JP7335678B2 - 熱伝導性付加硬化型シリコーン組成物及びその硬化物 - Google Patents
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Description
(A)1分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和炭化水素基を有し、25℃での動粘度が60~100,000mm2/sであるオルガノポリシロキサン
(B)銀粉末:組成物中、10~98質量%となる量、
(C)アルカリ土類金属過酸化物、またはアルカリ金属過酸化物:組成物中、0.03~10質量%となる量、
(D)1分子中に2個以上のケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A)成分中の脂肪族不飽和炭化水素基の個数の合計に対する(D)成分中のSiH基の個数の合計が0.5~5となる量、
(E)白金族金属触媒:有効量
を含む、熱伝導性付加硬化型シリコーン組成物。
[2]
(B)成分の平均粒径が0.01~300μmである、[1]に記載の熱伝導性付加硬化型シリコーン組成物。
[3]
(C)成分がアルカリ土類金属過酸化物である、[1]または[2]に記載の熱伝導性付加硬化型シリコーン組成物。
[4]
(C)成分が過酸化カルシウムである、[1]~[3]のいずれか1つに記載の熱伝導性付加硬化型シリコーン組成物。
[5]
さらに、(F)成分として、アセチレン化合物、窒素化合物、有機リン化合物、オキシム化合物及び有機クロロ化合物からなる群より選択される1種以上の付加硬化反応制御剤を有効量含有する、[1]~[4]のいずれか1つに記載の熱伝導性付加硬化型シリコーン組成物。
[6]
[1]~[5]のいずれか1つに記載の熱伝導性付加硬化型シリコーン組成物の硬化物。
(A)成分は、1分子中に少なくとも2個、好ましくは2~100個、より好ましくは2~50個の脂肪族不飽和炭化水素基を有し、25℃での動粘度が60~100,000mm2/sであるオルガノポリシロキサンである。
本発明において、動粘度は、ウベローデ型オストワルド粘度計により測定した25℃における値である(以下、同じ)。
(A)成分は、本発明の組成物中、1.5~90質量%含有することが好ましく、2~20質量%含有することがより好ましい。
(B)成分は銀粉末である。銀粉末の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば電解法、粉砕法、熱処理法、アトマイズ法、還元法等が挙げられる。また、その形状は、フレーク状、球状、粒状、不定形状、樹枝状、針状等、特に限定されるものではない。
(B)成分の平均粒径は、0.01μmより小さいと、得られる組成物の粘度が高くなりすぎ、伸展性の乏しいものとなるおそれがあり、300μmより大きいと、得られる組成物が不均一となるおそれがあるため、0.01~300μmの範囲が好ましく、0.1~100μmの範囲がより好ましく、1~50μmの範囲が特に好ましい。なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における体積基準の平均値(又はメジアン径)として求めた値である。
(B)成分の配合量は、本発明の組成物中、10~98質量%であり、70~97質量%が好ましく、80~95質量%がより好ましい。該配合量が、98質量%より多いと、組成物の粘度増加が著しく、作業性が低下するおそれがあり、10質量%より少ないと熱伝導性に乏しいものとなるおそれがある。
(C)成分はアルカリ土類金属過酸化物、またはアルカリ金属過酸化物であり、本発明の組成物の硬化性を向上させるための助触媒として作用する。
(D)成分は、ケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を1分子中に2個以上、好ましくは2~100個、より好ましくは2~50個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。該オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、分子中のSiH基が、上述した(A)成分の脂肪族不飽和炭化水素基と、後述する白金族金属触媒((E)成分)の存在下で付加反応し、架橋構造を形成できるものであればよい。
該オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、25℃での動粘度が、好ましくは1~1,000mm2/s、より好ましくは10~300mm2/sである。前記動粘度が1mm2/s以上であれば、シリコーン組成物の物理的特性が低下するおそれがなく、1,000mm2/s以下であれば、シリコーン組成物の伸展性が乏しいものとなるおそれがない。
(D)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、(A)成分中の脂肪族不飽和炭化水素基の個数の合計に対する(D)成分中のSiH基の個数の合計が0.5~5となる量、好ましくは0.7~4.5となる量、より好ましくは1~4となる量である。(D)成分の量が上記下限値未満では付加反応が十分に進行せず、架橋が不十分となる。また、上記上限値超では、架橋構造が不均一となったり、組成物の保存性が著しく悪化する場合がある。
(E)成分は白金族金属触媒であり、上述した(A)成分と(D)成分との付加反応を促進するために作用する。白金族金属触媒は、付加反応に用いられる従来公知のものを使用することができる。該白金族金属触媒としては、例えば、白金系、パラジウム系、ロジウム系の触媒が挙げられるが、中でも比較的入手しやすい白金又は白金化合物が好ましい。白金又は白金化合物としては、例えば、白金の単体、白金黒、塩化白金酸、白金-オレフィン錯体、白金-アルコール錯体、白金配位化合物等が挙げられる。
白金族金属触媒は1種単独でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(F)成分は室温でのヒドロシリル化反応の進行を抑える反応制御剤であり、シェルフライフ、ポットライフを延長させるために添加するものである。該反応制御剤は、付加硬化型シリコーン組成物に使用される従来公知の反応制御剤を使用することができる。該反応制御剤としては、例えば、アセチレンアルコール類(例えば、エチニルメチルデシルカルビノール、1-エチニル-1-シクロヘキサノール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール)等のアセチレン化合物、トリブチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾール等の各種窒素化合物、トリフェニルホスフィン等の有機リン化合物、オキシム化合物、有機クロロ化合物等が挙げられる。
本発明の熱伝導性付加硬化型シリコーン組成物は、組成物の強度や粘度を調整するためにメチルポリシロキサン等の反応性を有さないオルガノ(ポリ)シロキサンを含有してもよい。
さらに、銀以外の従来公知の熱伝導性充填剤を1種以上併用してもよい。
さらに、熱伝導性充填剤の充填性を向上する目的や、組成物に接着性を付与する目的で、加水分解性オルガノポリシロキサンや各種変成シリコーン、加水分解性オルガノシランを配合してもよい。
さらに、組成物の粘度を調整するための溶剤を配合してもよい。
さらに、シリコーン組成物の劣化を防ぐために、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール等の、従来公知の酸化防止剤を必要に応じて含有してもよい。
さらに、染料、顔料、難燃剤、沈降防止剤、又はチクソ性向上剤等を、必要に応じて配合することもできる。
本発明のシリコーン組成物の製造方法について説明する。本発明のシリコーン組成物の製造方法は特に限定されず、従来公知の製造方法を利用することができる。
上述した(A)~(D)成分、及び必要により(E)成分やその他成分を、例えば、トリミックス、ツウィンミックス、プラネタリーミキサー(いずれも(株)井上製作所製混合機の登録商標)、ウルトラミキサー(みずほ工業(株)製混合機の登録商標)、ハイビスミックス(プライミクス株式会社製混合機の登録商標)等の混合機等を用いて、25℃で通常3分~24時間、好ましくは5分~12時間、特に好ましくは10分~6時間混合する方法が挙げられる。また混合時に脱気を行ってもよく、40~170℃の範囲で加熱しながら混合してもよい。
熱伝導性付加硬化型シリコーン組成物の調製
下記(A)~(F)成分を、下記表1~3に示す配合量で、下記に示す方法で配合して熱伝導性付加硬化型シリコーン組成物を調製した。
すなわち、0.3リットルのハイビスミックス(プライミクス株式会社製)に、(A)及び(B)成分を加え、25℃で1時間混合した。次に(F)、(E)、(D)及び(C)成分を加え、均一になるように混合し、各シリコーン組成物を調製した。
得られた各シリコーン組成物について、下記の方法に従い、粘度、熱伝導率を測定するとともに、硬化物の状態を確認した。結果を表1~3に示す。
なお、下記表1~3において(E)成分の質量は、白金-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体をジメチルポリシロキサンに溶解した溶液(白金原子含有量:1質量%)の質量である。また、SiH/SiViは(A)成分中のアルケニル基の個数の合計に対する(D)成分中のSiH基の個数の合計の比である。
A-1:両末端がジメチルビニルシリル基で封鎖され、25℃における動粘度が600mm2/sのジメチルポリシロキサン
A-2:両末端がジメチルビニルシリル基で封鎖され、25℃における動粘度が30,000mm2/sのジメチルポリシロキサン
B-1:平均粒径4μmのフレーク状銀粉末
B-2:平均粒径3μmのフレーク状銀粉末
B-3:平均粒径15μmのフレーク状銀粉末
B-4:平均粒径3μmの球状銀粉末
C-1:過酸化カルシウム(シグマアルドリッチ製、純度75%)
E-1:白金-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を上記A-1と同じジメチルポリシロキサンに溶解した溶液(白金原子含有量:1質量%)
各シリコーン組成物の絶対粘度を、マルコム粘度計(タイプPC-1T)を用いて25℃で測定した(ロータAで10rpm、ズリ速度6[1/s])。
φ12.7mmの2枚のアルミニウム板の間に各シリコーン組成物を挟み込み、0.14MPaの圧力を掛けた状態で150℃で1時間加熱硬化させ、熱抵抗測定用の試験片を作製し、シリコーン組成物の熱抵抗を測定した。さらに、試験片の厚みをマイクロゲージにて測定し、あらかじめ測定しておいたアルミニウム板の厚さとの差分からシリコーン組成物の厚さを算出した。その後、下記式からシリコーン組成物の熱伝導率を導出した。
(シリコーン組成物の厚さ[μm])÷(シリコーン組成物の熱抵抗値[mm2・K/W])
なお、熱抵抗測定には、ナノフラッシュ(ニッチェ社製、LFA447)を用いた。
直径2.5cmの2枚のパラレルプレートの間に、未硬化の各シリコーン組成物を厚み2mmで塗布した。塗布したプレートを25℃から150℃まで5℃/分で昇温した後、150℃で1時間保持した後に25℃まで冷却し、ゴム状に硬化/未硬化で液状のまま、いずれであるかを指触で判断した。なお硬化物の作製には、粘弾性測定装置(ARES-G2:ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いた。
Claims (5)
- (A)1分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和炭化水素基を有し、25℃での動粘度が60~100,000mm2/sであるオルガノポリシロキサン
(B)銀粉末:組成物中、10~98質量%となる量、
(C)アルカリ土類金属過酸化物:組成物中、0.03~10質量%となる量、
(D)1分子中に2個以上のケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A)成分中の脂肪族不飽和炭化水素基の個数の合計に対する(D)成分中のSiH基の個数の合計が0.5~5となる量、
(E)白金族金属触媒:有効量
を含む、熱伝導性付加硬化型シリコーン組成物。 - (B)成分の平均粒径が0.01~300μmである、請求項1に記載の熱伝導性付加硬化型シリコーン組成物。
- (C)成分が過酸化カルシウムである、請求項1または2に記載の熱伝導性付加硬化型シリコーン組成物。
- さらに、(F)成分として、アセチレン化合物、窒素化合物、有機リン化合物、オキシム化合物及び有機クロロ化合物からなる群より選択される1種以上の付加硬化反応制御剤を有効量含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の熱伝導性付加硬化型シリコーン組成物。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の熱伝導性付加硬化型シリコーン組成物の硬化物。
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