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JP7336736B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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JP7336736B2 JP2020525458A JP2020525458A JP7336736B2 JP 7336736 B2 JP7336736 B2 JP 7336736B2 JP 2020525458 A JP2020525458 A JP 2020525458A JP 2020525458 A JP2020525458 A JP 2020525458A JP 7336736 B2 JP7336736 B2 JP 7336736B2
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Description

本開示は、非水電解質二次電池に関する。
炭素材料を負極活物質として用いる非水電解質二次電池は、高エネルギー密度の二次電池として広く利用されている。
例えば、特許文献1~3には、炭素材料に比較的細孔容量の大きい黒鉛材料を用いた非水電解質二次電池が開示されている。
例えば、特許文献4には、炭素材料に内部空隙率が5%以下の緻密化炭素を用いた非水電解質二次電池が開示されている。
例えば、特許文献5~6には、スチレン-ブタジエン共重合体ゴムと炭素材料とを含む負極を用いた非水電解質二次電池が開示されている。
特開平9-7597号公報 特開平10-21919号公報 特開平10-236809号公報 特開平9-320600号公報 特開平4-342966号公報 特開平11-288718号公報
ところで、非水電解質二次電池の信頼性向上として、充放電サイクル特性の低下を抑制することが求められている。
そこで、本開示の目的は、充放電サイクル特性の低下を抑制することができる非水電解質二次電池を提供することにある。
本開示の一態様である非水電解質二次電池は、負極活物質層を有する負極を備え、前記負極活物質層は、黒鉛粒子を含む負極活物質と、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム及びその変性体のうち少なくとも1つから選択されるSBR成分と、を含み、前記黒鉛粒子の内部空隙率は1%~5%であり、前記負極活物質層の粒子間空隙率は10%~20%であり、前記SBR成分の含有量は、前記負極活物質の質量に対して、1.5質量%~3質量%である。
本開示の一態様によれば、充放電サイクル特性の低下を抑制することができる。
図1は、実施形態の一例である非水電解質二次電池の断面図である。 図2(A)は、負極活物質層の断面の一部を示す模式拡大図であり、図2(B)は、図2(A)の負極活物質層の断面における黒鉛粒子の断面を示す模式拡大図である。
(本開示の基礎となった知見)
内部空隙率の低い黒鉛粒子は、内部空隙率の高い黒鉛粒子と比べて、充放電サイクルにおける黒鉛粒子の破壊や、それに伴う非水電解質の分解反応等が抑制されるため、非水電解質二次電池の充放電サイクル特性の低下が抑制される傾向にある。しかし、内部空隙率の低い黒鉛粒子を用いただけでは、非水電解質二次電池の充放電サイクル特性の低下を効果的に抑制することができない場合がある。これは、内部空隙率の低い黒鉛粒子を用いた場合、非水電解質との接触量が低下し易いことや、電極を形成する際に粒子が潰れ難く、結着材による粒子同士の結着性が低下し易いこと等が原因であると考えられる。そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、非水電解質二次電池の充放電サイクル特性の低下を効果的に抑制するには、内部空隙率の低い黒鉛粒子を用いることに加え、負極を構成する負極活物質層の粒子間空隙率を所定の範囲にし、さらに結着材として機能するスチレン-ブタジエン共重合体ゴムやその変性体の含有量を所定の範囲にすることが必要であることを見出し、以下に示す態様の非水電解質二次電池を想到するに至った。
本開示の一態様である非水電解質二次電池は、負極活物質層を有する負極を備え、前記負極活物質層は、黒鉛粒子を含む負極活物質と、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム及びその変性体のうち少なくとも1つから選択されるSBR成分と、を含み、前記黒鉛粒子の内部空隙率は1%~5%であり、前記負極活物質層の粒子間空隙率は10%~20%であり、前記SBR成分の含有量は、前記負極活物質の質量に対して、1.5質量%~3質量%であることを特徴とする。
ここで、本開示の一態様のように、負極活物質層の粒子間空隙率が10%~20%であると、負極活物質層内に一定量の非水電解質が保持されるため、内部空隙率が1%~5%である黒鉛粒子と非水電解質との接触量が十分に確保されると考えられる。また、本開示の一態様のようにSBR成分の含有量が1.5質量%~3質量%であると、黒鉛粒子同士の十分な接着性が確保されると考えられる。このように、本開示の一態様である非水電解質二次電池によれば、内部空隙率の低い黒鉛粒子を用いた場合における非水電解質との接触量の低下や黒鉛粒子同士の結着性の低下等が抑えられるため、充放電サイクル特性の低下が効果的に抑制されると考えられる。なお、負極活物質層の粒子間空隙率が20%を超えると、非水電解質の保持量が高くなる半面、黒鉛粒子同士の接触率が低くなり、充放電サイクル特性の低下を抑制することが困難となる。また、SBR成分の含有量が3質量%を超えると、黒鉛粒子同士の接着性が高くなる半面、黒鉛粒子界面の電気抵抗が大きくなり、充放電サイクル特性の低下を抑制することが困難となる。
以下、図面を参照しながら、実施形態の一例について詳細に説明する。なお、本開示の非水電解質二次電池は、以下で説明する実施形態に限定されない。また、実施形態の説明で参照する図面は、模式的に記載されたものである。
図1は、実施形態の一例である非水電解質二次電池の断面図である。図1に示す非水電解質二次電池10は、正極11及び負極12がセパレータ13を介して巻回されてなる巻回型の電極体14と、非水電解質と、電極体14の上下にそれぞれ配置された絶縁板18,19と、上記部材を収容する電池ケース15と、を備える。電池ケース15は、有底円筒形状のケース本体16と、ケース本体16の開口部を塞ぐ封口体17とにより構成される。なお、巻回型の電極体14の代わりに、正極及び負極がセパレータを介して交互に積層されてなる積層型の電極体など、他の形態の電極体が適用されてもよい。また、電池ケース15としては、円筒形、角形、コイン形、ボタン形等の金属製外装缶、樹脂シートと金属シートをラミネートして形成されたパウチ外装体などが例示できる。
ケース本体16は、例えば有底円筒形状の金属製外装缶である。ケース本体16と封口体17との間にはガスケット28が設けられ、電池内部の密閉性が確保される。ケース本体16は、例えば側面部の一部が内側に張出した、封口体17を支持する張り出し部22を有する。張り出し部22は、ケース本体16の周方向に沿って環状に形成されることが好ましく、その上面で封口体17を支持する。
封口体17は、電極体14側から順に、フィルタ23、下弁体24、絶縁部材25、上弁体26、及びキャップ27が積層された構造を有する。封口体17を構成する各部材は、例えば円板形状又はリング形状を有し、絶縁部材25を除く各部材は互いに電気的に接続されている。下弁体24と上弁体26は各々の中央部で互いに接続され、各々の周縁部の間には絶縁部材25が介在している。内部短絡等による発熱で非水電解質二次電池10の内圧が上昇すると、例えば下弁体24が上弁体26をキャップ27側に押し上げるように変形して破断し、下弁体24と上弁体26の間の電流経路が遮断される。さらに内圧が上昇すると、上弁体26が破断し、キャップ27の開口部からガスが排出される。
図1に示す非水電解質二次電池10では、正極11に取り付けられた正極リード20が絶縁板18の貫通孔を通って封口体17側に延び、負極12に取り付けられた負極リード21が絶縁板19の外側を通ってケース本体16の底部側に延びている。正極リード20は封口体17の底板であるフィルタ23の下面に溶接等で接続され、フィルタ23と電気的に接続された封口体17の天板であるキャップ27が正極端子となる。負極リード21はケース本体16の底部内面に溶接等で接続され、ケース本体16が負極端子となる。
以下、非水電解質二次電池10の各構成要素について詳説する。
[負極]
負極12は、例えば金属箔等からなる負極集電体と、当該集電体上に形成された負極活物質層とを有する。負極集電体には、例えば、銅などの負極の電位範囲で安定な金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等が用いられる。
負極活物質層は、黒鉛粒子を含む負極活物質と、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム及びその変性体のうち少なくともいずれか1つから選択されるSBR成分とを含む。負極12は、例えば、負極活物質、SBR成分等を含む負極合材スラリーを調製し、この負極合材スラリーを負極集電体上に塗布、乾燥して負極活物質層を形成し、この負極活物質層を加圧成形することにより作製できる。
図2(A)は、負極活物質層の断面の一部を示す模式拡大図であり、図2(B)は、図2(A)の負極活物質層の断面における黒鉛粒子の断面を示す模式拡大図である。図2(A)に示すように、負極活物質層は、黒鉛粒子30等の負極活物質層を形成する粒子間に形成された空隙32(以下、粒子間空隙32)を有する。また、図2(B)に示すように、黒鉛粒子30は、黒鉛粒子30の断面視において、粒子内部から粒子表面につながっていない閉じられた空隙34(以下、内部空隙34)と、粒子内部から粒子表面につながっている空隙36(以下、外部空隙36)とを有する。
負極活物質層の粒子間空隙率は、前述したように、充放電サイクル特性の低下を抑制する点で、10%~20%であればよいが、好ましくは12%~18%であり、より好ましくは14%~16%である。また、黒鉛粒子30の内部空隙率は、前述したように、充放電サイクル特性の低下を抑制する点で、1%~5%であればよいが、好ましくは3%~5%である。ここで、負極活物質層の粒子間空隙率とは、負極活物質層の断面積に対する負極活物質層内の粒子間空隙32の面積の割合から求めた2次元値であり、黒鉛粒子30の内部空隙率とは、黒鉛粒子30の断面積に対する黒鉛粒子30の内部空隙34の面積の割合から求めた2次元値である。そして、負極活物質層の粒子間空隙率、及び黒鉛粒子30の内部空隙率は、以下の手順で求められる。
<粒子間空隙率、内部空隙率の測定方法>
(1)負極活物質の断面を露出させる。断面を露出させる方法としては、例えば、負極の一部を切り取り、イオンミリング装置(例えば、日立ハイテク社製、IM4000)で加工し、負極活物質層の断面を露出させる方法が挙げられる。
(2)走査型電子顕微鏡を用いて、上記露出させた負極活物質層の断面の反射電子像を撮影する。負極活物質層の粒子間空隙率を求める場合には、1千倍となる倍率で反射電子像を撮影し、黒鉛粒子の内部空隙率を求める場合には、3千倍から5千倍となる倍率で反射電子像を撮影する。
(3)上記により得られた断面像をコンピュータに取り込み、画像解析ソフト(例えば、アメリカ国立衛生研究所製、ImageJ)を用いて二値化処理を行い、断面像内の粒子断面を黒色とし、粒子断面に存在する空隙や粒子間空隙を白色として変換した二値化処理画像を得る。
(4-1)黒鉛粒子の内部空隙率を求める場合、画像解析ソフトを用いて、二値化処理画像から、粒径5μm~50μmの黒鉛粒子を選択し、当該黒鉛粒子断面の面積、及び当該黒鉛粒子断面に存在する内部空隙の面積を算出する。ここで、黒鉛粒子断面の面積とは、黒鉛粒子の外周で囲まれた領域の面積、すなわち、黒鉛粒子の断面部分全ての面積を指している。また、黒鉛粒子断面に存在する空隙のうち幅が3μm以下の空隙については、画像解析上、内部空隙か外部空隙かの判別が困難となる場合があるため、幅が3μm以下の空隙は内部空隙としてもよい。そして、算出した黒鉛粒子断面の面積及び黒鉛粒子断面の内部空隙の面積から、黒鉛粒子の内部空隙率(黒鉛粒子断面の内部空隙の面積×100/黒鉛粒子断面の面積)を算出する。黒鉛粒子の内部空隙率は、黒鉛粒子10個の平均値とする。
(4-2)負極活物質層の粒子間空隙率を求める場合、画像解析ソフトを用いて、二値化処理画像から、測定範囲(50μm×50μm)における粒子間空隙の面積を算出する。上記測定範囲を、負極活物質層の断面積(2500μm2=50μm×50μm)とし、算出した粒子間空隙の面積から、負極活物質層の粒子間空隙率(粒子間空隙の面積×100/負極活物質層の断面積)を算出する。
負極活物質層の粒子間空隙率は、例えば、負極活物質層を加圧成形するときの圧力により調整することができる。加圧成形時の圧力は負極活物質層の厚み等にもよるが、例えば、圧延ローラによる負極活物質層の加圧成形時の線圧は60kg/cm~500kg/cmの範囲が望ましい。
また、負極活物質層の粒子間空隙率は、例えば、負極活物質の飽和タップ密度により調整することもできる。負極活物質の飽和タップ密度は、負極活物質層の粒子間空隙率を10%~20%の範囲に調整し易い等の点で、0.8g/cm~1.2g/cmの範囲が好ましい。なお、黒鉛粒子30の飽和タップ密度は、上記範囲内でも範囲外でもよいが、範囲外の場合には、負極活物質の飽和タップ密度が上記範囲となるように、飽和タップ密度の異なる複数種の黒鉛粒子30を混合することが望ましい。
飽和タップ密度は、粉体減少度測定器(筒井理化学器械株式会社製 TPM-1)を用いて測定できる。具体的には、試料(粉体)50gを150mlのガラス製メスシリンダーに入れ、粉体減少度測定器を用いてストローク30mmで1000回タップした時の粉体充填密度を求め、当該密度を飽和タップ密度とする。
黒鉛粒子30の内部空隙率は、例えば、黒鉛粒子の製造段階で調整することができる。
<内部空隙率:1%~5%>
例えば、主原料となるコークス(前駆体)を所定サイズに粉砕し、それらを結着材で凝集させた状態で、2600℃以上の温度で焼成し、黒鉛化させた後、篩い分けることで、所望のサイズの黒鉛粒子30を得る。ここで、黒鉛粒子30の内部空隙率は、粉砕後の前駆体の粒径や凝集させた状態の前駆体の粒径等によって調整することができる。そして、1%~5%の内部空隙率を有する黒鉛粒子30を得る場合には、粉砕後の前駆体の平均粒径(体積基準のメジアン径D50)は、例えば、12μm~20μmの範囲であることが好ましい。また、内部空隙率を5%以下の範囲で小さくする場合は、粉砕後の前駆体の粒径を大きくすることが好ましい。
<内部空隙率:10%以上>
例えば、主原料となるコークス(前駆体)を所定サイズに粉砕し、それらを結着材で凝集した後、さらにブロック状に加圧成形した状態で、2600℃以上の温度で焼成し、黒鉛化させる。黒鉛化後のブロック状の成形体を粉砕し、篩い分けることで、所望のサイズの黒鉛粒子を得る。ブロック状の成形体に添加される揮発成分の量によって、内部空隙率を10%以上に調整することができる。コークス(前駆体)に添加される結着材の一部が焼成時に揮発する場合、結着材を揮発成分として用いることができる。そのような結着材としてピッチが例示される。揮発成分の添加量は、ブロック状の成形体に対して8質量%以上とすることが好ましい。
本実施形態に用いられる黒鉛粒子30は、天然黒鉛、人造黒鉛等、特に制限されるものではないが、内部空隙率の調整のし易さ等の点では、人造黒鉛が好ましい。本実施形態に用いられる黒鉛粒子のX線広角回折法による(002)面の面間隔(d002)は、例えば、0.3354nm以上であることが好ましく、0.3357nm以上であることがより好ましく、また、0.340nm未満であることが好ましく、0.338nm以下であることがより好ましい。また、本実施形態に用いられる黒鉛粒子のX線回折法で求めた結晶子サイズ(Lc(002))は、例えば、5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、また、300nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましい。面間隔(d002)及び結晶子サイズ(Lc(002))が上記範囲を満たす場合、上記範囲を満たさない場合と比べて、非水電解質二次電池の電池容量が大きくなる傾向がある。
負極活物質は、本実施形態に用いられる黒鉛粒子30以外に、リチウムイオンを可逆的に吸蔵、放出できる他の材料を含んでいてもよく、例えば、ケイ素(Si)、錫(Sn)等のリチウムと合金化する金属、又はSi、Sn等の金属元素を含む合金、酸化物等を含んでいてもよい。上記他の材料の含有量が多くなると、非水電解質二次電池の充放電サイクル特性の低下を抑制する効果が十分に得られない場合があるので、上記他の材料の含有量は、例えば、負極活物質の質量に対して10質量%以下とすることが望ましい。
本実施形態に用いられるスチレン-ブタジエン共重合体ゴム及びその変性体のうち少なくともいずれか1つを含むSBR成分は、黒鉛粒子30同士を結着させる結着材として機能するものである。変性体は、スチレン-ブタジエン共重合体ゴムを、極性基を有する変性剤により変性したもの等であり、特に限定されないが、例えば、アミン変性体、フッ素変性体、カルボキシル変性体、エポキシ変性体、アルコール変性体等が挙げられる。
SBR成分の含有量は、前述したように、非水電解質二次電池の充放電サイクル特性の低下を抑制する点で、負極活物質の質量に対して、1.5質量%~3質量%であり、好ましくは2質量%~2.8質量%である。
結着材としては、SBR成分以外の他の成分を含んでいてもよく、フッ素樹脂、PAN、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリオレフィン等を含んでいてもよく、また、CMC又はその塩、ポリアクリル酸(PAA)又はその塩、ポリビニルアルコール(PVA)等を含んでいてもよい。
[正極]
正極11は、例えば金属箔等の正極集電体と、正極集電体上に形成された正極活物質層とで構成される。正極集電体には、アルミニウムなどの正極の電位範囲で安定な金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等を用いることができる。正極活物質層は、例えば、正極活物質、結着材、導電材等を含む。
正極11は、例えば、正極活物質、結着材、導電材等を含む正極合材スラリーを正極集電体上に塗布、乾燥して正極活物質層を形成し、この正極活物質層を加圧成形することにより作製できる。
正極活物質としては、Co、Mn、Ni等の遷移金属元素を含有するリチウム遷移金属酸化物が例示できる。リチウム遷移金属酸化物は、例えばLiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCoNi1-y、LiCo1-y、LiNi1-y、LiMn、LiMn2-y、LiMPO、LiMPOF(M;Na、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、Sb、Bのうち少なくとも1種、0<x≦1.2、0<y≦0.9、2.0≦z≦2.3)である。これらは、1種単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。非水電解質二次電池の高容量化を図ることができる点で、正極活物質は、LiNiO、LiCoNi1-y、LiNi1-y(M;Na、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、Sb、Bのうち少なくとも1種、0<x≦1.2、0<y≦0.9、2.0≦z≦2.3)等のリチウムニッケル複合酸化物を含むことが好ましい。
導電材は、例えば、カーボンブラック(CB)、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック、黒鉛等のカーボン系粒子などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
結着材は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のフッ素系樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
[セパレータ]
セパレータ13には、例えば、イオン透過性及び絶縁性を有する多孔性シート等が用いられる。多孔性シートの具体例としては、微多孔薄膜、織布、不織布等が挙げられる。セパレータの材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、セルロースなどが好適である。セパレータ13は、セルロース繊維層及びオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂繊維層を有する積層体であってもよい。また、ポリエチレン層及びポリプロピレン層を含む多層セパレータであってもよく、セパレータの表面にアラミド系樹脂、セラミック等の材料が塗布されたものを用いてもよい。
[非水電解質]
非水電解質は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解した電解質塩とを含む。非水電解質は、液体電解質(電解液)に限定されず、ゲル状ポリマー等を用いた固体電解質であってもよい。非水溶媒には、例えばエステル類、エーテル類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、及びこれらの2種以上の混合溶媒等を用いることができる。非水溶媒は、これら溶媒の水素の少なくとも一部をフッ素等のハロゲン原子で置換したハロゲン置換体を含有していてもよい。
上記エステル類の例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート等の環状炭酸エステル、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート等の鎖状炭酸エステル、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン等の環状カルボン酸エステル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル(MP)、プロピオン酸エチル等の鎖状カルボン酸エステルなどが挙げられる。
上記エーテル類の例としては、1,3-ジオキソラン、4-メチル-1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、1,3,5-トリオキサン、フラン、2-メチルフラン、1,8-シネオール、クラウンエーテル等の環状エーテル、1,2-ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、ペンチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ベンジルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、o-ジメトキシベンゼン、1,2-ジエトキシエタン、1,2-ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、1,1-ジメトキシメタン、1,1-ジエトキシエタン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等の鎖状エーテル類などが挙げられる。

上記ハロゲン置換体としては、フルオロエチレンカーボネート(FEC)等のフッ素化環状炭酸エステル、フッ素化鎖状炭酸エステル、フルオロプロピオン酸メチル(FMP)等のフッ素化鎖状カルボン酸エステル等を用いることが好ましい。
電解質塩は、リチウム塩であることが好ましい。リチウム塩の例としては、LiBF、LiClO、LiPF、LiAsF、LiSbF、LiAlCl、LiSCN、LiCFSO、LiCFCO、Li(P(C)F)、LiPF6-x(C2n+1(1<x<6,nは1又は2)、LiB10Cl10、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、Li、Li(B(C)F)等のホウ酸塩類、LiN(SOCF、LiN(C2l+1SO)(C2m+1SO){l,mは1以上の整数}等のイミド塩類などが挙げられる。リチウム塩は、これらを1種単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。これらのうち、イオン伝導性、電気化学的安定性等の観点から、LiPFを用いることが好ましい。リチウム塩の濃度は、溶媒1L当り0.8~1.8molとすることが好ましい。
以下、実施例により本開示をさらに説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
[正極の作製]
炭酸コバルトと、コバルトに対して0.1mol%のジルコニウムと、1mol%のマグネシウムと、1mol%のアルミニウムとを共沈させ、これを熱分解反応させて、ジルコニウム、マグネシウム、アルミニウム含有四酸化コバルトを得た。これに、炭酸リチウムを添加した混合物を、850℃・20時間焼成して、ジルコニウム、マグネシウム、アルミニウム含有コバルト酸リチウム(LiCo0.979Zr0.001Mg0.01Al0.01)を得た。これを正極活物質とした。
上記正極活物質が95質量部、導電材としての炭素粉末が2.5質量部、結着材としてのポリフッ化ビニリデン粉末が2.5質量部となるよう混合し、さらにN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を適量加えて、正極合材スラリーを調製した。このスラリーをアルミニウム箔(厚さ15μm)からなる集電体の両面にドクターブレード法により塗布し、塗膜を乾燥した後、圧延ローラにより塗膜を圧延して、正極集電体の両面に正極活物質層が形成された正極を作製した。
[負極活物質の作製]
コークスを平均粒径(メジアン径D50)が12μmとなるまで粉砕し、粉砕したコークスに結着材としてのピッチを添加し、コークスの平均粒径(メジアン径D50)が17μmとなるまで凝集させた。この凝集物を2800℃の温度で焼成して黒鉛化した後、250メッシュの篩いを用いて、篩い分けを行い、平均粒径(メジアン径D50)が23μmの黒鉛粒子を得た。これを負極活物質とした。
[負極の作製]
上記負極活物質:カルボキシメチルセルロース(CMC):スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)の質量比が、100:1.5:1.5となるようにこれらを混合して、負極合材スラリーを調製した。このスラリーを銅箔からなる集電体の両面にドクターブレード法により塗布し、塗膜を乾燥した後、圧延ローラにより塗膜を160kg/cmの線圧で圧延して、負極集電体の両面に負極活物質層が形成された負極を作製した。作製した負極において、黒鉛粒子の内部空隙率及び負極活物質層の粒子間空隙率を測定したところ、それぞれ3%と15%であった。測定方法は前述した通りであるので省略する。
[非水電解質の作製]
エチレンカーボネート(EC)と、メチルエチルカーボネート(MEC)と、ジエチルカーボネート(DEC)とを体積比で30:60:10となるように混合した非水溶媒に、LiPFを1mol/Lの濃度で溶解した。さらに、この溶液全量に対して、ビニレンカーボネート(VC)を2質量%、フルオロエチレンカーボネートを1質量%溶解させた。これを非水電解質とした。
[非水電解質二次電池の作製]
(1)上記正極及び負極を、ポリエチレン製微多孔膜からなるセパレータを介して巻回した電極体を作製した後、プレスして、扁平巻回型の電極体とした。
(2)ポリプロピレン樹脂層/接着剤層/アルミニウム合金層/接着剤層/ポリプロピレン樹脂層の5層構造からなるシート状のラミネート材を用意した。このラミネート材を折り返して底部を形成し、カップ状の電極体収容空間を形成した。これを電池の外装体として使用した。
(3)アルゴン雰囲気下のグローブボックス内で、上記電極体と上記非水電解質とを、外装体の上記収容空間に収容した後、外装体内部を減圧して、セパレータ内部に非水電解質を含浸させ、外装体の開口部を封止し、高さ62mm、幅35mm、厚み3.6mmの非水電解質二次電池を作製した。
<実施例2>
負極の作製において、負極活物質:カルボキシメチルセルロース(CMC):スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)の質量比が、100:1.5:2.0となるようにこれらを混合したこと以外は、実施例1と同様の条件とした。作製した負極における黒鉛粒子の内部空隙率及び負極活物質層の粒子間空隙率は、実施例1と同様であった。上記作製した負極を用いたこと以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
<実施例3>
負極の作製において、負極活物質:カルボキシメチルセルロース(CMC):スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)の質量比が、100:1.5:2.5となるようにこれらを混合したこと以外は、実施例1と同様の条件とした。作製した負極における黒鉛粒子の内部空隙率及び負極活物質層の粒子間空隙率は、実施例1と同様であった。上記作製した負極を用いたこと以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
<実施例4>
負極の作製において、負極活物質:カルボキシメチルセルロース(CMC):スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)の質量比が、100:1.5:2.5となるようにこれらを混合したこと、圧延ローラにより塗膜を圧延する際の線圧を200kg/cmに変更したこと以外は、実施例1と同様の条件とした。作製した負極における黒鉛粒子の内部空隙率は実施例1と同様であり、負極活物質層の粒子間空隙率は11%であった。上記作製した負極を用いたこと以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
<実施例5>
負極の作製において、負極活物質:カルボキシメチルセルロース(CMC):スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)の質量比が、100:1.5:2.5となるようにこれらを混合したこと、圧延ローラにより塗膜を圧延する際の線圧を120kg/cmに変更したこと以外は、実施例1と同様の条件とした。作製した負極における黒鉛粒子の内部空隙率は実施例1と同様であり、負極活物質層の粒子間空隙率は18%であった。上記作製した負極を用いたこと以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
<実施例6>
負極の作製において、負極活物質:カルボキシメチルセルロース(CMC):スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)の質量比が、100:1.5:3.0となるようにこれらを混合したこと、圧延ローラにより塗膜を圧延する際の線圧を160kg/cmに変更したこと以外は、実施例1と同様の条件とした。作製した負極における黒鉛粒子の内部空隙率は実施例1と同様であり、負極活物質層の粒子間空隙率は15%であった。上記作製した負極を用いたこと以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
<実施例7>
負極活物質の作製において、粉砕後のコークスの平均粒径(メジアン径D50)を15μmに変更したこと以外は実施例1と同様の条件とした。そして、上記作製した負極活物質を用いたこと、負極活物質:カルボキシメチルセルロース(CMC):スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)の質量比が、100:1.5:2.5となるようにこれらを混合したこと以外は、実施例1と同様に負極を作製し、また、非水電解質二次電池を作製した。作製した負極における黒鉛粒子の内部空隙率は1%であり、負極活物質層の粒子間空隙率は実施例1と同様であった。
<実施例8>
負極活物質の作製において、粉砕後のコークスの平均粒径(メジアン径D50)を10μmに変更したこと以外は実施例1と同様の条件とした。そして、上記作製した負極活物質を用いたこと、負極活物質:カルボキシメチルセルロース(CMC):スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)の質量比が、100:1.5:2.5となるようにこれらを混合したこと以外は、実施例1と同様に負極を作製し、また、非水電解質二次電池を作製した。作製した負極における黒鉛粒子の内部空隙率は5%であり、負極活物質層の粒子間空隙率は実施例1と同様であった。
<比較例1>
負極の作製において、実施例7で作製した負極活物質を用いたこと、負極活物質:カルボキシメチルセルロース(CMC):スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)の質量比が、100:1.5:1.0となるようにこれらを混合したこと以外は、実施例1と同様の条件とした。作製した負極における黒鉛粒子の内部空隙率は1%であり、負極活物質層の粒子間空隙率は実施例1と同様であった。上記作製した負極を用いたこと以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
<比較例2>
負極の作製において、負極活物質:カルボキシメチルセルロース(CMC):スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)の質量比が、100:1.5:1.0となるようにこれらを混合したこと以外は、実施例1と同様の条件とした。作製した負極における黒鉛粒子の内部空隙率及び負極活物質層の粒子間空隙率は実施例1と同様であった。上記作製した負極を用いたこと以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
<比較例3>
負極の作製において、実施例8で作製した負極活物質を用いたこと、負極活物質:カルボキシメチルセルロース(CMC):スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)の質量比が、100:1.5:1.0となるようにこれらを混合したこと以外は、実施例1と同様の条件とした。作製した負極における黒鉛粒子の内部空隙率は5%であり、負極活物質層の粒子間空隙率は実施例1と同様であった。上記作製した負極を用いたこと以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
<比較例4>
[負極活物質の作製]
コークスを平均粒径(メジアン径D50)が5μmとなるまで粉砕し、粉砕したコークスに結着材としてのピッチを添加して凝集させた後、さらに等方的な圧力で1.6g/cm~1.9g/cmの密度を有するブロック状の成形体とした。このブロック状の成形体を2800℃の温度で焼成して黒鉛化した後、ブロック状の成形体を粉砕し、250メッシュの篩いを用いて、篩い分けを行い、平均粒径(メジアン径D50)が23μmの黒鉛粒子を得た。これを比較例4の負極活物質とした。
負極の作製において、比較例4の負極活物質:カルボキシメチルセルロース(CMC):スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)の質量比が、100:1.5:1.0となるようにこれらを混合したこと、圧延ローラにより塗膜を圧延する際の線圧を120kg/cmに変更したこと以外は、実施例1と同様の条件とした。作製した負極における黒鉛粒子の内部空隙率は10%であり、負極活物質層の粒子間空隙率は8%であった。上記作製した負極を用いたこと以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
<比較例5>
負極の作製において、比較例4で作製した負極活物質を用いたこと、圧延ローラにより塗膜を圧延する際の線圧を120kg/cmに変更したこと以外は、実施例1と同様の条件とした。作製した負極における黒鉛粒子の内部空隙率は10%であり、負極活物質層の粒子間空隙率は8%であった。上記作製した負極を用いたこと以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
<比較例6>
負極の作製において、比較例4で作製した負極活物質を用いたこと、負極活物質:カルボキシメチルセルロース(CMC):スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)の質量比が、100:1.5:2.0となるようにこれらを混合したこと、圧延ローラにより塗膜を圧延する際の線圧を120kg/cmに変更したこと以外は、実施例1と同様の条件とした。作製した負極における黒鉛粒子の内部空隙率は10%であり、負極活物質層の粒子間空隙率は8%であった。上記作製した負極を用いたこと以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
<比較例7>
負極活物質の作製において、ピッチの量を変更したこと以外は、比較例4と同様の条件とした。そして、上記作製した負極活物質を用いたこと、負極活物質:カルボキシメチルセルロース(CMC):スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)の質量比が、100:1.5:1.0となるようにこれらを混合したこと、圧延ローラにより塗膜を圧延する際の線圧を120kg/cmに変更したこと以外は、実施例1と同様に負極を作製し、また、非水電解質二次電池を作製した。作製した負極における黒鉛粒子の内部空隙率は15%であり、負極活物質層の粒子間空隙率は8%であった。
<比較例8>
負極の作製において、比較例7で作製した負極活物質を用いたこと、圧延ローラにより塗膜を圧延する際の線圧を120kg/cmに変更したこと以外は、実施例1と同様の条件とした。作製した負極における黒鉛粒子の内部空隙率は15%であり、負極活物質層の粒子間空隙率は8%であった。上記作製した負極を用いたこと以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
<比較例9>
負極の作製において、負極活物質:カルボキシメチルセルロース(CMC):スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)の質量比が、100:1.5:2.0となるようにこれらを混合したこと、圧延ローラにより塗膜を圧延する際の線圧を350kg/cmに変更したこと以外は、実施例1と同様の条件とした。作製した負極における黒鉛粒子の内部空隙率は実施例1と同様であり、負極活物質層の粒子間空隙率は8%であった。上記作製した負極を用いたこと以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
<比較例10>
負極の作製において、負極活物質:カルボキシメチルセルロース(CMC):スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)の質量比が、100:1.5:2.0となるようにこれらを混合したこと、圧延ローラにより塗膜を圧延する際の線圧を50kg/cmに変更したこと以外は、実施例1と同様の条件とした。作製した負極における黒鉛粒子の内部空隙率は実施例1と同様であり、負極活物質層の粒子間空隙率は25%であった。上記作製した負極を用いたこと以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
<比較例11>
負極の作製において、負極活物質:カルボキシメチルセルロース(CMC):スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)の質量比が、100:1.5:3.5となるようにこれらを混合したこと以外は、実施例1と同様の条件とした。作製した負極における黒鉛粒子の内部空隙率及び負極活物質層の粒子間空隙率は実施例1と同様であった。上記作製した負極を用いたこと以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
[充放電サイクルにおける容量維持率の測定]
環境温度25℃の下、各実施例及び各比較例の非水電解質二次電池を、定電流充電(電流1It=800mA、終止電圧4.2V)した後、定電圧充電(電圧4.2V、終止電流40mA)した。その後、電流値800mAで、終止電圧2.5Vまで放電した。この充放電を1サイクルとして、1000サイクル行った。そして、以下の式により、各実施例及び各比較例の非水電解質二次電池の充放電サイクルにおける容量維持率を求めた。
容量維持率=(1000サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100
表1に、各実施例及び各比較例の非水電解質二次電池の充放電サイクルにおける容量維持率の結果をまとめた。なお、この容量維持率の値が高いほど、充放電サイクル特性の低下が抑制されたことを示している。
Figure 0007336736000001
表1から分かるように、実施例1~8の非水電解質二次電池はいずれも、比較例1~11の非水電解質二次電池と比べて、充放電サイクルにおける容量維持率が高い値を示した。したがって、負極活物質層に含まれる黒鉛粒子の内部空隙率が1~5%であり、当該負極活物質層の粒子間空隙率が10%~20%であり、負極活物質層に含まれるSBR成分の含有量が1.5質量%~3質量%である非水電解質二次電池によれば、充放電サイクル特性の低下を抑制することが可能である。
10 非水電解質二次電池、11 正極、12 負極、13 セパレータ、14 電極体、15 電池ケース、16 ケース本体、17 封口体、18,19 絶縁板、20 正極リード、21 負極リード、22 張り出し部、23 フィルタ、24 下弁体、25 絶縁部材、26 上弁体、27 キャップ、28 ガスケット、30 黒鉛粒子、32 粒子間空隙、34 内部空隙、36 外部空隙。

Claims (1)

  1. 負極活物質層を有する負極を備え、
    前記負極活物質層は、黒鉛粒子を含む負極活物質と、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム及びその変性体のうち少なくとも1つから選択されるSBR成分と、を含み、
    前記黒鉛粒子の内部空隙率は1%~5%であり、前記負極活物質層の粒子間空隙率は10%~20%であり、前記SBR成分の含有量は、前記負極活物質の質量に対して、1.5質量%~3質量%であり、前記負極活物質の飽和タップ密度は、0.8g/cm ~1.2g/cm である、非水電解質二次電池。
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