JP7497849B2 - ライトシート顕微鏡用長距離伝搬ビーム形成レンズユニット及び長距離伝搬ビーム形成方法 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明の長距離伝搬ビーム形成ユニットは、ライトシート顕微鏡における照明光学系のビームを形成するユニットであって、ユニットは、以下の1)~3)を備え、ベッセルビーム照射部とレンズ群との相対距離を制御することにより、検出光学系の対物レンズ焦点面でのビーム形状の長手方向の長さと光軸方向の幅との少なくとも何れかを調整することを特徴とする。
1)ベッセルビーム照射部。
2)ベッセルビームのリング状の発散光をコリメート光に変換するレンズ群であって、照射光軸に沿って移動調整し得る少なくとも2つのレンズ群。
3)ベッセルビーム照射部とレンズ群との相対距離を制御する制御部。
ベッセルビーム照射部は、レーザ光源から出射されたビーム光からアキシコンレンズを介してベッセルビームを形成して照射するものが好適に用いられるが、これに限定されず、アキシコンレンズと同等の機能を備えベッセルビームを形成する他の手段を用いても構わない。
ベッセルビームのリング状の発散光をコリメート光に変換するレンズ群は、少なくとも2つのレンズ群から構成される。好適には、集光レンズが用いられる。レンズ群は、照射光軸に沿って移動調整できるものであり、例えば、圧電素子やモータなどの駆動手段を利用して移動させることができる。
ベッセルビーム照射部とレンズ群との相対距離を制御する制御部は、レンズ群の駆動手段と必要に応じてベッセルビーム照射部の駆動手段を含み、それらの駆動手段に制御信号を出力して、ベッセルビーム照射部とレンズ群との相対距離を調整する。
本発明の長距離伝搬ビーム形成ユニットにおける調整パラメータの決定方法は、下記(1a)~(3a)の3つのステップから構成される。
(1a)取得ステップ
本発明の長距離伝搬ビーム形成ユニットにおけるベッセルビーム照射部とレンズ群との相対距離を変化させて、ビーム形状の長手方向の長さと光軸方向の幅の少なくとも何れかを複数回測定した測定値を取得する。
(2a)モデル生成ステップ
取得した測定値から非線形回帰分析により、相対距離を変数とするビーム形状の長手方向の長さと光軸方向の幅の少なくとも何れかの予測モデルを生成する。実際の測定値から、非線形回帰分析を用いて、ビーム形状の長手方向の長さと光軸方向の幅について、ベッセルビーム照射部とレンズ群との相対距離の依存性を表現する回帰式を作成する。具体的には非線形多重回帰式の係数を求め、予測モデルを生成する。
(3a)決定ステップ
上記の予測モデルを用いて、要求するビーム形状の長手方向の長さと光軸方向の幅の少なくとも何れかから、相対距離を決定する。
(1b)取得ステップ
第1及び第2の調整パラメータを変化させて、ビーム形状の長手方向の長さと光軸方向の幅の少なくとも何れかを複数回測定した測定値を取得する。
(2b)モデル生成ステップ
取得した測定値から非線形回帰分析により、第1及び第2の調整パラメータを変数とするビーム形状の長手方向の長さと光軸方向の幅の少なくとも何れかの予測モデルを生成する。実際の測定値から、非線形回帰分析を用いて、ビーム形状の長手方向の長さと光軸方向の幅について、第1及び第2の調整パラメータの依存性を表現する回帰式を作成する。具体的には非線形多重回帰式の係数を求め、予測モデルを生成する。
(3b)決定ステップ
上記の予測モデルを用いて、要求するビーム形状の長手方向の長さと光軸方向の幅の少なくとも何れかから、第1及び第2の調整パラメータを決定する。
照明光学系100は、ベッセルビーム照射部1を構成するレーザ光源11とアキシコンレンズ12、検出光学系400の対物レンズ43の焦点面におけるビーム形状の長さと光軸方向の幅を制御する制御部2、レーザ光源11から出たビームを2つに分割するビームスプリッタ31を介して分割されたビームをベッセルビームと重畳させる光学系(32,33,34)と、検出光学系400の対物レンズ43の焦点面に蛍光励起光を集光させる集光レンズ35から構成される。
ベッセルビーム照射部1のアキシコンレンズ12とレンズ群(21,22)との相対距離に応じて、検出光学系400の対物レンズ43の焦点面におけるビーム形状の長さと光軸方向の幅を変化させることができる。これについては後述する。
ベッセルビームは、照射距離に依存して強度が低下するガウシアンビームとは異なり、回折がなく、長距離を伝搬しても強度分布が変わらないのが特徴である。アキシコンレンズを用いる場合、ベッセルビームの特徴に非常に近く、リングを形成するビームの強度は照射距離にかかわらず等しくなる。
以下、図4~7の実験データを示しながら、実施例1のライトシート顕微鏡を用いて、レンズ群(21,22)を移動調整し、検出光学系400の対物レンズ43の焦点面におけるビーム形状の長さと光軸方向の幅を調整できることを説明する。
ここで、実験は、レーザ光源11として、広帯域波長可変フェムト秒レーザ(Spectra Physics社製)を用い、アキシコンレンズ12として、プリズム角0.5°のレンズ(Thorlabs社製)を用いた。
図4(1)~(3)の何れの場合においても、相対距離D1が同じで、相対距離D2が大きくなると、アキシコンレンズ12と前方側レンズ21の間の距離は短くなり、リング径が小さくなっていることが見てわかる。
図5(1)によれば、前方側レンズ21と後方側レンズ22の相対距離D2が大きくなると、或は、アキシコンレンズ12と前方側レンズ21の間の距離は短くなると、リング径が小さくなっていることが確認できる。また、相対距離D1が大きくなるとリング径が大きくなっていることが確認できる。
一方、図5(2)によれば、前方側レンズ21と後方側レンズ22の相対距離D2が大きくなると、或は、アキシコンレンズ12と前方側レンズ21の間の距離は短くなると、半値全幅が小さくなる傾向にあることが確認できる。そして、相対距離D1が大きくなると急激にリング径が大きくなることがわかる。
図6(1)~(3)は、図4と同様に、それぞれ、レンズ群の後方側レンズ22とアキシコンレンズ12との相対距離D1が280mm,282mm,及び284mmの場合を示している。また、図6(1)(1a)~(1d)と図6(2)(2a)~(2d)と図6(3)(3a)~(3d)は、図4と同様に、それぞれ、レンズ群の前方側レンズ21とアキシコンレンズ12との相対距離D2が145mm,150mm,155mm,及び160mmの場合を示している。
図6(1)~(3)の何れの場合においても、相対距離D1が同じで、相対距離D2が大きくなると、ビーム形状の長さ(図中の横線の長さ)が拡がっていることが見てわかる。ビーム形状の長さは、蛍光励起範囲に対応するため、蛍光励起範囲が拡がっていることがわかる。
図7(1)によれば、ビーム形状の長手方向における半値全幅(FWHM)は、相対距離D1によらず、前方側レンズ21と後方側レンズ22の相対距離D2が大きくなると、或は、アキシコンレンズ12と前方側レンズ21の間の距離が短くなると、半値全幅(FWHM)が顕著に大きくなっていることがわかる。
一方、図7(2)によれば、ビーム形状の長手方向に対して直角に横切る方向(光軸方向)における半値全幅(FWHM)は、前方側レンズ21と後方側レンズ22の相対距離D2が大きくなったとしても、或は、アキシコンレンズ12と前方側レンズ21の間の距離が短くなったとしても、141mmを除いては、半値全幅は殆ど変化しないことがわかる。
次に、モデル生成ステップ(S02)で、取得した測定値から非線形回帰分析により、調整パラメータ(D1,D2)を変数とするビーム形状の長手方向の長さと光軸方向の幅の予測モデルを生成する。実際の測定値から、非線形回帰分析を用いて、ビーム形状の長手方向の長さと光軸方向の幅について、調整パラメータ(D1,D2)の依存性を表現する回帰式を作成する。具体的には以下の非線形多重回帰式(式1、式2)の回帰係数(α00,α10,α01,α20,α11,α02,β00,β10,β01,β20,β11,β02)を求め、予測モデルを生成する。なお、式中、d1は調整パラメータD1を、d2は調整パラメータD2を意味する。
図9(1)は、ビーム形状の長手方向の長さ(半値全幅)の2つの調整パラメータ(D1,D2)依存性を示すものであり、また、図9(2)は、ビーム形状の光軸方向(ビーム形状の長手方向に対して直角に横切る方向)の幅(半値全幅)の2つの調整パラメータ(D1,D2)依存性を示すものである。図において、依存性は色の濃淡で示している。
以上のステップ(S01~S03)により、調整パラメータ(D1,D2)を決定する。これらのステップ(S01~S03)を、プログラムを用いてコンピュータに実行させることも可能である。
(1)上述の実施例では、照明光学系の光軸と検出光学系の光軸は互いに直交する例を説明したが、互いに同軸方向にならないように交差する構成でも構わない。
(2)上述の実施例では、制御部のレンズ群が2つの場合、3つの場合を説明したが、4つ以上で構成されても構わない。
(3)上述の実施例では、アキシコンレンズとして凸形の円錐レンズを用いて説明したが、凹形の円錐レンズを用いても構わない。
(4)上述の実施例では、制御部のレンズ群が凸レンズで構成される場合を説明したが、上述した技術的特徴を満たすものであれば、平凸レンズや凹レンズなどを含む他のレンズによって構成されてもよい。
2 制御部
3 ベッセルビーム
4 ビーム
11 レーザ光源
12 アキシコンレンズ
21~23 レンズ
31,34 ビームスプリッタ
32,33 ミラー
35 集光レンズ
41 撮像素子
42 結像レンズ
43 対物レンズ
100 照明光学系
400 検出光学系
Claims (9)
- ライトシート顕微鏡における照明光学系のビームを形成するユニットであって、
前記ユニットは、
ベッセルビーム照射部と、
前記ベッセルビーム照射部のレーザ光源から分割されたビームをベッセルビームと重畳させる光学系と、
ベッセルビームのリング状の発散光をコリメート光に変換するレンズ群であって、照射光軸に沿って移動調整し得る少なくとも2つのレンズ群と、
前記ベッセルビーム照射部と前記レンズ群との相対距離を制御する制御部、
を備え、
前記レンズ群は、前記ベッセルビーム照射部のレーザ光源から分割されたビームをベッセルビームと重畳させる光学系の前段にあり、
前記相対距離を制御することにより、検出光学系の対物レンズ焦点面でのビーム形状の長手方向の長さ及び光軸方向の幅を調整することを特徴とする長距離伝搬ビーム形成ユニット。 - 前記レンズ群の光軸上の位置を調整パラメータとして、前記長手方向の長さと光軸方向の幅との少なくとも何れかを調整することを特徴とする請求項1に記載の長距離伝搬ビーム形成ユニット。
- 前記レンズ群は、第1及び第2の集光レンズから構成され、
第1の集光レンズ又は第2の集光レンズの何れかのレンズと前記ベッセルビーム照射部の間の相対距離を第1の調整パラメータとし、
第1の集光レンズと第2の集光レンズの間の相対距離を第2の調整パラメータとし、
第1及び第2の調整パラメータを制御することにより、前記長手方向の長さと光軸方向の幅との少なくとも何れかを調整することを特徴とする請求項1に記載の長距離伝搬ビーム形成ユニット。 - 前記ベッセルビーム照射部は、円錐角度によってビーム形状が決定されるアキシコンレンズが用いられることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の長距離伝搬ビーム形成ユニット。
- 請求項1~4の何れかの長距離伝搬ビーム形成ユニットによって構成される照明光学系を備えたことを特徴とするライトシート顕微鏡。
- ライトシート顕微鏡における照明光学系のビーム形成方法であって、
ベッセルビーム照射部のレーザ光源から分割されたビームをベッセルビームと重畳させる光学系の前段にあり、前記ベッセルビーム照射部から出射したベッセルビームのリング状の発散光をコリメート光に変換する少なくとも2つのレンズ群と前記ベッセルビーム照射部との相対距離を制御して、検出光学系の対物レンズ焦点面でのビーム形状の長手方向の長さ及び光軸方向の幅を調整するステップを備えたことを特徴とする長距離伝搬ビーム形成方法。 - 請求項1の長距離伝搬ビーム形成ユニットにおける調整パラメータの決定方法であって、
前記ベッセルビーム照射部と前記レンズ群との相対距離を変化させて、前記ビーム形状の長手方向の長さと光軸方向の幅の少なくとも何れかを複数回測定した測定値を取得する取得ステップと、
取得した前記測定値から非線形回帰分析により、前記相対距離を変数とする前記ビーム形状の長手方向の長さと光軸方向の幅の少なくとも何れかの予測モデルを生成するモデル生成ステップと、
前記予測モデルを用いて、要求するビーム形状の長手方向の長さと光軸方向の幅の少なくとも何れかから、前記相対距離を決定する決定ステップ、
を備えたことを特徴とする長距離伝搬ビーム形成ユニットの調整パラメータ決定方法。 - 請求項3の長距離伝搬ビーム形成ユニットにおける第1及び第2の調整パラメータの決定方法であって、
第1及び第2の調整パラメータを変化させて、前記ビーム形状の長手方向の長さと光軸方向の幅の少なくとも何れかを複数回測定した測定値を取得する取得ステップと、
取得した前記測定値から非線形回帰分析により、第1及び第2の調整パラメータを変数とする前記ビーム形状の長手方向の長さと光軸方向の幅の少なくとも何れかの予測モデルを生成するモデル生成ステップと、
前記予測モデルを用いて、要求するビーム形状の長手方向の長さと光軸方向の幅の少なくとも何れかから、第1及び第2の調整パラメータを決定する決定ステップ、
を備えたことを特徴とする長距離伝搬ビーム形成ユニットの調整パラメータ決定方法。 - 請求項7又は8の長距離伝搬ビーム形成ユニットの調整パラメータ決定方法における前記取得ステップ、前記モデル生成ステップ、及び前記決定ステップを、コンピュータに実行させるプログラム。
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