JP3647782B2 - 硬貨払出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬貨払出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、金種毎に分けられた複数の硬貨収納部を平行に配列し、これらの硬貨収納部に1円・5円・10円・50円・100円・500円等の硬貨を収納し、POS(Point Of Sales)端末やECR(Electronic Cash Register)からの指令により釣り銭がある場合には、硬貨収納部内の硬貨をベルトにより硬貨払出口に払い出すようにした硬貨払出装置がある。
【0003】
このような硬貨払出装置には、図7に一例を示すように、硬貨選別部(図示せず)で金種別に選別し落下させた硬貨Cを金種別に収納する硬貨収納部101が設けられている。この硬貨収納部101内の硬貨Cを硬貨払出口(図示せず)に払い出すために、硬貨収納部101の底面から硬貨払出口まで延出する搬送ベルト102が設けられている。そして、搬送ベルト102に対して平行な状態で搬送ベルト102に載っている硬貨Cが搬送ベルト102により搬送され払い出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図8に示すように、例えば、搬送ベルト102に対して平行な状態で搬送ベルト102上に載っている硬貨Cと硬貨収納部101の側面101aとの間に直立状態の硬貨Cが挟まることにより、それらの硬貨Cが硬貨収納部101の両側面101a間に挟まり硬貨Cが詰まってしまうという問題がある。
【0005】
また、硬貨払出装置には、紙幣入出金装置や貨幣ドロワ等とともにモジュール化されて、ユーザの店舗運用に応じてそれらの内一つと組み合わされて並設され、面一状態にされたそれらの上面にPOS端末やECRが載置されて使用されるものがある。このようなモジュール化において、使い勝手を良くする為に装置の横幅をPOS端末やECRの横幅と略同じに設定されて上面にPOS端末やECRが載置されて使用される硬貨払出装置を適用する場合には、この硬貨払出装置を他のモジュールと並設した場合にそれらの横幅がPOS端末やECRの横幅より大きくなり使い勝手が悪くなってしまう。
【0006】
本発明の目的は、硬貨収納部における硬貨の詰まりを防止することである。
【0007】
本発明の別の目的は、硬貨払出装置の横幅を縮小することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、金種毎の硬貨収納部に金種別に収納された硬貨を硬貨払出搬送経路に沿って搬送面上を搬送して払い出すようにした硬貨払出装置において、前記硬貨収納部の前記搬送面部の硬貨払出搬送方向と直交する方向の幅をその硬貨収納部に収納される硬貨の直径よりも広くその硬貨収納部に収納される硬貨の直径にその硬貨の厚さを加えた幅よりは狭く形成した。
【0009】
したがって、硬貨払出搬送方向と直交する方向の幅を横幅とすると、硬貨収納部の搬送面部の横幅方向には、水平な状態の硬貨は一枚のみ収納され、かつ、この状態では、搬送面部の幅方向で硬貨が挟まれることがないので、硬貨収納部の搬送面部に収納された硬貨の詰まりが防止される。また、装置全体の横幅をPOSやECRの横幅と略同じに設定された従来の硬貨払出装置に比べ装置全体の横幅を縮小することが可能となる。
また、前記硬貨を投入するための硬貨投入口を設け、前記硬貨投入口に投入された前記硬貨を搬送する過程で選別穴により前記硬貨を金種別に選別して前記硬貨収納部に落下させる硬貨選別部を設け、前記選別穴から落下する硬貨を当該硬貨の直径により定まる落下直後の当該硬貨が占める位置を含む大きさよりも大きな面で受け止めて受け止めた当該硬貨を滑らせて斜め下方へ向けて落下させる傾斜ガイドを設けた。したがって、選別穴から落下する硬貨は、水平な状態に近付けられて落下して硬貨収納部に収納されるようになり、硬貨が硬貨収納部の幅方向で挟まれることが防止される。
更に、前記傾斜ガイドを前記硬貨収納部の入口付近にのみ設けた。したがって、硬貨収納部に収納された硬貨の詰まりが防止されるとともに、傾斜ガイドを例えば硬貨収納部の搬送面付近まで延ばして設けた場合に比べ硬貨収納部の硬貨収納量が大きくなる。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の硬貨払出装置において、前記硬貨収納部の幅は、垂直面である前記硬貨収納部の両側面によって規定されている。
【0011】
したがって、硬貨払出搬送方向と直交する方向の幅を横幅とすると、硬貨収納部の横幅方向には、水平な状態の硬貨は一枚のみ収納され、かつ、この状態では、硬貨が硬貨収納部の両側面により挟まれることがないので、硬貨収納部に収納された硬貨の詰まりが防止される。また、装置全体の横幅をPOSやECRの横幅と略同じに設定された従来の硬貨払出装置に比べ装置全体の横幅を縮小することが可能となる。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の硬貨払出装置において、前記硬貨選別部は、前記硬貨選別部に形成された硬貨選別搬送経路を搬送される前記硬貨の側面を案内する基準面を有し、前記硬貨の前記基準面側よりも前記基準面とは反対側を先に前記選別穴から落下させ、前記傾斜ガイドは、前記選別穴の前記基準面に近い方の端部から遠い方の端部に向かうに従い斜め下方に傾斜している。
【0018】
したがって、基準面側よりも基準面とは反対側が先に選別穴から落下して傾斜した硬貨の上部から下部へ向かう傾斜の水平成分方向と、傾斜ガイドの基準面に近い方の端部から遠い方の端部に向かう傾斜の水平成分方向とが同じであるので、硬貨が傾斜ガイドに当たった際に硬貨が跳ねることを防止することが可能であり、硬貨を確実に傾斜ガイド上に滑らせることが可能である。
【0019】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の硬貨払出装置において、前記基準面を前記選別穴よりも硬貨払出搬送方向下流側に設けた。
【0020】
したがって、硬貨は、選別穴の硬貨払出搬送方向上流側に落下して、硬貨収納部の硬貨払出搬送方向下流側に搬送される。
【0021】
請求項5記載の発明は、請求項1、2、3又は4記載の硬貨払出装置において、前記搬送面は、前記硬貨払出搬送経路を形成し硬貨払出搬送方向下流に向かうに従い高さが高くなり、前記傾斜ガイドの前記選別穴から下方へ向かう傾斜の水平成分方向と、前記搬送面の硬貨払出搬送方向上流側から下流側に向かう傾斜の水平成分方向とが逆向きである。
【0022】
したがって、硬貨は、硬貨収納部の搬送面に対して平行若しくはそれに近い状態で落下して硬貨収納部の搬送面に対して平行に収納され、硬貨収納部に収納された硬貨の詰まりが防止される。
【0023】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の硬貨払出装置において、前記傾斜ガイドは、前記搬送面に対して平行である。
【0024】
したがって、硬貨は、硬貨収納部の搬送面に対して平行若しくはそれに近い状態で落下して硬貨収納部の搬送面に対して平行に収納され、硬貨収納部に収納された硬貨の詰まりが防止されるとともに、例えば搬送面に平行な状態より傾斜ガイドの下端が搬送面に近い状態に傾斜ガイドを傾けて設けた場合に比べ硬貨収納部の硬貨収納量が大きくなる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態を図1ないし図6に基づいて説明する。本実施の形態は、POS端末(図示せず)に接続されて使用される硬貨払出装置への適用例である。ここで、図1は硬貨払出装置1を概略的に示す外観斜視図、図2は硬貨払出装置1の内部構造を示す平面図である。
【0026】
図1及び図2に示すように、本体ケース2の右側手前に硬貨C(図3参照)を一括して投入するための上方開口の硬貨投入口3が設けられている。この硬貨投入口3には、光電的に硬貨Cの有無を検出する複数組の投入センサ4が設けられている。そして、硬貨投入口3の一端には投入ローラ5が設けられ、この投入ローラ5と硬貨投入口3とにより投入部6が形成されている。投入ローラ5は、硬貨Cを一列にして搬送する搬送ベルト7の真上に1枚分の硬貨Cが通る隙間をあけて対向配置されている。また、この投入ローラ5は、搬送ベルト7上に硬貨Cが重なった場合には最下層の硬貨C以外の硬貨Cを硬貨投入口3側に戻すように回転方向が定められている。ここで、搬送ベルト7は、搬送ベルト7の始端から終端に到る硬貨搬送経路8を形成している。
【0027】
搬送ベルト7の終端部分には、硬貨搬送方向を直角に変換して硬貨Cを底板9に圧接させて硬貨選別位置に搬送する搬送ベルト10が設けられている。この底板9と搬送ベルト10とは、硬貨選別搬送経路11を形成している。この硬貨選別搬送経路11の一側縁には、基準面12が設けられている。詳しくは、基準面12は、後述する硬貨選別部13の選別穴14よりも硬貨払出搬送方向(後述)下流側となる硬貨選別搬送経路11の一側縁に設けられている。この基準面12は、硬貨選別搬送経路11を搬送される硬貨Cの側面を案内し、後述する硬貨選別部13の選別穴14から対応する硬貨Cを正しく落下させる為に必要な硬貨Cの搬送基準を得る為の硬貨案内面である。そして、搬送ベルト10は、基準面12に硬貨Cの側面を当接させた状態で硬貨Cを搬送する。
【0028】
次いで、底板9には、搬送ベルト10に沿わせて、即ち、硬貨選別搬送経路11に沿わせて順次穴幅寸法が拡大する金種毎の選別穴14が形成され、ここに硬貨選別位置に位置し、搬送された硬貨を金種別に選別する硬貨選別部13が形成されている。選別穴14は、図2において右から1円・50円・5円・100円・10円・500円のそれぞれの金種に対応するように6個設けられている。本実施の形態では、硬貨選別搬送方向で隣り合う選別穴14同士はそれぞれ連続して形成されており、外見上、一つの穴を形成している。硬貨選別部13は、硬貨Cが搬送されて、所定の外径の選別穴14に到達した際に、金種毎に後述する硬貨収納部15に落下させる。その際、硬貨選別部13は、硬貨Cの基準面12側を底板9により支持することにより硬貨Cの基準面12側よりも基準面12とは反対側を先に落下させる。そして、各選別穴14には、金種毎に計数センサ16が設けられており、金種毎に硬貨Cの枚数がカウントされる。
【0029】
図3は硬貨払出装置1に内蔵される硬貨収納部15と搬送部とを示す縦断側面図、図4はその平面図である。硬貨払出装置1には、選別穴14のそれぞれに連通させて、垂直で互いに平行な複数の仕切板17により金種毎に仕切られた上方開口の硬貨収納部15が設けられている。硬貨収納部15の仕切板17により仕切られた各硬貨収納部15a〜15fのそれぞれの横幅W、即ち、仕切板17により形成される両側面17a間の幅は、その硬貨収納部15a〜15fに収納される硬貨Cの直径よりも広くその硬貨収納部15a〜15fに収納される硬貨Cの直径にその硬貨の厚さを加えた幅よりは狭く設定されている。
【0030】
この硬貨収納部15a〜15fのそれぞれの底部分には、図示しないモータに連結されて駆動される搬送ベルト18が駆動ローラ19と従動ローラ20とに懸け渡されて設けられている。この搬送ベルト18は、エンドレスベルトであって、硬貨払出搬送方向下流側に向かうに従い高さが高くなるような搬送面18aを形成するように傾斜配置されており、この搬送面18a上の硬貨Cを硬貨払出搬送方向へ搬送する。硬貨払出搬送方向は、硬貨収納部15a〜15fの横幅W方向と直交する方向に設定されている。そして、搬送ベルト18の搬送面18aは、硬貨収納部15a〜15fの底面及び硬貨払出搬送経路21を形成している。ここで、硬貨収納部15a〜15fの底面部、即ち搬送面18a部の横幅Wは、前述したように両側面17aにより定められているので、その硬貨収納部15a〜15fに収納される硬貨Cの直径よりも広くその硬貨収納部15a〜15fに収納される硬貨Cの直径にその硬貨の厚さを加えた幅よりは狭く設定されている。また、搬送ベルト18、駆動ローラ19、従動ローラ20によって、搬送部が形成されている。
【0031】
そして、硬貨収納部15a〜15fの出口部には、硬貨Cを一枚毎に分離する分離ローラ22が、搬送ベルト18に対して硬貨C一枚が通過し得る間隔を隔てて配設され、かつ、全ての金種の出口部をそれらの金種毎に横断するように配設されている。
【0032】
図5は、硬貨払出装置1に内蔵される硬貨選別部13と硬貨収納部15と傾斜ガイド23とを拡大して示す斜視図である。硬貨収納部15a〜15fにおける硬貨選別部13の選別穴14との連通部、即ち、硬貨収納部15a〜15fの入口付近には、選別穴14から落下する硬貨Cを案内する傾斜ガイド23が設けられている。これらの傾斜ガイド23は、硬貨選別部13の選別穴14の基準面12に近い方の端部から遠い方の端部に向かうに従い下方に傾斜し、かつ、搬送ベルト18の搬送面18aと平行に設定されている。そして、この傾斜ガイド23は、硬貨選別部13の選別穴14により選別されて落下する硬貨Cを斜め下方へ向けて落下させる。
【0033】
さらに、硬貨収納部15の出口部には、所定枚数の硬貨Cを一列に整列させて、待機させる硬貨待機部24が金種毎に設けられている。
【0034】
加えて、図3に示すように、各搬送ベルト18の先端付近の上部には、それぞれ金種別に硬貨Cを一時的に停止させるとともに必要枚数の硬貨Cを送り出すように動作制御がなされる硬貨シャッタ25が設けられている。これらの硬貨シャッタ25は、一端で搬送ベルト18上の先頭の硬貨Cを押えているが他端に連結されたシャッタソレノイド26により駆動され指定された枚数だけ硬貨Cを払い出すように構成されている。さらに、各硬貨シャッタ25の直後には、金種毎に払い出された硬貨Cの枚数を計数する光センサである払出センサ27が設けられている。
【0035】
さらに、搬送ベルト18によって硬貨Cを金種別に落下させる硬貨払出位置には、図1及び図2に示すように、上面が開口した筐体状の硬貨払出口28が配置されている。さらに、本体ケース2の硬貨払出口28の奥側には、表示器29及び各種の操作部30が設けられている。
【0036】
このような構成において、硬貨Cが硬貨投入口3に投入されると、投入センサ4がその硬貨Cを検出し、この検出信号により投入ローラ5、搬送ベルト7,10が駆動される。そして、硬貨投入口3に投入された硬貨Cは、投入ローラ5と搬送ベルト7との間で1枚ずつ分離されて搬送される。硬貨Cは、搬送ベルト7から搬送ベルト10に方向転換されて搬送され、硬貨選別部13で金種毎の選別がなされる。すなわち、硬貨Cは、金種に応じて選別穴14から落下し、硬貨収納部15a〜15fに金種別に収納される。そして、選別穴14から落下した硬貨Cは、計数センサ16によりその数がカウントされる。
【0037】
また、硬貨待機部24に硬貨Cがない場合には、搬送ベルト18が駆動されて硬貨待機部24に所定枚数の硬貨Cが常に存在するように動作制御がなされる。
【0038】
ついで、POS端末において締め処理がなされ、POS端末より硬貨Cの払出命令があった場合には、搬送ベルト18が駆動されるとともに、金種毎に硬貨シャッタ25がシャッタソレノイド26によって駆動されるため、必要枚数の硬貨Cが送り出される。このように送り出された硬貨Cは、硬貨払出口28に払い出される。
【0039】
次に、硬貨Cが金種に応じて選別穴14から落下し硬貨収納部15a〜15fに金種別に収納される際の動きについて詳しく説明する。硬貨Cは、基準面12側よりも基準面12とは反対側、即ち、硬貨払出搬送方向上流側が先に選別穴14から落下して、傾斜ガイド23を滑り落ちる。これにより、硬貨Cは、硬貨収納部15a〜15fの硬貨払出搬送方向上流側へ向けて落下する。
【0040】
このとき、基準面12側よりも基準面12とは反対側が先に選別穴14から落下して傾斜した硬貨Cの上部から下部へ向かう傾斜の水平成分方向と、傾斜ガイド23の基準面12に近い方の端部から遠い方の端部に向かう傾斜の水平成分方向(換言すると、傾斜ガイド23の選別穴14から下方へ向かう傾斜の水平成分方向)とが同じであるので、硬貨Cが傾斜ガイド23に当たった際に硬貨Cが跳ねることを防止することができ、硬貨Cを確実に傾斜ガイド23上に滑らせることができる。
【0041】
そして、傾斜ガイド23により硬貨Cは水平状態に近付けられて落下する。
【0042】
さらに、傾斜ガイド23の選別穴14から下方へ向かう傾斜の水平成分方向と、搬送面18aの硬貨払出搬送方向上流側から下流側に向かう水平成分方向とが逆向きであるので、硬貨Cは搬送面18aに対して平行若しくはそれに近い状態で落下する。
【0043】
さらに、傾斜ガイド23が搬送面18aに平行であるので、より確実に硬貨Cは搬送面18aに対して平行若しくはそれに近い状態で落下する。よって、硬貨Cは、硬貨収納部15a〜15fの底面、即ち搬送面18aに対して確実に平行な状態で収納される。これにより、硬貨Cが硬貨収納部15a〜15fの底面に対して直立した状態で収納されることが防止される。
【0044】
ここで、本実施の形態の硬貨払出装置1は、硬貨収納部15a〜15fの横幅Wがその硬貨収納部15a〜15fに収納される硬貨Cの直径よりも広くその硬貨収納部15a〜15fに収納される硬貨Cの直径にその硬貨の厚さを加えた幅よりは狭く設定されていることにより、図6に一例を示すように、硬貨収納部15a〜15fの横幅W方向には、硬貨収納部15a〜15fの底面に平行な状態の硬貨Cは一枚のみ収納される。この状態では、硬貨Cと硬貨収納部15a〜15fの側面17aとの間には隙間Yがあり、この隙間Yは硬貨の厚さよりも狭いのでこの隙間Yに直立状態の硬貨Cも入り込めないので、硬貨収納部15a〜15fの底面に平行な状態の硬貨Cが挟まれることがない。これにより、硬貨収納部15a〜15fに収納された硬貨Cの詰まりを防止することができる。そして、前述したように、本実施の形態では、落下した後の硬貨Cが硬貨収納部15a〜15fの底面に対して確実に平行な状態で収納されるので、硬貨収納部15a〜15fに収納された硬貨Cの詰まりを確実に防止することができる。
【0045】
そして、硬貨Cは、硬貨収納部15a〜15fの硬貨払出搬送方向上流側に落下した後、硬貨収納部15a〜15fの硬貨払出搬送方向下流側に搬送される。これにより、硬貨収納部15a〜15fに効率よく硬貨Cを収納することができる。
【0046】
また、傾斜ガイド23は、硬貨収納部15a〜15fの入口付近にのみに設けられ、かつ、搬送ベルト18の搬送面18aに平行であるので、傾斜ガイド23を例えば硬貨収納部15a〜15fの底面付近まで延ばして設けた場合に比べ硬貨収納部15a〜15fの硬貨収納量を大きくすることができ、また、例えば搬送面18aに平行な状態より傾斜ガイド23の下端が搬送面18aに近い状態に傾斜ガイド23を傾けて設けた場合に比べ硬貨収納部15a〜15fの硬貨収納量を大きくすることができる。
【0047】
そして、本実施の形態の硬貨払出装置1は、硬貨収納部15a〜15fの横幅Wがその硬貨収納部15a〜15fに収納される硬貨Cの直径よりも広くその硬貨収納部15a〜15fに収納される硬貨Cの直径にその硬貨の厚さを加えた幅よりは狭く設定されていることにより、装置全体の横幅をPOSやECRの横幅と略同じに設定された従来の硬貨払出装置に比べ装置全体の横幅を縮小することができる。
【0048】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、金種毎の硬貨収納部に金種別に収納された硬貨を硬貨払出搬送経路に沿って搬送面上を搬送して払い出すようにした硬貨払出装置において、前記硬貨収納部の前記搬送面部の硬貨払出搬送方向と直交する方向の幅をその硬貨収納部に収納される硬貨の直径よりも広くその硬貨収納部に収納される硬貨の直径にその硬貨の厚さを加えた幅よりは狭く形成したことにより、硬貨払出搬送方向と直交する方向の幅を横幅とすると、硬貨収納部の搬送面部の横幅方向には、水平な状態の硬貨は一枚のみ収納され、かつ、この状態では、搬送面部の硬貨収納部の幅方向で硬貨が挟まれることがないので、硬貨収納部の搬送面部に収納された硬貨の詰まりを防止することができる。また、装置全体の横幅をPOSやECRの横幅と略同じに設定された従来の硬貨払出装置に比べ装置全体の横幅を縮小することができる。
また、前記硬貨を投入するための硬貨投入口を設け、前記硬貨投入口に投入された前記硬貨を搬送する過程で前記硬貨を金種別に選別して前記硬貨収納部に落下させる硬貨選別部を有することにより、硬貨選別部により選別落下され硬貨収納部に収納された硬貨の詰まりを防止することができる。
また、前記硬貨選別部は、選別穴により前記硬貨を前記硬貨収納部に落下させ、前記選別穴から落下する硬貨を当該硬貨の直径により定まる落下直後の当該硬貨が占める位置を含む大きさよりも大きな面で受け止めて受け止めた当該硬貨を滑らせて斜め下方へ向けて落下させる傾斜ガイドを設けたことにより、選別穴から落下する硬貨は、水平な状態に近付けられて落下して硬貨収納部に収納されるようになり、硬貨が硬貨収納部の幅方向で挟まれることが防止できるので、硬貨収納部に収納された硬貨の詰まりを防止することができる。
更に、前記傾斜ガイドを前記硬貨収納部の入口付近にのみ設けたことにより、硬貨収納部に収納された硬貨の詰まりを防止することができるとともに、傾斜ガイドを例えば硬貨収納部の搬送面付近まで延ばして設けた場合に比べ硬貨収納部の硬貨収納量を大きくすることができる。
【0049】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の硬貨払出装置において、前記硬貨収納部の幅は、垂直面である前記硬貨収納部の両側面によって規定されていることにより、硬貨払出搬送方向と直交する方向の幅を横幅とすると、硬貨収納部の横幅方向には、水平な状態の硬貨は一枚のみ収納され、かつ、この状態では、硬貨が硬貨収納部の両側面により挟まれることがないので、硬貨収納部に収納された硬貨の詰まりを防止することができる。また、装置全体の横幅をPOSやECRの横幅と略同じに設定された従来の硬貨払出装置に比べ装置全体の横幅を縮小することができる。
【0053】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の硬貨払出装置において、前記硬貨選別部は、前記硬貨選別部に形成された硬貨選別搬送経路を搬送される前記硬貨の側面を案内する基準面を有し、前記硬貨の前記基準面側よりも前記基準面とは反対側を先に前記選別穴から落下させ、前記傾斜ガイドは、前記選別穴の前記基準面に近い方の端部から遠い方の端部に向かうに従い斜め下方に傾斜していることにより、基準面側よりも基準面とは反対側が先に選別穴から落下して傾斜した硬貨の上部から下部へ向かう傾斜の水平成分方向と、傾斜ガイドの基準面に近い方の端部から遠い方の端部に向かう傾斜の水平成分方向とが同じであるので、硬貨が傾斜ガイドに当たった際に硬貨が跳ねることを防止することが可能であり、硬貨を確実に傾斜ガイド上に滑らせることができる。
【0054】
請求項4記載の発明によれば、請求項3記載の硬貨払出装置において、前記基準面を前記選別穴よりも硬貨払出搬送方向下流側に設けたことにより、硬貨は、選別穴の硬貨払出搬送方向上流側に落下して、硬貨収納部の硬貨払出搬送方向下流側に搬送されるので、硬貨収納部に効率よく硬貨を収納することができる。
【0055】
請求項5記載の発明によれば、請求項1、2、3又は4記載の硬貨払出装置において、前記搬送面は、前記硬貨払出搬送経路を形成し硬貨払出搬送方向下流に向かうに従い高さが高くなり、前記傾斜ガイドの前記選別穴から下方へ向かう傾斜の水平成分方向と、前記搬送面の硬貨払出搬送方向上流側から下流側に向かう傾斜の水平成分方向とが逆向きであることにより、硬貨は、硬貨収納部の搬送面に対して平行若しくはそれに近い状態で落下して硬貨収納部の搬送面に対して平行に収納されるので、硬貨収納部に収納された硬貨の詰まりを防止することができる。
【0056】
請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の硬貨払出装置において、前記傾斜ガイドは、前記搬送面に対して平行であることにより、硬貨は、硬貨収納部の搬送面に対して平行若しくはそれに近い状態で落下して硬貨収納部の搬送面に対して平行に収納されることにより、硬貨収納部に収納された硬貨の詰まりを防止することができるとともに、例えば搬送面に平行な状態より傾斜ガイドの下端が搬送面に近い状態に傾斜ガイドを傾けて設けた場合に比べ硬貨収納部の硬貨収納量を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の硬貨払出装置を概略的に示す外観斜視図である。
【図2】硬貨払出装置の内部構造を示す平面図である。
【図3】硬貨払出装置に内蔵される硬貨収納部と搬送部とを示す縦断側面図である。
【図4】その平面図である。
【図5】硬貨払出装置に内蔵される硬貨選別部と硬貨収納部と傾斜ガイドとを拡大して示す斜視図である。
【図6】硬貨収納部における硬貨の収納状態を示す縦断正面図である。
【図7】従来の硬貨払出装置を示す縦断側面図である。
【図8】硬貨収納部における硬貨の詰まった状態を示す縦断正面図である。
【符号の説明】
1 硬貨払出装置
11 硬貨選別搬送経路
12 基準面
13 硬貨選別部
14 選別穴
15a〜15f 硬貨収納部
17a 側面
18a 搬送面
21 硬貨払出搬送経路
23 傾斜ガイド
C 硬貨
W 幅(横幅)
Claims (6)
- 金種毎の硬貨収納部に金種別に収納された硬貨を硬貨払出搬送経路に沿って搬送面上を搬送して払い出すようにした硬貨払出装置において、
前記硬貨収納部の前記搬送面部の硬貨払出搬送方向と直交する方向の幅をその硬貨収納部に収納される硬貨の直径よりも広くその硬貨収納部に収納される硬貨の直径にその硬貨の厚さを加えた幅よりは狭く形成し、
前記硬貨を投入するための硬貨投入口を設け、
前記硬貨投入口に投入された前記硬貨を搬送する過程で選別穴により前記硬貨を金種別に選別して前記硬貨収納部に落下させる硬貨選別部を設け、
前記選別穴から落下する硬貨を当該硬貨の直径により定まる落下直後の当該硬貨が占める位置を含む大きさよりも大きな面で受け止めて受け止めた当該硬貨を滑らせて斜め下方へ向けて落下させる傾斜ガイドを設け、
前記傾斜ガイドを前記硬貨収納部の入口付近にのみ設けた、
ことを特徴とする硬貨払出装置。 - 前記硬貨収納部の幅は、垂直面である前記硬貨収納部の両側面によって規定されていることを特徴とする請求項1記載の硬貨払出装置。
- 前記硬貨選別部は、前記硬貨選別部に形成された硬貨選別搬送経路を搬送される前記硬貨の側面を案内する基準面を有し、前記硬貨の前記基準面側よりも前記基準面とは反対側を先に前記選別穴から落下させ、
前記傾斜ガイドは、前記選別穴の前記基準面に近い方の端部から遠い方の端部に向かうに従い斜め下方に傾斜していることを特徴とする請求項1又は2記載の硬貨払出装置。 - 前記基準面を前記選別穴よりも硬貨払出搬送方向下流側に設けたことを特徴とする請求項3記載の硬貨払出装置。
- 前記搬送面は、前記硬貨払出搬送経路を形成し硬貨払出搬送方向下流に向かうに従い高さが高くなり、
前記傾斜ガイドの前記選別穴から下方へ向かう傾斜の水平成分方向と、前記搬送面の硬貨払出搬送方向上流側から下流側に向かう傾斜の水平成分方向とが逆向きであることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の硬貨払出装置。 - 前記傾斜ガイドは、前記搬送面に対して平行であることを特徴とする請求項5記載の硬貨払出装置。
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