JPH0540450Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は病理組織検査用フレームカセツトに関
し、更に詳しくは生体組織等の資料用検体の薬品
による処理等を含めた顕微鏡用標本作成の作業性
を向上させるとともに、検査の効率と信頼性を高
め、且つ検体の冷凍保存に好適な病理組織検査用
フレームカセツトに関するものである。

「従来技術と問題点」 今日、癌等の診断において、生体から組織を採
取して組織学的に検索する所謂生検が広く活用さ
れている。かかる生検は、例えば0.5〜５mm程度
の生体組織を第１図に示した如き縦4.5cm×横6.5
cm程度の大きさで0.2mm程度のメツシユ製袋１の
中に採取し、水洗し、アルコールにより脱水した
後、キシレンで処理され、しかる後第３図に示す
如きステンレス製のトレイ２の中に液状パラフイ
ンを入れ、検体をメツシユ袋より、取り出して該
液状パラフインの上に配置し、トレイの側壁に設
けた支持部３の上に第２図に示す如き包埋リング
４を載せて更に液状パラフインを注ぎ込み、該パ
ラフインを固化させて検体をパラフイン中に包埋
させ、上記トレイ２を取り除いて第４図に示した
如き包埋リング４と、検体を包埋したパラフイン
５とが一体化したカセツトブロツクを作成し、こ
れをスライスして顕微鏡標本を作成し、顕微鏡で
観察される。

また他の方法として、検体を再検査や研究等の
目的で一定期間保存する必要がある場合等におい
ては、上記の如くメツシユ袋１中で検体を薬品処
理した後、上記包埋リング４に代えて、第５図に
示した如く、透孔７を穿設したプレートと、その
両側に立設した側壁８とからなるステンレス製の
支持体６（通常、「クリオスタツト（商品名）」と
称されている）を用い、以下上記と同様にパラフ
インで包埋させ、第６図に示した如き、支持体６
とトレイ２とが、検体１０を包埋したパラフイン
９を介した一体化物を得て、液体窒素等の冷媒に
より冷凍保存され、検査の際にはこれをスライス
して標本が作成される。

しかし乍ら、前者の方法にあつてはメツシユ袋
の中で薬品処理するため、検体が変形する場合が
あり、また薬品の透過性も必ずしも十分ではな
い。また、検体を保存する場合は、第５図に示し
た如き支持体を必要とする。

一方、後者においては、メツシユ袋の中で薬品
処理する場合の上記問題点に加えて、ステンレス
製であるので高価となる。更には、液体窒素で冷
凍する際に、液体窒素が掛かり不都合を生じると
いう問題を内蔵している。

「問題点を解決するための手段」 本考案者はかかる実情に鑑み、鋭意研究の結
果、上記包埋リングと支持体とを兼ね備え、しか
も安価な病理組織検査用フレームカセツトを提供
するに至つたものである。

「実施例」 本考案の実施態様を示す図面に基づいて説明す
ると、第７図Ａは本考案のフレームカセツトの斜
視図、第７図Ｂは第７図ＡにおけるＸ−Ｘ断面図
でる。

これらの図において、本考案のフレームカセツ
ト１１は多数の細孔１２を備えた底部１３の周囲
を側壁１４により包囲された篭部１５と、前記底
部１３より相対する２方向に延設された突縁部１
６とから構成される。細孔１２は採取した検体の
大きさにより、検体が落下しない程度の大きさが
選ばれるが、通常0.2〜0.7mmの範囲から選択され
る。また、細孔１２は内側から外側へ収束するテ
ーパー状とすることにより、後にパラフインと一
体化する際の係合力を高めることができる。側壁
１４の四角には補強のための柱状肉厚部１７で、
これにより後にパラフイン包埋検体を薄切して標
本とする際の作業が容易となる。１８は被検者名
や番号等を記入するためのマーキング部で、ボー
ルペン等により記入できる様に梨地加工されてい
る。また、側壁１４が底部１３を貫き延長したと
ころの裏面には突起部１９が突設されている。

上記篭部１５の形状は四角形に限らず、円形で
も楕円形等であつても何ら差し支えない。突縁部
１６もパラフイン包埋の際に使用されるトレイの
形状に応じ、周囲に設けても良いし、また図示せ
る如く、相対する２方向に設けても良い。更に突
起部１９もトレイの形状によつては省略しても良
い。マーキング部は突縁部１６に設けてもよい。
フレームカセツト１１は耐薬品性及び耐低温性の
あるポリアセタール、ポリカーボネート等の合成
樹脂が好適である。

上記の如きフレームカセツトの使用について説
明すると、メツシユ袋より取り出した検体を篭部
１５の底部上に置き、薬品処理を施す。その後、
トレイ２０内に液状パラフインを入れ、薬品処理
した検体２２を該液状パラフインの上に置き、ト
レイ２０の両側に延設された支持縁２１上に上記
フレームカセツト１１を載せ、第８図に示す如
く、フレームカセツト１１の上から細孔１２を通
じて液状パラフインを検体上に透下させ細孔１２
を覆う任意のレベルまで注ぎ、冷却固化させてフ
レームカセツト１１とトレイ２０とを、検体２２
を包埋した固化パラフイン２３を介して一体化さ
せる。尚、薬品処理は従来通りメツシユ袋のまま
で行つても良いことは勿論である。

顕微鏡標本を作成する場合は、上記トレイ２０
を取り去り、ミクロトームで検体包埋パラフイン
を薄切する。また該検体を保持する場合は、トレ
イを取り去ることなく、液体窒素に漬けて冷凍し
て所定の保存温度で保管する。

上記トレイ２０は図示した如く、支持縁２１周
囲を５〜10mm程度の高さの壁２４を設けるのが好
ましい。この壁２４は液体窒素で冷凍する際に、
液体窒素が掛かり不都合が生じるのを防止する。
トレイ２０は耐低温性のある合成樹脂が好適であ
るが、軟質の合成樹脂を使用すれば、固化パラフ
インからトレイを取り去る作業が容易となり、好
適である。

「作用・効果」 叙上の通り、本考案のフレームカセツトは、包
埋リングと、冷凍保存のための支持体とを兼ねる
ので安価であるばかりでなく、作業効率が向上す
る。また本考案のフレームカセツトは、メツシユ
袋で薬品処理する場合に比べて薬品透過性が良
く、また検体変形の惧れもない。更には、マーキ
ング部を設けたことにより、検体を取り違えた
り、被検者や採取場所を間違えるといつたトラブ
ルが防止され、検査の信頼性が確保される。本考
案のフレームカセツトは合成樹脂製であるから、
例えば従来の金属製の支持体に比較しても約1/10
と非常に経済的である。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第４図は、それぞれ従来のメツシユ
袋、包埋リング、ステンレス製トレイ、及びカセ
ツトブロツクの概要図、第５図及び第６図は、そ
れぞれ検体を冷凍保存するための従来の支持体、
及び支持体とトレイとが検体包埋固化パラフイン
を介して一体化された状態を示す概要図、第７図
Ａ，Ｂは本考案のフレームカセツトの実施態様を
示すもので、第７図Ａは斜視図、第７図Ｂは第７
図ＡにおけるＸ−Ｘ断面図、第８図は本考案のフ
レームカセツトとトレイとが検体包埋固化パラフ
インを介して一体化された状態を示す概要図であ
る。 １１……フレームカセツト、１２……細孔、１
３……底部、１４……側壁、１５……篭部、１６
……突縁部、１７……柱状肉厚部、１８……マー
キング部、１９……突起部、２０……トレイ、２
１……支持縁、２２……検体、２３……パラフイ
ン、２４……壁。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 耐薬品性と耐低温性を有する合成樹脂からな
   り、多数の細孔を備えた底部の周囲を側壁によ
   り包囲された籠部と、前記底部より外側に略水
   平に延設された突縁部とからなり、前記側壁及
   び／又は突縁部にマーキング部を設けた病理組
   織検査用フレームカセツト。 ２ 細孔が0.2〜0.7mmである実用新案登録請求の
   範囲第１項記載のフレームカセツト。 ３ 細孔が底部内側から外側に収束するテーパー
   状の細孔である実用新案登録請求の範囲第１項
   又は第２項記載のフレームカセツト。