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JP7336851B2 - 伸縮性複合シート及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、伸縮性を有する伸縮性複合シート及びその製造方法に関する。
伸縮性シートと非伸縮性シートとを接合してなる伸縮性複合シートが種々知られている。例えば、出願人は、特許文献1にて、伸縮性シートを伸長状態で非伸縮性シートと接合した後、収縮させて、非伸縮性シート側に襞状の凸条部を有する伸縮性複合シートとする技術を提案している。同文献では、弾性フィラメントが不織布に伸長状態で固定されたシート材を、一対の歯溝ロール間に供給して、該シート材に延伸加工を施すことによって、該シート材に伸縮性の高い部分と伸縮性の低い部分とを形成して伸縮性シートとしている。同文献に記載の技術によれば、綺麗に配列した多数の凸条部を有し、製造も容易な伸縮性複合シートを提供することができるという利点がある。
また特許文献2には、弾性シートと非弾性シートとを多数の接合部により接合した複合シートが開示されている。同文献では、弾性シートに、複合シートの縦方向に延びる嵩高な凸条部を設けることにより、複合シートの平面方向通気性を向上させている。
特許文献3には、伸縮性シートと、該伸縮性シートよりも伸長性の低い低伸長性シートとを厚さ方向に重ね合わせながら複数の固定部を介して固定する技術が開示されている。同文献では、回転部材の突部と、該凸部の頂部よりも大きい面部とによって伸縮性シート及び低伸長性シートを挟み込んで固定部を形成することにより、固定部の強度低下を抑制している。
特開2009-160919号公報 特開2013-231249号公報 特開2015-208533号公報
特許文献1~3の伸縮性複合シートでは、非伸縮性シートとして、延伸加工を施していないシート材等が用いられている。このようなシート材は、延伸されることにより他の部分に比して低坪量となった部分を有していないため、シート材の厚み方向における通気性が低くなっている。伸縮性シートと、通気性の低い非伸縮性シートとを接合してなる特許文献1~3の伸縮性複合シートにおいては、通気性に改善の余地があった。
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る伸縮性複合シート及びその効率的な製造方法を提供することにある。
本発明は、2枚の伸縮性シートを含み該伸縮性シートどうしが部分的に接合された伸縮性複合シートであって、2枚の前記伸縮性シートは、それぞれ、互いに交差せずに一方向に延びるように配列した複数の弾性フィラメントが、それらの全長にわたり、繊維材料を含み伸長可能なシート材に接合されており、前記伸縮性複合シートの伸長状態において、前記一方向に高坪量部及び低坪量部を交互に有しており、2枚の前記伸縮性シートは、前記弾性フィラメントが伸びる前記一方向が一致しており、該伸縮性シートどうしが結合したシール部が、該一方向に間欠的に形成されており、前記伸縮性複合シートの収縮状態において、2枚の前記伸縮性シートのそれぞれが、前記一方向に隣り合う前記シール部どうし間に、該一方向に直交する直交方向に延びる凸条部を形成している、伸縮性複合シートを提供することにより、上記目的を達成したものである。
また本発明は、2枚の伸縮性シートを含み該伸縮性シートどうしが部分的に接合された伸縮性複合シートの製造方法であって、複数本の弾性フィラメントを、一方向に延びるようにシート材に接合して、複合材を得る複合材製造工程と、前記複合材を、互いに噛み合う一対の歯溝ロール間に供給し延伸させることで、伸長状態において前記一方向に高坪量部及び低坪量部を交互に有し、前記シート材が伸長可能となった、前記伸縮性シートを得る伸縮性発現処理工程と、前記伸縮性発現処理工程により得られた前記伸縮性シートと、同様にして得られた別の伸縮性シートとを、前記弾性フィラメントが伸びる前記一方向を一致させた状態で積層し、複数のシール部により該一方向に間隔をあけて部分的に接合することで伸縮性複合シートを得るシートシール工程とを有する、伸縮性複合シートの製造方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
また本発明は、2枚の伸縮性シートを含み該伸縮性シートどうしが部分的に接合された伸縮性複合シートの製造方法であって、複数本の弾性フィラメントを、一方向に延びるようにシート材に接合して、複合材を得る複合材製造工程と、2枚の前記複合材を、前記弾性フィラメントが伸びる前記一方向を一致させた状態で積層し、互いに噛み合う一対の歯溝ロール間に供給し延伸させることで、伸長状態において前記一方向に高坪量部及び低坪量部を交互に有し、前記シート材が伸長可能となった、2枚の前記伸縮性シートを得る伸縮性発現処理工程と、前記伸縮性発現処理工程により得られた2枚の前記伸縮性シートを、複数のシール部により該一方向に間隔をあけて部分的に接合することで伸縮性複合シートを得るシートシール工程とを有する、伸縮性複合シートの製造方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
本発明の伸縮性複合シートは、通気性に優れている。本発明の伸縮性複合シートの製造方法によれば、そのような伸縮性複合シートを効率的に製造することができる。
図1は、本発明の一実施形態である伸縮性複合シートを模式的に示す斜視図である。 図2は、図1に示す伸縮性複合シートの伸長状態を模式的に示す平面図である。 図3は、図2に示す伸縮性複合シートのIII-III線断面図である。 図4は、図2に示す伸縮性複合シートのIV-IV線断面図である。 図5は、本発明の伸縮性複合シートを構成する伸縮性シートの好ましい例を示す、弾性フィラメントが延びる方向Xに沿う断面図である。 図6は、本発明の伸縮性複合シートの好ましい製造方法における伸縮性シートの複合材製造工程を示す斜視図である。 図7は、本発明の伸縮性複合シートの好ましい製造方法における伸縮性発現処理工程及びシートシール工程を示す図で、(a)は全体の概略図、(b)は歯溝延伸装置の斜視図である。 図8は、図7(b)に示す歯溝延伸装置を用いて歯溝延伸処理を行う様子を示す歯溝ロールの噛み合い部の拡大断面図である。 図9は、本発明の他の実施形態である伸縮性複合シートの図2相当図である。 図10は、伸縮性発現処理工程の別の形態を示す、図7(a)相当図である。 図11は、本発明の実施例及び比較例の伸縮性複合シートの通気性の評価結果を示す図である。
以下本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1及び図2には、本発明の伸縮性複合シートの一実施形態である伸縮性複合シート1が示されている。図1、図3及び図4には、伸縮性複合シート1が、弾性フィラメント21が延びる方向である一方向Xに収縮して凸条部31が形成されている状態が示されており、図2には、伸縮性複合シート1が、前記一方向Xに伸長された状態が示されている。図2に示す伸長状態においては、凸条部31を形成していたシート材20が、ほぼ平坦となっている。
伸縮性複合シート1は、図1~図4に示すように、2枚の伸縮性シート2,2を含み該伸縮性シート2,2どうしが部分的に接合されている。
2枚の伸縮性シート2は、図4に示すように、それぞれ、2枚のシート材20,20に複数の弾性フィラメント21が接合された構成を有している。2枚のシート材20,20のそれぞれにおいて、複数の弾性フィラメント21は、図2に示すように、互いに交差せずに一方向Xに延び、且つ該一方向Xと直交する方向Yに間隔をあけて配置されている。また複数の弾性フィラメント21は、それぞれ、伸縮性シート2の一方向Xの全長にわたって、2枚のシート材20,20に固定されている。本明細書において「弾性」とは、伸ばすことができ、且つ元の長さに対して100%伸ばした状態(元の長さの200%の長さになる)から力を解放したときに、元の長さの125%以下の長さまで戻る性質である。
伸縮性シート2を構成する2枚のシート材20,20は、何れも、繊維材料を含み伸長可能である。2枚のシート材20,20は、実質的に非弾性の繊維を含んでなるものであり、実質的に非弾性である。2枚のシート材20,20について、「非弾性」とは、伸ばすことができ、且つ元の長さに対して100%伸ばした状態(元の長さの200%の長さになる)から力を解放したときに、元の長さの175%以下の長さには戻らない性質である。
シート材20,20は、弾性フィラメント21の延びる方向Xと同方向に伸長可能となっている。本明細書において、「伸長可能」とは、(イ)シート材20,20の構成繊維自体が伸長する場合と、(ロ)構成繊維自体は伸長しなくても、交点において結合していた繊維どうしが離れたり、繊維どうしの結合等により複数本の繊維で形成された立体構造が構造的に変化したり、構成繊維がちぎれたり、繊維のたるみが引き伸ばされたりして、不織布全体として伸長する場合とを包含する。
各シート材20,20は、弾性フィラメント21と接合される前の原反の状態で既に伸長可能になっていてもよい。或いは、弾性フィラメント21と接合される前の原反の状態では伸長可能ではないが、弾性フィラメント21と接合された後に伸長可能となるように加工が施されて、伸長可能になるものであってもよい。シート材を伸長可能にするための具体的な方法としては、熱処理、ロール間延伸、歯溝やギアによるかみ込み延伸、テンターによる引張延伸などが挙げられる。後述する伸縮性複合シートの好適な製造方法に鑑みると、弾性フィラメント21を、シート材20に溶着させるときの該シート材20の搬送性が良好になる等の点から、該シート材20はその原反の状態では伸長可能でないことが好ましい。
伸縮性シート2を構成する複数の弾性フィラメント21は、図2に示すように、それぞれ、伸縮性シート2及び伸縮性複合シート1の全長にわたって実質的に連続している。各弾性フィラメント21は弾性樹脂を含んでいる。複数の弾性フィラメント21が互いに交差せずに一方向Xに延びるように配列していることによって、伸縮性シート2及びその伸縮性シート2を用いた伸縮性複合シート1は、弾性フィラメント21が延びる方向Xに伸長させたときに、該方向Xに直交する幅が縮む幅縮みが生じにくい利点がある。各弾性フィラメント21は、互いに交差しない限り、直線状に延びていてもよく、或いは蛇行しながら延びていてもよい。
各弾性フィラメント21は、実質的に非伸長状態でシート材20,20に接合されている。弾性フィラメント21は、糸状の合成ゴムや天然ゴムであり得る。或いは乾式紡糸(溶融紡糸)や、湿式紡糸によって得られたものであり得る。弾性フィラメント21は、これを一旦巻き取ることなしに直接溶融紡糸によって得られたものであることが好ましい。また、弾性フィラメント21は、未延伸糸を延伸して得られたものであることが好ましい。また弾性フィラメント21は、弾性樹脂が溶融又は軟化した状態で延伸されて形成されたものであることが好ましい。弾性樹脂が溶融又は軟化した状態で延伸されることで、弾性フィラメント21を、非伸長状態でシート材20に接合させることが容易となる。
延伸の具体的な操作としては、(a)弾性フィラメント21の原料となる樹脂を溶融紡糸して一旦未延伸糸を得、その未延伸糸の弾性フィラメントを再度加熱して軟化温度(ハードセグメントのガラス転移点温度Tg)以上の状態で延伸する操作や、(b)弾性フィラメント21の原料となる樹脂を溶融紡糸して得られた溶融状態の繊維を直接延伸する操作が挙げられる。後述する伸縮性複合シートの好適な製造方法においては、弾性フィラメント21は、溶融紡糸して得られた溶融状態の繊維を直接延伸することにより得られる。
各弾性フィラメント21は、その全長にわたってシート材20,20に接合されている。「その全長にわたって接合されている」とは、弾性フィラメント21と接触しているすべての繊維(シート材20の構成繊維)が、該弾性フィラメント21と接合されていることを要せず、弾性フィラメント21に、意図的に形成された非接合部が存在しないような態様で、弾性フィラメント21とシート材20の構成繊維とが接合されていることをいう。弾性フィラメント21とシート材20,20との接合の様式としては、例えば溶着、接着剤による接着などが挙げられる。溶融紡糸により得られた弾性フィラメント21の固化前に、該弾性フィラメント21をシート材20に溶着させることも好ましい。この場合、シート材20と弾性フィラメント21とを接合させる前に、補助的な接合手段として接着剤を塗布することができる。或いは、各シート材20と弾性フィラメント21とを接合させた後に、補助的な接合手段として、熱処理(スチームジェット、ヒートエンボス)や、機械交絡(ニードルパンチ、スパンレース)などを行うこともできる。シート材20と弾性フィラメント21との接合は、溶融又は軟化した状態の弾性フィラメント21が、シート材20と接触した状態で固化することのみによって達成されていることが、シートの柔軟性の向上の点から好ましい。
伸縮性シート2は、弾性フィラメント21の延びる方向Xと同方向に伸縮可能になっている。伸縮性シート2の伸縮性は、弾性フィラメント21の弾性に起因して発現する。伸縮性シート2を、弾性フィラメント21の延びる方向と同方向に引き伸ばすと、弾性フィラメント21並びにシート材20,20が伸長する。そして伸縮性シート2の引き伸ばしを解除すると、弾性フィラメント21が収縮し、その収縮に連れてシート材20が引き伸ばし前の状態に復帰する。伸縮性複合シート1は、該伸縮性複合シート1に含まれる伸縮性シート2,2と同様に、弾性フィラメント21が伸びる方向Xに伸縮可能になっている。
伸縮性シート2としては、非伸縮性のシート材20,20に非伸長状態の弾性フィラメント21を接合して非伸長性の複合材2Aを作製した後、この複合材2Aを原反シートとして、図7に示すように、凸条部と溝とを交互に有し互いに噛合う一対の凹凸面間、具体的には、歯溝を有する一対のロール26,27間に通過させることによって伸縮性を発現させたものを使用することが好ましい。
図5には、伸縮性複合シート1に用いる伸縮性シート2の好ましい例として、図7に示すように、非伸長性の複合材2Aを、一対の歯溝ロール26,27間に通して製造した伸縮性シート2における、弾性フィラメント21が延びる方向Xに沿う断面図が示されている。図5に示す形態の伸縮性シートは、非伸長性の複合材2Aから伸縮性シート2を得るための伸縮性発現処理工程に歯溝延伸装置を用いた場合に顕著に発現する形態である。
図5に示すように、伸長状態の伸縮性シート2においては、弾性フィラメント21が延びる方向Xに沿って、高坪量部22と低坪量部23とが交互に配列している。高坪量部22及び低坪量部23は、弾性フィラメント21の延びる方向Xと直交する方向Yにそれぞれ帯状に延びている。高坪量部22と低坪量部23とは、一定の周期で交互に配列していることが好ましい。高坪量部22は、低坪量部23に比較して坪量が大きく且つ厚みも大きくなっている。低坪量部23は、高坪量部22に比較して坪量が小さく且つ厚みも小さくなっている。各高坪量部22は、互いに実質的に等幅であることが好ましく、各低坪量部23も、互いに実質的に等幅であることが好ましい。各高坪量部22が、実質的に等幅であるとは、複数の高坪量部22のうち、幅が最大であるものと幅が最小であるものとの幅の差が10%以内であることを意味する。各低坪量部23が、実質的に等幅であるとは、複数の低坪量部23のうち、幅が最大であるものと幅が最小であるものとの幅の差が10%以内であることを意味する。
伸縮性複合シート1には、図1及び図2に示すように、伸縮性シート2,2どうしが結合したシール部4が、弾性フィラメント21の延びるである一方向Xに間欠的に形成されている。
シール部4は、弾性フィラメント21が延びる方向に直交する直交方向Yにおいては、間欠的に形成されていてもよいし、連続的に形成されていてもよいが、伸縮性複合シート1の伸縮性、柔軟性向上の点から、間欠的に形成されていることが好ましい。本実施形態では、シール部4は前記直交方向Yに間欠的に形成されている。本実施形態のようにシール部4が前記直交方向Yに間欠的に形成されている場合、該直交方向Yに隣り合うシール部4どうし間のそれぞれに1本以上の弾性フィラメント21が存在していることが、伸縮性、柔軟性向上の点から好ましい。伸縮性複合シート1には、図1及び図2に示すように、シール部4が、前記直交方向Yに直列したシール部列R4が、該一方向Xに多列に形成されていることが好ましい。
本発明に係る伸縮性複合シート1は、少なくとも、弾性フィラメント21が延びる方向である一方向Xに収縮した状態において、図1に示すように、2枚の伸縮性シート2,2のそれぞれが、該一方向Xに隣り合うシール部4,4どうし間に、該一方向Xに直交する直交方向Yに延びる凸条部31を形成している。凸条部31は、それぞれ前記直交方向Yに延びており、前記一方向Xに隣り合う凸条部31どうし間には、溝部32が形成されており、溝部32それぞれも前記直交方向Yに延びている。
凸条部31は、内部が空洞であることが好ましいが、内部が凸条部31の表面層の繊維密度に比して明確に密度が低い状態、例えば表面層の繊維密度に比して1/5以下の繊維密度の状態に繊維が存在する空間となっていても良い。
伸縮性複合シート1は、凸条部31を有していることにより、各種製品のヒトの肌に触れる面に使用されたときに、肌との間の摩擦が低減され、例えば手などの身体の肌の一部を、凸条部31が形成された面に触れた状態で動かしたときに滑らかな感触が得られる。
ヒトの肌に触れる面を有する製品としては、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティライナー等の体液吸収性物品、下着のパンツ、パンティ、ブラジャー等の下着、衛生マスク、サポーター等が挙げられる。また肌の滑りやすさに優れる伸縮性複合シートを、パンツ型使い捨ておむつや下着のパンツの内面に使用した場合には、着脱するための上げ下げを抵抗なくスムーズに行うことができる等の利点も得られる。
本実施形態の伸縮性複合シート1が通気性に優れる理由としては、以下の理由1,2が挙げられる。
(理由1)
本実施形態の伸縮性複合シート1では、凸条部31は、高坪量部22及び低坪量部23を有する伸縮性シート2により形成されており、該凸条部31にも厚みの厚い高坪量部22が存在している。したがって、伸縮性複合シート1の凸条部31が形成されている部分において、伸縮性複合シート1の厚みT3が維持され易く、隣り合う凸条部31間に位置する溝部32に、伸縮性複合シート1の平面方向に空気を流通させることができる空間が保持され易くなっており、伸縮性複合シート1は、その平面方向においても通気性に優れる。
(理由2)
本実施形態の伸縮性複合シート1では、凸条部31は、高坪量部22及び低坪量部23を有する伸縮性シート2により形成されており、該凸条部31にも高坪量部22と低坪量部23が存在している。したがって、通気性が高い低坪量部23を空気が選択的に通るため、伸縮性複合性シート1全体として通気性に優れる。
本発明に使用する伸縮性シート2は、シート強度(材料強度)の観点から、高坪量部22の厚みが、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上、更に好ましくは0.3mm以上、より更に好ましくは0.5mm以上であり、また好ましくは2mm以下、より好ましくは1.5mm以下、更に好ましくは1.4mm以下、より更に好ましくは1.2mm以下であり、また、好ましくは0.1mm以上2mm以下、より好ましくは0.2mm以上1.5mm以下、更に好ましくは0.3mm以上1.4mm以下、より更に好ましくは0.5mm以上1.2mm以下である。また、本発明に使用する伸縮性シート2は、低坪量部23の厚みが、高坪量部22の厚みに対して、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、更に好ましくは30%以上、より更に好ましくは40%以上であり、また好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下、更に好ましくは60%以下、より更に好ましくは50%以下であり、また、好ましくは10%以上80%以下、より好ましくは20%以上70%以下、更に好ましくは30%以上60%以下、より更に好ましくは40%以上50%以下である。
ここでいう高坪量部22及び低坪量部23の厚みは、伸縮性複合シート1中の伸縮性シート2における伸長状態での2枚のシート材20,20の合計(2層)の不織布繊維の厚みである。
〔高坪量部及び低坪量部の厚みの測定方法〕
厚みの測定は、伸縮性シート2を、20±2℃、65±5%RHの環境下に無荷重にて、2日以上放置した後、次の方法にて求める。
先ず伸縮性シート2を、弾性フィラメントが延びる方向に、2.5倍の長さになるまで伸ばした状態にて、0.5cN/cmの荷重にて平板間に挟む。断面をマイクロスコープにより50~200倍の倍率で観察し、高坪量部22における厚みが最大箇所及び低坪量部23における厚みの最小の箇所の厚みを測定する。高坪量部22及び低坪量部23のそれぞれについて3か所以上で測定し、それぞれの平均値を、高坪量部22及び低坪量部23の厚みとする。
なお、2.5倍の長さになるまで伸ばした状態とは、2日以上放置後の自然状態の長さを、その長さの2.5倍の長さとなるまで伸長させた状態である。
本発明に使用する伸縮性シート2は、破断等の材料強度の点から、高坪量部22の坪量が、好ましくは20g/m以上、より好ましくは25g/m以上、更に好ましくは30g/m以上、より更に好ましくは36g/m以上であり、また好ましくは90g/m以下、より好ましくは80g/m以下、更に好ましくは70g/m以下、より更に好ましくは60g/m以下であり、また、好ましくは20g/m以上90g/m以下、より好ましくは25g/m以上80g/m以下、更に好ましくは30g/m以上70g/m以下、より更に好ましくは36g/m以上60g/m以下である。また、本発明に使用する伸縮性シート2は、低坪量部23の坪量が、好ましくは10g/m以上、より好ましくは12g/m以上、更に好ましくは13g/m以上、より更に好ましくは15g/m以上であり、また好ましくは60g/m以下、より好ましくは50g/m以下、更に好ましくは40g/m以下、より更に好ましくは30g/m以下であり、また、好ましくは10g/m以上60g/m以下、より好ましくは12g/m以上50g/m以下、更に好ましくは13g/m以上40g/m以下、より更に好ましくは15g/m以上30g/m以下である。
ここでいう高坪量部22及び低坪量部23の坪量は、伸縮性複合シート1中の伸縮性シート2における伸長状態時でのシート材20、20の2枚の総坪量である。
〔高坪量部及び低坪量部の坪量の測定方法〕
<第1測定方法>
高坪量部22及び低坪量部23がそれぞれ切り出すのに十分な平面視面積を有する場合は、高坪量部22及び低坪量部23のそれぞれについて、10個の小片を切り出し、電子天秤を用いてそれぞれの質量を測定し、該10個の小片の質量の平均値を、該10個の小片の面積の平均値で除して、その値を坪量とする。
<第2測定方法>
低坪量部23が細幅過ぎて切り出し難い場合等には、以下の方法により坪量を求めることもできる。
高坪量部22及び低坪量部23の坪量の測定対象である伸縮性シート2の製造に使用した複合材2Aの任意の箇所から小片を10個切り出す。得られた複合材2Aの小片10個について、電子天秤を用いてそれぞれの質量を測定し、該10個の小片の質量の平均値を、該10個の小片の面積の平均値で除して、その値を、複合材2Aの坪量とする。この複合材2Aの坪量を、高坪量部22の坪量とする。また、前述した厚みの測定方法により、伸縮性シート2の高坪量部22及び低坪量部23の厚みを測定し、高坪量部22の厚みLに対する測定された低坪量部23の厚みLの比(L/L)を算出する。算出された比(L/L)を前述の複合材2Aの坪量(高坪量部22の坪量)に乗じて得られた値を、低坪量部23の坪量とする。
伸縮性複合シート1に含まれる2枚の伸縮性シート2,2どうしは、伸縮性複合シート1の通気性を一層向上させる観点から、弾性フィラメント21が伸びる方向Xにおける、高坪量部22の位相が一致していることが好ましい。高坪量部22の位相が一致しているとは、2枚の伸縮性シート2,2どうしにおける、高坪量部22,22どうしが厚み方向に重なっていることを意味する。2枚の伸縮性シート2,2における高坪量部22,22どうしは、一部が重なっていてもよいし、全体が重なっていてもよいが、全体が重なっていることが好ましく、前記方向Xにおける高坪量部22の中央の位置が一致していることがより好ましい。また2枚の伸縮性シート2,2どうしは、前記方向Xにおける高坪量部22が形成されている周期が略一致していることが好ましく、前記方向Xに隣り合う高坪量部22,22どうしの中心間距離Cが同じであることがより好ましい(図2参照)。本実施形態では、の伸縮性複合シート1に含まれる2枚の伸縮性シート2,2どうしは、該方向Xに隣り合う高坪量部22どうしの中心間距離Cが同じとなっており、2枚の伸縮性シート2,2における高坪量部22,22どうしは、中心点が一致し、全体が重なっている。
伸縮性複合シート1は、弾性フィラメント21が延びる方向である一方向Xにおいて隣り合う高坪量部22どうしの中心間距離C(図2参照)に対する、該一方向Xに隣り合うシール部4,4どうしの端部間距離A(図2参照)の比(A/C)が、0.2以上20以下であることが好ましい。
前記比(A/C)が、0.2以上であることによって、伸縮性複合シート1の主たる伸縮方向である、弾性フィラメント21が延びる方向Xにおいて、隣り合うシール部4,4どうし間に、伸縮性シート2における伸縮性の高い低坪量部23が存在しやすくなり、伸縮性複合シート1に凸条部31が形成され易くなる上に、肌の滑りやすさ、クッション性に優れた凸条部31を形成しやすくなる。他方、前記比(A/C)が、20以下であることによって、凸条部31の倒れ等の形成不良が防止される。
尚、シール部4と高坪量部22とは、伸縮性複合シート1の厚み方向に重なっていてもよいし、ずれていてもよい。
伸縮性複合シート1に含まれる2枚の伸縮性シート2,2どうしにおける、高坪量部22の位相が一致していない場合は、高坪量部22どうしの前記中心間距離Cとして、2枚の伸縮性シート2,2のうちの伸長率の高い方の伸縮性シート2における、高坪量部22どうしの前記中心間距離Cを用いる。複合材2Aを一対の歯溝ロール26,27間に通して伸縮性シート2を製造し、同じ複合材2Aを別の歯溝ロール26,27間に通して、もう1枚の伸縮性シート2を製造した場合は、歯溝のピッチがより狭い歯溝ロール26,27を使用して製造された伸縮性シート2を、伸長率の高い方の伸縮性シート2とすることができる。
高坪量部22どうしの前記中心間距離C(図2参照)及びシール部4,4どうしの前記端部間距離A(図2参照)は、伸縮性複合シート1を、引張試験機により弾性フィラメント21が延びる方向である一方向Xに引張速度300mm/minで伸長させ、応力が3.0Nとなった状態(以下「標準伸長状態」という)において測定する。尚、標準伸長状態においては、伸縮性複合シート1を、前記一方向Xに直交する方向Yには伸長させない。
〔伸縮率の測定方法〕
接合する前の伸縮性シート2から、自然状態において、縦150mm、横50mmの長方形状の測定サンプルを切り出す。そして、その測定サンプルを、その縦方向が引っ張り方向になるようにして、引張試験機のチャックに取り付ける。チャック間距離(伸長前の伸縮性シート2の長さL)は100mmとし、測定サンプルを、チャック移動速度300mm/minで引っ張り、該測定サンプルが一部破壊(破断)した時のチャック間距離(伸長後の伸縮性シート2の長さL1)を測定する。そして、下記の式に基づいて伸長率(%)を求める。
伸長率(%)=(L1-L)/L ×100
(但し、L:伸長前(自然状態)の伸縮性シート2の長さ(=100mm),L1:伸長後(破断時)の伸縮性シート2の長さ)
肌の滑りやすさ、クッション性に優れた凸条部31を形成させる観点から、前記比(A/C)は、0.2以上であることがより好ましく、また20以下であることがより好ましく、また1以上15以下がより好ましく、1.5以上5.0以下が更に好ましい。
同様の観点から、弾性フィラメント21が延びる方向である一方向Xにおいて隣り合う低坪量部23どうしの中心間距離D(図2参照)に対する、該一方向Xに隣り合うシール部4,4どうしの端部間距離A(図2参照)の比(A/D)も、前記比(A/C)と同様の範囲であることが好ましい。
低坪量部23どうしの前記中心間距離Dとしては、2枚の伸縮性シート2,2のうちの伸長率の高い方の伸縮性シート2における、低坪量部23どうしの前記中心間距離Dを用いる。
高坪量部22どうしの前記中心間距離C(図2参照)は、伸縮性の観点から、好ましくは1mm以上、より好ましくは1.5mm以上、更に好ましくは1.7mm以上、より更に好ましくは2mm以上であり、また材料強度の観点から、好ましくは5mm以下、より好ましくは4mm以下、更に好ましくは3.5mm以下、より更に好ましくは3mm以下であり、それらの両立の観点から、好ましくは1mm以上5mm以下、より好ましくは1.5mm以上4mm以下、更に好ましくは1.7mm以上3.5mm以下、より更に好ましくは2mm以上3mm以下である。
またシール部4,4どうしの前記端部間距離A(図2参照)は、伸縮性の観点から、好ましくは1mm以上、より好ましくは1.5mm以上、更に好ましくは2mm以上、より更に好ましくは3mm以上であり、また凸条部31形成の観点から、好ましくは20mm以下、より好ましくは15mm以下、更に好ましくは10mm以下、より更に好ましくは5mm以下であり、それらの両立の観点から、好ましくは1mm以上20mm以下、より好ましくは1.5mm以上15mm以下、更に好ましくは2mm以上10mm以下、より更に好ましくは3mm以上5mm以下である。
また前記一方向Xにおけるシール部4の長さL4x(図2参照)は、伸縮性と柔軟性の観点から、高坪量部22どうしの前記中心間距離C(図2参照)に対する比(L4x/C)が、好ましくは0.02以上、より好ましくは0.03以上、更に好ましくは0.05以上、より更に好ましくは0.1以上であり、またより好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1以下、より更に好ましくは0.5以下であり、好ましくは2以下0.02以上、より好ましくは1.5以下0.03以上、更に好ましくは1以下0.05以上、より更に好ましくは0.5以下0.1以上である。
同様の観点から、シール部4の前記長さL4x(図2参照)は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上、更に好ましくは0.3mm以上、より更に好ましくは0.5mm以上であり、また好ましくは3mm以下、より好ましくは2mm以下、更に好ましくは1mm以下であり、また好ましくは0.1mm以上3mm以下、より好ましくは0.2mm以上2mm以下、更に好ましくは0.3mm以上2mm以下、より更に好ましくは0.5mm以上1mm以下である。
シール部4が、弾性フィラメント21が延びる方向Xに直交する直交方向Yにおいて間欠的に形成されている場合、前記直交方向Yにおいて隣り合うシール部4間の端部間距離B(図2参照)は、高坪量部22どうしの前記中心間距離C(図2参照)に対する比(B/C)が、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.8以上、より更に好ましくは1以上であり、また好ましくは10以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは6以下、より更に好ましくは3以下であり、また好ましくは0.2以上10以下、より好ましくは0.5以上8以下、更に好ましくは0.8以上6以下、より更に好ましくは1以上3以下である。
シール部4が前記直交方向Yにおいて間欠的に形成されている場合、前記端部間距離B(図2参照)は、伸縮応力の観点から、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上、更に好ましくは3mm以上であり、また凸の襞形成の観点から、好ましくは10mm以下、より好ましくは8mm以下、更に好ましくは5mm以下、より更に好ましくは4mm以下であり、それら両方の観点から、好ましくは1mm以上10mm以下、より好ましくは2mm以上8mm以下、更に好ましくは2mm以上5mm以下、より更に好ましくは3mm以上4mm以下である。
シール部4が前記直交方向Yにおいて間欠的に形成されている場合、前記端部間距離Bは、前記直交方向Yに沿うシール部4の長さL4yに対して、好ましくは0.5倍以上30倍以下、より好ましくは1倍以上10倍以下である。
シール部4が前記直交方向Yにおいて間欠的に形成されている場合、シール部4の前記長さL4yは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上、更に好ましくは0.3mm以上、より更に好ましくは0.5mmであり、また好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下、更に好ましくは2mm以下、より更に好ましくは1.5mmであり、また好ましくは0.1mm以上5mm以下、より好ましくは0.2mm以上3mm以下、更に好ましくは0.3mm以上2mm以下、より更に好ましくは0.5mm以上1.5mm以下である。
シール部4,4どうしの前記端部間距離B(図2参照)、シール部の前記長さL4x及び長さL4yも、前記標準伸長状態において測定する。
シール部4が前記直交方向Yにおいて間欠的に形成されている場合、弾性フィラメント21が延びる方向Xと直交する直交方向Yにおける隣り合う弾性フィラメント21どうしの中心間距離E(図2参照)に対する、シール部4,4どうしの前記端部間距離Bの比(B/E)は、シートの伸縮性と通気性の観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上であり、シートの伸縮性と柔らかさの観点から、好ましくは100以下、より好ましくは80以下、更に好ましくは50以下であり、それら両方の観点から、好ましくは0.1以上100以下、より好ましくは0.2以上80以下、更に好ましくは0.3以上50以下である。
弾性フィラメント21どうしの前記中心間距離Eとしては、2枚の伸縮性シート2,2のうちの伸長率の高い方の伸縮性シート2における、弾性フィラメント21どうしの前記中心間距離Eを用いる。
また伸縮性複合シート1は、伸縮性の向上とシートとしての柔軟性の向上とを両立させる観点から、弾性フィラメント21どうしの前記中心間距離E(図2参照)が、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.5mm以上、更に好ましくは0.7mm以上、より更に好ましくは1mm以上であり、また好ましくは10mm未満、より好ましくは8mm以下、更に好ましくは5mm以下、より更に好ましくは2mm以下であり、また好ましくは0.1mm以上10mm未満、より好ましくは0.5mm以上8mm以下、更に好ましくは0.7mm以上5mm以下、より更に好ましくは1mm以上2mm以下である。前記中心間距離Eは、全ての弾性フィラメントで一定であっても良いし、一の弾性フィラメント21間と他の弾性フィラメント21間とで異なっていても良い。前記中心間距離Eが一定でない場合、弾性フィラメント21間の中心間距離の平均値が、上述した好ましい範囲内であることが好ましく、全ての弾性フィラメント21間の中心間距離が上述した好ましい範囲内であることが更に好ましい。
隣り合う弾性フィラメント21どうしの中心間距離Eは、接合する前の伸縮性シート2のサンプルを、弾性フィラメント21が延びる方向Xに直交する方向Yに切断した切断面を、マイクロスコープにて拡大して測定する。測定は、任意の3箇所以上にて行い、その平均値を中心間距離の平均値とする。
伸縮性複合シート1は、柔軟性の観点から、その全体の坪量が、好ましくは15g/m以上、より好ましくは20g/m以上、更に好ましくは30g/m以上、より更に好ましくは40g/m以上であり、また好ましくは100g/m以下、より好ましくは80g/m以下、更に好ましくは70g/m以下、より更に好ましくは60g/m以であり、また好ましくは15g/m以上100g/m以下、より好ましくは20g/m以上80g/m以下、更に好ましくは30g/m以上70g/m以下、より更に好ましくは40g/m以上60g/m以下である。
伸縮性複合シート1は、肌の滑りやすさの観点及びシートの柔軟性の観点から、弾性フィラメント21が延びる方向である前記一方向Xにおける凸条部31の頂部間の距離L3(図3参照)が、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上であり、更に好ましくは2mm以上、より更に好ましくは3mm以上であり、また好ましくは10mm以下、より好ましくは8mm以下であり、更に好ましくは6mm以下、より更に好ましくは5mm以下であり、また好ましくは0.5mm以上10mm以下、より好ましくは1mm以上8mm以下、更に好ましくは2mm以上6mm以下、より更に好ましくは3mm以上5mm以下である。
伸縮性複合シート1は、肌の滑りやすさの観点及びシートの柔軟性の観点から、凸条部31を有する部分の厚みT3(図3参照)が、凸条部31間の溝部32部分の厚みT4に比して、好ましくは2倍以上、より好ましくは4倍以上、更に好ましくは10倍以上であり、また好ましくは120倍以下、より好ましくは100倍以下、更に好ましくは80倍以下、より更に好ましくは60倍以下であり、また好ましくは2倍以上120倍以下、より好ましくは4倍以上100倍以下、更に好ましくは10倍以上80倍以下、より更に好ましくは10倍以上60倍以下である。
また伸縮性複合シート1は、肌の滑りやすさの観点及びシートの柔軟性の観点から、凸条部31を有する部分の厚みT3(図3参照)が、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上、更に好ましくは0.5mm以上、より更に好ましくは1mm以上であり、また好ましくは6mm以下、より好ましくは5mm以下、更に好ましくは4mm以下、より更に好ましくは3mm以下であり、また好ましくは0.1mm以上6mm以下、より好ましくは0.2mm以上5mm以下、更に好ましくは0.5mm以上4mm以下、より更に好ましくは1mm以上3mm以下である。
前記厚みT3は、張力を加えることなく自然にさせた状態の伸縮性複合シート1を、0.5cN/cmの荷重にて平板間に挟み、平板間の距離を測ることで測定する。前記長さL3及び前記厚みT4は、前記平板間に挟んだ状態の端部を、マイクロスコープ等で拡大して測定する。凸条部31間の溝部32部分の厚みT4は、凸条部31間の溝部32部分の中央位置で且つシール部4が存在しない部位の厚みを測定する。
図6~図8は、上述した実施形態の伸縮性複合シート1の好ましい製造方法を示す図である。以下、図6~図8を参酌して、本発明の伸縮性複合シートの製造方法の一実施態様である、上述した実施形態の伸縮性複合シート1の好ましい製造方法について説明する。
図6~図8に示す伸縮性複合シート1の製造方法は、複合材2Aを製造する複合材製造工程と、複合材2Aに延伸加工を施して伸縮性シート2を得る伸縮性発現処理工程と、伸縮性シート2,2どうしを部分的に接合して伸縮性複合シート1を得るシートシール工程とを具備する。
より具体的に説明すると、複合材製造工程においては、図6に示すように、複数本の弾性フィラメント21を、一方向に延びるようにシート材20,20に接合して、伸縮性シート2の前駆体である複合材2Aを得る。より具体的には、紡糸ノズル16から紡出された溶融状態の多数の弾性フィラメント21を所定速度で引き取って延伸しつつ、該弾性フィラメント21の固化前に、該弾性フィラメント21が互いに交差せず一方向に配列するように該弾性フィラメント21を、繊維材料を含むシート材20、好ましくは不織布からなる2枚のシート材20,20に溶着させる。これにより、複数の弾性フィラメント21が、それらの全長にわたってシート材20,20に接合されている、複合材2Aを製造する。
図6に示す紡糸ノズル16は、紡糸ヘッド17に設けられ、紡糸ヘッド17は、押出機に接続されている。ギアポンプを介して紡糸ヘッド17へ樹脂を供給することもできる。押出機によって溶融混練された弾性樹脂は、紡糸ヘッド17に供給される。紡糸ヘッド17には、多数の紡糸ノズル16が直線状に一列に配置されている。紡糸ノズル16は、2枚のシート材20,20の幅方向に沿って配置されている。紡出された溶融状態の弾性フィラメント21は、それぞれ原反から同速度で繰り出された2枚のシート材20,20と合流し、両シート材20,20間に挟持されて所定速度で引き取られる。弾性フィラメント21の引き取り速度は、両シート材20,20の繰り出し速度と一致している。弾性フィラメント21の引き取り速度は、紡糸ノズル孔内の樹脂吐出速度に対し、その延伸倍率が1.1~400倍、好ましくは4~100倍、更に好ましくは10~80倍となるように調整されることが好ましい。
弾性フィラメント21は、その固化前に、即ち溶着可能な状態で2枚のシート材20,20と合流する。その結果、弾性フィラメント21は、2枚のシート材20,20に挟持された状態で、これらのシート材20,20に溶着する。つまり、溶着可能になっている弾性フィラメント21に起因する溶融熱によってのみ、該弾性フィラメント21と2枚のシート材20,20とが溶着する。その結果、得られる伸縮性シート2は、シート材20,20の境界面の全域に接着剤を塗布した場合に生じるような硬さが生じにくく、シートとしての柔軟性に優れたものとなる。
弾性フィラメント21を2枚のシート材20,20と合流させるときには、各弾性フィラメント21が互いに交差せず一方向に配列するようにする。そして、弾性フィラメント21を2枚のシート材20,20と合流させて両シート材20,20間に該弾性フィラメント21を挟持させた状態で、これら三者を一対のニップロール18,18によって挟圧する。このようにして2枚のシート材20,20間に弾性フィラメント21が挟持された複合材2Aが得られる。
2枚のシート材20,20として本来的に伸長性を有しないものを用いた場合には、シート材20を伸長可能とする伸縮性発現処理工程を施す。本実施形態における伸縮性発現処理工程においては、歯溝延伸装置25を用いて、両シート材20,20に延伸処理を施す。この延伸処理は、複合材2Aを、弾性フィラメント21の延びる方向に沿って延伸して、両シート材20,20に伸長性を付与する処理である。ここでいう、伸長性の付与には、多少の伸長性を有するシート材の伸長性を大きく向上させる場合も含まれる。
歯溝延伸装置25の要部が図7(b)に示されている。図7に示す歯溝延伸装置25は、軸方向に延びる突条部である歯と、歯と歯との間に形成され軸方向に延びる溝とを周方向に交互に有しており、図8に示すように、互いに噛み合う一対の歯溝ロール26,27を備えている。歯溝延伸装置25を用いた伸縮性発現処理工程においては、複合材製造工程で得られた複合材2Aを、一対の歯溝ロール26,27間に供給し延伸させることで、複合材2Aに含まれるシート材20,20が伸長可能となった伸縮性シート2を得る。歯溝ロール26,27の歯形としては、一般的なインボリュート歯形、サイクロイド歯形が用いられ、特にこれらの歯幅を細くしたものが好ましい。
本実施形態の製造方法では、一対のインフィードロール28a,28bにより、複合材2Aを一対の歯溝ロール26,27間に供給している。また一対の歯溝ロール26,27により延伸された伸縮性シート2は、一対のアウトフィードロール29a,29bにより搬送方向MD下流に搬送されている。
図8に示すように、複合材2Aが歯溝ロール26,27間を通過する際には、複合材2Aは、歯溝ロール26,27の歯26a,27aに当接する領域(P3-P2間、P1-P4間)においては、ほとんど延伸されない。これに対し、駆動ロールである歯溝ロール27の歯27aの歯面によって、従動ロールである歯溝ロール26の歯26aの歯面に向けて押圧される領域(P2-P1間)においては、両歯26a,27aによって大きく延伸される。また、歯溝ロール27の歯27aの先端部によって、歯溝ロール26の歯26aから引き離される領域(P4-P3間)においては、前記領域(P2-P1間)程ではないが、大きく延伸される。また複合材2Aは、歯溝ロール26,27の歯26a,27aの先端部に当接する領域(P3-P2間、P1-P4間)においては、前述のとおりほとんど延伸されないが、歯26a,27aの先端部によって、その径方向に、つまり複合材2Aの厚み方向に片押しされるので、厚み方向に薄くなる。
前記の延伸プロセスによって、弾性フィラメント21と両シート材20,20との剥離を防止しつつ、複合材2Aにおける両シート材20,20を効率的に延伸させ、伸長性を付与することができる。そして、大きく延伸される領域(P2-P1間及びP4-P3間)が低坪量部23となり、ほとんど延伸されない領域(P3-P2間、P1-P4間)が高坪量部22となる。
このようにして、複合材2Aが一対の歯溝ロール26,27等によって部分的に延伸させることで、弾性フィラメント21が伸びる方向Xに高坪量部22及び低坪量部23を交互に有する伸縮性シート2が得られる。図6及び図7には、複合材2Aをロール状に巻き取ってロール状物2Rとした後、ロール状物2Rから巻き出した複合材2Aに延伸処理を施す場合を示したが、製造した複合材2Aを、ロール状に巻き取ることなく、歯溝ロール26,27を用いた歯溝延伸装置に導入しても良い。
得られた伸縮性シート2は、図7(a)に示すように、搬送方向MDへ伸長された状態とされ、その伸長状態下に、同様に伸縮性発現処理工程を施して得られた別の伸縮性シート2aと合流される。そして、合流した伸縮性シート2,2aに対してシートシール工程が行われる。
本実施形態におけるシートシール工程においては、伸縮性発現処理工程により得られた伸縮性シート2と、同様にして得られた別の伸縮性シート2aとを、弾性フィラメント21が伸びる方向Xを一致させた状態で積層する。そして、積層された伸縮性シート2,2aどうしを、複数のシール部4により該方向Xに間隔をあけて部分的に接合し、伸縮性複合シート1を得る。具体的には、伸縮性シート2,2aを積層して得られた積層シート10に、部分的にシール部4を形成することにより、伸縮性シート2,2aどうしを接合する。そして、そのシール部4が形成された積層シート10を、搬送方向MDに加えていた張力から開放し、弾性フィラメント21が延びる方向Xと同方向に収縮させる。低坪量部23は高坪量部22より伸縮率が高いため、低坪量部23が大きく収縮して、高坪量部22が平面方向に密に存在するようになり、積層された伸縮性シート2,2aの高坪量部22が厚み方向にぶつかり合って、シール部4間に積層シート10の厚みが増大した部分が生じ易くなり、効率よく凸条部31が形成される。本実施形態の製造方法によれば、図1に示すような複数の凸条部31が形成された伸縮性複合シート1を効率的に製造することができる。
本実施形態では、伸縮性複合シート1に含まれる2枚の伸縮性シート2,2aどうしにおける高坪量部の位相を一致させる観点から、シートシール工程は、伸縮性シート2,2aどうしにおける、高坪量部22の位相を一致させてから行うことが好ましい。高坪量部22の位相を一致させる方法は、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。例えば、図7(a)に示すように、伸縮性シート2を得る伸縮性発現処理工程、及び別の伸縮性シート2aを得る伸縮性発現処理工程において、位置検出センサー51により歯溝ロール27の歯の位置を検出することができる。位置検出センサー51が検出した歯溝ロール27の歯の位置に基づいて、演算部(不図示)が、伸縮性シート2,2aどうしの高坪量部22の位相が一致するように、歯溝ロール26,27の回転を制御している。また、一対のアウトフィードロール29a,29bと、後述する超音波シール装置40との間に、疎密検出センサー52が配されている。疎密検出センサー52は、伸縮性シート2,2aの坪量を検出することができるセンサーである。疎密検出センサー52が検出した伸縮性シート2,2aの坪量に基づいて、演算部(不図示)が、伸縮性シート2,2aどうしの高坪量部22の位相が一致するように、歯溝ロール26,27の回転を制御している。尚、本実施形態では、上述のように、伸縮性発現処理工程及び、伸縮性発現処理工程とシートシール工程との間の両方で、歯溝ロール26,27の回転を制御しているが、伸縮性発現処理工程及び、伸縮性発現処理工程とシートシール工程との間の何れか一方のみで、歯溝ロール26,27の回転を制御してもよい。
シートシール工程において、積層シート10にシール部4を形成する方法としては、任意の方法を用いることができ、例えば、ヒートシール、超音波シール、高周波シール、ホットメルトシール、高圧プレスシール、等を用いることができる。これらの中でも、柔らかさの観点から、超音波シールにより積層シート10にシール部4を形成することが好ましい。
また本実施形態におけるシートシール工程では、前記一方向Xにおいて、隣り合う高坪量部22どうしの中心間距離Cに対する、隣り合うシール部4どうしの端部間距離Aの比が、0.2以上20以下となるように、伸縮性シート2,2aどうしをシール部4で部分的に接合することが好ましい。
シートシール工程では、積層シート10に張力を加えた状態で伸縮性シート2,2aどうしを接合することが、伸縮性複合シート1にしわや襞が発生することを抑制し、伸縮性複合シート1の伸長率を向上させる観点から好ましい。積層シート10に張力を加える方法は、特に制限されない。例えば、一対のアウトフィードロール29a,29bによる搬送速度よりも、一対のフィードロール61a,61bによる搬送速度を速くすることにより、積層シート10に張力を加えてもよい。
積層シート10は、伸縮性シート2,2aどうしを接合させる際における、弾性フィラメント21が延びる方向Xへの伸長倍率が、好ましくは1.1倍以上、より好ましくは1.2倍以上であり、好ましくは5倍以下、より好ましくは4.5倍以下であり、また好ましくは1.1倍以上5倍、より好ましくは1.2倍以上4.5倍以下である。伸縮性シート2の伸長倍率は、伸長状態における長さを、伸長前の自然状態(収縮状態)の長さで除して求められる。
図7には、超音波ホーン42を備えた超音波シール装置40を用いて、積層シート10に対して、伸縮性シート2,2aどうしを部分的にシールさせるシール加工を施す場合が示されている。図7に示す超音波シール装置40は、積層シート10の超音波ホーン42側に向けられる超音波印加面とは反対側の面を支持する支持ロール41を備えている。また超音波ホーン42の先端面又は支持ロール41の表面には、伸縮性複合シート1に形成するシール部4に対応するパターンで、シール用凸部(図示せず)が形成されており、積層シート10を、支持ロール41と超音波ホーン42との間で挟んだ状態で、超音波ホーン42により積層シート10に超音波振動を印加することで、積層シート10に、伸縮性シート2を構成するシート材20及び伸縮性シート2aを構成するシート材20の何れか一方又は双方のシート材が溶融又は軟化し、伸縮性シート2,2aどうしがシールによって部分的に接合されたシール部4が形成される。支持ロール41は、回転駆動されるものでも搬送されるシートに連れ回りする従動ロールであっても良い。また支持ロール41に代えて回転しない支持部材を用いても良い。本実施形態では、シール用凸部は、超音波ホーン42の先端面又は支持ロール41の表面のどちらに形成されていてもよいが、柔らかさの観点から、支持ロール41の表面に形成されていることが好ましい。
図2に示すように、弾性フィラメント21が延びる方向Xに直交する方向に間欠的に複数のシール部4を形成する場合は、弾性フィラメント21が延びる方向Xを積層シート10の搬送方向MDとするとともに、超音波ホーン42又は支持ロール41として、積層シート10の幅方向に対応する方向に、シール用凸部(図示せず)が間欠的に複数配置されたものを用いることが好ましい。また超音波ホーン42の積層シート10に接する面に、シール用凸部を形成する場合、弾性フィラメント21が延びる方向Xを積層シート10の搬送方向MDとするとともに、超音波ホーン42に間欠的に超音波振動を印加し、積層シート10の搬送方向MDに間欠的にシール部4を形成することで、弾性フィラメント21が延びる方向Xに間欠的にシール部4が形成された積層シート10が得られる。シール部4は、弾性フィラメント21が延びる方向Xの直交方向Yに連続して延びるシール部であっても良いが、図2及び図9に示す伸縮性複合シート1,1Aのように、弾性フィラメント21が延びる方向Xの直交方向Yに間欠的に形成されていることが、シートの柔軟性の一層の向上の観点から好ましい。
伸縮性複合シート1の形成材料について説明すると、伸縮性シート2を構成するシート材20,20としては、それぞれ、エアスルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布等の不織布等を用いることができる。これらの不織布は、連続フィラメント又は短繊維の不織布であり得る。シート材20,20は、同種のものでもよく、異種のものでもよい。ここでいう、「同種のシート材」とは、シート材の製造プロセス、シート材の構成繊維の種類、構成繊維の繊維径や長さ、シート材の厚みや坪量等がすべて同じであるシート材どうしを意味する。これらのうちの少なくとも一つが異なる場合には、「異種のシート材」である。
伸縮性シート2を構成するシート材20,20は、歯溝延伸装置25を用いた延伸加工を施した後においては、高坪量部22と低坪量部23とを有するものとなる。
シート材20,20の構成繊維としては、例えば、実質的に非弾性の非弾性繊維を用いることができ、その場合、シート材20,20は、該非弾性繊維を主体とする伸長可能な繊維層となり得る。実質的に非弾性の非弾性繊維としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリアミド等からなる繊維等が挙げられる。構成繊維は、短繊維でも長繊維でも良く、親水性でも撥水性でも良い。また、芯鞘型又はサイド・バイ・サイド型の複合繊維、分割繊維、異形断面繊維、捲縮繊維、熱収縮繊維等を用いることもできる。これらの繊維は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
シート材20,20の構成繊維の好ましい一例として、低融点成分及び高融点成分の2成分以上からなるものが挙げられる。低融点成分及び高融点成分の2成分以上からなる複合繊維としては、芯鞘型の複合繊維が好ましく、芯が高融点PET、PPで、鞘が低融点PET、PP、PEのものが好ましい。
弾性フィラメント21は、例えば熱可塑性エラストマーやゴム等の弾性樹脂を原料とするものである。特に熱可塑性エラストマーを原料として用いると、通常の熱可塑性樹脂と同様に押出機を用いた溶融紡糸が可能であり、またそのようにして得られた弾性フィラメントは熱融着させやすいので、伸縮性シート2に好適である。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、SBS(スチレン-ブタジエン-スチレン)、SIS(スチレン-イソプレン-スチレン)、SEBS(スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン)、SEPS(スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン)等のスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー(エチレン系のα-オレフィンエラストマー、エチレン・ブテン・オクテン等を共重合したプロピレン系エラストマー)、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
次に、本発明の製造方法の他の実施形態について、図10を参照しながら説明する。
以下では、前述した実施形態と異なる部分について主として説明し、同様の部分については、説明を省略する。特に説明しない部分は、前述した実施形態についての説明が適宜適用される。
図10に示す実施形態では、複合材製造工程により得られた複合材2Aを2枚積層した状態で、伸縮性発現処理工程を施す。具体的には、2枚の複合材2A,2Aを弾性フィラメント21が伸びる方向Xを一致させた状態で積層する。そして、積層した2枚の複合材2A,2Aを、一対の歯溝ロール26,27間に供給し延伸させることで、2枚の伸縮性シート2,2が積層された積層シート10を得る。このようにして得られた積層シート10にシートシール工程を施すことで、伸縮性複合シート1を製造することができる。2枚の複合材2A,2Aを積層した状態で、伸縮性発現処理工程を施すことにより、延伸された2枚の伸縮性シート2,2どうしにおける、高坪量部22及び低坪量部23の位相を一致させることができる。したがって、伸縮性シート2,2どうしにおける、高坪量部22及び低坪量部23の位相が一致した伸縮性複合シート1を容易に製造することが可能となる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されない。例えば、図1に示す伸縮性複合シート1においては、隣り合うシール部列R4どうしで個々のシール部4の直交方向Yの位置が一致しているが、本発明の伸縮性複合シート及び本発明の製造方法で製造する伸縮性複合シートは、個々のシール部4の直交方向Yの位置が異なる2又は3以上のシール部列を有するものであっても良い。例えば、図9に示す伸縮性複合シート1Aのように、隣り合うシール部列R4どうしで個々のシール部4の直交方向Yの位置が半ピッチ分ずれていても良い。
また、本発明の伸縮性複合シート及び本発明で製造する伸縮性複合シートを、パンツ型の外装体及び該外装体の内面側に固定された吸収性本体を備えた使い捨ておむつの外装体に使用する場合、外装体の全域を、物理的に連続した一枚の伸縮性複合シートから構成しても良いし、外装体の一部を、本発明に係る伸縮性複合シートから構成しても良い。また、各種物品のヒトの肌に対向配置される面の一部を、本発明に係る伸縮性複合シートから構成する一方、他の部分を、伸縮性複合シートから延出した伸縮性シート2又は非伸縮性シート3のみから構成することもできる。
また上述した実施形態の伸縮性複合シート1における伸縮性シート2は、2枚のシート材20,20に複数の弾性フィラメント21が挟持固定されているものであったが、本発明の伸縮性複合シートを構成する伸縮性シートは、1枚のシート材20のみに複数の弾性フィラメントを固定されているものであっても良い。
またシール部4の平面視形状は、円形に限られず、楕円形、四角形、三角形、五角形、トランプのハート形等の他の形状とすることもできる。
以下、本発明を実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明は、斯かる実施例によって何ら限定されるものではない。
〔実施例1〕
下記の伸縮性シートを2枚重ねた積層シート10に対して、図7に示すシール装置40によりシートシール工程を行うことによって、伸縮性シートどうしが部分的に接合されたシール部を有する実施例1の伸縮性複合シートを得た。実施例1の伸縮性複合シートでは、シール部は、弾性フィラメント21が延びる方向に直交する直交方向Yにおいて、50mmの長さで連続的に形成されている。
<伸縮性シート>
非弾性繊維から形成された2枚のスパンボンド不織布間に弾性フィラメントが狭持された構成の積層シートを、伸縮性シートの原反シートとして用い、該原反シートをフィラメントの配向方向に搬送しながら、歯溝延伸装置の一対の歯溝ロール間に供給して伸縮性シートを得た。原反シート及び伸縮性シートには、多数本の弾性フィラメントが所定の間隔で互いに平行に配されている。
弾性フィラメント:スチレン系の熱可塑性エラストマー、繊維径120~130μm
非弾性繊維:PP繊維、太さ17μm
原反シートのシート坪量:45g/m
<伸縮性複合シートにおけるシール部の配置>
製造した伸縮性複合シートにおける各部の寸法を表1に示した。
表中の表記の意味は以下の通りである。一方向Xは、弾性フィラメントが延びる方向と同方向、直交方向Yは、弾性フィラメントが延びる方向と直交する方向である。
格子配置 :一方向に多列にシール部列が形成され、隣り合うシール部列どうしで個々のシール部の位置が一致する配置(図2参照)
千鳥配置 :一方向に多列にシール部列が形成され、隣り合うシール部列どうしで個々のシール部の位置が半ピッチ分ずれている配置(図9参照)
〔標準伸長状態で測定した寸法〕
高坪量部の中心間距離C:一方向Xに隣り合う高坪量部どうしの中心間距離
シール部の端部間距離A :一方向Xに隣り合うシール部どうしの端部間距離
比(A/C) :中心間距離Cに対する端部間距離Aの比
低坪量部の中心間距離D:一方向Xに隣り合う低坪量部どうしの中心間距離
弾性フィラメント間隔E:直交方向Yにおいて隣り合う弾性フィラメントどうしの中心間距離
〔収縮状態で測定した寸法〕
凸条部の間隔L3 :一方向Xにおける凸条部31の頂部間の距離(図3参照)
凸条部部分厚みT3:凸条部31を有する部分の厚みT3
溝部部分の厚みT4:溝部32を有する部分の厚みT4

〔実施例2~3〕
シール装置40により形成するシール部のパターンを変更した以外は、実施例1と同様にして各部の寸法や比を表1に示すとおりに変更された伸縮性複合シートを製造した。
〔比較例1~3〕
実施例1において、2枚の伸縮性シートのうち1枚を以下の非伸縮性シートに変更した。またシール装置40により形成するシール部のパターンを、表1に示す通りに変更した。これら以外は、実施例1と同様にして伸縮性複合シートを製造した。
<非伸縮性シート>
PP繊維から形成された、スパンボンド不織布。坪量18g/m
〔参考例〕
実施例1において、シール装置40によりシール部を形成せず、2枚の伸縮性シートを重ねただけのものを参考例の伸縮性複合シートとした。
〔評価〕
実施例、比較例及び参考例で得られた伸縮性複合シートについて、以下の方法により、通気性を評価した。
(1)方法:カトーテック(株)通気性試験機KES-F8により通気抵抗を測定し、その逆数に係数12.5を掛け合わせて通気度を求めた。
(2)評価結果:結果を図11に示した。
図11に示す結果から、実施例の伸縮性複合シートは、比較例の伸縮性複合シートに比して通気性に優れることがわかる。
1,1A 伸縮性複合シート
2,2a 伸縮性シート
20 シート材
21 弾性フィラメント
22 高坪量部
23 低坪量部
2A 複合材
31 凸条部
32 溝部
4 シール部
R4 シール部列
10 積層シート
16 紡糸ノズル
17 紡糸ヘッド
25 歯溝延伸装置
26,27 歯溝ロール
40 シール装置
41 支持ロール
42 超音波ホーン

Claims (8)

  1. 2枚の伸縮性シートを含み該伸縮性シートどうしが部分的に接合された伸縮性複合シートであって、
    2枚の前記伸縮性シートは、それぞれ、互いに交差せずに一方向に延びるように配列した複数の弾性フィラメントが、それらの全長にわたり、繊維材料を含み伸長可能なシート材に接合されており、前記伸縮性複合シートの伸長状態において、前記一方向に高坪量部及び低坪量部を交互に有しており、
    2枚の前記伸縮性シートは、前記弾性フィラメントが伸びる前記一方向が一致しており、該伸縮性シートどうしが結合したシール部が、該一方向に間欠的に形成されており、
    前記シール部は、該シール部が前記一方向と直交する直交方向に直列したシール部列を形成しており、
    2枚の前記伸縮性シートのそれぞれは、前記一方向に隣り合う前記シール部列どうし間に前記高坪量部を有しており、
    前記伸縮性複合シートの収縮状態において、2枚の前記伸縮性シートのそれぞれは、前記一方向に隣り合う前記シール部列どうし間が、前記弾性フィラメントにより収縮しているとともに、該伸縮性シートのそれぞれが、前記一方向に隣り合う前記シール部どうし間に、前記直交方向に連続する凸条部を形成しており、
    一方の前記伸縮性シートの前記凸条部と他方の前記伸縮性シートの前記凸条部とは、前記伸縮性複合シートの厚み方向において互いに反対の方向に向かって突出しており、それぞれ、前記厚み方向の外方に向かって突出している、伸縮性複合シート。
  2. 前記伸縮性シートどうしにおける、前記高坪量部の前記一方向の位相が一致している、請求項1に記載の伸縮性複合シート。
  3. 前記一方向に隣り合う前記高坪量部どうしの中心間距離Cに対する、該一方向に隣り合う前記シール部列に含まれる前記シール部どうしの端部間距離Aの比(A/C)が、0.2以上20以下である、請求項1又は2に記載の伸縮性複合シート。
  4. 請求項1~3の何れか1項に記載の伸縮性複合シートの製造方法であって、
    複数本の弾性フィラメントを、一方向に延びるようにシート材に接合して、複合材を得る複合材製造工程と、
    前記複合材を、互いに噛み合う一対の歯溝ロール間に供給し延伸させることで、伸長状態において前記一方向に高坪量部及び低坪量部を交互に有し、前記シート材が伸長可能となった、前記伸縮性シートを得る伸縮性発現処理工程と、
    前記伸縮性発現処理工程により得られた前記伸縮性シートと、同様にして得られた別の伸縮性シートとを、前記弾性フィラメントが伸びる前記一方向を一致させた状態且つ該一方向に伸長させた状態で積層し、複数のシール部により該一方向に間隔をあけて部分的に接合することで伸長状態の伸縮性複合シートを得るシートシール工程と
    前記シートシール工程後に、伸長状態の前記伸縮性複合シートを、前記一方向に加えていた張力から解放して該一方向に収縮させて、該伸縮性複合シートにおける2枚の前記伸縮性シートのそれぞれに、前記凸条部を形成する工程とを有する、伸縮性複合シートの製造方法。
  5. 前記シートシール工程は、前記伸縮性シートどうしにおける、前記高坪量部の前記一方向の位相どうしを一致させた後に行う、請求項4に記載の伸縮性複合シートの製造方法。
  6. 請求項1~3の何れか1項に記載の伸縮性複合シートの製造方法であって、
    複数本の弾性フィラメントを、一方向に延びるようにシート材に接合して、複合材を得る複合材製造工程と、
    2枚の前記複合材を、前記弾性フィラメントが伸びる前記一方向を一致させた状態で積層し、互いに噛み合う一対の歯溝ロール間に供給し延伸させることで、伸長状態において前記一方向に高坪量部及び低坪量部を交互に有し、前記シート材が伸長可能となった、2枚の前記伸縮性シートを得る伸縮性発現処理工程と、
    前記伸縮性発現処理工程により得られた2枚の前記伸縮性シートを、前記一方向に伸長させた状態で、複数のシール部により該一方向に間隔をあけて部分的に接合することで伸長状態の伸縮性複合シートを得るシートシール工程と
    前記シートシール工程後に、伸長状態の前記伸縮性複合シートを、前記一方向に加えていた張力から解放して該一方向に収縮させて、該伸縮性複合シートにおける2枚の前記伸縮性シートのそれぞれに、前記凸条部を形成する工程とを有する、伸縮性複合シートの製造方法。
  7. 前記シートシール工程では、前記伸縮性シートに超音波振動を印加することにより前記伸縮性シートどうしを接合する、請求項4~6の何れか1項に記載の伸縮性複合シートの製造方法。
  8. 前記シートシール工程では、積層された前記伸縮性シートにおける前記超音波印加面とは反対側の面を、シール用凸部を有する支持ロールにより支持し、
    前記シール用凸部は、前記伸縮性複合シートに形成する前記シール部に対応するパターンで、前記支持ロールの表面に形成されている、請求項7に記載の伸縮性複合シートの製造方法。
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