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JPH0625223A - 2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンの製造法 - Google Patents

2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンの製造法

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Publication number
JPH0625223A
JPH0625223A JP18503492A JP18503492A JPH0625223A JP H0625223 A JPH0625223 A JP H0625223A JP 18503492 A JP18503492 A JP 18503492A JP 18503492 A JP18503492 A JP 18503492A JP H0625223 A JPH0625223 A JP H0625223A
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JP
Japan
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bis
dithiane
mercaptomethyl
mol
chloromethyl
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Granted
Application number
JP18503492A
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English (en)
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JP3223586B2 (ja
Inventor
Masafumi Mikami
雅史 三上
Tetsuyuki Saiga
哲行 雑賀
Hiroyuki Kanezaki
裕之 金崎
Keishirou Nagao
惠四郎 長尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka Soda Co Ltd
Original Assignee
Daiso Co Ltd
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Filing date
Publication date
Application filed by Daiso Co Ltd filed Critical Daiso Co Ltd
Priority to JP18503492A priority Critical patent/JP3223586B2/ja
Publication of JPH0625223A publication Critical patent/JPH0625223A/ja
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  • Heterocyclic Compounds Containing Sulfur Atoms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 ジアリルジスフィドを塩素化して得られる
2,5−ビス(クロルメチル)−1,4−ジチアンを精
製後、メルカプト化剤と反応させて分子内の塩素原子を
メルカプト基に変換することにより2,5−ビス(メル
カプトメチル)−1,4−ジチアンを製造する。 【効果】 2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4
−ジチアンを収率良く、高純度で工業的に製造すること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学レンズ用ウレタン
樹脂のモノマーとして有用である2,5−ビス(メルカ
プトメチル)−1,4−ジチアンの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】2,5−ビス(メルカプトメチル)−
1,4−ジチアンが優れた光学特性を持つウレタン樹脂
用のモノマーであることは、特開平3−236386号
公報により公知である。その製造法としてはジアリルジ
スルフィドと臭素とを反応させて得られる2,5−ビス
(ブロモメチル)−1,4−ジチアンにチオ尿素を反応
させ、水酸化ナトリウム水溶液で加水分解し塩酸酸性に
することにより目的物を得る方法が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら2,5−
ビス(ブロモメチル)−1,4−ジチアンを経由する
2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン
の製造法には次のような問題点がある。
【0004】1)ジアリルジスルフィドと臭素とを反応
させて2,5−ビス(ブロモメチル)−1,4−ジチア
ンを得る反応で十分の収率を維持するためには−20℃
以下の反応温度が必要であり、−20℃より高いと収率
が著しく低下する。 2)2,5−ビス(ブロモメチル)−1,4−ジチアン
は熱的に不安定な液状化合物で工業的に精製を行うこと
が困難である。 3)2,5−ビス(ブロモメチル)−1,4−ジチアン
を精製せずに2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,
4−ジチアンに変換した場合、収率及び純度が低い。
【0005】より詳しく説明すれば、上記1)の反応温
度の点は工業的規模での生産を行う場合、本反応が発熱
反応であることを考えれば、反応温度の維持に多大のエ
ネルギーを必要とすると共に特殊な設備を要することに
なり好ましくない。上記2)の精製については、2,5
−ビス(ブロモメチル)−1,4−ジチアンが低温でな
いと結晶化しないため工業的規模での再結晶はエネルギ
ー的に不利である一方、2,5−ビス(ブロモメチル)
−1,4−ジチアンは熱的に不安定であるため蒸留によ
る精製では回収率が著しく低下してしまう。上記3)の
収率,純度の点については、2,5−ビス(ブロモメチ
ル)−1,4−ジチアンを未精製のまま2,5−ビス
(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンに変換した場
合、多くの不純物を伴うことになり、2,5−ビス(メ
ルカプトメチル)−1,4−ジチアンの蒸留精製時に不
純物,熱分解物の混入が避けられない。また、2,5−
ビス(ブロモメチル)−1,4−ジチアンをチオ尿素と
反応して得られるイソチウロニウム塩を単離精製する方
法をとっても、不純物が多いためにイソチウロニウム塩
が十分に得られず収量が低下する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、2,5−
ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンを収率良
くかつ高純度で工業的に製造する方法を見出し、本発明
を完成した。
【0007】本発明はすなわち、ジアリルビスルフィド
を塩素化して得られる2,5−ビス(クロロメチル)−
1,4−ジチアン(下記化学式(I)で示す)を精製
後、メルカプト化剤と反応させて分子内の塩素原子をメ
ルカプト基に変換させることをを特徴とする2,5−ビ
ス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン(下記化学
式(II)で示す)の製造法である。
【0008】
【化1】
【0009】
【化2】
【0010】本発明法の中間体である2,5−ビス(ク
ロロメチル)−1,4−ジチアンは既知化合物であり、
ジアリルジスルフィドに塩素化剤を反応させることによ
り合成することができる。この反応は通常有機溶媒中で
行われ、有機溶媒としては、ハロゲン化炭化水素類(例
えばジクロロメタン,1,2−ジクロロエタン,モノク
ロロベンゼン),炭化水素類(例えばペンタン,ヘキサ
ン,デカリンで、ベンゼン等の活性な芳香環を持つもの
を除く),エステル類(例えば酢酸エチル),ケトン類
(例えばアセトン,メチルエチルケトン),エーテル類
(例えばジエチルエーテル,モノグライム)が好まし
く、これらのうちでハロゲン化炭化水素類,エステル類
が特に好ましい。
【0011】ジアリルジスルフィドと有機溶媒の量関係
は特に限定されないが、溶媒1リットル当りジアリルジ
スルフィドが0.01〜10モル、より好ましくは0.
1〜5モルの範囲である。
【0012】本反応に用いられる塩素化剤としては塩化
スルフリル及び塩素ガスがあり、特に塩素ガスが副生物
もなく安価であるため好ましい。
【0013】ジアリルジスルフィドと塩素化剤との量関
係はジアリルスルフィド1モルに対して塩素化剤が0.
5〜5.0モルであることが好ましく、特に好ましくは
0.9〜1.5モルである。
【0014】反応温度は−50℃〜+30℃の範囲であ
り、通常特に低温を必要とすることはないが、+30℃
を越えると徐々に収率が低下してくるため好ましくな
い。特に好ましい範囲は−10℃〜+15℃である。
【0015】ジアリルジスルフィドと塩素化剤を反応さ
せる際、必要に応じて触媒として炭酸カルシウム等のア
ルカリ又はアルカリ土類金属の炭素塩を用いても良い。
触媒の添加量は、ジアリルスルフィド1モルに対して
0.001〜0.5モル、更に好ましくは0.005〜
0.2モルである。本反応は、塩素化剤の導入後、通常
0.1〜24時間で終了する。
【0016】この様にして得られた2,5−ビス(クロ
ロメチル)−1,4−ジチアンは熱的に十分安定な化合
物であり、蒸留,クロマトグラフィー等の通常の手段に
よって容易に精製できるが、特に蒸留により精製するこ
とが工業的に好ましい。前述のように蒸留で効率良く精
製できることが中間体として2,5−ビス(ブロモメチ
ル)−1,4−ジチアンを用いる方法と比較して大きな
特徴である。また2,5−ビス(クロロメチル)−1,
4−ジチアンの段階で精製することにより、2,5−ビ
ス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンの収率及び
純度を向上させることができる。
【0017】次に、2,5−ビス(クロロメチル)−
1,4−ジチアンにメルカプト化剤を反応させて、分子
内の塩素原子をメルカプト基に変換する方法について述
べる。すなわち2,5−ビス(クロロメチル)−1,4
−ジチアンから2,5−ビス(メルカプトメチル)−
1,4−ジチアンを製造するには、ハロゲン化アルキル
からアルキルチオールを合成する公知の方法を用いるこ
とができる。例えば以下の5つの方法が代表的に挙げら
れる。
【0018】1)2,5−ビス(クロロメチル)−1,
4−ジチアンをチオ尿素と反応させてイソチウロニウム
塩とした後、塩基により加水分解して2,5−ビス(メ
ルカプトメチル)−1,4−ジチアンとする方法。 2)2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアン
を水硫化アルカリ金属塩と反応させる方法。 3)2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアン
をO−アルキルジチオ炭酸アルカリ金属塩と反応させて
O−アルキルジチオ炭酸エステルとした後、加水分解し
て2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチア
ンとする方法。 4)2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアン
をチオ硫酸ナトリウムと反応させブント(Bunte) 塩とし
た後、酸で分解して2,5−ビス(メルカプトメチル)
−1,4−ジチアンとする方法。 5)2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアン
をチオカルボン酸アルカリ金属塩と反応させチオカルボ
ン酸エステルとした後、塩基で分解して2,5−ビス
(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンとする方法。 その他公知の方法を用いることももちろん可能である。
以下、上記の代表的方法1)〜5)の各々について詳し
く述べる。
【0019】まず第1の方法について述べる。2,5−
ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアンとチオ尿素と
の反応は通常極性溶媒中で行われる。ここで用いられる
極性溶媒としては、水,アルコール類(例えばメチルア
ルコール,エチルアルコール)および非プロトン性極性
溶媒(例えばジメチルスルホキシド,N,N−ジメチル
ホルムアミド)が挙げられるが、好ましいのは水,アル
コール類および両者の混合溶媒である。
【0020】2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−
ジチアンと溶媒の量関係は特に限定はされないが、溶媒
1リットル当り2,5−ビス(クロロメチル)−1,4
−ジチアンが0,01モル〜10モルが好ましく、より
好ましくは0.1モル〜5モルである。2,5−ビス
(クロロメチル)−1,4−ジチアンとチオ尿素の量関
係は2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアン
1モルに対してチオ尿素が1.0〜10.0モル、より
好ましくは1.8モル〜3.0モルである。反応温度は
特に制限されないが、10℃から溶媒の還流温度が好ま
しく、通常は加熱還流下に行われる。本反応は、通常
0.5〜24時間で終了する。
【0021】上記の方法により2,5−ビス(クロロメ
チル)−1,4−ジチアンとチオ尿素を反応させるとイ
ソチウロニウム塩が析出する。その後の操作はイソチウ
ロニウム塩を濾取する方法と濾取しない方法があるが、
操作の簡便さと収率の点から後者の方法が好ましい。
2,5−ビス(ブロモメチル)−1,4−ジチアンを用
いるときはイソチウロニウム塩を単離・精製しておかな
いと2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチ
アンの純度が低下してしまうのに対し、本発明では2,
5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアンで精製で
きるので、イソチウロニウム塩での精製は特に必要とし
ない。
【0022】イソチウロニウム塩を分解して2,5−ビ
ス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンを得るに
は、通常塩基を用いる。好ましい塩基としては、アルカ
リ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物(例えば水酸
化ナトリウム,水酸化カルシウム),アルカリ金属また
はアルカリ土類金属の炭酸塩(例えば炭酸ナトリウム)
およびアミン(例えばアンモニア水,トリエチルアミ
ン,アニリン)が挙げられるが、これらのうちでアルカ
リ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物が特に好まし
い。ここで用いられる塩基の使用量は、2,5−ビス
(クロロメチル)−1,4−ジチアン1モルに対して
1.0〜4.0モルが好ましく、より好ましくは1.6
〜2.2モルである。
【0023】本反応の溶媒としては水,アルコール類
(例えばエチルアルコール),両者の混合溶媒および非
プロトン性極性溶媒(例えばジメチルスルホキシド,
N,N−ジメチルホルムアミド)が好ましいが、特に好
ましいのは水,アルコール類およびそれらの混合溶媒で
ある。溶媒の使用量は特に限定されないが、溶媒1リッ
トル当りイソチウロニウム塩が0.01〜10モルが好
ましく、より好ましくは0.1モル〜5モルである。本
反応の反応温度は特に限定されないが、通常は溶媒の還
流温度で行われる。本反応は通常0.5〜24時間で終
了し、鉱酸で酸性にして2,5−ビス(メルカプトメチ
ル)−1,4−ジチアンを単離する。
【0024】次に第2の方法について述べる。本法は
2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアンと水
硫化アルカリ金属塩を反応させて直接2,5−ビス(メ
ルカプトメチル)−1,4−ジチアンを製造する反応で
ある。
【0025】ここで用いられる水硫化アルカリ金属塩と
しては水硫化ナトリウムおよび水硫化カリウムが好まし
い。2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアン
と水硫化アルカリ金属塩の量関係は2,5−ビス(クロ
ロメチル)−1,4−ジチアン1モルに対して水硫化ア
ルカリ金属塩が2.0〜20.0モルであることが好ま
しく、より好ましくは3.0〜10.0モルである。
【0026】本反応に用いられる溶媒としては、水,ア
ルコール類(例えばメチルアルコール,エチルアルコー
ル),両者の混合溶媒および非プロトン性極性溶媒(例
えばジメチルスルホキシド,N,N−ジメチルホルムア
ミド)が好ましいが、これらのうちで特に好ましのは
水,アルコール類および両者の混合溶媒である。2,5
−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアンと溶媒の量
関係は特に限定はされないが、溶媒1リットル当り2,
5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアンが0.0
1モル〜10モルが好ましく、特に好ましくは0.1モ
ル〜5モルである。また本反応ではスルフィドの生成を
抑えるため、水硫化アルカリ金属塩の溶液を硫化水素で
飽和にしておくのが好ましい。反応温度は特に制限され
ないが、10℃から溶媒の還流温度が好ましく、通常は
加熱還流下に行う。本反応は、通常0.1〜24時間で
終了し、鉱酸で酸性にして2,5−ビス(メルカプトメ
チル)−1,4−ジチアンを単離する。
【0027】次に第3の方法について述べる。O−アル
キルジチオ炭酸アルカリ金属塩のアルキル基として好適
なものの例としては、炭素数1〜6の直鎖状,分岐鎖状
または環状のアルキル基が挙げられるが、特に好ましい
のは直鎖状のアルキル基である。また、O−アルキルジ
チオ炭酸アルカリ金属塩のアルカリ金属として好適なも
のの例としては、ナトリウムおよびカリウムが挙げられ
る。
【0028】2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−
ジチアンとO−アルキルジチオ炭酸アルカリ金属塩との
反応は通常有機溶媒中で行われる。ここで用いられる有
機溶媒としては、ケトン類(例えばアセトン,メチルエ
チルケトン),エーテル類(例えばジエチルエーテル,
モノグライム),アルコール類(例えばメチルアルコー
ル,エチルアルコール)および非プロトン性極性溶媒
(例えばジメチルスルホキシド,N,N−ジメチルホル
ムアミド)等が挙げられるが、これらのうちで好ましい
のはケトン類およびアルコール類である。2,5−ビス
(クロロメチル)−1,4−ジチアンと溶媒の量関係は
特に限定はされないが、溶媒1リットル当り2,5−ビ
ス(クロロメチル)−1,4−ジチアンが0.01モル
〜10モルが好ましく、特に好ましくは0.1モル〜5
モルである。
【0029】2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−
ジチアンとO−アルキルジチオ炭酸アルカリ金属塩の量
関係は2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチア
ン1モルに対してO−アルキルジチオ炭酸アルカリ金属
塩が1.0〜10.0モルであることが好ましく、より
好ましくは1.8〜3.0モルである。反応温度は特に
限定されないが、10℃から溶媒の還流温度が好まし
く、通常は加熱還流下に行われる。本反応は、通常0.
5〜24時間で終了する。本法により2,5−ビス(ク
ロロメチル)−1,4−ジチアンとO−アルキルジチオ
炭酸アルカリ金属塩を反応させるとO−アルキルジチオ
炭酸エステルが生成する。
【0030】O−アルキルジチオ炭酸エステルを分解し
て2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチア
ンを得るには、酸または塩基を用いる。通常用いる酸と
しては鉱酸(例えば塩酸,硫酸,硝酸)が挙げられる。
ここで用いられる酸の使用量は、2,5−ビス(クロロ
メチル)−1,4−ジチアン1モルに対して0.01〜
2.0モルが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5
モルである。また、通常用いる塩基としてはアルカリ金
属またはアルカリ土類金属の水酸化物(例えば水酸化ナ
トリウム,水酸化カルシウム),アルカリ金属またはア
ルカリ土類金属の炭酸塩(例えば炭酸カリウム),アミ
ン(例えばアンモニア水,トリエチルアミン,アニリ
ン)が挙げられる。ここで用いられる塩基の使用量は、
2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアン1モ
ルに対して1.0〜4.0モルが好ましく、より好まし
くは1.6〜2.2モルである。
【0031】本反応の溶媒としては水,アルコール類
(例えばエチルアルコール),両者の混合溶媒および非
プロトン性極性溶媒(例えばジメチルスルホキシド,
N,N−ジメチルホルムアミド)が好ましいが、特に好
ましいのは水,アルコール類および両者の混合溶媒であ
る。溶媒の使用量は特に限定されないが、溶媒1リット
ル当りO−アルキルジチオ炭酸エステルが0.01〜1
0モルが好ましく、より好ましくは0.1モル〜5モル
である。O−アルキルジチオ炭酸エステルを分解する時
の温度は特に限定されないが0℃から溶媒の還流温度が
好ましく、より好ましくは50℃〜溶媒の還流温度であ
る。本反応は、通常0.1〜24時間で終了し、酸を用
いた場合にはそのまま、塩基を用いた場合には酸で酸性
にして2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジ
チアンを単離する。
【0032】次に第4の方法について述べる。2,5−
ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアンとチオ硫酸ナ
トリウムとの反応は通常極性溶媒中で行われる。ここで
用いられる極性溶媒としては、水,アルコール類(例え
ばメチルアルコール,エチルアルコール)および非プロ
トン性極性溶媒(例えばジメチルスルホキシド,N,N
−ジメチルホルムアミド)が挙げられるが、水,アルコ
ール類および両者の混合溶媒が好ましく、特に好ましい
のは水とアルコール類の混合溶媒である。
【0033】2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−
ジチアンと溶媒の量関係は特に限定はされないが、溶媒
1リットル当り2,5−ビス(クロロメチル)−1,4
−ジチアンが0.01モル〜10モルが好ましく、特に
好ましくは0.1モル〜5モルである。2,5−ビス
(クロロメチル)−1,4−ジチアンとチオ硫酸ナトリ
ウムとの量関係は2,5−ビス(クロロメチル)−1,
4−ジチアン1モルに対してチオ硫酸ナトリウムが1.
0〜10.0モルであることが好ましく、より好ましく
は1.8〜3.0モルである。反応温度は特に限定され
ないが、10℃から溶媒の還流温度が好ましく、通常は
加熱還流下に行われる。本反応は、通常0.5〜24時
間で終了する。
【0034】本法により2,5−ビス(クロロメチル)
−1,4−ジチアンとチオ硫酸ナトリウムを反応させる
とBunte 塩が生成する。Bunte 塩を分解して2,5−ビ
ス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンを得るに
は、通常鉱酸(例えば塩酸,硫酸,硝酸)等の酸が用い
られる。ここで用いられる酸の使用量は、2,5−ビス
(クロロメチル)−1,4−ジチアン1モルに対して
1.0〜4.0モルが好ましく、より好ましくは1.6
〜2.2モルである。本反応の溶媒としては水,アルコ
ール類(例えばエチルアルコール),両者の混合溶媒お
よび非プロトン性極性溶媒(例えばジメチルスルホキシ
ド,N,N−ジメチルホルムアミド)が好ましいが、特
に好ましいのは水,アルコール類および両者の混合溶媒
である。溶媒の使用量は特に限定されないが、溶媒1リ
ットル当りBunte 塩が0.01〜10モルが好ましく、
より好ましくは0.1モル〜5モルである。本反応の反
応温度は0℃から溶媒の還流温度が好ましく、より好ま
しくは20℃〜70℃である。本反応は、通常0.1〜
24時間で終了し、酸性のまま2,5−ビス(メルカプ
トメチル)−1,4−ジチアンを単離する。
【0035】次に第5の方法について述べる。チオカル
ボン酸アルカリ金属塩のチオカルボン酸として好適なも
のの例としては、炭素数1〜8の直鎖状,分岐鎖状ある
いは環状の飽和もしくは不飽和チオカルボン酸が挙げら
れるが、特に好ましいのは炭素数2〜4の飽和チオカル
ボン酸およびチオ安息香酸である。また、チオカルボン
酸アルカリ金属塩のアルカリ金属として好適なものの例
としてはナトリウムおよびカリウムが挙げられる。
【0036】2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−
ジチアンとチオカルボン酸アルカリ金属塩との反応は通
常有機溶媒中で行われる。ここで用いられる有機溶媒と
しては、ハロゲン化炭化水素類(例えばクロロホルム,
ジクロロエタン),ケトン類(例えばアセトン,メチル
エチルケトン),エーテル類(例えばジエチルエーテ
ル,モノグライム),アルコール類(例えばメチルアル
コール,エチルアルコール)および非プロトン性極性溶
媒(例えばジメチルスルホキシド,N,N−ジメチルホ
ルムアミド)等が挙げられるが、これらのうちで好まし
いのはケトン類およびアルコール類である。2,5−ビ
ス(クロロメチル)−1,4−ジチアンと溶媒の量関係
は特に限定はされないが、溶媒1リットル当り2,5−
ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアンが0.01モ
ル〜10モルが好ましく、特に好ましくは0.1モル〜
5モルである。
【0037】2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−
ジチアンとチオカルボン酸アルカリ金属塩の量関係は
2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアン1モ
ルに対してチオカルボン酸アルカリ金属塩が1.0〜1
0.0モルであることが好ましく、より好ましくは1.
8〜3.0モルである。反応温度は特に限定されない
が、10℃から溶媒の還流温度が好ましく、通常は加熱
還流下に行われる。本反応は、通常0.5〜24時間で
終了する。
【0038】本法により2,5−ビス(クロロメチル)
−1,4−ジチアンとチオカルボン酸アルカリ金属塩を
反応させるとチオカルボン酸エステルが生成する。チオ
カルボン酸エステルを分解して2,5−ビス(メルカプ
トメチル)−1,4−ジチアンを得るには、通常塩基を
用いる。ここで用いられる塩基としてはアルカリ金属ま
たはアルカリ土類金属の水酸化物(例えば水酸化ナトリ
ウム,水酸化カルシウム),アルカリ金属またはアルカ
リ土類金属の炭酸塩(例えば炭酸カリウム),アミン
(例えばアンモニア水,トリエチルアミン,アニリン)
が挙げられる。ここで用いられる塩基の使用量は、2,
5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアン1モルに
対して1.0〜4.0モルが好ましく、より好ましくは
1.6〜2.2モルである。チオカルボン酸エステルを
分解する時の温度は特に限定されないが、0℃から溶媒
の還流温度が好ましく、より好ましくは20℃〜50℃
である。本反応は、通常0.1〜24時間で終了し、酸
で酸性にして2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,
4−ジチアンを単離する。
【0039】上記の1)〜5)の方法により得られた
2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン
は、溶媒抽出,クロマトグラフィー,蒸留等の通常の手
段により容易に精製され、目的とする光学レンズ用ウレ
タン樹脂に適した純度で得られる。
【0040】
【作用及び発明の効果】一般に求核置換によりハロゲン
原子をメルカプト基に変換する反応においては、ハロゲ
ン原子の脱離基としての活性の点から臭素原子の方が塩
素原子より好ましいとされており、塩素原子の場合は副
生成物による収率の低下,反応速度の低下が認められる
場合が多い。しかしながら、2,5−ビス(クロロメチ
ル)−1,4−ジチアンおよび2,5−ビス(ブロモメ
チル)−1,4−ジチアンの場合、両者とも反応はハロ
ゲン原子がβ位にある硫黄原子により分子内求核置換を
受けた環状エピスルフォニウム塩を中間体として経由し
ていると考えられる。
【0041】従ってハロゲン原子が臭素原子であろうと
塩素原子であろうとこの中間体を経由する限り、同様の
反応性と収率で反応が進行するものと予想される。実
際、チオ尿素等のメルカプト化剤と2,5−ビス(クロ
ロメチル)−1,4−ジチアンとの反応で2,5−ビス
(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンを得る反応は
十分短時間のうちに終了し、収率も2,5−ビス(ブロ
モメチル)−1,4−ジチアンの場合と殆ど変わらなか
った。その上、2,5−ビス(クロロメチル)−1,4
−ジチアンを用いて2,5−ビス(メルカプトメチル)
−1,4−ジチアンを製造する方法は、2,5−ビス
(ブロモメチル)−1,4−ジチアンを用いて2,5−
ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンを製造す
る方法に比較して、以下の様な大きな工業的利点をもた
らすことができる。
【0042】1)ジアリルジスルフィドと塩素化剤の反
応は、臭素との反応のような−20℃以下の低温を維持
する必要はなく、+30℃以下に反応温度をを抑制すれ
ばほぼ同様の収率で2,5−ビス(クロロメチル)−
1,4−ジチアンが得られる。そして反応温度を上げる
ことにより副生成物が変化するが、2,5−ビス(クロ
ロメチル)−1,4−ジチアンの精製および2,5−ビ
ス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンの収率,純
度への影響は認められないので、2,5−ビス(ブロモ
メチル)−1,4−ジチアンの場合のようにハロゲン化
の際に多大のエネルギーと特殊な装置を必要としない。
従って2,5−ビス(ブロモメチル)−1,4−ジチア
ンを経由する2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,
4−ジチアンの製造方法で挙げた前述の第1の欠点を克
服できる。 2)2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアン
は2,5−ビス(ブロモメチル)−1,4−ジチアンに
比べてはるかに熱的に安定であり、2,5−ビス(ブロ
モメチル)−1,4−ジチアンでは不向きな蒸留による
精製が可能である。従って2,5−ビス(ブロモメチ
ル)−1,4−ジチアンを経由する2,5−ビス(メル
カプトメチル)−1,4−ジチアンの製造方法が挙げた
前述の第2の欠点を克服できる。 3)2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアン
で精製できるので、2,5−ビス(ブロモメチル)−
1,4−ジチアンを用いた場合に比べて夾雑物が少な
く、メルカプト化剤との反応で2,5−ビス(メルカプ
トメチル)−1,4−ジチアンに変換した場合の収率,
純度が共に良い。また、イソチウロニウム塩を単離する
場合でもその純度および単離収率が良い。従って2,5
−ビス(ブロモメチル)−1,4−ジチアンを用いる
2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン
の製造方法で挙げた前述の第3の欠点を克服できる。 4)臭素に比べて塩素化剤は安価であり、従って2,5
−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンをより
安価に製造できる。 以上のように、本発明法によれば、光学レンズ用ウレタ
ン樹脂のモノマーとして有用である2,5−ビス(メル
カプトメチル)−1,4−ジチアンを、特殊な設備を用
いずに収率良くかつ高純度で工業的に製造することがで
きる。
【0043】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに具体的に説
明する。
【0044】実施例1 ジアリルジスルフィド146g(1.0mol)をジク
ロロメタン1000mlに溶解し、氷浴中で内温を3〜
10℃に保ちながら塩素(75g,1.05mol)を
2.5時間かけて導入した。さらに20℃で3時間攪拌
した後、ジクロロメタンを減圧下留去し、橙色液体を2
20g得た。この橙色液体を減圧下蒸留し、2,5−ビ
ス(クロロメチル)−1,4−ジチアンを沸点110℃
/0.3Torrの留分として156.8g得た。(収率7
2.2%)。ガスクロマトグラフィー分析により純度は
97.3%で、定量値から蒸留による分解率は5%以下
であった。
【0045】この2,5−ビス(クロロメチル)−1,
4−ジチアン156.8g(0.72mol)をエチル
アルコール220mlに加え、チオ尿素109.7g
(1.44mol)を加えて還流下3時間攪拌した。析
出したイソチウロニウム塩を濾取し、乾燥後水150m
lに分散させて20%水酸化ナトリウム水溶液290g
を加えて3時間還流させた。6N塩酸で酸性(pH3)
とし、ベンゼン350mlで抽出後、減圧下ベンゼンを
留去し、130.5gの残渣を得た。この残渣を減圧蒸
留し、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジ
チアンを沸点145℃/0.2Torrの留分、無色透明な
液体として99.7g得た(2,5−ビス(クロロメチ
ル)−1,4−ジチアンからの収率65.2%)。ガス
クロマトグラフィー分析による純度は99.8%であ
り、光学レンズ用のモノマーとして十分の純度であっ
た。
【0046】実施例2 実施例1と同様にして得た2,5−ビス(クロロメチ
ル)−1,4−ジチアン155.9g(0.72mo
l)をエチルアルコール220mlに加え、チオ尿素1
09.3g(1.44mol)を加えて還流下3時間攪
拌した。さらに20%水酸化ナトリウム水溶液285g
を加えて3時間還流させた。6N塩酸で酸性(pH4)
とし、ベンゼン350mlで抽出後、減圧下ベンゼンを
留去し、142.3gの残渣を得た。この残渣を減圧蒸
留し、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジ
チアンを沸点142℃/0.2Torrの留分、無色透明な
液体として113.7g得た(2,5−ビス(クロロメ
チル)−1,4−ジチアンからの収率74.6%)。ガ
スクロマトグラフィー分析による純度は99.6%であ
り、光学レンズ用のモノマーとして十分の純度であっ
た。
【0047】実施例3 ジアリルジスルフィド146g(1.0mol)を1,
2−ジクロロエタン1000mlに溶解し、炭酸カルシ
ウム1.3gを加えて氷浴中で内温を3 ℃〜10℃に保
ちながら塩化スルフリル148.5g(1.1mol)
を1時間かけて滴下した。さらに20℃で3時間攪拌し
た後、1,2−ジクロロエタンを減圧下留去し、橙色液
体を220g得た。この橙色液体を減圧蒸留し、2,5
−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアンを沸点11
0℃/0.3Torrの留分として152.7g得た(収率
70.3%)。ガスクロマトグラフィー分析による純度
は96.8%であった。
【0048】この2,5−ビス(クロロメチル)−1,
4−ジチアン152.7g(0.70mol)を水20
0mlに加え、チオ尿素106.6g(1.40mo
l)を加えて還流下3時間攪拌した。さらに20%水酸
化ナトリウム水溶液281gを加えて3時間還流させ
た。6N塩酸で酸性(pH3.5)とし、ベンゼン33
0mlで抽出後、減圧下ベンゼンを留去し、125.8
gの残渣を得た。この残渣を減圧蒸留し、2,5−ビス
(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンを沸点142
℃/0.2Torrの留分、無色透明な液体として102.
0g得た(2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジ
チアンからの収率67.7%)。ガスクロマトグラフィ
ー分析による純度は99.5%であり、光学レンズ用の
モノマーとして十分の純度であった。
【0049】実施例4 実施例1と同様にして得た2,5−ビス(クロロメチ
ル)−1,4−ジチアン157.2g(0.72mo
l)を、硫化水素を飽和させたエチルアルコール200
mlに加え、水硫化ナトリウム220.8g(3.95
mol)を加え、さらに硫化水素を飽和させた後、硫化
水素をゆっくり流しながら還流下3時間攪拌した。析出
した塩化ナトリウムを濾別し、ベンゼン320mlで抽
出後、減圧下ベンゼンを留去し、140.6gの残渣を
得た。この残渣を減圧蒸留し、2,5−ビス(メルカプ
トメチル)−1,4−ジチアンを沸点142℃/0.2
Torrの留分、無色液体として81.4g得た(2,5−
ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアンからの収率5
2.9%)。ガスクロマトグラフィー分析による純度は
99.2%であり、光学レンズ用のモノマーとして十分
の純度であった。
【0050】実施例5 実施例1と同様にして得た2,5−ビス(クロロメチ
ル)−1,4−ジチアン155.6g(0.72mo
l)をアセトン300mlに加え、キサントゲン酸カリ
ウム(O−エチルジチオ炭酸カリウム)230.7g
(1.44mol)を加えて還流下3時間攪拌した。1
0%水酸化ナトリウム水溶液580gを加えて70℃で
6時間攪拌した後、6N塩酸で酸性(pH1)とし、ベ
ンゼン350mlで抽出後、減圧下ベンゼンを留去し、
145.1gの残渣を得た。この残渣を減圧蒸留し、
2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン
を沸点145℃/0.3Torrの留分、無色液体として1
08.9g得た(2,5−ビス(クロロメチル)−1,
4−ジチアンからの収率71.6%)。ガスクロマトグ
ラフィー分析による純度は99.4%であり、光学レン
ズ用のモノマーとして十分の純度であった。
【0051】実施例6 実施例1と同様にして得た2,5−ビス(クロロメチ
ル)−1,4−ジチアン153.9g(0.71mo
l)を水250mlとメチルアルコール150mlの混
合溶媒に加え、チオ硫酸ナトリウム224.5g(1.
42mol)を加えて還流下3時間攪拌した。6N塩酸
でpH1とした後、還流下に3時間攪拌し、ベンゼン2
50mlで抽出、減圧下ベンゼンを留去し、136.5
gの残渣を得た。この残渣を減圧蒸留し、2,5−ビス
(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンを沸点145
℃/0.3Torrの留分、無色液体として98.5g得た
(2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアンか
らの収率65.4%)。ガスクロマトグラフィー分析に
よる純度は99.6%であり、光学レンズ用モノマーと
して十分の純度であった。
【0052】実施例7 実施例1と同様にして得た2,5−ビス(クロロメチ
ル)−1,4−ジチアン156.5g(0.72mo
l)をアセトン300mlに加え、チオ酢酸ナトリウム
141.3g(1.44mol)を加えて還流下3時間
攪拌した。20%水酸化ナトリウム水溶液290gを加
えて70℃で6時間攪拌した。6N塩酸で酸性(pH
2)とし、ベンゼン350mlで抽出後、減圧下ベンゼ
ンを留去し、142.6gの残渣を得た。この残渣を減
圧蒸留し、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4
−ジチアンを沸点145℃/0.3Torrの留分、無色液
体として110.7g得た。(2,5−ビス(クロロメ
チル)−1,4−ジチアンからの収率72.3%)。ガ
スクロマトグラフィー分析による純度は99.5%であ
り、光学レンズ用のモノマーとして十分の純度あった。
【0053】比較例1 ジアリルジスルフィド22.9g(0.157mol)
をジクロロメタン780mlに溶解し、−78℃で臭素
25.0g(0.157mol)を1時間かけて滴下し
た。さらに−20℃で8時間攪拌した後、ジクロロメタ
ンを減圧下留去し、黄緑色液体を62.4g得た。これ
にエチルアルコール100mlに加え、チオ尿素25.
1g(0.314mol)を加えて還流下1.5時間攪
拌した。析出したイソチウロニウム塩を濾取し乾燥した
ところ28.7gであった(収率40.0%)。
【0054】得られたイソチウロニウム塩を水73ml
に分散させて、還流下15%水酸化ナトリウム水溶液3
4gを1時間かけて滴下し、さらに1時間還流した。6
N塩酸で酸性とし、ベンゼン100mlで抽出し、減圧
下ベンゼンを留去して8.3gの残渣を得た。この残渣
を減圧蒸留し、2,5−ビス(メルカプトメチル)−
1,4−ジチアンを沸点140℃/0.2Torrの留分、
無色液体として6.5g得た。ジアリルジスルフィドか
らの収率は19.5%と低かった。ガスクロマトグラフ
ィー分析による純度は99.5%であった。
【0055】比較例2 ジアリルジスルフィド22.9g(0.157mol)
をジクロロメタン780mlに溶解し、−78℃で臭素
25.0g(0.157mol)を1時間かけて滴下し
た。さらに−20℃で8時間攪拌した後、ジクロロメタ
ンを減圧下留去し、黄緑色液体を63.5g得た。これ
にエチルアルコール100mlに加え、チオ尿素25.
1g(0.314mol)を加えて還流下1.5時間攪
拌した。さらに20%水酸化ナトリウム水溶液62.8
gを加えて3時間還流させた。6N塩酸で酸性(pH
3.5)とし、ベンゼン100mlで抽出後、減圧下ベ
ンゼンを留去し、18.3gの残渣を得た。この残渣を
減圧蒸留し、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,
4−ジチアンを沸点142℃/0.2Torrの留分、無色
透明な液体として9.6g得た(ジアリルジスルフィド
からの収率28.8%)。ガスクロマトグラフィー分析
による純度は91.8%であり、純度,収率共に低いも
のであった。
【0056】比較例3 ジアリルジスルフィド45.8g(0.314mol)
をジクロロメタン780mlに溶解し、内温を−20〜
−10℃に保ちながら臭素50.0g(0.314mo
l)を1.5時間かけて滴下した。さらに0℃で8時間
攪拌した後、ジクロロメタンを減圧下留去し、褐色液体
を120.6g得た。これにエチルアルコール200m
lに加え、チオ尿素50.2g(0.628mol)を
加えて還流下1.5時間攪拌した。析出したイソチウロ
ニウム塩を濾取し乾燥したところ、36.8gであっ
た。(収率25.6%)
【0057】得られたイソチウロニウム塩を水90ml
に分散させて、還流下15%水酸化ナトリウム水溶液4
4gを1時間かけて滴下し、さらに1時間還流した。6
N塩酸で酸性とし、ベンゼン100mlで抽出し、減圧
下ベンゼンを留去して9.8gの残渣を得た。この残渣
を減圧蒸留し、2,5−ビス(メルカプトメチル)−
1,4−ジチアンを沸点140℃/0.2Torrの留分、
無色液体として8.1g得た(ジアリルジスルフィドか
らの収率12.1%)。ガスクロマトグラフィー分析に
よる純度は97.9%であり、純度,収率共に低いもの
であった。
【0058】比較例4 比較例1と同様にして得た黄緑色液体(粗2,5−ビス
(ブロモメチル)−1,4−ジチアン)61.3gを減
圧下で蒸留しようと試みたところ、蒸留中に分解した。
赤色留分11.3gが得られたが、ガスクロマトグラフ
ィー分析による2,5−ビス(ブロモメチル)−1,4
−ジチアンの純度は57.8%と低いものであった。
【0059】比較例5 比較例1と同様にして得た黄緑色液体(粗2,5−ビス
(ブロモメチル)−1,4−ジチアン)61.9gをア
セトン100mlに加え、チオ酢酸ナトリウム30.8
g(0.314mol)を加えて還流下3時間攪拌し
た。20%水酸化ナトリウム水溶液63gを加えて70
℃で6時間攪拌した後、6N塩酸で酸性(pH3)と
し、ベンゼン100mlで抽出後、減圧下ベンゼンを留
去し、8.2gの残渣を得た。この残渣を減圧蒸留し、
2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン
を沸点145℃/0.3Torrの留分、無色液体として
5.8g得た(ジアリルジスルフィドからの収率17.
4%)。ガスクロマトグラフィー分析による純度は9
3.8%であり、純度,収率共に低いものであった。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジアリルジスルフィドを塩素化して得ら
    れる2,5−ビス(クロロメチル)−1,4−ジチアン
    を精製後、メルカプト化剤と反応させて分子内の塩素原
    子をメルカプト基に変換することを特徴とする2,5−
    ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンの製造
    法。
  2. 【請求項2】 ジアリルジスルフィドの塩素化を有機溶
    媒中において−50℃〜+30℃で塩素化剤と反応させ
    て行うことを特徴とする請求項1に記載の2,5−ビス
    (メルカプメメチル)−1,4−ジチアンの製造法。
  3. 【請求項3】 塩素化剤が塩化スルフリルである請求項
    2に記載の2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4
    −ジチアンの製造法。
  4. 【請求項4】 塩素化剤が塩素ガスである請求項2に記
    載の2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチ
    アンの製造法。
  5. 【請求項5】 2,5−ビス(クロロメチル)−1,4
    −ジチアンの精製を蒸留により行う請求項1に記載の
    2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン
    の製造法。
  6. 【請求項6】 メルカプト化剤としてチオ尿素を使用す
    ることを特徴とする請求項1に記載の2,5−ビス(メ
    ルカプトメチル)−1,4−ジチアンの製造法。
  7. 【請求項7】 メルカプト化剤として水硫化アルカリを
    使用することを特徴とする請求項1に記載の2,5−ビ
    ス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンの製造法。
  8. 【請求項8】 メルカプト化剤としてO−アルキルジチ
    オ炭酸アルカリ金属塩を使用することを特徴とする請求
    項1に記載の2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,
    4−ジチアンの製造法。
  9. 【請求項9】 メルカプト化剤としてチオ硫酸ナトリウ
    ムを使用することを特徴とする請求項1に記載の2,5
    −ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンの製造
    法。
  10. 【請求項10】 メルカプト化剤としてチオカルボン酸
    アルカリ金属塩を使用することを特徴とする請求項1に
    記載の2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジ
    チアンの製造法。
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