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JP7458849B2 - 斜面補強構造及び斜面構造 - Google Patents

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JP7458849B2 JP2020053691A JP2020053691A JP7458849B2 JP 7458849 B2 JP7458849 B2 JP 7458849B2 JP 2020053691 A JP2020053691 A JP 2020053691A JP 2020053691 A JP2020053691 A JP 2020053691A JP 7458849 B2 JP7458849 B2 JP 7458849B2
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Description

本発明は、斜面補強構造と斜面構造に関し、特に籠体と排水管を組み合わせた斜面補強構造及びその斜面補強構造が適用された斜面構造に関する。
従来の鉄道、道路、堤防、宅地、擁壁等の斜面構造では、大地震の影響による斜面の崩壊や、集中豪雨などにより地下水が上昇し、これら斜面構造の内部に地下水が浸透して地盤強度の低下を招き、崩壊が生じるおそれがある。斜面補強構造としては、例えば斜面地山に積層された盛土材を、下部の基礎ブロックに積み重ねられた壁面パネルを連結部材で接合されて形成された擁壁により保持する構造が知られている。擁壁は、斜面地山に打設されたグラウンドアンカーにより固定されている。また、擁壁は複数のパネルから構成され、複数のパネルは接合ロッド等により互いに接合されている(例えば特許文献1を参照)。
特許第4599423号公報
特許文献1に開示された斜面補強構造は、グラウンドアンカーを強度の高い斜面地山に打設することにより盛土を支持する擁壁を固定していた。擁壁は、斜面の内部に浸透した地下水を排出しにくく、擁壁内部地盤が軟弱化し易いという課題があった。また、特許文献1に開示された斜面補強構造は、グラウンドアンカーを強度の高い斜面地山に打設する必要があり、設置するにあたり削孔及びアンカー体となる充填材の注入が必要となる。従って、グラウンドアンカーを設置するための装置及び工期が必要となるという課題があった。
本発明は、上記の課題を解決するものであり、斜面内部の排水を可能にしつつ斜面を補強できる斜面補強構造及びその斜面補強構造が適用された斜面構造を提供することを目的とする。
本発明に係る斜面補強構造は、地盤に打設される排水パイプと、前記地盤に沿って配置される鋼製の直方体形状の籠体と、前記排水パイプに固定される受圧部材と、を備え、前記排水パイプの一方の端部は、前記地盤から突出し、少なくとも一部が前記籠体の内部に位置し、前記受圧部材は、前記排水パイプの前記一方の端部に固定されて前記籠体の内部に位置し、前記籠体とは直接接触しておらず、前記籠体は、当該籠体を構成する複数の側壁を有し、前記複数の側壁のうち少なくとも1つの側壁は、前記排水パイプを挿通自在に形成されており、前記籠体の内部に充填材が充填される。
本発明に係る斜面構造は、上記の斜面補強構造を備え、前記斜面補強構造は、前記地盤の法尻に配置される。
本発明によれば、充填材が内部に配置された籠体と斜面構造に挿入された排水管とが籠体の内部に配置された受圧板と受圧板の周囲の充填材により一体となっている。そのため、盛土との摩擦力により抜け方向の変位を抑制され、土圧により上下左右の変位が抑制された排水管により籠体の転倒及び滑動が抑制される。従って、籠体は、斜面構造の法尻を保持し、かつ排水管からの排水及び斜面構造の上面から流れる水を通すことができる。これにより、斜面補強構造は、斜面構造の崩壊の原因となる地下水及び表層を流れる水の排水を阻害せず、斜面構造を強固に保持することができる。
実施の形態1に係る斜面構造100及び斜面補強構造50の模式図である。 実施の形態1に係る斜面補強構造50の籠体10の内部に充填材60を充填する前の状態を示す斜視図である。 実施の形態1に係る斜面補強構造50の籠体10に充填材60が充填された状態における受圧部材30の周辺の拡大図である。 図3の受圧部材30の正面図及び上面図である。 比較例としての斜面構造1100の断面図である。 実施の形態1に係る斜面構造100の変形例である斜面構造100aの模式図である。 実施の形態1に係る斜面構造100及び100aの側面図である。 実施の形態1に係る斜面構造100の変形例である斜面構造100bの模式図である。 実施の形態1に係る受圧部材30の変形例である受圧部材30aの正面図及び上面図である。 実施の形態1に係る斜面補強構造50の籠体10に充填材60が充填された状態における受圧部材30aの周辺の拡大図である。
以下に、本発明に係る斜面構造100及び斜面補強構造50の実施の形態について説明する。なお、図面の形態は一例であり、本発明を限定するものではない。また、各図において同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。さらに、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る斜面構造100及び斜面補強構造50の模式図である。図1は、斜面構造100の断面構造を示している。図1のx方向は地山表面91に沿った方向、y方向は高さ方向、z方向はxy平面の垂直方向である。実施の形態1に係る斜面構造100は、例えば、土、砂利及び石等、又はこれらの混合物により形成された盛土材を積み上げて形成した盛土地盤80と斜面補強構造50とを組み合わせた構造である。この斜面構造100を、盛土構造と称する場合がある。斜面構造100は、図1に示された断面構造がz方向に連続的に形成されているものである。
ただし、斜面構造100は、盛土構造だけに限定されるものではない。例えば、地山表面91を削って法面が形成された切土斜面等であっても良い。斜面補強構造50は、切土斜面にも適用することができる。
盛土地盤80は、地山90の表面である地山表面91の上に盛土材を積み上げて形成されている。盛土地盤80の上面81は、例えば鉄道の軌道又は道路が敷設できるように京成されている。図1に示す断面構造において、上面81の端から法面82及び83が形成されている。法面82及び83は、崩壊しないように安定した勾配に設定されている。安定勾配は、盛土材の種類により適宜設定される。
実施の形態1に係る斜面構造100の法面82の下部である法尻84には、斜面補強構造50が設置されている。斜面補強構造50は、籠体10と排水パイプ20とから構成される。籠体10は、法面82の一部を削り、法面82の勾配に沿うように階段状に3段に積み重ねられている。ただし、籠体10の積み重ね段数は、図1に示すものに限定されず、更に多くの段数で形成されていても良い。また、籠体10がx方向に並べられる数量も図1のように1列だけに限定されず、2列以上並べられていても良い。
籠体10は、底面及び天面が矩形になっている直方体形状に形成されている。籠体10は、平面視において矩形となるように形成されている。籠体10の内部には充填材60(図3参照)が充填される。なお、籠体10は、平面視又は正面視において台形等となるように形成することもできる。この場合、籠体10自体の変形が抑えられる。また、複数の籠体10を盛土地盤80に沿って並べたときに、複数の籠体10が曲線状に並べられる場合は、各籠体10同士の隙間を低減させることができるという利点がある。
実施の形態1に係る斜面構造100は、法面82の下部に排水パイプ20が埋め込まれている。排水パイプ20は、一方の端部21が盛土地盤80の内部に位置し、他方の端部22が籠体10の内部に位置している。図1において、排水パイプ20の他方の端部22は、籠体10を貫通するように配置されている。ただし、他方の端部22は、籠体10を貫通せずに内部に位置する様に配置されていても良い。つまり、排水パイプ20の他方の端部22の少なくとも一部は、籠体10の内部に位置している。なお、排水パイプ20が籠体10を貫通している場合、排水パイプ20の内部の点検が容易に行えるという利点がある。排水パイプ20の他方の端部22には、受圧部材30が設置されている。受圧部材30は、排水パイプ20が中央に貫通し、排水パイプ20の軸方向に移動しないように固定されている。
籠体10は、複数の側壁11を備える。複数の側壁11のうち少なくとも1カ所は、排水パイプ20を挿通自在に形成されている。例えば、側壁11は、格子状に形成されており、排水パイプ20をその格子の間から内部に挿通させても良い。または、側壁11の一部に孔を設けて排水パイプ20を挿通させても良い。排水パイプ20が籠体10を貫通するように構成される場合は、側壁11の対向する側壁12も排水パイプ20を挿通できる構造にする必要がある。
図2は、実施の形態1に係る斜面補強構造50の籠体10の内部に充填材60を充填する前の状態を示す斜視図である。実施の形態1の斜面補強構造50においては、籠体10の側壁11及び12は、格子状に形成されている。排水パイプ20は、側壁11及び12の格子の目を通して籠体10の内部に挿入されている。排水パイプ20に固定されている受圧部材30は、排水パイプ20の先端27が籠体10の内部に挿入される際に、予め籠体10の内部に配置されている。そして、籠体10の内部に挿入された排水パイプ20の先端27は、受圧部材30の中央部に形成された筒部31に通される。受圧部材30と排水パイプ20とは、ボルト、溶接又はその他の固定手段により、排水パイプ20の軸方向に相対移動しないように固定される。
図3は、実施の形態1に係る斜面補強構造50の籠体10に充填材60が充填された状態における受圧部材30の周辺の拡大図である。図3においては、籠体10を上方から見た状態を示しており、説明のため受圧部材30の上方にある充填材60は、表示が省略されている。籠体10の内部には、栗石などの充填材60が充填される。排水パイプ20の端部22及び受圧部材30の周囲は、充填材60に囲まれる。充填材60が籠体10の内部に充満されるため、受圧部材30の籠体10の内部における移動量が抑制される。また、受圧部材30が排水パイプ20の端部22に対し移動しないように固定されているため、排水パイプ20は、籠体10に対する移動が抑制される。つまり、排水パイプ20の他方の端部22は、充填材60と受圧部材30との係合及び摩擦力、並びに排水パイプ20の外周面と充填材60との摩擦力により籠体10と一体に接続される。
図1に示されている様に、排水パイプ20は、盛土地盤80に打設されており、盛土材とパイプ本体24とが密着する。これにより、排水パイプ20と盛土地盤80との間に周面摩擦力が働き、排水パイプ20は盛土地盤80に固定される。また、排水パイプ20が盛土地盤80に打ち込まれることにより、盛土地盤80は、締め固められ、補強される。
排水パイプ20は、一方の端部21と他方の端部22とが同じ高さ、又は盛土地盤80の内部にある一方の端部21が他方の端部22よりも高くなるように設定される。例えば、排水パイプ20は、0°~5°程度の水勾配をつけて施工される。排水パイプ20は、パイプ本体24に多数の透水孔28が空いており、盛土地盤80の内部に含まれる水が孔からパイプ本体24の内部に流れ込む。水は、パイプ本体24を通じて他方の端部22から盛土地盤80の外部に排出される。
排水パイプ20は、筒状体に複数の孔が設けられたパイプ本体24と、パイプ本体24の開放端を閉塞する先端部材23と、を備える。先端部材23は、円錐形状又は扁平形状であり、パイプ本体24を盛土地盤80に打設し易い形状となっている。また、先端部材23のパイプ本体24との連接部の外形寸法は、パイプ本体24の外径寸法よりも大きくなっている。
図1において、最も下に位置する籠体10aは、下部の一部が地山90に埋め込まれるように配置されている。なお、籠体10aは、地山90に杭などにより固定されていても良い。籠体10aの上に配置された籠体10b及び10cは、内部に排水パイプ20の端部22が配置されており、排水パイプ20と一体に接続されている。また、最も下に位置する籠体10aにも排水パイプ20及び受圧部材30を設置しても良い。
図4は、図3の受圧部材30の正面図及び上面図である。受圧部材30は、排水パイプ20が貫通する筒部31と、籠体10の内部に充填された充填材60と係合する受圧板32と、を備える。筒部31は、内径寸法が排水パイプ20の外径寸法よりも大きい円筒形状である。ただし、筒部31の形状は、円筒形状だけに限定されず、断面が矩形、楕円形等の筒形状であっても良い。筒部31と受圧板32とは、溶接等により接合され、一体となっている。
受圧板32は、正面から見て正方形になっている。筒部31は、受圧板32の中央に接合されている。なお、受圧板32は、正方形だけに限定されず、円形、長方形、菱形など受圧部材30の籠体10内部における位置や充填材60に応じて適宜形状を変更しても良い。
筒部31の外周面には、スリット33が形成されている。スリット33は、上面側だけでなく底面側にも設けられている。スリット33は、板状の固定片34が挿し込まれる。排水パイプ20には、多数の透水孔28が設けられており、透水孔28は、板状の固定片34が挿し込みできる形状になっている。固定片34は、スリット33と透水孔28とに挿入されて受圧部材30の筒部31及び排水パイプ20を筒体の半径方向に貫通する。固定片34は、筒部31から突出した部分にボルト及びナットなどの固定部材35が固定される。これにより、固定片34は、スリット33及び透水孔28から抜け落ちることなく固定され、受圧部材30と排水パイプ20との軸方向の相対移動を抑制する。つまり、受圧部材30と排水パイプ20は、固定片34により一体となっている。なお、スリット33及び固定片34は、排水パイプ20の透水孔28の形状に合わせて形成されている。そのため、透水孔28の形状がスリット形状でなく、例えば円形の孔である場合には、円形の孔に合うボルトを固定片34としても良い。また、実施の形態1においては、排水パイプ20は、透水孔28を利用して受圧部材30を固定しているが、受圧部材30を固定するための専用の穴が形成されていても良い。
図5は、比較例としての斜面構造1100の断面図である。斜面構造1100は、降雨時には地山表面91付近の盛土地盤80の飽和度が上昇する。つまり、盛土地盤80の内部の間隙に水が浸入する。これにより盛土地盤80のせん断強度が低下する。また、降雨時には地山90及び盛土地盤80の地下水位も上昇する。図5に示す破線Wは、地下水位を模式的に表している。盛土地盤80の法尻84においては、上面81から法面82及び83を流れ落ちる流水pと地下水位の上昇により、飽和度が上がりせん断強度が低下する。
また、図5に示す実線Lは、盛土地盤80のすべり面を示している。一般的に、盛土地盤80のすべりに対する抵抗力成分の大部分は、すべり面の角度が水平に近くなる法尻84で発揮される。図5においては、降雨等により盛土地盤80のせん断強度が低下しており、盛土地盤80の強度上重要な法尻84において、最もせん断強度が低下し易い状況になっている。そのため、比較例における斜面構造1100においては、斜面構造1100の崩壊のリスクが高まっている。
一方、図1に示す実施の形態1に係る斜面構造100においては、法尻84に排水パイプ20が設置されているため、降雨等により地下水位が上昇しても、盛土地盤80の内部の水は、外部に排出されるため、地下水位が低下する。
図6は、実施の形態1に係る斜面構造100の変形例である斜面構造100aの模式図である。斜面構造100aにおいては、斜面補強構造50を法面82及び83の両方の下部に設けたものである。図6に示すように、斜面補強構造50により、法面82及び83の両方の法尻84に排水パイプ20が打設されているため、法尻84は、破線Wで示される地下水位が低下する。よって、法尻84における盛土地盤80のせん断強度の低下が抑えられる。これは、図1の斜面構造100の法面82の法尻84でも同じである。
また、法尻84には籠体10が配置されている。また、籠体10と排水パイプ20とは、籠体10の内部の充填材60と受圧部材30との係合及び摩擦力、並びに充填材60と排水パイプ20の外周面との間の周面摩擦力及び受働抵抗力により一体になっている。また、排水パイプ20と盛土地盤80とは、排水パイプ20の外周面と盛土地盤80の盛土材との間の周面摩擦力により一体となっている。従って、仮に盛土地盤80の強度が低下し、盛土地盤80からすべり方向に籠体10に荷重が掛かっても、籠体10は、転倒及び滑動が生じにくい。従って、盛土地盤80は、斜面補強構造50により強度が向上する。これは、片側の法面82にのみ斜面補強構造50を設置した斜面構造100においても同様に、斜面補強構造50は、法面82側の法尻84を補強し斜面構造100の強度を向上させることができる。
また、籠体10の内部には栗石又は砕石などの透水し易い充填材60が充填されているため、法尻84から水を排出し易い。よって、斜面補強構造50は、降雨時等に法尻84の水の排出を阻害することがなく、斜面構造100の強度低下を抑制することができる。
排水パイプ20は、パイプ本体24の両端にねじ等の継手部が形成され、複数つなぎ合わせることができる。これにより、排水パイプ20は、盛土地盤80の内部深くまで打設できる。これにより、排水パイプ20は盛土地盤80の補強材としても機能するため、斜面構造100は強度が向上する。なお、複数のパイプ本体24は、それぞれをつなぎ合わせながら盛土地盤80に打設される。そのため、斜面構造100の後背地が狭い場合であっても設置することができる。
受圧部材30は、籠体10の内部に挿入されたパイプ本体24を筒部31に挿通することによりパイプ本体24に取り付けられる。つまり、盛土地盤80に打設された排水パイプ20の盛土地盤80から突出している側の端部に接続する前のパイプ本体24に、受圧部材30を挿通する。そして、パイプ本体24と受圧部材30とを固定する。その後、受圧部材30が固定されたパイプ本体24を排水パイプ20の盛土地盤80から突出している側の端部に接続する。受圧部材30は、短いパイプ本体24に固定されてから盛土地盤80に打設されている排水パイプ20に接続されるため、組み立てが容易である。
斜面補強構造50は、盛土地盤80が新設のものであっても既設のものであっても設置することができる。例えば、斜面補強構造50は、鉄道の軌道が設置された既設の盛土地盤80にも容易に設置することができる。既設の盛土地盤80の法尻84を削りとった後に、排水パイプ20を打設し、籠体10を設置する。そして、籠体10の内部に充填材60を充填することにより斜面補強構造50の一部が完成する。それをy方向に複数段設けることにより、斜面構造100の強度を適宜変更することができる。
図7は、実施の形態1に係る斜面構造100及び100aの側面図である。斜面補強構造50は、盛土地盤80に沿って設けられている。籠体10は、z方向及びy方向に複数並べられていても良い。つまり籠体10は、重力方向及び横方向に複数並べられてもよい。また、排水パイプ20は、籠体10の1つについて1つ設置されていても良いし、間隔をおいて設置されていても良い。また、1つの籠体10に複数の排水パイプ20が設置されていても良い。受圧部材30も、各排水パイプ20に設置されていても良いし、一部の排水パイプ20に設置されていても良い。
さらに、隣合う籠体10同士は、シャックル等の連結部材(図示せず)により連結されていても良い。これにより、一部の籠体10に盛土地盤80から大きな荷重を受けた場合であっても、周辺の他の籠体10及び排水パイプ20により、荷重を受けた一部の籠体10の転倒及び滑動を抑制することができる。従って、斜面補強構造50は、盛土地盤80の強度をさらに向上させることができる。
図8は、実施の形態1に係る斜面構造100の変形例である斜面構造100bの模式図である。斜面構造100bは、斜面補強構造50の上方において法面82を抑える保持板70と、保持板70を盛土地盤80に固定する棒状補強部材71と、を備える。棒状補強部材71は、盛土地盤80に打設されている。このように、斜面構造100bは、斜面補強構造50と、その上方で法面82を補強する保持板70を設けても良い。保持板70は、地震に対する強度を高めるものであり、斜面補強構造50が設けられた後で斜面構造100bを更に補強する構造として適用することができる。盛土地盤80の安定化を図る斜面補強構造50と、保持板70とは、2段階で施工することができるため、工期を柔軟に設定することができるという利点がある。
図9は、実施の形態1に係る受圧部材30の変形例である受圧部材30aの正面図及び上面図である。図10は、実施の形態1に係る斜面補強構造50の籠体10に充填材60が充填された状態における受圧部材30aの周辺の拡大図である。図2及び図3に示される受圧部材30は、変形例である受圧部材30aに交換することもできる。受圧部材30aは、籠体10の内部において排水パイプ20に固定され、周囲に栗石等の充填材60が配置される。受圧部材30aは、受圧板32aが断面形状においてコ字形状に形成されている。つまり、受圧部材30aは、筒部31aの中心軸に対し垂直なウェブ部37と、ウェブ部37の端部から筒部31aの中心軸に平行な方向に延びるフランジ部36と、を有する。
図10において、籠体10に対し受圧部材30a及び排水パイプ20がx方向に移動する場合、フランジ部36の間に挟まれて位置する充填材60とその周囲の充填材60とが噛み合い、受圧部材30aの移動が抑制される。一方、図3に示されている平板状の受圧板32を備える受圧部材30の場合、籠体10に対し受圧部材30及び排水パイプ20がx方向に移動すると、受圧板32に接している充填材60は、排水パイプ20を中心として外側に変位できる。そのため、受圧板32の周囲の充填材60が受圧板32aの場合と比較して移動し易い。つまり、変形例に係る受圧部材30aは、同じ充填材60を使用した場合に、受圧部材30と比較して籠体10と排水パイプ20との相対移動を抑えることができる。
なお、籠体10に対し受圧部材30及び30aがx方向に移動する場合とは、籠体10が盛土地盤80から離れる方向に移動する場合である。即ち、変形例に係る受圧部材30aを備える斜面補強構造50によれば、籠体10は、盛土地盤80から離れる方向への移動がより抑制されるため、例えば法面82が滑る方向に盛土材が移動しようとするのを抑える能力が向上する。つまり、受圧部材30aを用いた斜面補強構造50によれば、さらに斜面を補強する能力が向上する。
実施の形態1に係る斜面補強構造50において、籠体10は、排水パイプ20及び受圧部材30とは直接接触していない。つまり、図2に示される様に、排水パイプ20は籠体10の格子を通して設置され、受圧部材30も籠体10の内部に位置している。仮に排水パイプ20又は受圧部材30が接触又は接合していた場合、籠体10から排水パイプ20又は受圧部材30に荷重が伝達する。このとき、斜面補強構造50に対し盛土地盤80から離れる方向に荷重が作用すると、排水パイプ20、受圧部材30及び籠体10が一体となって変位し、籠体10は法面82から離れ、排水パイプ20は盛土地盤80から抜ける。
しかし、実施の形態1においては、籠体10と排水パイプ20及び受圧部材30との間には充填材60が介在している。従って、例えば、籠体10に対し法面82から離れる方向に荷重が掛かった場合、籠体10と充填材60とがともに変位する。このとき、盛土地盤80に打設された排水パイプ20とそれに固定された受圧部材30は変位しないが、変位しようとする充填材60から受圧部材30及び排水パイプ20に荷重がかかる。充填材60は、例えば栗石及び砕石などであるため、籠体10の内部である程度変位する。つまり、籠体10と排水パイプ20及び受圧部材30とは、充填材60によりある程度相対変位が可能になっているため、斜面補強構造50は、受けた荷重による変位を籠体10と排水パイプ20及び受圧部材30とに分担させることができる。
また、籠体10と排水パイプ20及び受圧部材30との荷重伝達は、籠体10の内部の充填材60を介して行われるため、籠体10の構造に局部的に荷重が伝達するのが抑制される。従って、例えば、図2に示される様に籠体10が細い鋼材を格子状に組み合わせて形成されたものであっても、籠体10は、破損や変形が抑制される。
10 籠体、10a 籠体、10b 籠体、10c 籠体、11 側壁、12 側壁、20 排水パイプ、21 (一方の)端部、22 (他方の)端部、23 先端部材、24 パイプ本体、27 先端、28 透水孔、30 受圧部材、30a 受圧部材、31 筒部、31a 筒部、32 受圧板、32a 受圧板、33 スリット、34 固定片、35 固定部材、36 フランジ部、37 ウェブ部、50 斜面補強構造、60 充填材、70 板、71 棒状補強部材、80 盛土地盤、81 上面、82 法面、84 法尻、90 地山、91 地山表面、100 斜面構造、100a 斜面構造、100b 斜面構造、1100 斜面構造、L 実線、W 破線、p 流水。

Claims (11)

  1. 地盤に打設される排水パイプと、
    前記地盤に沿って配置される鋼製の直方体形状の籠体と、
    前記排水パイプに固定される受圧部材と、を備え、
    前記排水パイプの一方の端部は、
    前記地盤から突出し、少なくとも一部が前記籠体の内部に位置し、
    前記受圧部材は、
    前記排水パイプの前記一方の端部に固定されて前記籠体の内部に位置し、前記籠体とは直接接触しておらず、
    前記籠体は、
    当該籠体を構成する複数の側壁を有し、
    前記複数の側壁のうち少なくとも1つの側壁は、
    前記排水パイプを挿通自在に形成されており、
    前記籠体の内部に充填材が充填される、斜面補強構造。
  2. 前記排水パイプの他方の端部は、
    重力方向において前記一方の端部以上の高さに位置する、請求項1に記載の斜面補強構造。
  3. 前記排水パイプは、
    筒状体に複数の孔が設けられたパイプ本体と、
    前記パイプ本体の開放端を閉塞し前記他方の端部を形成する先端部材と、を備え、
    前記先端部材は、
    前記パイプ本体との連接部の外径寸法が前記パイプ本体の外径寸法よりも大きい、請求項に記載の斜面補強構造。
  4. 前記先端部材は、
    円錐形状又は扁平形状である、請求項3に記載の斜面補強構造。
  5. 前記パイプ本体は、
    複数のパイプ本体を含み、両端に継手部を備え、
    前記複数のパイプ本体は、
    それぞれ前記継手部を接続して一体にされている、請求項3又は4に記載の斜面補強構造。
  6. 前記籠体は、
    複数の籠体を含み、
    前記複数の籠体は、
    重力方向及び横方向に並べられ、互いに連結部材により連結される、請求項1~5の何れか1項に記載の斜面補強構造。
  7. 前記受圧部材は、
    断面がコ字形に形成されている受圧板と、
    前記受圧板に接合され前記排水パイプが挿通される筒部と、を備える、請求項1~6の何れか1項に記載の斜面補強構造。
  8. 前記受圧部材は、
    平板形状の受圧板と、
    前記受圧板に接合され前記排水パイプが挿通される筒部と、を備える、請求項1~6の何れか1項に記載の斜面補強構造。
  9. 請求項1~8の何れか1項に記載の斜面補強構造を備え、
    前記斜面補強構造は、
    前記地盤の法尻に配置される、斜面構造。
  10. 前記地盤は、
    平地に積み上げられた盛土材により形成される、請求項9に記載の斜面構造。
  11. 前記斜面補強構造の上方において斜面を抑える保持板と、
    前記保持板を前記地盤に固定する棒状補強部材と、を備え、
    前記棒状補強部材は、
    前記地盤に打設されている、請求項9又は10に記載の斜面構造。
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