JP6832101B2 - 盛土の補強構造及び盛土の補強方法 - Google Patents
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Description
前記盛土は堤防であり、前記土留壁は前記盛土の裏法面の下端部に打ち込まれ、前記補強材は前記盛土の裏法面から前記盛土中に埋設されていてもよい。
前記盛土は堤防であり、前記土留壁埋設工程は、前記土留壁を前記盛土の裏法面の下端部に打ち込み、前記補強材埋設工程は、前記補強材を前記盛土の裏法面から前記盛土中に埋設してもよい。
また、盛土内の水分が排水路により排出され、盛土内の水分量を少なくすることができるため、盛土を固くして崩れにくくすることができ、盛土中に補強材を定着させることができる。さらに、盛土内の水分が、その自重により補強材の排水路を通して盛土の外部に流出されるため、効率的に盛土内の水分を排出することができる。
また、本発明に係る盛土の補強方法では、前記土留壁埋設工程は、前記土留壁を、その上端部を地表上に突出させ、かつ前記盛土の法面と対向させた状態で地中に埋設し、前記補強材埋設工程は、前記補強材を、その一端部を前記盛土の法面から突出させた状態で前記盛土中に埋設し、前記接続工程は、前記土留壁の上端部及び前記補強材の一端部を、互いに接続してもよい。
これらの場合には、土留壁及び補強材の接続作業を容易に行うことができる。
また、本発明に係る盛土の補強方法では、前記接続工程は、前記盛土の法面の下端部に配置された法面保護部材を介して、前記土留壁及び前記補強材を、互いに接続してもよい。
また、土留壁の上端部が地表上に突出し、法面保護部材が、土留壁に対して盛土の反対側に配置されていて、土留壁の上端部が法面保護部材により盛土の反対側から支持されている場合には、土留壁の上端部が、例えば盛土の法面の崩れ等に起因して、盛土の反対側に向けて押し込まれて変位するのを抑制することが可能になり、土留壁により、地盤のうち、盛土を支持する部分の流動を確実に抑止することができる。
この場合には、補強材の羽根部材により、補強材の盛土中からの引き抜き荷重に対する抵抗力を大きくすることができ、簡易な構成で盛土中に補強材を定着させることができる。
以下、図1及び図2を参照し、本発明の第1実施形態に係る盛土の補強方法及び盛土の補強構造1について説明する。
なお、以下の説明においては、地盤2の地表上の盛土3として河川10の堤防を示し、この盛土3を補強する構造及び方法について説明する。ここで、図1における盛土3に対する河川10側を川表側、その反対側を川裏側と定義し、河川10に沿って延在する方向を、盛土3の奥行方向と定義する。
土留壁5の下端部は、実質的に流動が起こらない固定層Mに到達している。一般に、固定層Mは、例えば地震等の際に、液状化した地盤が盛土重量に耐えられずに液状化面S0に向けて沈下し、側方に向けて移動するといった流動化が比較的起こりやすい液状化層Lの下方に位置している。固定層Mは液状化層Lと比べて、前述のような流動化が起こりにくくなっている。
また、土留壁5の固定層Mへの根入れ深さDは、液状化層Lの層深さ以上であり、かつ3m以上であることが望ましい。
土留壁埋設工程は、土留壁5を、その上端部5aを地表上に突出させ、かつ盛土3の法面4と対向させた状態で地中に埋設する。
ここで、補強材6に羽根部材6aが設けられているため、補強材6を前記中心軸線回りに回転させることで、羽根部材6aにより盛土3の土壌を川裏側に送り出しながら、補強材6を盛土3内に進入させることができる。さらに、補強材6が盛土3内に埋設された後には、羽根部材6aが、補強材6への盛土3内からの引き抜き荷重に対して、大きな抵抗力を発揮する。
なお、接続方法としては、例えばボルト締めやコンクリートによる固着等によるものでもよく、また、1つの土留壁5に対して複数の補強材6を接続する等してもよい。
また、図2に示すように、複数の土留壁5及び補強材6を埋設する場合には、複数の土留壁5を、盛土3の奥行方向に沿って間欠的に埋設し、それらの土留壁5に複数の補強材6を接続してもよく、補強材6のうち、土留壁5と接続されていないものがあってもよい。このような場合には、奥行方向に隣り合う各土留壁5間のピッチ寸法Lは、土留壁5の奥行方向の幅寸法Bの3倍以内であることが望ましい。
また、本実施形態においては、土留壁埋設工程として、鋼矢板を用いた鋼矢板工法を採用している。このため、例えば法面4の下端部4aの土壌を一時的に掘削撤去し、この部分にせん断強度の高いドレーン材を配設するようなドレーン工法と異なり、下端部4aの一時的な掘削撤去により盛土3に弱部ができてしまうことがなく、工期に長期間を要さない。
また、盛土3中に補強材6が埋設されることにより、盛土3の川裏側の法面4の周辺を補強することができ、川裏側の法面4付近に形成される斜面内すべり面S2を起点として発生する、盛土3の浅い崩壊(斜面内すべり)を防止することができる。
また、補強材6が盛土3の内部に進入していることで、盛土3の深い崩壊(円弧すべり)の起点となる円弧すべり面S3を、補強材6が進入していない川表側の領域にまで後退させることができる。さらに、土留壁5が固定層Mまで到達するように、地中に埋設されているので、円弧すべりの発生を抑えることができる。
次に、図4を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、本実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
本実施形態においては、法面保護部材7として、金属線材により形成された直方体状をなす袋部材と、該袋部材の内部に詰め込まれた砕石と、を備えるふとん籠を採用している。このふとん籠は、法面4の土壌の流出を抑えながら水分が透過できる程度の隙間を備えた多孔質体となっており、配置された箇所の形状に合わせて柔軟に変形しながら、配置された箇所周辺の水分の排出を促進するといった機能を有している。
補強材6の一端部6cは、法面保護部材7よりも川裏側に突出している。そして法面保護部材7は、補強材6を奥行き方向に挟んでいる。ここで、補強材6の一端部6cに溶接された固定フランジ6eが、法面保護部材7の川裏側の端部に固定されている。また、法面保護部材7が、土留壁5の上端部5aに対して盛土3の反対側から当接することで、支持している。
これにより、前述の通り、土留壁5及び補強材6は、盛土3の法面4の下端部4aに配置された法面保護部材7を介して、互いに接続されている。
なお、接続工程としては、法面保護部材7を先に下端部4aに配置した後に、土留壁埋設工程及び補強材埋設工程を行ってもよい。
また、土留壁5の上端部5aが地表上に突出し、法面保護部材7が、土留壁5に対して盛土3の反対側に配置されていて、土留壁5の上端部5aが法面保護部材7により盛土3の反対側から支持されているため、土留壁5の上端部5aが、例えば盛土3の法面4の崩れ等に起因して、盛土3の反対側に向けて押し込まれて変位するのを抑制することが可能になり、土留壁5により、地盤のうち、盛土3を支持する部分の流動を確実に抑止することができる。
さらにまた、土留壁5の材質としては鋼製に限られず、例えばコンクリート材、樹脂材、凍土等の壁材であってもよい。
すなわち、定着機構としては、羽根部材6a及び排水路ではなく、他の構成であってもよい。例えば、盛土3の外表面から、盛土3中に埋設された補強材6に向けて穿設される杭材等により、盛土3中に補強材6を定着させる構成等が挙げられる。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
2 地盤
3 盛土
4 法面
5 土留壁
5a 上端部
6 補強材
6a 羽根部材
6b 排水孔
6c 一端部
7 法面保護部材
8 法面保護部材
9 法面保護部材
Claims (9)
- 地表上の盛土を補強する盛土の補強構造であって、
前記盛土の法面の下端部に打ち込まれ、地盤のうち、前記盛土を支持する部分の固定層まで到達した土留壁と、
前記盛土中に埋設され、前記盛土中に定着される定着機構を有し前記盛土の斜面を補強する管状の補強材と、を備え、
前記補強材は、前記盛土中に向けて水平又は水平よりも上り勾配となるように、前記盛土中に埋設され、
前記定着機構は、前記補強材を径方向に貫く排水孔と、前記補強材の中空部と、を通して、前記盛土内の水分を外部に排出する排水路を含み、
前記土留壁及び前記補強材は、前記排水路の一端部が前記土留壁から、前記盛土に対する反対側に突出した状態で互いに接続されていることを特徴とする盛土の補強構造。 - 前記盛土は堤防であり、
前記土留壁は前記盛土の裏法面の下端部に打ち込まれ、
前記補強材は前記盛土の裏法面から前記盛土中に埋設されていることを特徴とする請求項1に記載の盛土の補強構造。 - 前記土留壁は、その上端部を地表上に突出させ、かつ前記盛土の法面と対向させた状態で地中に埋設され、
前記補強材は、その一端部を前記盛土の法面から突出させた状態で前記盛土中に埋設され、
前記土留壁の上端部及び前記補強材の一端部は、互いに接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の盛土の補強構造。 - 前記土留壁及び前記補強材は、前記盛土の法面の下端部に配置された法面保護部材を介して、互いに接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の盛土の補強構造。
- 前記定着機構は、前記補強材のうち前記盛土中に埋設される外周面に形成された羽根部材を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の盛土の補強構造。
- 地表上の盛土を補強する盛土の補強方法であって、
地盤のうち、前記盛土を支持する部分の固定層まで到達する土留壁を、前記盛土の法面の下端部に打ち込む土留壁埋設工程と、
前記盛土中に定着される定着機構を有し前記盛土の斜面を補強する管状の補強材であって、前記定着機構が、前記補強材を径方向に貫く排水孔と、前記補強材の中空部と、を通して、前記盛土内の水分を外部に排出する排水路を含む前記補強材を、前記盛土中に向けて水平又は水平よりも上り勾配となるように、前記盛土中に埋設する補強材埋設工程と、
前記排水路の一端部が前記土留壁から、前記盛土に対する反対側に突出した状態で前記土留壁及び前記補強材を互いに接続する接続工程と、を備えることを特徴とする盛土の補強方法。 - 前記盛土は堤防であり、
前記土留壁埋設工程は、前記土留壁を前記盛土の裏法面の下端部に打ち込み、
前記補強材埋設工程は、前記補強材を前記盛土の裏法面から前記盛土中に埋設することを特徴とする請求項6に記載の盛土の補強方法。 - 前記土留壁埋設工程は、前記土留壁を、その上端部を地表上に突出させ、かつ前記盛土の法面と対向させた状態で地中に埋設し、
前記補強材埋設工程は、前記補強材を、その一端部を前記盛土の法面から突出させた状態で前記盛土中に埋設し、
前記接続工程は、前記土留壁の上端部及び前記補強材の一端部を、互いに接続することを特徴とする請求項6又は7に記載の盛土の補強方法。 - 前記接続工程は、前記盛土の法面の下端部に配置された法面保護部材を介して、前記土留壁及び前記補強材を、互いに接続することを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の盛土の補強方法。
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