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JP7221276B2 - 太陽電池の製造方法、および、太陽電池 - Google Patents

太陽電池の製造方法、および、太陽電池 Download PDF

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Description

本発明は、裏面電極型(バックコンタクト型)の太陽電池の製造方法、および、裏面電極型の太陽電池に関する。
半導体基板を用いた太陽電池として、受光面側および裏面側の両面に電極が形成された両面電極型の太陽電池と、裏面側のみに電極が形成された裏面電極型の太陽電池とがある。両面電極型の太陽電池では、受光面側に電極が形成されるため、この電極により太陽光が遮蔽されてしまう。一方、裏面電極型の太陽電池では、受光面側に電極が形成されないため、両面電極型の太陽電池と比較して太陽光の受光率が高い。
裏面電極型の太陽電池では、高性能化のために、裏面側に、p型半導体層およびn型半導体層等の半導体層パターンを高精度に形成する必要がある。半導体層パターンを高精度に形成する方法として、フォトリソグラフィ技術を用いる方法が一般的に知られている。
また、特許文献1には、メタルマスクを用いて半導体層パターンを形成する方法が記載されている。
特開2009-200267号公報
しかしながら、フォトリソグラフィ技術を用いる半導体層パターンの形成方法では、パターニングのためのマスクを形成するために、塗布、露光、現像等を行う必要がある。そのため、この方法では、太陽電池の高性能化が可能であるが、太陽電池の製造が煩雑となる。
一方、特許文献1に記載のメタルマスクを用いる半導体層パターンの形成方法では、フォトリソグラフィ技術を用いる半導体層パターンの形成方法と比較して、太陽電池の製造の簡略化が可能である。しかしながら、この方法では、メタルマスクの位置合わせを高精度に行うことが困難であり、フォトリソグラフィ技術を用いる半導体層パターンの形成方法と比較して、太陽電池の性能が低下すると推測される。
本発明は、太陽電池の性能低下を抑制しつつ、太陽電池の製造の簡易化が可能な太陽電池の製造方法、および、太陽電池を提供することを目的とする。
本発明に係る太陽電池の製造方法は、2つの主面を有する半導体基板と、半導体基板の一方の主面に配置された真性半導体層と、半導体基板の一方の主面に真性半導体層を介して配置された第1導電型半導体層および第2導電型半導体層と、第1導電型半導体層に対応する第1電極層および第2導電型半導体層に対応する第2電極層とを備える裏面電極型の太陽電池の製造方法であって、半導体基板の一方の主面側において真性半導体層上に第1導電型半導体材料膜を形成した後、マスクを用いて、マスクの開口部に対応する第1導電型半導体材料膜および真性半導体層の膜厚方向の一部を、プラズマエッチングにより除去することにより、第1導電型半導体層を形成する第1導電型半導体層形成工程と、半導体基板の一方の主面側においてマスクの開口部に対応する真性半導体層上に第2導電型半導体層を形成する第2導電型半導体層形成工程とを含む。
本発明に係る太陽電池は、2つの主面を有する半導体基板と、半導体基板の一方の主面に配置された真性半導体層と、半導体基板の一方の主面に真性半導体層を介して配置された第1導電型半導体層および第2導電型半導体層と、第1導電型半導体層に対応する第1電極層および第2導電型半導体層に対応する第2電極層とを備える裏面電極型の太陽電池であって、第1導電型半導体層と半導体基板とに挟まれる真性半導体層の厚みT1と、第2導電型半導体層と半導体基板とに挟まれる真性半導体層の厚みT2とでは、T1>T2の関係を満たす。
本発明によれば、高性能な太陽電池が簡易に製造される。
本実施形態に係る太陽電池モジュールの一例を示す側面図である。 本実施形態に係る太陽電池を裏面側からみた図である。 図2の太陽電池におけるIII-III線断面図である。 本実施形態の変形例に係る太陽電池の断面図である。 本実施形態の他の変形例に係る太陽電池の断面図である。 本実施形態に係る太陽電池の製造方法における真性半導体層形成工程および第1導電型半導体層形成工程の一部を示す図である。 本実施形態に係る太陽電池の製造方法における第1導電型半導体層形成工程の他の一部を示す図である。 本実施形態に係る太陽電池の製造方法における第2導電型半導体層形成工程を示す図である。 本実施形態に係る太陽電池の製造方法における電極層形成工程を示す図である。 本実施形態の変形例に係る太陽電池の製造方法における第2導電型半導体層形成工程を示す図である。 本実施形態の他の変形例に係る太陽電池の製造方法における第2導電型半導体層形成工程を示す図である。 従来の太陽電池の製造方法における真性半導体層形成工程および第1導電型半導体層形成工程の一部を示す図である(フォトリソグラフィ技術)。 従来の太陽電池の製造方法における真性半導体層形成工程および第1導電型半導体層形成工程の他の一部を示す図である(フォトリソグラフィ技術)。 従来の太陽電池の製造方法における真性半導体層形成工程および第2導電型半導体層形成工程の一部を示す図である(フォトリソグラフィ技術)。 従来の太陽電池の製造方法における真性半導体層形成工程および第2導電型半導体層形成工程の他の一部を示す図である(フォトリソグラフィ技術)。 従来の太陽電池の製造方法における真性半導体層形成工程および第2導電型半導体層形成工程を示す図である(メタルマスク技術)。 従来の太陽電池の製造方法における真性半導体層形成工程および第1導電型半導体層形成工程を示す図である(メタルマスク技術)。 従来の太陽電池の製造方法における真性半導体層形成工程および第1導電型半導体層形成工程を示す図である(イオン注入技術)。 従来の太陽電池の製造方法における第2導電型半導体層形成工程を示す図である(イオン注入技術)。 本実施形態の変形例に係る太陽電池の製造方法における真性半導体層形成工程および第1導電型半導体層形成工程の一部を示す図である。 本実施形態の変形例に係る太陽電池の製造方法における第1導電型半導体層形成工程の他の一部を示す図である。 本実施形態の変形例に係る太陽電池の製造方法における第2導電型半導体層形成工程の一部を示す図である。 本実施形態の変形例に係る太陽電池の製造方法における第2導電型半導体層形成工程の他の一部を示す図である。 従来の太陽電池の製造方法における真性半導体層形成工程および第1導電型半導体層形成工程の一部を示す図である(リフトオフ技術)。 従来の太陽電池の製造方法における真性半導体層形成工程および第1導電型半導体層形成工程の他の一部を示す図である(リフトオフ技術)。 従来の太陽電池の製造方法における真性半導体層形成工程および第2導電型半導体層形成工程の一部を示す図である(リフトオフ技術)。 従来の太陽電池の製造方法における真性半導体層形成工程および第2導電型半導体層形成工程の他の一部を示す図である(リフトオフ技術)。 従来の太陽電池の断面図である。
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態の一例について説明する。なお、各図面において同一または相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。また、便宜上、ハッチングおよび部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、他の図面を参照するものとする。
(太陽電池モジュール)
図1は、本実施形態に係る太陽電池モジュールの一例を示す側面図である。図1に示すように、太陽電池モジュール100は、二次元状に配列された複数の太陽電池セル1を備える。
太陽電池セル1は、配線部材2によって直列および/または並列に接続される。具体的には、配線部材2は、太陽電池セル1の電極におけるバスバー部(後述)に接続される。配線部材2は、例えば、タブ等の公知のインターコネクタである。
太陽電池セル1および配線部材2は、受光面保護部材3と裏面保護部材4とによって挟み込まれている。受光面保護部材3と裏面保護部材4との間には、液体状または固体状の封止材5が充填されており、これにより、太陽電池セル1および配線部材2は封止される。受光面保護部材3は、例えばガラス基板であり、裏面保護部材4は、ガラス基板、金属板、または金属層と樹脂層とで多層化した複合シートが挙げられる。封止材5は、例えば透明樹脂である。
以下、太陽電池セル(以下、太陽電池という。)1について詳細に説明する。
(太陽電池)
図2は、本実施形態に係る太陽電池を裏面側からみた図である。図2に示す太陽電池1は、裏面電極型の太陽電池である。太陽電池1は、2つの主面を備える半導体基板11を備え、半導体基板11の主面において第1導電型領域7と第2導電型領域8とを有する。
第1導電型領域7は、いわゆる櫛型の形状をなし、櫛歯に相当する複数のフィンガー部7fと、櫛歯の支持部に相当するバスバー部7bとを有する。バスバー部7bは、半導体基板11の一方の辺部に沿ってX方向(第2方向)に延在し、フィンガー部7fは、バスバー部7bから、X方向に交差するY方向(第1方向)に延在する。
同様に、第2導電型領域8は、いわゆる櫛型の形状であり、櫛歯に相当する複数のフィンガー部8fと、櫛歯の支持部に相当するバスバー部8bとを有する。バスバー部8bは、半導体基板11の一方の辺部に対向する他方の辺部に沿ってX方向(第2方向)に延在し、フィンガー部8fは、バスバー部8bから、Y方向(第1方向)に延在する。
フィンガー部7fとフィンガー部8fとは、Y方向(第1方向)に延在する帯状をなしており、X方向(第2方向)に交互に並んでいる。
なお、第1導電型領域7および第2導電型領域8は、ストライプ状に形成されてもよい。
図3Aは、図2の太陽電池におけるIII-III線断面図である。図3Aに示すように、太陽電池1は、半導体基板11の主面のうちの受光する側の一方の主面である受光面側に順に積層された真性半導体層13と反射防止層15とを備える。また、太陽電池1は、半導体基板11の主面のうちの受光面の反対側の他方の主面である裏面側の一部(主に、第1導電型領域7)に順に積層された真性半導体層23と、第1導電型半導体層25と、第1電極層27とを備える。また、太陽電池1は、半導体基板11の裏面側の他の一部(主に、第2導電型領域8)に順に積層された真性半導体層23と、第2導電型半導体層35と、第2電極層37とを備える。
<半導体基板>
半導体基板11としては、導電型単結晶シリコン基板、例えばn型単結晶シリコン基板またはp型単結晶シリコン基板が用いられる。これにより、高い光電変換効率が実現する。
半導体基板11は、n型単結晶シリコン基板であると好ましい。これにより、結晶シリコン基板内のキャリア寿命が長くなる。これは、p型単結晶シリコン基板では、光照射によってp型ドーパントであるB(ホウ素)が影響して再結合中心となるLID(Light Induced Degradation)が起こる場合があるが、n型単結晶シリコン基板ではLIDをより抑制するためである。
半導体基板11は、裏面側に、テクスチャ構造と呼ばれるピラミッド型の微細な凹凸構造を有していてもよい。これにより、半導体基板11に吸収されず通過してしまった光の回収効率が高まる。
また、半導体基板11は、受光面側に、テクスチャ構造と呼ばれるピラミッド型の微細な凹凸構造を有していてもよい。これにより、受光面において入射光の反射が低減し、半導体基板11における光閉じ込め効果が向上する。
半導体基板11の厚さは、50μm以上300μm以下であると好ましく、60μm以上230μm以下であるとより好ましく、70μm以上210μm以下であると更に好ましい。
半導体基板11の膜厚が上記の上限値以下であると、シリコンの使用量が減少するため、シリコン基板が確保し易くなり、低コスト化が図れる。更に、シリコン基板内で光励起により生成された正孔と電子とを裏面側のみで回収するバックコンタクト構造では、各励起子の自由行程の観点からも、半導体基板11の膜厚が上記の上限値以下であると好ましい。
半導体基板11の膜厚が上記の下限値以上であると、適切な機械的強度が得られ、また外光(太陽光)が十分に吸収され、適切な短絡電流密度が得られる。
半導体基板11の主面にテクスチャ構造が形成されている場合、半導体基板11の膜厚は、受光面側および裏面側のそれぞれの凹凸構造における凸の頂点を結んだ直線間の距離で表される。
なお、半導体基板11として、導電型多結晶シリコン基板、例えばn型多結晶シリコン基板またはp型多結晶シリコン基板を用いてもよい。この場合、より安価に太陽電池が製造される。
<反射防止層>
反射防止層15は、半導体基板11の受光面側に真性半導体層13を介して形成されている。反射防止層15は、半導体基板11の受光面側に入射する太陽光の反射を抑制する機能を有する。
反射防止層15の材料としては、太陽光を透過させる透光性を有する材料であれば特に限定されず、例えば酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化亜鉛、または酸化チタンが挙げられる。
真性半導体層13は、真性シリコン系層で形成される。真性半導体層13は、パッシベーション層として機能し、半導体基板11におけるキャリアの再結合を抑制する。
本実施形態では、受光面側に電極が形成されていないため(裏面電極型)、太陽光の受光率が高く、光電変換効率が向上する。
<真性半導体層>
真性半導体層23は、半導体基板11の裏面側の全面に形成されている。真性半導体層23は、主に真性シリコン系層で形成される。真性半導体層23は、パッシベーション層として機能し、半導体基板11におけるキャリアの再結合を抑制する。また、真性半導体層23は、第1導電型半導体層25および第2導電型半導体層35から半導体基板11への不純物の拡散を抑制する。
なお、「真性(i型)」との用語は、導電型不純物を含まない完全に真性であるものに限られず、シリコン系層が真性層として機能し得る範囲で微量のn型不純物またはp型不純物を含む「弱n型」または「弱p型」の実質的に真性な層も包含する。
真性半導体層23は、半導体基板11の裏面側に順に積層された第1層23aと第2層23bとを含む。換言すれば、第2層23bは、真性半導体層23の膜厚方向の第1導電型半導体層25側との界面近傍の一部(すなわち、真性半導体層23の膜厚方向の一部であって、真性半導体層23の第1導電型半導体層25と対向する面側の一部)であり、第1層23aは、真性半導体層23の一部以外の他部である。なお、第1層23aと第2層23bとは視認できない程度に一体化されていてもよい。
真性半導体層23の第1層23aとしては、特に限定されないが、上述したパッシベーション層として機能するために、非晶質シリコン系薄膜(アモルファスシリコン(a-Si))であると好ましく、シリコンと水素とを含む水素化非晶質シリコン系薄膜(a-Si:H薄膜)であるとより好ましい。
真性半導体層23の第2層23bの材料としては、後述する第1導電型半導体層形成工程における水素プラズマエッチングに対して耐性を有する材料が用いられる。換言すれば、第2層23bの材料としては、第1層23aおよび第1導電型半導体層25よりも、水素プラズマエッチングのレートが遅い材料が用いられる。このような第2層23bの材料としては、例えば、高希釈水素化シリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン、またはこれらの化合物が挙げられる。なお、高希釈水素化シリコンとは、製膜時にシランに対して水素を500倍以上入れた状態で製膜したものであり、非晶質シリコンと異なり、結晶性の高いシリコンを含む。
真性半導体層23における第2導電型半導体層35と半導体基板11とに挟まれる部分の厚さT2は、真性半導体層23における第1導電型半導体層25と半導体基板11とに挟まれる部分の厚さT1よりも薄い。すなわち、第1導電型半導体層25と半導体基板11とに挟まれる真性半導体層23の厚さT1と、第2導電型半導体層35と半導体基板11とに挟まれる真性半導体層23の厚さT2とは、T1>T2の関係を満たす(詳細は後述する。)。
真性半導体層23の厚さT1,T2は、特に限定されないが、2nm以上20nm以下であると好ましい。厚みが2nm以上であると、パッシベーション層としての効果が高まり、厚みが20nm以下であると、高抵抗化により生じる変換特性の低下が抑制される。
<第1導電型半導体層および第2導電型半導体層>
第1導電型半導体層25は、半導体基板11の裏面側の一部(主に、第1導電型領域7)に真性半導体層23を介して形成されており、第2導電型半導体層35は、半導体基板11の裏面側の他の一部(主に、第2導電型領域8)に真性半導体層23を介して形成されている。詳説すると、第1導電型半導体層25と第2導電型半導体層35とは、Y方向(第1方向)に延在する帯状をなしており、X方向(第2方向)に交互に並んでいる。
なお、太陽電池1において、少なくとも一部の、第1導電型半導体層25と第2導電型半導体層35との境界では、第1導電型半導体層25と第2導電型半導体層35とは、隣接し、かつ、重ならない。換言すれば、これらの境界において、第1導電型半導体層25と第2導電型半導体層35とが重なる領域が実質的に存在せず、かつ、第1導電型半導体層25および第2導電型半導体層35の一部または全部が接する。
第1導電型半導体層25は、第1導電型シリコン系層、例えばp型シリコン系層で形成される。第2導電型半導体層35は、第1導電型と異なる第2導電型のシリコン系層、例えばn型シリコン系層で形成される。なお、第1導電型半導体層25がn型シリコン系層であり、第2導電型半導体層35がp型シリコン系層であってもよい。
p型シリコン系層およびn型シリコン系層は、非晶質シリコン層、または、非晶質シリコンと結晶質シリコンとを含む微結晶シリコン層で形成される。なお、不純物拡散の抑制または直列抵抗の抑制の観点から、p型シリコン系層およびn型シリコン系層は、非晶質シリコンで形成されると好ましい。p型シリコン系層のドーパント不純物としては、B(ホウ素)が好適に用いられ、n型シリコン系層のドーパント不純物としては、P(リン)が好適に用いられる。
なお、図3Bおよび図3Cに示すように、第2導電型半導体層35の幅方向における側部の厚さT4は、第2導電型半導体層35の幅方向における中心付近の厚さT3よりも薄くなっていてもよい。すなわち、幅方向における中心付近での第2導電型半導体層35の厚さT3は、幅方向における中心付近以外での第2導電型半導体層35の厚さT4に比べて厚くてもよい(詳細は後述する。)。
第1導電型半導体層25の膜厚および第2導電型半導体層35の膜厚T3,T4は、特に限定されないが、2nm以上20nm以下であると好ましい。厚さが下限以下であるとと、電界の効果が不十分となり、厚みが上限以上であると高抵抗化により生じる変換特性の低下する。第1導電型半導体層25の膜厚は上記範囲内で薄いほど好ましい(詳細は後述する)。
第1導電型半導体層25および第2導電型半導体層35の幅は、50μm以上3000μm以下であると好ましく、80μm以上500μm以下であるとより好ましい。第1導電型半導体層25および第2導電型半導体層35の乖離間隔は、3000μm以下であると好ましく、1000μm以下であるとより好ましい。
ところで、半導体基板11で生成した光励起子が、第1導電型半導体層25または第2導電型半導体層35を介して取り出される場合、正孔の有効質量は電子の有効質量よりも大きい。そのため、輸送損を低減させる観点から、p型半導体層の幅がn型半導体層の幅よりも細いと好ましい。例えば、p型半導体層の幅が、n型半導体層の幅の0.5倍以上0.9倍以下であると好ましく、n型半導体層の幅の0.6倍以上0.8倍以下であるとより好ましい。
なお、半導体層の幅、および、後述する電極層の幅は、特に断りがない限り、パターン化された各層の一部分の長さで、パターン化により、例えば帯状になった一部分の延び方向と直交する方向の長さである。
<第1電極層および第2電極層>
第1電極層27は、第1導電型半導体層25上に形成されており、第2電極層37は、第2導電型半導体層35上に形成されている。これにより、第1電極層27および第2電極層37は、Y方向(第1方向)に延在する帯状をなしており、X方向(第2方向)に交互に並んでいる。
第1電極層27は、第1導電型半導体層25で回収されるキャリアを導く輸送層として機能し、第2電極層37は、第2導電型半導体層35で回収されるキャリアを導く輸送層として機能する。
第1電極層27は、第1導電型半導体層25上に順に積層された透明電極層28と金属電極層29とを有する。第2電極層37は、第2導電型半導体層35上に順に積層された透明電極層38と金属電極層39とを有する。
このように、金属電極層29,39と第1導電型半導体層25および第2導電型半導体層35との間に透明電極層28,38が設けられることにより、金属電極層29,39と第1導電型半導体層25および第2導電型半導体層35との電気的接合が向上し、金属電極層29,39から第1導電型半導体層25および第2導電型半導体層35への原子拡散が抑制される。
なお、第1電極層27は、透明電極層28および金属電極層29のうちの何れか一方のみで形成されてもよい。同様に、第2電極層37は、透明電極層38および金属電極層39のうちの何れか一方のみで形成されてもよい。
第1電極層27の幅(すなわち、透明電極層28の幅および金属電極層29の幅)は、第1導電型半導体層25の幅と略同一であると好ましい。なお、第1電極層27の幅は、第1導電型半導体層25の幅よりも狭くてもよい。また、第1電極層27と第2電極層37との間のリークが防止されていれば、第1電極層27の幅は、第1導電型半導体層25の幅よりも広くてもよい。
同様に、第2電極層37の幅(すなわち、透明電極層38の幅および金属電極層39の幅)は、第2導電型半導体層35の幅と略同一であると好ましい。なお、第2電極層37の幅は、第2導電型半導体層35の幅よりも狭くてもよい。また、第1電極層27と第2電極層37との間のリークが防止されていれば、第2電極層37の幅は、第2導電型半導体層35の幅よりも広くてもよい。
<<透明電極層>>
透明電極層28,38は、透明導電性材料からなる透明導電層で形成される。透明導電性材料としては、透明導電性金属酸化物、例えば、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化タングステンおよびそれらの複合酸化物等が用いられる。これらの中でも、酸化インジウムを主成分とするインジウム系複合酸化物が好ましい。高い導電率と透明性の観点からは、インジウム酸化物が特に好ましい。更に、信頼性またはより高い導電率を確保するため、インジウム酸化物にドーパントを添加すると好ましい。ドーパントとしては、例えば、Sn、W、Zn、Ti、Ce、Zr、Mo、Al、Ga、Ge、As、Si、またはS等が挙げられる。
透明電極層の厚みは、50nm以上200nm以下であると好ましい。
<<金属電極層>>
金属電極層29,39は、金属材料で形成される。金属材料としては、例えば、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、またはこれらの合金が用いられる。
また、金属電極層の膜厚は、20μm以上80μm以下であると好ましい。
(太陽電池の製造方法)
次に、図4A~図4Dを参照して、本実施形態に係る太陽電池の製造方法について説明する。図4Aおよび図4Bは、本実施形態に係る太陽電池の製造方法における真性半導体層形成工程および第1導電型半導体層形成工程を示す図であり、図4Cは、本実施形態に係る太陽電池の製造方法における第2導電型半導体層形成工程を示す図であり、図4Dは、本実施形態に係る太陽電池の製造方法における電極形成工程を示す図である。
<真性半導体層形成工程>
まず、図4Aに示すように、少なくとも裏面側に凹凸構造を有する半導体基板(例えば、n型単結晶シリコン基板)11の裏面側の全面に真性半導体層(例えば、真性シリコン系層)23を積層する。具体的には、半導体基板11の裏面側の全面に、第1層23aとして例えば非晶質シリコン(a-Si)を積層する。その後、第1層23a上に、第2層23bとして、第1層23aおよび第1導電型半導体層25よりも、水素プラズマエッチング耐性が強い材料、換言すれば、水素プラズマエッチングのレートが遅い材料(例えば、高希釈水素化シリコンまたは酸化シリコン)を積層する。
本実施形態では、このとき、半導体基板11の受光面側の全面に、真性半導体層(例えば、真性シリコン系層)13を積層する。
真性半導体層23、13の形成方法は特に限定されないが、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いると好ましい。プラズマCVD法を用いると、半導体基板11への不純物の拡散が抑制され、半導体基板11の表面のパッシベーション効果が有効に得られる。また、プラズマCVD法によれば、真性半導体層23,13の膜中水素濃度を膜厚方向で変化させることにより、キャリア回収において有効なエネルギーギャッププロファイルを形成できる。
プラズマCVD法による製膜条件としては、例えば、基板温度100℃以上300℃以下、圧力20Pa以上2600Pa以下、高周波パワー密度0.003W/cm以上0.5W/cmが好適に用いられる。材料ガスとしては、例えばSiH、Si等のシリコン含有ガス、またはこれらのシリコン系ガスとHとの混合ガスが好適に用いられる。
なお、上記の材料ガスに、CH、NH、GeH等の異種元素を含むガスを添加して、シリコンカーバイド、シリコンナイトライド、または、シリコンゲルマニウム等のシリコン合金を形成することにより、適宜、薄膜のエネルギーギャップを変更してもよい。
また、第2層23bとして酸化物、窒化物、炭化物を作製する場合、上記の材料ガスに、CO、NH、CH等のガスを添加してもよい。
<第1導電型半導体層形成工程>
次に、図4Aに示すように、真性半導体層23上に、すなわち半導体基板11の裏面側の全面に、第1導電型半導体材料膜(例えば、p型シリコン系層)25Zを積層する。
第1導電型半導体材料膜25Zの形成方法は特に限定されないが、上述した真性半導体層23と同様に、プラズマCVD法を用いると好ましい。
第1導電型半導体材料膜25Zのドーパント添加ガスとしては、例えばBが好適に用いられる。なお、B(ホウ素)等の不純物の添加量は微量でよいため、ドーパントガスを原料ガスで希釈させた混合ガスが用いられてもよい。添加量は、セル性能を低下させない程度に少ない方がよい。添加量の少ない第1導電型半導体はエッチングレートが早くなるため、真性半導体とのエッチングレートの差をより大きくすることができる。また、最表面だけ添加量が大きく、真性半導体との界面近傍の添加量を少なくしてもよい。さらに、膜厚は薄い方が好ましい。膜厚が薄いことによって、エッチング後の残渣を少なくすることができる。これは、P(リン)等をドーパントとした場合も同様である。
次に、図4Bに示すように、半導体基板11の裏面側の第1導電型半導体材料膜25Z上にマスク90を配置する。マスク90の外形は、半導体基板11の外形よりも大きい。換言すれば、マスク90の外形で規定される領域の面積は、半導体基板11の面積よりも大きい。これにより、第1導電型半導体層形成工程および後述の第2導電型半導体層形成工程では、半導体基板11の縁はマスク90で覆われる。
マスク90は、例えば、金属製のメタルマスクである。
次に、マスク90の開口部に対応する第1導電型半導体材料膜25Zを、すなわちマスク90の開口部から露出する第1導電型半導体材料膜25Zを、水素プラズマエッチングにより除去し、第1導電型半導体層25を形成する。
水素プラズマエッチングでは、CVDチャンバ内に水素を主成分とするガスを導入しながらプラズマ放電を行い、マスク90の開口部に対応する第1導電型半導体材料膜25Zに水素プラズマエッチングを施す。ここで、「主成分」とは、水素の含有量が、真空チャンバに導入されるガスの全量に対して90体積%以上(好ましくは、95体積%以上)であることを意味する。なお、水素以外の導入ガスの種類としては、SiHまたはCH等が挙げられる。
このとき、マスク90の開口部に対応する真性半導体層23の第2層23bの膜厚方向の一部(上層)を除去するように、水素プラズマエッチングが制御される。これにより、マスク90の開口部に、第1導電型半導体材料膜25Zが残ることがなく、太陽電池1の性能低下を抑制することができる。また、水素プラズマエッチングをすることによって、真性半導体層23のパッシベーション性を損なうことなく、第1導電型半導体材料膜25Zを取り除くことができる。むしろ、水素を導入することによって、真性半導体層23のパッシベーション性を向上させることも可能である。
なお、真性半導体層23の第2層23bの水素プラズマエッチングのレートは遅いため、第2層23bの第1導電型半導体材料膜25Z側との界面近傍の一部は除去されるものの、第2層23bの他部および第1層23aは残る。
そのため、上述したように(図3A~図3C)、真性半導体層23における第2導電型半導体層35と半導体基板11とに挟まれる部分の厚さT2は、真性半導体層23における第1導電型半導体層25と半導体基板11とに挟まれる部分の厚さT1よりも薄くなる。すなわち、第1導電型半導体層25と半導体基板11とに挟まれる真性半導体層23の厚さT1と、第2導電型半導体層35と半導体基板11とに挟まれる真性半導体層23の厚さT2とは、T1>T2の関係を満たす。なお、真性半導体層23はプラズマ耐性の強い箇所、弱い箇所を膜内に有している場合があり、一様にエッチングされているとは限らないため、少なくとも一部がT1>T2を満たしていればよい。
なお、上述したようにプラズマCVD法によって製膜された真性半導体層(アモルファスシリコン)23を水素プラズマエッチングによりエッチングすると、真性半導体層23の性能低下が抑制される。また、水素プラズマエッチングにおいてシランを添加することによって、エッチングの均一性が高まる。
<第2導電型半導体層形成工程>
次に、図4Cに示すように、マスク90をそのまま用いて、マスク90の開口部に対応する真性半導体層23の第2層23b上に、すなわちマスク90の開口部から露出する真性半導体層23の第2層23b上に、第2導電型半導体層(例えば、n型シリコン系層)35を積層する。
第2導電型半導体層35の形成方法は特に限定されないが、上述した真性半導体層23および第1導電型半導体材料膜25Zと同様に、プラズマCVD法を用いると好ましい。
第2導電型半導体層35のドーパント添加ガスとしては、例えばPHが好適に用いられる。なお、P(リン)等の不純物の添加量は微量でよいため、ドーパントガスを原料ガスで希釈させた混合ガスが用いられてもよい。
そして、第2導電型半導体層35の形成後、マスク90を除去する。
なお、図4Eに示すように、マスク90の開口部におけるマスク近傍では、マスク90の開口部の中央付近に比べてガスが入り難いことがある。そのため、図4Eに示すように、また上述したように(図3B)、第2導電型半導体層35の幅方向における側部の厚さT4は、第2導電型半導体層35の幅方向における中心付近の厚さT3よりも薄くなることがある。すなわち、幅方向における中心付近での第2導電型半導体層35の厚さT3は、幅方向における中心付近以外での第2導電型半導体層35の厚さT4に比べて厚くなることがある。
また、図4Fに示すように、真性半導体層23をプラズマエッチングによりエッチングする際、マスク90の開口部のみならず、マスク90の直下領域の一部をもエッチングすることがある。そのため、図4Fに示すように、また上述したように(図3C)、第2導電型半導体層35の幅方向における側部の厚さT4は、第2導電型半導体層35の幅方向における中心付近の厚さT3よりも薄くなることがある。すなわち、幅方向における中心付近での第2導電型半導体層35の厚さT3は、幅方向における中心付近以外での第2導電型半導体層35の厚さT4に比べて厚くなることがある。
なお、本工程を用いることによって、複数の太陽電池を製造する際、繰り返しマスクを用いることができる。一般的にマスク上に製膜が繰り返されると、マスクに応力がかかり、所望の条件にて製膜することが難しくなる。一方で、本工程を用いると、第2導電型半導体層が製膜されたマスク90を、次の太陽電池作製の際のプラズマエッチングによって除去することができる。そのため、マスクへの着膜が少なく応力を緩和でき、マスクの寿命を延ばすことができる。
<電極層形成工程>
次に、図4Dに示すように、第1導電型半導体層25上に第1電極層27を形成し、第2導電型半導体層35上に第2電極層37を形成する。
まず、第1導電型半導体層25上に透明電極層28を、第2導電型半導体層35上に透明電極層38を形成する。透明電極層28,38の形成方法としては、例えば、スパッタリング法等の物理気相成長法(PVD)、または、有機金属化合物と酸素または水との反応を利用した化学気相成長法(MOCVD)法等が用いられる。
次に、透明電極層28上に金属電極層29を形成し、透明電極層38の上に金属電極層39を形成する。金属電極層29,39の形成方法としては、例えば、スクリーン印刷法、メッキ法、導線接着法、インクジェット法、スプレー法、真空蒸着法、スパッタリング法等が用いられる。特に、Agペーストを用いたスクリーン印刷法、銅メッキを用いたメッキ法が好ましい。
このとき、半導体基板11の受光面側の真性半導体層13上に反射防止層15を形成してもよい(図示省略)。反射防止層15の形成方法は特に限定されないが、塗布法を用いると好ましい。例えば、上述した酸化亜鉛または酸化チタン等の酸化物のナノ粒子を分散させた樹脂材料を、真性半導体層13上に塗布することにより、反射防止層15を形成する。
なお、半導体基板11に、真性半導体層23,13、第1導電型半導体層25および第2導電型半導体層35、第1電極層27および第2電極層37、および、反射防止層15を積層させた段階で、各接合界面のパッシベーション、半導体層およびその界面における欠陥準位の発生抑制、透明電極層における透明導電性酸化物の結晶化を目的として、アニール処理を施す。
アニール処理としては、例えば、各層を配置した半導体基板11を150℃以上200℃以下に過熱したオーブンに投入して加熱する加熱処理が挙げられる。この場合、オーブン内の雰囲気は、大気でも構わないが、水素または窒素を用いることで、より効果的なアニール処理が行える。また、アニール処理は、各層を配置した半導体基板11に対して赤外線ヒーターを用いて赤外線を照射させるRTA(Rapid Thermal Annealing)処理であってもよい。
以上の工程により、本実施形態の裏面電極型の太陽電池1が完成する。
従来、太陽電池における真性半導体層、第1導電型半導体層および第2導電型半導体層の形成方法として、フォトリソグラフィ技術を用いる方法が一般的に知られている。
図5A~図5Dは、従来のフォトリソグラフィ技術を用いる、真性半導体層、第1導電型半導体層および第2導電型半導体層の形成工程を示す図である。
例えば、図5Aに示すように、半導体基板111の裏面の全部に真性半導体材料膜123Zおよび第1導電型半導体材料膜125Zを形成し、フォトリソグラフィ技術を用いてマスク190を形成する。次に、マスク190の開口部に対応する真性半導体材料膜123Zおよび第1導電型半導体材料膜125Zをエッチングし、図5Bに示すように、真性半導体層123および第1導電型半導体層125を形成するとともに、マスク190の開口部に対応する半導体基板111を露出させる。マスク190を除去した後、図5Cに示すように、半導体基板111の裏面側の全部に真性半導体材料膜133Zおよび第2導電型半導体材料膜135Zを形成し、同様にフォトリソグラフィ技術を用いてマスク193を形成する。次に、マスク193の開口部に対応する真性半導体材料膜133Zおよび第2導電型半導体材料膜135Zをエッチングし、図5Dに示すように、真性半導体層133および第2導電型半導体層135を形成するとともに、第1導電型半導体層125を露出させる。その後、マスク193を除去する。
このような従来のフォトリソグラフィ技術を用いる半導体層パターンの形成方法では、半導体パターンを、特に半導体パターンの間隔を、高精度に形成することができ、太陽電池の高性能化が可能である。
しかしながら、この方法では、半導体パターンのパターニングのためのマスク190,193を形成するために、レジストコート、露光、現像、レジスト剥離等のプロセスが必要である。更には、これらのプロセスが、第1導電型半導体層形成工程と第2導電型半導体層形成工程との2回必要であり、これにより、プラズマCVD処理中の大気への取出しが複数回必要となる。そのため、この方法では、太陽電池の製造が煩雑となる。
また、この方法では、真性半導体材料膜123Zおよび第1導電型半導体材料膜125Zを除去した後であって、真性半導体材料膜133Zおよび第2導電型半導体材料膜135Zを形成する前に、太陽電池の高性能化のために、露出した半導体基板111の表面を洗浄する必要があり、太陽電池の製造が煩雑となる。
また、従来、太陽電池における真性半導体層、第1導電型半導体層および第2導電型半導体層の形成方法として、メタルマスクを用いる方法がある(例えば、特許文献1参照)。
図6Aおよび図6Bは、従来のメタルマスクを用いる、真性半導体層、第1導電型半導体層および第2導電型半導体層の形成工程を示す図である。
例えば、図6Aに示すように、半導体基板211の裏面側にメタルマスク290を配置し、メタルマスク290の開口部に対応する半導体基板211の裏面上に真性半導体層233および第2導電型半導体層235を形成する。マスク290を除去した後、図5Bに示すように、半導体基板11の裏面側にメタルマスク293を配置し、メタルマスク293の開口部に対応する半導体基板211の裏面上に真性半導体層223および第1導電型半導体層225を形成する。その後、メタルマスク293を除去する。
このような従来のメタルマスクを用いる半導体層パターンの形成方法では、上述した従来のフォトリソグラフィ技術を用いる半導体層パターンの形成方法と比較して、太陽電池の製造の簡略化が可能となる。
しかしながら、この方法でも、第2導電型半導体層形成工程と第1導電型半導体層形成工程とにおいてメタルマスクの配置および除去のプロセスは2回必要であり、これにより、プラズマCVD処理中の大気への取出しが複数回必要となる。そのため、この方法では、太陽電池の製造の簡略化が十分でない。
更に、この方法では、第2導電型半導体層形成工程と第1導電型半導体層形成工程との各々の工程において、個々にメタルマスクを配置する必要があるため、メタルマスクの位置合わせを高精度に行うことが困難である。そのため、この方法では、フォトリソグラフィ技術を用いる半導体層パターンの形成方法と比較して、太陽電池の性能が低下すると推測される。
また、従来、太陽電池における真性半導体層、第1導電型半導体層および第2導電型半導体層の形成方法として、イオン注入技術を用いた方法がある。
図7Aおよび図7Bは、従来のイオン注入技術を用いる、真性半導体層、第1導電型半導体層および第2導電型半導体層の形成工程を示す図である。
例えば、図7Aに示すように、半導体基板311の裏面の全部に真性半導体層323および第1導電型半導体材料膜325Zを形成し、図7Bに示すように、メタルマスク390を配置する。次に、メタルマスク390の開口部に対応する第1導電型半導体材料膜325Zに第2導電型のイオン注入を行うことにより、第1導電型半導体層325および第2導電型半導体層335を形成する。その後、メタルマスク390を除去する。
このような従来のイオン注入技術を用いる半導体層パターンの形成方法では、第2導電型半導体層および第1導電型半導体層の形成において、メタルマスクの配置および除去のプロセスは1回だけでよい。そのため、この方法では、上述した従来のメタルマスクを用いる半導体層パターンの形成方法と比較して、太陽電池の製造の簡略化が可能である。
更に、半導体パターンを、特に半導体パターンの間隔を、高精度に形成できる。そのため、この方法では、上述した従来のメタルマスクを用いる半導体層パターンの形成方法と比較して、太陽電池の高性能化が可能であると推測される。
しかしながら、この方法では、第2導電型半導体層335のみにイオン注入を行うために、数nm程度の半導体層のイオン注入深度の制御が困難であり、メタルマスクを用いる半導体層パターンの形成方法と比較して、太陽電池の性能が低下すると推測される。
これらの従来の問題点に対して、本実施形態の太陽電池の製造方法によれば、半導体層パターンのパターニングのためのマスク90としてメタルマスクを用いるので、フォトリソグラフィ技術のようにレジストコート、露光、現像、レジスト剥離等のプロセスが不要であり、太陽電池1の製造を簡略化できる。
また、本実施形態の太陽電池の製造方法によれば、第1導電型半導体層25のパターニングと第2導電型半導体層35のパターニングとにおいて同一のマスク90を用いるので、マスク90の配置および除去のプロセスは1回だけでよく、これにより、プラズマCVD処理中の大気への取出しはマスク90の配置時の1回だけでよい。そのため、太陽電池1の製造を簡略化できる。
更に、第1導電型半導体層25のパターニングと第2導電型半導体層35のパターニングとにおいて同一のマスク90を用いることにより、第1導電型半導体層25および第2導電型半導体層35の半導体パターンを、特に半導体パターンの間隔を、高精度に形成できる。これにより、太陽電池1の高性能化が可能である。
また、本実施形態の太陽電池の製造方法によれば、第1導電型半導体層25のプラズマエッチングにおいて、真性半導体層23の第2層23bの膜厚方向の一部までしかエッチングしないので、半導体基板11が露出しない。そのため、半導体基板11を洗浄する必要がなく、太陽電池1の製造を簡略化できる。
また、真性半導体層23の第2層23bのプラズマエッチングのレートが遅いので、真性半導体層23の第2層23bの膜厚方向の一部までのエッチングの制御が容易である。これにより、太陽電池1の製造を簡略化できる。
更に、真性半導体層23の第2層23bの膜厚方向の一部までエッチングすることにより、第1導電型半導体材料膜25Zが残ることがない。これにより、太陽電池1の高性能化が可能である。
また、本実施形態の太陽電池の製造方法によれば、真性半導体層23の第2層23bが水素プラズマエッチングのストップ層として機能するので、エッチングの深度の制御が容易である。これにより、太陽電池1の高性能化が可能である。
量産プロセスの場合、複数の基板に対して同時にドライプロセスの除去を用いると、半導体層の膜厚分布が生じると、太陽電池の性能が低下する可能性がある。
この点に関し、本実施形態の太陽電池の製造方法によれば、半導体層の膜厚差がある複数の基板を同時に処理する場合であっても、または、1枚の基板内で半導体層の膜厚差がある場合であっても、真性半導体層23の第2層23bが水素プラズマエッチングのストップ層として機能する。
また、本実施形態の太陽電池の製造方法によれば、マスク90を繰り返し使用できる。例えば、第2導電型半導体層35の形成工程において、マスク90に第2導電型半導体材料が付着しても、次回の第1導電型半導体層25の形成工程における水素プラズマエッチングにおいて、マスク90に付着した第2導電型半導体材料を除去できるため、マスク90の反りなどを緩和でき、マスク90を繰り返し使用できる。
以上説明したように、本実施形態の太陽電池の製造方法によれば、太陽電池の性能低下を抑制しつつ、太陽電池の製造の簡易化が可能である。その結果、製造コストを削減できる。
また、本実施形態の太陽電池の製造方法によって製造された太陽電池1では、第1導電型半導体層25と半導体基板11とに挟まれる真性半導体層23の厚みT1と、第2導電型半導体層35と半導体基板11とに挟まれる真性半導体層23の厚みT2とは、T1>T2の関係を満たす(例えば、図3A~図3C参照)。また、この太陽電池1では、第2導電型半導体層35の幅方向における中心付近での第2導電型半導体層35の厚みT3は、幅方向における中心付近以外での第2導電型半導体層35の厚みT4に比べて厚い(例えば、図3Bおよび図3C、図4Eおよび図4F参照)。
ところで、上述した従来の太陽電池では、例えば図5Dに示すように、第1導電型半導体層125(および真性半導体層123)と第2導電型半導体層135(および真性半導体層133)との境界において、第1導電型半導体層125(および真性半導体層123)と第2導電型半導体層135(および真性半導体層133)とが重なり合うように、半導体層パターンを形成する必要があった。或いは、図10に示すように、第1導電型半導体層125と第2導電型半導体層135との境界において、第1導電型半導体層125と第2導電型半導体層135とが重なり合うように、半導体層パターンを形成する必要があった。これは、製造誤差を考慮しても半導体層が形成されない領域が存在することがなく、キャリアの回収効率を高めるためである、すなわち太陽電池の性能を高めるためである。
これに対して、本実施形態の太陽電池の製造方法によって製造された太陽電池1では、少なくとも一部の、第1導電型半導体層25と第2導電型半導体層35との境界において、第1導電型半導体層25と第2導電型半導体層35とが重なる領域が実質的に存在せず、かつ、第1導電型半導体層25および第2導電型半導体層35の一部または全部が接する。
(変形例)
本実施形態では、メタルマスクを用いて、第1導電型半導体材料膜のエッチング、および、第2導電型半導体材料膜の形成を行った。
本実施形態の変形例では、マスクとしてリフトオフ層(マスク層または犠牲層ともいう。)を用いて、第1導電型半導体材料膜のエッチング、および、第2導電型半導体材料膜の形成を行う。
図8A~図8Dは、本実施形態の変形例に係る太陽電池の製造方法を示す図である。
<真性半導体層形成工程および第1導電型半導体層形成工程>
まず、図8Aに示すように、上述同様に、半導体基板11の裏面側の全面に真性半導体層23を積層する。具体的には、半導体基板11の裏面側の全面に、第1層23aとして例えば非晶質シリコン(a-Si)を積層する。その後、第1層23a上に、第2層23bとして、第1層23aおよび第1導電型半導体層25よりも、水素プラズマエッチング耐性が強い材料を積層する。換言すれば、水素プラズマエッチングのレートが遅い材料(例えば、高希釈水素化シリコンまたは酸化シリコン)を、第2層23bとして、積層する。
また、半導体基板11の受光面側の全面に、真性半導体層13を積層する。
次に、上述同様に、真性半導体層23上に、すなわち半導体基板11の裏面側の全面に、第1導電型半導体材料膜25Zを積層する(第1工程)。
次に、第1導電型半導体材料膜25Z上に、リフトオフ層95Zを形成する。リフトオフ層95Zの材料は、金属のような無機材料であってもよいし、ドライフィルムのような有機材料であってもよい。リフトオフ層95Zの材料は、シリコン系薄膜材料を含むと好ましい。
次に、半導体基板11の裏面側の一部において、リフトオフ層95Zの一部を除去することにより、図8Bに示すように、開口部を有するリフトオフ層95を形成する。リフトオフ層95の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、レジスト膜およびエッチング溶液を用いたウエットエッチングであってもよいし、ドライエッチングであってもよいし、エッチングペースト等を用いたパターン印刷であってもよい(第2工程)。
次に、リフトオフ層95の開口部に対応する第1導電型半導体材料膜25Zを、すなわちリフトオフ層95の開口部から露出する第1導電型半導体材料膜25Zを、水素プラズマエッチングにより除去し、第1導電型半導体層25を形成する。(第3工程)。
このとき、リフトオフ層95の開口部に対応する真性半導体層23の第2層23bの膜厚方向の一部(上層)を除去するように、水素プラズマエッチングが制御される。
なお、真性半導体層23の第2層23bの水素プラズマエッチングのレートは遅いため、第2層23bの第1導電型半導体材料膜25Z側との界面近傍の一部は除去されるものの、真性半導体層23の第2層23bの他部および第1層23aは残る。
そのため、上述したように(図3A~図3C)、真性半導体層23における第2導電型半導体層35と半導体基板11とに挟まれる部分の厚さT2は、真性半導体層23における第1導電型半導体層25と半導体基板11とに挟まれる部分の厚さT1よりも薄くなる。すなわち、第1導電型半導体層25と半導体基板11とに挟まれる真性半導体層23の厚さT1と、第2導電型半導体層35と半導体基板11とに挟まれる真性半導体層23の厚さT2とは、T1>T2の関係を満たす。
<第2導電型半導体層形成工程>
次に、図8Cに示すように、半導体基板11の裏面側の全面に、すなわち、リフトオフ層95の表面および開口部側面、並びにリフトオフ層95の開口部に対応する真性半導体層23の第2層23bを覆うように、第2導電型半導体材料膜35Zを積層する(第4工程)。
なお、リフトオフ層95の開口部におけるリフトオフ層95近傍およびリフトオフ層95の開口部側面でも、上述同様に(図4E)、リフトオフ層95の開口部の中央付近に比べてガスが入り難いことがある。そのため、上述したように(図3B)、第2導電型半導体層35の幅方向における側部の厚さT4は、第2導電型半導体層35の幅方向における中心付近の厚さT3よりも薄くなることがある。すなわち、幅方向における中心付近での第2導電型半導体層35の厚さT3は、幅方向における中心付近以外での第2導電型半導体層35の厚さT4に比べて厚くなることがある。
また、真性半導体層23をプラズマエッチングによりエッチングする際、リフトオフ層95の開口部のみならず、リフトオフ層95の直下領域の一部をもエッチングすることがある。そのため、上述したように(図3C)、第2導電型半導体層35の幅方向における側部の厚さT4は、第2導電型半導体層35の幅方向における中心付近の厚さT3よりも薄くなることがある。すなわち、幅方向における中心付近での第2導電型半導体層35の厚さT3は、幅方向における中心付近以外での第2導電型半導体層35の厚さT4に比べて厚くなることがある。
次に、図8Dに示すように、リフトオフ層95を除去することにより、その上に積み重なる第2導電型半導体材料膜35Zをも除去し、第2導電型半導体層35を形成する(第5工程)。リフトオフ層95の除去方法としては、特に限定されないが、例えば、レジスト膜およびエッチング溶液を用いたウエットエッチングであってもよいし、ドライエッチングであってもよい。
その後、第1導電型半導体層25および第2導電型半導体層35の表面をリンスし、上述した電極形成工程が行われ、上述した実施形態の裏面電極型の太陽電池1と同様の太陽電池1が完成する。
図9A~図9Dは、従来のリフトオフ技術を用いる、真性半導体層、第1導電型半導体層および第2導電型半導体層の形成工程を示す図である。
まず、図9Aに示すように、半導体基板411の裏面側に、真性半導体材料膜(a-Si)423Zおよび第1導電型半導体材料膜425Zを形成する。次に、第1導電型半導体材料膜425Z上にリフトオフ層495Zを形成する。
次に、半導体基板411の裏面側の一部において、リフトオフ層495Z、第1導電型半導体材料膜425Zおよび真性半導体材料膜423Zを除去することにより、図9Bに示すように、真性半導体層423および第1導電型半導体層425の非形成領域を生じさせる。これにより、半導体基板411の裏面側の一部以外の他部において、真性半導体層423および第1導電型半導体層425が形成される。真性半導体層423および第1導電型半導体層425上には、リフトオフ層495が残ったままとなる。
次に、図9Cに示すように、リフトオフ層495および非形成領域上に、真性半導体材料膜(a-Si)433Zおよび第2導電型半導体材料膜435Zを形成する。
次に、図9Dに示すように、リフトオフ層495を除去することにより、その上に積み重なる真性半導体材料膜433Zおよび第2導電型半導体材料膜435Zを除去し、真性半導体層433および第2導電型半導体層435を形成する。
このような従来のリフトオフ技術を用いる半導体層パターンの形成方法では、第1導電型半導体層425と第2導電型半導体層435との境界において、第1導電型半導体層425と第2導電型半導体層435とが重なる領域が実質的に存在しない。
しかしながら、この方法では、第1導電型半導体層425と第2導電型半導体層435との間に真性半導体層433が残り、第1導電型半導体層425および第2導電型半導体層435によるキャリア回収効率が低下する。
これに対して、本変形例の太陽電池の製造方法によって製造された太陽電池1では、第1導電型半導体層25と第2導電型半導体層35との境界において、第1導電型半導体層25と第2導電型半導体層35とが重なる領域が実質的に存在せず、かつ、第1導電型半導体層25および第2導電型半導体層35の一部または全部が接する。これにより、第1導電型半導体層および第2導電型半導体層によるキャリア回収効率の低下が抑制される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、上述した実施形態では、図3Aに示すようにヘテロ接合型の太陽電池およびその製造方法を例示したが、本発明の特徴の第1導電型半導体層および第2導電型半導体層の形成方法は、ヘテロ接合型の太陽電池に限らず、ホモ接合型の太陽電池等の種々の太陽電池およびその製造方法に適用される。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
以下のとおり、図2および図3Aに示す太陽電池1を、図4A~図4Dに示す工程に従って作製した。
<半導体基板>
まず、半導体基板11として、厚さ200μmの単結晶シリコン基板を採用した。単結晶シリコン基板の両面に異方性エッチングを行うことにより、両面にピラミッド型のテクスチャ構造が形成された半導体基板11を得た。
<真性半導体層形成>
半導体基板11をCVD装置へ導入し、半導体基板11の受光面側に真性半導体層13として非晶質シリコン(アモルファスシリコン:a-Si)を8nmの膜厚で製膜した。また、半導体基板11の裏面側に真性半導体層23の第1層23aとして非晶質シリコンを製膜し、その後、第1層23a上に、真性半導体層23の第2層23bとして高希釈水素化シリコンを製膜した。真性半導体層23の膜厚は8nmとした。
非晶質シリコンの製膜条件は、基板温度150℃、圧力120Pa、SiH/H流量比3/10、パワー密度0.011W/cmであった。
高希釈水素化シリコンの製膜条件は、圧力100Pa、SiH/H流量比1/500、パワー密度0.5W/cmであった。
<第1導電型半導体層形成>
CVD装置において、半導体基板11の裏面側の真性半導体層23上に、第1導電型半導体材料膜25Zとして、p型水素化非晶質シリコンを10nmの膜厚で製膜した。p型水素化非晶質シリコンの製膜条件は、基板温度150℃、圧力60Pa、SiH/B流量比1/3、パワー密度0.01W/cmであった。なお、Bガス流量は、BがHにより5000ppmまで希釈された希釈ガスの流量である。
次に、半導体基板11の裏面側の第1導電型半導体材料膜25Z上にマスク90を配置した。
次に、マスク90の開口部に対応する第1導電型半導体材料膜25Zを、水素プラズマエッチングにより除去し、第1導電型半導体層25を形成した。水素プラズマエッチングの条件は、基板温度150℃、圧力100Pa、SiH/H流量比1/1000、パワー密度が0.1W/cmであった。
<第2導電型半導体層形成>
CVD装置において、マスク90をそのまま用いて、マスク90の開口部に対応する真性半導体層23の第2層23b上に、第2導電型半導体層35として、n型水素化非晶質シリコンを10nmの膜厚で製膜した。n型水素化非晶質シリコンの製膜条件は、基板温度150℃または180℃、圧力60Pa、SiH/PH流量比1/2、パワー密度0.01W/cmであった。なお、PHガス流量は、PHがHにより5000ppmまで希釈された希釈ガスの流量である。
<電極層形成>
マグネトロンスパッタリング装置を用いて、半導体基板11の裏面側の第1導電型半導体層25および第2導電型半導体層35上に、透明電極材料膜として透明導電性酸化物を100nmの膜厚で製膜した。透明導電性酸化物の製膜では、酸化スズを10重量%含有した酸化インジウム(ITO)をターゲットとして使用し、装置のチャンバー内に、アルゴンと酸素との混合ガスを導入させて、そのチャンバー内の圧力を0.6Paとなるように設定した。なお、アルゴンと酸素との混合比率は、抵抗率が最も低くなる条件(いわゆる、ボトム条件)とした。また、透明導電性酸化物の製膜では、直流電源を用いて、0.4W/cmの電力密度で、製膜を行った。
次に、フォトリソグラフィ法により、第1導電型半導体層25および第2導電型半導体層35上の透明導電材料膜のみが残るようにエッチングを行い、透明電極層28および透明電極層38を形成した。このように、透明電極層28と透明電極層38とが離間することにより、これらの透明電極層の間での導通が防止される。
次に、透明電極層28および透明電極層38上に、Agペースト(藤倉化成製 ドータイトFA-333)をスクリーン印刷により塗布して、150℃のオーブンで60分間、加熱処理して、金属電極層29および金属電極層39を形成した。透明電極層28と金属電極層29が第1電極層27を構成し、透明電極層38と金属電極層39とが第2電極層37を構成する。
(実施例2)
真性半導体層23の第2層23bの材料として、高希釈水素化シリコンに代えて水素化酸化シリコンを用いた点を除いて、実施例1と同様にして太陽電池1を作製した。
(実施例3)
真性半導体層23として非晶質シリコンを膜厚8nmの1層で製膜した点を除いて、実施例1と同様にして太陽電池1を作製した。
以上のように作製した実施例1~3の太陽電池の性能特性として、開放電圧Voc、短絡電流Isc、曲線因子FF、および変換効率Effをシミュレーションした。このシミュレーションでは、ソーラーシミュレータを用い、AM(エアマス)1.5の基準太陽光を、100mW/cmの光量で照射した。
その結果を表1に示す。表1では、実施例1のVoc、Isc、FF、Effの結果を1.00とした場合の相対比率で実施例2および3の結果を示した。
また、それぞれの薄膜のエッチングレートの相対値(真性半導体の水素化非晶質シリコンを1としている)を表2に記している。薄膜は、ポリッシュシリコン基板上に製膜され、例えば分光エリプソメトリー法により膜厚を測定することによって得られた。
Figure 0007221276000001
Figure 0007221276000002
表2によれば、真性導体層の材料である、非晶質シリコン、高希釈水素化シリコン、および水素化酸化シリコンは、第1導電型半導体よりエッチングレートが遅い。表1によれば、真性半導体層23が非晶質シリコンの1層である実施例3と比較して、真性半導体層23が非晶質シリコン/高希釈水素化シリコンの2層である実施例1、および、真性半導体層23が非晶質シリコン/高希釈水素化酸化シリコンの2層である実施例2の性能が高いことがわかった。
これは、プラズマエッチングにおいて均一性が劣っていても、高希釈水素化シリコン層または水素化酸化シリコンを用いることでエッチングが緩やかになるため、部分的にパッシベーション層が失われることを防ぐことができたためと考えられる。
1 太陽電池
2 配線部材
3 受光面保護部材
4 裏面保護部材
5 封止材
7 第1導電型領域
7b,8b バスバー部
7f,8f フィンガー部
8 第2導電型領域
11,111,211,311,411 半導体基板
13,23,33,113,123,133,213,223,233,313,323,333,413,423,433 真性半導体層
23a 第1層
23b 第2層
15 反射防止層
25,125,225,325,425 第1導電型半導体層
27 第1電極層
28,38 透明電極層
29,39 金属電極層
35,135,235,335,435 第2導電型半導体層
37 第2電極層
90,95,190,193,290,293,390,495 マスク
100 太陽電池モジュール

Claims (14)

  1. 2つの主面を有する半導体基板と、前記半導体基板の一方の主面に配置された真性半導体層と、前記半導体基板の前記一方の主面に前記真性半導体層を介して配置された第1導電型半導体層および第2導電型半導体層と、前記第1導電型半導体層に対応する第1電極層および前記第2導電型半導体層に対応する第2電極層とを備える裏面電極型の太陽電池の製造方法であって、
    前記半導体基板の前記一方の主面側に前記真性半導体層の第1層と第2層とを順に形成する真性半導体層形成工程であって、前記第1層として非晶質シリコンを形成した後、前記第2層として高希釈水素化シリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン、または、これらの化合物を形成する真性半導体層形成工程と、
    前記半導体基板の前記一方の主面側において前記真性半導体層上に第1導電型半導体材料膜を形成した後、マスクを用いて、前記マスクの開口部に対応する前記第1導電型半導体材料膜および前記真性半導体層の前記第2層の膜厚方向の一部を、プラズマエッチングにより除去することにより、前記第1導電型半導体層を形成する第1導電型半導体層形成工程と、
    前記半導体基板の前記一方の主面側において前記マスクの開口部に対応する前記真性半導体層の前記第2層上に前記第2導電型半導体層を形成する第2導電型半導体層形成工程と、
    を含む、太陽電池の製造方法。
  2. 前記真性半導体層の膜厚方向の一部であって、前記真性半導体層の前記第1導電型半導体層と対向する面側の前記第2層は、前記プラズマエッチングに対して耐性を有する材料を含む、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
  3. 前記真性半導体層の前記第2層は、前記真性半導体層の前記第1層よりも、前記プラズマエッチングのレートが遅い材料を含む、請求項2に記載の太陽電池の製造方法。
  4. 前記真性半導体層の前記第2層は、前記第1導電型半導体層よりも、前記プラズマエッチングのレートが遅い材料を含む、請求項2または3に記載の太陽電池の製造方法。
  5. 前記プラズマエッチングは、水素を導入しながらプラズマ放電を行う水素プラズマエッチングである、請求項1~4のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  6. 前記マスクは、メタルマスク、または、リフトオフ法のための有機製マスクまたは無機製マスクである、請求項1~のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  7. 前記マスクの外形は、前記半導体基板の外形よりも大きく、
    前記第1導電型半導体層形成工程および前記第2導電型半導体層形成工程では、前記半導体基板の縁は前記マスクで覆われる、
    請求項1~のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  8. 前記第2導電型半導体層形成工程では、前記マスクの開口部に対応する前記真性半導体層上に、前記プラズマエッチングにより除去された分だけ真性半導体層を形成した後、前記第2導電型半導体層を形成する、請求項1~のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  9. 前記半導体基板はn型半導体基板であり、
    前記第1導電型半導体層はn型半導体層であり、
    前記第2導電型半導体層はp型半導体層である、
    請求項1~のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  10. 2つの主面を有する半導体基板と、前記半導体基板の一方の主面に配置された真性半導体層と、前記半導体基板の前記一方の主面に前記真性半導体層を介して配置された第1導電型半導体層および第2導電型半導体層と、前記第1導電型半導体層に対応する第1電極層および前記第2導電型半導体層に対応する第2電極層とを備える裏面電極型の太陽電池であって、
    前記真性半導体層は、前記半導体基板の前記一方の主面側に順に積層された第1層と第2層とを含み、
    前記第1層は、非晶質シリコンを含み、
    前記第2層は、高希釈水素化シリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン、または、これらの化合物を含み、
    前記第1導電型半導体層と前記半導体基板とに挟まれる前記真性半導体層の厚みT1と、前記第2導電型半導体層と前記半導体基板とに挟まれる前記真性半導体層の厚みT2とでは、T1>T2の関係を満たす、
    太陽電池。
  11. 前記第2導電型半導体層の幅方向における中心付近での前記第2導電型半導体層の厚みは、前記幅方向における中心付近以外での前記第2導電型半導体層の厚みに比べて厚い、請求項10に記載の太陽電池。
  12. 前記真性半導体層の膜厚方向の一部であって、前記真性半導体層の前記第1導電型半導体層と対向する面側の前記第2層は、前記第1導電型半導体層を形成するためのプラズマエッチングに対して耐性を有する材料を含む、請求項10または11に記載の太陽電池。
  13. 前記真性半導体層の前記第2層は、前記真性半導体層の前記第1層よりも、前記プラズマエッチングのレートが遅い材料を含む、請求項12に記載の太陽電池。
  14. 前記真性半導体層の前記第2層は、前記第1導電型半導体層よりも、前記プラズマエッチングのレートが遅い材料を含む、請求項12または13に記載の太陽電池。
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