JP7207632B2 - 現像ローラ、現像装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
図1は、本発明の現像ローラの一実施形態を示す概略斜視図である。
本発明の現像ローラ1は、図1に示すように、軸体2と、軸体2の外周に設けられた弾性層3と、弾性層3の外周に設けられた被覆層4とを有する。
以下、本発明の現像ローラ1の構成について説明する。
軸体2は、好ましくは、導電性を有する、従来公知の現像ローラに用いられる軸体を用いることができる。軸体2は、例えば、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、及び真鍮からなる群より選択される少なくとも1種の金属で構成されていることが好ましい。このような金属で構成される軸体2は、一般に、「芯金」の名称でも知られている。
弾性層3は、ゴム組成物を軸体2の外周面に加熱硬化して形成される。弾性層3を形成するためのゴム組成物は、ゴムと、導電材と、所望により各種添加剤とを含有するのが好ましい。
シリコーンゴム組成物としては、例えば、付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物、及び付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物が挙げられる。
付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物は、例えば、(A)下記平均組成式(1)で示されるオルガノポリシロキサン、(B)充填材、(C)導電材を含有するものであってよい。
R1 nSiO(4-n)/2 …(1)
式(1)中、nは1.95以上2.05以下の正数を示す。また、R1は、同一又は異なっていてよい、置換又は非置換の一価の炭化水素基を示す。炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは1以上12以下であり、より好ましくは1以上8以下である。
付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物は、例えば、(D)分子中に2つ以上のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンと、(E)分子中にケイ素原子と結合する水素原子を2つ以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、(F)充填材と、(G)導電材と、(H)付加反応触媒と、を含有していてよい。
R4 aSiO(4-a)/2 …(2)
式(2)中、aは1.5以上2.8以下の正数を示し、好ましくは1.8以上2.5以下、より好ましくは1.95以上2.05以下である。また、R4は、同一又は異なっていてよい、置換又は非置換の一価の炭化水素基を示す。ただし、一分子中のR4のうち少なくとも2つはアルケニル基である。炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは1以上12以下であり、より好ましくは1以上8以下である。
R5 bHcSiO(4-b-c)/2 …(3)
式(3)中、bは0.7以上2.1以下の正数を示し、cは0.001以上1.0以下の正数を示し、b-cは0.8以上3.0以下である。また、R5は、同一又は異なっていてよい、置換又は非置換の一価の炭化水素基を示す。炭化水素基の炭素原子数は、1以上10以下であることが好ましい。なお、R5としては、上記R1として例示した基と同じ基が例示できる。
ゴム組成物は上記以外の各種添加剤を更に含有してもよい。各種添加剤としては、例えば、助剤(鎖延長剤、架橋剤等)、触媒、分散剤、発泡剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料、着色剤、加工助剤、軟化剤、可塑剤、乳化剤、耐熱向上剤、難燃性向上剤、受酸剤、熱伝導性向上剤、離型剤、溶剤等が挙げられる。
被覆層4は、弾性層3の外周であって、現像ローラ1の最表面に設けられるものである。被覆層4は、弾性層3、又は所望により形成されたプライマー層の外周面に、組成物(以下、被覆層用樹脂組成物という)を塗工し、次いで、塗工された被覆層用樹脂組成物を加熱硬化させて形成される。
本発明の被覆層4は、(a)ポリオール、(b)イソシアネート、(c)表面粗さ材、及び(d)導電材を含有する被覆層用樹脂組成物を熱硬化させてなるものであり、(a)ポリオールが、(a1)側鎖に未反応性シリコーン基を有するポリオール、及び(a2)片末端ジオール型シリコーンオイルの少なくとも1種を含有するものである。
以下、被覆層用樹脂組成物の各成分(a)~(d)について説明する。
ポリオールは、ポリウレタンの調製に通常使用される各種のポリオールであればよく、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリカーボネートポリオールから選択された少なくとも1種のポリオールであるのが好ましい。
ポリオールは、後述するイソシアネート等との相溶性に優れる点で、500以上8000以下の数平均分子量を有するのが好ましく、500以上5000以下の数平均分子量を有するのがより好ましい。イオン液体が水酸基含有イオン液体である場合には、800以上15000以上の数平均分子量を有するのが好ましく、1000以上5000以下の数平均分子量を有するのがより好ましい。数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレンに換算したときの分子量である。
以下、(a1)側鎖に未反応性シリコーン基を有するポリオール、及び(a2)片末端ジオール型シリコーンオイルについて説明する。
(a1)側鎖に未反応性シリコーン基を有するポリオールとしては、例えば、以下の一般式(1)及び(2)で表される構成単位を含むシリコーングラフトアクリルポリオールが挙げられる。
(a1)側鎖に未反応性シリコーン基を有するポリオール中のシリコーン基の数平均分子量は500以上100000以下であることが好ましい。
また、(a1)側鎖に未反応性シリコーン基を有するポリオール中のシリコーン基は、全組成物中1質量%以上50質量%以下であることが好ましい。
(a2)片末端ジオール型シリコーンオイルとしては、以下の一般式(3)で表されるものが挙げられる。
(a2)片末端ジオール型シリコーンオイルの分子量は、3000以上15000以下であることが好ましい。
市販品としては、信越化学工業株式会社製のX-22-176DX、X-22-176F、X-22-176GX-Aが挙げられる。
(a1)側鎖に未反応性シリコーン基を有するポリオール及び(a2)片末端ジオール型シリコーンオイルのうち、(a1)側鎖に未反応性シリコーン基を有するポリオールのみを含み、(a1)側鎖に未反応性シリコーン基を有するポリオールがシリコーングラフトアクリルポリオールであってもよい。この場合、ポリオール中の、シリコーングラフトアクリルポリオールの含有量は、2質量%以上40質量%以下であることが好ましい。
イソシアネートは、ポリウレタンの調製に通常使用される各種イソシアネートであればよく、例えば、脂肪族イソシアネート、芳香族イソシアネート、及びこれらの誘導体等が挙げられる。イソシアネートは、貯蔵安定性に優れ、反応速度を制御しやすい点で、脂肪族イソシアネートであるのが好ましい。
芳香族イソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(トリレンジイソシアネートとも称する。TDI)、3,3’-ビトリレン-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネートウレチジンジオン(2,4-TDIの二量体)、キシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、メタフェニレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族イソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、オルトトルイジンジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルナンジイソシアネートメチル、トランスシクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、トリフェニルメタン-4,4’,4’’-トリイソシアネート等が挙げられる。
誘導体としては、ポリイソシアネートの多核体、ポリオール等で変性したウレタン変性物(ウレタンプレポリマーを含む)、ウレチジオン形成による二量体、イソシアヌレート変性物、カルボジイミド変性物、ウレトンイミン変性物、アロハネート変性物、ウレア変性物、ビュレット変性物等が挙げられる。ポリイソシアネートは、1種単独で又は2種以上を用いることができる。ポリイソシアネートは、500~2000の分子量を有するのが好ましく、700~1500の分子量を有するのがより好ましい。
(a)、(a1)及び(a2)のポリオールとポリイソシアネートとの混合物における混合割合は、特に限定されないが、通常、ポリオールに含まれる水酸基(OH)と、ポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基(NCO)とのモル比(NCO/OH)が0.7以上1.15以下であるのが好ましい。このモル比(NCO/OH)は、ポリウレタンの加水分解を防止することができる点で、0.85以上1.10以下であるのがより好ましい。なお、実際には、作業環境、作業上の誤差を考慮して適正モル比の3倍から4倍相当量を配合してもよい。
被覆層4は、表面粗さ材を含有する。表面粗さ材は、被覆層4の表面粗さを調製する粒子である。被覆層4に配合される表面粗さ材の平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上20μm以下であり、より好ましくは1μm以上15μm以下である。被覆層4にこのような表面粗さ材を配合することで、外周面の表面粗さを、容易に適切な範囲に調整することができる。現像ローラ1の外周面の表面粗さを調整することで、トナー搬送性が向上し、一層優れた印字特性が得られる。なお、表面粗さ材の平均粒子径は、レーザー光回折法による粒度分布測定装置を用いて、メジアン径として測定できる。
導電材として、カーボンブラック、グラファイト、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄粉、及び導電性金属酸化物等の電子伝導機構を有する導電剤、アルカリ金属塩及び四級アンモニウム塩等のイオン伝導機構を有する導電剤、並びに、シリカ粒子の表面にカーボンブラック粒子等の導電性粒子が付与された導電複合粒子を有する導電剤が好ましい。
導電材としては、カーボンブラックが特に好ましい。カーボンブラックとしては、特に限定されず、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック、サーマルブラック等が好適に用いられる。カーボンブラックとしては、これらのうち1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。所望の電気抵抗を得るために、各種導電剤を2種以上併用してもよい。
本発明の現像ローラ1は、軸体2と弾性層3との間、及び弾性層3と被覆層4との間に、接着層又はプライマー層等の中間層を備えていてもよい。ここで、これらの中間層のうち、特に、弾性層3と被覆層4の間に設けられる接着層及びプライマー層については、その電気的特性を調整することにより、現像ローラ1としての電気的特性を調整することができ、これにより、現像ローラ1の現像性能を良好に調整することができる。
本実施形態に係る現像ローラ1は、現像装置及び画像形成装置における現像剤担持体として、好適に用いることができる。本実施形態において、画像形成装置における現像ローラ1以外の構成は特に限定されない。本発明の現像ローラ1を備えた現像装置及び画像形成装置の一例を、図2を参照して、説明する。
(プライマー層の形成)
無電解ニッケルメッキ処理が施された軸体(SUM22製、直径10mm、長さ275mm)をエタノールで洗浄し、その表面にシリコーン系プライマー(商品名「プライマーNo.16」、信越化学工業株式会社製)を塗布した。プライマー処理した軸体を、ギヤオーブンを用いて、150℃の温度にて10分焼成処理した後、常温にて30分以上冷却し、軸体の外周面にプライマー層を形成した。
次いで、弾性層を形成するためのシリコーンゴム組成物を次のように調製した。すなわち、両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(重合度300)100質量部、BET比表面積が110m2/gである疎水化処理されたヒュームドシリカ(商品名「R-972」、日本アエロジル株式会社製)1質量部、平均粒子径6μm、嵩密度が0.25g/cm3である珪藻土(商品名「オプライトW-3005S」、中央シリカ株式会社製)40質量部、及び、アセチレンブラック(商品名「デンカブラックHS-100」、デンカ株式会社製)5質量部、をプラネタリーミキサーに入れ、30分撹拌した後、3本ロールに1回通した。これを再度プラネタリーミキサーに戻し、両末端及び側鎖にSi-H基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(重合度17、Si-H量0.0060mol/g)2.1質量部、エチニルシクロヘキサノール0.1質量部、白金触媒(Pt濃度1%)0.1質量部を添加し、30分撹拌脱泡混練して、付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物を調製した。
次いで、被覆層を形成するための樹脂組成物を次のように調製した。
(a)ポリカーボネートジオール(商品名「ニッポラン981」、東ソー株式会社製)
95.4質量部
(a1)シリコーングラフトアクリルポリオール 4.6質量部
(b)ヌレート型イソシアネート(製商品名「TPA-B80E」、旭化成株式会社製)
49.6質量部
(c)表面粗さ材(AEROSIL(登録商標)R 711、日本アエロジル株式会社製) 13.5質量部
(d)導電材(MA600、三菱ケミカル株式会社製) 3質量部
(a1)シリコーングラフトアクリルポリオールは、上記一般式(1)及び(2)で表される化合物をアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)の存在下でラジカル重合させることにより製造した。
表1に示す材料と配合により、実施例1と同様に現像ローラを製造した。
なお、表1中の、(a)ポリエステル系ポリオールは、伊藤製油株式会社製POLYCASTOR #10を用い、(a2)片末端ジオール型シリコーンオイルは、信越化学工業株式会社製X-22-176DXを用い、アダクト型イソシアネートは、旭化成株式会社デュラネートE402-B80Bを用いた。
画像形成装置HL‐3170CDW(型番、ブラザー工業株式会社製)を用意し、この画像形成装置の現像ローラを作製した各実施例及び各比較例の現像ローラに差し替えて、画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、以下の方法で、動摩擦係数、静止摩擦係数、及びバンディングを評価した。
製造した現像ローラを、株式会社トリニティーラボ製i-tester TL701(R接触子)を用いて、測定方法に従って、300N荷重にてローラ長手方向に複数回測定し、その算術平均値を各試験用シートの静止擦係数及び動摩擦係数として求めた。
製造した各導電性ローラを接触型の画像形成装置HL‐3170CDW(型番、ブラザー工業株式会社製)に現像ローラとして装着し、23℃50%の常温常湿環境下に24時間静置した。その後、この常温常湿環境を維持したままA4用紙(JIS)にハーフトーン画像を印刷した。印刷されたハーフトーン画像において、従来品と同程度のバンディングの評価を「C」とし、十分な改善が見られる場合の評価の「A」とした。
上記画像領域においてA4用紙の短辺方向に延在する高濃度部分がバンディングである。なお、バンディング評価において、現像剤及び現像剤量調節手段はこの画像形成装置に付属の現像剤及び現像剤量調節手段を用いた。
これは、(a1)におけるシリコーン鎖は未反応基であり、また(a2)が片末端シリコーン鎖であるために、シリコーン鎖がポリウレタンの主鎖として組み込まれるのではなく、比較的自由度が高い側鎖として、被覆層の表面に存在することで摩擦係数を低減できたものと考えられる。
2 軸体
3 弾性層
4 被覆層
6 転写搬送ベルト
10 画像形成装置
11B、11C、11M、11Y 像担持体
12B、12C、12M、12Y 帯電手段
13B、13C、13M、13Y 露光手段
14B、14C、14M、14Y 転写手段
15B、15C、15M、15Y クリーニング手段
16 記録体
20B、20C、20M、20Y 現像装置
21B、21C、21M、21Y、34 筐体
22B、22C、22M、22Y 現像剤
23B、23C、23M、23Y 現像剤担持体(現像ローラ)
24B、24C、24M、24Y 現像剤量調節手段
25B、25C、25M、25Y トナー供給ローラ
30 定着手段
31 定着ローラ
32 加圧ローラ
33 無端ベルト支持ローラ
35 開口部
36 無端ベルト
41 カセット
42 支持ローラ
B、C、M、Y 現像ユニット
Claims (6)
- 軸体の外周面に形成された弾性層と、該弾性層の外周面に形成された被覆層とを備える現像ローラであって、
前記被覆層が、(a)ポリオール、(b)イソシアネート、(c)表面粗さ材、及び(d)導電材を含有する被覆層用樹脂組成物を熱硬化させてなり、
前記(a)ポリオールが、ポリカーボネートジオールと、(a1)シリコーングラフトアクリルポリオール、及び(a2)片末端ジオール型シリコーンオイルの少なくとも1種と、を含有し、
前記(c)表面粗さ材が、平均粒子径が1μm以上15μm以下の小粒径シリカであり、
前記(c)表面粗さ材の含有量が、前記被覆層用樹脂組成物100質量部に対し、1質量部以上40質量部以下である現像ローラ。 - 前記(a)ポリオール中の、前記(a1)シリコーングラフトアクリルポリオール、及び前記(a2)片末端ジオール型シリコーンオイルの少なくとも1種の含有量が、2質量%以上600質量%以下である請求項1記載の現像ローラ。
- 前記(a1)シリコーングラフトアクリルポリオール及び前記(a2)片末端ジオール型シリコーンオイルのうち、前記(a1)シリコーングラフトアクリルポリオールのみを含む請求項1又は2記載の現像ローラ。
- 前記(a)ポリオール中の、前記(a1)シリコーングラフトアクリルポリオールの含有量が、2質量%以上40質量%以下である請求項3記載の現像ローラ。
- 請求項1から4いずれか1項記載の現像ローラを備えた現像装置。
- 請求項1から4いずれか1項記載の現像ローラを備えた画像形成装置。
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