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JP7361923B2 - 歩行者用エアバッグ装置 - Google Patents

歩行者用エアバッグ装置 Download PDF

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JP7361923B2
JP7361923B2 JP2022534095A JP2022534095A JP7361923B2 JP 7361923 B2 JP7361923 B2 JP 7361923B2 JP 2022534095 A JP2022534095 A JP 2022534095A JP 2022534095 A JP2022534095 A JP 2022534095A JP 7361923 B2 JP7361923 B2 JP 7361923B2
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Description

本発明は、車両のフロントフードの下方からウインドシールドに向かって膨張展開するエアバッグクッションを備えた歩行者用エアバッグ装置に関するものである。
近年、車内の乗員を拘束するものとは異なるエアバッグ装置として、車外の歩行者を保護する歩行者用エアバッグ装置が開発されている。主な歩行者用エアバッグ装置は、車両の前部等に設けたセンサが歩行者との接触を検知すると、ウインドシールド等の歩行者の身体が接触するおそれのある部位にエアバッグクッションが膨張展開する構成となっている。
例えば、特許文献1の歩行者用エアバッグ装置10では、剛性の高いAピラー5への歩行者の接触を防ぐために、エアバッグ11にAピラー5を覆うピラー被服部11bを設けている。特許文献1の技術では、エアバッグ11の主部11aとピラー被服部11bとをパーティションクロス20で仕切り、このパーティションクロス20のガス通過用開口23に逆止弁となるテザー40を設けることで、ピラー被服部11bの圧力を高く保っている。
特開2017-171269号公報
しかしながら、特許文献1のパーティションクロス20は、ガス通過用開口23が開いていることで、力がかかったときにときに伸びるおそれがある。例えば、特許文献1の図9(a)において、ガスの圧力によって上側パネル15と下側パネル16が互いに離れる方向に移動すると、パーティションクロス20は上下方向に引っ張られる。そのとき、パーティションクロス20が過度に伸びると、テザー40が突っ張ってガス通過用開口23から離れ難くなる場合がある。テザー40がガス通過用開口23から離れ難いと、ピラー被服部11bへのガスの流入が阻害され、Aピラー5上において歩行者の保護が不十分になってしまう。
本発明は、このような課題に鑑み、Aピラー上において歩行者を十全に保護可能な歩行者用エアバッグ装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明にかかる歩行者用エアバッグ装置の代表的な構成は、車両のフロントフードの下方からウインドシールドに向かって膨張展開するエアバッグクッションと、エアバッグクッションにガスを供給するインフレータとを備えた歩行者用エアバッグ装置において、エアバッグクッションは、インフレータからガスを受給して少なくともウインドシールドの下部を覆うよう膨張展開するメインチャンバと、メインチャンバの車幅方向両端に設けられてメインチャンバからガスを受給してAピラーを覆うよう膨張展開するピラーチャンバと、メインチャンバとピラーチャンバとを仕切る区画壁と、区画壁を貫通していてガスが通過可能なインナベントと、インナベントにかけ渡されているブリッジと、区画壁のピラーチャンバ側にインナベントを覆うよう取り付けられていて一部が区画壁から離間可能なパッチと、を有することを特徴とする。
上記構成によれば、インナベントにはブリッジがかけ渡されているため、インナベントの広がりを抑えると共に、区画壁およびパッチの伸びも抑えることができる。これによって、例えば区画壁が所定の方向に引っ張られた場合において、パッチが伸びて突っ張ることが防止できるため、パッチのたるみが保持できる。すなわち、上記構成であれば、パッチを区画壁から離間可能な状態に保つことができ、これによってピラーチャンバの円滑な膨張展開と歩行者の十全な保護とを実現することが可能となる。
上記のメインチャンバは、インフレータからガスを受給して少なくともウインドシールドの下部を覆うよう車幅方向に延びた状態に膨張展開し、ピラーチャンバは、メインチャンバからガスを受給してメインチャンバの車幅方向両脇からAピラーに沿って車両のドアミラーよりも車両後方にまで延びた状態に膨張展開し、区画壁は、エアバッグクッションの後縁のうちメインチャンバからピラーチャンバにわたる所定箇所に形成される内角から車両前方に延びる第1仮想線と、ドアミラーの後端に沿って車幅方向に延びる第2仮想線との間の範囲に設けられることを特徴とする。
上記エアバッグクッションのうちの第1仮想線から第2仮想線までの範囲は、車両のフードの脇の端部やAピラー、さらにはドアミラーなど、車両のフロント部分のなかでも剛性の高い部分を覆う範囲である。この範囲に区画壁を設けてピラーチャンバの膨張圧を保持することで、Aピラーやドアミラーなどの剛性の高い部分に歩行者が接触することを十全に防ぐことが可能になる。
上記のメインチャンバの一部は、フロントフードの後端近傍の上側に重なって膨張展開してもよい。この構成のメインチャンバによっても、歩行者を好適に保護することが可能になる。
上記のパッチは、区画壁から離間可能になるようなたるみを有してもよい。パッチは、区画壁からたるみのある部分が離れることで、好適にガスを通すことが可能になる。
上記のパッチのたるみは、パッチのうち所定の間隔を空けた少なくとも2箇所が、区画壁上において間隔よりも短い間隔の2箇所に取り付けられることで形成された状態になっていてもよい。この構成によって、たるみのあるパッチを好適に実現することが可能になる。
上記のブリッジは、エアバッグクッションが膨張展開したときにインナベントを車幅方向に二分するよう設けられていてもよい。この構成のブリッジによって、インナベントおよび区画壁が上下方向に伸びることを防止できる。
上記のブリッジは、エアバッグクッションが膨張展開したときにインナベントを上下に二分するよう設けられていてもよい。この構成のブリッジによって、インナベントおよび区画壁が車幅方向に伸びることを防止できる。
上記のブリッジは、インナベント内で交差する形状に設けられていてもよい。この構成のブリッジによって、インナベントおよび区画壁の不測の変形をより効率よく抑えることが可能になる。
本発明によれば、Aピラー上において歩行者を十全に保護可能な歩行者用エアバッグ装置を提供可能である。
本発明の実施形態にかかる歩行者用エアバッグ装置の概要を例示する図である。 図1(a)のエアバッグクッションの車幅方向左側を上方から拡大して例示した図である。 図2のエアバッグクッションの区画壁を各方向から例示した図である。 図3のエアバッグクッションにおける歩行者拘束時の模式図である。 図3(a)の区画壁の各変形例を例示した図である。 図2のエアバッグクッションの変形例を例示した図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、本発明の実施形態にかかる歩行者用エアバッグ装置100の概要を例示する図である。図1(a)は歩行者用エアバッグ装置100の作動前の車両を例示した図であり、図1(b)は歩行者用エアバッグ装置100の作動時の車両を例示した図である。これら図1その他の各図においては、車両前後方向をそれぞれ矢印F(Forward)、B(Back)、車幅方向の左右をそれぞれ矢印L(Left)、R(Right)、車両上下方向をそれぞれ矢印U(up)、D(down)で例示する。
図1(a)に例示するように、歩行者用エアバッグ装置100は、車両102のフロントフード104の下側に設置されている。歩行者用エアバッグ装置100は、例えばフロントバンパ106付近の内部など、歩行者の脚部等が接触しやすい箇所に不図示のセンサを備えている。センサが歩行者との接触を検知すると、制御部等を介してガス発生装置であるインフレータ112に稼動信号が送信され、図1(b)のようにエアバッグクッション114がフロントフード104の下方からウインドシールド108に向かって膨張展開する仕組みとなっている。
図1(a)に例示するように、歩行者用エアバッグ装置100は、エアバッグクッション114を収容するハウジング116を備えている。ハウジング116は、主に樹脂で形成された長尺な箱状の容器であり、エアバッグクッション114(図1(b)参照)やインフレータ112等を収納する。ハウジング116は、その長手方向を車幅方向に向けて、専用のブラケット等を介してフロントフード104の下面に取り付けられる。
インフレータ112は、ハウジング116の内部にスタッドボルト(図示省略)を使用して固定されていて、所定のセンサから送られる衝撃の検知信号に起因して作動し、エアバッグクッション114にガスを供給する。エアバッグクッション114は、インフレータ112からのガスによって膨張を始め、その膨張圧でハウジング116を開裂等してウインドシールド108に向かって膨張展開する。
インフレータ112は、本実施例ではシリンダ型(円筒型)のものを採用している。現在普及しているインフレータには、ガス発生剤が充填されていてこれを燃焼させてガスを発生させるタイプや、圧縮ガスが充填されていて熱を発生させることなくガスを供給するタイプ、または燃焼ガスと圧縮ガスとを両方利用するハイブリッドタイプのものなどがある。インフレータ112としては、いずれのタイプのものも利用可能である。
図1(b)に例示するように、本実施形態におけるエアバッグクッション114は、ウインドシールド108に沿って膨張展開し、このウインドシールド108に接触しようとする歩行者を受け止める。加えて、エアバッグクッション114はフロントフード104を持ち上げてわずかに浮かせる。この動作には、フロントフード104に接触する歩行者に与える衝撃を和らげる効果がある。
図2は、図1(a)のエアバッグクッション114の車幅方向左側を上方から拡大して例示した図である。エアバッグクッション114は袋状であって、その表面を構成する複数の基布を重ねて縫製または接着することや、OPW(One-Piece Woven)を用いての紡織などによって形成されている。
本実施形態では、エアバッグクッション114のうちガスが流入して膨張する膨張領域は、メインチャンバ118とピラーチャンバ120の2つのチャンバに分かれている。
メインチャンバ118は、インフレータ112からガスを受給して、少なくともウインドシールド108の下部を覆うよう膨張展開し、歩行の身体を広く受け止める。ピラーチャンバ120は、メインチャンバ118の車幅方向両端に設けられていて、メインチャンバ118からガスを受給してAピラー110を覆うよう膨張展開し、歩行者の頭部などが剛性の高いAピラー110に接触することを防ぐ。
なお、メインチャンバ118は、フロントフード104の後端近傍を下方から持ち上げる構成とすることも、フロントフード104の後端近傍の上側に重なって膨張展開する構成とすることも可能である。メインチャンバ118がフロントフード104の後端近傍を持ち上げる場合、フロントフード104を浮かせることで歩行者がフロントフード104に接触したときに与える衝撃を和らげることが可能にある。また、メインチャンバ118がフロントフード104の後端近傍の上側に重なって膨張展開する場合、歩行者をより広い範囲にわたって保護することが可能になる。
エアバッグクッション114の内部には、メインチャンバ118とピラーチャンバ120とを仕切る区画壁122が設けられている。区画壁122は、例えばAピラー110の根本付近に重なる位置に設けることができる。本実施例では、図3等に例示するように、区画壁122に逆止弁構造を設けてピラーチャンバ120の内圧を高くより長い時間にわたって保てるよう工夫している。
図3は、図2のエアバッグクッション114の区画壁122を各方向から例示した図である。図3(a)は、図2のエアバッグクッション114の内部における区画壁122の矢視A図である。図3(a)に例示するように、エアバッグクッション114は、上側のアウタパネル124と、下側のインナパネル126とを含んで構成されている。区画壁122は、アウタパネル124とインナパネル126とを隙間なく仕切ることで、メインチャンバ118(図2参照)とピラーチャンバ120とを分けている。
区画壁122の逆止弁構造は、区画壁122に設けたインナベント128と、インナベント128を覆うパッチ130によって実現されている。インナベント128は、ガスが通過する箇所であり、区画壁122を貫通した貫通孔として設けられている。
パッチ130は、区画壁122のピラーチャンバ120側にて、区画壁122にインナベント128を覆うよう取り付けられている。パッチ130は、例えば上縁132と下縁134がそれぞれ縫製部136aおよび縫製部136bによって区画壁122に接続されていて、これら上縁132と下縁134以外の中央部がたるんでいて区画壁122から離間可能になっている。
インナベント128には、ブリッジ138がかけ渡されている。ブリッジ138は、インナベント128を補強する役割を担っていて、インナベント128を開けたことで区画壁122が伸びやすくなるのを防ぐ。例えば、本実施形態では、ブリッジ138は、エアバッグクッション114が膨張展開したときにインナベント128を車幅方向に二分するよう、上下方向に沿って延びている。この構成のブリッジ138によって、インナベント128および区画壁122が上下方向に伸び難くなっている。
図3(b)は、図3(a)のエアバッグクッション114のB-B断面図である。また図3(b)は、ガスがメインチャンバ118からピラーチャンバ120に流れ込むときのパッチ130の様子を例示している。エアバッグクッション114の膨張展開時において、メインチャンバ118からピラーチャンバ120に向かってガスの圧力がかかると、パッチ130の中央のたるみ137の部分は圧力によって区画壁122からピラーチャンバ120側に離間する。
パッチ130のたるみ137は、パッチ130のうち上下に所定の間隔を空けた上縁132と下縁134が、区画壁122上においてこれら上縁132と下縁134の間隔よりも短い間隔の2箇所に縫製部136aおよび縫製部136bによって取り付けられることで形成された状態になっている。この構成によって、パッチ130は、たるみ137が形成され、メインチャンバ118側からガスの圧力がかかったときにたるみ137の部分が区画壁122から離れてガスを通すことが可能になっている。
図3(c)は、図3(a)の区画壁122の付近のC-C断面図である。上述したように、パッチ130は、メインチャンバ118(図3(b)参照)からピラーチャンバ120に向かってインナベント128を流れるガスによって、たるみ137の部分が区画壁122から離間する。このように、エアバッグクッション114の膨張展開時には、パッチ130の中央のたるみ137が区画壁122から離れるため、ピラーチャンバ120は円滑に膨張展開することができる。
図4は、図3のエアバッグクッション114における歩行者拘束時の模式図である。図4(a)は、図3(a)のエアバッグクッション114の歩行者拘束時の様子である。図4(a)では、ピラーチャンバ120に、歩行者の頭部を模した試験装置であるインパクタ140を衝突させた様子を例示している。ピラーチャンバ120は、Aピラー110およびウインドシールド108の端部を覆うように膨張展開し、歩行者が剛性の高いAピラー110周辺に衝突することを防ぐ。
図4(b)は、図3(b)のエアバッグクッション114の歩行者拘束時の様子である。ピラーチャンバ120に外圧がかかると、ピラーチャンバ120内のガスはインナベント128から出ようとするが、そのときのガスの力でパッチ130のたるみ137が区画壁122に押し付けられるため、インナベント128は塞がれ、ピラーチャンバ120の内圧は保たれる。
図4(c)は、図3(c)の区画壁122の付近の歩行者拘束時の様子である。上述したように、歩行者拘束時にはパッチ130がインナベント128を塞ぐことでピラーチャンバ120の内圧が保たれる。
以上のように、本実施形態の歩行者用エアバッグ装置100は、区画壁122とパッチ130を利用した逆止弁構造によってピラーチャンバ120の内圧を好適に保ち、剛性の高いAピラー110への接触から歩行者を好適に保護することが可能になっている。特に、図4(a)に例示したように、一般的なAピラー110はインパクタ140で模した歩行者の頭部よりも幅寸法が細く、エアバッグクッション114は歩行者の頭部拘束時においてAピラー110から反力を得にくい。しかしながら、本実施形態であれば、ピラーチャンバ120の内圧を高めることで、幅の細いAピラー110から好適に反力を得て、歩行者の頭部を十全に拘束することができる。
また、図3(a)に例示したように、インナベント128にはブリッジ138がかけ渡されているため、インナベント128の広がりを抑えると共に、区画壁122およびパッチ130の伸びも抑えることができる。例えば、図3(b)において、エアバッグクッション114にガスが供給されたとき、アウタパネル124とインナパネル126が互いに離れようとすることによって区画壁122は引っ張られた状態になる。このとき、インナベント128の広がりをブリッジ138が抑えることで、区画壁122は伸びが抑えられる。仮に区画壁122が伸びるように変形すると、パッチ130の上縁132と下縁134が離れる方向に引っ張られ、パッチ130はたるみの無い突っ張った状態になって区画壁122から離間し難くなる。本実施形態であれば、区画壁122およびパッチ130の伸びを抑えることで、パッチ130を区画壁122から離間可能な状態に保ち、これによってピラーチャンバ120の円滑な膨張展開と歩行者の十全な保護とを実現することが可能となる。
また、ブリッジ138は、ピラーチャンバ120の厚みが過度に増すことを防止できる。ピラーチャンバ120の厚みが増すと、エアバッグクッション114の全体の容量も増加し、結果としてエアバッグクッション114の内圧は下がってしまう。本実施形態であれば、ブリッジ138が区画壁122の伸びを抑えることでピラーチャンバ120の厚みを抑え、エアバッグクッション114の内圧および反力を維持して、エアバッグクッション114の全範囲において歩行者を好適に受け止めることが可能になっている。
(変形例)
以下、上述した各構成要素の変形例について説明する。図5は、図3(a)の区画壁122の各変形例を例示した図である。図5では既に説明した構成要素と同じものには同じ符号を付していて、これによって既出の構成要素については説明を省略する。また、以下の説明において、既に説明した構成要素と同じ名称のものについては、例え異なる符号を付していても、特に明記しない場合は同じ機能を有しているものとする。
図5(a)は、図3(a)の区画壁122の第1変形例(区画壁160)である。区画壁160では、ブリッジ164は、エアバッグクッション114が膨張展開したときにインナベント162を上下方向に二分するよう、車幅方向に沿って延びている。この構成のブリッジ164によれば、インナベント162および区画壁160が車幅方向に伸び難くなる。本変形例によれば、区画壁160に車幅方向に引っ張る力がかかりやすい場合においても、パッチ130を区画壁160から離間可能な状態に保つことができ、これによってピラーチャンバ120の円滑な膨張展開と歩行者の十全な保護とを実現することが可能となる。
図5(b)は、図3(a)の区画壁122の第2変形例(区画壁180)である。区画壁180では、ブリッジ184は、インナベント182内で交差する形状に設けられている。この構成のブリッジ184によれば、インナベント182および区画壁180が上下方向および車幅方向のいずれの方向にも伸び難くなる。本変形例によれば、区画壁180に上下方向および車幅方向に引っ張る力がかかりやすい場合においても、パッチ130を区画壁180から離間可能な状態に保つことができ、これによってピラーチャンバ120の円滑な膨張展開と歩行者の十全な保護とを実現することが可能となる。
図6は、図2のエアバッグクッション114の変形例(エアバッグクッション200)を例示した図である。エアバッグクッション200もまた、区画壁122によって、内部が仕切られている。
メインチャンバ202は、ウインドシールド108の下部を覆うよう車幅方向に延びた状態に膨張展開する。ピラーチャンバ204は、メインチャンバ202からガスを受給して、メインチャンバ202の車幅方向の両脇から、Aピラー110に沿って車両のドアミラー109よりも車両後方に到達する程度まで車両後方に延びた状態に膨張展開する。
エアバッグクッション200は、区画壁122を、第1仮想線L1および第2仮想線L2で例示する範囲内の所定箇所に設けることができる。第1仮想線L1は、エアバッグクッション200の後縁のうちメインチャンバ202からピラーチャンバ204にわたる途中箇所に形成される内角208から車両前方に仮想的に延ばした直線である。第2仮想線L2は、ドアミラー109の後端111に沿って車幅方向に仮想的に延ばした直線である。
区画壁122は、メインチャンバ202とピラーチャンバ204とを仕切る部材である。すなわち、本変形例では、エアバッグクッション200は、第1仮想線L1から第2仮想線L2までの範囲内でメインチャンバ202とピラーチャンバ204とに区分けすることが可能になっている。
本変形例においても、区画壁122およびパッチ130(図3(a)参照)の伸びを抑えることで、パッチ130を区画壁122から離間可能な状態に保つことが可能になっている。これによって、本変形例においても、エアバッグクッション200のうち区画壁122よりも末端側のピラーチャンバ204の円滑な膨張展開と歩行者の十全な保護とを実現することができる。
特に、エアバッグクッション200のうちの第1仮想線L1から第2仮想線L2までの範囲は、車両のフードの脇の端部113やAピラー110、さらにはドアミラー109など、車両のフロント部分のなかでも剛性の高い部分を覆う範囲である。この範囲に区画壁122を設けることによって、エアバッククッション200のうち区画壁122よりも末端側のピラーチャンバ204の膨張圧を好適に保持することができ、これらAピラー110やドアミラー109等の剛性の高い部分に歩行者が接触することを十全に防ぐことが可能になる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、以上に述べた実施形態は、本発明の好ましい例であって、これ以外の実施態様も、各種の方法で実施または遂行できる。特に本願明細書中に限定される主旨の記載がない限り、この発明は、添付図面に示した詳細な部品の形状、大きさ、および構成配置等に制約されるものではない。また、本願明細書の中に用いられた表現および用語は、説明を目的としたもので、特に限定される主旨の記載がない限り、それに限定されるものではない。
したがって、当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、車両のフロントフードの下方からウインドシールドに向かって膨張展開するエアバッグクッションを備えた歩行者用エアバッグ装置に利用することができる。
100…歩行者用エアバッグ装置、102…車両、104…フロントフード、106…フロントバンパ、108…ウインドシールド、109…ドアミラー、110…Aピラー、112…インフレータ、113…端部、114…エアバッグクッション、116…ハウジング、118…メインチャンバ、120…ピラーチャンバ、122…区画壁、124…アウタパネル、126…インナパネル、128…インナベント、130…パッチ、132…上縁、134…下縁、136a、136b…縫製部、137…たるみ、138…ブリッジ、140…インパクタ、160…第1変形例の区画壁、162…インナベント、164…ブリッジ、180…第2変形例の区画壁、182…インナベント、184…ブリッジ、200…エアバッグクッション、202…メインチャンバ、204…ピラーチャンバ、206…区画壁、208…内角、L1…第1仮想線、L2…第2仮想線

Claims (8)

  1. 車両のフロントフードの下方からウインドシールドに向かって膨張展開するエアバッグクッションと、該エアバッグクッションにガスを供給するインフレータとを備えた歩行者用エアバッグ装置において、
    前記エアバッグクッションは、
    前記インフレータからガスを受給して少なくとも前記ウインドシールドの下部を覆うよう膨張展開するメインチャンバと、
    前記メインチャンバの車幅方向両端に設けられて該メインチャンバからガスを受給してAピラーを覆うよう膨張展開するピラーチャンバと、
    前記メインチャンバと前記ピラーチャンバとを仕切る区画壁と、
    前記区画壁を貫通していて前記ガスが通過可能なインナベントと、
    前記インナベントにかけ渡されているブリッジと、
    前記区画壁の前記ピラーチャンバ側に前記インナベントを覆うよう取り付けられていて一部が該区画壁から離間可能なパッチと、
    を有することを特徴とする歩行者用エアバッグ装置。
  2. 前記メインチャンバは、前記インフレータからガスを受給して少なくとも前記ウインドシールドの下部を覆うよう車幅方向に延びた状態に膨張展開し、
    前記ピラーチャンバは、前記メインチャンバからガスを受給して該メインチャンバの車幅方向両脇からAピラーに沿って車両のドアミラーよりも車両後方にまで延びた状態に膨張展開し、
    前記区画壁は、前記エアバッグクッションの後縁のうち前記メインチャンバから前記ピラーチャンバにわたる所定箇所に形成される内角から車両前方に延びる第1仮想線と、前記ドアミラーの後端に沿って車幅方向に延びる第2仮想線との間の範囲に設けられることを特徴とする請求項1に記載の歩行者用エアバッグ装置。
  3. 前記メインチャンバの一部は、前記フロントフードの後端近傍の上側に重なって膨張展開することを特徴とする請求項1または2に記載の歩行者用エアバッグ装置。
  4. 前記パッチは、前記区画壁から離間可能になるようなたるみを有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の歩行者用エアバッグ装置。
  5. 前記パッチのたるみは、該パッチのうち所定の間隔を空けた少なくとも2箇所が、前記区画壁上において該間隔よりも短い間隔の2箇所に取り付けられることで形成された状態になっていることを特徴とする請求項4に記載の歩行者用エアバッグ装置。
  6. 前記ブリッジは、前記エアバッグクッションが膨張展開したときに前記インナベントを車幅方向に二分するよう設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の歩行者用エアバッグ装置。
  7. 前記ブリッジは、前記エアバッグクッションが膨張展開したときに前記インナベントを上下方向に二分するよう設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の歩行者用エアバッグ装置。
  8. 前記ブリッジは、前記インナベント内で交差する形状に設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の歩行者用エアバッグ装置。
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