JP7386197B2 - 電磁弁 - Google Patents

Description

本発明は、電磁弁に関する。

電磁弁としては、例えば特許文献１に記載されているものが知られている。このような電磁弁は、ボディに形成された流路を切り換える弁体と、弁体を移動させるソレノイド部と、を備えている。ソレノイド部は、コイルと、コイルが巻装された筒状のボビンと、ボビンの内側に配置される固定鉄心と、コイルに電力が供給されることで固定鉄心に発生する吸引力により固定鉄心に吸着される可動鉄心と、可動鉄心を固定鉄心から離間する方向へ付勢する付勢ばねと、を有している。さらに、ソレノイド部は、ボビンよりも外側に位置するとともにコイルの周囲で固定鉄心及び可動鉄心と協働して磁路を形成する磁気フレームと、磁気フレーム、ボビン、及びコイルを一体化するモールド樹脂と、を有している。

実開平６－２６２１号公報

ところで、このような電磁弁のように、モールド樹脂によって、磁気フレーム、ボビン、及びコイルが一体化されている構成においては、例えば、金型内に磁気フレーム、ボビン、及びコイルを配置した状態で、金型内に樹脂を充填する射出成型が行われる。このとき、金型内での磁気フレームの位置決めが不安定であると、金型内での樹脂の成型圧によって、磁気フレームの位置が予め定められた位置からずれてしまう虞がある。すると、磁気フレームが、ボビン及びコイルに対して予め定められた位置からずれた状態で、モールド樹脂により一体化されることになるため、コイルの周囲で固定鉄心及び可動鉄心と協働して形成される磁路が不安定となって、磁気効率が低下してしまう虞がある。磁気効率が低下すると、固定鉄心において高い吸引力を得ることが困難となる。

上記課題を解決する電磁弁は、ボディに形成された流路を切り換える弁体と、前記弁体を移動させるソレノイド部と、を備え、前記ソレノイド部は、コイルと、前記コイルが巻装された筒状のボビンと、前記ボビンの内側に配置される固定鉄心と、前記コイルに電力が供給されることで前記固定鉄心に発生する吸引力により前記固定鉄心に吸着される可動鉄心と、前記可動鉄心を前記固定鉄心から離間する方向へ付勢する付勢ばねと、前記ボビンよりも外側に位置するとともに前記コイルの周囲で前記固定鉄心及び前記可動鉄心と協働して磁路を形成する磁気フレームと、前記磁気フレーム、前記ボビン、及び前記コイルを一体化するモールド樹脂と、を有する電磁弁であって、前記磁気フレームは、前記ボビンに対して前記ボビンの軸方向で隣り合うフレーム端壁と、前記フレーム端壁の外周部から前記ボビンの外側で前記ボビンの軸方向に延びる一対のフレーム腕部と、前記フレーム端壁を貫通するとともに前記固定鉄心が螺合される雌ねじ孔と、を有し、前記フレーム端壁における前記ボビンとは反対側の端面には、前記雌ねじ孔の一部を形成する筒状の突出部が突出しており、前記モールド樹脂は、前記フレーム端壁を被覆するモールド端壁と、前記モールド端壁の外周部から前記一対のフレーム腕部に沿って延びて、前記一対のフレーム腕部、前記ボビン、及び前記コイルを一体化するモールド周壁と、を有し、前記モールド端壁には、前記雌ねじ孔に連通する連通孔が形成されており、前記連通孔の内周面には、前記突出部の外周面に沿って延びる溝が形成されている。

上記電磁弁において、前記連通孔の内周面には、前記溝が２つ形成されており、前記突出部の外周面は、互いに平行に延びる一対の平坦面を有し、前記各溝は、前記各平坦面に沿ってそれぞれ延びているとよい。

上記電磁弁において、前記各平坦面は、前記突出部の軸線を挟んだ対角線上にそれぞれ配置されているとよい。
上記電磁弁において、前記一対のフレーム腕部は、前記雌ねじ孔の軸線に対して対称形状であるとよい。

上記電磁弁において、前記ボビンにおける前記フレーム端壁側の端面には、端子保持部が一対突出しており、前記一対の端子保持部は、前記雌ねじ孔の軸線を挟んだ対角線上で前記フレーム端壁にそれぞれ係合しているとよい。

上記電磁弁において、前記連通孔の内側には、接着剤が充填されているとよい。
上記電磁弁において、前記突出部の先端面は、前記連通孔の内側に位置しているとよい。

この発明によれば、磁気効率を向上させ、固定鉄心において高い吸引力を得ることができる。

実施形態における電磁弁の断面図。 ソレノイド部の一部を示す斜視図。 磁気フレームの斜視図。 ソレノイド部の正面図。 モールド樹脂を射出成型する手順を説明するための断面図。 モールド樹脂を射出成型する手順を説明するための断面図。 モールド樹脂を射出成型する手順を説明するための断面図。

以下、電磁弁を具体化した一実施形態を図１～図７にしたがって説明する。
図１に示すように、電磁弁１０は、矩形ブロック状のボディ１１を備えている。ボディ１１は、非磁性材製である。ボディ１１は、例えば、合成樹脂材料製である。また、電磁弁１０は、ボディ１１に形成された流路を切り換えるための弁体１２と、弁体１２を移動させるソレノイド部３０と、を備えている。

ボディ１１の一側面には、供給ポート１３、出力ポート１４、及び排出ポート１５が形成されている。供給ポート１３には、図示しない配管を介して図示しない正圧供給源が接続されている。出力ポート１４には、図示しない配管を介して図示しない空気圧機器が接続されている。排出ポート１５は、図示しない配管を介して外部に接続されている。

ボディ１１の第１端面１１ａには、第１凹部１６が形成されている。第１凹部１６は、円孔状である。また、ボディ１１の第２端面１１ｂには、第２凹部１７が形成されている。第２凹部１７は、円孔状である。第２凹部１７の軸線は、第１凹部１６の軸線に一致している。

ボディ１１の第１端面１１ａには、プラグ１８が取り付けられている。プラグ１８は、平板状の取付部１８ａと、円筒状の筒部１８ｂと、を有している。筒部１８ｂは、取付部１８ａの中央部から突出している。筒部１８ｂは、第１凹部１６内に挿入されている。取付部１８ａは、ボディ１１の第１端面１１ａに取り付けられている。そして、第１凹部１６とプラグ１８の筒部１８ｂとによって弁室１９が区画されている。プラグ１８とボディ１１との間は、シール部２０によってシールされている。

弁体１２は、弁室１９内に収容されている。また、弁室１９内には、弁ガイド２１が収容されている。弁ガイド２１は、弁体１２の周囲に配置されて弁体１２をガイドする。弁ガイド２１は、有底筒状である。弁ガイド２１は、一対の延在片２２を有している。一対の延在片２２は、弁ガイド２１における第１凹部１６の底面側の端面からそれぞれ突出している。一対の延在片２２は、ボディ１１を貫通して、第２凹部１７内に突出している。なお、図１では、図示の都合上、一対の延在片２２のうちの一方のみを図示している。

電磁弁１０は、供給通路２３、出力通路２４、及び排出通路２５を有している。供給通路２３は、プラグ１８の筒部１８ｂ及びボディ１１を貫通するとともに供給ポート１３と弁室１９とを連通している。供給通路２３における弁室１９側の端部は、プラグ１８の筒部１８ｂの先端面に開口している。出力通路２４は、ボディ１１を貫通するとともに出力ポート１４と弁室１９とを連通している。出力通路２４における弁室１９側の端部は、第１凹部１６の内周面に開口している。排出通路２５は、ボディ１１を貫通するとともに排出ポート１５と弁室１９とを連通している。排出通路２５における弁室１９側の端部は、第１凹部１６の底面に開口している。

プラグ１８は、供給弁座２６を有している。供給弁座２６は、プラグ１８の筒部１８ｂの先端面における供給通路２３の弁室１９への開口周囲に形成されている。供給弁座２６には、弁体１２が着座可能である。ボディ１１は、排出弁座２７を有している。排出弁座２７は、ボディ１１の第１凹部１６の底面における排出通路２５の弁室１９への開口周囲に形成されている。排出弁座２７には、弁体１２が着座可能である。弁体１２は、供給弁座２６及び排出弁座２７に対してそれぞれ接離可能になっている。弁体１２は、弁ガイド２１と一体的に移動する。

電磁弁１０は、弁体ばね２８を備えている。弁体ばね２８は、弁室１９内に収容されている。弁体ばね２８は、弁室１９内において、弁体１２とプラグ１８との間に介在されている。弁体ばね２８は、弁体１２を排出弁座２７に向けて付勢する。

ソレノイド部３０は、コイル３１と、ボビン３２と、固定鉄心３３と、可動鉄心３４と、付勢ばね３５と、磁気フレーム３６と、モールド樹脂３７と、磁性部材３８と、を有している。

ボビン３２は、円筒状である。ボビン３２は、樹脂材料製である。ボビン３２には、コイル３１が巻装されている。固定鉄心３３は、磁性材製である。固定鉄心３３は、円柱状である。固定鉄心３３は、軸部３３ａと、雄ねじ部３３ｂと、を有している。軸部３３ａは、ボビン３２の内側におけるボビン３２の軸方向の第１端部寄りに配置されている。軸部３３ａの軸線は、ボビン３２の軸線に一致している。雄ねじ部３３ｂは、軸部３３ａの第１端部に連続している。雄ねじ部３３ｂは、ボビン３２の第１端部から突出している。

可動鉄心３４は、磁性材製である。可動鉄心３４は、円柱状である。可動鉄心３４は、ボビン３２の第２端部側からボビン３２の内側に挿入されている。可動鉄心３４の軸線は、ボビン３２の軸線に一致している。可動鉄心３４は、ボビン３２の軸方向で固定鉄心３３と隣り合っている。可動鉄心３４における固定鉄心３３とは反対側の端部は、ボビン３２の第２端部から突出している。可動鉄心３４は、鍔部３４ａを有している。鍔部３４ａは、可動鉄心３４の外周面における固定鉄心３３と反対側の端部から外方へ突出している。

図１及び図２に示すように、磁気フレーム３６は、フレーム端壁３６ａと、一対のフレーム腕部３６ｂと、を有している。フレーム端壁３６ａは、四角平板状である。フレーム端壁３６ａは、ボビン３２の第１端部に対してボビン３２の軸方向で隣り合っている。磁気フレーム３６は、フレーム端壁３６ａの厚み方向がボビン３２の軸方向に一致した状態でボビン３２に対して配置されている。

フレーム端壁３６ａにおけるボビン３２とは反対側の端面には、円筒状の突出部４０が突出している。突出部４０の外周面は、互いに平行に延びる一対の平坦面４０ａを有している。各平坦面４０ａは、突出部４０の軸線を挟んだ対角線上にそれぞれ配置されている。また、磁気フレーム３６は、雌ねじ孔４１を有している、雌ねじ孔４１は、フレーム端壁３６ａを厚み方向に貫通している。突出部４０は、雌ねじ孔４１の一部を形成している。雌ねじ孔４１の内側とボビン３２の内側とは連通している。雌ねじ孔４１の軸線は、ボビン３２の軸線に一致している。雌ねじ孔４１には、固定鉄心３３の雄ねじ部３３ｂが螺合されている。固定鉄心３３は、軸部３３ａが雌ねじ孔４１を介してボビン３２の内側に挿入されるとともに雄ねじ部３３ｂが雌ねじ孔４１に螺合されることにより磁気フレーム３６に固定されている。

図２及び図３に示すように、フレーム端壁３６ａは、一対の切欠部４２を有している。各切欠部４２は、フレーム端壁３６ａにおける４つの角部のうち、雌ねじ孔４１の軸線を挟んだ対角線上に位置する２つの角部にそれぞれ形成されている。したがって、一対の切欠部４２は、雌ねじ孔４１の軸線を挟んだ対角線上に位置している。

一対のフレーム腕部３６ｂは、薄板平板状である。一対のフレーム腕部３６ｂは、フレーム端壁３６ａの外周部から互いに平行に延びている。各フレーム腕部３６ｂの厚み方向はそれぞれ一致している。各フレーム腕部３６ｂの厚み方向は、フレーム端壁３６ａの厚み方向に対して直交する方向に一致している。各フレーム腕部３６ｂは、フレーム端壁３６ａにおける４つの外周縁のうち、雌ねじ孔４１を挟んだ両側に位置する外周縁それぞれから延びている。そして、一対のフレーム腕部３６ｂは、フレーム端壁３６ａの外周部からボビン３２の外側でボビン３２の軸方向に延びている。したがって、磁気フレーム３６は、ボビン３２よりも外側に位置している。図３に示すように、一対のフレーム腕部３６ｂは、雌ねじ孔４１の軸線に対して対称形状である。

図２に示すように、ボビン３２におけるフレーム端壁３６ａ側の端面には、端子保持部３２ａが一対突出している。各端子保持部３２ａは、ボビン３２に一体形成されている。各端子保持部３２ａは、各切欠部４２にそれぞれ係合されている。したがって、一対の端子保持部３２ａは、雌ねじ孔４１の軸線を挟んだ対角線上でフレーム端壁３６ａにそれぞれ係合している。各端子保持部３２ａの先端面は、フレーム端壁３６ａにおけるボビン３２とは反対側の端面よりも突出している。各端子保持部３２ａからは端子４３がそれぞれ突出している。各端子４３は、コイル３１に電気的に接続されている。

図１に示すように、モールド樹脂３７は、四角ブロック状である。モールド樹脂３７は、例えば、熱可塑性樹脂である。モールド樹脂３７は、モールド端壁３７ａと、モールド周壁３７ｂと、を有している。モールド端壁３７ａは、フレーム端壁３６ａを被覆する。モールド端壁３７ａは、フレーム端壁３６ａにおけるボビン３２とは反対側の端面を覆っている。各端子４３は、モールド端壁３７ａを貫通してモールド端壁３７ａから突出している。

モールド端壁３７ａには、連通孔５０が形成されている。連通孔５０は、円孔状である。連通孔５０は、雌ねじ孔４１に連通している。連通孔５０の軸線は、雌ねじ孔４１の軸線に一致している。連通孔５０の孔径は、突出部４０の外径よりも大きい。連通孔５０の内周面は、突出部４０の外周面に沿って延びている。突出部４０の先端面は、連通孔５０の内側に位置している。

図４に示すように、連通孔５０の内周面には、溝５１が２つ形成されている。各溝５１は、突出部４０の各平坦面４０ａに沿ってそれぞれ延びている。各溝５１の周方向の長さはそれぞれ同じである。各溝５１は、連通孔５０の軸線を挟んだ対角線上にそれぞれ配置されている。連通孔５０の内側には、接着剤５２が充填されている。連通孔５０の内側に充填された接着剤５２の一部は、各溝５１に充填されている。そして、モールド樹脂３７と突出部４０の外周面の一部分とは、各溝５１に充填された接着剤５２によって互いに接着されている。これにより、磁気フレーム３６が雌ねじ孔４１の軸線を回転中心として回転してしまうことが抑制されている。

図１に示すように、モールド周壁３７ｂは、モールド端壁３７ａの外周部から一対のフレーム腕部３６ｂに沿って延びている。モールド周壁３７ｂの一部分は、各フレーム腕部３６ｂそれぞれの外面に沿って延びている。一対のフレーム腕部３６ｂにおけるフレーム端壁３６ａとは反対側に位置する端面は、モールド周壁３７ｂにおけるモールド端壁３７ａとは反対側の端面から突出している。モールド周壁３７ｂは、コイル３１全体及びボビン３２をボビン３２の径方向外側から覆っている。したがって、モールド周壁３７ｂの一部分は、各フレーム腕部３６ｂとコイル３１との間、及び各フレーム腕部３６ｂとボビン３２との間に位置している。そして、モールド周壁３７ｂは、一対のフレーム腕部３６ｂ、ボビン３２、及びコイル３１を一体化している。したがって、モールド樹脂３７は、磁気フレーム３６、ボビン３２、及びコイル３１を一体化している。

磁性部材３８は、四角平板状である。磁性部材３８には、貫通孔３８ａが形成されている。貫通孔３８ａは、磁性部材３８を厚み方向に貫通している。磁性部材３８は、ボビン３２の第２端部に対してボビン３２の軸方向で隣り合っている。磁性部材３８は、一対のフレーム腕部３６ｂにおけるフレーム端壁３６ａとは反対側の端部の内側に配置されている。可動鉄心３４は、貫通孔３８ａの内側を通過している。

付勢ばね３５は、磁性部材３８と可動鉄心３４の鍔部３４ａとの間に介在されている。付勢ばね３５の一端は、磁性部材３８に支持されるとともに、付勢ばね３５の他端は、可動鉄心３４の鍔部３４ａに支持されている。付勢ばね３５は、可動鉄心３４を固定鉄心３３から離間する方向へ付勢する。付勢ばね３５の付勢力は、弁体ばね２８の付勢力よりも大きい。

ソレノイド部３０は、可動鉄心３４における固定鉄心３３とは反対側の端部が、第２凹部１７内に突出するように、モールド樹脂３７がボディ１１に連結されることにより、ボディ１１に対して配置されている。弁体１２の一対の延在片２２は、可動鉄心３４における固定鉄心３３とは反対側の端面に当接している。

モールド樹脂３７におけるボディ１１とは反対側の端部には、電源ユニット６０が連結されている。電源ユニット６０とモールド樹脂３７との間は、環状のシール部材６１によってシールされている。電源ユニット６０は、回路基板６２を有している。各端子４３は、回路基板６２に電気的に接続されている。そして、回路基板６２から端子４３を介してコイル３１に電力が供給されることにより、コイル３１が励磁され、コイル３１の周囲に、固定鉄心３３、磁気フレーム３６、磁性部材３８、及び可動鉄心３４の順に通過する磁束が発生する。したがって、磁気フレーム３６は、コイル３１の周囲で固定鉄心３３及び可動鉄心３４と協働して磁路を形成する。

コイル３１に電力が供給されてコイル３１が励磁され、コイル３１の周囲に磁束が発生すると、コイル３１の励磁作用によって固定鉄心３３に吸引力が発生し、可動鉄心３４が付勢ばね３５の付勢力に抗して固定鉄心３３に吸着される。したがって、可動鉄心３４は、コイル３１に電力が供給されることで固定鉄心３３に発生する吸引力により固定鉄心３３に吸着される。そして、弁体１２が弁体ばね２８の付勢力によって供給弁座２６から離間する方向へ移動するとともに、排出弁座２７に着座する。これにより、供給通路２３が開放されるとともに排出通路２５が閉鎖され、供給ポート１３と出力ポート１４とが供給通路２３、弁室１９及び出力通路２４を介して連通し、出力通路２４、弁室１９及び排出通路２５を介した出力ポート１４と排出ポート１５との連通が遮断される。

一方で、コイル３１への電力の供給が停止されると、コイル３１の励磁作用による固定鉄心３３の吸引力が消滅し、可動鉄心３４が付勢ばね３５の付勢力により固定鉄心３３から離間する方向へ移動する。そして、可動鉄心３４が一対の延在片２２押圧し、弁体１２が弁体ばね２８の付勢力に抗して供給弁座２６に向けて移動して、供給弁座２６に着座する。これにより、供給通路２３が閉鎖されるとともに排出通路２５が開放され、出力ポート１４と排出ポート１５とが出力通路２４、弁室１９及び排出通路２５を介して連通し、供給通路２３、弁室１９及び出力通路２４を介した供給ポート１３と出力ポート１４との連通が遮断される。

図５に示すように、モールド樹脂３７を射出成型する際には、金型７０が用いられる。金型７０は、金型本体７１と、第１治具７２と、第２治具７３と、を有している。第１治具７２は、円柱状である。第１治具７２は、一対の把持片７２ａを有している。一対の把持片７２ａは、第１治具７２の端面から突出している。各把持片７２ａは、突出部４０の各平坦面４０ａに沿って延びる面を有する断面弓形板状である。一対の把持片７２ａは、第１治具７２の軸線を挟んだ対角線上にそれぞれ配置されている。第２治具７３は、円柱状である。第２治具７３は、磁性部材３８の貫通孔３８ａを介してボビン３２の内側に挿入可能になっている。また、第２治具７３は、貫通孔３８ａを閉塞可能に構成されている。

図６に示すように、モールド樹脂３７を射出成型する際には、まず、金型本体７１内に磁気フレーム３６、ボビン３２、コイル３１、及び磁性部材３８それぞれを所定の位置に配置する。次に、突出部４０の外周面において、各平坦面４０ａに各把持片７２ａがそれぞれ接触するように第１治具７２を配置する。これにより、磁気フレーム３６が位置決めされる。突出部４０の開口は、第１治具７２の端面によって閉塞されている。さらに、第２治具７３を、磁性部材３８の貫通孔３８ａを介してボビン３２の内側に挿入する。これにより、ボビン３２及び磁性部材３８が位置決めされる。貫通孔３８ａは、第２治具７３によって閉塞されている。

図７に示すように、金型本体７１内に溶融樹脂を充填して固化させることにより、モールド樹脂３７が成形される。このように成形されたモールド樹脂３７によって、磁気フレーム３６、ボビン３２、コイル３１、及び磁性部材３８が一体化されている。

次に、本実施形態の作用について説明する。
金型本体７１内に磁気フレーム３６、ボビン３２、及びコイル３１を配置した状態で、金型本体７１内に樹脂を充填する射出成型を行う際には、突出部４０の外周面に金型７０の一部分である一対の把持片７２ａを接触させている。このため、金型本体７１内での樹脂の成型圧によって、磁気フレーム３６の位置が予め定められた位置からずれてしまうことが抑制されている。その結果、磁気フレーム３６が、ボビン３２及びコイル３１に対して予め定められた位置で、モールド樹脂３７により一体化されることになるため、コイル３１の周囲で固定鉄心３３及び可動鉄心３４と協働して形成される磁路が安定する。

上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
（１）連通孔５０の内周面には、突出部４０の外周面に沿って延びる溝５１が形成されている。これによれば、連通孔５０の内周面に形成されている溝５１は、例えば、金型７０内に磁気フレーム３６、ボビン３２、及びコイル３１を配置した状態で、金型７０内に樹脂を充填する射出成型を行う際に、突出部４０の外周面に金型７０の一部分を接触させたことにより形成されたと言える。したがって、金型７０内に磁気フレーム３６、ボビン３２、及びコイル３１を配置した状態で、金型７０内に樹脂を充填する射出成型を行う際には、突出部４０の外周面に金型７０の一部分を接触させているため、金型７０内での樹脂の成型圧によって、磁気フレーム３６の位置が予め定められた位置からずれてしまうことを抑制することができる。その結果、磁気フレーム３６が、ボビン３２及びコイル３１に対して予め定められた位置で、モールド樹脂３７により一体化されることになるため、コイル３１の周囲で固定鉄心３３及び可動鉄心３４と協働して形成される磁路が安定する。したがって、磁気効率を向上させ、固定鉄心３３において高い吸引力を得ることができる。

（２）突出部４０の外周面は、互いに平行に延びる一対の平坦面４０ａを有している。各溝５１は、突出部４０の各平坦面４０ａに沿ってそれぞれ延びている。これによれば、金型７０内に磁気フレーム３６、ボビン３２、及びコイル３１を配置した状態で、金型７０内に樹脂を充填する射出成型を行う際には、突出部４０の各平坦面４０ａに金型７０の一部分をそれぞれ接触させていると言える。このため、金型７０内での樹脂の成型圧によって、磁気フレーム３６が雌ねじ孔４１の軸線を回転中心として回転してしまうことを抑制することができるため、磁気フレーム３６の位置が予め定められた位置からずれてしまうことをさらに抑制し易くすることができる。

（３）各平坦面４０ａは、突出部４０の軸線を挟んだ対角線上にそれぞれ配置されている。これによれば、金型７０内に磁気フレーム３６、ボビン３２、及びコイル３１を配置した状態で、金型７０内に樹脂を充填する射出成型を行う際には、突出部４０の外周面における突出部４０の軸線を挟んだ対角線上に位置する部位に金型７０の一部分をそれぞれ接触させることができる。このため、金型７０内での樹脂の成型圧によって、磁気フレーム３６の位置が予め定められた位置からずれてしまうことをさらに抑制し易くすることができる。

（４）一対のフレーム腕部３６ｂは、雌ねじ孔４１の軸線に対して対称形状である。これによれば、例えば、一対のフレーム腕部３６ｂが、雌ねじ孔４１の軸線に対して非対称形状である場合に比べると、例えば、金型７０内に磁気フレーム３６、ボビン３２、及びコイル３１を配置した状態で、金型７０内に樹脂を充填する射出成型を行う際に、各フレーム腕部３６ｂ側へ流れ込む樹脂の量を均一にし易くすることができる。したがって、一対のフレーム腕部３６ｂの一方に対して、金型７０内での樹脂の成形圧に伴う応力が集中してしまうといった問題が回避され易くなるため、磁気フレーム３６の位置が予め定められた位置からずれてしまうことを抑制し易くすることができる。

（５）一対の端子保持部３２ａは、雌ねじ孔４１の軸線を挟んだ対角線上でフレーム端壁３６ａにそれぞれ係合しているため、磁気フレーム３６をボビン３２に対して精度良く位置決めすることができる。

（６）連通孔５０の内側には、接着剤５２が充填されている。これによれば、連通孔５０の内側に充填された接着剤５２の一部が、各溝５１に充填されることにより、磁気フレーム３６が雌ねじ孔４１の軸線を回転中心として回転してしまうことを抑制することができる。

（７）突出部４０の先端面は、連通孔５０の内側に位置している。これによれば、例えば、突出部４０の先端面が連通孔５０から外部へ突出している場合に比べると、連通孔５０の内側に充填された接着剤５２が連通孔５０の内側に溜まり易くなる。したがって、連通孔５０の内側に充填された接着剤５２の一部が、連通孔５０から外部へ流出してしまうことを抑制し易くすることができる。

（８）本実施形態によれば、磁気フレーム３６の位置が予め定められた位置からずれてしまうことが抑制されるため、磁気フレーム３６とコイル３１との間の絶縁距離を確保することができる。

（９）本実施形態によれば、射出成型を行う際に、各フレーム腕部３６ｂ側へ流れ込む樹脂の量が均一になり易いため、コイル３１に対して、樹脂の成形圧に伴う応力が局所的に作用してしまうことを抑制することができる。

（１０）突出部４０は、固定鉄心３３が螺合される雌ねじ孔４１の一部を形成している。したがって、フレーム端壁３６ａに突出部４０が形成されていない場合に比べると、磁気フレーム３６と固定鉄心３３との間の磁路の面積を大きくすることができるため、磁気効率を向上させることができる。

なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。

・実施形態において、突出部４０の外周面が、互いに平行に延びる一対の平坦面４０ａを有していなくてもよく、突出部４０の外周面が真円形状であってもよい。
・実施形態において、各平坦面４０ａが、突出部４０の軸線を挟んだ対角線上にそれぞれ配置されていなくてもよい。

・実施形態において、一対のフレーム腕部３６ｂが、雌ねじ孔４１の軸線に対して非対称形状であってもよい。
・実施形態において、各端子保持部３２ａの先端面が、フレーム端壁３６ａにおけるボビン３２とは反対側の端面よりも突出していなくてもよい。

・実施形態において、電磁弁１０は、一対の端子保持部３２ａが、フレーム端壁３６ａにそれぞれ係合していない構成であってもよい。
・実施形態において、連通孔５０の内側に接着剤５２が充填されていなくてもよい。

・実施形態において、突出部４０の先端面が連通孔５０から外部へ突出していてもよい。
・実施形態において、連通孔５０の内周面に溝５１が３つ以上形成されていてもよい。

・実施形態において、溝５１が、連通孔５０の内周面に対して、連通孔５０の内周面全周に亘って延びるように形成されていてもよい。
・実施形態において、突出部４０が、例えば、四角筒状であってもよい。

１０…電磁弁、１１…ボディ、１２…弁体、３０…ソレノイド部、３１…コイル、３２…ボビン、３２ａ…端子保持部、３３…固定鉄心、３４…可動鉄心、３５…付勢ばね、３６…磁気フレーム、３６ａ…フレーム端壁、３６ｂ…フレーム腕部、３７…モールド樹脂、３７ａ…モールド端壁、３７ｂ…モールド周壁、４０…突出部、４０ａ…平坦面、４１…雌ねじ孔、５０…連通孔、５１…溝、５２…接着剤。

Claims (7)

1. ボディに形成された流路を切り換える弁体と、
   前記弁体を移動させるソレノイド部と、を備え、
   前記ソレノイド部は、
   コイルと、
   前記コイルが巻装された筒状のボビンと、
   前記ボビンの内側に配置される固定鉄心と、
   前記コイルに電力が供給されることで前記固定鉄心に発生する吸引力により前記固定鉄心に吸着される可動鉄心と、
   前記可動鉄心を前記固定鉄心から離間する方向へ付勢する付勢ばねと、
   前記ボビンよりも外側に位置するとともに前記コイルの周囲で前記固定鉄心及び前記可動鉄心と協働して磁路を形成する磁気フレームと、
   前記磁気フレーム、前記ボビン、及び前記コイルを一体化するモールド樹脂と、を有する電磁弁であって、
   前記磁気フレームは、
   前記ボビンに対して前記ボビンの軸方向で隣り合うフレーム端壁と、
   前記フレーム端壁の外周部から前記ボビンの外側で前記ボビンの軸方向に延びる一対のフレーム腕部と、
   前記フレーム端壁を貫通するとともに前記固定鉄心が螺合される雌ねじ孔と、を有し、
   前記フレーム端壁における前記ボビンとは反対側の端面には、前記雌ねじ孔の一部を形成する筒状の突出部が突出しており、
   前記モールド樹脂は、
   前記フレーム端壁を被覆するモールド端壁と、
   前記モールド端壁の外周部から前記一対のフレーム腕部に沿って延びて、前記一対のフレーム腕部、前記ボビン、及び前記コイルを一体化するモールド周壁と、を有し、
   前記モールド端壁には、前記雌ねじ孔に連通する連通孔が形成されており、
   前記連通孔の内周面には、前記突出部の外周面に沿って延びる溝が形成されていることを特徴とする電磁弁。
2. 前記連通孔の内周面には、前記溝が２つ形成されており、
   前記突出部の外周面は、互いに平行に延びる一対の平坦面を有し、
   前記各溝は、前記各平坦面に沿ってそれぞれ延びていることを特徴とする請求項１に記載の電磁弁。
3. 前記各平坦面は、前記突出部の軸線を挟んだ対角線上にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項２に記載の電磁弁。
4. 前記一対のフレーム腕部は、前記雌ねじ孔の軸線に対して対称形状であることを特徴とする請求項１～請求項３のいずれか一項に記載の電磁弁。
5. 前記ボビンにおける前記フレーム端壁側の端面には、端子保持部が一対突出しており、
   前記一対の端子保持部は、前記雌ねじ孔の軸線を挟んだ対角線上で前記フレーム端壁にそれぞれ係合していることを特徴とする請求項１～請求項４のいずれか一項に記載の電磁弁。
6. 前記連通孔の内側には、接着剤が充填されていることを特徴とする請求項１～請求項５のいずれか一項に記載の電磁弁。
7. 前記突出部の先端面は、前記連通孔の内側に位置していることを特徴とする請求項６に記載の電磁弁。