JPH05214002A - 血糖上昇が緩徐な還元デキストリン及びこれを有効成分として含有して成る食品組成物 - Google Patents
血糖上昇が緩徐な還元デキストリン及びこれを有効成分として含有して成る食品組成物Info
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- JPH05214002A JPH05214002A JP4056738A JP5673892A JPH05214002A JP H05214002 A JPH05214002 A JP H05214002A JP 4056738 A JP4056738 A JP 4056738A JP 5673892 A JP5673892 A JP 5673892A JP H05214002 A JPH05214002 A JP H05214002A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】血糖上昇が緩徐であると共に味覚的にも優れた
デキストリンを開発すること。 【構成】澱粉乳液を酸加水分解後に、α−アミラーゼに
よってDE15〜22の範囲内に加水分解し、続いて水
素添加すること
デキストリンを開発すること。 【構成】澱粉乳液を酸加水分解後に、α−アミラーゼに
よってDE15〜22の範囲内に加水分解し、続いて水
素添加すること
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は血糖上昇が緩徐であり、
加えてカロリ−を有するため、糖尿病、腎臓病、ならび
に糖尿性腎症患者の予防および治療に際して、効果的に
利用できる還元デキストリン及び、この還元デキストリ
ンを構成成分とする食品組成物に関する。
加えてカロリ−を有するため、糖尿病、腎臓病、ならび
に糖尿性腎症患者の予防および治療に際して、効果的に
利用できる還元デキストリン及び、この還元デキストリ
ンを構成成分とする食品組成物に関する。
【0002】
【従来技術】近年、食生活は豊になったものの、過剰栄
養、偏食に加えて、運動不足が重なって、糖尿病をはじ
めとした成人病が増加の傾向にある。糖尿病の予防と治
療の主目標は血糖コントロ−ルにあり、緊急的にはイン
スリン製剤の投与等が実施されるが、インスリン感受性
及び内分泌機能維持を目的とした食事療法が、第一義的
に採用される。具体的には、インスリンに依存せずに消
化吸収される単糖類、あるいは糖アルコ−ル例えば、果
糖、ソルビト−ル、キシリト−ル等が糖尿病食に使用さ
れている。また、マルチト−ル、マルト−スやロイクロ
−ス等の二糖類、さらにはグルコ−スポリマ−(米国特
許第3,928,135号)を含有する輸液及び飲食物
が、摂取後の一過性高血糖の予防、インスリン分泌節
約、エネルギ−補給、あるいは輸液の浸透圧低下の目的
をもって利用されている。
養、偏食に加えて、運動不足が重なって、糖尿病をはじ
めとした成人病が増加の傾向にある。糖尿病の予防と治
療の主目標は血糖コントロ−ルにあり、緊急的にはイン
スリン製剤の投与等が実施されるが、インスリン感受性
及び内分泌機能維持を目的とした食事療法が、第一義的
に採用される。具体的には、インスリンに依存せずに消
化吸収される単糖類、あるいは糖アルコ−ル例えば、果
糖、ソルビト−ル、キシリト−ル等が糖尿病食に使用さ
れている。また、マルチト−ル、マルト−スやロイクロ
−ス等の二糖類、さらにはグルコ−スポリマ−(米国特
許第3,928,135号)を含有する輸液及び飲食物
が、摂取後の一過性高血糖の予防、インスリン分泌節
約、エネルギ−補給、あるいは輸液の浸透圧低下の目的
をもって利用されている。
【0003】糖尿病は多くの合併症を伴うが、高血糖に
よる血管病変が腎臓に生じた場合、糖尿病性腎症を来
す。糖尿病性腎症へ進行するか否かは血糖コントロ−ル
の良否により左右されるため、上述のような方法が実施
されるが、不幸にして糖尿病性腎症に至った場合は腎機
能障害の程度により、食事療法は糖尿病食から腎臓病食
へと移行する。腎臓病食は高カロリ−・低蛋白質が基準
であり、これにより、むくみ、蛋白尿等の腎臓病の症状
を軽減すると共に、腎臓機能の維持、体蛋白質の破壊を
防ぐ。高エネルギ−・低蛋白質を限られた食事容量の中
で実現するため、高脂肪、高糖質の組成から成る治療食
が提供され、脂肪源として中鎖脂肪酸からなるトリグリ
セリド、糖質源として澱粉、粉アメ等が治療食の構成成
分として使用されている。
よる血管病変が腎臓に生じた場合、糖尿病性腎症を来
す。糖尿病性腎症へ進行するか否かは血糖コントロ−ル
の良否により左右されるため、上述のような方法が実施
されるが、不幸にして糖尿病性腎症に至った場合は腎機
能障害の程度により、食事療法は糖尿病食から腎臓病食
へと移行する。腎臓病食は高カロリ−・低蛋白質が基準
であり、これにより、むくみ、蛋白尿等の腎臓病の症状
を軽減すると共に、腎臓機能の維持、体蛋白質の破壊を
防ぐ。高エネルギ−・低蛋白質を限られた食事容量の中
で実現するため、高脂肪、高糖質の組成から成る治療食
が提供され、脂肪源として中鎖脂肪酸からなるトリグリ
セリド、糖質源として澱粉、粉アメ等が治療食の構成成
分として使用されている。
【0004】しかし、これらの物質はカロリ−の面では
目的にかなうが、澱粉は消化性が悪く、逆に粉アメは一
過性に高血糖を生じ、インスリンの過剰分泌を招くと共
に、高脂血症を引き起こすことが指摘されており、糖尿
病性腎症患者のみならず、その他の腎臓病患者にとって
も両刃の剣的な作用を有する。また、グルコ−スを除く
単糖類あるいは糖アルコ−ル、マルト−スはインスリン
に依存せずに消化吸収されるが、糖アルコ−ルはカロリ
−が低く、他の単糖類、二糖類は甘味度が高いため食事
の中で大量にとることは困難であり、また経腸栄養とし
て摂取する場合は浸透圧が上昇し、下痢の発生が多いた
めにその利用が限定されるなどあまたの欠陥がある。
目的にかなうが、澱粉は消化性が悪く、逆に粉アメは一
過性に高血糖を生じ、インスリンの過剰分泌を招くと共
に、高脂血症を引き起こすことが指摘されており、糖尿
病性腎症患者のみならず、その他の腎臓病患者にとって
も両刃の剣的な作用を有する。また、グルコ−スを除く
単糖類あるいは糖アルコ−ル、マルト−スはインスリン
に依存せずに消化吸収されるが、糖アルコ−ルはカロリ
−が低く、他の単糖類、二糖類は甘味度が高いため食事
の中で大量にとることは困難であり、また経腸栄養とし
て摂取する場合は浸透圧が上昇し、下痢の発生が多いた
めにその利用が限定されるなどあまたの欠陥がある。
【0005】一方澱粉を原料とするマルトデキストリン
は、酸加水分解法によって製造される、いわゆる粉アメ
に始まり、近年α−アミラーゼによる高温液化法が開発
されてからは、α−アミラーゼによる酵素加水分解法に
よって製造されるようになってきた。さらに一部では酸
を使用して軽度に加水分解した後に、α−アミラーゼに
より酵素加水分化する複合加水分解法も行われている。
は、酸加水分解法によって製造される、いわゆる粉アメ
に始まり、近年α−アミラーゼによる高温液化法が開発
されてからは、α−アミラーゼによる酵素加水分解法に
よって製造されるようになってきた。さらに一部では酸
を使用して軽度に加水分解した後に、α−アミラーゼに
より酵素加水分化する複合加水分解法も行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように腎臓
病、糖尿病、ならびに糖尿病性腎症の予防および治療に
求められるのは、簡易に経口摂取でき(医行為である経
静脈投与ではなく)エネルギ−を有してはいるが、摂取
後の血糖値上昇が緩徐であるためにインスリンの分泌が
節約でき、そのためインスリンの過剰分泌による脂肪の
合成促進、それに伴う肥満の助長、糖尿病の発症あるい
は顕性化等の予防が期待できる糖質である。
病、糖尿病、ならびに糖尿病性腎症の予防および治療に
求められるのは、簡易に経口摂取でき(医行為である経
静脈投与ではなく)エネルギ−を有してはいるが、摂取
後の血糖値上昇が緩徐であるためにインスリンの分泌が
節約でき、そのためインスリンの過剰分泌による脂肪の
合成促進、それに伴う肥満の助長、糖尿病の発症あるい
は顕性化等の予防が期待できる糖質である。
【0007】従って本発明が解決しようとする課題は、
これらの特性を十分に満たすと共に味覚的にも優れ、且
つ上記の病気の予防および治療に効果的に使用できる素
材およびそれを構成成分とする食品組成物を開発するこ
とである。
これらの特性を十分に満たすと共に味覚的にも優れ、且
つ上記の病気の予防および治療に効果的に使用できる素
材およびそれを構成成分とする食品組成物を開発するこ
とである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来から
マルトデキストリンや、それを水素添化して得られる、
還元デキストリンの製造法や、その生理作用の研究を続
けてきた。さらにこれらのデキストリン類の加水分解方
法と味覚との相関を研究の結果、マルトデキストリンの
加水分解に当たり、酸を使用して軽度に加水分解した後
に、α−アミラーゼで加水分解して得たマルトデキスト
リンが味覚に優れていることから、さらにこのマルトデ
キストリンと、これを水素添加して得られる還元デキス
トリンについて詳細な研究を行った結果、後記するよう
に、この還元デキストリンが味覚に優れると共に、血糖
上昇が緩徐であるとの新知見を得、さらにこの還元デキ
ストリンを食品の構成成分として使用した場合に、食品
本来の風味やテクスチャーを損なうことが少ないことか
ら本発明を完成するに至った。
マルトデキストリンや、それを水素添化して得られる、
還元デキストリンの製造法や、その生理作用の研究を続
けてきた。さらにこれらのデキストリン類の加水分解方
法と味覚との相関を研究の結果、マルトデキストリンの
加水分解に当たり、酸を使用して軽度に加水分解した後
に、α−アミラーゼで加水分解して得たマルトデキスト
リンが味覚に優れていることから、さらにこのマルトデ
キストリンと、これを水素添加して得られる還元デキス
トリンについて詳細な研究を行った結果、後記するよう
に、この還元デキストリンが味覚に優れると共に、血糖
上昇が緩徐であるとの新知見を得、さらにこの還元デキ
ストリンを食品の構成成分として使用した場合に、食品
本来の風味やテクスチャーを損なうことが少ないことか
ら本発明を完成するに至った。
【0009】従ってこの課題は還元デキストリンの加水
分解方法と味覚との相関、及びそのヒトへの生理作用を
研究し、最適の還元デキストリンを開発することと、こ
の還元デキストリンを食品の構成成分とすることで解決
される。
分解方法と味覚との相関、及びそのヒトへの生理作用を
研究し、最適の還元デキストリンを開発することと、こ
の還元デキストリンを食品の構成成分とすることで解決
される。
【0010】
【発明の構成並びに作用】本明細書において還元デキス
トリンの熱量は100gを330Kcalとし、マルト
デキストリンは370Kcal、その他の材料について
は四訂、「日本食品標準成分表(科学技術庁資源調査会
編集、大蔵省印刷局発行、昭和57年)」に基いて計算
した。
トリンの熱量は100gを330Kcalとし、マルト
デキストリンは370Kcal、その他の材料について
は四訂、「日本食品標準成分表(科学技術庁資源調査会
編集、大蔵省印刷局発行、昭和57年)」に基いて計算
した。
【0011】また同様に食品組成物とは、ヒトの食品、
動物園用の飼料、ペットフードなどを総称するものであ
る。澱粉を原料とした還元デキストリンであることか
ら、従来焙焼デキストリンやマルトデキストリンが使用
できる食品の全てが包含される。即ち、コーヒー、紅
茶、コーラ、ジュース等の液体及び粉末の飲料類、パ
ン、クッキー、ビスケット、ケーキ、ピザ、パイ等のベ
ーカリー類、ウドン、ラーメン、ソバ等の麺類、スパゲ
ッテイ、マカロニ、フェットチーネ等のパスタ類、キャ
ンデー、チョコレート、チューインガム等の菓子類、ド
ーナッツ、ポテトチップス等の油菓子類、アイスクリー
ム、シェーク、シャーベット等の冷菓類、クリーム、チ
ーズ、粉乳、練乳、クリーミイパウダー、コーヒーホワ
イトナー、乳飲料等の乳製品、プリン、ヨーグルト、ド
リンクヨーグルト、ゼリー、ムース、ババロア等のチル
ドデザート類、各種スープ、シチュー、グラタン、カレ
ー等のレトルトパウチないし缶詰類、各種味噌、醤油、
ソース、ケチャップ、マヨネーズ、ドレッシング、ブイ
ヨン、各種ルー等の調味料類、ハム、ソーセージ、ハン
バーグ、ミートボール、コーンビーフ等の肉加工品及び
それらの冷凍食品、ピラフ、コロッケ、オムレツ、ドリ
ア等の冷凍加工食品、クラブスチック、カマボコ等の水
産加工品、乾燥マッシュポテト、ジャム、マーマレー
ド、ピーナッツバター、ピーナッ等の農産加工品、その
他佃煮、餅、米菓、スナック食品、ファーストフード等
にも効果的に使用できる。
動物園用の飼料、ペットフードなどを総称するものであ
る。澱粉を原料とした還元デキストリンであることか
ら、従来焙焼デキストリンやマルトデキストリンが使用
できる食品の全てが包含される。即ち、コーヒー、紅
茶、コーラ、ジュース等の液体及び粉末の飲料類、パ
ン、クッキー、ビスケット、ケーキ、ピザ、パイ等のベ
ーカリー類、ウドン、ラーメン、ソバ等の麺類、スパゲ
ッテイ、マカロニ、フェットチーネ等のパスタ類、キャ
ンデー、チョコレート、チューインガム等の菓子類、ド
ーナッツ、ポテトチップス等の油菓子類、アイスクリー
ム、シェーク、シャーベット等の冷菓類、クリーム、チ
ーズ、粉乳、練乳、クリーミイパウダー、コーヒーホワ
イトナー、乳飲料等の乳製品、プリン、ヨーグルト、ド
リンクヨーグルト、ゼリー、ムース、ババロア等のチル
ドデザート類、各種スープ、シチュー、グラタン、カレ
ー等のレトルトパウチないし缶詰類、各種味噌、醤油、
ソース、ケチャップ、マヨネーズ、ドレッシング、ブイ
ヨン、各種ルー等の調味料類、ハム、ソーセージ、ハン
バーグ、ミートボール、コーンビーフ等の肉加工品及び
それらの冷凍食品、ピラフ、コロッケ、オムレツ、ドリ
ア等の冷凍加工食品、クラブスチック、カマボコ等の水
産加工品、乾燥マッシュポテト、ジャム、マーマレー
ド、ピーナッツバター、ピーナッ等の農産加工品、その
他佃煮、餅、米菓、スナック食品、ファーストフード等
にも効果的に使用できる。
【0012】また食品組成物に添加できる還元デキスト
リンの量は、食品の品位を損なわない限りは量的な制限
はない。しかし生理作用への影響は個人差があることか
ら、効果を見ながら適宜増減するのが最も好ましい。
リンの量は、食品の品位を損なわない限りは量的な制限
はない。しかし生理作用への影響は個人差があることか
ら、効果を見ながら適宜増減するのが最も好ましい。
【0013】また本明細書において血糖上昇緩徐とは、
耐糖能試験において、各測定時間における血糖値が他の
糖類負荷の場合と比較した場合に、比較的早い時間(〜
60分)で、有意に低値を示すことである。例えばラッ
トを用いた実験において、「TK−16(商品名、松谷
化学工業株式会社製造の酸と酵素分解によるDE19の
マルトデキストリン)」の負荷の耐糖能試験で、30分、
60分の血糖値はそれぞれ214.8±5.9、19
4.8±7.2mg/dlであり、これに比べて「H−
PDX(商品名、松谷化学工業株式会社製造のTK−1
6の水素添加による還元デキストリン)」では、それぞ
れ178.6±14.0、164.4±25.8mg/
dlであり、「H−PDX」の方が有意に低値(p<
0.05)であった。
耐糖能試験において、各測定時間における血糖値が他の
糖類負荷の場合と比較した場合に、比較的早い時間(〜
60分)で、有意に低値を示すことである。例えばラッ
トを用いた実験において、「TK−16(商品名、松谷
化学工業株式会社製造の酸と酵素分解によるDE19の
マルトデキストリン)」の負荷の耐糖能試験で、30分、
60分の血糖値はそれぞれ214.8±5.9、19
4.8±7.2mg/dlであり、これに比べて「H−
PDX(商品名、松谷化学工業株式会社製造のTK−1
6の水素添加による還元デキストリン)」では、それぞ
れ178.6±14.0、164.4±25.8mg/
dlであり、「H−PDX」の方が有意に低値(p<
0.05)であった。
【0014】「TK−16」を負荷したラットの血糖値
の集団(A)と「H−PDX」を負荷したラットの血糖
値(B)の集団は、それぞれ正規分布より少しすそを長
くひいたt分布と呼ばれる分布になる。そしてこの2つ
の集団の分布がその分布を表す曲線下面積の5%以下し
か重ならない場合、p<0.05(危険率5%)で有意
差があるという。統計学上5%の確率とは非常に低いも
のとみなされるので、この場合は「H−PDX」は「T
K−16」よりも血糖上昇が緩徐であることが明かであ
る。
の集団(A)と「H−PDX」を負荷したラットの血糖
値(B)の集団は、それぞれ正規分布より少しすそを長
くひいたt分布と呼ばれる分布になる。そしてこの2つ
の集団の分布がその分布を表す曲線下面積の5%以下し
か重ならない場合、p<0.05(危険率5%)で有意
差があるという。統計学上5%の確率とは非常に低いも
のとみなされるので、この場合は「H−PDX」は「T
K−16」よりも血糖上昇が緩徐であることが明かであ
る。
【0015】またラットを用いた「H−PDX」の経口
投与による急性毒性試験により死亡例は見られず、LD
50値は本試験の最大投与量の40g/Kg体重以上と推
定されD−グルコ−スの25.8g/Kg体重の1.55
倍以上の高値であった。また変異原性試験の結果も陰性
であった。従って本発明による還元デキストリン及び食
品組成物は安全性が高く、D−グルコ−スと同様に1日
の摂取に上限はないと思われる。また経口摂取する場合
取扱いの容易性、味覚等の面からおのずと摂取量は制限
されてくるものであるが、本発明の還元デキストリンは
酸と酵素の複合加水分解法によって製造されるため、高
分子の糖類もよく分解されていて糊感がなく、粘度は砂
糖とほぼ同じで低い。また低分子の糖類も少ないので甘
味度も低く、しかも水素添加してあるためにさわやかな
甘味を有しており、かなり多量に摂取することが可能で
ある。
投与による急性毒性試験により死亡例は見られず、LD
50値は本試験の最大投与量の40g/Kg体重以上と推
定されD−グルコ−スの25.8g/Kg体重の1.55
倍以上の高値であった。また変異原性試験の結果も陰性
であった。従って本発明による還元デキストリン及び食
品組成物は安全性が高く、D−グルコ−スと同様に1日
の摂取に上限はないと思われる。また経口摂取する場合
取扱いの容易性、味覚等の面からおのずと摂取量は制限
されてくるものであるが、本発明の還元デキストリンは
酸と酵素の複合加水分解法によって製造されるため、高
分子の糖類もよく分解されていて糊感がなく、粘度は砂
糖とほぼ同じで低い。また低分子の糖類も少ないので甘
味度も低く、しかも水素添加してあるためにさわやかな
甘味を有しており、かなり多量に摂取することが可能で
ある。
【0016】本発明に於いて原料澱粉としてはコーン、
馬鈴薯、甘藷、タピオカ、米などの食品用澱粉が何れも
使用できる。これらの澱粉を乳液として加水分解する
が、乳液の濃度は通常45%以下であるが、分解の容易
性と経済性を考慮すれば30〜40%が好ましい。
馬鈴薯、甘藷、タピオカ、米などの食品用澱粉が何れも
使用できる。これらの澱粉を乳液として加水分解する
が、乳液の濃度は通常45%以下であるが、分解の容易
性と経済性を考慮すれば30〜40%が好ましい。
【0017】また酸加水分解に用いる酸としては、塩
酸、硫酸、シュウ酸等のいずれもが使用できるが、シュ
ウ酸の場合はカルシウム塩で中和して濾別できるので最
も好ましい。
酸、硫酸、シュウ酸等のいずれもが使用できるが、シュ
ウ酸の場合はカルシウム塩で中和して濾別できるので最
も好ましい。
【0018】酸加水分解の程度としては、余り軽度の場
合は糖感が残り、また高度の場合は甘味が増加するの
で、中間程度、すなわちDEとして約8〜12の範囲で
あることが好ましい。さらに好ましくは酵素加水分解物
のDEが約15程度の場合は、酸加水分解のDEが約8
程度で、酵素加水分解物のDEが約22程度の場合は、
酸加水分解物のDEが12程度である。
合は糖感が残り、また高度の場合は甘味が増加するの
で、中間程度、すなわちDEとして約8〜12の範囲で
あることが好ましい。さらに好ましくは酵素加水分解物
のDEが約15程度の場合は、酸加水分解のDEが約8
程度で、酵素加水分解物のDEが約22程度の場合は、
酸加水分解物のDEが12程度である。
【0019】酵素加水分解に当たっては、市販のα−ア
ミラーゼが何れも使用できるが、例えば「ターマミル
(商品名、ノボ社製造の高温耐熱性のα−アミラーゼ製
剤)」や、「クライスターゼKD(商品名、大和化成製
造の耐熱性のα−アミラーゼ製剤)」が特に効果的に使
用できる。
ミラーゼが何れも使用できるが、例えば「ターマミル
(商品名、ノボ社製造の高温耐熱性のα−アミラーゼ製
剤)」や、「クライスターゼKD(商品名、大和化成製
造の耐熱性のα−アミラーゼ製剤)」が特に効果的に使
用できる。
【0020】水素添加自体も従来の水素添加手段がいず
れも適用出来、通常の触媒、たとえばラニーニッケル等
を使用して圧力30〜70好ましくは45〜55Kg/cm
2、温度20〜60℃、好ましくは25℃前後で、水素
添加が終了するまで行う。
れも適用出来、通常の触媒、たとえばラニーニッケル等
を使用して圧力30〜70好ましくは45〜55Kg/cm
2、温度20〜60℃、好ましくは25℃前後で、水素
添加が終了するまで行う。
【0021】本発明の還元デキストリンは、通常下痢発
症に対する50%効果量が100g以上と推定されるの
で、還元デキストリンの単独あるいは食品組成物として
の摂取量は、成人1日当たり約10〜60g程度が好ま
しい。
症に対する50%効果量が100g以上と推定されるの
で、還元デキストリンの単独あるいは食品組成物として
の摂取量は、成人1日当たり約10〜60g程度が好ま
しい。
【0022】次に本発明の実験例によって、さらにその
安全性と作用効果を詳細に説明する。
安全性と作用効果を詳細に説明する。
【0023】
【実験例1】3Lのステンレス製のビーカー内で、市販
のコーンスターチ1Kgを2Lの水に懸濁し、炭酸カル
シウムでpH5.8に調整し、これに「クライスターゼ
KD(大和化成社製造のα−アミラーゼ製剤)」を5g
添加して酵素加水分解原料液とした。別に5Lのステン
レス製のビーカーに、85℃の温水をいれて沸騰水浴中
に保持し、蒸気を送入して液温を84℃〜88℃に保持
しながら酵素加水分解原液を注入した。約15分で全原
料液の注入を終了し、さらに10分間この液温に保持し
て加水分解した。次にビーカーをオートクレーブに移し
て130℃で10分間加熱し、100℃に冷却してビー
カーを取り出して約85℃まで冷却してから、沸騰水浴
中に保持し、さらに1.0gの「クライスターゼKD」
を追加して、液温を84℃〜86℃に保持しながら、3
0分間加水分解を行い、途中経時的に約100ml宛の
試料液を採取した。これらの試料液のDEを測定して、
DEが約8、10、15、22、26の試料液計5点を
選択して活性炭で脱色後に濾過し、続いてイオン交換樹
脂で脱塩してから真空濃縮して濃度30%に調整した。
のコーンスターチ1Kgを2Lの水に懸濁し、炭酸カル
シウムでpH5.8に調整し、これに「クライスターゼ
KD(大和化成社製造のα−アミラーゼ製剤)」を5g
添加して酵素加水分解原料液とした。別に5Lのステン
レス製のビーカーに、85℃の温水をいれて沸騰水浴中
に保持し、蒸気を送入して液温を84℃〜88℃に保持
しながら酵素加水分解原液を注入した。約15分で全原
料液の注入を終了し、さらに10分間この液温に保持し
て加水分解した。次にビーカーをオートクレーブに移し
て130℃で10分間加熱し、100℃に冷却してビー
カーを取り出して約85℃まで冷却してから、沸騰水浴
中に保持し、さらに1.0gの「クライスターゼKD」
を追加して、液温を84℃〜86℃に保持しながら、3
0分間加水分解を行い、途中経時的に約100ml宛の
試料液を採取した。これらの試料液のDEを測定して、
DEが約8、10、15、22、26の試料液計5点を
選択して活性炭で脱色後に濾過し、続いてイオン交換樹
脂で脱塩してから真空濃縮して濃度30%に調整した。
【0024】同様にコーンスターチの懸濁液を調整し、
これに別に4gの蓚酸を約20mlの熱水に溶解した液
を添加し、攪拌しながら沸騰水浴中で加熱してコーンス
ターチを軽度に糊化させた。糊化液を約100ml宛、
200mlの三角フラスコに分注し、別個にオートクレ
ーブに移して、130℃でそれぞれ5〜65分加熱して
酸加水分解を行いた後、三角フラスコを取り出して、炭
酸カルシウムで中和してpH5.8に調整した。これら
の試料液のDEを測定して、DEが約8、10、15、
22、26の試料液計5点を選択して活性炭で脱色後に
濾過し、続いてイオン交換樹脂で脱塩してから真空濃縮
して濃度30%に調整した。
これに別に4gの蓚酸を約20mlの熱水に溶解した液
を添加し、攪拌しながら沸騰水浴中で加熱してコーンス
ターチを軽度に糊化させた。糊化液を約100ml宛、
200mlの三角フラスコに分注し、別個にオートクレ
ーブに移して、130℃でそれぞれ5〜65分加熱して
酸加水分解を行いた後、三角フラスコを取り出して、炭
酸カルシウムで中和してpH5.8に調整した。これら
の試料液のDEを測定して、DEが約8、10、15、
22、26の試料液計5点を選択して活性炭で脱色後に
濾過し、続いてイオン交換樹脂で脱塩してから真空濃縮
して濃度30%に調整した。
【0025】3Lのステンレス製のビーカー内で、市販
のコーンスターチ1Kgを2Lの水に懸濁し、これに別
に2gの蓚酸を約20mlの熱水に溶解した液を添加
し、攪拌しながら沸騰水浴中で加熱してコーンスターチ
を軽度に糊化させ、直ちにオートクレーブに移して、1
25℃で10分加熱した。ビーカーを取り出して炭酸カ
ルシウムで中和してpH5.8に調整した。この酸加水
分解液のDEは6.9であった。液温を約85℃まで冷
却してから沸騰水浴中に保持し、3.5gの「クライス
ターゼKD」を添加して、液温を84℃〜86℃に保持
しながら、60分間加水分解を行い、途中経時的に約1
00ml宛の試料液を採取した。これらの試料液のDE
を測定して、DEが約8、10、15、22、26の試
料液計5点を選択して活性炭で脱色後に濾過し、続いて
イオン交換樹脂で脱塩してから真空濃縮して濃度30%
に調整した。
のコーンスターチ1Kgを2Lの水に懸濁し、これに別
に2gの蓚酸を約20mlの熱水に溶解した液を添加
し、攪拌しながら沸騰水浴中で加熱してコーンスターチ
を軽度に糊化させ、直ちにオートクレーブに移して、1
25℃で10分加熱した。ビーカーを取り出して炭酸カ
ルシウムで中和してpH5.8に調整した。この酸加水
分解液のDEは6.9であった。液温を約85℃まで冷
却してから沸騰水浴中に保持し、3.5gの「クライス
ターゼKD」を添加して、液温を84℃〜86℃に保持
しながら、60分間加水分解を行い、途中経時的に約1
00ml宛の試料液を採取した。これらの試料液のDE
を測定して、DEが約8、10、15、22、26の試
料液計5点を選択して活性炭で脱色後に濾過し、続いて
イオン交換樹脂で脱塩してから真空濃縮して濃度30%
に調整した。
【0026】以上のようにして調製した、加水分解方法
とDEが、それぞれ異なるマルトデキストリンの30%
溶液について、健常成人10名(男子4名、女子6名)
によって官能試験を行い、下記の項目と採点方法で得点
を集計し、結果の平均値を表1に示した。
とDEが、それぞれ異なるマルトデキストリンの30%
溶液について、健常成人10名(男子4名、女子6名)
によって官能試験を行い、下記の項目と採点方法で得点
を集計し、結果の平均値を表1に示した。
【0027】 甘味 糊感 1点:ほとんど甘味を感じない 1点:ほとんど糊感を感じない 2点:僅かに甘味を感じる 2点:僅かに糊感があるが気にならない 3点:少し甘味を感じる 3点:少し糊感を感じる 4点:やや甘味が強い 4点:やや糊感が強い
【0028】
【表1】
【0029】経口的に比較的多量に摂取するためには、
低粘度、低甘味のもの、すなわち甘味、糊感とも2.5
以下であることが必須の要件である。そこで表1の官能
検査の結果、酸と酵素分解による、DE16と21のマ
ルトデキストリンが、その範囲に入っていることが明ら
かになった。そこで「TK−16」と「H−PDX」の
30%溶液について同様に官能検査を行い、その結果を
表2に示した。
低粘度、低甘味のもの、すなわち甘味、糊感とも2.5
以下であることが必須の要件である。そこで表1の官能
検査の結果、酸と酵素分解による、DE16と21のマ
ルトデキストリンが、その範囲に入っていることが明ら
かになった。そこで「TK−16」と「H−PDX」の
30%溶液について同様に官能検査を行い、その結果を
表2に示した。
【0030】
【表2】
【0031】甘味、糊感とも水素添加してもほとんど変
わらず、共に2.5以下となり低甘味で糊感がなく、無
理なく大量に摂取できる還元デキストリンであることが
明らかになった。
わらず、共に2.5以下となり低甘味で糊感がなく、無
理なく大量に摂取できる還元デキストリンであることが
明らかになった。
【0032】
【実験例2】健常成人63名(男子43名、女子20
名)に「H−PDX」を、朝食後水とともに摂取させ、
摂取前後48時間にわたり便症状と胃腸症状を観察し
た。摂取量は10,20および40gの3用量とした。
「H−PDX」摂取後の便症状、胃腸症状を表3に示し
た。
名)に「H−PDX」を、朝食後水とともに摂取させ、
摂取前後48時間にわたり便症状と胃腸症状を観察し
た。摂取量は10,20および40gの3用量とした。
「H−PDX」摂取後の便症状、胃腸症状を表3に示し
た。
【0033】
【表3】
【0034】いずれの用量(10〜60g)において
も、臨床上問題となる便症状及び胃腸症状の悪化は認め
られなかった。またこの結果から下痢発症に対する50
%効果量は男女とも100g以上と推定された。
も、臨床上問題となる便症状及び胃腸症状の悪化は認め
られなかった。またこの結果から下痢発症に対する50
%効果量は男女とも100g以上と推定された。
【0035】
【実験例3】「H−PDX」に膵臓アミラ−ゼを400
U/g添加して、37℃で6時間、また小腸粘膜酵素を
86U/g添加して、37℃で3時間それぞれ反応させ
た。反応液の可消化性糖の組成を高速液体クロマトグラ
フィーで分析し表4に示した。
U/g添加して、37℃で6時間、また小腸粘膜酵素を
86U/g添加して、37℃で3時間それぞれ反応させ
た。反応液の可消化性糖の組成を高速液体クロマトグラ
フィーで分析し表4に示した。
【0036】
【表4】
【0037】グルコ−スの生理的燃焼熱を400Kca
l/100g、糖アルコ−ルのそれを280Kcal/
100gとして計算すると、330Kcal/100g
と推定され、グルコ−スの80%以上の生理的燃焼熱を
もつ高カロリ−の糖質であることが明らかとなった。
l/100g、糖アルコ−ルのそれを280Kcal/
100gとして計算すると、330Kcal/100g
と推定され、グルコ−スの80%以上の生理的燃焼熱を
もつ高カロリ−の糖質であることが明らかとなった。
【0038】
【実験例4】腎機能障害のない健常男子8名を、17時
間絶食させた後、50gの「TK−16」と50gの
「H−PDX」を25%濃度の試験液にして摂取させ、
血糖値とインスリン分泌量の経時変化を測定した。また
摂取前と2時間後に採尿し、尿中C−ペプチドを測定し
た。
間絶食させた後、50gの「TK−16」と50gの
「H−PDX」を25%濃度の試験液にして摂取させ、
血糖値とインスリン分泌量の経時変化を測定した。また
摂取前と2時間後に採尿し、尿中C−ペプチドを測定し
た。
【0039】血糖値は血しょうグルコース濃度を、グル
コースオキシダーゼ法により測定し、mg/dlで示し
た。インスリン分泌量は、酵素免疫測定法で測定し、μ
U/mlで表し、尿中C−ペプチドは、ラジオイムノア
ッセイ法で測定して、μg/lで示した。結果を表5に
示す。
コースオキシダーゼ法により測定し、mg/dlで示し
た。インスリン分泌量は、酵素免疫測定法で測定し、μ
U/mlで表し、尿中C−ペプチドは、ラジオイムノア
ッセイ法で測定して、μg/lで示した。結果を表5に
示す。
【0040】
【表5】
【0041】この8名の血糖及びインスリン分泌量の平
均値を図1に示す。但し図1中の記号は次のことを示
す。 ●−●:H−PDX ○−○:マルトデキストリン
均値を図1に示す。但し図1中の記号は次のことを示
す。 ●−●:H−PDX ○−○:マルトデキストリン
【0042】この試験結果を見ると、血糖値について
は、「H−PDX」は、「TK−16」に比べて上昇が
緩やかであり、また降下も同様に緩やかであった。イン
スリン分泌量についても「H−PDX」の方が上昇は緩
やかであったが降下は早く、120分間の分泌量は「T
K−16」に比べて少なかった。試験液投与2時間後の
尿中C−ペプチドは、表5に示した様に「H−PDX」
の方が低値であった。
は、「H−PDX」は、「TK−16」に比べて上昇が
緩やかであり、また降下も同様に緩やかであった。イン
スリン分泌量についても「H−PDX」の方が上昇は緩
やかであったが降下は早く、120分間の分泌量は「T
K−16」に比べて少なかった。試験液投与2時間後の
尿中C−ペプチドは、表5に示した様に「H−PDX」
の方が低値であった。
【0043】
【実験例5】表6の配合でゼラチンを水に浸漬し、次に
全材料を煮溶かし、40℃に冷却後に型に流し、固めて
オレンジゼリ−を試作した。
全材料を煮溶かし、40℃に冷却後に型に流し、固めて
オレンジゼリ−を試作した。
【0044】
【表6】
【0045】腎機能障害のない健常男子8名に、それぞ
れ熱量が約171Kcalになるように調製した「TK
−16」含有ゼリ−(試作品1)と、「H−PDX」含
有ゼリ−(試作品2)を、各100g宛昼食2時間後に
与えて、実験例4と同様に血糖値とインスリン分泌量の
経時変化を測定した。結果を表7、表8に示す。
れ熱量が約171Kcalになるように調製した「TK
−16」含有ゼリ−(試作品1)と、「H−PDX」含
有ゼリ−(試作品2)を、各100g宛昼食2時間後に
与えて、実験例4と同様に血糖値とインスリン分泌量の
経時変化を測定した。結果を表7、表8に示す。
【0046】
【表7】
【0047】
【表8】
【0048】実験例4と同様に、「H−PDX」含有ゼ
リ−を食べた場合、「TK−16」含有ゼリ−に比べて
血糖上昇が緩やかであり、また降下も同様に緩やかであ
った。インスリン分泌量についても、「H−PDX」含
有ゼリ−の方が上昇は緩やかであったが、降下は早く、
120分間の分泌量は「TK−16」含有ゼリ−に比べ
て少なかった。
リ−を食べた場合、「TK−16」含有ゼリ−に比べて
血糖上昇が緩やかであり、また降下も同様に緩やかであ
った。インスリン分泌量についても、「H−PDX」含
有ゼリ−の方が上昇は緩やかであったが、降下は早く、
120分間の分泌量は「TK−16」含有ゼリ−に比べ
て少なかった。
【0049】以上の結果より、本発明による還元デキス
トリン及び食品組成物は、非常に安全で、血糖値の急激
な上昇を伴わず、またインスリンの分泌量も節約できる
糖であり、しかも高カロリ−であるため、腎臓病、糖尿
病、糖尿病性腎症の予防及び治療に最適であることが明
かとなった。
トリン及び食品組成物は、非常に安全で、血糖値の急激
な上昇を伴わず、またインスリンの分泌量も節約できる
糖であり、しかも高カロリ−であるため、腎臓病、糖尿
病、糖尿病性腎症の予防及び治療に最適であることが明
かとなった。
【0050】尚、下記の語は以下のことを示す。下痢発
症の50%効果量:摂取した人の半数が下痢を起こす量
症の50%効果量:摂取した人の半数が下痢を起こす量
【0051】C−ペプチド:インスリンは膵B細胞でプ
ロインスリンから生成されるが、その際、インスリンと
等モル量のC−ペプチドが生成する。C−ペプチドはイ
ンスリンに比べ生物学的半減期が長く、尿中に排せつさ
れることから、正味のインスリン分泌動態をよく反映す
る。
ロインスリンから生成されるが、その際、インスリンと
等モル量のC−ペプチドが生成する。C−ペプチドはイ
ンスリンに比べ生物学的半減期が長く、尿中に排せつさ
れることから、正味のインスリン分泌動態をよく反映す
る。
【0052】
【実施例】次に本発明の実施例を示す。
【0053】
【実施例1】3Lのステンレス製のビーカー内で、市販
のコーンスターチ1Kgを、2Lの水に懸濁し、これに
別に2gの蓚酸を約20mlの熱水に溶解した液を添加
し、攪拌しながら、沸騰水浴中で加熱してコーンスター
チを軽度に糊化させ、直ちにオートクレーブに移して1
25℃で20分間加熱した。ビーカーを取り出して炭酸
カルシウムで中和してpH5.8に調整した。この酸加
水分解液のDEは12.6であった。ビーカーを水浴に
入れて液温を約85℃に保持しながら、「クライスター
ゼKD(大和化成社製造のα−アミラーゼ製剤)」を2
g添加して、35分間酵素加水分解を行った。続いて1
N塩酸でpHを3.8に調整して酵素反応を停止した。
この酵素加水分解液のDEは15.2であった。
のコーンスターチ1Kgを、2Lの水に懸濁し、これに
別に2gの蓚酸を約20mlの熱水に溶解した液を添加
し、攪拌しながら、沸騰水浴中で加熱してコーンスター
チを軽度に糊化させ、直ちにオートクレーブに移して1
25℃で20分間加熱した。ビーカーを取り出して炭酸
カルシウムで中和してpH5.8に調整した。この酸加
水分解液のDEは12.6であった。ビーカーを水浴に
入れて液温を約85℃に保持しながら、「クライスター
ゼKD(大和化成社製造のα−アミラーゼ製剤)」を2
g添加して、35分間酵素加水分解を行った。続いて1
N塩酸でpHを3.8に調整して酵素反応を停止した。
この酵素加水分解液のDEは15.2であった。
【0054】続いてこの生成液を、常法により脱色・濾
過並びに脱イオンし、さらに減圧濃縮して濃度50%の
溶液とした。この濃縮液500gを容量1.5Lのオー
トクレーブに入れ、触媒として展開済のラニーニッケル
(日興理化製、R−100)50gを添加した。温度2
2℃で水素ガスをゲージ圧50Kg/cm2まで充填し
た後、オートクレーブを振とうしながら加熱して温度を
130℃まで加熱し、この温度に120分間保持して還
元反応を終了させた。放冷後に反応液を取り出し、活性
炭を添加して触媒と共に濾別した。この濾液約750m
lを脱イオンしてから噴霧乾燥して、還元デキストリン
約220gを得た。この還元デキストリンの甘味は1.
9点で、糊感は2.0点であった。
過並びに脱イオンし、さらに減圧濃縮して濃度50%の
溶液とした。この濃縮液500gを容量1.5Lのオー
トクレーブに入れ、触媒として展開済のラニーニッケル
(日興理化製、R−100)50gを添加した。温度2
2℃で水素ガスをゲージ圧50Kg/cm2まで充填し
た後、オートクレーブを振とうしながら加熱して温度を
130℃まで加熱し、この温度に120分間保持して還
元反応を終了させた。放冷後に反応液を取り出し、活性
炭を添加して触媒と共に濾別した。この濾液約750m
lを脱イオンしてから噴霧乾燥して、還元デキストリン
約220gを得た。この還元デキストリンの甘味は1.
9点で、糊感は2.0点であった。
【0055】
【実施例2】オートクレーブでの加熱を25分間とした
以外は、実施例1と同様に処理して酸加水分解液のDE
が13.6、酵素加水分解液のDEが18.7である還
元デキストリン約215gを得た。この還元デキストリ
ンの甘味は2.2点で、糊感は1.3点であった。
以外は、実施例1と同様に処理して酸加水分解液のDE
が13.6、酵素加水分解液のDEが18.7である還
元デキストリン約215gを得た。この還元デキストリ
ンの甘味は2.2点で、糊感は1.3点であった。
【0056】
【実施例3】クライスターゼの添加量を3gとした以外
は、実施例2と同様に処理して酸加水分解液のDEが1
3.2、酵素加水分解液のDEが21.7である還元デ
キストリン約225gを得た。この還元デキストリンの
甘味は2.4点で、糊感は1.1点であった。
は、実施例2と同様に処理して酸加水分解液のDEが1
3.2、酵素加水分解液のDEが21.7である還元デ
キストリン約225gを得た。この還元デキストリンの
甘味は2.4点で、糊感は1.1点であった。
【0057】
【実施例4】表9の配合で糸かんてんを加熱溶解沸騰
後、残りの全材料をを加えて沸騰後濾過し、36℃に冷
却後に、型に流して水ようかんを試作した。
後、残りの全材料をを加えて沸騰後濾過し、36℃に冷
却後に、型に流して水ようかんを試作した。
【0058】
【表9】
【0059】
【実施例5】表10の配合で全材料を70℃に加温して
混合し、包材に充填して100℃で60分間蒸して、う
いろうを試作した。
混合し、包材に充填して100℃で60分間蒸して、う
いろうを試作した。
【0060】
【表10】
【0061】
【実施例6】表11の配合で全材料を40℃に加温しな
がら混合した後、冷却してグレ−プジュ−スを試作し
た。
がら混合した後、冷却してグレ−プジュ−スを試作し
た。
【0062】
【表11】
【0063】
【実施例7】表12の配合で全材料を溶解混合し、型に
充填後に凍結してアイスキャンデ−を試作した。
充填後に凍結してアイスキャンデ−を試作した。
【0064】
【表12】
【0065】
【0066】
【図1】
【0067】図1はデキストリンの血糖及びインスリン
分泌量の平均値を示すグラフである。
分泌量の平均値を示すグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】澱粉乳液を酸加水分解後に、α−アミラー
ゼによってDE15〜22の範囲内に加水分解し、続い
て水素添加することを特徴とする血糖上昇が緩徐な還元
デキストリン。 - 【請求項2】請求項1に記載する還元デキストリンを構
成成分として成る食品組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05673892A JP3451282B2 (ja) | 1992-02-06 | 1992-02-06 | 血糖上昇が緩徐な還元デキストリンの製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05673892A JP3451282B2 (ja) | 1992-02-06 | 1992-02-06 | 血糖上昇が緩徐な還元デキストリンの製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05214002A true JPH05214002A (ja) | 1993-08-24 |
JP3451282B2 JP3451282B2 (ja) | 2003-09-29 |
Family
ID=13035870
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP05673892A Expired - Lifetime JP3451282B2 (ja) | 1992-02-06 | 1992-02-06 | 血糖上昇が緩徐な還元デキストリンの製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3451282B2 (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003183304A (ja) * | 2001-10-30 | 2003-07-03 | Roquette Freres | 消化できない食物繊維を含む可溶性水素化デンプン誘導体 |
JP2004137278A (ja) * | 2002-10-17 | 2004-05-13 | Sudzucker Ag Mannheim Ochsenfurt | イソマルトゥロース含有腸内栄養物の製造のための方法 |
JP2004526744A (ja) * | 2001-03-30 | 2004-09-02 | ロケット・フルーレ | エネルギーの長期的放出を有する食料品 |
EP1582102A1 (en) * | 2004-04-02 | 2005-10-05 | Matsutani Chemical Industry Co., Ltd. | Foods and drinks having health benefits |
JP2007291136A (ja) * | 2007-07-31 | 2007-11-08 | Matsutani Chem Ind Ltd | 還元難消化性デキストリンを含有する体脂肪調整剤 |
-
1992
- 1992-02-06 JP JP05673892A patent/JP3451282B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004526744A (ja) * | 2001-03-30 | 2004-09-02 | ロケット・フルーレ | エネルギーの長期的放出を有する食料品 |
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JP2004137278A (ja) * | 2002-10-17 | 2004-05-13 | Sudzucker Ag Mannheim Ochsenfurt | イソマルトゥロース含有腸内栄養物の製造のための方法 |
EP1582102A1 (en) * | 2004-04-02 | 2005-10-05 | Matsutani Chemical Industry Co., Ltd. | Foods and drinks having health benefits |
US8618078B2 (en) | 2004-04-02 | 2013-12-31 | Matsutani Chemical Industry Co., Ltd. | Foods and drinks having health benefits and method for adding health benefits to foods and drinks |
JP2007291136A (ja) * | 2007-07-31 | 2007-11-08 | Matsutani Chem Ind Ltd | 還元難消化性デキストリンを含有する体脂肪調整剤 |
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---|---|
JP3451282B2 (ja) | 2003-09-29 |
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