以下に、本発明に係る空気入りタイヤの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
以下の説明において、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤ1の回転軸(図示省略)と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向において回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とはタイヤ径方向において回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、回転軸を中心軸とする周り方向をいう。また、タイヤ幅方向とは、回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面(タイヤ赤道線)CLに向かう側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから離れる側をいう。タイヤ赤道面CLとは、空気入りタイヤ1の回転軸に直交すると共に、空気入りタイヤ1のタイヤ幅の中心を通る平面であり、タイヤ赤道面CLは、空気入りタイヤ1のタイヤ幅方向における中心位置であるタイヤ幅方向中心線と、タイヤ幅方向における位置が一致する。タイヤ幅は、後述する凸部30(図1参照)を除いてタイヤ幅方向において最も外側に位置する部分同士のタイヤ幅方向における幅、つまり、タイヤ幅方向において凸部30を除いてタイヤ赤道面CLから最も離れている部分間の距離である。タイヤ赤道線とは、タイヤ赤道面CL上にあって空気入りタイヤ1のタイヤ周方向に沿う線をいう。また、以下の説明では、タイヤ子午断面とは、タイヤ回転軸を含む平面でタイヤを切断したときの断面をいう。
図1は、実施形態に係る空気入りタイヤ1の要部を示すタイヤ子午断面図である。図1に示す空気入りタイヤ1は、車両に対する装着方向、つまり車両装着時の方向が指定されている。即ち、図1に示す空気入りタイヤ1は、車両装着時に車両の内側に向く側が車両装着方向内側となり、車両装着時に車両の外側に向く側が車両装着方向外側となる。なお、車両装着方向内側及び車両装着方向外側の指定は、車両に装着した場合に限らない。例えば、リム組みした場合に、タイヤ幅方向において、車両の内側及び外側に対するリムの向きが決まっているため、空気入りタイヤ1は、リム組みした場合、タイヤ幅方向において、車両装着方向内側及び車両装着方向外側に対する向きが指定される。また、空気入りタイヤ1は、車両に対する装着方向を示す装着方向表示部(図示省略)を有する。装着方向表示部は、例えば、タイヤのサイドウォール部4に付されたマークや凹凸によって構成される。例えば、ECER30(欧州経済委員会規則第30条)が、車両装着状態にて車両装着方向外側となるサイドウォール部4に装着方向表示部を設けることを義務付けている。また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、主に乗用車に用いられる空気入りタイヤ1になっている。
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、車両装着時での回転方向が指定された空気入りタイヤ1になっており、即ち、車両の前進時において回転軸を中心に指定された回転方向に回転するように車両に装着される空気入りタイヤ1になっている。また、空気入りタイヤ1は、回転方向を示す回転方向表示部(図示省略)を有する。回転方向表示部は、例えば、タイヤのサイドウォール部4に付されたマークや凹凸によって構成される。以下の説明では、タイヤ回転方向における先着側とは、空気入りタイヤ1を指定方向に回転させた際における回転方向側であり、空気入りタイヤ1を車両に装着して指定方向に回転させて走行する場合において、先に路面に接地したり先に路面から離れたりする側である。また、タイヤ回転方向における後着側とは、空気入りタイヤ1を指定方向に回転させた際における回転方向の反対側であり、空気入りタイヤ1を車両に装着して指定方向に回転させて走行する場合において、先着側に位置する部分の後に路面に接地したり、先着側に位置する部分の後に路面から離れたりする側である。
本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、トレッド部2と、その両側のショルダー部3と、各ショルダー部3から順次連続するサイドウォール部4及びビード部5とを有している。また、この空気入りタイヤ1は、カーカス層6と、ベルト層7と、ベルト補強層8と、インナーライナ9とを備えている。
トレッド部2は、タイヤ子午断面で見た場合に、タイヤ径方向の最も外側となる部分にタイヤ周方向に延在して環状に形成されており、空気入りタイヤ1のタイヤ径方向の最も外側で露出し、その外周表面が空気入りタイヤ1の輪郭となる。トレッド部2の外周表面は、主に走行時に路面と接触し得る面である接地面10として形成され、接地面10には、タイヤ周方向に延びる周方向溝16や、タイヤ幅方向に延びるラグ溝(図示省略)等の溝が複数形成されている。また、トレッド部2は、ゴム組成物であるトレッドゴム18を有している。トレッドゴム18は、互いに物性が異なる複数のゴム組成物がタイヤ径方向に積層されていてもよい。
ショルダー部3は、トレッド部2のタイヤ幅方向両外側の部位である。また、サイドウォール部4は、ショルダー部3のタイヤ径方向内側に位置しており、タイヤ幅方向における両側に一対が配設されている。即ち、一対のサイドウォール部4は、トレッド部2のタイヤ幅方向両側に配設されており、換言すると、サイドウォール部4は、タイヤ幅方向における空気入りタイヤ1の両側2箇所に配設されている。このように形成されるサイドウォール部4は、タイヤ子午断面で見た場合に、タイヤ幅方向外側に凸となる方向に湾曲しており、空気入りタイヤ1におけるタイヤ幅方向の最も外側に露出する部分になっている。
また、ビード部5は、一対のサイドウォール部4のそれぞれのタイヤ径方向内側に配設されており、サイドウォール部4と同様に、一対がタイヤ赤道面CLのタイヤ幅方向における両側に配設されている。また、各ビード部5は、ビードコア11とビードフィラー12とを有している。ビードコア11は、スチールワイヤであるビードワイヤをリング状に巻くことにより形成されている。ビードフィラー12は、カーカス層6のタイヤ幅方向端部がビードコア11の位置で折り返されることにより形成された空間に配置されるゴム材になっている。
これらのサイドウォール部4とビード部5とは、タイヤ幅方向における両側に位置するタイヤサイド部20に含まれている。本実施形態において、タイヤサイド部20とは、トレッドゴム18におけるタイヤ径方向内側の位置と、ビード部5の内周面におけるタイヤ幅方向外側の端部であるビードヒール14との間の領域をいう。
カーカス層6は、各タイヤ幅方向端部が、一対のビードコア11でタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に折り返され、且つ、タイヤ周方向にトロイド状に掛け回されてタイヤの骨格を構成するものである。このカーカス層6は、タイヤ周方向に対する角度がタイヤ子午線方向に沿いつつタイヤ周方向にある角度を持って複数並設されたカーカスコード(図示省略)が、コートゴムで被覆されたものである。カーカスコードは、例えば、ポリエステルやレーヨンやナイロン等の有機繊維からなる。このカーカス層6は、少なくとも1層で設けられている。
ベルト層7は、少なくとも2層のベルト7a,7bを積層した多層構造をなし、トレッド部2においてカーカス層6の外周であるタイヤ径方向外側に配置され、カーカス層6をタイヤ周方向に覆うものである。ベルト7a,7bは、タイヤ周方向に対して所定の角度(例えば、20°~30°)で複数並設されたコード(図示省略)が、コートゴムで被覆されたものである。コードは、例えば、スチール、またはポリエステルやレーヨンやナイロン等の有機繊維からなる。また、重なり合うベルト7a,7bは、互いのコードが交差するように配置されている。
ベルト補強層8は、ベルト層7の外周であるタイヤ径方向外側に配置されてベルト層7をタイヤ周方向に覆うものである。ベルト補強層8は、タイヤ周方向に略平行でタイヤ幅方向に複数並設されたコード(図示省略)がコートゴムで被覆されたものである。コードは、例えば、スチール、またはポリエステルやレーヨンやナイロン等の有機繊維からなり、コードの角度はタイヤ周方向に対して±5°の範囲内になっている。本実施形態では、ベルト補強層8は、ベルト層7のタイヤ幅方向における全体を覆うように配設されるベルトカバー8aと、ベルトカバー8aのタイヤ径方向外側におけるベルト層7のタイヤ幅方向端部付近のみに配設されるエッジカバー8bとの2層が積層されている。ベルト補強層8は、これ以外の構成でもよく、ベルト層7全体を覆うように配設されるベルトカバー8aのみや、ベルト層7のタイヤ幅方向端部を覆うように配設されるエッジカバー8bのみで構成されていてもよい。ベルト補強層8は、ベルト層7の少なくともタイヤ幅方向端部に重なって配設されていればよい。これらのように構成されるベルト補強層8は、例えば幅が10mm程度の帯状のストリップ材をタイヤ周方向に巻き付けることにより配設されている。
インナーライナ9は、カーカス層6の内方側、或いは、カーカス層6の、空気入りタイヤ1における内部側に、カーカス層6に沿って配設されている。
図2は、図1に示す空気入りタイヤ1における車両装着方向外側のタイヤサイド部20の詳細図である。本実施形態に係る空気入りタイヤ1には、タイヤサイド部20の表面であるタイヤサイド面21に、複数の凸部30が形成されている。複数の凸部30は、それぞれタイヤサイド面21から突出してタイヤサイド面21に沿って延在して形成されている。凸部30は、タイヤ幅方向両側に位置するタイヤサイド部20のうち、車両装着方向外側のタイヤサイド部20に形成されている。凸部30は、タイヤサイド面21の模様、文字、凹凸等を除いた基準面から突出する凸部になっている。
複数の凸部30は、それぞれタイヤ断面高さSHのタイヤ径方向内側の基準位置であるリム径基準位置BLから、タイヤ径方向外側にタイヤ断面高さSHの15%の位置から85%の位置までの領域である配置可能領域PAに配置されている。ここでいうタイヤ断面高さSHは、トレッド部2における最もタイヤ径方向外側に位置している部分と、リム径基準位置BLとのタイヤ径方向における距離になっている。リム径基準位置BLは、JATMAの規格で定められるリム径を通るタイヤ軸方向線である。つまり、タイヤ断面高さSHは、空気入りタイヤ1を正規リムにリム組みして、正規内圧を充填して、空気入りタイヤ1に荷重を加えない無負荷状態のときの、タイヤ外径とリム径との差の1/2をいう。
また、ここでいう正規リムとは、JATMAで規定する「標準リム」、TRAで規定する「Design Rim」、或いは、ETRTOで規定する「Measuring Rim」である。また、正規内圧とは、JATMAで規定する「最高空気圧」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、或いはETRTOで規定する「INFLATION PRESSURES」である。
また、複数の凸部30は、それぞれタイヤサイド面21におけるタイヤ最大幅位置Wをタイヤ径方向に跨いで形成されている。タイヤ最大幅位置Wは、空気入りタイヤ1を正規リムにリム組みして、正規内圧を充填して、空気入りタイヤ1に荷重を加えない無負荷状態のときの、タイヤサイド面21から突出する模様や文字等の構造物を除いたタイヤ幅方向における寸法が最大となる位置のタイヤ径方向における位置である。なお、リムを保護するリムプロテクトバー(タイヤ周方向に沿って設けられてタイヤ幅方向外側に突出するもの)が設けられたタイヤにおいては、当該リムプロテクトバーの位置が、タイヤ幅方向における寸法が最大となる位置となるが、本実施形態で定義するタイヤ最大幅位置Wは、リムプロテクトバーは除外する。
また、タイヤ幅方向両側に配設されるタイヤサイド部20は、タイヤ最大幅位置Wでの厚さGaが、2mm以上9mm以下の範囲内になっている。この場合におけるタイヤサイド部20の厚さGaは、凸部30の高さを含まない厚さである。即ち、タイヤサイド部20は、タイヤ最大幅位置Wでのタイヤサイド面21から、タイヤ内面までの距離が2mm以上9mm以下の範囲内になっている。なお、タイヤ最大幅位置Wでのタイヤサイド部20の厚さGaは、好ましくは2mm以上6mm以下の範囲内であり、さらに好ましくは、2.5mm以上5mm以下の範囲内である。
図3は、図2のA-A矢視図である。凸部30は、1つのタイヤサイド部20に2箇所以上16箇所以下の範囲内で形成されており、本実施形態では、凸部30は、1つのタイヤサイド部20の8箇所に形成されている。8箇所の凸部30は、タイヤ周方向に等間隔で不連続に配置されている。また、8箇所の凸部30は、ほぼ同じ形状で形成されており、それぞれタイヤサイド面21に沿ってタイヤ周方向に延びつつ、タイヤ周方向に対してタイヤ径方向に傾斜している。なお、1つのタイヤサイド部20に形成される凸部30は、4箇所以上12箇所以下の範囲内であるのが好ましい。
図4は、図3のB部詳細図である。タイヤ周方向に延びる凸部30は、凸部30の延在方向における両端部31のうち、互いに異なる端部31をそれぞれ通りタイヤ径方向に延びる2本の凸部端部位置線Lc同士のタイヤ周方向における相対的な角度α、即ち、2本の凸部端部位置線Lcでなす角度αが、タイヤ周方向における一周の角度2πの6%以上50%以下の範囲内になっている。つまり、1つのタイヤサイド部20に複数配設される凸部30は、それぞれ角度αが、タイヤ周方向における一周の角度2πの6%以上50%以下の範囲内でタイヤ周方向に延在している。このように規定される角度αは、1つの凸部30が配置される範囲のタイヤ周方向における角度になっており、即ち、凸部30のタイヤ周方向における延在角度になっている。
なお、凸部30は、タイヤ周方向における一周の角度2πに対する角度αが、好ましくは8%以上40%以下の範囲内であるのが良く、さらに好ましくは、10%以上30%以下の範囲内であるのが良い。
また、凸部30は、曲率の大きさが互いに異なる部分を有してタイヤサイド面21に沿って延在している。ここでいう曲率の大きさが互いに異なる部分は、曲率が0の部分、即ち、直線となる部分も含んでいる。詳しくは、凸部30は、凸部30が延在する方向が変化する位置である屈曲部40を少なくとも1箇所有しており、各凸部30は、屈曲部40を複数有している。また、各凸部30は、屈曲部40によって区画される延在部50を複数有しており、各延在部50は、延在部50の幅方向における中心線が、それぞれ1つの大きさの曲率で形成される形状になっている。さらに、凸部30が有する複数の延在部50は、1つの凸部30が有する延在部50同士の間で、互いに曲率の大きさが異なるものを含んでいる。つまり、1つの延在部50は、1つの大きさの曲率で形成されると共に、1つの凸部30は、延在部50同士で互いに曲率の大きさが異なる延在部50を有している。これにより、凸部30は、曲率の大きさが互いに異なる部分を有している。
これらのように、幅方向における中心線がそれぞれ1つの大きさの曲率で形成される延在部50は、単一円弧状、または単一直線状の形状でそれぞれタイヤサイド面21に沿って延在して形成されている。即ち、各延在部50は、単一円弧状、または単一直線状の形状で形成されることにより、1つの大きさの曲率で形成されている。ここでいう単一円弧状は、延在部50が湾曲して形成している際に、曲率半径が最も大きい位置と最も小さい位置とのそれぞれの曲率半径同士の相対的な割合の差が、10%以下である形状をいう。また、単一直線状は、延在部50の延在方向の変化が5°以下である形状をいう。また、屈曲部40によって区画される2つの延在部50が共に単一円弧状である場合は、変曲点の位置が屈曲部40になり、延在部50同士が、曲率半径が極小の円弧によって接続される場合は、曲率半径が極小の円弧が形成される範囲が屈曲部40になる。なお、この場合における曲率半径は、延在部50の幅方向における中心線の曲率半径になっている。また、1つの凸部30が有する屈曲部40の数は、2箇所以上4箇所以下の範囲内であるのが好ましい。
本実施形態では、各凸部30は、屈曲部40を2箇所有しており、2箇所の屈曲部40によって延在部50を3箇所有している。即ち、凸部30は、第一延在部51と第二延在部52と第三延在部53との3つの延在部50を有している。このうち、第一延在部51は、1つの凸部30が有する複数の延在部50のうち、長さが最も長い延在部50になっている。また、第二延在部52は、屈曲部40を介して第一延在部51から連続する延在部50になっている。また、第三延在部53は、第二延在部52の延在方向における第一延在部51が位置する側の反対側に位置し、屈曲部40を介して第二延在部52から連続する延在部50になっている。つまり、複数の延在部50のうち、第一延在部51と第三延在部53とは、第一延在部51や第三延在部53の延在方向における一方の端部側のみが屈曲部40によって区画されており、第二延在部52は、第二延在部52の延在方向における両端部が屈曲部40によって区画されている。
また、第一延在部51は、複数の延在部50の中で最もタイヤ径方向外側に配置されており、凸部30は、第一延在部51側から第三延在部53側に向かうに従って、タイヤ径方向外側からタイヤ径内側に向かう方向に、タイヤ周方向に対して傾斜している。このため、第二延在部52は、第一延在部51よりもタイヤ径方向内側に配置され、第三延在部53は、第二延在部52よりもタイヤ径方向内側に配置されている。
1つのタイヤサイド部20に形成される複数の凸部30は、タイヤ周方向における所定の方向に向かう際におけるタイヤ径方向への傾斜方向が、全て同じ方向となって傾斜している(図3参照)。このため、複数の凸部30が有する複数の第一延在部51も、タイヤ周方向に対するタイヤ径方向への傾斜の方向が、全て同じ方向になっている。具体的には、第一延在部51は、空気入りタイヤ1の回転方向における先着側から後着側に向かうに従って、タイヤ径方向における内側から外側に向かう方向にタイヤ周方向に対して傾斜している。また、第二延在部52及び第三延在部53も同様に、空気入りタイヤ1の回転方向における先着側から後着側に向かうに従って、タイヤ径方向における内側から外側に向かう方向にタイヤ周方向に対して傾斜している。
また、凸部30が有する複数の延在部50のうち、第二延在部52は、タイヤ周方向に対するタイヤ径方向への傾きが、第一延在部51のタイヤ周方向に対するタイヤ径方向への傾きよりも大きくなっている。また、第二延在部52は、第三延在部53よりも、タイヤ周方向に対するタイヤ径方向への傾きが大きくなっている。つまり、第一延在部51と第二延在部52と第三延在部53とは、タイヤ周方向における所定の方向に向かう際におけるタイヤ径方向への傾斜方向が同じ方向となって傾斜しつつ、タイヤ周方向に対するタイヤ径方向へ傾きは、第二延在部52が最も大きくなっている。
また、複数の延在部50のうち長さが最も長い第一延在部51は、長さC1(図7参照)が、配置可能領域PAのタイヤ径方向における高さFH(図6参照)の1.0倍以上6.0倍以下の範囲内になっている。つまり、第一延在部51は、長さC1がタイヤ断面高さSHの70%の1.0倍以上6.0倍以下の範囲内になっている。なお、第一延在部51の長さC1は、配置可能領域PAのタイヤ径方向における高さFHに対して、1.5倍以上5.0倍以下の範囲内であるのが好ましい。
また、第一延在部51は、第一延在部51の延在方向における両端部51aのうち、互いに異なる端部51aをそれぞれ通りタイヤ径方向に延びる2本の第一延在部端部位置線Le同士のタイヤ周方向における相対的な角度β、即ち、2本の第一延在部端部位置線Leでなす角度βが、角度αに対して、0.60≦(β/α)≦0.90の範囲内となって形成されている。この角度βは、1つの第一延在部51が配置される範囲のタイヤ周方向における角度になっており、つまり、第一延在部51のタイヤ周方向における延在角度になっている。なお、凸部30の角度αに対する第一延在部51の角度βは、0.70≦(β/α)≦0.85の範囲内であるのが好ましい。
このように形成される第一延在部51は、長さC1(図7参照)が、第二延在部52の長さC2(図7参照)の1.5倍以上30倍以下の範囲内になっている。さらに、第一延在部51の長さC1は、第二延在部52及び第一延在部51以外の延在部50である第三延在部53の長さC3(図7参照)の、1.2倍以上25倍以下の範囲内になっている。なお、第一延在部51の長さC1は、第二延在部52の長さC2の3倍以上20倍以下の範囲内であるのが好ましく、5倍以上15倍以下の範囲内であるのがより好ましい。また、第一延在部51の長さC1は、第三延在部53の長さC3の2倍以上20倍以下の範囲内であるのが好ましく、3倍以上15倍以下の範囲内であるのがより好ましい。
図5は、図3のB部詳細図であり、凸部30が配置される位置についての説明図である。タイヤ周方向に対してタイヤ径方向に傾斜して形成される凸部30は、凸部30のうちタイヤ径方向において最も内側に位置する部分とタイヤ外径部25とのタイヤ径方向における距離Dmaxと、凸部30のうちタイヤ径方向において最も外側に位置する部分とタイヤ外径部25とのタイヤ径方向における距離Dminとの関係が、1.2≦(Dmax/Dmin)≦3.5の範囲内になっている。この場合におけるタイヤ外径部25は、空気入りタイヤ1の外径となる部分であり、即ち、トレッド部2における最もタイヤ径方向外側に位置している部分になっている。また、距離Dmaxは、タイヤ断面高さSHの0.30倍以上0.70倍以下の範囲内になっている。
なお、凸部30は、距離Dmaxと距離Dminとの関係が、1.5≦(Dmax/Dmin)≦2.5の範囲内であるのが好ましい。また、距離Dmaxは、タイヤ断面高さSHの0.35倍以上0.65倍以下の範囲内であるのが好ましく、タイヤ断面高さSHの0.40倍以上0.60倍以下の範囲内であるのがより好ましい。
具体的には、凸部30は、第一延在部51側から第三延在部53側に向かうに従って、タイヤ径方向外側からタイヤ径内側に向かう方向にタイヤ周方向に対して傾斜しているため、凸部30のうちタイヤ径方向において最も内側に位置する部分は、凸部30の延在方向における両端部31のうち第三延在部53側の端部31になっている。このため、距離Dmaxは、凸部30における第三延在部53側の端部31とタイヤ外径部25とのタイヤ径方向における距離になっている。また、凸部30のうちタイヤ径方向において最も外側に位置する部分は、凸部30の延在方向における両端部31のうち第一延在部51側の端部31になっている。このため、距離Dminは、凸部30における第一延在部51側の端部31とタイヤ外径部25とのタイヤ径方向における距離になっている。
図6は、図3のB部詳細図であり、配置可能領域PAに対する凸部30の配置位置についての説明図である。さらに、第一延在部51は、第一延在部51のうちタイヤ径方向において最も内側に位置する部分と、配置可能領域PAの外径部PAoとのタイヤ径方向における距離Amaxと、第一延在部51のうちタイヤ径方向において最も外側に位置する部分と、配置可能領域PAの外径部PAoとのタイヤ径方向における距離Aminとの関係が、1.0≦(Amax/Amin)≦3.5の範囲内になっている。この場合における配置可能領域PAの外径部PAoは、タイヤ径方向における配置可能領域PAの外端を規定する位置になっており、即ち、リム径基準位置BLからタイヤ径方向外側にタイヤ断面高さSHの85%の位置になっている(図2参照)。また、距離Aminは、配置可能領域PAのタイヤ径方向における高さFHとの関係が、0≦Amin≦(FH×0.3)の範囲内になっている。
具体的には、第一延在部51は、第二延在部52が位置する側の反対側の端部51a側から、第二延在部52が位置する側に向かうに従って、タイヤ径方向外側からタイヤ径内側に向かう方向にタイヤ周方向に対して傾斜しているため、第一延在部51のうちタイヤ径方向において最も内側に位置する部分は、第一延在部51の延在方向における両端部51aのうち第二延在部52側の端部51aになっている。このため、距離Amaxは、第一延在部51における第二延在部52側の端部51aと配置可能領域PAの外径部PAoとのタイヤ径方向における距離になっており、第一延在部51において、配置可能領域PAの外径部PAoとのタイヤ径方向における距離がもっとも大きくなる位置での距離になっている。つまり、第一延在部51は、第一延在部51と第二延在部52とを区画する屈曲部40が位置する部分が、第一延在部51において、配置可能領域PAの外径部PAoとのタイヤ径方向における距離がもっとも大きくなる位置になっている。
また、第一延在部51のうちタイヤ径方向において最も外側に位置する部分は、第一延在部51の延在方向における両端部51aのうち第二延在部52が位置する側の反対側の端部51aになっている。このため、距離Aminは、凸部30における第二延在部52が位置する側の反対側の端部51aと配置可能領域PAの外径部PAoとのタイヤ径方向における距離になっており、第一延在部51において、配置可能領域PAの外径部PAoとのタイヤ径方向における距離がもっとも小さくなる位置での距離になっている。
なお、第一延在部51は、これらの距離Amaxと距離Aminとの関係が、1.0≦(Amax/Amin)≦2.0の範囲内であるのが好ましい。また、距離Aminは、配置可能領域PAのタイヤ径方向における高さFHとの関係が、0≦Amin≦(FH×0.2)の範囲内であるのが好ましい。
また、凸部30が有する複数の延在部50のうち、一部の延在部50は、曲率が0より大きく単一円弧状に形成される曲線延在部61になっており、別の一部の延在部50は、単一直線状に形成される直線延在部65になっている。また、凸部30は、曲線延在部61として、曲率の大きさが互いに異なる複数の曲線延在部61を有しており、本実施形態では、第一延在部51と第三延在部53とが、曲線延在部61として設けられている。一方、第二延在部52は、直線延在部65として設けられている。
また、それぞれ曲線延在部61からなる第一延在部51と第三延在部53とは、円弧の向きが互いに異なっている。詳しくは、第一延在部51は、曲率半径Rc1の中心が、第一延在部51に対してタイヤ径方向内側に位置しており、第三延在部53は、曲率半径Rc3の中心が、第三延在部53に対してタイヤ径方向外側に位置している。つまり、第一延在部51は、タイヤ径方向外側に凸となる円弧状に形成されており、第三延在部53は、タイヤ径方向内側に凸となる円弧状に形成されている。なお、凸部30が曲線延在部61を複数有する場合、第一延在部51以外の曲線延在部61は、第三延在部53のように、曲線延在部61の曲率半径の中心が当該曲線延在部61に対してタイヤ径方向外側に位置するものを含んでいるのが好ましい。
また、1つの凸部30が有する複数の延在部50の中で長さが最も長い第一延在部51は、同じ凸部30が有する複数の曲線延在部61のうち、曲率が最も小さい曲線延在部61によって形成されている。即ち、第一延在部51は、1つの凸部30が有する複数の曲線延在部61の中で、曲率半径が最も大きくなっている。具体的には、第一延在部51は、曲率半径Rc1が、複数の曲線延在部61のうち、曲率半径が最も小さい曲線延在部61である最小曲線延在部62の曲率半径の1.2倍以上10.0倍以下の範囲内になっている。本実施形態では、凸部30は、曲線延在部61として第一延在部51と第三延在部53とを有しており、1つの凸部30が有する複数の曲線延在部61のうち最小曲線延在部62は、第三延在部53になっている。このため、第一延在部51は、曲率半径Rc1が、第三延在部53の曲率半径Rc3の1.2倍以上10.0倍以下の範囲内になっている。
なお、曲線延在部61からなる第一延在部51の曲率半径Rc1は、同じ凸部30における最小曲線延在部62の曲率半径の1.3倍以上8.0倍以下の範囲内であるのが好ましく、1.5倍以上5.0倍以下の範囲内であるのがより好ましい。
さらに、第一延在部51は、曲率半径Rc1の大きさが、タイヤ外径部25の曲率半径Rctの大きさに近くなっており、第一延在部51の曲率半径Rc1は、タイヤ外径部25の曲率半径Rctの50%以上200%以下の範囲内になっている。なお、第一延在部51の曲率半径Rc1は、タイヤ外径部25の曲率半径Rctの60%以上150%以下の範囲内であるのが好ましく、タイヤ外径部25の曲率半径Rctの70%以上130%以下の範囲内であるのがより好ましい。
図7は、図5に示す凸部30の詳細図である。凸部30は、凸部30の形状に沿った長さC0、即ち、凸部30の延在方向に沿った長さC0が、配置可能領域PAのタイヤ径方向における高さFH(図6参照)の1.5倍以上7.0倍以下の範囲内になっている。つまり、凸部30は、長さC0がタイヤ断面高さSHの70%の1.5倍以上7.0倍以下の範囲内になっている。なお、凸部30の長さC0は、配置可能領域PAのタイヤ径方向における高さFHに対して、2.0倍以上6.0倍以下の範囲内であるのが好ましく、2.5倍以上5.5倍以下の範囲内であるのがより好ましい。
また、凸部30は、第一延在部51が、凸部30が有する複数の延在部50のうち長さが最も長い延在部50になっているため、第一延在部51は、第一延在部51に形状に沿った長さC1が、第二延在部52や第三延在部53よりも長くなっている。つまり、第一延在部51の長さC1は、第二延在部52の形状に沿った第二延在部52の長さC2や、第三延在部53の形状に沿った第三延在部53の長さC3よりも長くなっている。
また、凸部30は、第一延在部51の幅方向における中心線51cと、第二延在部52の幅方向における中心線52cとでなす角度θ1が、90°≦θ1≦170°の範囲内になっている。また、凸部30は、第二延在部52の幅方向における中心線52cと、第三延在部53の幅方向における中心線53cとでなす角度θ2も、90°≦θ2≦170°の範囲内になっている。つまり、屈曲部40により区画される複数の延在部50を有する凸部30は、屈曲部40を介して連続する2つの延在部50の、それぞれの幅方向における中心線同士でなす角度θnが、90°≦θn≦170°の範囲内になっている。なお、これらの角度θ1や角度θ2、即ち、角度θnは、110°以上160°以下の範囲内であるのが好ましい。
図8は、図7に示す第一延在部51の中心線51cと第二延在部52の中心線52cとでなす角度θ1についての説明図である。ここで、延在部50は、単一円弧状、または単一直線状の形状で形成されているが、屈曲部40を介して連続する2つの延在部50の中心線同士でなす角度θnの測定方法の一例として、第一延在部51、第二延在部52、第三延在部53が、いずれも単一円弧状の形状で形成される場合について説明する。延在部50が円弧状に形成されている場合における、屈曲部40を介して連続する2つの延在部50の中心線同士でなす角度θnは、屈曲部40に中心が位置する所定の大きさの半径の円とそれぞれの延在部50の中心線とが交差する位置と、屈曲部40とを結ぶそれぞれの仮想線同士の角度を、便宜上、2つの延在部50の中心線同士でなす角度θnとする。
例えば、第一延在部51と第二延在部52とのうちの少なくとも一方が単一円弧状の形状で形成される場合における、第一延在部51の中心線51cと第二延在部52の中心線52cとでなす角度θ1は、屈曲部40に中心が位置する所定の大きさの半径の円と第一延在部51の中心線51cや第二延在部52の中心線52cとが交差する位置と、屈曲部40とをそれぞれ結ぶ仮想線同士の角度を、便宜上角度θ1とする。
具体的には、第一延在部51と第二延在部52とのうち、長さが短い側の延在部50である第二延在部52の長さの1/2の大きさを半径とする仮想円Vcを、屈曲部40に中心が位置するように設定し、第一延在部51の中心線51cと仮想円Vcとの交差部51xと、屈曲部40とを結ぶ線を第一延在部51の仮の中心線51c1とする。同様に、第二延在部52の中心線52cと仮想円Vcとの交差部52xと、屈曲部40とを結ぶ線を第二延在部52の仮の中心線52c1とする。このように設定する第一延在部51の仮の中心線51c1と、第二延在部52の仮の中心線52c1とでなす角度を、第一延在部51の幅方向における中心線51cと、第二延在部52の幅方向における中心線52cとでなす角度θ1としてもよい。第一延在部51と第二延在部52とは、このように設定される角度θ1が、90°≦θ1≦170°の範囲内になっている。なお、本実施形態では、第二延在部52は、単一直線状に形成されているため、第二延在部52の仮の中心線52c1は、第二延在部52の中心線52cとほぼ一致する。
第二延在部52の幅方向における中心線52cと、第三延在部53の幅方向における中心線53cとでなす角度θ2も同様の手法で、角度θ2を導き出してもよい。
第二延在部52は、タイヤ周方向に対するタイヤ径方向への傾きが、第一延在部51や第三延在部53のタイヤ周方向に対するタイヤ径方向への傾きよりも大きくなっているが、第一延在部51、第二延在部52、第三延在部53のタイヤ周方向に対するタイヤ径方向への傾きも、屈曲部40を中心とする所定の大きさの半径の円に基づいて導き出してもよい。
図9は、図7に示す延在部50の傾きの比較についての説明図である。例えば、第一延在部51と第二延在部52とのタイヤ周方向に対するタイヤ径方向への傾きを比較する際には、第一延在部51の中心線51cと第二延在部52の中心線52cとでなす角度θ1を求める際の方法と同様に、仮想円Vcを用いて第一延在部51の仮の中心線51c1と第二延在部52の仮の中心線52c1とを設定する。また、タイヤ回転軸上に中心が位置し、仮想円Vcの中心、即ち、第一延在部51の仮の中心線51c1と第二延在部52の仮の中心線52c1との接続部を通る基準円Lb1を設定し、仮想円Vcの中心を通る基準円Lb1の接線Lt1を設定する。第二延在部52は、これらのように設定される仮の中心線52c1と接線Lt1との角度θa2が、第一延在部51の仮の中心線51c1と接線Lt1との角度θa1よりも大きくなっている。このため、第二延在部52は、タイヤ周方向に対するタイヤ径方向への傾きが、第一延在部51のタイヤ周方向に対するタイヤ径方向への傾きよりも大きくなっている。
第二延在部52と第三延在部53とのタイヤ周方向に対するタイヤ径方向への傾きを比較する際には、第二延在部52と第三延在部53とのうち、長さが短い側の延在部50である第二延在部52の長さの1/2の大きさを半径とする仮想円Vcを、第二延在部52と第三延在部53とを区画する屈曲部40に中心が位置するように設定し、第二延在部52の中心線52cと仮想円Vcとの交差部52xと、屈曲部40とを結ぶ線を第二延在部52の仮の中心線52c1’とする。同様に、第三延在部53の中心線53cと仮想円Vcとの交差部53xと、屈曲部40とを結ぶ線を第三延在部53の仮の中心線53c1とする。
また、タイヤ回転軸上に中心が位置し、第二延在部52の仮の中心線52c1’と第三延在部53の仮の中心線53c1との接続部を通る基準円Lb3を設定し、仮想円Vcの中心を通る基準円Lb3の接線Lt3を設定する。第二延在部52は、これらのように設定される仮の中心線52c1と接線Lt3との角度θa2’が、第三延在部53の仮の中心線53c1と接線Lt3との角度θa3よりも大きくなっている。このため、第二延在部52は、タイヤ周方向に対するタイヤ径方向への傾きが、第三延在部53のタイヤ周方向に対するタイヤ径方向への傾きよりも大きくなっている。即ち、第二延在部52は、タイヤ周方向に対するタイヤ径方向への傾きが、第一延在部51や第三延在部53のタイヤ周方向に対するタイヤ径方向への傾きよりも大きくなっている。なお、本実施形態では、第二延在部52は、単一直線状に形成されているため、第二延在部52の仮の中心線52c1’は、第二延在部52の中心線52cとほぼ一致する。
図10Aは、図7のD1-D1断面図である。図10Bは、図7のD2-D2断面図である。図10Cは、図7のD3-D3断面図である。凸部30は、凸部30の延在方向に見た場合における断面形状が、凸部30の高さ方向が長手方向となる略長方形の形状で形成されている。また、凸部30が有する複数の延在部50は、屈曲部40を跨る位置で幅Wcや高さHcが変化している。この場合における延在部50の幅Wcは、凸部30がタイヤサイド面21から突出する方向に延在部50を見た場合における、延在部50の延在方向に直交する方向の延在部50の幅である。また、延在部50の高さHcは、タイヤサイド面21からの高さになっている。
複数の延在部50は、このように規定される幅Wcや高さHcが、延在部50ごとに異なっている。即ち、凸部30は、第一延在部51と第二延在部52と第三延在部53とで、幅Wcや高さHcが異なっている。本実施形態では、第二延在部52の幅W2は、平均の幅が、第一延在部51の幅W1や第三延在部53の幅W3のそれぞれの平均の幅よりも大きくなっている。また、第二延在部52の高さH2も、平均の高さが、第一延在部51の高さH1や第三延在部53の高さH3のそれぞれの平均の高さよりも高くなっている。
図11は、凸部30の最大幅部Wmの位置についての説明図である。複数の延在部50は、1つの延在部50内では、当該延在部50の最大幅に対して、幅Wcが0.1倍以上1.0倍以下の範囲内になっている。また、複数の延在部50のうち、長さが最も長い延在部50である第一延在部51は、最大幅が0.5mm以上7.0mm以下の範囲内になっており、第一延在部51の最大幅は、1.0mm以上3.0mm以下の範囲内であるのが好ましい。また、第二延在部52は、最大幅が第一延在部51の最大幅より大きくなっており、詳しくは、第二延在部52は、最大幅が第一延在部51の最大幅の1.5倍以上5倍以下の範囲内になっている。
また、第二延在部52は、第三延在部53に対しても、最大幅が第三延在部53の最大幅より大きくなっている。このため、凸部30は、凸部30において最大幅となる部分である最大幅部Wmが、第二延在部52に位置している。凸部30は、このように第二延在部52に位置する凸部30の最大幅部Wmのタイヤ径方向における位置が、リム径基準位置BLからタイヤ径方向外側にタイヤ断面高さSHの0.40倍以上0.60倍以下の範囲内に含まれている。なお、凸部30の最大幅部Wmのタイヤ径方向における位置は、リム径基準位置BLからタイヤ径方向外側にタイヤ断面高さSHの0.45倍以上0.55倍以下の範囲内に含まれるのが好ましい。
図12は、図7に示す凸部30のE-E方向視における模式図である。凸部30は、高さHcが延在部50ごとに異なっているため、換言すると、タイヤサイド面21からの高さHcが凸部30の位置によって異なっており、タイヤサイド面21からの高さHcや、高さHcの変化の仕方が、延在部50ごとに異なっている。例えば、第一延在部51は、タイヤサイド面21からの高さH1が、第二延在部52が位置する側から、第二延在部52が位置する側の反対側に位置する端部51aに向かうに従って低くなっている。このように形成される第一延在部51は、第二延在部52よりもタイヤ径方向外側に配置され、タイヤ周方向に対してタイヤ径方向に傾いているため、第一延在部51は、タイヤ径方向外側に向かうに従ってタイヤサイド面21からの高さH1が低くなっており、タイヤサイド面21からの高さH1が、タイヤ径方向外側の端部51aの位置で最も低くなっている(図2参照)。つまり、第一延在部51は、配置可能領域PAの外径部PAoとのタイヤ径方向における距離がもっとも小さい距離Amin(図6参照)となる位置でのタイヤサイド面21からの高さH1が、最も低くなっている。
また、第三延在部53も第一延在部51と同様に、タイヤサイド面21からの高さH3が、第二延在部52が位置する側から、第二延在部52が位置する側の反対側に位置する端部53aに向かうに従って低くなっている(図12参照)。このように形成される第三延在部53は、第二延在部52よりもタイヤ径方向内側に配置され、タイヤ周方向に対してタイヤ径方向に傾いているため、第三延在部53は、タイヤ径方向内側に向かうに従ってタイヤサイド面21からの高さH3が低くなっており、タイヤサイド面21からの高さH3が、タイヤ径方向内側の端部53aの位置で最も低くなっている(図2参照)。
また、複数の延在部50のうち、延在部50ごとのタイヤサイド面21からの平均高さである延在部平均高さが最も高くなる延在部50である最高延在部56は、第一延在部51以外の延在部50のうちのいずれかになっている。本実施形態では、最高延在部56は、複数の延在部50のうち屈曲部40を介して第一延在部51から連続する延在部50である第二延在部52になっている。このため、最高延在部56は、複数の延在部50の中でタイヤ周方向に対するタイヤ径方向への傾きが最も大きい延在部50になっている。最高延在部56である第二延在部52は、延在部平均高さが3mm以上10mm以下の範囲内になっている。
また、複数の延在部50のうち、最高延在部56以外の延在部50は、延在部平均高さが最高延在部56の延在部平均高さの0.1倍以上0.8倍以下の範囲内になっている。つまり、最高延在部56以外の延在部50である第一延在部51と第三延在部53とは、延在部平均高さが、最高延在部56である第二延在部52の延在部平均高さの0.1倍以上0.8倍以下の範囲内になっている。
また、最高延在部56である第二延在部52のタイヤサイド面21からの高さH2が最も高くなる部分である最大高さ部Hmのタイヤ径方向における位置は、リム径基準位置BLからタイヤ径方向外側に、タイヤ断面高さSHの0.40倍の位置から0.60倍の位置までの範囲内に含まれている(図2参照)。つまり、凸部30は、タイヤサイド面21からの高さが最も高くなる部分である最大高さ部Hmのタイヤ径方向における位置が、リム径基準位置BLからタイヤ径方向外側にタイヤ断面高さSHの0.40倍以上0.60倍以下の範囲内に含まれている。なお、凸部30の最大高さ部Hmのタイヤ径方向における位置は、リム径基準位置BLからタイヤ径方向外側にタイヤ断面高さSHの0.45倍以上0.55倍以下の範囲内に含まれるのが好ましい。
また、第二延在部52は、タイヤサイド面21からの最大高さが、第二延在部52の最大幅の1.1倍以上3.0倍以下の範囲になっている。即ち、第二延在部52は、最大高さ部Hmでの高さHcが、第二延在部52の最大幅部Wm(図11参照)での幅Wcの1.1倍以上3.0倍以下の範囲になっている。これに対し、第一延在部51は、タイヤサイド面21からの最大高さが、第一延在部51の最大幅の1.1倍以上5.0倍以下の範囲になっている。
図13は、第一延在部51と第三延在部53との略平行についての説明図である。凸部30が有する第一延在部51と第三延在部53とは、第一延在部51の幅方向における中心線51cと、第三延在部53の幅方向における中心線53cとが、略平行になっている。この場合における平行は、第一延在部51の中心線51cと第三延在部53の中心線53cとのタイヤ周方向に対するタイヤ径方向への傾斜角が、互いに同程度であることを示している。つまり、第一延在部51の中心線51cと第三延在部53の中心線53cとは、第一延在部51に交差してタイヤ中心を通る仮想線51bと第一延在部51の中心線51cとでなす角度θb1と、第三延在部53に交差してタイヤ中心を通る仮想線53bと第三延在部53の中心線53cとでなす角度θb3との差が、所定の範囲内になっている。本実施形態では、比較する角度の差が±10°以内の形態を略平行という。
具体的には、第一延在部51と第三延在部53とのうち、長さが短い側の延在部50である第三延在部53の長さの1/2の大きさを半径とする仮想円Vpを、第一延在部51における第三延在部53寄りの端部51aを中心として設定し、第一延在部51の中心線51cと仮想円Vpとの交差部51yと、第一延在部51の端部51aとを結ぶ線を第一延在部51の仮の中心線51c2とする。同様に、第三延在部53における第一延在部51寄りの端部53aを中心として仮想円Vpを設定し、第三延在部53の中心線53cと仮想円Vpとの交差部53yと、第三延在部53の端部53aとを結ぶ線を第三延在部53の仮の中心線53c2とする。
また、第一延在部51における第三延在部53寄りの端部51aとタイヤ中心とを結ぶ仮想線51bと、第三延在部53における第一延在部51寄りの端部53aとタイヤ中心とを結ぶ仮想線53bとをそれぞれ設定する。
第一延在部51と第三延在部53とは、これらのように設定する第一延在部51の仮の中心線51c2と仮想線51bとでなす角度θb1と、第三延在部53の仮の中心線53c2と仮想線53bとでなす角度θb3との差が、±10°になっている。これにより、第一延在部51の中心線51cと第三延在部53の中心線53cとは、タイヤ周方向に対するタイヤ径方向への傾斜角が互いに同程度になっており、第一延在部51の中心線51cと第三延在部53の中心線53cとは、略平行になっている。
図14は、隣り合う凸部30同士のオーバーラップ部55についての説明図である。凸部30は、異なる凸部30とタイヤ周方向にオーバーラップする部分であるオーバーラップ部55を有している。具体的には、オーバーラップ部55は、タイヤ周方向に隣り合う凸部30同士における、タイヤ径方向における位置が異なりつつタイヤ周方向における位置が同じなる部分になっている。換言すると、オーバーラップ部55は、タイヤ周方向に隣り合う2つの凸部30によって形成されており、タイヤ周方向に隣り合う凸部30同士における、タイヤ周方向に重なる部分になっている。
つまり、凸部30は、タイヤ周方向に向かいつつ、タイヤ周方向に対してタイヤ径方向に傾斜して形成されているため、各凸部30は、凸部30の延在方向における一方の端部31と他方の端部31とで、タイヤ径方向における位置が異なっている。また、1つのタイヤサイド部20に形成される複数の凸部30は、タイヤ周方向に対するタイヤ径方向への傾斜方向が、全て同じ方向になっている。このため、隣り合う凸部30同士は、互いに他方の凸部30寄りに位置する端部31のタイヤ径方向における位置が異なっている。これにより、隣り合う凸部30同士は、他方の凸部30寄りに位置する互いの端部31付近を、タイヤ周方向において他方の凸部30が配置されている範囲内に位置させることにより、凸部30同士をオーバーラップさせることができる。オーバーラップ部55は、このようにタイヤ周方向に隣り合う凸部30同士のそれぞれの一部を、他方の凸部30が配置されているタイヤ周方向の範囲内に位置させることにより形成されている。
このように形成される凸部30のオーバーラップ部55は、オーバーラップ部55がタイヤ周方向に延在する範囲のタイヤ周方向における角度γが、1つの凸部30が配置される範囲のタイヤ周方向における角度α(図4参照)に対して、0.05≦(γ/α)≦0.30の範囲内になっている。なお、オーバーラップ部55の角度γは、凸部30の角度αに対して0.10≦(γ/α)≦0.20の範囲内であるのが好ましい。
図15は、図14に示すオーバーラップ部55の詳細図である。オーバーラップ部55でオーバーラップする2つの凸部30は、オーバーラップする部分同士のタイヤ方向における最大距離Pmaxと最小距離Pminとの関係が、1.0≦(Pmax/Pmin)≦2.0の範囲内になっている。この場合に最大距離Pmaxは、タイヤ周方向に隣り合う凸部30同士によって形成されるオーバーラップ部55における、一方の凸部30と他方の凸部30とのタイヤ径方向における距離が最も大きい部分でのタイヤ径方向における距離になっている。最小距離Pminは、タイヤ周方向に隣り合う凸部30同士によって形成されるオーバーラップ部55における、一方の凸部30と他方の凸部30とのタイヤ径方向における距離が最も小さい部分でのタイヤ径方向における距離になっている。このうち、最小距離Pminは、タイヤ断面高さSHに対して、0.15≦(Pmin/SH)≦0.30の範囲内になっている。
なお、オーバーラップ部55でオーバーラップする部分同士のタイヤ方向における最大距離Pmaxと最小距離Pminとは、1.0≦(Pmax/Pmin)≦1.5の範囲内であるのが好ましい。つまり、最大距離Pmaxと最小距離Pminとは、Pmax=Pminであってもよく、即ち、オーバーラップ部55でオーバーラップする2つの凸部30は、互いに平行であってもよい。また、タイヤ断面高さSHに対する最小距離Pminは、0.18≦(Pmin/SH)≦0.25の範囲内であるのが好ましい。
1つのタイヤサイド部20に形成される複数の凸部30は、全て、タイヤ周方向に隣り合う凸部30同士がオーバーラップしている(図3参照)。このため、1つのタイヤサイド部20に形成される複数の凸部30は、隣り合う凸部30同士がオーバーラップ部55でオーバーラップすることにより、タイヤ周上のいずれの位置においても凸部30が1つ以上配設されている。
また、凸部30は、タイヤ周方向に隣り合う凸部30同士が全てオーバーラップしているため、1つのタイヤサイド部20に形成される複数の凸部30の角度αの総和は、タイヤ周方向における一周の角度2πよりも大きくなっている。具体的には、1つのタイヤサイド部20に形成される複数の凸部30の角度αの総和は、タイヤ周方向における一周の角度2πの105%以上200%以下の範囲内になっている。なお、1つのタイヤサイド部20に形成される複数の凸部30の角度αの総和は、タイヤ周方向における一周の角度2πの110%以上190%以下の範囲内であるのが好ましく、115%以上180%以下の範囲内であるのがより好ましい。
本実施形態に係る空気入りタイヤ1を車両に装着する際には、ビード部5にリムホイールを嵌合することによってリムホイールに空気入りタイヤ1をリム組みし、内部に空気を充填してインフレートした状態で車両に装着する。その際に、本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、車両に対する装着方向と、車両装着時における回転方向が指定されているため、指定されている方向で車両に装着する。即ち、サイドウォール部4に付された装着方向表示部及び回転方向表示部によって指定されている方向で車両に装着する。具体的には、タイヤ幅方向両側に位置するタイヤサイド部20のうち、凸部30が形成される側のタイヤサイド部20が車両装着方向外側に位置する向きで車両に装着する。
空気入りタイヤ1を装着した車両が走行すると、接地面10のうち下方に位置して路面に対向する部分が路面に接触しながら当該空気入りタイヤ1は回転する。車両は、接地面10と路面との間の摩擦力により、駆動力や制動力を路面に伝達したり、旋回力を発生させたりすることにより走行する。例えば、空気入りタイヤ1を装着した車両で乾燥した路面を走行する場合には、主に接地面10と路面との間の摩擦力により、駆動力や制動力を路面に伝達したり、旋回力を発生させたりすることにより走行する。また、濡れた路面を走行する際には、接地面10と路面との間の水が、接地面10に形成される周方向溝16やラグ溝等の溝に入り込み、これらの溝で接地面10と路面との間の水を排水しながら走行する。これにより、接地面10は路面に接地し易くなり、接地面10と路面との間の摩擦力により、車両は所望の走行をすることが可能になる。
ここで、車両の走行時には、空気入りタイヤ1は、接地面10以外の部位が接触することがある。例えば、空気入りタイヤ1が縁石に乗り上げる際や、駐車時等に空気入りタイヤ1が縁石に接近し過ぎた際には、タイヤサイド面21が縁石に接触することがある。この場合、タイヤサイド面21における縁石に接触した部分に亀裂が発生し、タイヤサイド部20が損傷する虞があり、タイヤサイド部20の損傷が原因となって、空気入りタイヤ1にパンク等の故障が発生する虞がある。
これに対し、本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、タイヤサイド部20のタイヤサイド面21に、凸部30が形成されている。このため、縁石等の障害物がタイヤサイド面21に接触する際でも、障害物は凸部30に接触するため、障害物がタイヤサイド面21に接触することに起因するタイヤサイド部20の損傷を抑制することができる。これにより、耐外傷性を向上させることができる。
また、このようにタイヤサイド部20に形成される凸部30は、車両の走行時に空気入りタイヤ1が回転した際に、凸部30の周辺の空気に乱流を発生させることができる。これにより、空気抵抗の増加を抑えることができる。つまり、空気入りタイヤ1が回転した際には、タイヤサイド面21から突出する凸部30の周囲には乱流境界層が発生するため、タイヤサイド面21が周囲の空気に対して高速で移動することによる、タイヤサイド面21からの空気の剥離が発生し難くなる。このため、空気入りタイヤ1の周囲の空気がタイヤサイド面21から剥離することに起因する空気抵抗の増加を抑えることができ、空気入りタイヤ1の回転時における転がり抵抗を低減することができる。これにより、燃費性能を向上させることができる。
また、凸部30は、曲率の大きさが互いに異なる部分を有して延在するため、凸部30に沿って流れる空気の流れ方向を、曲率の大きさが異なる部分の間で変化させることができ、より効果的に乱流を発生させることができる。これにより、より確実に空気抵抗の増加を抑えることができ、空気入りタイヤ1の回転時における転がり抵抗を低減することができる。また、凸部30は、曲率の大きさが互いに異なる部分を有して延在することにより、延在方向における位置によって延在方向が実質的に変化する。このため、タイヤサイド面21のより広い範囲を、凸部30によって保護することができ、耐外傷性を向上させることができる。
また、タイヤ最大幅位置Wでのタイヤサイド部20の厚さGaが、2mm以上9mm以下の範囲内であるため、タイヤサイド部20の損傷を抑制しつつ空気入りタイヤ1の軽量化を図ることができ、転がり抵抗を低減することができる。つまり、タイヤ最大幅位置Wでのタイヤサイド部20の厚さGaが2mm未満である場合には、タイヤサイド部20の厚さGaが薄過ぎるため、タイヤサイド部20の凸部30を設けても凸部30に障害物が接触した際にタイヤサイド部20が損傷する虞がある。また、タイヤ最大幅位置Wでのタイヤサイド部20の厚さGaが9mmを超える場合には、タイヤサイド部20の重量が大きくなるため、転がり抵抗が悪化する虞がある。
これに対し、タイヤ最大幅位置Wでのタイヤサイド部20の厚さGaが、2mm以上9mm以下の範囲内である場合は、タイヤサイド部20の損傷を抑制しつつ空気入りタイヤ1の軽量化を図ることができ、転がり抵抗を低減することができる。これらの結果、耐外傷性及び燃費性能を両立することができる。
また、凸部30は、曲線延在部61からなる第一延在部51と、直線延在部65からなる第二延在部52と、曲線延在部61からなる第三延在部53とが連続して形成されるため、曲線延在部61と直線延在部65との間で、より確実に乱流を発生させることができる。これにより、凸部30で発生させる乱流によって、空気入りタイヤ1の回転時における空気抵抗の増加を効果的に抑えることができ、より確実に転がり抵抗を低減することができる。この結果、より確実に燃費性能を向上させることができる。
また、凸部30は、凸部30の形状に沿った長さC0が、タイヤ断面高さSHの70%の1.5倍以上7.0倍以下の範囲内であるため、凸部30によってより確実にタイヤサイド部20を保護したり、乱流を発生させたりすることができる。つまり、凸部30の長さC0が、タイヤ断面高さSHの70%の1.5倍未満である場合は、凸部30の長さC0が短過ぎるため、タイヤサイド面21に接触しそうな障害物を凸部30に接触させるのが困難になり、タイヤサイド部20の損傷を抑制するのが困難になる虞がある。また、凸部30の長さC0が、タイヤ断面高さSHの70%の1.5倍未満である場合は、凸部30の長さC0が短過ぎるため、凸部30で乱流を発生させ難くなる虞がある。この場合、空気入りタイヤ1の回転時に、タイヤサイド面21の周囲の空気に剥離が発生することを凸部30によって抑制するのが困難になり、空気抵抗の増加を抑えて転がり抵抗を低減するのが困難になる虞がある。また、凸部30の長さC0が、タイヤ断面高さSHの70%の7.0倍を超える場合は、凸部30の長さC0が長過ぎるため、空気入りタイヤ1の製造時における加硫成形時に、凸部30を適切に成形するのが困難になる虞がある。この場合、凸部30に部分的に欠けが生じる等、所望の形状で凸部30が成形されなくなる虞があり、凸部30でタイヤサイド部20を保護したり、乱流を発生させたりする効果が低減する虞がある。
これに対し、凸部30の長さC0が、タイヤ断面高さSHの70%の1.5倍以上7.0倍以下の範囲内である場合は、タイヤサイド面21に接触しそうな障害物に対して凸部30を接触させ易くすることができると共に、凸部30によって効果的に乱流を発生させることができる。また、凸部30を精度良く成形することができるため、凸部30でより確実にタイヤサイド部20を保護したり、乱流を発生させたりすることができる。この結果、耐外傷性及び燃費性能を、より確実に両立することができる。
また、凸部30は、第一延在部51の長さC1が、タイヤ断面高さSHの70%の1.0倍以上6.0倍以下の範囲内であるため、空気入りタイヤ1の重量が増加し過ぎることを抑えつつ、タイヤサイド面21に接触しそうな障害物に対して凸部30を接触させ易くすることができ、また、凸部30によって効果的に乱流を発生させることができる。つまり、第一延在部51の長さC1が、タイヤ断面高さSHの70%の1.0倍未満である場合は、第一延在部51の長さC1が短過ぎるため、縁石等の障害物がタイヤサイド面21に接触する際に、第一延在部51に障害物が接触し難くなる虞がある。このため、凸部30は、障害物がタイヤサイド面21に接触することを抑制し難くなり、タイヤサイド部20の損傷を抑制し難くなる虞がある。また、第一延在部51の長さC1が、タイヤ断面高さSHの70%の1.0倍未満である場合は、第一延在部51の長さが短過ぎるため、凸部30を設けても、凸部30の周辺の空気に乱流を発生させるのが困難になる虞がある。この場合、空気入りタイヤ1の回転時に、空気入りタイヤ1の周囲の空気がタイヤサイド面21から剥離することを凸部30によって抑制するのが困難になり、空気抵抗の増加を抑えて転がり抵抗を低減するのが困難になる虞がある。
また、第一延在部51の長さC1が、タイヤ断面高さSHの70%の6.0倍を超える場合は、第一延在部51の長さが長過ぎるため、第一延在部51の重量が大きくなり過ぎる虞があり、タイヤサイド部20に凸部30を設けることに伴って、空気入りタイヤ1の重量が増加し過ぎる虞がある。この場合、凸部30によって空気抵抗の増加を抑えても、空気入りタイヤ1の重量が大きくなるため、これにより転がり抵抗が悪化する虞がある。
これに対し、第一延在部51の長さC1が、タイヤ断面高さSHの70%の1.0倍以上6.0倍以下の範囲内である場合は、空気入りタイヤ1の重量が増加し過ぎることを抑えつつ、タイヤサイド面21に接触しそうな障害物に対して凸部30を接触させ易くすることができ、また、凸部30によって効果的に乱流を発生させることができる。これにより、タイヤサイド部20の損傷を凸部30によって効果的に抑制することができると共に、空気入りタイヤ1の回転時における空気抵抗の増加を抑えることができるため、転がり抵抗を低減することができる。この結果、耐外傷性及び燃費性能を、より確実に両立することができる。
また、凸部30は、第一延在部51の長さC1が、第二延在部52の長さC2の1.5倍以上30倍以下の範囲内であるため、より効果的に乱流を発生させることができ、また、第一延在部51を精度良く成形して、より確実に第一延在部51によってタイヤサイド部20を保護したり、乱流を発生させたりすることができる。つまり、第一延在部51の長さC1が、第二延在部52の長さC2の1.5倍未満である場合は、第一延在部51の長さC1が短過ぎるため、凸部30を設けても、凸部30の周辺の空気に効果的に乱流を発生させるのが困難になる虞がある。この場合、空気入りタイヤ1の回転時の空気抵抗の増加を抑えて転がり抵抗を低減するのが困難になる虞がある。
また、第一延在部51の長さC1が、第二延在部52の長さC2の30倍よりも長い場合は、第一延在部51の長さC1が長過ぎるため、空気入りタイヤ1の製造時における加硫成形時に、第一延在部51を適切に成形するのが困難になる虞がある。つまり、凸部30は、凸部30の形状が形成された金型を用いて、加硫成形前のタイヤである、いわゆるグリーンタイヤを加硫成形することにより形成するが、第一延在部51の長さC1が長過ぎる場合は、金型における第一延在部51を形成する部分も長くなる。このため、この場合は、金型における第一延在部51を形成する部分が長過ぎるため、グリーンタイヤを加硫成形する際に、金型における第一延在部51を形成する部分にゴムが行き渡り難くなるため、第一延在部51を精度良く成形するのが困難になる虞がある。第一延在部51を精度良く成形できない場合は、部分的に欠けが生じる等、所望の形状で第一延在部51が成形されなくなる虞があり、第一延在部51でタイヤサイド部20を保護したり、乱流を発生させたりする効果が低減する虞がある。
これに対し、第一延在部51の長さC1が、第二延在部52の長さC2の1.5倍以上30倍以下の範囲内である場合は、第一延在部51を有する凸部30によって効果的に乱流を発生させることができ、また、第一延在部51を精度良く成形することができるため、第一延在部51でより確実にタイヤサイド部20を保護したり、乱流を発生させたりすることができる。この結果、耐外傷性及び燃費性能を、より確実に両立することができる。
また、第一延在部51は、曲線延在部61からなるため、第一延在部51の長さC1を長くすることができ、第一延在部51を有する凸部30によって、凸部30の周辺の空気に効果的に乱流を発生させることができる。さらに、第一延在部51は、複数の曲線延在部61のうち、曲率が最も小さい曲線延在部61によって形成されるため、第一延在部51の長さC1を、より確実に長くすることができる。即ち、第一延在部51をなす曲線延在部61の曲率の大きさが、例えば、タイヤ外径部25の曲率の大きさに近い場合は、第一延在部51の延在方向をタイヤ周方向に近付けることができ、第一延在部51の長さC1を、より確実に長くすることができる。これにより、凸部30によって効果的に乱流を発生させることができると共に、長さC1が長い第一延在部51によって、タイヤサイド部20をより確実に保護することができる。この結果、耐外傷性及び燃費性能を、より確実に両立することができる。
また、第一延在部51は、曲率半径Rc1が、タイヤ外径部25の曲率半径Rctの50%以上200%以下の範囲内であるため、より確実に効果的に乱流を発生させることができ、また、より確実にタイヤサイド部20を保護することができる。つまり、第一延在部51の曲率半径Rc1が、タイヤ外径部25の曲率半径Rctの50%未満である場合は、第一延在部51の曲率半径Rc1が小さ過ぎるため、第一延在部51の長さC1を長くし難くなる虞がある。この場合、第一延在部51によって、凸部30の周辺の空気に効果的に乱流を発生させるのが困難になる虞がある。また、第一延在部51の長さC1を長くし難く、第一延在部51の長さC1が短くなり易くなる場合は、縁石等の障害物がタイヤサイド面21に接触する際に、第一延在部51に障害物が接触し難くなり、障害物がタイヤサイド面21に接触することを凸部30によって抑制し難くなる虞がある。また、第一延在部51の曲率半径Rc1が、タイヤ外径部25の曲率半径Rctの200%を超える場合は、第一延在部51の曲率半径Rc1が大き過ぎるため、第一延在部51がタイヤ外径部25に沿った形状になり難くなり、第一延在部51の長さC1を長くし難くなる虞がある。このため、この場合も、第一延在部51によって、凸部30の周辺の空気に効果的に乱流を発生させるのが困難になる虞があり、空気入りタイヤ1の回転時の空気抵抗の増加を抑えて転がり抵抗を低減するのが困難になる虞がある。
これに対し、第一延在部51は、曲率半径Rc1が、タイヤ外径部25の曲率半径Rctの50%以上200%以下の範囲内である場合は、第一延在部51の延在方向を、より確実にタイヤ外径部25に沿った方向に近付けることができ、第一延在部51の長さC1を、より確実に長くすることができる。これにより、第一延在部51を有する凸部30によって、より確実に効果的に乱流を発生させることができ、また、第一延在部51によってより確実にタイヤサイド部20を保護することができる。この結果、耐外傷性及び燃費性能を、より確実に両立することができる。
また、第一延在部51は、曲率半径Rc1が、複数の曲線延在部61のうち曲率半径が最も小さい曲線延在部61である最小曲線延在部62の曲率半径の1.2倍以上10.0倍以下の範囲内であるため、より確実に効果的に乱流を発生させることができる。つまり、第一延在部51の曲率半径Rc1が、最小曲線延在部62の曲率半径の1.2倍未満である場合は、第一延在部51の曲率半径Rc1と、最小曲線延在部62の曲率半径との差が小さ過ぎるため、曲線延在部61同士で曲率の大きさを異ならせても、凸部30に沿って流れる空気に対して乱流を効果的に発生させ難くなる虞がある。また、第一延在部51の曲率半径Rc1が、最小曲線延在部62の曲率半径の10.0倍を超える場合は、第一延在部51の曲率半径Rc1が大きくなり過ぎ、第一延在部51がタイヤ外径部25に沿った形状になり難くなる虞がある。この場合、第一延在部51の長さC1を長くし難くなるため、第一延在部51によって、凸部30の周辺の空気に効果的に乱流を発生させるのが困難になる虞がある。
これに対し、第一延在部51の曲率半径Rc1が、最小曲線延在部62の曲率半径の1.2倍以上10.0倍以下の範囲内である場合は、第一延在部51の曲率半径Rc1が大きくなり過ぎることを抑制しつつ、第一延在部51の曲率半径Rc1と、最小曲線延在部62の曲率半径との差を確保することができる。これにより、第一延在部51をタイヤ外径部25に沿った形状に近付けることによって第一延在部51の長さC1を長くすることができるため、第一延在部51を有する凸部30によって、より確実に効果的に乱流を発生させることができる。また、互いに曲率半径が異なる、最小曲線延在部62と第一延在部51との間で、凸部30に沿って流れる空気の流れ方向を変化させることができるため、より確実に効果的に乱流を発生させることができる。従って、より確実に空気抵抗の増加を抑えることができ、空気入りタイヤ1の回転時における転がり抵抗を、より確実に低減することができる。この結果、より確実に燃費性能を向上させることができる。
また、第一延在部51は、曲率半径Rc1の中心が第一延在部51に対してタイヤ径方向内側に位置するため、第一延在部51の形状をタイヤ外径部25に沿った形状に近付けることができる。これにより、第一延在部51の長さC1を、より確実に長くすることができるため、第一延在部51を有する凸部30によって、より確実に効果的に乱流を発生させることができる。また、第一延在部51の長さC1を長くすることにより、タイヤサイド部20を第一延在部51によってより確実に保護することができる。この結果、耐外傷性及び燃費性能を、より確実に両立することができる。
また、1つの凸部30が曲線延在部61を複数有する場合において、曲率半径の中心が、曲線延在部61に対してタイヤ径方向内側に位置する曲線延在部61と、タイヤ径方向外側に位置する曲線延在部61とを有することにより、凸部30によってより確実に乱流を発生させることができる。つまり、曲率半径の中心の位置が互いに異なる曲線延在部61同士では、曲線延在部61の近傍を流れる空気の流れ方が互いに異なるため、凸部30が、曲率半径の中心の位置が互いに異なる曲線延在部61を含む複数の曲線延在部61を有することにより、効果的に乱流を発生させることができる。これにより、より確実に空気抵抗の増加を抑えることができ、空気入りタイヤ1の回転時における転がり抵抗を、より確実に低減することができる。この結果、より確実に燃費性能を向上させることができる。
また、凸部30は、第一延在部51の最大高さが、第一延在部51の最大幅の1.1倍以上5.0倍以下の範囲内であるため、転がり抵抗をより確実に低減しつつ、第一延在部51に縁石等の障害物が接触した際におけるタイヤサイド部20の損傷をより確実に抑制することができる。つまり、第一延在部51の最大高さが、第一延在部51の最大幅の1.1倍未満である場合は、第一延在部51の最大高さが低過ぎるため、障害物が第一延在部51に接触した際に、障害物から受ける力を第一延在部51によって緩和し難くなる虞がある。この場合、第一延在部51が障害物から受けた力がタイヤサイド部20の内部にまで伝わり易くなるため、タイヤサイド部20の損傷を抑制するのが困難になる虞がある。また、第一延在部51の最大高さが、第一延在部51の最大幅の5.0倍より高い場合は、第一延在部51の最大高さが高過ぎるため、第一延在部51を有する凸部30の重量が大きくなり過ぎる虞があり、タイヤサイド部20に凸部30を設けることに伴って、空気入りタイヤ1の重量が増加し過ぎる虞がある。この場合、凸部30によって空気抵抗の増加を抑えても、空気入りタイヤ1の重量が大きくなるため、転がり抵抗を低減し難くなる虞がある。
これに対し、第一延在部51の最大高さが、第一延在部51の最大幅の1.1倍以上5.0倍以下の範囲内である場合は、空気入りタイヤ1の重量が増加し過ぎることを抑えつつ、障害物が第一延在部51に接触した場合でも、障害物から受ける力を第一延在部51によって緩和することができる。これにより、タイヤサイド部20の損傷を凸部30によってより確実に抑制すると共に、空気入りタイヤ1の回転時における転がり抵抗を、より確実に低減することができる。この結果、耐外傷性及び燃費性能を、より確実に両立することができる。
また、凸部30は、第一延在部51の最大幅が1.0mm以上3.0mm以下の範囲内であるため、転がり抵抗をより確実に低減しつつ、第一延在部51に縁石等の障害物が接触した際におけるタイヤサイド部20の損傷をより確実に抑制することができる。つまり、第一延在部51は、複数の延在部50のうち長さが最も長い延在部50であるため、縁石等の障害物が凸部30に接触する際には、第一延在部51に最も接触し易くなっている。このように、障害物が接触し易い第一延在部51の最大幅が1.0mm未満である場合は、第一延在部51の最大幅が小さ過ぎるため、障害物が第一延在部51に接触した際に、障害物から受ける力を第一延在部51によって緩和するのが困難になる虞がある。この場合、第一延在部51が障害物から受けた力がタイヤサイド部20の内部にまで伝わり易くなるため、タイヤサイド部20の損傷を抑制するのが困難になる虞がある。
また、第一延在部51の最大幅が3.0mmより大きい場合は、第一延在部51の最大幅が大き過ぎるため、第一延在部51を有する凸部30の重量が大きくなり過ぎる虞があり、タイヤサイド部20に凸部30を設けることに伴って、空気入りタイヤ1の重量が増加し過ぎる虞がある。この場合、凸部30によって空気抵抗の増加を抑えても、空気入りタイヤ1の重量が大きくなるため、転がり抵抗を低減し難くなる虞がある。
これに対し、第一延在部51の最大幅が、1.0mm以上3.0mm以下の範囲内である場合は、空気入りタイヤ1の重量が増加し過ぎることを抑えつつ、障害物が第一延在部51に接触した場合でも、障害物から受ける力を第一延在部51によって緩和することができる。これにより、タイヤサイド部20の損傷を凸部30によって抑制して耐外傷性を向上させると共に、空気入りタイヤ1の回転時における転がり抵抗をより確実に低減することができるため、燃費性能を向上させることができる。この結果、耐外傷性及び燃費性能を、より確実に両立することができる。
また、凸部30有する第一延在部51は、タイヤ径方向外側に向かうに従ってタイヤサイド面21からの高さH1が低くなるため、第一延在部51によって乱流を発生させつつ、タイヤサイド面21からの高さH1の変化を極力緩やかにすることにより、凸部30を設けることによる過度な空気抵抗の増加を抑制することができる。これにより、空気入りタイヤ1の回転時における空気抵抗の増加を、より確実に抑えることができ、より確実に転がり抵抗を低減することができる。この結果、より確実に燃費性能を向上させることができる。
また、複数の延在部50は、屈曲部40を跨る位置で幅が変化するため、凸部30に沿って流れて屈曲部40の位置を通過する空気に対して、より確実に乱流を発生させることができる。これにより、乱流によって空気入りタイヤ1の回転時における空気抵抗の増加を効果的に抑えることができ、より確実に転がり抵抗を低減することができる。この結果、より確実に燃費性能を向上させることができる。
また、第一延在部51は、空気入りタイヤ1の回転方向における先着側から後着側に向かうに従って、タイヤ径方向における内側から外側に向かう方向にタイヤ周方向に対して傾斜しているため、空気入りタイヤ1を路面に押し付ける力を向上させることができる。つまり、第一延在部51の傾斜方向が、回転方向における先着側から後着側に向かうに従ってタイヤ径方向における内側から外側に向かう方向に傾斜することにより、空気入りタイヤ1の回転時にタイヤサイド面21付近を流れる空気は、第一延在部51によってタイヤ径方向における内側から外側に向かう方向に、流れる向きを変更させられる。ここで、車両の前進時は、空気入りタイヤ1の上下方向における上端付近に位置する部分は、車両の後方側から前方側に向かう方向に移動するのに対し、空気入りタイヤ1の上下方向における下端付近に位置する部分は、車両の前方側から後方側に向かう方向に移動する。このため、車両の前進時には、路面に対する相対速度は、空気入りタイヤ1の上下方向における上端付近に位置する部分で最も速くなる。従って、タイヤサイド面21付近を流れる空気が流れる向きを第一延在部51によって変更することによる、空気入りタイヤ1への影響は、空気入りタイヤ1の上下方向における上端付近に位置する第一延在部51によって空気が流れる方向を変更する影響が、最も大きくなる。
第一延在部51は、空気入りタイヤ1が回転することにより、タイヤサイド面21付近を流れる空気が流れる向きを、タイヤ径方向における内側から外側に向かう方向に変更させるため、空気入りタイヤ1の上下方向における上端付近に位置する第一延在部51は、空気が流れる向きを、上下方向における下側から上側に向かう方向に変更させる。このため、第一延在部51には、空気の流れを変えることによる反作用として、上下方向における下側に押し付けられる方向の力を空気から受ける。第一延在部51が空気から受ける力は、空気入りタイヤ1を路面に押し付ける方向の力であるため、空気入りタイヤ1は、路面に押し付けられる力により、路面に対する接地面10のグリップ力が向上する。この結果、高くなったグリップ力により、車両走行時における操縦安定性を向上させることができる。
また、凸部30は、第一延在部51の幅方向における中心線51cと第二延在部52の幅方向における中心線52cとでなす角度θ1が、90°≦θ1≦170°の範囲内であるため、屈曲部40の位置でのクラックの発生を抑制しつつ、より確実に転がり抵抗を低減することができる。つまり、角度θ1が90°未満である場合は、第一延在部51と第二延在部52とでなす角度が小さ過ぎるため、車両走行時にタイヤサイド部20が撓むこと等によって、屈曲部40の位置付近に応力集中が発生し易くなる虞がある。この場合、屈曲部40の位置でクラックが発生し易くなる虞がある。また、角度θ1が170°を超える場合は、第一延在部51と第二延在部52とでなす角度が大き過ぎるため、凸部30に屈曲部40を形成することによる、乱流を発生させる効果を効果的に得難くなる虞がある。この場合、空気入りタイヤ1の回転時における空気抵抗の増加を効果的に抑えるのが困難になり、転がり抵抗を低減するのが困難になる虞がある。
これに対し、角度θ1が、90°≦θ1≦170°の範囲内である場合は、屈曲部40の位置でのクラックの発生を抑制しつつ、凸部30に屈曲部40を形成することによる乱流を発生させる効果を、効果的に得ることができ、より確実に転がり抵抗を低減することができる。この結果、タイヤサイド部20の損傷を抑制しつつ、より確実に燃費性能を向上させることができる。
また、凸部30は、屈曲部40を複数有するため、複数の屈曲部40によってより確実に乱流を発生させることができる。また、凸部30が屈曲部40を複数有するということは、必然的に凸部30の全長が長くなるため、凸部30の長さが長くなることより、凸部30によってより確実に乱流を発生させることができる。これらにより、乱流によって空気入りタイヤ1の回転時における空気抵抗の増加を効果的に抑えることができ、より確実に転がり抵抗を低減することができる。この結果、より確実に燃費性能を向上させることができる。
また、凸部30は、第一延在部51の長さC1が、第二延在部52及び第一延在部51以外の延在部50である第三延在部53の長さC3の1.2倍以上25倍以下の範囲内であるため、より効果的に乱流を発生させることができ、また、第一延在部51を精度良く成形して、より確実に第一延在部51によってタイヤサイド部20を保護したり、乱流を発生させたりすることができる。つまり、第一延在部51の長さC1が、第三延在部53の長さC3の1.2倍未満である場合は、第一延在部51の長さC1が短過ぎるため、凸部30を設けても、凸部30の周辺の空気に効果的に乱流を発生させるのが困難になる虞がある。この場合、空気入りタイヤ1の回転時の空気抵抗の増加を抑えて転がり抵抗を低減するのが困難になる虞がある。また、第一延在部51の長さC1が、第三延在部53の長さC3の25倍よりも長い場合は、第一延在部51の長さC1が長過ぎるため、空気入りタイヤ1の製造時における加硫成形時に、第一延在部51を適切に成形するのが困難になる虞がある。この場合、第一延在部51に部分的に欠けが生じる等、所望の形状で第一延在部51が成形されなくなる虞があり、第一延在部51でタイヤサイド部20を保護したり、乱流を発生させたりする効果が低減する虞がある。
これに対し、第一延在部51の長さC1が、第三延在部53の長さC3の1.2倍以上25倍以下の範囲内である場合は、第一延在部51を有する凸部30によって効果的に乱流を発生させることができ、また、第一延在部51を精度良く成形することができるため、第一延在部51でより確実にタイヤサイド部20を保護したり、乱流を発生させたりすることができる。この結果、耐外傷性及び燃費性能を、より確実に両立することができる。
また、凸部30は、屈曲部40を介して連続する2つの延在部50の、それぞれの幅方向における中心線同士でなす角度θnが、90°≦θn≦170°の範囲内であるため、全ての屈曲部40の位置でのクラックの発生を抑制しつつ、より確実に転がり抵抗を低減することができる。つまり、角度θnが90°未満となる屈曲部40がある場合は、当該屈曲部40を介して連続する2つの延在部50同士でなす角度が小さ過ぎるため、車両走行時にタイヤサイド部20が撓むこと等によって、当該屈曲部40の位置付近に応力集中が発生し易くなる虞がある。この場合、当該屈曲部40の位置でクラックが発生し易くなる虞がある。また、角度θnが170°を超える屈曲部40がある場合は、当該屈曲部40を介して連続する2つの延在部50同士でなす角度が大き過ぎるため、凸部30に当該屈曲部40を形成することによる、乱流を発生させる効果を効果的に得難くなる虞がある。この場合、空気入りタイヤ1の回転時における空気抵抗の増加を効果的に抑えるのが困難になり、転がり抵抗を低減するのが困難になる虞がある。
これに対し、角度θnが、90°≦θn≦170°の範囲内である場合は、全ての屈曲部40の位置でのクラックの発生を抑制しつつ、凸部30に複数の屈曲部40を形成することによる乱流を発生させる効果を、効果的に得ることができ、より確実に転がり抵抗を低減することができる。この結果、タイヤサイド部20の損傷を抑制しつつ、より確実に燃費性能を向上させることができる。
また、凸部30は、最大高さ部Hmのタイヤ径方向における位置が、タイヤ断面高さSHの0.40倍以上0.60倍以下の範囲内に含まれるため、乱流の発生位置を、タイヤ径方向におけるタイヤ断面高さSHの中央付近で発生させることができ、より確実に転がり抵抗を低減することができる。つまり、最大高さ部Hmのタイヤ径方向における位置が、タイヤ断面高さSHの0.40倍未満の位置である場合は、最大高さ部Hmのタイヤ径方向における位置が、タイヤ径方向内側過ぎる虞がある。凸部30で発生する乱流は、最大高さ部Hm付近でより多く発生するため、最大高さ部Hmのタイヤ径方向における位置がタイヤ径方向内側過ぎる場合は、乱流の発生位置が、タイヤ径方向において内側過ぎる虞がある。この場合、乱流によって空気入りタイヤ1の回転時における空気抵抗の増加を効果的に抑えることが困難になり、転がり抵抗を低減するのが困難になる虞がある。また、最大高さ部Hmのタイヤ径方向における位置が、タイヤ断面高さSHの0.60倍を超える位置である場合は、最大高さ部Hmのタイヤ径方向における位置が、タイヤ径方向外側過ぎる虞がある。この場合、乱流の発生位置が、タイヤ径方向において外側過ぎる虞があり、乱流によって空気入りタイヤ1の回転時における空気抵抗の増加を効果的に抑えることが困難になるため、転がり抵抗を低減するのが困難になる虞がある。
これに対し、凸部30の最大高さ部Hmのタイヤ径方向における位置が、タイヤ断面高さSHの0.40倍以上0.60倍以下の範囲内に含まれる場合は、最大高さ部Hmのタイヤ径方向における位置を、タイヤ径方向におけるタイヤ断面高さSHの中央付近に位置させることができるため、乱流の発生位置を、タイヤ径方向におけるタイヤ断面高さSHの中央付近で発生させることができる。これにより、凸部30で発生させる乱流によって、空気入りタイヤ1の回転時における空気抵抗の増加を効果的に抑えることができ、より確実に転がり抵抗を低減することができる。この結果、より確実に燃費性能を向上させることができる。
また、凸部30は、最大幅部Wmのタイヤ径方向における位置が、タイヤ断面高さSHの0.40倍以上0.60倍以下の範囲内に含まれるため、乱流の発生位置を、タイヤ径方向におけるタイヤ断面高さSHの中央付近で発生させることができ、より確実に転がり抵抗を低減することができる。つまり、最大幅部Wmのタイヤ径方向における位置が、タイヤ断面高さSHの0.40倍未満の位置である場合は、最大幅部Wmのタイヤ径方向における位置が、タイヤ径方向内側過ぎる虞がある。凸部30で発生する乱流は、最大幅部Wm付近でより多く発生するため、最大幅部Wmのタイヤ径方向における位置がタイヤ径方向内側過ぎる場合は、乱流の発生位置が、タイヤ径方向において内側過ぎる虞がある。この場合、乱流によって空気入りタイヤ1の回転時における空気抵抗の増加を効果的に抑えることが困難になり、転がり抵抗を低減するのが困難になる虞がある。また、最大幅部Wmのタイヤ径方向における位置が、タイヤ断面高さSHの0.60倍を超える位置である場合は、最大幅部Wmのタイヤ径方向における位置が、タイヤ径方向外側過ぎる虞がある。この場合、乱流の発生位置が、タイヤ径方向において外側過ぎる虞があり、乱流によって空気入りタイヤ1の回転時における空気抵抗の増加を効果的に抑えることが困難になるため、転がり抵抗を低減するのが困難になる虞がある。
これに対し、凸部30の最大幅部Wmのタイヤ径方向における位置が、タイヤ断面高さSHの0.40倍以上0.60倍以下の範囲内に含まれる場合は、最大幅部Wmのタイヤ径方向における位置を、タイヤ径方向におけるタイヤ断面高さSHの中央付近に位置させることができるため、乱流の発生位置を、タイヤ径方向におけるタイヤ断面高さSHの中央付近で発生させることができる。これにより、凸部30で発生させる乱流によって、空気入りタイヤ1の回転時における空気抵抗の増加を効果的に抑えることができ、より確実に転がり抵抗を低減することができる。この結果、より確実に燃費性能を向上させることができる。
また、凸部30は、第一延在部51が、複数の延在部50の中で最もタイヤ径方向外側に配置されるため、凸部30で乱流を発生させることによって空気抵抗の増加を抑える効果を、より効果的に得ることができる。つまり、空気入りタイヤ1の回転時は、タイヤ径方向外側に向かうに従って周速が速くなるため、タイヤサイド面21と周囲の空気との相対速度の差も、タイヤ径方向外側に向かって大きくなる。このため、第一延在部51を、最もタイヤ径方向外側に配置することにより、長さC1が配置可能領域PAの高さFHの1.0倍以上6.0倍以下の範囲であることにより延在方向の長さが長い第一延在部51を、周囲の空気との相対速度の差が大きい位置に配置にすることができる。これにより、第一延在部51によって乱流を発生させた際には、空気入りタイヤ1の回転時における空気抵抗の増加を、より効果的に抑えることができ、より確実に転がり抵抗を低減することができる。この結果、より確実に燃費性能を向上させることができる。
また、凸部30は、タイヤ径方向において最も内側に位置する部分とタイヤ外径部25との距離Dmaxと、タイヤ径方向において最も外側に位置する部分とタイヤ外径部25との距離Dminとの関係が、1.2≦(Dmax/Dmin)≦3.5の範囲内であるため、より確実に転がり抵抗を低減することができると共に、タイヤサイド面21に接触しそうな障害物に対して凸部30を接触させ易くすることができる。つまり、距離Dmaxと距離Dminとの関係が、(Dmax/Dmin)<1.2である場合は、凸部30が配設される形状が、タイヤ周方向に沿った形状に近くなるため、凸部30によって乱流を発生させ難くなる虞がある。この場合、空気入りタイヤ1の回転時における空気抵抗の増加を抑えることが困難になり、転がり抵抗を低減するのが困難になる虞がある。また、距離Dmaxと距離Dminとの関係が、(Dmax/Dmin)>3.5である場合は、タイヤ周方向に対するタイヤ径方向への凸部30の傾きが大きくなり過ぎる虞があり、タイヤ周方向上において凸部30が配置されない範囲が大きくなり過ぎる虞がある。この場合、タイヤサイド面21に接触しそうな障害物を凸部30に接触させるのが困難になり、タイヤサイド部20の損傷を抑制するのが困難になる虞がある。
これに対し、距離Dmaxと距離Dminとの関係が、1.2≦(Dmax/Dmin)≦3.5の範囲内である場合は、凸部30によって効果的に乱流を発生させてより確実に転がり抵抗を低減することができると共に、タイヤサイド面21に接触しそうな障害物に対して凸部30を接触させ易くすることができる。この結果、耐外傷性及び燃費性能を、より確実に両立することができる。
また、凸部30は、1つのタイヤサイド部20に2箇所以上16箇所以下の範囲内で形成されるため、クラックの発生を抑制しつつ、空気入りタイヤ1の回転時における空気抵抗の増加をより確実に抑えることができ、また、タイヤ周上におけるより多くの位置での凸部30による耐外傷性を確保することができる。つまり、1つのタイヤサイド部20に形成される凸部30が、2箇所未満である場合は、凸部30の数が少な過ぎるため、凸部30で発生させる乱流が少なくなり過ぎる虞がある。この場合、乱流によって空気入りタイヤ1の回転時における空気抵抗の増加を抑え、転がり抵抗を低減するのが困難になる虞がある。また、1つのタイヤサイド部20に形成される凸部30が2箇所未満である場合は、凸部30の数が少な過ぎるため、凸部30の形状や配置形態によっては、タイヤ周上において凸部30による耐外傷性を確保し難くなる部分が発生する虞がある。また、1つのタイヤサイド部20に形成される凸部30が、16箇所より多い場合は、凸部30の数が多過ぎるため、クラックが発生し易くなる虞がある。即ち、凸部30は、タイヤサイド面21から突出して形成されるため、応力集中が発生し易い部位になっているが、凸部30の数が多過ぎる場合は、応力集中が発生し易い箇所が増加することになるため、これによりクラックが発生し易くなる虞がある。
これに対し、1つのタイヤサイド部20に形成される凸部30が、2箇所以上16箇所以下である場合は、クラックの発生を抑制しつつ、凸部30で発生させる乱流によって空気入りタイヤ1の回転時における空気抵抗の増加をより確実に抑えることができ、また、タイヤ周上におけるより多くの位置での凸部30による耐外傷性を確保することができる。この結果、タイヤサイド部20の損傷を抑制しつつ、耐外傷性及び燃費性能を、より確実に両立することができる。
また、凸部30は、1つのタイヤサイド部20に形成される複数の凸部30の角度αの総和が、タイヤ周方向における一周の角度2πの105%以上200%以下の範囲内であるため、タイヤ周上におけるより多くの位置での凸部30による耐外傷性を確保しつつ、凸部30の総重量が増加し過ぎることを抑制することができる。つまり、複数の凸部30の角度αの総和が、タイヤ周方向における一周の角度2πの105%未満である場合は、凸部30の角度αの総和が小さ過ぎるため、凸部30の形状や配置形態によっては、タイヤ周上において凸部30による耐外傷性を確保し難くなる部分が発生する虞がある。また、複数の凸部30の角度αの総和が、タイヤ周方向における一周の角度2πの200%を超える場合は、凸部30の角度αの総和が大き過ぎるため、凸部30の総重量が増加し過ぎる虞がある。この場合、凸部30の総重量の増加に伴って空気入りタイヤ1の重量が増加するため、転がり抵抗が悪化する虞がある。
これに対し、複数の凸部30の角度αの総和が、タイヤ周方向における一周の角度2πの105%以上200%以下の範囲内である場合は、タイヤ周上におけるより多くの位置での凸部30による耐外傷性を確保しつつ、凸部30の総重量が増加し過ぎることを抑えることにより、転がり抵抗が悪化することを抑制することができる。この結果、耐外傷性及び燃費性能を、より確実に両立することができる。
また、凸部30は、オーバーラップ部55でオーバーラップすることによりタイヤ周上のいずれの位置においても1つ以上配設されるため、タイヤサイド面21のタイヤ周上におけるいずれの位置においても、凸部30による耐外傷性を確保することができる。また、凸部30が、タイヤ周上のいずれの位置においても1つ以上配設されることにより、タイヤサイド面21のタイヤ周上におけるいずれの位置においても、凸部30によって乱流を発生させることができ、より確実に空気抵抗を低減することができる。この結果、耐外傷性及び燃費性能を、より確実に両立することができる。
また、凸部30は、オーバーラップ部55がタイヤ周方向に延在する範囲のタイヤ周方向における角度γが、角度αに対して、0.05≦(γ/α)≦0.30の範囲内であるため、凸部30の重量が増加し過ぎることを抑えつつ、耐外傷性の向上の効果を、より確実に得ることができる。つまり、オーバーラップ部55の角度γが、角度αに対して(γ/α)<0.05である場合は、オーバーラップ部55のタイヤ周方向における長さが短過ぎるため、オーバーラップ部55を設けても耐外傷性を効果的に向上させ難くなる虞がある。また、オーバーラップ部55の角度γが、角度αに対して(γ/α)>0.30である場合は、オーバーラップ部55のタイヤ周方向における長さが長過ぎるため、凸部30の重量が増加し過ぎる虞がある。この場合、凸部30の重量の増加に伴って空気入りタイヤ1の重量が増加するため、転がり抵抗が悪化する虞がある。
これに対し、オーバーラップ部55の角度γが、角度αに対して0.05≦(γ/α)≦0.30の範囲内である場合は、凸部30の重量が増加し過ぎることを抑えることによって転がり抵抗の悪化を抑制しつつ、オーバーラップ部55を設けることによる耐外傷性の向上の効果を、より確実に得ることができる。この結果、耐外傷性及び燃費性能を、より確実に両立することができる。
また、凸部30は、オーバーラップ部55でオーバーラップする部分同士のタイヤ方向における最大距離Pmaxと最小距離Pminとの関係が、1.0≦(Pmax/Pmin)≦2.0の範囲内であるため、凸部30を設けることによって空気抵抗を抑える効果を、より確実に得ることができる。つまり、最大距離Pmaxと最小距離Pminとの関係が、(Pmax/Pmin)>2.0である場合は、オーバーラップ部55でオーバーラップする2つの凸部30同士のタイヤ径方向における距離の変化が大き過ぎるため、凸部30同士を通る空気の流れに新たな乱れが発生する虞がある。この場合、凸部30を設けることにより発生する空気の乱流に加えて、新たな乱流が発生することになり、凸部30を設けることによって空気抵抗を抑える効果が低減する虞がある。
これに対し、最大距離Pmaxと最小距離Pminとの関係が、1.0≦(Pmax/Pmin)≦2.0の範囲内である場合は、オーバーラップ部55でオーバーラップする2つの凸部30同士を平行に近付けることができ、凸部30を設けることによって空気抵抗を抑える効果を、より確実に得ることができる。この結果、より確実に燃費性能を向上させることができる。
また、凸部30は、タイヤサイド面21におけるタイヤ最大幅位置Wをタイヤ径方向に跨いで形成されるため、凸部30による乱流の発生位置を、より確実にタイヤ径方向におけるタイヤ断面高さSHの中央付近にすることができる。これにより、凸部30で発生させる乱流によって、より確実に転がり抵抗を低減することができる。この結果、より確実に燃費性能を向上させることができる。
また、凸部30は、車両装着方向外側のタイヤサイド部20に形成されているため、より効果的に耐外傷性や燃費性能を向上させることができる。つまり、車両装着方向外側のタイヤサイド面21は、車両の外観を構成する部分であるため、縁石等の障害物に接触し易くなっている。このため、車両装着方向外側のタイヤサイド面21に凸部30を形成することにより、縁石等の障害物に接触し易い車両装着方向外側のタイヤサイド面21を、凸部30によってより確実に保護することができる。また、車両装着方向外側のタイヤサイド面21は、全面が車両の外側に面しているため、車両の走行時における空気の流れを直接受け易くなっている。このため、車両装着方向外側のタイヤサイド面21に凸部30を形成することにより、車両の走行時における空気の流れを受け易い位置で効果的な乱流を発生させることができ、空気入りタイヤ1の回転時における空気抵抗の増加を効果的に抑えてより確実に転がり抵抗を低減することができる。この結果、耐外傷性及び燃費性能を、より確実に両立することができる。
[変形例]
なお、上述した実施形態に係る空気入りタイヤ1では、1つの凸部30に形成される屈曲部40は2箇所だが、屈曲部40は2箇所以外であってもよい。図16は、実施形態に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、凸部30の屈曲部40が1箇所である場合の説明図である。図17は、実施形態に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、凸部30の屈曲部40が3箇所である場合の説明図である。1つの凸部30に形成される屈曲部40は、例えば、図16に示すように1箇所であってもよく、図17に示すように3箇所であってもよい。つまり、1つの凸部30に、屈曲部40によって形成される延在部50は、図16に示すように、1箇所の屈曲部40によって第一延在部51と第二延在部52との2つが区画されていてもよく、図17に示すように、3箇所の屈曲部40によって第一延在部51と第二延在部52と第三延在部53と第四延在部54との4つが区画されていてもよい。凸部30は、屈曲部40の数に関わらず、1つの凸部30が曲線延在部61と直線延在部65とを有して形成される場合のように、1つの凸部30が、曲率の大きさが互いに異なる部分を有して延在することにより、凸部30で乱流を発生させ易くさせることができる。これにより、乱流によって空気入りタイヤ1の回転時における空気抵抗の増加を効果的に抑えることができ、より確実に転がり抵抗を低減し、燃費性能を向上させることができる。
また、上述した実施形態に係る空気入りタイヤ1では、1つの凸部30が有する複数の延在部50のうち、長さが最も長い第一延在部51が最もタイヤ径方向外側に位置しているが、第一延在部51が最もタイヤ径方向外側に位置していなくてもよい。図18は、実施形態に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、第一延在部51が第二延在部52よりもタイヤ径方向内側に位置する場合の説明図である。1つの凸部30に形成される延在部50は、例えば、図18に示すように、複数の延在部50のうち長さが最も長い延在部50である第一延在部51が、第二延在部52よりもタイヤ径方向内側に位置していてもよい。凸部30は、第一延在部51のタイヤ径方向における位置に関わらず、第一延在部51の長さC1が、第二延在部52の長さC2の1.5倍以上30倍以下の範囲内であることにより、凸部30によって効果的に乱流を発生させることができ、また、第一延在部51でより確実にタイヤサイド部20を保護したり、乱流を発生させたりすることができる。これにより、耐外傷性及び燃費性能を両立することができる。
また、上述した実施形態に係る空気入りタイヤ1では、複数の延在部50のうち、最高延在部56である第二延在部52の延在部平均高さが最も高く、第一延在部51及び第三延在部53は、第二延在部52よりも延在部平均高さが低くなっているが、1つの凸部30に形成される屈曲部40が3箇所以上である場合でも、最高延在部56から離れる延在部50であるに従って、延在部平均高さが低くなるのが好ましい。図19は、実施形態に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、屈曲部40が4箇所である凸部30が有する複数の延在部50の延在部平均高さについての説明図である。1つの凸部30に、例えば、4箇所の屈曲部40が形成され、屈曲部40によって5つの延在部50が区画される場合において、最高延在部56は、5つの延在部50のうち、図19に示すように、延在部50が並ぶ方向における中央に位置する延在部50である場合、最高延在部56以外の延在部50の延在部平均高さは、最高延在部56から離れるに従って低くなるのが好ましい。
詳しくは、図19に示す凸部30では、延在部50が並ぶ方向における中央に位置する延在部50が、凸部30において高さが最も高くなる部分である最大高さ部Hmを有することにより、当該延在部50は、最高延在部56として設けられている。また、複数の延在部50のうち、屈曲部40を介して最高延在部56から連続する延在部50は、隣接延在部57として設けられており、隣接延在部57は、延在部平均高さが最高延在部56の延在部平均高さよりも低くなっている。さらに、図19に示す凸部30では、複数の延在部50のうち、隣接延在部57から見て最高延在部56が位置する側の反対側に位置する延在部50は、延在部平均高さが、隣接延在部57の延在部平均高さ以下の高さになっている。つまり、凸部30は、隣接延在部57から、凸部30の延在方向における端に位置する延在部50までの複数の延在部50は、延在部平均高さが、隣接延在部57の延在部平均高さ以下の高さになっている。
凸部30は、凸部30の延在方向において最高延在部56から離れるに従って高さが低くなることにより、凸部30によって乱流を発生させつつ、タイヤサイド面21からの高さの変化を極力緩やかにすることにより、凸部30を設けることによる過度な空気抵抗の増加を抑制することができる。これにより、空気入りタイヤ1の回転時における空気抵抗の増加を、より確実に抑えることができ、より確実に転がり抵抗を低減することができる。この結果、より確実に燃費性能を向上させることができる。
これらのように凸部30は、屈曲部40の数に関わらず、少なくとも最高延在部56よりもタイヤ径方向外側に位置する延在部50の高さHcが、最高延在部56の高さHcよりも低いのが好ましく、最高延在部56よりもタイヤ径方向内側に位置する延在部50の高さHcも、最高延在部56の高さHcよりも低いのがより好ましい。その際に、凸部30は、最大高さ部Hmからタイヤ径方向外側に向かうに従って、または最大高さ部Hmからタイヤ径方向内側に向かうに従って、徐々に高さHcが低くなるのが好ましい。
また、凸部30の幅Wcは、複数の延在部50のうち、凸部30の最大幅部Wmを有する延在部50では、当該延在部50における所定の範囲、または当該延在部50の全範囲が、最大幅部Wmの幅Wcで形成されていてもよい。また、凸部30は、複数の延在部50のうち、凸部30の最大幅部Wmを有する延在部50よりもタイヤ径方向外側の延在部50では、幅Wcが最大幅部Wmを有する延在部50の幅Wcよりも狭いのが好ましく、最大幅部Wmを有する延在部50よりもタイヤ径方向内側の延在部50も、幅Wcが最大幅部Wmを有する延在部50の幅Wcよりも狭いのがより好ましい。
また、上述した実施形態に係る空気入りタイヤ1では、凸部30の延在方向に見た場合における凸部30の断面形状が、凸部30の高さ方向が長手方向になる略長方形の形状で形成されているが、凸部30は、これ以外の形状で形成されていてもよい。図20は、実施形態に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、凸部30の断面形状が横長の長方形状に形成される場合の説明図である。図21は、実施形態に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、凸部30の断面形状が台形状に形成される場合の説明図である。図22は、実施形態に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、凸部30の断面形状が三角形状に形成される場合の説明図である。凸部30の延在方向に見た場合における凸部30の断面形状は、例えば、図20に示すように、凸部30の幅方向が長手方向になる略長方形の形状で形成されていてもよい。また、凸部30は、タイヤサイド面21からの高さ方向における位置によって幅が変化していてもよく、このため、凸部30の断面形状は、例えば、図21に示すように、タイヤサイド面21から離れるに従って幅が狭くなる略台形の形状で形成されていたり、図22に示すように略三角形の形状で形成されていたりしてもよい。
これらのように、凸部30の断面形状は、タイヤサイド面21から突出して乱流を発生させることのできる形状であれば、その形状は問わない。また、凸部30は、凸部30が延在方向における位置によって同じ形状でなくてもよく、凸部30の延在方向における位置によって、断面形状が異なっていてもよい。
図23は、実施形態に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、凸部30の付け根に円弧部35が形成される場合の説明図である。また、凸部30におけるタイヤサイド面21に接続される部分、即ち、凸部30の付け根部分に、応力集中の低減や製造上の都合で、図23に示すような円弧部35が形成されている場合は、凸部30の幅Wcは、円弧部35も含んだ幅にするのが好ましい。円弧部35も含んだ幅を凸部30の幅Wcとして、凸部30の幅を規定することにより、凸部30の形状を、応力集中の低減や製造上の都合を考慮した、より適切なものにすることができる。
また、上述した実施形態に係る空気入りタイヤ1では、凸部30は、車両装着方向外側のタイヤサイド部20に形成されているが、凸部30は、車両装着方向内側のタイヤサイド部20にも形成されていてもよく、即ち、凸部30は、タイヤ幅方向両側のタイヤサイド部20のタイヤサイド面21に形成されていてもよい。タイヤ幅方向両側のタイヤサイド面21に凸部30を形成することにより、タイヤ幅方向両側のタイヤサイド面21を凸部30で保護することができると共に、空気入りタイヤ1の回転時における空気抵抗の増加を、タイヤ幅方向両側のタイヤサイド面21で抑制することができ、より確実に転がり抵抗を低減することができる。これにより、耐外傷性及び燃費性能を、より確実に両立することができる。
また、凸部30は、車両装着方向内側のタイヤサイド面21のみに形成されていてもよい。車両装着方向内側のタイヤサイド面21は、車両の外側に面していないため、車両の外部からは視認し難くなっている。このため、車両装着方向内側のタイヤサイド面21に凸部30を形成した場合は、凸部30も視認し難くなる。これにより、車両装着方向内側のタイヤサイド面21に凸部30を形成することにより、車両の外観に影響を与えることなく、耐外傷性及び燃費性能を両立することができる。
これらのように、凸部30を設けるタイヤサイド部20によって、得られる副次的な効果が異なるため、凸部30は、空気入りタイヤ1や車両の使用態様に応じて、タイヤ幅方向における両側に位置するタイヤサイド部20のうち、少なくとも一方のタイヤサイド部20に形成されていればよい。
また、上述した実施形態に係る空気入りタイヤ1では、屈曲部40を介して連続する2つの延在部50の中心線同士でなす角度θnを求める際に用いる仮想円Vc(図8参照)や、延在部50同士の傾きを比較する際に用いる仮想円Vc(図9参照)、第一延在部51と第三延在部53とが略平行であることを規定する際に用いる仮想円Vp(図13参照)は、比較する延在部50のうち、長さが短い側の延在部50の長さの1/2の大きさを半径としているが、仮想円Vcや仮想円Vpは、これ以外の大きさであってもよい。仮想円Vcや仮想円Vpは、例えば、半径が10mmの円を用いる等、予め設定された半径の円を用いてもよい。仮想円Vcや仮想円Vpは、凸部30の大きさや形態に応じて適切な円を用いるのが好ましい。
また、上述した実施形態に係る空気入りタイヤ1では、1つのタイヤサイド面21に形成される複数の凸部30や第一延在部51は、タイヤ周方向における所定の方向に向かう際におけるタイヤ径方向への傾斜方向が、全て同じ方向となって傾斜しているが、凸部30や第一延在部51の傾斜方向は同じでなくてもよい。例えば、1つのタイヤサイド面21に形成される複数の凸部30は、タイヤ周方向における所定の方向に向かう際におけるタイヤ径方向への傾斜方向が、タイヤ周方向に隣り合う凸部30同士で、互いに反対方向になっていてもよい。つまり、1つのタイヤサイド面21に形成される複数の凸部30は、タイヤ周方向に隣り合う凸部30同士で傾斜方向が互いに反対方向になることにより、タイヤ周方向に隣り合う凸部30同士がハの字状に配置されていてもよい。タイヤ周方向に対するタイヤ径方向への凸部30の傾斜方向が互いに反対方向になることにより、空気入りタイヤ1がいずれの方向に回転した場合でも、凸部30によって適切に乱流を発生させることができ、空気抵抗の増加を抑制して転がり抵抗を低減することができる。これにより、空気入りタイヤ1の回転方向に関わらず燃費性能を向上させることができる。
[実施例]
図24A~図24Dは、空気入りタイヤの性能評価試験の結果を示す図表である。以下、上記の空気入りタイヤ1について、従来例の空気入りタイヤと、本発明に係る空気入りタイヤ1と、本発明に係る空気入りタイヤ1と比較する比較例の空気入りタイヤとについて行なった性能評価試験について説明する。性能評価試験は、燃費性能と、耐外傷性の試験について行った。
性能評価試験は、JATMAで規定されるタイヤの呼びが205/55R16サイズの空気入りタイヤ1を、リムサイズ16×6.5JのJATMA標準のリムホイールにリム組みし、空気圧を230kPaに調整して、排気量が2000ccの評価車両に試験タイヤを装着して評価車両で走行をすることにより行った。
各試験項目の評価方法は、燃費性能については、試験タイヤを装着した評価車両で、全長2kmのテストコースを100km/hで50周走行する試験走行を行い、試験走行による燃料消費量を測定した。燃費性能は、測定した燃料消費量の逆数を、後述する従来例を100とする指数で示した。この数値が大きいほど燃料消費量が少なく、燃費性能が優れていることを示している。
また、耐外傷性については、試験タイヤを装着した評価車両で、高さ100mmの縁石に対して、進入角度45°、進入速度10km/hでタイヤを衝突させ、進入速度を10km/hから徐々に上げていき、タイヤがバーストに至る進入速度を測定した。耐外傷性は、バーストに至る進入速度を、後述する従来例を100とする指数で示した。この数値が大きいほどバーストが発生し難く、耐外傷性が優れていることを示している。
性能評価試験は、従来の空気入りタイヤの一例である従来例の空気入りタイヤと、本発明に係る空気入りタイヤ1である実施例5~25と、本発明に係る空気入りタイヤと比較する空気入りタイヤである比較例と、参考例1~4との27種類の空気入りタイヤについて行った。このうち、従来例の空気入りタイヤは、タイヤサイド部20に凸部30が形成されているものの、凸部30は直線状に形成され、曲率の大きさが異なる部分を有していない。また、比較例の空気入りタイヤは、曲率の大きさが異なる部分を有する凸部30を有しているものの、タイヤ最大幅位置Wでのタイヤサイド部20の厚さGaが、2mm以上9mm以下の範囲内になっていない。
これに対し、本発明に係る空気入りタイヤ1の一例である実施例5~25は、全て、凸部30は、曲率の大きさが互いに異なる部分を有して延在しており、タイヤ最大幅位置Wでのタイヤサイド部20の厚さGaが2mm以上9mm以下の範囲内になっている。さらに、実施例5~25と、参考例1~4に係る空気入りタイヤ1は、タイヤ断面高さSHの70%に対する第一延在部51の長さC1や、タイヤ断面高さSHの70%に対する凸部30の長さC0、第二延在部52の長さC2に対する第一延在部51の長さC1、複数の曲線延在部61の中での第一延在部51の曲率の大きさ、タイヤ外径部25の曲率半径Rctに対する第一延在部51の曲率半径Rc1、曲率半径が最も小さい曲線延在部61の曲率半径に対する第一延在部51の曲率半径Rc1、第一延在部51の曲率半径Rc1の中心がタイヤ径方向において第一延在部51に対して位置する側、第一延在部51の最大幅に対する最大高さ、第一延在部51の最大幅、第一延在部51はタイヤ径方向外側に向かうに従って高さが低くなるか否か、屈曲部40を跨る位置での延在部50の幅の変化の有無、空気入りタイヤ1の回転方向の先着側から後着側に向かう際における第一延在部51のタイヤ径方向への傾斜方向、第一延在部51と第二延在部52とでなす角度θ1、屈曲部40の数、第三延在部53の長さC3に対する第一延在部51の長さC1が、それぞれ異なっている。
これらの空気入りタイヤ1を用いて性能評価試験を行った結果、図24A~図24Dに示すように、実施例5~25に係る空気入りタイヤ1は、従来例に対して、燃費性能と耐外傷性とのいずれの性能も向上させることができることが分かった。つまり、実施例5~25に係る空気入りタイヤ1は、耐外傷性及び燃費性能を両立することができる。