップリレー２６が動作しないので、遮断器は動作せず、
故障の通報のみが故障信号が出力されてからタイマコイ
ル３２の時限後に行われるようになっている。なお、動
作時間整定スイッチ２１ａが「ＬＯＣＫ」の位置にある
ときは、電圧値の低下が検出されてから最小動作時間後
に故障信号が出力されるので、タイマコイル３２及びタ
イマコイル接点３３がなければ最小動作時間後にブザー
３１が鳴り、この保護継電器が制御する遮断器とは別の
遮断器により電圧値が復帰した場合でも故障通報を行っ
てしまう。そこで、タイマコイル３２及びタイマコイル
接点３３を設けることにより、故障通報に時間の余裕を
もたせて上記のような場合は故障通報を行わないように
している。

【００１０】また、上記のように動作時間整定スイッチ
２１ａが「ＬＯＣＫ」の位置にあるときは動作時間が固
定されるので、動作時間整定スイッチ２１ａの設定動作
時間通りに故障通報接点３０が動作するかどうかをチェ
ックしてこの保護継電器が正しく動作しているかどうか
をチェックする自己診断は、遮断器を動作させずに行う
ことができない。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】従来の保護継電器は以
上のように構成されているので、トリップリレーをロッ
クした状態で故障通報に時限をもたせる場合は、タイマ
コイル及びタイマコイル接点が必要となり故障通報回路
が複雑になるという問題点があった。また、トリップリ
レーをロックした状態では故障通報リレーの動作チェッ
クによる自己診断を行うことができないという問題点が
あった。本発明は、上記課題を解決するために、トリッ
プリレーをロックした状態でもタイマコイル及びタイマ
コイル接点によらずに故障通報に時限をもたせることが
できる保護継電器を提供することを目的とする。また、
トリップリレーをロックした状態でも故障通報リレーの
動作チェックによる自己診断を行うことができる保護継
電器を提供することを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明は、故障が検出さ
れてから動作するまでの動作時間の設定に使用され、そ
の動作時間を示す動作時間信号をロック信号とは無関係
に出力する動作時間整定スイッチと、故障が検出されて
から動作時間信号に基づく動作時間後に故障信号を出力
する故障信号出力回路と、トリップリレーのロックの設
定が行われたときはロック信号を出力するロックスイッ
チとを有するものである。

【００１３】また、ロックスイッチとトリップリレーの
間に設けられ、自己診断中であることを示す自己診断信
号が入力されるか又はロックスイッチからロック信号が
入力されたときはロック信号を出力する論理和回路を有
するものである。

【００１４】

【作用】本発明によれば、ロックスイッチがロック状態
に設定されても動作時間整定スイッチからはロックスイ
ッチの状態と無関係に動作時間信号が出力され、故障が
検出されてから動作時間信号に基づく動作時間後に故障
信号出力回路によって故障信号が出力され、故障通報リ
レーが動作して故障の通報が行われる。一方、ロックス
イッチから出力されたロック信号によってトリップリレ
ーがロックされて遮断器がロックされる。また、論理和
回路によって自己診断信号とロック信号の論理和演算が
行われることにより、自己診断中も上記同様の動作とな
る。

【００１５】

【実施例】図１は本発明の１実施例を示す保護継電器に
おける故障トリップ接点及び故障通報接点の制御部のブ
ロック図、図２はこの保護継電器中の不足電圧保護継電
器の操作盤を示す図、図３はこの不足電圧保護継電器の
故障通報回路の回路図である。

【００１６】図１において、１ａ、１ｂ、１ｃはそれぞ
れ不足電圧保護継電器、過電流保護継電器、過電圧保護
継電器の動作時間の設定に使用され、その動作時間信号
をロック信号とは無関係に出力する動作時間整定スイッ
チ、２ａ、２ｂ、２ｃはそれぞれ検出信号ｋａ、ｋｂ、
ｋｃが入力されると動作時間整定スイッチ１ａ、１ｂ、
１ｃから出力された動作時間信号に基づいてその動作時
間後に故障信号を出力する故障信号出力回路、３ａ、３
ｂ、３ｃは動作時間整定スイッチ１ａ、１ｂ、１ｃと独
立して操作盤上に設けられて故障トリップ接点のロック
を行うロックスイッチ、４ａ、４ｂ、４ｃは論理積回
路、５は論理和回路、６はトリップリレー、７ａ、７
ｂ、７ｃは故障通報リレーである。図２において９は動
作値整定スイッチであり、図３において１０は故障通報
接点、１１はブザーである。

【００１７】次に、このような保護継電器の動作を説明
する。図２に示す操作盤のロックスイッチ３ａを「ＵＮ
ＬＯＣＫ」に設定する場合は、ロックスイッチ３ａから
ロック信号は出力されない（「Ｌ」レベル）。そして、
故障信号出力回路２ａは、検出信号ｋａが入力されてか
ら動作時間整定スイッチ１ａの動作時間信号が示す動作
時間後に故障信号を出力する。よって、動作時間後にト
リップリレー６が動作して遮断器がトリップされると共
に、故障通報リレー７ａが動作して故障通報接点１０が
閉じてブザー１１が鳴ることにより、故障箇所の切り離
しと故障の通報が行われる。

【００１８】次に、操作盤のロックスイッチ３ａを「Ｌ
ＯＣＫ」に設定すると、ロックスイッチ３ａからロック
信号が出力されるので、図５の例と同様に論理積回路４
ａの出力は常に「Ｌ」レベルのままとなり遮断器は動作
しない。一方、ロックスイッチ３ａと独立した動作時間
整定スイッチ１ａは、図５の例と異なり設定された動作
時間を示す動作時間信号をロックスイッチ３ａの状態と
無関係に出力する。

【００１９】よって、故障信号出力回路２ａから検出信
号ｋａが入力されてから動作時間後に故障信号が出力さ
れることによりブザー１１が鳴って故障が通報される。
したがって、ロックスイッチ３ａが「ＬＯＣＫ」の位置
であっても故障通報の動作時間を動作時間整定スイッチ
１ａで設定することができ、故障通報回路を図３のよう
に簡単にすることができる。

【００２０】図４は本発明の他の実施例を示す保護継電
器における故障トリップ接点及び故障通報接点の制御部
のブロック図であり、図１と同様の部分には同一の符号
を付してある。ｓａ、ｓｂ、ｓｃはそれぞれ不足電圧保
護継電器、過電流保護継電器、過電圧保護継電器が自己
診断中であることを示す自己診断信号、８ａ、８ｂ、８
ｃはそれぞれロックスイッチ３ａ、３ｂ、３ｃの出力と
自己診断信号ｓａ、ｓｂ、ｓｃの論理和をとる論理和回
路である。

【００２１】このような保護継電器の動作は基本的に図
１の例と同様であるが、例えば不足電圧保護継電器の自
己診断のために図示しない外部から自己診断信号ｓａ
（ここでは「Ｈ」レベル）が論理和回路８ａに入力され
ると、ロックスイッチ３ａが「ＬＯＣＫ」の位置にされ
ることと同じになり故障トリップ接点がロックされる。
したがって、遮断器を動作させることなく故障通報接点
１０の動作チェックによる不足電圧保護継電器の自己診
断を行うことができる。

【００２２】また、図１、図４の例では不足電圧保護継
電器、過電流保護継電器、過電圧保護継電器の全てにロ
ックスイッチを設けたが、他の実施例としてロックスイ
ッチが不要な保護要素についてはロックスイッチを省く
こともできる。

【００２３】

【発明の効果】本発明によれば、動作時間整定スイッチ
と独立したロックスイッチを設けることにより、トリッ
プリレーをロックした状態であっても故障通報の動作時
間を動作時間整定スイッチで設定することができるの
で、タイマコイル及びタイマコイル接点によらずに故障
通報に時限をもたせることができ、故障通報回路を簡単
にすることができる。また、自己診断時もトリップリレ
ーをロックした状態で故障通報の動作時間を動作時間整
定スイッチで設定することができるので、故障通報リレ
ーの動作チェックによる自己診断を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の１実施例を示す保護継電器における故
障トリップ接点及び故障通報接点の制御部のブロック図
である。

【図２】図１の保護継電器中の不足電圧保護継電器の操
作盤を示す図である。

【図３】不足電圧保護継電器の故障通報回路の回路図で
ある。

【図４】本発明の他の実施例を示す保護継電器における
故障トリップ接点及び故障通報接点の制御部のブロック
図である。

【図５】従来の保護継電器における故障トリップ接点及
び故障通報接点の制御部のブロック図である。

【図６】図５の保護継電器中の不足電圧保護継電器の操
作盤を示す図である。

【図７】不足電圧保護継電器の故障通報回路の回路図で
ある。

【符号の説明】

１ａ、１ｂ、１ｃ 動作時間整定スイッチ ２ａ、２ｂ、２ｃ 故障信号出力回路 ３ａ、３ｂ、３ｃ ロックスイッチ ４ａ、４ｂ、４ｃ 論理積回路 ５ 論理和回路 ６ トリップリレー ７ａ、７ｂ、７ｃ 故障通報リレー ８ａ、８ｂ、８ｃ 論理和回路 ｋａ、ｋｂ、ｋｃ 検出信号 ｓａ、ｓｂ、ｓｃ 自己診断信号

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 故障箇所を切り離す遮断器を動作させる
   トリップリレーと故障の通報を行う故障通報リレーとを
   有し、故障信号の出力によってトリップリレー及び故障
   通報リレーを動作させ、故障信号及びロック信号の出力
   によってトリップリレーをロックして故障通報リレーの
   みを動作させる保護継電器において、故障が検出されて
   から動作するまでの動作時間の設定に使用され、その動
   作時間を示す動作時間信号をロック信号とは無関係に出
   力する動作時間整定スイッチと、 故障が検出されてから前記動作時間信号に基づく動作時
   間後に故障信号を出力する故障信号出力回路と、 トリップリレーのロックの設定が行われたときは前記ロ
   ック信号を出力するロックスイッチとを有することを特
   徴とする保護継電器。
2. 【請求項２】 請求項１記載の保護継電器において、 ロックスイッチとトリップリレーの間に設けられ、自己
   診断中であることを示す自己診断信号が入力されるか又
   は前記ロックスイッチからロック信号が入力されたとき
   は前記ロック信号を出力する論理和回路を有することを
   特徴とする保護継電器。