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JP7360085B2 - 粉末材料及び粉末材料ペースト - Google Patents

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Description

本発明は、粉末材料及び粉末材料ペーストに関し、例えば、電子回路等にオーバーコート層を形成するための粉末材料及び粉末材料ペーストに関する。
オーバーコート層は、ソーダライムガラス基板、アルミナ基板等に形成された電極、抵抗体等を保護、絶縁するために形成される。従来から、オーバーコート層の形成には、粉末材料ペーストが用いられている。この粉末材料ペーストは、一般的に、ガラス粉末とビークルの混合物であり、必要に応じて、セラミック粉末が添加される場合がある。
オーバーコート層は、粉末材料ペーストを電極等に塗布した後、焼成することにより形成される。ここで、焼成温度は、電極等と粉末材料の反応により、電極等の特性が劣化する事態を防止するために、620℃以下に制限される。このため、粉末材料(粉末材料ペースト)には、620℃以下の温度で焼成可能であることが要求される。また、粉末材料には、焼成後に、基板に反りを発生させず、基板から容易に剥離しないことも要求される。
オーバーコート層が形成された電子回路には、防食性、光学特性、機械的特性、電気的特性等の特性を付与するために、メッキ処理が施される場合がある。このメッキ処理では、オーバーコート層がメッキ溶液に浸漬される。メッキ溶液は、通常、酸性溶液である。このため、メッキ処理が施される場合、オーバーコート層には、耐酸性が要求される。すなわち粉末材料には、耐酸性が要求される。
上記の要求特性を満たす粉末材料として、一般的に、鉛系ガラスが使用されている(特許文献1参照)。
特開昭58-64245号公報
ところで、電極や抵抗体の一部にCu等の酸化しやすい材料を用いる場合、粉末材料ペーストの焼成は窒素、アルゴンまたはヘリウム等の不活性雰囲気中で行われる。
しかしながら、特許文献1に記載の鉛系ガラスを不活性雰囲気中で焼成すると、金属鉛が析出し絶縁性等の特性を維持し難いという問題がある。なお、金属鉛が析出すると、オーバーコート層は黒化する。
本発明の目的は、耐酸性に優れ、低温で焼成でき、かつ不活性雰囲気中で焼成しても金属鉛が析出し難い粉末材料を提供することである。
本発明者は、種々の実験を行った結果、鉛系ガラス粉末にバナジウム系ガラス粉末を混合した粉末を不活性雰囲気中で焼成すると、バナジウム系ガラス粉末中のVが優先的に還元され、鉛系ガラス粉末中のPbOが還元され難くなり金属鉛が析出しにくくなることを見出した。すなわち、本発明の粉末材料は、鉛系ガラス粉末とバナジウム系ガラス粉末とを含有することを特徴とする。「鉛系ガラス粉末」とは、PbOを30質量%以上含むガラス粉末であり、「バナジウム系ガラス粉末」とは、Vを5質量%以上含むガラス粉末である。
本発明の粉末材料は、鉛系ガラス粉末の含有量が60~90質量%、バナジウム系ガラス粉末の含有量が10~40質量%であることが好ましい。
本発明の粉末材料は、鉛系ガラス粉末が、質量%で、PbO 30~80%、B 0~20%、SiO 10~50%、Al 0~10%、TiO 0~10%を含有することが好ましい。
本発明の粉末材料は、バナジウム系ガラス粉末が、質量%で、V 5~40%、B 1~30%、SiO 1~30%、Al 0~10%、ZnO 10~70%、CaO 1~30%を含有することが好ましい。
本発明の粉末材料は、(バナジウム系ガラス粉末の軟化点-鉛系ガラス粉末の軟化点)が30℃以下であることが好ましい。「バナジウム系ガラス粉末の軟化点-鉛系ガラス粉末の軟化点」とは、バナジウム系ガラス粉末の軟化点から鉛系ガラス粉末の軟化点を減じた値である。ここで、「軟化点」は、マクロ型示差熱分析計(DTA)で測定した第四の変曲点の値を指す。
本発明の粉末材料は、オーバーコート層の形成に用いることが好ましい。
本発明の粉末材料ペーストは、上記の粉末材料とビークルとを含有することを特徴とする。
耐酸性に優れ、低温で焼成でき、かつ不活性雰囲気中で焼成しても金属鉛が析出し難い粉末材料を提供することができる。
本発明の粉末材料は、鉛系ガラス粉末とバナジウム系ガラス粉末とを含有する粉末材料であって、鉛系ガラス粉末の含有量が60~90質量%、バナジウム系ガラス粉末の含有量が10~40質量%、鉛系ガラス粉末の含有量が62~88質量%、バナジウム系ガラス粉末の含有量が12~38質量%、鉛系ガラス粉末の含有量が65~85質量%、バナジウム系ガラス粉末の含有量が15~35質量%、特に鉛系ガラス粉末の含有量が68~82質量%、バナジウム系ガラス粉末の含有量が18~32質量%であることが好ましい。鉛系ガラス粉末の含有量が少なすぎる(バナジウム系ガラス粉末の含有量が多すぎる)と、粉末材料の耐酸性が低下しやすくなる。一方、鉛系ガラス粉末の含有量が多すぎる(バナジウム系ガラス粉末の含有量が少なすぎる)と、焼成時に金属鉛が析出しやすくなる。
次に、鉛系ガラス粉末、及びバナジウム系ガラス粉末の組成、特性について述べる。
(鉛系ガラス粉末)
鉛系ガラス粉末は、質量%で、PbO 30~80%、B 0~20%、SiO 10~50%、Al 0~10%、TiO 0~10%を含有することが好ましい。上記のように各成分の含有範囲を規制した理由を以下に説明する。なお、各成分の含有範囲の説明において、%表示は、質量%であることを意味する。
PbOは、軟化点を低下させる成分であると共に、耐酸性を高める成分である。PbOの含有量は30~80%、40~75%、45~70%、特に50~65%であることが好ましい。PbOの含有量が少なくなると、軟化点が不当に上昇して、620℃以下の温度で焼成し難くなる。また、耐酸性が低下しやすくなる。一方、PbOの含有量が多すぎると、焼成時に金属鉛が析出しやすくなる。
は、ガラス骨格を形成し、更にガラス化範囲を広げる成分である。Bの含有量は0~20%、1~18%、2~16%、特に3~14%であることが好ましい。Bの含有量が多すぎると、耐酸性が低下しやすくなる。
SiOは、ガラス骨格を形成する成分であると共に、耐酸性を高める成分である。SiOの含有量は10~50%、15~45%、17~40%、特に20~30%であることが好ましい。SiOの含有量が少なすぎると、耐酸性が低下しやすくなる。一方、SiOの含有量が多すぎると、軟化点が不当に上昇して、620℃以下の温度で焼成し難くなる。
Alは、ガラス骨格を形成する成分であると共に、耐酸性を高める成分である。Alの含有量は0~10%、0~8%、0~6%、特に0.1~5%であることが好ましい。Alの含有量が多すぎると、軟化点が不当に上昇して、620℃以下の温度で焼成し難くなる。
TiOは、耐酸性を高める成分である。TiOの含有量は0~10%、0~5%、0~4%、特に0.1~3%であることが好ましい。TiOの含有量が多すぎると、結晶化しやすくなり、オーバーコート層の緻密性が悪化しやすくなる。
上記成分以外にも、例えば、以下の成分を導入してもよい。
MgOは、ガラスを安定化させる成分である。MgOの含有量は、0~5%、0~4%、特に0~3%であることが好ましい。MgOの含有量が多すぎると、耐酸性が低下しやすくなる。
CaOは、軟化点を低下させる成分であり、またガラスを安定化させる成分である。CaOの含有量は、0~5%、0~4%、特に0~3%であることが好ましい。CaOの含有量が多すぎると、耐酸性が低下しやすくなる。
SrOは、軟化点を低下させる成分であり、またガラスを安定化させる成分である。SrOの含有量は、0~5%、0~4%、特に0~3%であることが好ましい。SrOの含有量が多すぎると、耐酸性が低下しやすくなる。
BaOは、軟化点を低下させる成分であり、またガラスを安定化させる成分である。BaOの含有量は、0~5%、0~4%、特に0~3%であることが好ましい。BaOの含有量が多すぎると、耐酸性が低下しやすくなる。
ZnOは、軟化点を低下させる成分であるが、耐酸性を低下させる成分である。ZnOの含有量は0~10%、0~5%、0~4%、特に0~3%であることが好ましい。ZnOの含有量が多すぎると、耐酸性が低下しやすくなる。
鉛系ガラス粉末の軟化点は、610℃以下、特に605℃以下であることが好ましい。軟化点が高すぎると、緻密なオーバーコート層を得るためには、焼成温度を上昇しなければならず、その場合、電極等と粉末材料が反応して、電極等の特性が劣化しやすくなる。
(バナジウム系ガラス粉末)
バナジウム系ガラス粉末は、質量%で、V 5~40%、B 1~30%、SiO 1~30%、Al 0~10%、ZnO 10~70%、CaO 1~30%を含有することが好ましい。上記のように各成分の含有範囲を規制した理由を以下に説明する。なお、各成分の含有範囲の説明において、%表示は、質量%であることを意味する。
は、軟化点を低下させる成分であり、またガラスを安定化させる成分である。Vの含有量は、5~40%、6~35%、7~30%、特に8~25%であることが好ましい。Vの含有量が少なすぎると、焼成時に鉛系ガラス粉末から金属鉛が析出しやすくなり、また軟化点が不当に上昇して、620℃以下の温度で焼成し難くなる。一方、Vの含有量が多すぎると、耐酸性が低下しやすくなる。
は、ガラス骨格を形成し、更にガラス化範囲を広げる成分である。Bの含有量は1~30%、3~28%、5~26%、特に7~24%であることが好ましい。Bの含有量が少なすぎると、ガラス化しにくくなる。一方、Bの含有量が多すぎると、耐酸性が低下しやすくなる。
SiOは、ガラス骨格を形成する成分であると共に、耐酸性を高める成分である。SiOの含有量は1~30%、3~25%、4~20%、特に5~15%であることが好ましい。SiOの含有量が少なすぎると、耐酸性が低下しやすくなる。一方、SiOの含有量が多すぎると、軟化点が不当に上昇して、620℃以下の温度で焼成し難くなる。
Alは、ガラス骨格を形成する成分であると共に、耐酸性を高める成分である。Alの含有量は0~10%、0~7%、0~5%、特に0.1~3%であることが好ましい。Alの含有量が多すぎると、軟化点が不当に上昇して、620℃以下の温度で焼成し難くなる。
ZnOは、軟化点を低下させる成分である。ZnOの含有量は10~70%、20~66%、30~62%、特に40~58%であることが好ましい。ZnOの含有量が少なすぎると、軟化点が不当に上昇して、620℃以下の温度で焼成し難くなる。一方、ZnOの含有量が多すぎると、耐酸性が低下しやすくなる。
CaOは、ガラスを安定化させる成分である。CaOの含有量は、1~30%、3~20%、5~15%、特に7~13%であることが好ましい。CaOの含有量が少なすぎると、軟化点が不当に上昇して、620℃以下の温度で焼成し難くなる。一方、CaOの含有量が多すぎると、耐酸性が低下しやすくなる。
上記成分以外にも、例えば、以下の成分を導入してもよい。
MgOは、ガラスを安定化させる成分である。MgOの含有量は、0~5%、0~4%、特に0~3%であることが好ましい。MgOの含有量が多すぎると、耐酸性が低下しやすくなる。
SrOは、軟化点を低下させる成分であり、またガラスを安定化させる成分である。SrOの含有量は、0~5%、0~4%、特に0~3%であることが好ましい。SrOの含有量が多すぎると、耐酸性が低下しやすくなる。
BaOは、軟化点を低下させる成分であり、またガラスを安定化させる成分である。BaOの含有量は、0~5%、0~4%、特に0~3%であることが好ましい。BaOの含有量が多すぎると、耐酸性が低下しやすくなる。
バナジウム系ガラス粉末の軟化点は、610℃以下、特に605℃以下であることが好ましい。軟化点が高すぎると、緻密なオーバーコート層を得るためには、焼成温度を上昇しなければならず、その場合、電極等と粉末材料が反応して、電極等の特性が劣化しやすくなる。
(バナジウム系ガラス粉末の軟化点-鉛系ガラス粉末の軟化点)は30℃以下、20℃以下、特に10℃以下であることが好ましい。(バナジウム系ガラス粉末の軟化点-鉛系ガラス粉末の軟化点)が大きすぎると、焼成時に鉛系ガラス粉末のみが軟化するため、PbOが還元されやすくなり金属鉛が析出しやすくなる。
次に、本発明の粉末材料、及び粉末材料ペーストの製造方法について説明する。
まず、溶融ガラスをフィルム状に成形した後、得られたガラスフィルムを粉砕、分級することにより、鉛系ガラス粉末、及びバナジウム系ガラス粉末を作製する。その後、鉛系ガラス粉末とバナジウム系ガラス粉末を所定の割合にて混合することにより、粉末材料を得る。
粉末材料の平均粒径D50は3μm以下が好ましく、最大粒径Dmaxは20μm以下が好ましい。粉末材料の粒度が大きすぎると、焼成膜の表面平滑性が悪化しやすくなる。ここで、「平均粒径D50」とは、レーザー回折装置で測定した値を指し、レーザー回折法により測定した際の体積基準の累積粒度分布曲線において、その積算量が粒子の小さい方から累積して50%である粒子径を表す。また「最大粒径Dmax」とは、レーザー回折装置で測定した値を指し、レーザー回折法により測定した際の体積基準の累積粒度分布曲線において、その積算量が粒子の小さい方から累積して99%である粒子径を表す。
本発明の粉末材料は、膨張係数等の調整のために、コーディエライト、ウィレマイト、β-ユークリプタイト、ムライト、ジルコン、チタン酸鉛等の粉末をフィラー粉末として添加して用いても良い。フィラー粉末の添加量は、粉末材料100質量部に対して0~30質量部、0.1~25質量部、特に1~20質量部であることが好ましい。フィラー粉末の添加量が多すぎると、相対的に粉末材料の割合が少なくなりすぎて、緻密なオーバーコート層を形成し難くなる。なお、フィラー粉末の粒径は平均粒径D50が0.2~5μm程度のものを使用することが好ましい。
その後、粉末材料とビークルを所定の割合で混合、混練することにより粉末材料ペーストを作製する。なお、ビークルは例えば有機溶剤、樹脂の他、可塑剤、分散剤等を含有する。
有機溶剤はガラス粉末をペースト化するための材料であり、例えばターピネオール(Ter)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BC)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタジオールモノイソブチレート、ジヒドロターピネオール等を単独または混合して使用することができる。その含有量は10~40質量%であることが好ましい。
樹脂は、乾燥後の膜強度を高め、また柔軟性を付与する成分であり、その含有量は、0.1~20質量%程度が一般的である。樹脂は熱可塑性樹脂、具体的にはポリブチルメタアクリレート、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチルメタアクリレート、エチルセルロース等が使用可能であり、これらを単独あるいは混合して使用する。
可塑剤は、乾燥速度をコントロールするとともに、乾燥膜に柔軟性を与える成分であり、その含有量は0~10質量%程度が一般的である。可塑剤としてはブチルベンジルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジブチルフタレート等が使用可能であり、これらを単独あるいは混合して使用する。
分散剤としては、イオン系またはノニオン系の分散剤が使用可能であり、イオン系としてはカルボン酸、ジカルボン酸系等のポリカルボン酸系、アミン系等の分散剤、ノニオン系としてはポリエステル縮合型や多価アルコールエーテル型の分散剤が使用可能である。その使用量としては0~5質量%が一般的である。
粉末材料ペーストを用いて、電子回路にオーバーコート層を形成するには、まず電極、抵抗体等が形成された電子回路上に、スクリーン印刷法、一括コート法等により粉末材料ペーストを塗布し、所定の膜厚の塗布層を形成した後、乾燥させて、乾燥膜を得る。その後、乾燥膜を500~620℃の温度で5~20分間焼成することにより、所定のオーバーコート層(焼成膜)を形成することができる。なお、焼成温度が低すぎたり、焼成時間(保持時間)が短すぎると、乾燥膜が十分に焼結せず、緻密な焼成膜を形成し難くなる。一方、焼成温度が高すぎたり、保持時間が長すぎると、電極等と粉末材料が反応して、電極等の特性が劣化し易くなる。
オーバーコート層の形成方法として、粉末材料ペーストを用いる方法を例にして説明したが、それ以外の方法を採択することもできる。例えば、グリーンシート法、感光性ペースト法、感光性グリーンシート法等の方法を採択してもよい。
本発明の粉末材料、及び粉末材料ペーストは、チップ抵抗器のオーバーコート層の形成に用いることが好ましい。
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に何ら限定されない。以下の実施例は単なる例示である。
表1は鉛系ガラス粉末の例(試料A、B、C)を示しており、表2はバナジウム系ガラス粉末の例(試料D、E、F)を示している。また、表3は本発明の実施例(試料No.1~6)及び比較例(試料No.7、8)を示している。
(鉛系ガラス粉末、及びバナジウム系ガラス粉末の作製)
まず表1、2に示すガラス組成になるように、原料を調合して、均一に混合した。次いで、白金ルツボに入れて1150~1350℃で2時間溶融した後、フィルム状に成形した。得られたガラスフィルムをボールミルにて粉砕した後、気流分級して平均粒径D503.0μm以下、最大粒径Dmax20μm以下の鉛系ガラス粉末、及びバナジウム系ガラス粉末を得た。得られたガラス粉末を用いて、軟化点を評価した。
軟化点は、マクロ型示差熱分析計(DTA)で測定した第四の変曲点の値とした。
(粉末材料の作製)
続いて、表3に示す割合で鉛系ガラス粉末とバナジウム系ガラス粉末とを混合し、粉末材料を作製した。
次に、粉末材料とビークル(ポリブチルメタアクリレートを5質量%、且つジブチルフタレートを3質量%含むターピネオール)を混合し、3本ロールミルにて混練して、粉末材料ペーストを得た。更に、約10μmの焼成膜(オーバーコート層)が得られるように、粉末材料ペーストをアルミナ基板上にスクリーン印刷法で塗布した後、塗布膜を乾燥し、電気炉で、窒素雰囲気中にて620℃で10分間焼成して、焼成膜を形成した。得られた焼成膜付き基板を用いて、金属鉛の析出の有無、及び耐酸性を評価した。
金属鉛の析出の有無は、目視にて焼成膜が黒化していなかったものを「○」、黒化していたものを「×」として評価した。
耐酸性は次のようにして評価した。焼成膜付き基板を40℃の5質量%硫酸に1時間浸漬した上で、水洗、乾燥した後、質量減少を測定し、浸漬前後の質量減少の割合を評価した。なお、質量減少の割合が大きい程、耐酸性が低いことを意味する。
表から明らかなように、試料No.1~6は、金属鉛が析出しておらず、また耐酸性に優れていた。一方、試料No.7は金属鉛が析出していた。試料No.8は、耐酸性に劣っていた。
本発明の粉末材料、粉末材料及び粉末材料ペーストは、オーバーコート層の形成、特にチップ抵抗器のオーバーコート層の形成に特に好適であるが、それ以外の用途、例えば、電子部品材料用バインダ、封着用材料等の用途に適用することもできる。

Claims (4)

  1. 鉛系ガラス粉末とバナジウム系ガラス粉末とを含有し、
    鉛系ガラス粉末が、質量%で、PbO 30~80%、B 0~20%、SiO 10~50%、Al 0~10%、TiO 0~10%を含有し、
    バナジウム系ガラス粉末が、質量%で、V 5~40%、B 1~30%、SiO 1~30%、Al 0~10%、ZnO 10~70%、CaO 1~30%を含有し、
    オーバーコート層の形成に用いることを特徴とする粉末材料。
  2. 鉛系ガラス粉末の含有量が60~90質量%、バナジウム系ガラス粉末の含有量が10~40質量%であることを特徴とする請求項1に記載の粉末材料。
  3. (バナジウム系ガラス粉末の軟化点-鉛系ガラス粉末の軟化点)が30℃以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の粉末材料。
  4. 請求項1~のいずれかに記載の粉末材料とビークルとを含有することを特徴とする粉末材料ペースト。
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