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JPH0570415A - α−アミノ酸の光学活性異性体混合物を分割する方法 - Google Patents

α−アミノ酸の光学活性異性体混合物を分割する方法

Info

Publication number
JPH0570415A
JPH0570415A JP4016560A JP1656092A JPH0570415A JP H0570415 A JPH0570415 A JP H0570415A JP 4016560 A JP4016560 A JP 4016560A JP 1656092 A JP1656092 A JP 1656092A JP H0570415 A JPH0570415 A JP H0570415A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
interconversion
hydroxyphenylglycine
resolution
hpg
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4016560A
Other languages
English (en)
Inventor
Apurba Bhattacharya
アプーバ・バータチヤリヤ
John R Durrwachter
ジヨン・アール・ダーウオツチヤー
Graham N Mott
グラハム・エヌ・モツト
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
CNA Holdings LLC
Original Assignee
Hoechst Celanese Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hoechst Celanese Corp filed Critical Hoechst Celanese Corp
Publication of JPH0570415A publication Critical patent/JPH0570415A/ja
Pending legal-status Critical Current

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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C227/00Preparation of compounds containing amino and carboxyl groups bound to the same carbon skeleton
    • C07C227/30Preparation of optical isomers
    • C07C227/34Preparation of optical isomers by separation of optical isomers
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C227/00Preparation of compounds containing amino and carboxyl groups bound to the same carbon skeleton
    • C07C227/30Preparation of optical isomers
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07FACYCLIC, CARBOCYCLIC OR HETEROCYCLIC COMPOUNDS CONTAINING ELEMENTS OTHER THAN CARBON, HYDROGEN, HALOGEN, OXYGEN, NITROGEN, SULFUR, SELENIUM OR TELLURIUM
    • C07F9/00Compounds containing elements of Groups 5 or 15 of the Periodic Table
    • C07F9/02Phosphorus compounds
    • C07F9/28Phosphorus compounds with one or more P—C bonds
    • C07F9/30Phosphinic acids [R2P(=O)(OH)]; Thiophosphinic acids ; [R2P(=X1)(X2H) (X1, X2 are each independently O, S or Se)]
    • C07F9/301Acyclic saturated acids which can have further substituents on alkyl

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は,α−アミノ酸の光学活性異性体混
合物を分割して好ましい光学活性異性体を得る方法を提
供する。 【構成】 ジアステレオマーの相互転換が実質的に妨げ
られる程度にはα−アミノ酸のNH2 基をプロトン化し
ない量の無機酸の存在下にて,及び触媒作用有効量の芳
香族アルデヒドの存在下にて,α−アミノ酸にとって少
なくとも部分溶媒である有機酸中で,前記異性体混合物
を少なくとも1種のキラル分割剤と接触させる。このよ
うに接触させることにより,所望のジアステレオマーの
分割と,残りの非所望ジアステレオマーの相互転換が同
時的に生起して,極めて高い光学純度を有する所望のジ
アステレオマーが極めて高い収率で得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,α−アミノ酸の光学活
性異性体混合物を分割して,好ましい光学活性異性体を
得る方法に関する。特に,p−ヒドロキシフェニルグリ
シンのDL混合物から光学活性のD異性体を得ることの
できる方法が提供される。
【0002】
【従来の技術】本発明はα−アミノ酸の異性体混合物を
分割する方法に関するものであるが,例証のために,D
L−p−ヒドロキシフェニルグリシンの光学活性D異性
体を分割する技術に関して本発明の方法を詳細に説明す
ることとする。従って,DL−p−ヒドロキシフェニル
グリシンの分割に関する従来技術についても詳細に説明
する。
【0003】p−ヒドロキシフェニルグリシンの光学活
性異性体は,生化学薬品/医療品用として特に有用であ
る。例えばD−p−ヒドロキシフェニルグリシンは,半
合成のペニシリン又は半合成のセファロスポリンの製造
において重要な出発物質である。L−p−ヒドロキシフ
ェニルグリシンは,虚血性心臓病,心不全,及び糖尿病
等の治療に有効であることがわかっている。
【0004】p−ヒドロキシフェニルグリシンは天然に
は存在せず,全く合成のみによって得られている。しか
しながら,コスト競争力があるとされている方法により
得られる合成p−ヒドロキシフェニルグリシンはDL−
異性体混合物である。混合物から特定の光学活性異性体
を得るためには,DL−異性体混合物の分割が必要とな
る。
【0005】分割される光学活性異性体の光学純度が重
要である。なぜなら光学純度は,異性体を出発物質とし
て使用して得られる生成物の純度に影響を与えるからで
ある。例えば,半合成セファロスポリンは薬理学上の仕
様に適合しなければならず,合成のための出発物質とし
て使用されるD−p−ヒドロキシフェニルグリシンの光
学純度は,半合成のセファロスポリン生成物の純度に直
接影響を及ぼす。さらに,分割プロセスからの光学活性
異性体の収率も重要なことである。DL−ヒドロキシフ
ェニルグリシンの光学分割と,光学分割プロセスによっ
て得られる非所望の鏡像異性体のラセミ化とを含んだ分
割方法を適用すると,出発物質であるDL−ヒドロキシ
フェニルグリシンの量を基準として,最高収率の所望す
る光学活性異性体が得られる可能性が最も高い。
【0006】J.トランパー(Tramper)らによ
る「“化学光学分割の利点と限界”有機合成におけるバ
イオ触媒,ノルディッカーハウト(Noordwijk
erhout)で開催された国際シンポジウムの議事
録,オランダ,1985年4月14−17」(エルセビ
アー・サイエンス・パブリッシャーズ B.V.から発
行,アムステルダム,1985)と題する論文が,本発
明に対し極めて役立つ従来技術を提供している。上記論
文は,化学的方法と酵素による方法の両方を使用して,
光学活性異性体の50:50混合物(ラセミ混合物)を
分割することを説明している。化学的操作による分離方
法の説明には,電子対を共有していないジアステレオマ
ー(non−covalent diastereom
er)(ジアステレオマー塩)を使用した方法も含まれ
ている。このジアステレオマー塩を利用した方法では,
ラセミ混合物と反応してその特性がそれぞれ異なるジア
ステレオマーを生成させるキラル分割剤(chiral
resolving agent)を使用しており,
これにより晶出のような手法で分離が可能となる。
【0007】トランパーらは,ラセミ混合物を分割する
のに電子対非共有のジアステレオマーを使用する方法を
古典的な分割方法であると考えている。この方法は,ラ
セミ混合物の2種のジアステレオマーが,鏡像異性体に
対する適切な分割剤を選択することによって容易に得ら
れるという利点を有している。しかるに,酵素による分
割方法では一方の鏡像異性体のみが分割される場合が多
い。
【0008】トランパーらはさらに,この古典的な分割
方法を使用することの欠点は,しばしば予測しえない結
果が得られること;プロセスがかなり複雑になり易いこ
と;そして非所望ジアステレオマーのラセミ化時に,基
質及び/又は分割剤の分解により,生成物中に不純物が
入り込む;ということにあると述べている。“不純物の
量が比較的少量であっても,ジアステレオマー塩の晶出
挙動に大きな影響を与えることがある。”古典的分割方
法の一回実施収率(すなわち,非所望ジアステレオマー
のラセミ化を行っていない)は50%である。実際上,
異性体混合物の40%以上の収率が得られる化学的方法
が良好であると考えられる(このとき生成物は,一回の
晶出で95%の光学純度を有する)。工業的プロセスは
一般には,経済的な理由から非所望の鏡像異性体のラセ
ミ化を含んでいる。
【0009】溶液中に残存している非所望ジアステレオ
マーが自発的な平衡化,すなわちジアステレオマー相互
転換(鏡像異性体のラセミ化と同等)を受けるとき,5
0%(異性体混合物の重量を基準として)以上の一回実
施収率を得ることができる。このようなプロセスは晶出
による転換と呼ばれ,100%の理論収率を有する。晶
出による不斉転換の例は,カルボニル化合物(例えば,
ベンズアルデヒドやアセトン)の存在下における,酒石
酸を使用した一連のアリールグリシンエステルの分割で
ある。アセトンは,溶液中において基質のラセミ化に触
媒作用を及ぼす。典型的な収率の範囲は85〜96%で
あり,このとき光学純度は約95%以上である。
【0010】 「“光学活性アミノ酸のラセミ化法”J.Org.Ch
em.48,843─846(1983)」と題する論
文において,ヤマダらは,中性アミノ酸,酸性アミノ
酸,塩基性アミノ酸,及びイミノ酸も含めた種々の光学
活性α−アミノ酸を,0.05モル当量の脂肪族アルデ
ヒドもしくは芳香族アルデヒドの存在下において,80
〜100℃で1時間,酢酸媒体中で加熱することによっ
てラセミ化することついて説明している。フェニルグリ
シン,(p−ヒドロキシフェニル)グリシン及びセリン
が,光学活性異性体を完全に溶解させることなくラセミ
化されている。
【0011】ヤマダらによる「“D−p−ヒドロキシフ
ェニルグリシンの製造:優先晶出法によるDL−p−ヒ
ドロキシフェニルグリシンの光学分割”,Agric.
Bio.Chem.,42(8),1521−1526
(1978)」では,種々の芳香族スルホネートを使用
してDL−p−ヒドロキシフェニルグリシンとの錯体を
形成させることを開示しており,優先晶出法を使用して
分離してこの錯体を分離して,所望のD−p−ヒドロキ
シフェニルグリシンのスルホネートを得ることができ
る。DL−p−ヒドロキシフェニルグリシンの種々の芳
香族スルホネートのうちで,ベンゼンスルホネート,o
−トルエンスルホネート,p−トルエンスルホネート,
p−エチルベンゼンスルホネート,スルホサリチレー
ト,及び2−ナフトール−6−スルホネート等は,優先
晶出法によって容易に分割可能であるとされている。上
記文献中の例によれば,好ましいD異性体錯体について
約22重量%〜約28重量%(分割溶液中で形成される
p−ヒドロキシフェニルグリシンのDLスルホネートの
量を基準として)の収率が記載されており,このとき光
学純度は約92%〜約97%である。
【0012】ホンゴー(Hongo)らによる「“優先
晶出法による光学分割における過飽和状態の安定性”,
Bull.Chem.Soc.Jpn.,54,190
5−1910(1981)」では,DL−セリン・m−
キシレン−4−スルホネートの光学分割に対する優先晶
出法が説明されている。種の加えられていない異性体
(unseeded isomer)の過飽和状態の安
定性が,冷却条件と関連付けて研究されている。種の加
えられていない非所望異性体が自発的晶出を起こす前
に,所望の異性体の種結晶を使用して所望の異性体を優
先晶出させることによって分割が達成される。
【0013】ホンゴーらによる「“光学活性アミノ酸塩
のラセミ化,及びDL−アミノ酸の不斉転換へのアプロ
ーチ”,Bull.Chem.Soc.Jpn.,37
44−3747(1983)」では,光学活性アミノ酸
塩のラセミ化プロセスをDL−アミノ酸の光学分割と関
連付けて説明している。光学活性アミノ酸とスルホン酸
もしくは無機酸との種々の塩が,0.1モル当量のアル
デヒド及び遊離DL−アミノ酸の存在下において,酢酸
媒体中,80〜100℃で1時間加熱することによって
ラセミ化される。反応混合物から,ラセミ化されたDL
−アミノ酸塩が約86〜92%の収率で回収される。所
望の鏡像異性体の優先晶出と液相における鏡像異性体の
ラセミ化とを組み合わせることによって,アミノ酸塩の
2種の鏡像異性体間の不斉転換が試みられている。DL
−アラニン・p−クロロベンゼンスルホネートの一部が
L−異性体に転化されている(収率16%,光学純度9
7%)。2種のジアステレオマー塩の間の転換による他
の転換法も行われている。溶解性の低いジアステレオマ
ー塩の選択沈澱と溶解性の高いジアステレオマー塩エピ
マー化とを組み合わせることにより,DL−フェニルグ
リシン・d−ショウノウ−10−スルホネートの一部を
D−p−ヒドロキシフェニルグリシン・d−ショウノウ
−10−スルホネートに転化させることができる(収率
68.1%,光学純度95.9%)。
【0014】1984年2月28日付け特許権取得のチ
バタ(Chibata)らによる米国特許第4,43
4,107号は,光学活性p−ヒドロキシフェニルグリ
シン塩の非所望鏡像異性体の同時的なラセミ化を使用し
て光学活性p−ヒドロキシフェニルグリシン塩を分割す
ることを開示している。該発明は,脂肪族アルデヒドも
しくは芳香族アルデヒドの存在下,低級脂肪酸中にてラ
セミ体の過飽和溶液から所望の鏡像異性体を優先晶出す
ることによって行われる。DL−p−ヒドロキシフェニ
ルグリシン塩の過飽和溶液が低級脂肪酸中にて調製さ
れ,この過飽和溶液はさらに脂肪族アルデヒドもしくは
芳香族アルデヒドを含む。過飽和溶液が,50℃以上の
温度にてp−ヒドロキシフェニルグリシン塩の所望する
鏡像異性体の種結晶と接触され,これにより過飽和溶液
から所望する鏡像異性体の優先晶出が起こり,このとき
溶解している他方の鏡像異性体のラセミ化が同時に起こ
る。塩は,アルカリ試剤又はイオン交換樹脂と処理する
ことによってその遊離形態に転化させることができる。
該特許の方法によれば,ラセミ混合物の全てをp−ヒド
ロキシフェニルグリシン塩の所望鏡像異性体に転化でき
ると説明されているにもかかわらず(なぜなら,DL−
p−ヒドロキシフェニルグリシン塩の光学分割は,液状
媒体中に溶解している非所望鏡像異性体のラセミ化と同
時に起こるからであり,またこのとき,いったん優先晶
出した所望鏡像異性体の結晶は,該発明が行われている
物理的条件下ではラセミ化しないからである),該特許
に記載の実施例は,所望の鏡像異性体の収率の範囲が,
p−ヒドロキシフェニルグリシン塩出発物質の量を基準
として約8〜46重量%であり,光学純度の範囲が9
6.2〜98%であることを示している。この光学純度
は,該方法によって得られたD−p−ヒドロキシフェニ
ルグリシン(DHPG)をアモキシリン合成の出発物質
として使用するには充分とは言えない。アモキシリン合
成法は,種々の薬理学的要件や制約条件により,DHP
Gが少なくとも99.1%の光学純度を有していること
が必要とされる。
【0015】ホンゴーらによる「“o−トルエンスルホ
ネートの優先晶出と同時的ラセミ化との組み合わせによ
るDL−p−ヒドロキシフェニルグリシンの不斉転
換”,Bull.Chem.Soc.,Jpn.,5
8,433−436(1985)」では,p−ヒドロキ
シフェニルグリシン・o−トルエンスルホネート(HP
G・o−TS)の所望鏡像異性体の優先晶出と他方の鏡
像異性体の同時的ラセミ化との組み合わせによる,2種
の鏡像異性体間におけるDL−p−ヒドロキシフェニル
グリシンの不斉転換を開示している。ホンゴーらは,少
量のサリチルアルデヒドと遊離DL−HPGの存在下に
て,95%(V/V)酢酸水溶液中100℃で加熱する
ことによって,L−HPG・o−TSが容易にラセミ化
されると説明している。ラセミ化のための条件下に置か
れたDL−HPG・o−TSの過飽和溶液にp−HPG
・o−TSの種結晶を入れ,駆動力として過飽和状態の
DL−HPG・o−TSを連続的に供給するために,D
L−HPGとo−トルエンスルホン酸を加えた。加えた
DL−HPGを基準として,D−異性体が77.2%の
収率で得られた。
【0016】所望の鏡像異性体塩をその溶媒から取り出
すための方法として晶出を使用する場合,1つの基本的
な問題が存在する。溶媒中の非所望鏡像異性体塩の濃度
が高くなるにつれて,所望の鏡像異性体塩と共に非所望
の鏡像異性体塩が晶出しやすくなり,このため所望する
鏡像異性体塩の収率と光学純度が低下する。
【0017】ヤマダらによる「“D−p−ヒドロキシフ
ェニルグリシンの製造・d−3−ブロモショウノウスル
ホン酸を使用したDL−p−ヒドロキシフェニルグリシ
ンの光学分割”,Agria.Biol.Chem.4
3(2)395−396(1979)」は,前述の古典
的な電子対非共有ジアステレオマー分割法を使用したD
−p−ヒドロキシフェニルグリシン(D−HPG)の光
学分割について説明しており,このときd−3−ブロモ
ショウノウスルホン酸(D−BCA)は分割剤である。
D−HPGを晶出させて分割溶媒から濾過した後,p−
ヒドロキシフェニルグリシンのL異性体とd−3−ブロ
モショウノウスルホン酸との反応によって得られた残り
の塩が加水分解されてL−HPGとなる。L−HPGが
引き続きラセミ化され(オートクレーブ中,140
℃),スタートのDL異性体混合物として再循環され
る。D−p−ヒドロキシフェニルグリシン(D−HP
G)の収率は,DL−HPG出発物質を基準として約4
1%であり,D−HPGの光学純度は約99.99%で
ある。
【0018】1983年11月15日付け取得のチバタ
らによる米国特許第4,415,504号は,光学活性
p−ヒドロキシフェニルグリシンの製造に対して有用
な,及び光学活性α−フェニルエタンスルホン酸の製造
に対して有用なp−ヒドロキシフェニルグリシン−α−
フェニルエタンスルホネートの形成について開示してい
る。p−ヒドロキシフェニルグリシン−α−フェニルエ
タンスルホネートは,DL−p−ヒドロキシフェニルグ
リシンと光学活性のα−フェニルエタンスルホン酸とを
反応させることによって,あるいは(±)−α−フェニ
ルエタンスルホン酸と光学活性のp−ヒドロキシフェニ
ルグリシンとを反応させることによって得られる。光学
活性のDL−p−ヒドロキシフェニルグリシン・α−フ
ェニルエタンスルホネートの2種のジアステレオマーが
形成されるか,あるいは光学活性のp−ヒドロキシフェ
ニルグリシン・(±)−α−フェニルエタンスルホネー
トが形成され,ジアステレオマーの溶解度の差により一
方のジアステレオマーが単離される。上記特許に記載の
方法においては,DL−p−ヒドロキシフェニルグリシ
ンを光学活性のα−フェニルエタンスルホン酸と反応さ
せて,光学活性p−ヒドロキシフェニルグリシン・光学
活性α−フェニルエタンスルホネートの2種のジアステ
レオマーを形成させており,このとき一方のジアステレ
オマーは水性の反応媒体中に容易に溶解し,他方のジア
ステレオマーは水性の反応媒体に対する溶解性が低い。
この低溶解性のジアステレオマーが結晶化され,生じた
結晶が捕集される(濾別と乾燥)。結晶がD−p−ヒド
ロキシフェニルグリシン(+)・α−フェニルエタンス
ルホネートを含んでいる場合,引き続きこの結晶にメタ
ノールを混合し,そしてこの混合物に水酸化ナトリウム
水溶液を加え,これによって混合物のpHを6に調節す
る。本混合物を室温で約2時間撹拌し,次いで濾過する
とD−p−ヒドロキシフェニルグリシン(D−HPG)
が得られる。こうして得られるD−HPGの光学純度は
99.8%であるが,DL−p−ヒドロキシフェニルグ
リシン(DL−HPG)を基準として算出したD−HP
Gの収率は約57〜80%にすぎない。
【0019】ヨシオカらによる「“(+)−1−フェニ
ルエタンスルホン酸を使用したDL−p−ヒドロキシフ
ェニルグリシンの光学分割と不斉転換”,Bull.C
hem.Soc.Jpn.,60,649−652(1
987)」は,(+)−1−フェニルエタンスルホン酸
を使用してジアステレオマー塩を分別晶出させることに
よって,DL−HPGをD−HPGに光学分割する方法
を説明しており,このとき溶解性のL−HPG・(+)
−フェニルエタンスルホネート(PES)は,少量のサ
リチルアルデヒドの存在下において,氷酢酸中100℃
で加熱することによって容易にエピマー化してDL−H
PG・(+)−PESとなる。このようなエピマー化条
件下にて,溶解性の低いD−HPG・(+)−PESの
分別晶出と溶解性の高いL−HPG・(+)−PESの
エピマー化の同時的な生起を使用したDL−HPG・
(+)−PESの不斉転換が試みられている。DL−H
PG出発物質を基準として約80%D−HPGの最高収
率が達成され;D−HPGの光学純度は95.0%であ
り;そしてL−HPG・(±)−PESのエピマー化速
度は,DL−HPG・(+)−PESへの100%エピ
マー化に対して約4時間が必要とされるような速度であ
る。ここでの主要な問題点は,(+)−PESが工業的
に製造されていないこと,及び(±)−PESから
(+)−PESを製造するには,D−HPGを分割剤と
して使用しなければならないということである。このこ
とはプロセスの目的をそこなうことになる。なぜなら,
所望の生成物を得るために1:1ベースで使用される出
発物質を製造するのに,所望の生成物を使用しなければ
ならないからである。
【0020】1987年3月3日付け取得のジェイスウ
ィッツ(Jacewitz)による米国特許第4,64
7,692号は,ケトンと有機酸(例えば酢酸)を使用
することによってアミノ酸をラセミ化する方法について
開示している。特に,光学活性のα−アミノ酸をラセミ
化する方法が説明されており,C1-6 アルカン酸の存在
下にて,α−アミノ酸がケトンで処理されている。この
方法は光学活性α−アミノ酸の製造にまで利用されてお
り,ケトンとC1-6 アルカン酸の存在下においてα−ア
ミノ酸ラセミ化合物を3−ブロモショウノウ−9−スル
ホン酸で処理することを含む。この後者の方法は,ケト
ンと有機酸の存在下において,ショウノウスルホネート
のジアステレオマー塩混合物の溶液から,光学活性の4
−ヒドロキシフェニルグリシンもしくは3,4−ジヒド
ロキシフェニルグリシンの3−ブロモショウノウ−9−
スルホネート塩を晶出させること;及び光学活性の4−
ヒドロキシフェニルグリシンもしくは3,4−ジヒドロ
キシフェニルグリシンを単離すること;を含む。このよ
うに,一方のジアステレオマーの優先晶出が行われ,残
存している塩がその場でラセミ化される。ケトンは,α
−アミノ酸より0.5〜20モル過剰にて(好ましくは
1〜10モル過剰にて)使用される。C1-6アルカン酸
は,α−アミノ酸の1モル当たり5〜50モルの濃度に
て使用される。この有機酸は,ケトンと共にラセミ化プ
ロセスのための溶媒を形成してもよい。実施例8(ラセ
ミ化と同時に光学分割を行って所望のジアステレオマー
を得ることを説明している)においては,出発のラセミ
化合物である3,4−ジヒドロキシフェニルグリシン一
水和物に対していくつかの別個の分割を行う必要があ
り,各分割工程の後に晶出工程,及び晶出したグリシン
のブロモショウノウ−9−スルホネート塩の取り出し工
程が施されている。得られた塩の収率は,ラセミ化合物
である3,4−ジヒドロフェニルグリシン出発物質を基
準として約42%である。個々の光学分割工程からの濾
液と洗浄液を合わせ,これをラセミ化処理し,次いでト
ルエンと酢酸ナトリウムの存在下にて,二工程プロセス
で約19時間にわたってさらに分割して,ラセミ化合物
である3,4−ジヒドロキシフェニルグリシン出発物質
を基準として,全プロセスに関して総収率約83.7%
の塩を得た。
【0021】ヨシオカらによる「“光学分割,エピマー
化,及び不斉転換による,アスポキシリン物質(Asp
oxillin Material)としてのD−アス
パラギン酸・β−メチルエステルの効率的な製造”,C
hem.Pharm.Bull.37(4)883−8
86(1989)」は,二次的不斉転換について開示し
ている。(−)−1−フェニルエタン−スルホン酸(P
ES)を使用してDL−Asp(OMe)をジアステレ
オマー分割すると,アセトニトリル中にて溶解性の低い
D−・(−)と溶解の高いL−・(−)の塩が形成され
る。高溶解性のL−・(−)は,触媒の存在下にてアセ
トニトリル中で加熱することによって,容易にDL−・
(−)にエピマー化される。このようなエピマー化条件
下にて,DL−・(−)又はL−・(−)の分別晶出を
行うことにより,固−液不均一系における平衡不斉転換
を介して90%収率のD−・(−)が得られる。この収
率は,ある程度は,選択された溶媒系に対するジアステ
レオマーの高い溶解性によって影響される。
【0022】シライワ(Shiraiwa)らによる
「“N−メチル−(RS)−2−フェニルグリシンの不
斉転換”,日本化学会,ケミストリー・レターズ,23
3−234(1990)」は,アルデヒドやケトンのよ
うな触媒を使用することなく,ブタン酸中にて(S)−
ショウノウ−10−スルホン酸を使用して塩を形成させ
ることにより,N−メチル−(RS)−2−フェニルグ
リシン〔(RS)−Mpg)を不斉転換させることにつ
いて説明している。この塩(再結晶により精製)をトリ
エチルアミンで処理して,(R)−Mpgを71〜77
%の収率で得ている。塩の光学純度は98.4〜99.
0%である。光学純度が約55.9〜87.9%という
低い値であると,より高い収率(最高91.9%)が得
られる。
【0023】上記の従来技術を考察してみると,α−ア
ミノ酸異性体混合物の光学分割が,少なくとも一方の異
性体の所望ジアステレオマー塩への不斉転換と,非所望
ジアステレオマー塩のジアステレオマー相互転換とを同
時的に生起させることによって行われ,これによってα
−アミノ酸の全てが所望のジアステレオマー塩へ転換さ
れる,という“シングルポット(single po
t)”プロセスが強く求められていることが明らかであ
る。次いで,この塩を所望の鏡像異性体に転換させるこ
とができる。得られる鏡像異性体の光学純度は,意図す
る最終用途の要件に充分適合するものでなければならな
い。出発物質であるα−アミノ酸異性体混合物を基準と
した直接収率が,コスト的に満足できるものでなければ
ならないか,あるいはプロセスの流れが,満足できる有
効収率を生成させるような仕方で再循環できなければな
らない。満足できる収率を達成するのに必要な時間は,
プロセスがコスト的に競合できるような時間でなければ
ならない。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明によれば,α−ア
ミノ酸(又はその塩)の光学活性異性体混合物(通常は
ラセミ混合物)を分割して好ましい光学活性異性体を得
るための方法が提供される。本発明の方法を使用する
と,適度な所要時間にて(約24時間以下),異性体混
合物の99重量%を越える収率で特定の光学活性異性体
を得ることができる。一般には,約6時間で(場合によ
っては2時間という短い時間で)99%の収率が得られ
る。本発明の方法は,沈澱による不斉転換を同時発生的
な非所望の異性体の相互転換と組み合わせるのが好まし
く,これによりα−アミノ酸異性体混合物の量を基準と
して高い収率が得られる。
【0025】α−アミノ酸異性体混合物(通常は50:
50のラセミ混合物)を,無機酸及び触媒作用有効量の
芳香族アルデヒドの存在下にて,前記α−アミノ酸混合
物にとって少なくとも部分溶媒(partial so
lvent)である有機酸中でキラル分割剤と接触させ
る。
【0026】キラル分割剤がα−アミノ酸のラセミ混合
物と反応して2種のジアステレオマー塩を形成する。一
方は所望するジアステレオマー塩であり,他方は非所望
のジアステレオマー塩である。この非所望のジアステレ
オマー塩は,α−アミノ酸ラセミ混合物の形(さらにこ
れが所望のジアステレオマー塩に転換される)に転換さ
れなければならない。この転換プロセスは,ジアステレ
オマー相互転換と呼ばれている。
【0027】選択されるキラル分割剤は,分割すべきα
−アミノ酸異性体混合物の種類により異なる。一般に
は,キラルスルホン酸及び/又はキラルカルボン酸が適
切である。DL−p−ヒドロキシフェニルグリシン(H
PG)に対しては,(+)−3−ブロモショウノウ−8
−スルホン酸・アンモニウム塩(BCSA)が特に良好
なキラル分割剤である。アミノ酸の分割に使用されるキ
ラル分割剤としては以下のようなものがある。例えば,
DL−リシンの分割に対しては,(+)−ショウノウ
酸,(+)−ショウノウ−10−スルホン酸,(+)−
α−ブロモショウノウ−π−スルホン酸,(−)−6,
6’−ジニトロジフェン酸,及びN−アセチル−3,5
−ジブロモ−L−チロシンとD−チロシン;DL−メチ
オニンの分割に対しては,(+)−α−ブロモショウノ
ウ−π−スルホン酸;DL−ヒスチジンの分割に対して
はd−酒石酸;DL−フェニルグリシンの分割に対して
は,(−)−ナトリウム(1S,2S,4R)−2−ヒ
ドロキシ−p−メタン−1−スルホネートのような光学
活性のβ−ヒドロキシスルホネート;α−アミノフェニ
ルグリシンの分割に対してはD−ショウノウスルホン
酸;そしてα−アミノ−3−チエニル酢酸の分割に対し
ては,α−ブロモ−D−ショウノウ−π−スルホン酸と
D−ショウノウ−10−スルホン酸;が使用される。文
献には,多くのキラル分割剤の例と,特定のα−アミノ
酸に対するキラル分割剤のデータが記載されている。
【0028】分割−ラセミ化のための反応媒体として使
用される有機酸は,C1 〜C6 アルカン酸からなる群か
ら(好ましくは2〜6個の炭素原子を有する脂肪族有機
酸から,最も好ましくは2〜4個の炭素原子を有する脂
肪族有機酸から)選ぶことができる。
【0029】α−アミノ酸のNH2 官能基をプロトン化
するのに無機強酸が使用され,これによりジアステレオ
マー塩の形成が可能となる。無機強酸の例としては,塩
酸,硫酸,リン酸,トリフルオロメタンスルホン酸,及
びトルエンスルホン酸等があるが(これらに限定される
わけではない),好ましいのは塩酸,硫酸,又はリン酸
である。
【0030】無機強酸を加える速度は慎重に制御しなけ
ればならない。なぜなら,α−アミノ酸のNH2 官能基
が全てプロトン化されると,ジアステレオマーの相互転
換が起こりえないからである。実際,ジアステレオマー
の相互転換が起こる速度は,α−アミノ酸の非プロトン
化NH2 の量の関数である。
【0031】これとは別に,無機強酸の代わりに,アミ
ノ酸のNH2 官能基を高度にプロトン化しない弱酸を使
用することもできる。弱酸を使用するときは,酸の添加
速度は重要なポイントとはならない。弱酸を使用するこ
との欠点は,ジアステレオマーの形成がより遅くなるこ
とである。使用できる弱酸の例としては,トリフルオロ
酢酸やトリクロロ酢酸等があるが,これらに限定されな
い。
【0032】触媒作用有効量にて使用できる芳香族アル
デヒドの例としては,サリチルアルデヒド,3,5−ジ
クロロベンズアルデヒド,及びm−ニトロベンズアルデ
ヒド等があるが,これらに限定されない。最も好ましい
のはサリチルアルデヒドである。芳香族アルデヒドが芳
香環上に電子吸引基を含んでいる場合は,分割−ラセミ
化プロセスはより速やかに進行する。
【0033】本発明の方法によって形成される生成物は
アミノ酸のジアステレオマー塩であり,この塩は,加水
分解によって所望のアミノ酸異性体に転換させることが
できる。加水分解は,水性もしくはアルコール性溶媒中
にて,有機塩基又は無機塩基を使用して行うことができ
る。沈澱したジアステレオマー塩は,水性もしくはアル
コール性溶媒中でスラリーを形成し,これが加水分解試
剤と接触される。
【0034】本発明の方法を使用して得られる所望のジ
アステレオマー塩の光学純度は,分割−ジアステレオマ
ー相互転換プロセス時に水が存在していないときに改良
される。水は,DL−異性体混合物に対する溶媒として
作用し,DL−異性体混合物を,分割−ジアステレオマ
ー相互転換プロセスに関与しない不純物として水中に溶
解したまま残存させる。所望のジアステレオマー塩が有
機酸溶媒から沈澱するときに,この不純物が所望のジア
ステレオマー塩と共に随伴し,最終的には所望する異性
体生成物の光学純度を低下させる。溶媒として使用され
る有機酸中に存在する水は,分割−相互転換混合物に無
水物を加えることによって除去することができる。無水
物としては,例えば有機酸溶媒の無水物がある。使用す
る無水物の量は,一般には有機酸溶媒の5重量%以下で
ある。有機酸溶媒は通常約1重量%以下の水を含有し,
必要とされる無水物の量は,水の量を基準として1当量
である。
【0035】DL−p−ヒドロキシフェニルグリシン
(DL−HPG)に関して,所望の異性体生成物の光学
純度に及ぼす水の影響が以下のように説明されている。
分割−相互転換混合物〔DL−HPG,酢酸,硫酸,サ
リチルアルデヒド,及び(+)−3−ブロモショウノウ
−8−スルホン酸〕が0.1重量%の水を含有している
とき,得られるD−HPGの光学純度は約88%であ
り;水の含量が0.01重量%であるとき,得られるD
−HPGの光学純度は約98%であり;そして水の含量
が0.001重量%であるとき,得られるD−HPGの
光学純度は約99%である。
【0036】本発明の方法は,(a) ジアステレオマ
ーの相互転換が実質的に妨げられる程度にはα−アミノ
酸のNH2 官能基に対してプロトン化を起こさない量の
無機酸の存在下にて,そして触媒作用有効量の芳香族ア
ルデヒドの存在下にて,α−アミノ酸又はその塩の光学
活性異性体混合物を,前記α−アミノ酸にとって少なく
とも部分溶媒である有機酸中で少なくとも1種のキラル
分割剤と接触させる工程;及び(b) 前記α−アミノ
酸と前記キラル分割剤との反応によって形成される所望
のジアステレオマーの分割と,非所望のジアステレオマ
ーのジアステレオマー相互転換とを同時に行う工程,こ
のとき前記の分割−相互転換は,コスト的に満足できる
分割所要時間が得られるに足る温度にて行われる;を含
む。
【0037】所望のジアステレオマーの収率(ラセミ混
合物の量を基準として)は,無機酸の添加速度や添加量
により異なり,また光学分割−相互転換が行われる時間
によっても変わる。一般に,分割−相互転換のプロセス
時間にわたって異性体混合物の量を基準として1当量の
無機強酸が加えられるとき,また反応温度が有機酸溶媒
の沸点にほぼ近い温度(通常は約60〜120℃)であ
るとき,所望のジアステレオマーを少なくとも99重量
%の収率で得るのに必要な時間は約2〜24時間であ
る。反応は一般にはわずかに吸熱反応であり,いったん
反応混合物が所望の反応温度に加熱されると,この温度
を保持するのにごく少量の熱しか必要とされない。
【0038】次いで前述のように,加水分解を施すこと
によってジアステレオマーが所望の異性体に転換され
る。
【0039】本発明の方法は,α−アミノ酸の光学活性
異性体混合物の分割に関する。
【0040】無機酸及び触媒作用有効量の芳香族アルデ
ヒドの存在下にて,α−アミノ酸(又はその塩)を,前
記α−アミノ酸にとって少なくとも部分溶媒である有機
酸中でキラル分割剤と接触させる。
【0041】α−アミノ酸が有機酸反応媒体中でキラル
分割剤と反応して,2種のジアステレオマー塩が形成さ
れる。ジアステレオマー塩の一方は,α−アミノ酸の所
望異性体の塩である。他方の非所望のジアステレオマー
は,所望のジアステレオマーに相互転換されなければな
らない。
【0042】本発明のプロセスにおいては,ジアステレ
オマーの分割と非所望ジアステレオマーの相互転換と
が,所望のジアステレオマー塩を有機酸溶媒から沈澱さ
せることのできる条件下で同時に行われる。全ての所望
ジアステレオマー塩の形成が完了してから所望のジアス
テレオマー塩を溶液から晶出させるよりむしろ,ジアス
テレオマー塩の混合物の形成時に所望のジアステレオマ
ー塩を沈澱させることにより,相互転換工程の平衡はシ
フトしやすくなり,従ってより短い所要時間でより高い
収率の所望ジアステレオマーが得られる。
【0043】本発明の分割−相互転換プロセスは,α−
アミノ酸,キラル分割剤,有機酸溶媒,および触媒作用
有効量の芳香族アルデヒドを含んだ媒体に無機酸(通常
は高濃度の無機酸)を加えることによって行われる。分
割−相互転換時に残留しているα−アミノ酸のNH2
能基の量に関係した,加える無機酸の量が重要なポイン
トである。わかりやすくするために(但しこれによって
限定されない),DL−p−ヒドロキシフェニルグリシ
ン(DL−HPG)の分割に関してその重要性を説明す
る。このとき無機酸は濃硫酸であり,キラル分割剤はD
−アンモニウム・ブロモショウノウスルホネート(D−
ABCS)であり,有機酸は酢酸であり,そして芳香族
アルデヒドはサリチルアルデヒドである。
【0044】分割−相互転換によって形成される所望の
生成物は,ジアステレオマー塩すなわちD−HPG・D
−BCSである。このジアステレオマー塩は次いで,加
水分解によってD−HPGに転換される。
【0045】分割−相互転換は以下のように示される。
【0046】 本プロセスは,D−HPG・D−BCSの沈澱とL−H
PG・D−BCSからDL−HPGへのジアステレオマ
ー相互転換の同時的な生起を含む。経済的な観点からみ
た本プロセスの実施可能性にとって,相互転換工程が速
やかであるといことが重要なポイントとなる。
【0047】相互転換の機構は次の通りであると考えら
れている。L−HPG・D−BCS塩のL−HPG部分
がL−HPGに転換され,次いでこれがサリチルアルデ
ヒドの存在下でイミンとDL−HPGに転換される。
【0048】 DL−HPGは,D−ABCS又はD−BCSと反応し
てさらなるD−HPG・D−BCSを生成することがで
きる。未反応の非プロトン化DL−HPGに対する非共
有電子対の利用可能性が,L−HPGをDL−HPGに
転換させるのに起こらなければならないイミン形成にと
って極めて重要なポイントである。発明者らは,ジアス
テレオマーの相互転換が実質的に妨げられる程度にまで
α−アミノ酸のNH2 官能基をプロトン化するような量
のH2 SO4 を加えると,D−HPGの収率が低下し,
また得られるD−HPGの光学純度も低下する,という
ことを見出した。分割−相互転換プロセスの開始時に1
当量以上の硫酸を加えると,ジアステレオマーの相互転
換が実質的に妨げられる。
【0049】分割−相互転換の開始時に1当量未満の硫
酸を加えると,これにより相互転換が達成されるウイン
ドー(window)が得られる。実験によれば,最初
に0.95当量の硫酸を加えると,相互転換のための有
用なウインドーが得られ,このとき相互転換プロセスは
約60〜120℃の温度で大気圧にて行われる,という
ことが示されている。残りの硫酸は,プロセスが進行す
るに従って加えることができる。
【0050】表1には,酢酸中80℃で行ったいくつか
の分割−相互転換実験の結果が示されている。使用され
ている酢酸の量は,DL−HPGの1容当たり酢酸が4
容である。
【0051】 ジアステレオマー過剰率(diastereomeri
c excess)は,分割−相互転換混合物の一部を
冷却し,次いで冷却した混合物を,J.T.ベーカー社
から市販のキラル・クラウンパック(Crownpa
k;登録商標)カラムを使用して分析することによって
求めた。
【0052】表1に示したジアステレオマーの過剰率と
転換率の値はいずれも,反応時間15分後に測定して得
られたものである。分割−相互転換は,大気圧下にて8
0℃で行った。実施例4と5の混合物を約2〜3週間さ
らに反応させると,90%のジアステレオマー過剰率
(転換率95重量%)が得られた。
【0053】このことから,充分な相互転換ウインドー
が開放されていないと,本プロセスが非経済的なものと
なることがわかる。
【0054】実施例6 無機強酸の逐次的な添加に代わる方法は,前述したよう
に,無機弱酸を使用する方法である。上記プロセスの開
始時に1.5当量のトリフルオロ酢酸(硫酸の代わりに
使用)を加えると,約10〜18時間にて99重量%以
上の転換率が得られた。
【0055】実施例7 沈澱による不斉転換: D−p−ヒドロキシフェニルグ
リシン(D−HPG)の立体特異的合成 機械的撹拌機,サーモウェル,加熱マントル,及び窒素
入口/バブラーシステムでキャップされた圧力均等化滴
下ロートを装備した12リットル容量の3つ口丸底フラ
スコ中に,DL−HPG(400g,2.39モル)と
酢酸(3,832ml)の混合物を仕込んだ。フラスコ
と補助容器は,大気圧にて窒素ブランケットの下側に配
置した。
【0056】DL−HPG/酢酸混合物に814g
(2.59モル)の(+)−3−ブロモ−9−ショウノ
ウ−スルホン酸アンモニウム塩(D−ABCS)を加
え;次いで1,076mlの酢酸中1M硫酸を加えてか
ら8.8mlのサリチルアルデヒドを加えて,反応スラ
リーを形成させた。
【0057】上記の混合物を撹拌し,70℃の温度に保
持した。DL−HPGとD−ABCSとの反応は約30
分間にわたって行った。
【0058】170mlの酢酸中1M硫酸を滴下ロート
中に入れ,この溶液を,2時間にわたって丸底フラスコ
中の反応混合物に加えた。2時間後,32.7gの無水
酢酸をフラスコに加えた。フラスコ中のスラリーを,撹
拌しながら18時間にわたって約70℃に保持し,次い
でフラスコ内容物を22℃に冷却した。
【0059】濾過することにより,スラリーからD−H
PG・D−BCSを捕集した。約1200mlの冷却し
た氷酢酸を使用して,D−HPG・D−BCSを洗浄し
た。(必要に応じて,D−HPG・D−BCSを,約2
0インチHgの減圧にて60℃の温度で約15時間乾燥
した。) 1133g(理論収率の99%)のD−HP
G・D−BCSが得られ,ジアステレオマー純度(di
astereomeric purity)は99.9
重量%であった。J.T.ベーカー社から市販のキラル
・クラウンパック(CRT)カラムを使用し,キラルH
PLC法によってジアステレオマー純度を測定した
(0.1重量%のHClO4 を含有したH2Oを移動相
として使用,流量0.6ml/分,280nm)。
【0060】反応フラスコに物質を加える順序は,酢
酸,D−ABCS,第1の添加の硫酸,及びサリチルア
ルデヒドであり,この後に水を捕捉するために無水酢酸
が加えられ,次いで反応を開始させるためにDL−HP
Gが加えられる。
【0061】D−HPGとD−BCSの塩(再循環する
ことができる)を形成させるためのD−HPG・D−B
CSの加水分解 250ml容量の3つ口丸底フラスコに,10g(2
0.4ミリモル)のD−HPG・D−BCS,1.1g
(10.4ミリモル)の炭酸ナトリウム,及び23gの
メタノールを仕込んだ。機械的撹拌機,サーモウェル,
加熱マントル,及び窒素入口/バブラーシステムでキャ
ップされた凝縮器を,フラスコに装備した。フラスコ
は,大気圧にて窒素ブランケットの下側に配置した。
【0062】D−HPG・D−BCSは,メタノール中
でスラリーを形成した。このスラリーを約60℃で約6
〜10時間撹拌し,次いで室温に冷却した。
【0063】形成されたD−HPGは上記スラリーから
濾過された固体であり,約10mlのメタノールを使用
して約60℃で洗浄した。20インチHgの減圧で40
℃にて乾燥した後,99.99+%の光学純度を有する
32g(理論収率の94重量%)のD−HPGが得られ
た。
【0064】ブロモショウノウスルホン酸のナトリウム
塩を含有したメタノール濾液に,メタノール1容当たり
約3容の酢酸を加えた。本混合物を蒸留してメタノール
を除去し,ブロモショウノウスルホン酸のナトリウム塩
を分割プロセスに再循環した。このとき分割能力の低下
は全く認められなかった。この単離プロセスでは,必要
に応じて炭酸アンモニウムを使用して,ブロモショウノ
ウスルホン酸のアンモニウム塩を得ることができる。
【0065】図1〜3は,3つの異なる組成の異性体混
合物に対するHPLCクラマトグラムを示している。図
1は,上記の分割−相互転換のための出発物質として使
用されるDL−HPGの初期ラセミ混合物に対するクロ
マトグラムを示している。図1においては,D−HPG
が10で表示されており,L−HPGが12で表示され
ている。キャリブレーション測定に基づき,図1のクロ
マトグラムはD−HPG:L−HPGの重量比が50:
50であることを示している。図3は,実施例7の生成
物D−HPGに対するクロマトグラムを示している。図
3においては,D−HPGが30で表示されており,L
−HPGは検出されていない。図3のクロマトグラム
は,実施例7の生成物に関してD−HPGの含量が9
9.99+重量%であることを示している。図2は比較
のために示したものであり,現在知られている最も高い
純度のD−HPGに対するクロマトグラムである。図2
においては,D−HPGが20で表示されており,L−
HPGが22で表示されている。図2のクロマトグラム
は,D−HPG:L−HPGの重量比が95.5:0.
5であること示している。
【0066】サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒド
を相互変換のための触媒として使用することを前述にて
説明した。相互転換プロセスに必要なイミンが,アミノ
酸の−NH2 官能基とサリチルアルデヒドのカルボニル
官能基とを横切って形成される。従って,当業者は,脂
肪族又は芳香族のアルデヒドもしくはケトンが触媒とし
て使用できることを認識している。しかしながら,α水
素原子を含有したカルボニル化合物は,酸性条件下では
自己縮合(アルドール縮合)を起こすので,α水素原子
をもたないカルボニル化合物(例えば芳香族アルデヒ
ド)を選択するのが望ましい。
【0067】本発明において使用することのできる芳香
族アルデヒドの例としては,サリチルアルデヒド,ベン
ズアルデヒド,3,5−ジクロロサリチルアルデヒド,
p−ニトロベンズアルデヒド,m−ニトロベンズアルデ
ヒド,及びo−ニトロベンズアルデヒド等がある。
【0068】α水素原子をもたない脂肪族アルデヒドも
使用することができ,例えばピバルアルデヒド等があ
る。
【0069】ラセミ化に関する種々の検討により,酢酸
中におけるD−HPGからDL−HPGへの相互転換速
度は,芳香族アルデヒドの電子的性質の関数であること
がわかった。電子欠乏性の芳香族アルデヒドを使用する
と,ラセミ化の速度が加速される。芳香環上に電子吸引
性の官能基が存在すると,触媒作用能力が向上する。表
2は,種々の芳香族アルデヒドを使用して行われた相互
転換に関する検討結果を示している。
【0070】 各実験(実施例)は氷酢酸中で行った(D−HPGの1
容当たり氷酢酸を4容使用)。使用したアルデヒドの量
は,D−HPGの量を基準として10モル%であった。
【0071】前述のキラルHPLC法を使用して相互転
換を測定した。
【0072】アルテヒド触媒の種類と分割−相互転換が
行われる温度を適切に選択すると,所望の異性体への高
い転換率を得るのに必要な時間が大幅に短縮される。
【0073】水の存在(ごく少量であっても)は,前述
したように,不斉転換時に得られるジアステレオマー過
剰率に悪影響を及ぼす。水はDL異性体混合物に対する
溶媒として作用し,このため,分割−相互転換媒体中に
おける異性体混合物のD−塩への完全な転換が妨げられ
る。
【0074】表3は,DL−HPGの分割−相互転換に
関する前述のプロセスにおいて得られるジアステレオマ
ー過剰率と転換率に及ぼす水の量の影響を示したさらな
るデータを提供している。
【0075】 実施例7の水含量は,捕捉剤としての無水酢酸の使用に
より無視しうるものであること;そして表3の反応は7
0℃で約18時間行ったこと以外は,全体としての反応
条件及び成分は実施例7の場合と同じであった。ジアス
テレオマー過剰率は,0.1%HCl水溶液中で冷却し
た反応混合物サンプルについてキラルHPLCによって
測定した。
【0076】低い転換率が得られたときは,沈澱プロセ
ス時に所望のD−異性体が非所望のDL異性体で汚染さ
れている可能性がある。
【0077】本発明のプロセスに対する最高収率は,酢
酸反応媒体に計算量の無水酢酸(カール−フィッシャー
滴定により求めた,酢酸中に存在する水の量を基準とし
て)を加えたときに得られた。遊離のα−アミノ酸は無
水酢酸と反応することが知られているので(対応するN
−アセチル誘導体を形成する),分割−相互転換プロセ
スの進行に応じて無水酢酸が反応媒体に加えられる最後
の成分となるような形で分割−相互転換プロセスを行
い,これによりDL−HPGの分解は最小限に抑えられ
た。
【0078】実施例16 沈澱による不斉転換: L−ホモアラニン−4−イル−
(メチル)リン酸(L−BAST)の立体特異的合成 使用した反応装置と反応条件は,反応物質の量が少ない
ために装置のサイズを減少させたこと以外は,実施例7
の場合と実質的に同じであった。
【0079】式 で示される1.66g(10ミリモル)のDL−BAS
TA(アンモニウム塩)を16mlの酢酸に加え;次い
で3.28g(10ミリモル)の3−ブロモショウノウ
−8−スルホン酸アンモニウム(D−ABCS)を加
え,そして18mlの酢酸中0.5M硫酸と50マイク
ロリットルのサリチルアルデヒドを加えて,反応スラリ
ーを形成させた。
【0080】上記のスラリーを撹拌し,約80℃の温度
で約30分間保持した。
【0081】酢酸中0.5M硫酸のさらに2.4ml
を,約2時間かけて約70℃の温度となっている反応ス
ラリーに加えた。
【0082】次いでこの反応スラリーを70℃の温度で
約10時間保持し,その後スラリーを約22℃に冷却し
濾過して,4.4gのL−ホモアラニン−4−イル−
(メチル)リン酸・D−ブロモショウノウスルホン酸
(L−BAST・D−BCS)を,DL−BASTA出
発物質を基準として約96重量%の収率で得た。本生成
物の光学純度は99.9%であった。次いで,実施例7
に記載したのと同じ加水分解法を使用して,L−BAS
TA・D−BCSからL−BASTAを得ることができ
る。
【0083】実施例17 沈澱による不斉転換: 3−(3,4−ジヒドロキシフ
ェニル)−L−アラニン(L−DOPA)の立体特異的
合成 本実施例に対して使用した反応装置と反応条件は,反応
物質の量が少ないために装置のサイズを減少させたこと
以外は,実施例7の場合と実質的に同じであった。
【0084】3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−
DL−アラニン(DL−DOPA)(1.97g,10
ミリモル)と酢酸(16ml)との混合物を,3.28
g(10ミリモル)の3−ブロモショウノウ−8−スル
ホン酸アンモニウム(D−ABCS)と接触させ;次い
で9mlの酢酸中0.5M硫酸と50マイクロリットル
のサリチルアルデヒドを加えて,反応スラリーを形成さ
せた。
【0085】上記の反応スラリーを撹拌し,約80℃の
温度で約30分間保持した。
【0086】次いで,酢酸中0.5M硫酸のさらに1.
2mlを,約2時間かけて約70℃の温度の反応スラリ
ーに加えた。
【0087】次いで反応スラリーを約70℃で約10時
間保持した後,スラリーを約22℃に冷却し,そして濾
過して4.96gのL−DOPA・D−BCSを得た
(DL−DOPA出発物質の量を基準として約96重量
%の収率)。本生成物の光学純度は約99.0%であっ
た。L−DOPA・D−BCSは,実施例7に記載の加
水分解法を使用してL−DOPAに転換させることがで
きる。
【0088】上記の好ましい実施例は単に例証のための
ものであり,特許請求の範囲に規定されている本発明の
精神と範囲を逸脱することなく種々の変形が可能である
ことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は,DL−HPGの50:50ラセミ混合
物に対する高速液体クロマトグラム(HPLC)を示し
ている。
【図2】図2は,アルドリッチ・ケミカル社から市販の
D−p−ヒドロキシフェニルグリシン(D−HPG)に
対するHPLCを示している。本生成物は,約99.5
重量%のD−HPGと約0.5重量%のL−p−ヒドロ
キシフェニルグリシン(L−HPG)を含んでいる。
【図3】図3は,本発明の方法を使用して製造されたD
−HPG(実施例7に記載)に対するHPLCを示して
いる。このD−HPGは99.99+%の光学純度を有
する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジヨン・アール・ダーウオツチヤー アメリカ合衆国テキサス州コーパス・クリ ステイ,ワイルドウツド 757 (72)発明者 グラハム・エヌ・モツト アメリカ合衆国テキサス州コーパス・クリ ステイ,レイク・コモ 7417

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) α−アミノ酸のNH2 官能基に
    対して不可逆的なプロトン化を起こさない量の無機酸,
    及び触媒作用有効量の芳香族アルデヒドの存在下におい
    て,α−アミノ酸又はその塩の異性体混合物を,前記α
    −アミノ酸にとって少なくとも部分溶媒である有機酸中
    で少なくとも1種のキラル分割剤と接触させる工程;及
    び(b) 前記α−アミノ酸と前記キラル分割剤との反
    応によって形成される所望のジアステレオマーの分割
    と,非所望のジアステレオマーのジアステレオマー相互
    転換とを同時に行う工程,このとき前記工程は,前記の
    分割−相互変換を促進するに足る温度にて,前記温度に
    おける分割−相互転換混合物が生成する圧力と同等の圧
    力にて,そして所望する収率の前記所望ジアステレオマ
    ーを所望する光学純度にて得るに足る時間にわたって行
    われる;を含む,α−アミノ酸立体異性体又はそれらの
    塩類の混合物を分割する方法。
  2. 【請求項2】 前記光学分割が前記有機酸の沸点未満の
    温度で行われる,請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記温度の範囲が約60℃〜約120℃
    である,請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記分割−相互転換がバッチ方式で行わ
    れ,前記分割−相互転換の所要時間が約24時間未満で
    ある,請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記分割−相互転換が連続的なプロセス
    にて行われる,請求項1〜3のいずれか一項に記載の方
    法。
  6. 【請求項6】 前記α−アミノ酸又はその塩が,DL−
    p−ヒドロキシフェニルグリシン,DL−ホモアナリン
    −4−イル−(メチル)リン酸とそのアンモニウム塩,
    及び3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−DL−ア
    ラニンからなる群から選ばれる,請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記α−アミノ酸がDL−p−ヒドロキ
    シフェニルグリシンである,請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記キラル分割剤が(+)−3−ブロモ
    ショウノウ−8−スルホン酸アンモニウム塩である,請
    求項7記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記有機酸がC1 〜C6 アルカン酸から
    なる群から選ばれる,請求項1記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記有機酸が酢酸である,請求項9記
    載の方法。
  11. 【請求項11】 前記無機酸が,塩酸,硫酸,リン酸,
    トリフルオロメタンスルホン酸,及びトルエンスルホン
    酸からなる群から選ばれる,請求項1記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記無機酸が,塩酸,硫酸,及びリン
    酸からなる群から選ばれる無機強酸であり,前記接触工
    程時における前記無機強酸の濃度が,未反応のα−アミ
    ノ酸又はその塩の当量数を基準として1当量未満であ
    る,請求項11記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記芳香族アルデヒドが芳香環上に電
    子吸引基を含む,請求項1記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記芳香族アルデヒドが,サリチルア
    ルデヒド,3,5−ジクロロベンズアルデヒド,及びm
    −ニトロベンズアルデヒドからなる群から選ばれる,請
    求項13記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記芳香族アルデヒドがサリチルアル
    デヒドである,請求項14記載の方法。
  16. 【請求項16】 存在する水を取り除くために,前記分
    割−相互転換混合物に水捕捉剤が加えられる,請求項1
    記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記水捕捉剤が無水物である,請求項
    16記載の方法。
  18. 【請求項18】 前記無水物が前記有機酸の無水物であ
    る,請求項17記載の方法。
  19. 【請求項19】 得られる前記所望ジアステレオマーを
    引き続き加水分解処理して,前記所望ジアステレオマー
    から所望の光学異性体を得る,請求項1記載の方法。
  20. 【請求項20】 (a) DL−p−ヒドロキシフェニ
    ルグリシンのNH2官能基に対して不可逆的なプロトン
    化を起こさない量の無機酸,及び触媒作用有効量の芳香
    族アルデヒドの存在下において,DL−p−ヒドロキシ
    フェニルグリシンの異性体混合物を,前記DL−p−ヒ
    ドロキシフェニルグリシンにとって少なくとも部分溶媒
    である有機酸中で(+)−3−ブロモショウノウ−8−
    スルホン酸アンモニウム塩と接触させる工程;及び
    (b) D−p−ヒドロキシフェニルグリシン・(+)
    −3−ブロモショウノウ−8−スルホン酸塩の分割と,
    L−p−ヒドロキシフェニルグリシン・(+)−3−ブ
    ロモショウノウ−8−スルホン酸塩のDL−p−ヒドロ
    キシフェニルグリシンへの相互転換とを同時に行う工
    程,このとき前記工程は,約60℃〜約120℃の範囲
    の温度にて,前記温度における分割−相互転換混合物が
    生成する圧力と同等の圧力にて,そして所望する収率の
    前記所望ジアステレオマーを所望する光学純度にて得る
    に足る時間にわたって行われる;を含む,DL−p−ヒ
    ドロキシフェニルグリシンの異性体混合物の光学活性異
    性体を分割する方法。
  21. 【請求項21】 前記分割−相互転換がバッチ方式で行
    われ,前記分割−相互転換の所要時間が約24時間未満
    である,請求項20記載の方法。
  22. 【請求項22】 前記分割−相互転換が連続的なプロセ
    スにて行われる,請求項20記載の方法。
  23. 【請求項23】 得られる前記所望ジアステレオマーを
    引き続き加水分解処理して,前記所望ジアステレオマー
    から所望の光学異性体を得る,請求項20記載の方法。
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