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JP7547977B2 - 硬貨処理装置 - Google Patents

硬貨処理装置 Download PDF

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JP7547977B2
JP7547977B2 JP2020205844A JP2020205844A JP7547977B2 JP 7547977 B2 JP7547977 B2 JP 7547977B2 JP 2020205844 A JP2020205844 A JP 2020205844A JP 2020205844 A JP2020205844 A JP 2020205844A JP 7547977 B2 JP7547977 B2 JP 7547977B2
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本発明は硬貨処理装置に関し、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストア等のような小売店舗の精算所において使用されるレジ釣銭機に適用して好適なものである。
近年、レジ釣銭機として、POS(Point Of Sales)システム等に接続されたPOSレジに、紙幣や硬貨の入出金処理を行う釣銭機が組み合わされたものが普及している。またレジ釣銭機の運用形態としては、小売店舗のレジ係員により操作が行われるものの他、顧客により操作されるもの、いわゆるセルフレジと呼ばれるものも普及しつつある。
このレジ釣銭機は、例えばレジ係員や顧客(以下、使用者と呼ぶ)からの操作の受付や情報の提示を行うタッチパネル等を有すると共に全体を制御する制御装置、紙幣を処理する紙幣処理装置や、硬貨を処理する硬貨処理装置等により構成される。この硬貨処理装置は、例えば使用者に硬貨を投入させる入金口、投入された硬貨の種類等を認識する認識部、硬貨を金種別に収納すると共に釣銭用の硬貨を繰り出す収納庫、及び硬貨を貯留して使用者に取り出させる出金トレイ、及び各部を制御する硬貨制御部等を有したものがある。
このうち収納庫として、例えば底面を形成すると共に硬貨を搬送する搬送ベルトや、硬貨を1枚ずつに分離する分離機構、及び硬貨を検知する光学式のセンサ等を組み込んだものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。硬貨処理装置は、硬貨制御部の制御により、収納庫のセンサから得られる検知結果を参照しながら搬送ベルトを適宜走行させることにより、該収納庫から所望の数量の硬貨を繰り出すことができる。
特開2005-56348号公報(図2及び図3等)
ところで、かかる構成の硬貨処理装置における収納庫では、例えば光学式のセンサ等を組み込む都合上、底部のうち中央部分に搬送ベルトを組み込み、その両側に固定された固定ガイド等を設ける場合がある。この固定ガイドは、例えば一部に微小な孔を形成することにより、センサの光を通過させることができる。
一方、収納庫に収納されている硬貨は、収納空間内において、様々な姿勢となっている。例えば硬貨は、収納空間の底面に対し、平面状の盤面を略平行とした姿勢や傾斜した姿勢の他、周側面を当接させて立った姿勢(以下これを立位姿勢と呼ぶ)となる場合や、他の硬貨にもたれかかった姿勢(以下これをもたれ姿勢と呼ぶ)となる場合がある。
さらに収納庫では、立位姿勢の硬貨に対し、もたれ姿勢の硬貨が搬送ベルトをまたいでもたれかかった状態(以下これを硬貨ブリッジと呼ぶ)となる場合がある。この硬貨ブリッジが形成された場合、収納庫では、搬送ベルトを走行させたとしてもこの硬貨ブリッジを解消できず、これらの硬貨を収納庫から繰り出し得ない可能性がある、という問題があった。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、収納されている硬貨を円滑に繰り出し得る硬貨処理装置を提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明の硬貨処理装置においては、互いに対向して配置され、硬貨を収納する収納空間を形成する一対の壁部と、主搬送ベルトの張架により形成される主搬送面が一対の壁部の間に配置され、主搬送ベルトの走行により、主搬送面に載置された硬貨を搬送方向へ搬送する主搬送部と、副搬送ベルトの張架により形成される副搬送面が主搬送ベルトと壁部との間に配置され、副搬送ベルトの走行により、副搬送面を搬送方向へ走行させる副搬送部とを設け、副搬送部は、主搬送部を間に挟んだ両側にそれぞれ設けられているようにした。
また本発明の硬貨処理装置においては、互いに対向して配置され、硬貨を収納する収納空間を形成する一対の壁部と、主搬送ベルトの張架により形成される主搬送面が一対の壁部の間に配置され、主搬送ベルトの走行により、主搬送面に載置された硬貨を搬送方向へ搬送する主搬送部と、副搬送ベルトの張架により形成される副搬送面が主搬送ベルトと壁部との間に配置され、副搬送ベルトの走行により、副搬送面を搬送方向へ走行させる副搬送部と、主搬送部における主搬送面と副搬送部における副搬送面との間に配置された固定ガイドとを設けるようにした。
本発明は、収納空間内において、収納された硬貨により硬貨ブリッジが形成された場合、これらの硬貨に対して主搬送ベルトの主搬送面から駆動力を伝達できなくなる可能性がある。しかしながら本発明は、主搬送部を挟んだ両側の何れにおいても、これらの硬貨のうち少なくとも一部を副搬送ベルトの副搬送面に当接させることができるため、当該副搬送ベルトの走行によりこれらの硬貨に駆動力を伝達でき、硬貨ブリッジの解消を図ることができる。
本発明によれば、収納されている硬貨を円滑に繰り出し得る硬貨処理装置を実現できる。
レジ釣銭機の外観構成を示す略線的斜視図である。 硬貨入出金装置における上段部の構成を示す略線的平面図である。 硬貨入出金装置における下段部の構成を示す略線的平面図である。 収納庫の構成を示す略線的平面図である。 収納庫の構成を示す略線的断面図である。 収納庫の構成を示す略線的断面図である。 収納庫の構成を示す略線的拡大図である。 収納庫における硬貨ブリッジの様子を示す略線的断面図である。
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.レジ釣銭機の全体構成]
図1に外観を示すように、レジ釣銭機1は、それぞれ独立した装置である上側のPOSレジ2と下側の釣銭機3とにより構成されている。このレジ釣銭機1は、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストアのような小売店舗の精算所(いわゆるレジ)において、顧客が購入したい商品を精算する際に、レジ係員により操作される。因みにレジ釣銭機1は、セルフレジと呼ばれる仕組みを導入している店舗において、レジ係員ではなく顧客自身に操作されることにより、精算の手続を行う場合もある。
なお以下では、レジ係員等(以下、使用者と呼ぶ)が対峙する側面及びその反対面をそれぞれ前面及び後面とし、さらに当該使用者から見て左右及び上下を定義して説明する。
POSレジ2は、レジ制御部11、表示操作部12及び図示しないレシート処理部等を有している。またPOSレジ2には、図示しないバーコードリーダが接続されており、商品に付されたバーコードをこのバーコードリーダで読み取ることにより、当該商品を認識する。
レジ制御部11は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を有しており、該CPUにより該ROM等から読み出した所定のプログラムを実行することにより種々の処理を行い、全体を統括制御する。表示操作部12は、いわゆるタッチパネルであり、認識した商品の名称や金額等を表示し、また使用者による入力操作を受け付けてレジ制御部11へ送信する。これに応じてレジ制御部11は、商品の数量の増減や金額の修正等を行うことができる。レシート処理部(図示せず)は、認識した商品の名称や金額等をレシートに印字し、これをレシート排出口から排出する。
一方、釣銭機3は、大きく分けて、紙幣を取り扱う紙幣入出金装置4と、硬貨を取り扱う硬貨入出金装置5と、前側上部の表示操作部6とにより構成されている。因みに硬貨は、一般的な硬貨と同様、ニッケル、銅、アルミニウム等の金属又はこれらの合金やその組み合わせでなり、薄い板状に形成されている。
紙幣入出金装置4は、使用者により紙幣入出金部21から入金された紙幣を取り込んで内部の紙幣収納庫22に収納し、またレジ制御部11から指示された紙幣を紙幣収納庫22から繰り出し、これを紙幣入出金部21から釣銭として出金する。
硬貨処理装置としての硬貨入出金装置5は、内部に制御部としての硬貨制御部30を有しており、その前側における上段左寄りに硬貨投入部31が設けられ、その下方に硬貨出金トレイ32が設けられている。この硬貨入出金装置5は、硬貨制御部30の制御に基づき、使用者により硬貨投入部31へ投入された硬貨を取り込んで内部の収納庫に収納すると共に、レジ制御部11から指示された金額に応じた金種及び枚数の硬貨を硬貨出金トレイ32から釣銭として出金する(詳しくは後述する)。
表示操作部6は、所定の表示パネル及び所定の操作ボタンの組み合わせにより構成されている。表示操作部6の表示パネルは、紙幣入出金装置4及び硬貨入出金装置5における稼働状況として、例えば硬貨入出金装置5において釣銭用の硬貨が不足していることや、所定のセンサにより異常を検出したこと、及びその箇所等を表示する。また表示操作部6の操作ボタンは、使用者等による押下操作を介して、例えば硬貨の搬送等に関する指示を受け付ける。
このレジ釣銭機1は、例えば顧客が商品の購入代金を支払う精算手続において、POSレジ2により各商品に付されたバーコードを読み取る等して商品の購入代金を算出し、顧客に通知する。これに応じて顧客は、購入代金以上の金銭、すなわち紙幣及び硬貨をレジ係員に預ける。レジ係員は、顧客から預かった紙幣を紙幣入出金装置4の紙幣入出金部21に投入すると共に硬貨を硬貨入出金装置5の硬貨投入部31に投入する。これに応じて硬貨入出金装置5では、入金処理が行われ、入金された硬貨の合計金額をレジ制御部11に通知する。紙幣入出金装置4も、同様に入金された紙幣の合計金額をレジ制御部11に通知する。
レジ制御部11は、入金された紙幣及び硬貨の合計金額から商品の購入代金を減算して釣銭の金額を算出すると共に、紙幣入出金装置4及び硬貨入出金装置5からそれぞれ出金すべき金額(以下これを出金額と呼ぶ)を算出して該紙幣入出金装置4及び該硬貨入出金装置5へそれぞれ通知する。硬貨入出金装置5は、通知された出金額に応じて出金処理を行うことにより、該出金額の硬貨を硬貨出金トレイ32に排出し、レジ係員に受け取らせる。紙幣入出金装置4も同様に出金額の紙幣を紙幣入出金部21に排出し、レジ係員に受け取らせる。レジ係員は、レシート等と共に釣銭の紙幣及び硬貨を顧客に返却して一連の精算手続を完了する。
[2.硬貨入出金装置の構成]
次に、硬貨入出金装置5の構成について説明する。硬貨入出金装置5は、図2及び図3に模式的な平面図を示すように、大きく分けて上側の上段部5U(図2)及び下側の下段部5L(図3)により構成されている。また硬貨入出金装置5の中央付近であって、下段部5L(図3)における硬貨出金トレイ32の後側には、硬貨を金種ごとに収納する6個の収納庫33(33A、33B、33C、33D、33E及び33F)が左右方向に沿って整列するように配置されている。
[2-1.上段部の構成]
上段部5U(図2)の硬貨投入部31は、上方が開口し、全体として中心軸を上下方向に沿わせた円柱状に形成され、その内部に円筒状に窪んだ投入空間31Sが形成され、また底部に回転可能な円盤31Cが組み込まれている。さらに硬貨投入部31には、投入空間31Sの上側を開放又は閉塞するシャッタや投入空間31S内における硬貨の有無を検知するセンサ等(何れも図示せず)も組み込まれている。
硬貨投入部31は、投入空間31S内へ硬貨が投入されたことをセンサにより検知すると、シャッタを閉塞させて円盤31Cを所定の繰出方向へ回転させ、硬貨に遠心力を作用させて円盤31Cの外周側へ搬送し、後側に配置された投入受渡部35に引き渡す。
投入受渡部35の後側には、収納庫33の上側における前後左右を中空の長方形状に繋ぐようにして投入搬送部36が配置されている。因みに上段部5Uにおける投入搬送部36の内側には、収納庫33を構成する部品が一部に配置されているものの、それ以外の大部分が上下に貫通する空間となっている。このため図2では、上段部5Uの一部である投入搬送部36の内側に、下段部5Lを構成する収納庫33の一部が見える様子を表している。
投入搬送部36は、収納庫33の上側における前側、右側及び後側において上面が平面状に形成された投入搬送ガイド37と、該投入搬送ガイド37の上側において前左、前右、後右及び後左の4箇所においてそれぞれ回転するベルトローラ38と、該ベルトローラ38の周囲に張架されたピンベルト39とにより構成されている。ピンベルト39は、可撓性を有する材料により構成され、上下方向に所定の長さ(すなわち幅)を有する無端ベルトに対し、当該無端ベルトの周方向に沿って所定間隔毎にピン(図示せず)が設けられている。
投入搬送部36は、図示しないモータからベルトローラ38に駆動力を供給して回転させることにより、ピンベルト39を図2における反時計回りに所定の走行速度で走行させる。一方、投入受渡部35は、硬貨投入部31から硬貨を受け取ると、走行するピンベルト39の各ピンに合わせたタイミングで当該硬貨を投入搬送部36に引き渡す。
これに応じて投入搬送部36は、投入受渡部35から受け取った硬貨をピンベルト39のピンに当接させて、該ピンベルト39の走行に伴い硬貨を搬送する。投入搬送部36は、ピンベルト39の走行に伴い、投入搬送ガイド37に沿って、収納庫33の上前側を右方向へ向けて、該収納庫33の上右側を後方向へ向けて、さらに該収納庫33の上後側を左方向へ向けて、それぞれ硬貨を搬送する。以下では、ピンベルト39の走行により投入搬送ガイド37に沿って硬貨を搬送する経路を投入搬送路Wとも呼ぶ。
上段部5Uにおける硬貨投入部31の右後側であって、投入搬送路Wに沿って投入受渡部35よりも下流側には、認識部40が配置されている。認識部40は、光学センサや磁気センサ等、種々のセンサを有しており、各センサから得られた結果を基に、硬貨が正当であるか否か、及びその金種を判定して硬貨制御部30に通知する。これに応じて硬貨制御部30は、当該硬貨の搬送先を決定する。
因みに認識部40は、硬貨を、1円、5円、10円、50円、100円及び500円の6種類のいずれであるか(すなわち真正な硬貨であるか)、若しくはいずれの金種とも判別できず真正でない可能性がある硬貨(以下これをリジェクト硬貨と呼ぶ)であるかを判別する。
上段部5Uにおける認識部40の右側、すなわち投入搬送路Wに沿って該認識部40の下流側には、リジェクト切替部41が設けられている。リジェクト切替部41は、投入搬送ガイド37を上下方向に貫通するリジェクト孔部42や、板状でなり投入搬送ガイド37に対し回動可能に構成されたリジェクトブレード43等により構成されている。リジェクト切替部41は、硬貨制御部30の制御に基づき、リジェクトブレード43の上面を投入搬送ガイド37の上面とほぼ揃えた状態(以下これを閉状態と呼ぶ)と、該リジェクトブレード43の左側を持ち上げて上面を投入搬送ガイド37に対し傾斜させた状態(以下これを開状態と呼ぶ)に切り替えることができる。
リジェクト切替部41は、開状態において、投入搬送部36により上流側から搬送されてきた硬貨をリジェクト孔部42から下方へ落下させる。リジェクト孔部42の下側には、リジェクト搬送部44(図3)が設けられている。リジェクト搬送部44は、いわゆるシュート構造になっており、硬貨をリジェクト孔部42の下側から硬貨出金トレイ32の上側へ進行させて落下させる。
またリジェクト切替部41は、閉状態において、投入搬送部36により上流側から搬送されてきた硬貨をそのまま下流へ、すなわち右方向へ進行させる。続いて投入搬送部36は、前右のベルトローラ38に沿って進行方向を後ろ向きに変更し、さらに後右のベルトローラ38に沿って進行方向を左向きに変更する。投入搬送部36における収納庫33の上後側部分には、選別部45が設けられている。選別部45は、リジェクト切替部41とそれぞれ同様に構成された6個の選別切替部46(46A、46B、46C、46D、46E及び46F)により構成されている。
各選別切替部46は、それぞれ各収納庫33の真上に位置しており、硬貨制御部30の制御に基づき、リジェクトブレード43と同様に構成された選別ブレード48をそれぞれ回動させることにより、投入搬送ガイド37を上下方向に貫通する選別孔部47を閉塞又は開放する。選別部45は、硬貨制御部30の制御に基づき、何れか1個の選別切替部46を開状態とし、他の選別切替部46を閉状態とすることにより、開状態とした選別切替部46と対応する収納庫33に硬貨を落下させて収納させることができる。
[2-2.下段部の構成]
下段部5L(図3)の収納庫33(33A~33F)は、上方から見て、何れも前後方向に長く、左右方向に短い長方形状に仕切られており、選別部45の各選別切替部46(図2)から落下されてくる硬貨を内部の収納空間50にそれぞれ収納する。
収納庫33A、33B及び33Cは、それぞれ50円硬貨、5円硬貨及び500円硬貨を収納する。また収納庫33D、33E及び33Fは、それぞれ100円硬貨、10円硬貨及び1円硬貨を収納する。
以下では、説明の都合上、全金種のうち100円、10円及び1円をまとめて1系金種と呼び、500円、50円及び5円を5系金種と呼ぶ。硬貨入出金装置5では、入金処理及び出金処理の何れにおいても、多くの場合、5系金種がそれぞれ0枚又は1枚であるのに対し、1系金種がそれぞれ0枚から4枚である。すなわち硬貨入出金装置5では、5系金種と比較して、1系金種の方が硬貨を取り扱う数量が多い。
ここでは、まず1円硬貨を収納する収納庫33Fについて詳細に説明する。収納庫33Fは、図4、図5並びに図6(A)及び(B)に示すように、一対の側壁部51、主搬送部52、2つの副搬送部53、2つの固定ガイド54、後壁部55、偏心カム56、リバースローラ57及び出金センサ58を有すると共に、硬貨を収納する収納空間50を形成している。ただし、図4は図3の一部を拡大すると共に一部を省略した模式的な平面図である。図5は図3におけるA1-A2断面を右方向から見た断面図である。図6(A)は、図4におけるB1-B2断面を前方向から見た断面図である。図6(B)は、図4におけるC1-C2断面を前方向から見た断面図である。
壁部としての側壁部51は、図4及び図6に示したように、例えば鋼板のように、左右方向に薄く一定の強度を有する板状の部材であり、収納空間50における左右両側に、すなわち該収納空間50を左右から挟むようにして互いに対向する位置にそれぞれ設けられている。側壁部51同士の左右方向に関する間隔である距離L1は、収納する硬貨の直径よりもやや大きく(長く)なっている。
主搬送部52は、図5に示したように、後側に配置された主搬送後プーリ61、前側に配置された主搬送前プーリ62、該主搬送前プーリ62の後下側に配置された主搬送サブプーリ63、該主搬送サブプーリ63の前下側に配置された主搬送下プーリ64、及び主搬送ベルト65により構成されている。
このうち主搬送後プーリ61、主搬送前プーリ62、主搬送サブプーリ63、主搬送下プーリ64は、何れも中心軸を左右方向に沿わせた円柱状でなり、図示しない支持部材により回転可能に支持されている。また主搬送後プーリ61は、硬貨制御部30の制御に基づき所定のモータ(図示せず)から駆動力が伝達されることにより、矢印R2方向又は矢印R1方向に回転する。
主搬送ベルト65は、可撓性を有する材料により構成された無端ベルトであり、主搬送後プーリ61、主搬送前プーリ62及び主搬送下プーリ64の周囲を周回し、且つ主搬送サブプーリ63に当接する経路に沿って張架されている。また主搬送ベルト65は、主搬送後プーリ61及び主搬送前プーリ62の間に張架された一部分(以下これを主搬送面65Cと呼ぶ)が、収納空間50における底面の一部分となっている。さらに、主搬送ベルト65における左右方向の長さ、すなわち幅は、図4及び図6に示したように、収納空間50における中央の約50~60%の範囲に相当する長さとなっている。また主搬送ベルト65の幅は、硬貨CNにおける直径の約半分に相当している。
かかる構成により主搬送部52は、主搬送後プーリ61を矢印R2方向又は矢印R1方向に回転させた場合、主搬送ベルト65の主搬送面65Cを前斜め上方向又は後斜め下方向へ走行させることができる。以下では、前斜め上方向を搬送方向とも呼ぶ。このとき主搬送部52は、収納空間50内に収納された硬貨が主搬送面65C上に載置されていれば、当該硬貨を搬送方向又はその反対方向へ搬送することができる。
図4及び図6に示したように、主搬送部52と左右両側の各側壁部51との間には、該主搬送部52側から順に固定ガイド54及び副搬送部53がそれぞれ配置されている。すなわち各副搬送部53は、後述するリバースローラ57よりも後側の範囲において、各側壁部51と隣接する位置にそれぞれ配置されている。この副搬送部53は、図5に示したように、後側に配置された副搬送後プーリ71、前側に配置された副搬送前プーリ72、及び副搬送ベルト75により構成されている。
このうち副搬送後プーリ71及び副搬送前プーリ72は、主搬送後プーリ61等と同様に、何れも中心軸を左右方向に沿わせた円柱状でなり、図示しない支持部材により回転可能に支持されている。また副搬送後プーリ71は、主搬送後プーリ61と一体に構成されており、その半径が該主搬送後プーリ61と同等に構成されている。
これを換言すれば、収納庫33Fには、主搬送後プーリ61及び副搬送後プーリ71を一体化した一体型後プーリ81(図4及び図5)が設けられているとみなすことができる。ベルトプーリとしての一体型後プーリ81は、その一部分であり主搬送後プーリ61に相当する主搬送張架部81Mにより主搬送ベルト65を張架し、他の一部分であり副搬送後プーリ71に相当する副搬送張架部81Sにより副搬送ベルト75を張架している。
このため副搬送後プーリ71は、硬貨制御部30の制御に基づき所定のモータ(図示せず)から駆動力が伝達されることにより、主搬送後プーリ61と一体に、矢印R2方向又は矢印R1方向に回転する。一方、副搬送前プーリ72は、主搬送前プーリ62に対して後斜め下側に位置している。
副搬送ベルト75は、主搬送ベルト65と類似した構成となっている。すなわち副搬送ベルト75は、可撓性を有する材料により構成された無端ベルトであり、副搬送後プーリ71及び副搬送前プーリ72の周囲を周回する経路に沿って張架されている。また副搬送ベルト75は、副搬送後プーリ71及び副搬送前プーリ72の間に張架された上側の部分(以下これを副搬送面75Cと呼ぶ)が、主搬送面65Cと略平行であり、且つ該主搬送面65Cの右側及び左側において、該主搬送面65Cと同一の平面上に位置している。換言すれば、副搬送面75Cは、水平方向に対する傾斜角度が、主搬送面65Cにおける水平方向に対する傾斜角度と同等に揃えられている。
このため副搬送ベルト75は、主搬送ベルト65と同様に、収納空間50における底面の一部となっている。さらに、副搬送ベルト75における左右方向の長さ、すなわち幅は、図4及び図6に示したように、収納空間50における左右方向の端部近傍における約10~20%の範囲に相当している。また副搬送ベルト75の幅は、硬貨CNの厚さの約2倍に相当している。
かかる構成により副搬送部53は、副搬送後プーリ71を矢印R2方向又は矢印R1方向に回転させた場合、副搬送ベルト75の副搬送面75Cを前斜め上方向又は後斜め下方向へ走行させることができる。このとき副搬送部53は、副搬送後プーリ71を主搬送後プーリ61と一体に回転させるため、副搬送ベルト75を主搬送ベルト65と同等の速度で同一の方向へ走行させることができる。これにより副搬送部53は、副搬送面75C上に、若しくは当該副搬送面75C及び主搬送面65Cにまたがるように硬貨が載置されていれば、当該硬貨を搬送方向又はその反対方向へ搬送することができる。
2つの固定ガイド54(図4)は、後述するリバースローラ57よりも後側の部分となる後固定ガイド54Aと、該リバースローラ57よりも前側の部分となる前固定ガイド54Bとにより構成されている。後固定ガイド54Aは、前後方向に関し概ね副搬送ベルト75が設けられている範囲において、図6(A)に示したように、主搬送部52と各副搬送部53との間に、すなわち主搬送部52の左右両隣にそれぞれ位置している。但し収納庫33Fでは、図4に示したように、後述する偏心カム56と対応する部分において、後固定ガイド54Aが部分的に省略されている。前固定ガイド54Bは、リバースローラ57よりも前側において、主搬送部52と側壁部51との間を埋めるように配置されている。この前固定ガイド54Bには、微小な通過孔が穿設されており、後述する出金センサ58の検知光を通過させ得るようになっている。
この固定ガイド54は、所定の樹脂材料により成型部品として成型されており、支持部材59によって支持されることによりその位置が固定されている。固定ガイド54の上面であるガイド面54Gは、後固定ガイド54A及び前固定ガイド54Bに渡る全範囲において平坦な傾斜面となっており、主搬送面65C及び副搬送面75Cと略平行であり、且つ両者よりもやや下側に位置している。
かかる構成により固定ガイド54は、収納庫33Fにおける収納空間50の底部分において、主搬送ベルト65の主搬送面65C及び副搬送ベルト75の副搬送面75Cから外れた箇所において硬貨CNを該収納空間50内に留めるように支持することができる。
後壁部55(図4)は、側壁部51、主搬送部52、副搬送部53及び固定ガイド54の後端近傍であって、該側壁部51同士の間となる箇所に配置されており、上側から見て後方向へ突出した円弧状の曲面を形成している。この後壁部55は、収納空間50の後端となっている。
可変突出部としての偏心カム56(図5及び図6(B))は、所定の樹脂材料による成型部品であり、回転体56A及び2枚のカム板56Bにより構成されている。回転体56Aは、主搬送後プーリ61等と同様、中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に形成されており、副搬送前プーリ72の後斜め下側であって、主搬送ベルト65の下側に位置している。また回転体56Aは、図示しない支持部により、中心軸56Xを回転中心として回転可能に支持されており、硬貨制御部30の制御に基づき所定のモータ(図示せず)から駆動力が伝達されることにより、矢印R2方向又は矢印R1方向に回転する。
突出カムとしてのカム板56Bは、左右方向に薄い板状でなり、左右方向から見た形状が半円若しくは長円の一部に類似した形状となっている。各カム板56Bは、回転体56Aの周側面における左端近傍及び右端近傍にそれぞれ立設されている。このためカム板56Bは、中心軸56Xを中心とした回転体56Aの回転に伴い、該回転体56Aと一体に回転し、これに伴って主搬送ベルト65の主搬送面65C及び副搬送ベルト75の副搬送面75Cよりも上側へ突出する部分の長さや形状を連続的に変化させることができる。換言すれば、偏心カム56は、中心軸56Xから外周部分までの距離が不均一となっており、その回転に伴い、主搬送面65C及び副搬送面75Cからの収納空間50内への突出量を変化させることができる。
因みに固定ガイド54は、上述したように、偏心カム56のカム板56Bが回転する範囲が省略された形状となっており、該カム板56Bとの干渉を回避し得るようになっている。
規制部としてのリバースローラ57は、副搬送前プーリ72の上方且つやや前側に位置しており、主搬送後プーリ61等と同様に、中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に構成されている。このリバースローラ57は、図5における領域ARを拡大した図7に示すように、主搬送ベルト65の主搬送面65Cとの間隔である距離L2が、硬貨CNの1枚分の厚さよりも僅かに長く(広く)、且つ2枚分の厚さよりも短く(狭く)なるように配置されている。またリバースローラ57は、副搬送前プーリ72との間隔である距離L3が、硬貨CNの直径RCよりも短く(狭く)なるように配置されている。
このリバースローラ57は、硬貨制御部30の制御に基づき所定のモータ(図示せず)から駆動力が伝達されることにより、矢印R2方向に、すなわち下側面を後方へ進行させるよう回転する。これによりリバースローラ57は、主搬送ベルト65の主搬送面65C上に2枚以上の硬貨CNが積み重なった状態で搬送方向へ搬送されていた場合、最下層の硬貨CNを除いた上層の硬貨CNを堰き止め、或いはその重なりを崩しながら、1枚ずつ該リバースローラ57及び主搬送面65Cの隙間を通過させる。
出金センサ58(図4及び図5)は、収納空間50の上側及び前固定ガイド54Bの下側に、検知光を発光する発光部及び該検知光を受光する受光部がそれぞれ設けられている。この出金センサ58は、発光部から出射された検知光を受光部により受光し、得られた光量に応じた受光信号を生成して硬貨制御部30へ通知する。このとき検知光は、主搬送部52の前端から前方へ繰り出された硬貨CN、すなわち収納庫33Fから排出される硬貨CNがあれば、該硬貨CNにより遮られ、受光部における受光量が変化する。硬貨制御部30は、受光信号を基に硬貨CNを1枚ずつ検知すると共に、収納庫33Fから排出された硬貨CNの枚数を計数し、当該枚数に応じて各部を制御することができる。
このように収納庫33Fは、硬貨制御部30の制御に基づき、主搬送部52及び副搬送部53、並びに偏心カム56及びリバースローラ57等を動作させることにより、収納している硬貨CNを前方へ、すなわち硬貨出金トレイ32へ排出する(すなわち出金する)ことができる。
なお下段部5Lでは、収納庫33Fと同様に1系金種の硬貨を収納する収納庫33D(100円硬貨)及び33E(10円硬貨)が、該収納庫33Fとほぼ同様に構成されている。その一方で硬貨入出金装置5では、5系金種の硬貨を収納する収納庫33A(50円硬貨)、33B(5円硬貨)及び33C(500円硬貨)が、収納庫33Fから各副搬送部53を省略し、各固定ガイド54を側壁部51の直近まで拡幅したような構成となっている。
図3及び図5に示したように、下段部5Lにおける各収納庫33の前側には、硬貨出金トレイ32が配置されている。硬貨出金トレイ32は、図3に示したように、左右方向に関する長さが、後端部分において6個分の収納庫33と同等であり比較的長くなっているものの、前方へ進むに連れて、左端が右寄りに移動し、徐々に短くなっている。
硬貨出金トレイ32は、大きく分けて後側の傾斜案内部32Rと、前側の貯留部32Fとにより構成されている。傾斜案内部32Rは、図3に示したように、上方から見て後辺よりも前辺が短い台形状に形成されている。また傾斜案内部32Rは、図5に示したように、その後端を比較的高い位置、具体的には収納庫33の主搬送部52における主搬送前プーリ62の上端よりもやや低い位置に合わせており、この後端から前方へ進むに連れて下降するように傾斜している。このため傾斜案内部32Rは、収納庫33Fの主搬送ベルト65における主搬送面65Cの前端から硬貨CNが落下してきた場合、該硬貨CNを傾斜面に沿って前下方へ滑降させ、貯留部32Fに到達させる。
貯留部32Fは、上方から見て概ね半楕円状に形成されており、底部がほぼ平坦な平面状に形成されると共に、左側から前側を経て右側に至る外周部分に底面よりも十分に高い側壁部が形成されている。このため貯留部32Fは、傾斜案内部32Rに沿って滑降してきた硬貨CNを、硬貨入出金装置5の外部から取出可能な状態で貯留する。
[3.動作及び効果]
以上の構成において、本実施の形態による硬貨入出金装置5の収納庫33Fは、主搬送部52と各側壁部51との間に副搬送部53をそれぞれ設けた(図4)。収納庫33Fは、硬貨制御部30の制御に基づき、主搬送ベルト65と共に副搬送ベルト75を走行させることにより、収納空間50内に収納されている硬貨を繰り出すことができる。
ところで、例えば収納庫33Aでは、図8(A)に示したように、収納空間50内において側壁部51にもたれかかるようにして、硬貨CN1及びCN2の盤面が概ね左右方向を向いた姿勢(以下これを立位姿勢と呼ぶ)となって互いに隣接し、これらに他の硬貨CN3がもたれかかった姿勢(以下これをもたれ姿勢と呼ぶ)となる場合がある。以下、このような状態を硬貨ブリッジとも呼ぶ。
このとき硬貨ブリッジを形成している硬貨CN1、CN2及びCN3は、何れも収納空間50の底部において固定ガイド54の前固定ガイド54Aに当接する一方、主搬送ベルト65の主搬送面65Cには当接していない。そうすると収納庫33Aでは、主搬送ベルト65を走行させたとしても、これらの硬貨CN1、CN2及びCN3に駆動力を伝えることができず、硬貨ブリッジを崩すことができない。また収納庫33Aでは、仮にこの硬貨ブリッジを崩すべく、主搬送面65Cによって搬送可能な他の硬貨CNを搬送して当該硬貨ブリッジに当接させたとしても、崩し得ない可能性がある。このような場合、硬貨入出金装置5では、保守作業者等による保守作業が必要となり、硬貨ブリッジを解消するまでに時間や手間を必要としてしまう。
一方、収納庫33Fでは、図8(B)に示したように、仮に硬貨CN11、硬貨CN12及び硬貨CN13により硬貨ブリッジが形成された場合、立位姿勢である硬貨CN11及びCN12、並びにもたれ姿勢の硬貨CN13は、何れも副搬送ベルト75の副搬送面75Cに当接している。このため収納庫33Fでは、主搬送ベルト65と共に副搬送ベルト75を走行させることにより、硬貨CN11、CN12及びCN13に駆動力を伝えることができ、硬貨ブリッジを崩し得る可能性を格段に高めることができる。この結果、収納庫33Fは、収納されている硬貨CNを硬貨出金トレイ32へ円滑に繰り出すこと、すなわち排出することができる。
他の観点から見ると、収納庫33Fでは、主搬送ベルト65の主搬送面65C上に載置されて搬送される硬貨CNをある程度崩す目的で、偏心カム56を設けている。このため主搬送ベルト65は、偏心カム56のカム板56Bと干渉しないように、その幅(すなわち左右方向の長さ)が制限されている。
そこで収納庫33Fでは、主搬送ベルト65と側壁部51との間であって、且つカム板56Bと干渉しない位置、すなわち左右方向に関してカム板56Bの両外側において、側壁部51と隣接する部分に、副搬送ベルト75を走行させるようにした(図4、図6等)。これにより収納庫33Fは、図8(B)の硬貨CN11のように、収納空間50において側壁部51に支えられるようにして立位姿勢となった硬貨CNや、硬貨CN13のように主搬送面65Cから離れた位置にある硬貨CNに対し、副搬送ベルト75から駆動力を伝達することができる。
また収納庫33Fでは、図7に示したように、副搬送前プーリ72とリバースローラ57との間隔である距離L3を、硬貨CNの直径RCよりも小さくした。これにより収納庫33Fでは、仮に副搬送ベルト75により立位姿勢のまま搬送されてきた硬貨CNがあったとしても、矢印R2方向へ回転するリバースローラ57と当該硬貨CNとを確実に当接させることができ、その姿勢を崩す可能性を格段に高めることができる。
さらに異なる観点から見ると、収納庫33Fでは、収納空間50内に収納されている硬貨CNを繰り出す場合、主搬送ベルト65及び副搬送ベルト75の走行により、収納されている硬貨CNが集積された状態であるか否かに関わらず搬送する。やがて収納庫33Fでは、回転するリバースローラ57により、集積されている2枚目以上の硬貨が堰き止められ、また集積された状態が適宜崩される。これにより収納庫33Fでは、主搬送ベルト65により、主搬送面65C上に硬貨が1枚ずつに分離された状態で、その板面を該主搬送面65Cに対向させた姿勢として、リバースローラ57よりも下流側、すなわち前側へ搬送する。このため収納庫33Fでは、リバースローラ57よりも下流側の部分において、図8(A)及び(B)に示したように硬貨ブリッジが発生する恐れが無いため、副搬送ベルト75を配置する必要も無い。
また収納庫33Fでは、仮に副搬送ベルト75を主搬送前プーリ62(図5)の近傍まで配置する場合、出金センサ58の配置に関し、主搬送ベルト65に加えて該副搬送ベルト75についても干渉を回避する必要が生じるため、設計の難易度の上昇や、硬貨の検知精度の低下を招く恐れがあった。この点においても、収納庫33Fでは、概ねリバースローラ57よりも上流側(後側)にのみ副搬送ベルト75を配置したため、出金センサ58の配置に関して制限を加えることが無く、硬貨CNの検知精度を最も高め得る位置に該出金センサ58を配置することができる。
さらに収納庫33Fでは、主搬送部52の主搬送後プーリ61と副搬送部53の副搬送後プーリ71とを一体化して一体型後プーリ81を構成し、両者の半径を互いに同等とした。このため収納庫33Fでは、1つのモータから主搬送後プーリ61に駆動力を供給するだけで、副搬送後プーリ71にも駆動力を供給でき、且つ該主搬送後プーリ61及び副搬送後プーリ71を同一の回転速度で同一の方向へ回転させることができる。これにより収納庫33Fは、主搬送ベルト65及び副搬送ベルト75を同等の速度で同一の方向へ走行させることができ、収納空間50内の硬貨を安定的に搬送することができる。
これを換言すれば、収納庫33Fでは、主搬送部52に加えて副搬送部53を設けるに際し、副搬送後プーリ71に駆動力を供給するためのモータを追加する必要や、このモータを別途制御する必要が無いため、構成の複雑化や処理の煩雑化を招かずに済む。
以上の構成によれば、本実施の形態による硬貨入出金装置5の収納庫33Fは、主搬送部52と各側壁部51との間に副搬送部53をそれぞれ設けた。収納庫33Fは、主搬送ベルト65と共に副搬送ベルト75を走行させることにより、収納空間50内に収納されている硬貨を搬送方向に搬送でき、また仮に硬貨ブリッジ(図8)が発生したとしても、該副搬送ベルト75の走行により、これを解消することが期待できる。この結果、収納庫33Fは、収納されている硬貨を円滑に繰り出すことができる。
[4.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、副搬送ベルト75の副搬送面75Cを、主搬送ベルト65の主搬送面65Cに対し、略平行とし、且つ略同一の平面上に配置するよう、副搬送部53を構成する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば副搬送面75Cを主搬送面65Cよりもやや下側に位置させても良く、また該副搬送面75Cの水平方向に対する傾斜角度を、主搬送面65Cの水平方向に対する傾斜角度と相違させても良い。ただしこの場合、硬貨を主搬送ベルト65により安定的に搬送する観点から、前後方向に関する各位置において、副搬送面75Cを主搬送面65Cと同等の高さ又はやや下側に位置させることが望ましい。
また上述した実施の形態においては、副搬送部53の副搬送前プーリ72をリバースローラ57よりもやや後側に配置する場合について述べた(図7)。しかし本発明はこれに限らず、例えば副搬送前プーリ72をリバースローラ57よりも前側に配置しても良い。或いは、例えば副搬送前プーリ72を主搬送前プーリ62と一体に構成しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、副搬送部53の副搬送後プーリ71を主搬送後プーリ61と一体化して一体型後プーリ81を構成する場合について述べた(図4)。しかし本発明はこれに限らず、例えば副搬送後プーリ71(以下、副搬送プーリとも呼ぶ)を主搬送後プーリ61(以下、主搬送プーリとも呼ぶ)と別体に構成し、該主搬送後プーリ61に駆動力を供給するモータと異なる他のモータから、該副搬送後プーリ71に駆動力を供給させても良い。この場合、例えば硬貨制御部30によって主搬送後プーリ61及び副搬送後プーリ71の回転をそれぞれ制御することにより、主搬送ベルト65及び副搬送ベルト75を互いに独立して走行させることができる。このため、例えば一時的に両者の速度を相違させ、或いは走行方向を相違させる等の走行制御を行うことにより、収納空間50内における硬貨の詰まりや硬貨ブリッジの解消を図るようにしても良い。さらには、2つの副搬送ベルト75の間で速度を相違させ、或いは走行方向を相違させても良い。なお、主搬送ベルト65及び副搬送ベルト75の走行速度を相違させる場合には、上述した場合と同様に副搬送ベルト75を主搬送ベルト65よりもやや下側に配置することにより、硬貨を安定的に搬送することが期待できる。
さらに上述した実施の形態においては、主搬送部52の左右両側に副搬送部53をそれぞれ設ける場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば左右の何れか片側にのみ副搬送部53を設けても良い。また、各副搬送部53における副搬送ベルト75の幅(左右方向の長さ)を、互いに相違させても良い。
さらに上述した実施の形態においては、副搬送部53における副搬送ベルト75の左右方向に関する長さ(すなわち幅)を、硬貨CNの厚さの約2倍の長さとする場合について述べた(図8)。しかし本発明はこれに限らず、例えば副搬送ベルト75の幅を硬貨CNの厚さ1枚に相当する長さとしても良く、或いは厚さ3枚以上に相当する長さとしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、副搬送前プーリ72及びリバースローラ57の間隔である距離L3を、硬貨CNの直径RCよりも短く(狭く)する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば距離L3を直径RCよりも長く(広く)しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、偏心カム56における回転体56Aの周側面から突出するカム板56Bを設けて該回転体56Aを回転させることにより、主搬送面65C及び副搬送面75Cからの収納空間50内への突出量を変化させる場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば周知のソレノイドによりカム板56Bに類似した形状の部材を上下方向へ移動させる等、種々の構成により主搬送面65C及び副搬送面75Cからの収納空間50内への突出量を変化させるようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、偏心カム56を設けることに伴って主搬送ベルト65と副搬送ベルト75とを引き離して配置し、両者の間に固定ガイド54の後固定ガイド54Aを設ける場合について述べた(図4及び図6)。しかし本発明はこれに限らず、例えば偏心カム56及び後固定ガイド54Aを省略し、主搬送ベルト65に隣接するように副搬送ベルト75を配置しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、1系金種(100円、10円及び1円)に対応する収納庫33D、33E及び33Fに副搬送部53を設ける場合について述べた(図3)。しかし本発明はこれに限らず、例えば収納庫33Fのみに副搬送部53を設け、或いは全ての収納庫33に副搬送部53を設ける等、任意の金種の収納庫33に副搬送部53を設けても良い。要は、硬貨を取り扱う数量が比較的多く、硬貨ブリッジが発生する可能性が比較的高い金種の収納庫に副搬送部53を設けることにより、製造コストの増加を必要最小限に抑えながら、硬貨ブリッジを容易に解消することができる。
さらに上述した実施の形態においては、紙幣入出金装置4と共に釣銭機3を構成する硬貨入出金装置5に本発明を適用する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば紙幣入出金装置4を有さず硬貨CNのみを取り扱う釣銭機3に組み込まれる硬貨入出金装置5に本発明を適用しても良い。
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
さらに上述した実施の形態においては、壁部としての側壁部51と、主搬送部としての主搬送部52と、副搬送部としての副搬送部53とによって硬貨処理装置としての硬貨入出金装置5を構成する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる壁部と、主搬送部と、副搬送部とによって硬貨処理装置を構成しても良い。
本発明は、例えば小売店等での精算手続において硬貨の入金処理及び出金処理等を行う硬貨入出金装置で利用できる。
1……レジ釣銭機、3……釣銭機、5……硬貨入出金装置、5L……下段部、32……硬貨出金トレイ、33、33A、33B、33C、33D、33E、33F……収納庫、50……収納空間、51……側壁部、52……主搬送部、53……副搬送部、54……固定ガイド、54G……ガイド面、56……偏心カム、56X……中心軸、57……リバースローラ、58……出金センサ、59……支持部材、61……主搬送後プーリ、62……主搬送前プーリ、65……主搬送ベルト、65C……主搬送面、71……副搬送後プーリ、72……副搬送前プーリ、75……副搬送ベルト、75C……副搬送面、81……一体型後プーリ、CN……硬貨、L1、L2、L3……距離、RC……直径。

Claims (11)

  1. 互いに対向して配置され、硬貨を収納する収納空間を形成する一対の壁部と、
    主搬送ベルトの張架により形成される主搬送面が前記一対の壁部の間に配置され、前記主搬送ベルトの走行により、前記主搬送面に載置された前記硬貨を搬送方向へ搬送する主搬送部と、
    副搬送ベルトの張架により形成される副搬送面が前記主搬送ベルトと前記壁部との間に配置され、前記副搬送ベルトの走行により、前記副搬送面を前記搬送方向へ走行させる副搬送部と
    を具え
    前記副搬送部は、前記主搬送部を間に挟んだ両側にそれぞれ設けられている
    ことを特徴とする硬貨処理装置。
  2. 前記副搬送部は、前記副搬送ベルトを前記主搬送ベルトと同等の速度で走行させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理装置。
  3. 周側面の一部分でなる主搬送張架部により前記主搬送ベルトを張架すると共に、当該周側面における他の部分でなる副搬送張架部により前記副搬送ベルトを張架するベルトプーリと
    を具えることを特徴とする請求項に記載の硬貨処理装置。
  4. 前記主搬送ベルトを張架する主搬送プーリと、
    前記主搬送プーリと別体であり、前記副搬送ベルトを張架する副搬送プーリと
    を具えることを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理装置。
  5. 前記主搬送ベルト及び前記副搬送ベルトを互いに異なる方向へ走行させるよう、前記主搬送プーリ及び前記副搬送プーリをそれぞれ制御する制御部と
    を具えることを特徴とする請求項に記載の硬貨処理装置。
  6. 前記主搬送ベルト及び前記副搬送ベルトを互いに異なる速度で走行させるよう、前記主搬送プーリ及び前記副搬送プーリをそれぞれ制御する制御部と
    を具えることを特徴とする請求項に記載の硬貨処理装置。
  7. 前記副搬送部は、前記副搬送面を前記主搬送面と同一の平面上に配置させている
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項の何れかに記載の硬貨処理装置。
  8. 前記収納空間内において前記主搬送ベルトの前記主搬送面との間隔が前記硬貨の直径よりも小さくなる位置に設けられた規制部と
    をさらに具え、
    前記副搬送部は、前記副搬送ベルトのうち前記規制部と最も近い箇所における当該規制部との間隔が、前記硬貨の直径よりも小さい
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項の何れかに記載の硬貨処理装置。
  9. 互いに対向して配置され、硬貨を収納する収納空間を形成する一対の壁部と、
    主搬送ベルトの張架により形成される主搬送面が前記一対の壁部の間に配置され、前記主搬送ベルトの走行により、前記主搬送面に載置された前記硬貨を搬送方向へ搬送する主搬送部と、
    副搬送ベルトの張架により形成される副搬送面が前記主搬送ベルトと前記壁部との間に配置され、前記副搬送ベルトの走行により、前記副搬送面を前記搬送方向へ走行させる副搬送部と、
    前記主搬送部における前記主搬送面と前記副搬送部における前記副搬送面との間に配置された固定ガイドと
    を具えることを特徴とする硬貨処理装置。
  10. 前記主搬送部における前記主搬送面と前記副搬送部における前記副搬送面との間であって、前記主搬送面からの前記収納空間内への突出量を変化させる可変突出部と
    を具えることを特徴とする請求項に記載の硬貨処理装置。
  11. 前記可変突出部は、前記主搬送面と略平行な中心軸を中心に回転し、該中心軸から外周部分までの距離が不均一な突出カムを有する
    ことを特徴とする請求項10に記載の硬貨処理装置。
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