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JP7233954B2 - 蒸着マスク - Google Patents

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Description

本発明は、有機EL表示装置等の画素を、蒸着によって形成する場合の、蒸着マスクに関する。
有機EL表示装置は、画素毎に発光材料である有機層を蒸着によって形成している。画素ピッチは小さく、したがって、蒸着によって形成される各画素における有機EL層で構成される発光体のサイズも小さい。これに伴い、蒸着マスクにおける孔のピッチも孔の大きさも非常に小さい。したがって、蒸着マスクの精度は重要である。
蒸着マスクは、画素に蒸着するための孔が多数形成されたマスク箔の部分と、このマスク箔を指示する支持枠とから構成されている。特許文献1には、この支持枠のゆがみを低減し、かつ、寸法精度を向上させるために、支持枠を上枠と下枠の2枚構成とし、上枠と下枠を接着材によって接着した構成とすることが記載されている。
特開2017-210633号公報
本発明における蒸着マスクは、有機EL表示装置の表示領域の画素に対応し、孔が多数形成された箔状のマスクと、箔状マスクを支える支持枠と、箔状マスクとによって構成される。以後本明細書では、孔が多数形成された箔状のマスクを単にマスクとよび、マスクと支持枠の組み立て体を蒸着マスクと呼ぶ。
有機EL表示装置の画素ピッチは非常に小さく、また、各画素に対応するマスク孔の径も非常に小さい。したがって、孔が形成されるマスクの厚さも非常に小さくする必要がある。また、マスクは蒸着される基板に沿って平坦化しておく必要がある。マスクの平坦度を維持するために、支持枠によって、マスクに対して外側にテンションを加えておく必要がある。この時、支持枠には、反作用として、内側に向かうテンションが加わる。
支持枠は、寸法精度の向上及び枠自体のゆがみを防止するために、上枠と下枠の2枚構造とし、接着材によって上枠と下枠を接着した構成が使用される。この時、マスクからの反作用としての、支持枠に対するテンションは、主として上枠に加わる。
そうすると、上枠と下枠を接着する接着層に剪断力が加わり、上枠と下枠が互いに平面方向にずれる現象を生ずる。このような剪断力による、上枠と下枠のずれは蒸着マスクによる蒸着精度に対して重要な影響を生ずる。
本発明は、剪断力による上枠と下枠のずれを防止し、蒸着マスクの寸法精度を維持し、これによって、優れた品質の有機EL表示装置の製造を可能とすることである。
本発明は上記課題を克服するものであり、主な具体的な手段は次のとおりである。
(1)表示装置の製造に使用される蒸着マスクであって、前記蒸着マスクは、画素に蒸着物を形成するためのマスクと、前記マスクを支える支持枠とで構成され、前記支持枠は、上板と下板と、前記上板と前記下板を接着する接着材によって構成され、前記上板と前記下板の間にせん断力が加わったときに、前記支持枠の主面方向に、前記上板と前記下板が互いにずれることを防止するためのストッパーを有することを特徴とする蒸着マスク。
(2)表示装置の製造に使用される蒸着マスクであって、前記蒸着マスクは、画素に蒸着物を形成するためのマスクと、前記マスクを支える支持枠とで構成され、前記支持枠は、上板と下板と、前記上板と前記下板を接着する接着材によって構成され、前記上板の一方の面には、所定のピッチで凸部が形成され、前記下板の一方の面には、前記所定のピッチで凹部が形成され、前記凸部と前記凹部が勘合している構成であることを特徴とする蒸着マスク。
有機EL表示装置の平面図である。 有機EL表示装置の画素構成を示す平面図である。 表示領域における基板と蒸着マスクの関係を示す断面図である。 蒸着装置の概要を示す断面図である。 蒸着マスクの詳細図である。 蒸着マスクにおけるマスクを形成した状態を示す断面図である。 支持枠の断面図である。 支持枠とマスクを仮付けした状態を示す断面図である。 メッキで形成した接合部材によってマスクと支持枠を接合した状態を示す断面図である。 マスクから母材を剥離した状態を示す断面図である。 支持枠の製造工程を示す断面図である。 蒸着マスクの平面図である。 図8のA-A断面図である。 支持枠の上板にテンションが加わった状態における支持枠の断面図である。 本発明の概略を示す断面図である。 本発明の概略を示す平面図である。 実施例1の実施形態1の製造工程を示す断面図である。 図13Aに続く工程を示す断面図である。 実施例1の実施形態1を示す断面図である。 実施例1の実施形態2の製造工程を示す断面図である。 図14Aに続く工程を示す断面図である。 図14Bに続く工程を示す断面図である。 実施例2の実施形態1構成を示す断面図である。 実施例2の実施形態1の製造工程を示す断面図である。 図15Aに続く工程を示す断面図である。 図15Bに続く工程を示す断面図である。 図15Cに続く工程を示す断面図である。 実施例2の実施形態1の構成を示す断面図である。 実施例2の実施形態2の製造工程を示す断面図である。 図16Aに続く工程を示す断面図である。 図16Bに続く工程を示す断面図である。 実施例2の実施形態2の構成を示す断面図である。 実施例2の実施形態3の製造工程を示す断面図である。 図17Aに続く工程を示す断面図である。 図17Bに続く工程を示す断面図である。 図17Cに続く工程を示す断面図である。 図17Dに続く工程を示す断面図である。 実施例2の実施形態3の構成を示す断面図である。 実施例3の実施形態1の製造工程を示す断面図である。 図18Aに続く工程を示す断面図である。 図18Bに続く工程を示す断面図である。 図18Cに続く工程を示す断面図である。 実施例3の実施形態1の構成を示す断面図である。 実施例3の実施形態1の構成を示す平面図である。 実施例3の実施形態1の他の例の構成を示す平面図である。 実施例3の実施形態2の製造工程を示す断面図である。 図19Aに続く工程を示す断面図である。 図19Bに続く工程を示す断面図である。 図19Cに続く工程を示す断面図である。 図19Dに続く工程を示す断面図である。 実施例3の実施形態2の構成を示す断面図である。 実施例3の実施形態2の構成を示す平面図である。 実施例3の実施形態2の他の例の構成を示す平面図である。 実施例4の実施形態1の製造工程を示す断面図である。 図20Aに続く工程を示す断面図である。 図20Bに続く工程を示す断面図である。 図20Cに続く工程を示す断面図である。 図20Dに続く工程を示す断面図である。 実施例4の実施形態1の最終工程を示す断面図である。 実施例4の実施形態1の構成を示す平面図である。 実施例4の実施形態2の製造工程を示す断面図である。 図21Aに続く工程を示す断面図である。 図21Bに続く工程を示す断面図である。 図21Cに続く工程を示す断面図である。 図21Dに続く工程を示す断面図である。 実施例4の実施形態2の構成を示す断面図である。 実施例5の実施形態1の製造工程を示す断面図である。 実施例5の実施形態1の構成を示す断面図である。 実施例5における凸部と凹部の例を示す図である。 実施例5における凸部と凹部の他の例を示す図である。 実施例5における凸部と凹部のさらに他の例を示す平面図である。 実施例5における凸部と凹部のさらに他の例を示す平面図である。 実施例5における凸部と凹部のさらに他の例を示す平面図である。 実施例5の実施形態2の製造工程を示す断面図である。 実施例5の実施形態2の構成を示す断面図である。 実施例5の実施形態3の製造工程を示す断面図である。 実施例5の実施形態3の構成を示す断面図である。
図1は有機EL表示装置の平面図である。図1において、ガラスあるいはポリイミドの樹脂で形成されたTFT基板40の上に、画像を表示する表示領域10が形成されている。表示領域10の周辺には、額縁領域21が配置している。額縁領域21には、画素14に電流を供給する電流供給線や、走査線駆動回路20等が配置されている。表示領域10には、横方向(x方向)に走査線11が延在し、縦方向(y方向)に配列している。また、映像信号線12及び電源線13が縦方向に延在し、横方向に配列している。走査線11と、映像信号線12及び電源線13で囲まれた領域が画素14となっており、画素14内には、光を発光する有機EL層、TFTで形成された駆動トランジスタ、スイッチングトランジスタ、等が形成されている。
基板40の1辺には端子領域30が形成されている。端子領域30には、映像信号線12を駆動するためにドライバIC31が搭載され、有機EL表示装置に電源や信号を供給するためにフレキシブル配線基板32が接続されている。
図2は、有機EL表示装置の表示領域の平面図である。図2において、図1の画素14に対応する部分には、赤発光体Rを有する赤画素、緑発光体Gを有する緑画素、または、青発光体Bを有する青画素が形成され、各画素あるいは発光体は、デルタ配置となっている。赤発光体R、緑発光体G、青発光体Bは、各々別な有機EL材料で構成されるので、別々に蒸着される。したがって、図2のような画素構成とするためには、3個の蒸着マスクが必要である。
図2では、各発光体の平面形状は円であり、各発光体はデルタ配置している例であるが、これは一例であり、発光体の平面形状が正方形、長方形、ストライプ等の場合もありうる。また、発光体の配置は、デルタに限らず、ひし形、平行四辺形、ストライプ配置等の場合もありうる。
図2において、発光体の直径d1は例えば、15μm乃至20μmである。画素ピッチppは、例えば30μm乃至40μmである。この場合、マスクの径は発光体の径と同じである。一方、マスクの孔は、各発光体別に形成されるので、マスクの孔のピッチpmは50μm乃至67μmである。隣り合って配置される異なる色同士の間隔は、すなわち蒸着マスクのアライメントマージンとなり、10μm乃至30μm程度が必要とされるが、各画素の発光領域の拡大化や、表示領域の高精細化を鑑みると、この距離は小さくすることが好ましい。
図3は、3色の発行体の一つとなる有機EL材料を蒸着するためのマスク50と基板40の状態を示す断面図である。図3において、蒸着基板40、すなわち、TFT基板40の厚さtsは、例えば0.5mmである。一方、発光体の径d1を15μm乃至20μmとするために、マスク50にも、同様に、孔径d1の孔を形成している。有機EL材料は、マスク50に設けられた孔から露出した基板40の表面に蒸着される。孔径d1の領域に過不足なく有機EL材料が蒸着されるためには、マスク50の板厚tmは5μm乃至10μm程度と薄くする必要がある。マスク50の板厚が厚いと、斜め方向から堆積しようとする有機EL材料に対する遮蔽物となり、いわゆる「ケラレ」が生じて蒸着不良となる。
図2に示すような高精細の画素構成とするためには、図3に示すように、マスク50と蒸着基板40とはほぼ密着状態とする必要がある。このためには、マスク50にテンションを加えてマスク50を平坦に保つ必要がある。なお、図3における矢印80は有機EL材料の蒸発物である。図示しないが、マグネットを、マスク50に対して基板40の反対側に面するように配置し、磁力によってマスク50を基板40に密着させる場合もある。
図4は真空蒸着の状態を示す概略断面図である。図4の真空チャンバ1000内において、蒸着源900から蒸着材料80が基板40に向けて蒸発する。基板40には、蒸着マスクのマスク50を介して発光材料が蒸着される。蒸着膜厚を均一にするために、図4においては、蒸着源90が2個使用されている。蒸着源90は、蒸着膜を均一にするために、必要に応じて数が増減される。
蒸着マスクは、箔状のマスク50と支持枠60を接合部材70で接合したものである。支持枠60は上板61と下板62が接着材63によって接着した構成である。支持枠60とマスク50とは、メッキによる接合部材70によって接合している。薄いマスク50がたわまないように、マスク50には、支持枠60によってテンションがかけられている。その反作用として、支持枠60には、内側に向かうテンションが発生し、上板61と下板62を接着している接着材63には、剪断応力が発生する。
図5は蒸着マスク5の詳細図である。図5において上側が平面図であり、下側が断面図である。有機EL表示装置は個々に製造したのでは効率が悪いので、大きな基板に多数の有機EL表示パネルが形成される。したがって、蒸着マスク5もこの大きな基板に対応するものになっている。
図5において、蒸着マスク5は、支持枠60によって4つに区画されており、各区画毎に、マスク50が存在している。各マスク50には、16個の有機EL表示装置が対応している。したがって、図5の蒸着マスク50によって、64個の有機EL表示装置が形成される。なお、図5では、蒸着マスク5は4つに区画されているが、これは例であり、区画の数は4には限らない。
各マスク50には、有機EL表示装置の表示領域の各画素に対応して多数の孔が形成された開口領域51と、孔の存在していない周辺領域52から構成されている。マスク50は、例えば、厚さが数μmから十数μmのNi、あるいはNi合金であり、メッキによって形成されている。
支持枠60は、上板61と下板62が接着材63によって接着したものである。支持枠60を2層構成としているのは、ローラによって板材を形成するときに、薄板としたほうが、ローラ回数が増えるので、寸法を正確に出しやすいということが一つの理由である。他の理由は、板材固有のひずみを2枚の板材によって相殺することによって、積層された支持枠にゆがみが生ずることを防止することである。
上板61、下板62は、例えば、厚さ0.5mm程度のインバー材で形成される。インバー材は、鉄とニッケルの合金であり、熱膨張係数が非常に小さい。上板61、下板62、及び接着材63で形成される支持枠60とマスク50とは、メッキによる接合部材70によって接合されている。完成したマスク50には支持枠60によってテンションが加えられ、マスク50の撓みを防止する。
図6A乃至図6Eは、図5に示す蒸着マスクを形成するためのプロセスを示す断面図である。図6Aは、メッキによってマスク50を形成した状態を示す断面図である。平面が平滑な金属板を用意し、これを母材90として使用し、この母材90の上に、マスク50を形成する。すなわち、母材90の上に、パターニングのためのフォトレジスト91を形成し、所定の箇所にメッキを成長させることによって、箔を形成する。図6Aでは、フォトレジスト91はマスク50の外形部にのみ形成されているが、開口領域における孔を形成するためにフォトレジストを形成し、マスク50の開口部に画素部の蒸着のための孔を同時に形成することも出来る。
図6Bは、マスク50とは別途に形成される支持枠60の断面図である。支持枠60は、例えば、厚さが0.5mmのインバー材でなる上板61と下板62とを接着材63によって貼り合わせたものである。接着材63の厚さは、例えば15μmである。板材は延伸材としてロール状で提供されるために、円弧方向への反りが残っている場合がある。このような場合、2枚の板を表裏逆で貼り合わせ、反りを相殺して平坦性を確保することが出来る。支持枠50の加工は切削加工でもエッチング加工でもよい。
図6Cは、マスク50が形成された母材90に支持枠60を仮接着した状態を示す断面図である。仮接着に用いられる仮接着材92は、後の工程で、母材90の剥離が容易になるようなものを用いることが好ましい。
図6Dは、マスク50と支持枠60を接合するために、図6Cの構造に対して、フォトレジスト91を形成し、その後、メッキを成長させてマスク50と支持枠60の接続部材70を形成した状態を示す断面図である。図6Dにおいて、接合部材70としてのメッキを形成する部分以外をフォトレジスト91で覆い、メッキによって接合部材70が形成されている。
図6Dでは、支持枠60において、メッキによって接合部材70を形成する部分を除いてレジスト91を形成している。これに限らず、支持枠60全面に対してメッキを施してもよい。但し、この場合、支持枠60全面にメッキを施すことによって、メッキ膜の応力により、支持枠60が変形する場合があるので、注意が必要である。
図6Eは、フォトレジスト91を剥離した後、金属で形成された母材90を蒸着マスク5から剥離している状態を示す断面図である。これによって蒸着マスク5が完成する。なお、母材90に、メッキによってマスク50を形成する時に、マスク50に応力が生じ、この応力は、母材90を蒸着マスク5から剥離すると、マスク50が収縮する方向に働き、それを支持枠60が収縮に逆らってマスク50を支えることになる。言い換えると、マスク50には、支持枠60によって、外側に引張られるようなテンションが発生することになる。このテンションによってマスク50の平坦性が保たれる。
図7は、支持枠60の製造方法を示す断面図である。支持枠60は、上板61と下板62を接着材63で貼り合わせたものである。上板61、下板62のための板材は延伸材としてロール状で提供されるので、円弧方向への反りが残っている。そこで、図7に示すように、2枚の板を表裏逆で貼り合わせ、平坦性を確保している。
本発明における蒸着マスク5は図5に示すとおりであるが、以後の説明では、わかりやすくするために、簡略図面を用いる。図8は、以後の説明における蒸着マスク5の平面図である。図8では、図5における1区画のみが記載されている。すなわち、支持枠60内に1個のマスク50が形成されている。図9は、図8のA-A断面図である。実際の蒸着マスク5は図5に示すように、マスク50と支持枠60はメッキによる接合部材70によって接合されているが、図9では、接合部材70は省略され、マスク50は、支持枠70の上板61に接合されている。以後、本発明の説明における蒸着マスク5の断面は、図9を用いておこなう。なお、図5に示すような接合部材70が存在している場合も、マスク50からの支持枠60へのテンションは主として上板61に生ずることは、図9と同じである。
図10は、本発明が解決する問題点を示す断面図である。マスク50には平坦性を保つために、テンションが加えられている。一方、支持枠60には、反作用として、内側にテンションがかかり、これによって、上板61と下板62を接着している接着材63にせん断応力が発生し、上板61と下板62が平面方向にずれてしまう。そうすると、結果的にマスク50の孔の位置が移動することになる。
つまり、基板40も蒸着マスク5の下板62も蒸着装置に固定されるので、結果的に、支持枠60の上板61と接合したマスク50における開口が基板40に対してずれることになる。図2等で説明したように、有機EL表示装置では、画素ピッチが非常に小さいので、図10のようなずれが発生すると、画素における発光体、すなわち、有機EL層の位置がずれてしまい、表示品質に重大な影響をもたらす。
本発明の構成は、図11に示すように、支持枠60において、上板61と下板62のずれを防止するストッパー100を設け、これによって、たとえ、上板61と下板62の間にテンションによるせん断応力が加わった場合においても、上板61と下板62の間にずれが生じないようにし、発光体としての有機EL層の位置がずれないようにすることである。
図12は、このための構成を示す、蒸着マスク5の平面図である。図12において、マスク50の外側において、支持枠60の上板61と下板62を固定するためのストッパー100が長辺上、短辺上、及びコーナー部に形成されている。なお、ストッパー100の平面的な位置は、図12に限らず、ストッパー100の性質に応じて位置を選べばよい。以下に示す実施例は、種々のストッパー100の構成を示すものである。
実施例1は、アイスピック、千枚通し、あるいはキリ等のような、先の尖った打ち抜き具110で上板61と下板62を貫通して打ち抜くことにより、打ち抜き部分における上板61の変形によって、上板61と下板62の平面方向のずれを防止するものである。
(実施形態1)
図13A乃至図13Cは実施例1における実施形態1を示す図である。図13Aの上側の断面図は、支持枠60を、孔を有する下側剛体(載置台)115と上側剛体(抑え台)114の間に挟み、打ち抜き具110を支持枠60に当てた状態を示す図である。13Aの下側の図は、支持枠60の上に配置した打ち抜き具110の打点111を示す平面図である。
図13Bは、打ち抜き具110によって、支持枠60の上板61と下板62を貫通した状態を示すものであり、上側の図は断面図、下側の図は平面図である。図13Bの断面図に示すように、支持枠60を打ち抜いたとき、上板61と下板62にバリ113が発生し、このバリ113によって、上板61と下板62の相互のずれを防止するものである。図13Bの下側の平面図において、112は貫通孔、1121は、バリを発生させるように支持枠60が変形した部分である。
図13Cは、貫通孔112に形成されたバリ113の状態を示す断面図である。形成される孔112は例えば円形である。したがって、支持枠60における上板61と下板62は、平面方向のいずれの方向においても、相互の動きは抑えられる。
(実施形態2)
図14A乃至図14Dは、実施例1の実施形態2を示す断面図である。実施形態1では、図13Cに示すように、打ち抜き具110で打ち抜いた支持枠60の裏側には、バリ113が突起として生じている。蒸着装置等において、このような突起状のバリ113が邪魔になる場合がある。実施形態2はこの問題を対策したものである。
図14Aの上側の断面図は、支持枠60を、孔を有する下側剛体115と、上側剛体114の間に挟み、下板62に対してエンドミル加工を施すためのエンドミル116を当てているところを示す断面図である。エンドミル116によって、下板62のみに孔を形成する。
図14Bは、下板62に孔を形成した後、下側剛体115の径が小さい部分に支持枠60を配置し、打ち抜き具110を上板61側に当てた状態を示す断面図である。図14Cは、打ち抜き具110によって上板61を打ち抜いた状態を示す断面図である。この時、下板62には、あらかじめ孔が形成されており、かつ、下側剛体115の径が小さくなっているので、上板61のバリ113は、下板62よりも下方に出っ張らず、下板62の端部に当接することになる。
図14Dは、加工後の支持枠60の断面図である。図14Dにおいて、打ち抜かれた上板61のバリ113は、下板62の下面よりも突出することは無く、下板62の端面と当接している。上板61のバリ113によって、下板62と上板61が平面方向にずれることは防止されている。また、バリ113が下板62の下面よりも下方に突出することは無い。
実施例2は、支持枠60の上板61と下板62に形成したスルーホールにピンを打ち込むことによって、上板61と下板62が相互にずれることを防止するものである。
(実施形態1)
図15A乃至15Eは、実施例2の実施形態1を示す断面図である。図15Aは、上板61と下板62にスルーホールを形成するために、リーマ117を上板61に当てている状態を示している。支持枠60が載置されている下側剛体115には、リーマ117に対応する部分に開口が形成されている。
図15Bは、スルーホールが形成された支持枠60を開口が形成されていない下側剛体115の上に載置し、打ち込まれるピンの頭を収容するための穴を形成するために、上板61にエンドミル116を当接している状態を示す断面図である。図15Cは、エンドミル116によって、ピンの頭に対応する部分に穴をあけた状態を示す断面図である。
図15Dは、このようして形成された上板61と下板62の孔にピン120を差し込む状態を示す断面図である。上板61と下板62の平面方向のずれを無くすには、ピン120の本体と、上板61と下板62のスルーホールとの関係は、「隙間嵌め」ではなく、「締り嵌め」のほうがよい。
図15Eは、上板61と下板62に形成された孔にピン120を差し込んだ状態を示す断面図である。リーマ加工とエンドミル加工によって、ピン120は上板61と下板62に完全に収容されている。図15Eにおいて、ピン120によって支持枠60における上板61と下板62のずれは防止することが出来る。また、実施例1のように、バリ113で上板61と下板62のずれを防止する場合に比較して、再現性が優れている。
(実施形態2)
図16A乃至16Dは、実施例2の実施形態2を示す断面図である。実施形態2が実施形態1と異なる点は、使用するピンが、図16Cに示すような、平行ピン121だということである。平行ピン121の場合、ピンに頭が無いので、実施形態1で用いたようなエンドミル加工は不要である。
図16Aは孔を有する下側剛体115の上にリーマ117を当てた状態を示す断面図である。図16Bは、リーマ117によってスルーホールを形成した支持枠60を、孔の存在しない下側剛体115の上に載置した状態を示す断面図である。図16Cは、支持枠60のスルーホールに平行ピン121を挿入する状態を示す断面図である。この場合も、上板61と下板62の平面方向のずれを無くすには、平行ピン121と、上板61と下板62のスルーホールとの関係は、「隙間嵌め」ではなく、「締り嵌め」のほうがよい。
図16Dは、平行ピン121を支持枠60のスルーホール内に打ち付けによって挿入した状態を示す断面図である。実施形態2は実施形態1にくらべてエンドミル加工が不要な分、工程を簡略化できる。
(実施形態3)
図17A乃至17Dは、実施例2の実施形態3を示す断面図である。実施形態3が実施形態1と異なる点は、使用するピンが、図17Dに示すような、中空ピン122だということである。ピン122の外形形状は、実施形態1のピン120と類似である。したがって、支持枠115に形成するスルーホールや上板61にエンドミル116によって形成する穴は実施形態1と同様であり、実施形態3における図17A、図17B、図17Cに示す加工プロセスは、実施形態1における図15A、図15B、図15Cと同じである。
図17Dが図15Dと異なる点は、図17Dで使用されるピン122の長さが、図15Dで使用されるピン120の長さよりも長いということである。図17Dにおいて、支持枠60が載置されている下側剛体115には、孔が形成されており、この部分において、ピン122の先端が下板62の下面よりも下方に突出している。
図17Eは、支持枠60をひっくり返し、孔の存在しない下側剛体115上で、ピン122の中空部分を工具(打ち棒)123によって叩く状態を示す断面図である。これによって、中空ピン122の先端をつぶし、中空ピン122を固定する。
図17Fは、中空ピン122の先端をつぶして、中空ピン122を固定した状態を示す断面図である。図17Fに示すように、中空ピン122の先端のつぶした部分は、下板62の下面よりも、下方に突出している。蒸着装置において、蒸着マスク5のいずれかの面に突起が存在してもよいような構成であれば、図17Fのような構成を使用することが出来る。
実施例3は、平面形状において、下板62を上板61よりも小さくしておき、端部に下板62及び上板61と強力に接着することが出来る材料を上板61の端部下面及び下板62の端部側面に形成することによって、上板61と下板62の平面方向へのずれを防止するものである。
(実施形態1)
図18A乃至18Eは、実施例3の実施形態1を示す断面図である。図18Aは、上板61と下板62が上下逆に下側剛体115の上に載置されている状態を示す断面図である。図18に示すように、下板62のサイズは上板61のサイズよりも小さくなっており、端部において、上板61が下板62よりも外側に突き出た状態になっている。
図18Bは、上板61の端部に3次元プリンタを用いて造形物133を積層している状態を示している。130は、3次元プリンタのノズルを示している。このようにして形成される造形物133は、例えば、熱処理あるいは紫外線照射等を行った後は、上板61及び下板62と、接着材63以上に、強力に接着する性質を有する材料である。図18Cは、3次元プリンタによって、造形物133を積層し終わった状態を示す断面である。この状態で例えば、熱処理を加えて、あるいは、紫外線照射を行って、造形物133を固化するとともに、造形物133を、上板61及び下板62と強力に接着させる。図18C等におけるバーベル印135は、積層造形物133が、上板61及び下板62に強く接着していることを示している。
図18Dは、研磨工具132を用いて造形物133を研磨して、支持枠60の平面及び側面を平坦化している状態を示す断面図である。図18Eは、加工後の支持枠60の断面図である。図18A乃至図18Dは、上板61と下板62を上下逆の状態で加工しているが、図18Eは、上板61と下板62の上下関係を元に戻した状態になっている。
図18Fは、支持枠60を裏面から視た場合の裏面平面図である。下板62は上板61よりも全周において外形が小さい。3次元プリンタで、全周に積層造形物131を形成することが時間的、コスト的に不利な場合は、図18Fに示すように、積層造形物131を下板62の外側に離散的に形成することが出来る。もちろん、条件が許せば、積層造形物131を下板62の外周全域に形成してもよい。
図18Gは、積層造形物131を支持枠60の内周側に形成した例である。図18Gは、裏面平面図であるから、下板62のみが見えている。下板62が内周の全周において、上板61よりも幅が小さい場合、積層造形物113は下板62の内周の全周に形成されている。
(実施形態2)
図19A乃至19Eは、実施例3の実施形態2を示す断面図である。実施形態2が実施形態1と異なる点は、支持枠60において、当初は下板62と上板61の大きさを同じにしておき、下板62の端部をエンドミルによって、除去することにより、3次元プリンタによる造形物131を形成するスペースを確保するものである。
図19Aは、上板61と下板62が同じ大きさである支持枠60を、上下逆の状態にして下側剛体115上に配置した状態において、下板62端部の一部を除去するために、エンドミル116を当てている状態を示す断面図である。なお、図19A乃至図19Eにおける支持枠60は上下逆の状態になって、下側剛体115の上に載置されている。
図19Bは、エンドミル116によって、下板62端部を切削除去した状態を示す断面図である。図19Cは、3次元プリンタによって、上板61端部に積層造形物133を形成している状態を示す断面図である。130は、3次元プリンタのノズルを示している。図19Cは図18Bで説明した構成と同様である。図19Dは、実施形態1の図18Cに対応し、図19Eは、実施形態1の図18Dに対応する。19Fは、加工後の支持枠60を示す断面図であり、実施形態1の図18Eに対応する。
実施形態2における支持枠60の平面図は、実施形態1とは異なっている。つまり、実施形態2は、エンドミル116によって、下板62の端部を除去しているので、通常は、除去部分の平面は円となる。図19Gは、実施形態2における支持枠60の裏面平面図である。図19Gにおいて、下板62端部に形成したエンドミル116による穴に3次元プリンタで形成した積層造形物133が充填されている。穴をエンドミルで形成しているので、穴及び積層造形物133は外周において、離散的に形成されている。
図19Hは、実施形態2における支持枠60の他の例における裏面平面図である。図19Hにおいて、下板62の内周側の端部に、エンドミル116によって穴を形成し、この穴に3次元プリンタで形成した積層造形物133が充填されている。図19Hにおいても、穴をエンドミル116で形成しているので、穴及び積層造形物133は内周において、離散的に形成されている。
なお、図19G、図19H等は、下板62に形成する除去部分を、エンドミル116によって形成しているので、円形の穴となっている。しかし、エンドミル116以外の工具を用いることによって、下板62の端部の除去部分の平面形状を円以外の形状にすることは可能である。
実施例4は、支持枠60において、上板61と下板62のずれを無くすために端部において、上板61と下板62をメッキによって固定する例である。
(実施形態1)
図20A乃至図20Fは、実施例4の実施形態1を示す断面図であり、図20Gは、実施例4による支持枠60の平面図である。図20Aの上側の図は、本実施形態の処理を施す前の支持枠60の断面図であり、下側の図は、支持枠60の上板61と下板62を接着している接着材63を溶かす溶剤140が入っている溶剤槽141の断面図である。この溶剤の中に、支持枠60の1辺の端部を浸漬させる。
図20Bは、支持枠60の1辺の端部を溶剤140に浸漬させた状態を示す断面図である。図20Bにおいて、支持枠60が溶剤140に浸漬された部分における丸印は、接着材63が溶剤140に溶け出している途中過程を示している。図20Cは、溶剤140に浸漬された範囲の接着材63が除去された状態を示す断面図である。
本実施形態では、メッキは上板61と下板62の端面、及び、端部において上板61と下板62の間にメッキを形成する構成である。図20Dの上側の図は、メッキを施す前に上板61と下板62の主面にメッキが形成されないように、マスキングテープ142を貼り付けた状態を示す断面図である。図20の下側の図は、メッキ液143がメッキ槽145に収容されている状態を示す断面図である。
図20Eは、支持枠60の端部をメッキ液143に浸漬させた状態を示す断面図である。図20Eにおいて、メッキ液143と接している上板61と下板62にメッキが施されることになる。図20Fは、端部において、上板61と下板62の間および端部側面にメッキ144が施された状態の支持枠60をメッキ槽145から取り出した状態を示す断面図である。図20Fの上側に示すように、メッキ144は下板62と上板61の間を充填して上板61と下板62を強固に接着して、せん断力による上板61と下板62のずれを防止することが出来る。因みに、上板61と下板62の間のメッキ厚は、接着材63と同じ厚さであり、15μm乃至20μmである。
図20A乃至図20Fに示す工程は、支持枠60の1辺のみでなく、支持枠60の4辺に適用される。図20Gは、本実施形態によって支持枠60にメッキ144が施された状態を示す平面図である。図20Gに示すように、メッキ144は、支持枠60の4辺の外端全域に施され、いずれの方向へのせん断力に対しても対応することが出来る。なお、図20Gの点線は、メッキが支持枠60の端部において、上板61と下板62の間に形成されていることを示している。
(実施形態2)
図21A乃至図21Eは、実施例4の実施形態2を示す断面図である。図21Aは、支持枠60の端部を溶剤140に浸漬して、接着材63を溶かしている状態を示す断面図であり、実施形態1における図20Bに対応する。支持枠60において、接着材63が除去された範囲は上板61と下板62の間隔が大きくなりやすい。図21Bは、支持枠60の端部において、上板61と下板62の間隔が大きくなっている状態を示す断面図である。そうすると、上板61と下板62にメッキ144を施しても、上板61と下板62がメッキ144によって接合されない状態が生ずる。
図21Cは、これを防止するために、メッキ前にクランプ146によって、上板61と下板62の間隔の広がりを防止している状態を示す断面図である。図21Cの上側の図において、端部において接着材63が除去された支持枠60に対し、マスキングテープ142を貼り付け、その後、クランプ146によって、上板61と下板62の間隔の広がりを抑え、上板61と下板62の間に均一の厚さでメッキが施されるようにしている。クランプ146は、支持枠60の1辺全体に形成してもよいし、離散的に形成してもよい。この状態で、図21Cに示すメッキ液143に浸漬する。
図21Dは、クランプされた状態の支持枠60をメッキ液143内に浸漬して、メッキ144を施している状態を示す断面図である。図21Dは、このようにして端部がメッキされた支持枠60をメッキ液143から取り出した状態を示す断面図である。21Eは、クランプ146及びマスキングテープ142を除去した状態を示す支持枠60の断面図である。このようにして形成された実施形態2における支持枠60の平面図は、実施形態1における図20Gと同じである。
このように、本実施形態による支持枠60は、端部において、確実に上板61と下板62をメッキ144によって接着することが出来るので、せん断力に起因するずれを確実に防止することが出来る。
実施例5の支持枠60は、断面構造が実施例1乃至4とは異なっている。実施例5の支持枠60においては、片面に凸部611及び凹部612を有する上板61及び片面に凸部621及び凹部622を有する下板62を用意し、上板61あるいは下板62の一方の凸部と、上板61あるいは下板62の他方の凹部を勘合させて、上板61と下板62を貼り合わせる。このように形成された支持枠60は、互いに勘合する凸部と凹部によって、主面と平行方向にせん断力が生じても、上板61と下板62のずれは生じない。
(実施形態1)
図22は、実施例5の実施形態1による支持枠60の製造方法を示す断面図である。図22において、片面に凸部611と凹部612が形成された上板61、及び、片面に凸部621と凹部622が形成された下板62を用意する。このような板材は、プレスでも、機械加工でも製作することが出来る。図22において、上板61と下板62を、凹凸面を向い合せてローラによって貼り合わせる。貼り合わせるときに、支持枠60の主面と直角方向の力によって、上板61と下板62が剥離しないように、ノズル153から接着面に接着液152を塗布しながら貼り合わせる。
上板61と下板62を貼り合わせるときに、ローラ150によって、上板61あるいは下板62の一方の凸部と、上板61あるいは下板62の他方の凹部を勘合させて貼り合わせるので、上板61と下板62の間にせん断力が加えられても、上板61と下板62の主面方向のずれは生じない。また、ローラ150によって押しつぶしながら凸部と凹部を勘合するので、凸部及び凹部の製造公差に起因するずれも防止することが出来る。
図23は、このようにして製作された支持枠の断面図である。図23においては、上板61の凸部と下板の凹部が勘合して、組み合わされているので、せん断力が加わっても、上板61と下板62がずれることはない。また、上板61と下板62の間には、接着材が存在しているので、主面と垂直方向に力が加わっても上板61と下板62が剥離することは無い。
図24は、上板61及び下板62に凸部及び凹部が形成された面の状態を示す図である。図24の左側が上板61であり、右側が下板62である。図24の左側の図において、上板61には、凸部611が所定のピッチで形成されている。上側は平面図であり、下側はそのB-B断面図である。図24の左側の図面において、凸部611は島状に形成され、マトリクス状に配置している。各凸部611の平面形状は、図24では丸であるが、正方形でも、長方形でもよい。
図24の右側の図において、下板62には、上板61の凸部611に対応する部分に凹部622が形成されている。図24の右側の図の上側は平面図であり、下側はそのC-C断面図である。下板62の凹部622は、上板61における凸部611と同じピッチで形成され、各凹部622の平面形状は、上板61における凸部611と同じである。図24において、上板61の凸部611と下板62の凹部622を勘合させて貼り合わせることによって、せん断力が加わっても、上61板と下板62のずれが生じない支持枠60を製作することが出来る。
図25は、上板61及び下板62の凹部及び凸部が形成された面の状態の他の例を示す図である。図24の左側が上板61であり、右側が下板62である。図24の左側の図において、上板61には、凸部611が所定のピッチで形成されている。上側は平面図であり、下側はそのD-D断面図である。
図25の右側の図において、下板62には、上板61と同様に、凸部621が所定のピッチで形成されている。上側は平面図であり、下側はそのE-E断面図である。つまり、下板62と上板61は同じものである。上板61と下板62を貼り合わせるときに、上板61の凸部611を、下板62の点線の丸で示す凹部と勘合させる。下板62において、4個の凸部621の間のスペースが凹部622を構成することになる。
図25においても、効果は図24と同じである。図24の構成では、上板61と下板62を別々の工程で形成する必要があるが、図25の構成では、上板61と下板62を同時に形成することが出来る。したがって、製造コストを低減することができる。
図26は支持枠60の上板61及び下板62に形成する凸部と凹部の他の例を示す平面図である。図26において、上板61の一方の面には、凸部611が、縦方向(y方向)にストライプ状に形成され、横方向(x方向)に所定のピッチで形成されている。凸部611と凸部611の間が凹部612となっている。図26乃至図28における形態では、上板61と下板62は同じ形状なので、上板61のみ記載している。
図26において、凸部611のピッチppと凸部611の幅wをw=p/2に設定することによって、同じ幅の凸部611と凹部612が同じピッチで形成されることになる。このような構成であれば、上板61と下板62を同時に形成することが出来る。このようにして形成した上板61と下板62の凸部と凹部を勘合させて支持枠60を形成することができる。なお、上板61と下板62を勘合させるさいに、接着液152を吹き付けることは図22で説明したのと同様である。
このようにして形成された支持枠60は、横方向(図26のx方向)に加わるせん断力に対しては、上板61と下板62がずれることはない。一方、縦方向(図26のy方向)に加わるせん断力に対しても、上板61及び下板62に形成された凹凸によって接着面積が増加するので、ある程度の効果はある。しかし、縦方向に加わるせん断力に対しては充分ではない。
図27は支持枠60の上板61及び下板62に形成する凸部611と凹部612の他の例を示す平面図である。図27において、上板61の一方の面には、凸部611が、斜め方向にストライプ状に延在し、その直角方向に所定のピッチで形成されている。凸部611と凸部611の間が凹部612となっている。図27の構成は、凸部611が斜め方向にストライプ状に形成されている他は図26と同じである。
図27の構成による上板61と下板62を勘合させて形成した支持枠60は、横方向(図27のx方向)、縦方向(図27のy方向)へのせん断力は分散されるので、上板61と下板62のずれは、x方向、y方向のいずれにも生じにくい。但し、x方向またはy方向へのせん断力が非常に大きい場合は、上板61と下板62に若干のずれは生じうる。
図28は支持枠60の上板及び下板に形成する凸部と凹部の他の例を示す平面図である。図28において、上板61の一方の面には、凸部611が、縦方向にジグザグ状に形成され、その直角方向に所定のピッチで配列している。凸部611と凸部611の間が凹部612となっている。図28の構成は、凸部61がジグザグ状形成されている他は図26と同じである。
図28の構成による上板61と下板62を勘合させて形成した支持枠60は、横方向(図28のx方向)、縦方向(図28のy方向)へのせん断力は分散されるので、上板と下板のずれは、x方向、y方向のいずれにも生じにくい。特に、ジグザグの角度が45度であれば、x方向あるいはy方向に加わるせん断力は、上下左右とも相殺されてゼロになる。したがって、仮に大きなせん断力が生じても、上板61と下板62は、ずれることは無い。
なお、図26-28の構成は、上板61、下板62とも同一の部材とすることが出来るので、製造コスト上有利である。
(実施形態2)
図29は実施例5の実施形態2の構成の製造工程を示す断面図である。図29においては、上板61の凸部611の断面、及び、下板62の凸部621の断面が3角形である点を除いて実施形態1の図22と同じである。図29に示すような凸部611、621もプレスあるいは機械加工で形成することが出来る。実施形態2における上板61、あるいは、下板62の平面形状は図24乃至図28で説明したのと同じである。
図30は、実施形態2における支持枠60の断面図である。上板61の凸部611及び下板62の凹部621が勘合することによって、マスク50から、支持枠60にテンションが加わっても、上板61と下板62がずれることは無い。ところで、実施形態2は断面が3角形の場合を示しているが、この断面は、3角形に限らず、3角形の頂点に曲率Rが形成された形状、あるいは、台形等である場合も同様である。
(実施形態3)
図31は実施例5の実施形態3の構成の製造工程を示す断面図である。実施形態3では、上板61に凸部65及び下板62に凸部66が3次元プリンタによって形成されている点が実施形態1と異なっている。3次元プリンタによって凸部65、66を形成した以外は、実施形態1における図22で説明したのと同じである。図32は、実施形態3における支持枠の断面図である。凸部65、66が3次元プリリンタで形成されている他は、実施形態1における図23で説明したのと同じである。
実施形態3における上板61、あるいは、下板62の平面形状は図24乃至図28で説明したのと同じである。例えば、機械加工によって図28に示すように凸部611を平面形状がジグザグになるように形成することは比較的難しいが、3次元プリンタによれば、容易に形成することが出来る。
以上の実施例は、有機EL表示装置を、蒸着マスクを用いて製造する場合について説明した。しかし、本発明は、これに限らず、有機EL表示装置以外の表示装置においても、高精細ピッチの蒸着を必要とする場合の蒸着マスクとして用いることが出来る。
5…蒸着マスク、10…表示領域、 11…走査線、 12…映像信号線、 13…電源線、 14…画素、 14…画素、 14…画素、 14…画素、 20…走査線駆動回路、 21…額縁領域、 30…端子領域、 31…ドライバIC、 32…フレキシブル配線基板、 40…基板、 50…マスク、 51…開口領域、 52…周辺領域、 60…支持枠、 61…上板、 62…下板、 63…接着材、 65…3次元プリンタによる凸部、 66…3次元プリンタによる凸部、 70…接合部材、 80…蒸発物、 90…母材、 91…レジスト、 92…仮止め接着材、 100…ストッパー、 110…打ち抜き具、 111…打点、 112…孔、 113…バリ、 114…上側剛体(載置台)、 115…下側剛体(抑え台)、 116…エンドミル、 117…リーマ、 120…ピン、 121…平行ピン、 122…中空ピン、 123…打ち棒、 130…3次元プリンタ用ノズル、 131…3次元造形物、 132…研磨工具、 133…吐出物、 135…強い接着を示すマーク、 140…溶剤、 141…溶剤槽、 142…マスキングテープ、 143…メッキ液、 144…メッキ、 145…メッキ槽、 150…ローラ、 152…接着液、 153…ノズル、 150…コモン電極、 151…容量絶縁膜、 152…画素電極、 153…配向膜、 611…凸部、 612…凹部、 621…凸部、 622…凹部、 900…蒸着源、 1000…真空蒸着チャンバ、 1121…支持枠の変形部分、 B…青発光体、 G…緑発光体、 R…赤発光体

Claims (20)

  1. 表示装置の製造に使用される蒸着マスクであって、
    前記蒸着マスクは、画素に蒸着物を形成するためのマスクと、前記マスクを支える支持枠とで構成され、
    前記支持枠は、上板と下板と、前記上板と前記下板を接着する接着材によって構成され、
    前記上板と前記下板の間にせん断力が加わったときに、前記支持枠の主面方向に、前記上板と前記下板が互いにずれることを防止するためのストッパーを有することを特徴とする蒸着マスク。
  2. 前記マスクはメッキによって形成された箔状であり、前記表示装置の画素に対応して多数の孔が形成されおり、前記マスクと前記支持枠は接合部材によって接合されていることを特徴とする請求項1に記載の蒸着マスク。
  3. 前記接合部材は、メッキで形成されていることを特徴とする請求項2に記載の蒸着マスク。
  4. 前記ストッパーは、前記上板及び前記下板を同時に打ち抜くことによって形成されるバリによって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の蒸着マスク。
  5. 前記ストッパーは、前記上板又は前記下板の一方を打ち抜くことによって形成されるバリによって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の蒸着マスク。
  6. 前記ストッパーは、前記上板と前記下板を貫通する孔にピンを挿入して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の蒸着マスク。
  7. 前記ピンは平行ピンであることを特徴とする請求項6に記載の蒸着マスク。
  8. 前記ピンは中空ピンであることを特徴とする請求項6に記載の蒸着マスク。
  9. 前記ストッパーは、前記下板あるいは前記上板の一方の周辺部分に3次元プリンタによって形成された造形物であることを特徴とする請求項1に記載の蒸着マスク。
  10. 前記上板あるいは前記上板の一方の平面方向の大きさは、前記上板あるいは前記上板の他方の平面方向の大きさよりも大きく、
    前記上板あるいは前記上板の前記一方の端部に、3次元プリンタによって形成された造形物が形成され、
    前記造形物が、前記ストッパーを構成していることを特徴とする請求項1に記載の蒸着マスク。
  11. 前記ストッパーは、前記支持枠の周辺において、前記上板と前記下板の間に形成されたメッキによって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の蒸着マスク。
  12. 表示装置の製造に使用される蒸着マスクであって、
    前記蒸着マスクは、画素に蒸着物を形成するためのマスクと、前記マスクを支える支持枠とで構成され、
    前記支持枠は、上板と下板と、前記上板と前記下板を接着する接着材によって構成され、
    前記上板の一方の面には、所定のピッチで凸部が形成され、前記下板の一方の面には、前記所定のピッチで凹部が形成され、前記凸部と前記凹部が勘合している構成であることを特徴とする蒸着マスク。
  13. 前記凸部は島状に形成され、マトリクス状に配置しており、
    前記凹部は、島状に形成され、マトリクス状に配置していることを特徴とする請求項12に記載の蒸着マスク。
  14. 前記上板の前記一方の面と、前記下板の前記一方の面は同じ形状であり、
    前記下板の前記凹部は、前記下板に形成された凸部に挟まれた領域によって構成されていることを特徴とする請求項13に記載の蒸着マスク。
  15. 前記凸部は、ストライプ状に形成されていることを特徴とする請求項12に記載の蒸着マスク。
  16. 前記凸部は、ストライプ状に形成されており、前記ストライプの延在方向は、前記支持枠の辺に対して斜め方向であることを特徴とする請求項12に記載の蒸着マスク。
  17. 前記凸部は、平面で視てジグザグ状に形成されていることを特徴とする請求項12に記載の蒸着マスク。
  18. 前記凸部は3次元プリンタによって形成されていることを特徴とする請求項12に記載の蒸着マスク。
  19. 前記凸部の断面形状は矩形であることを特徴とする請求項12に記載の蒸着マスク。
  20. 前記凸部の断面形状は三角形であることを特徴とする請求項12に記載の蒸着マスク。
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