JP7206700B2 - 鋼板 - Google Patents
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Description
(1)第一の手段は、TMCP条件の精緻な制御と、eBを0.0001%以上、含有B量の1/2以下に制御することでγ中に焼入性に寄与する固溶Bと変態核として寄与する析出B(BN)を併用することで、高強度と細粒化効果による高靭性に同時に達成する。
(2)第二の手段は、V炭化物による析出強化を利用して母材強度を高める。
すなわち、NやNbなどの微量元素の添加量適正化と母材製造条件の高精度制御により、Bの固溶、析出の高精度制御が可能となり、厚手鋼材の特性確保とHAZ靱性の改善を高度に両立することが可能となった。
PcmES=C/4+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/3+Nb/2+23×MAX((B-10.8/14.1×(MAX(N-Ti/3.4,0)),0)
C :0.05~0.12%
Si:0.20%以下
Mn:1.00~2.00%
Nb:0.004~0.020%
V :0.10%以下
Ti:0.0030~0.0180%
Al:0.0040~0.0800%
N :0.0030~0.0080%
B :0.0006~0.0025%
Ca:0.0003~0.0040%
Mg:0.0003~0.0040%
O :0.0015~0.0040%
を含有し、
P :0.020%以下
S :0.010%以下に制限され、
残部が鉄および不可避的不純物からなり、
下記式(1)の炭素当量Ceq(W)が0.34~0.42%であり、
下記式(2)のPcmが0.185~0.230であり、
下記式(3)のf-Nが10.0以上であり、
下記式(4)のeBが4.0以下であり、
N含有量に対するB含有量の割合(B/N)が、0.20~0.50であり、
鋼中に、円相当直径で0.5~5.0μmの粒子が1.00×102~1.00×104個/mm2の個数密度で存在し、前記粒子のうち、原子%で10%以上のCaあるいはMgを含む粒子の割合が30%以上であることを特徴とする鋼板。
ここで、
Ceq(W)=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14・・・(1)
Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5×B・・・(2)
f-N=10000×(N-eTi/3.4)・・・(3)
eB=10000×[B-0.77×{N-0.29×(Ti-2×OTi)}]・・・(4)
eTi=Ti-2×OTi・・・(5)
OTi=O-0.4×Ca-0.66×Mg-0.17×REM-0.89×Al・・・(6)
とし、
式(1)乃至式(6)に示す元素は、鋼中に含有されているそれぞれの元素の含有量(質量%)とし、不可避的不純物として混入した元素も計算に含める。また、式(6)によって与えられるOTiが0以下の場合、式(4)及び(5)において、OTiに0を代入する。
(2) さらに、質量%で、
Cu:0.10~1.00%
Ni:0.10~1.00%
Cr:0.03~0.80%
Mo:0.03~0.40%
REM:0.0003~0.0100%
Zr:0.0003~0.0100%
のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする、(1)に記載の鋼板。
(3) 更に、下記式(7)のPcmESが0.13~0.16であることを特徴とする、(1)項又は(2)項に記載の鋼板。
但し、式(7)に示す元素は、鋼中に含有されているそれぞれの元素の含有量(質量%)とし、不可避的不純物として混入した元素も計算に含める。
PcmES=C/4+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/3+Nb/2+23×MAX((B-10.8/14.1×(MAX(N-Ti/3.4,0)),0)・・・(7)
(4) 板厚中心から両面方向へ板厚1/4厚みにおける金属組織が、フェライトを面積率で3%~20%又は15度大角粒径が85μm以下かつアスペクト比が1.8以上の旧オーステナイト粒から生成する相を含むことを特徴とする、(1)項乃至(3)項のうちいずれかに記載の鋼板。
(5) 40mm~100mmの板厚を有することを特徴とする、(1)項乃至(4)項のうちいずれかに記載の鋼板。
(6) 引張強さが550MPa~740MPa、降伏比が78%以下であることを特徴とする、(1)項乃至(5)項のうちいずれかに記載の鋼板。
Ceq(W)=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14・・・(1)
Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5×B・・・(2)
但し、式(1)及び式(2)に示す元素は、鋼中に含有されているそれぞれの元素の含有量(質量%)とし、不可避的不純物として混入した元素も計算に含める。
但し、式(7)に示す元素は、鋼中に含有されているそれぞれの元素の含有量(質量%)とし、不可避的不純物として混入した元素も計算に含める。
eTi=Ti-2×OTi・・・(5)
OTi=O-0.4×Ca-0.66×Mg-0.17×REM-0.89×Al・・・(6)
但し、式(4)乃至式(6)に示す元素は、鋼中に含有されているそれぞれの元素の含有量(質量%)とし、不可避的不純物として混入した元素も計算に含める。また、式(6)によって与えられるOTiが0以下の場合、式(4)及び(5)において、OTiに0を代入する。
以下に本発明における鋼板(および鋼板の製造に用いられる連続鋳造スラブ)の化学成分についての限定理由を説明する。
Cは、強度向上のために重要な元素である。低温加熱、低温圧延を徹底したTMCP型厚手鋼板において、所定の強度を安定確保するために、0.05%以上のCを含有させる必要がある。好ましくは、0.06%以上または0.07%以上のCを含有させることにより、より安定して強度を高めることができる。さらに、CはHAZにおけるV(C、N)変態核の析出を促す効果もある。しかしながら、良好なHAZ靭性を安定確保するためには、Cを0.12%以下に抑える必要がある。Cを0.11%以下または0.10%以下に制限してもよい。
Siは、脱酸作用を有するが、強力な脱酸元素であるAlが十分に含有されている場合には不要である。鋼板を強化する作用もあるが、他の元素に比べるとその効果は相対的に小さい。比較的高い炭素当量Ceqが必要となる本発明の鋼板では、SiはHAZにおいてMA生成を助長する危険性が高いため、0.20%以下に抑える必要がある。HAZ靭性の観点からSiを極力低くすることが好ましく0.16%以下または0.13%以下に制限してもよい。
Mnは、経済的に強度を確保するために1.00%以上の含有量が必要である。ただし、2.0%を超えてMnを含有させると、スラブの中心偏析の有害性が顕著となる上、HAZの硬化とMA生成を助長して脆化させるため、これを上限とする。強度を確保するためには、Mnを1.10%以上または1.20%以上に制限しても、HAZの硬化とMA生成を更に抑制するために、1.80%以下、1.60%以下または1.50%以下に制限してもよい。
Nbは、制御圧延効果(熱間圧延中のオーステナイトの未再結晶温度上昇効果と再結晶抑制効果)、Bと同時添加することによる焼入れ性向上効果(Bとの複合効果)を奏することから厚手鋼板の強度と靱性を確保するために重要である。また大入熱溶接HAZで懸念される過度の軟化を抑制するためにも有効である。これらの効果を享受するためには、0.004%以上のNbを含有させる。より好ましくは、0.008%以上含有させると良い。しかし、多過ぎる添加は大入熱溶接HAZ靭性に対するNbの有害さが顕在化するため、本発明では0.020%以下の微量Nbしか含有させない。0.012%以下に抑えることがより好ましい。
Vは、本発明の特徴的な元素である。すでに詳述したように、Vは本発明のTMCP条件において鋼板を効果的に強化する。その一方で、Vは、本発明の鋼板の溶接時に形成されるHAZの硬化やMA増加を抑えると同時に、γ中に析出させたVNやV(C,N)は変態核として作用し、HAZ組織を微細化して靭性を高める。この効果を発揮するために0.02%以上のVを用いても良い。HAZの靭性をより高めるために、Vを0.03%以上に制限することがより好ましい。しかしながら、Vが0.10%を超えると、HAZの組織微細化効果が飽和すると同時にHAZの硬化が著しくなるので、HAZ靭性が劣化する。したがって、Vの含有量を0.10%以下にする必要がある。必要に応じて、Vを0.07%以下に制限してもよい。
Alは、脱酸を担い、O(酸素)を低減して鋼の清浄度を高めるために必要である。Al以外のSi、Ti、Ca、Mg、REM等も脱酸作用があるが、たとえこれらの元素が含有される場合でも、0.0040%以上のAlがないと安定的にOを0.0050%以下に抑えることは難しい。ただし、Alが0.0800%を超えるとアルミナ系粗大酸化物がクラスター化する傾向を強め、破壊起点としての有害性が顕在化するため、これを上限とする。Alを0.0600%以下、0.0400%以下または0.0300%以下に制限することがより好ましい。
Bは、本発明の特徴的な元素である。すでに詳述したように、本発明では鋼板とHAZの両方において、γ中に一部を固溶Bとして存在させるとともに、一部をBNとして析出させるため、前記有効ボロン量eBを4.0以下、前記B/N比を0.20~0.50に制御する。γ中に析出させたBNは変態核として作用し、HAZの組織微細化、硬さ低減、MA低減を通じて靭性を高める。このようなBの作用効果を有効とするために、Bを0.0006%以上含有させる必要がある。必要に応じて、Bを0.0008%以上に制限しても良い。一方、0.0025%を超えてBを含有させると、粗大なB析出物が生成してHAZ靭性が劣化するため、これを上限とする。過剰な固溶B、すなわち過度な焼入性制御とHAZ靭性向上を高位安定して両立させるため、Bを0.0015%以下に制限しても良い。
Ca、Mgは、Bと同様に本発明の特徴的な元素である。溶鋼への添加順序を考慮しつつ、Ca、Mgをそれぞれ0.0003%以上含有させることで、CaやMgを含有する0.01μm~0.5μmの酸化物や硫化物を1000個/mm2以上確保することができる。これらの粒子は、大入熱溶接HAZのピン止め粒子となる。さらにCaやMgを含有する円相当直径で0.5~5.0μmの酸化物や硫化物を1.00×102~1.00×104個/mm2確保することができる。
Oは、0.0040%以下に抑える必要がある。Oが0.0040%を超えると、酸化物の一部が粗大化して破壊起点として有害性をもたらし、母材と大入熱溶接HAZの靭性が劣化する。一方で、γ粒のピン止め効果やフェライト変態核として十分な酸化物数を確保するためには、Oは0.0015%以上確保する必要がある。
Tiは、Nと結合してTiNを形成し、スラブ再加熱時とHAZでピン止め粒子として作用し、γ細粒化を介して鋼板やHAZの組織を微細化して靭性を高める。そして、TiNを形成した残りのNはBと結合してBNを形成し、さらにγ中に固溶Bを存在させ、B焼入性をも活用する。以上の効果を同時に発揮するために、Tiを0.0050~0.0200%、Nを0.0030~0.0080%とする必要がある。
以下に、化学量論的な計算上の有効ボロン量eBの考え方を説明する。なお、以下に示す元素を含む式において、元素は、鋼中に含有されているそれぞれの元素の含有量(質量%)を表す。
OTi(%)=O-0.4×Ca-0.66×Mg-0.17×REM-0.89×Al ・・・ (6)
ただし、式(6)に示す元素は、鋼中に含有されているそれぞれの元素の含有量(質量%)とし、不可避的不純物扱いの成分元素も計算に含める。また、OTiが0%以下の場合、残存酸素量OTiを0%とみなす。
また、式(5)に示す元素は、鋼中に含有されているそれぞれの元素の含有量(質量%)とし、不可避的不純物として混入した元素も計算に含める。また、式(6)によって与えられるOTiが0以下の場合、式(5)において、OTiに0を代入する。
f-N=10000×(N-eTi×14/48)≒ 10000×(N-eTi/3.4) ・・・(3)
ここで、f-Nが正の値の場合には窒素が残存していることを、f-Nが0または負の値の場合にはNが残存していないことを意味する。
f-N>0の場合:Nが残る
f-N≦0の場合:Nが残らない
eB=10000×(B-10.8/14×(N-eTi×14/48))
≒ 10000×〔B-0.77×{N-0.29×(Ti-2×OTi)}〕 ・・・(4)
有効ボロン量eB=10000×(成分B量-(生成したBN中のB量(質量%)))
→生成したBN中のB量(質量%)=0.77×{成分N量-(生成したTiN中のN量(質量%)}
→生成したTiN中のN量(質量%)=0.29×{(成分Ti量-(生成したTi2O3中のTi量(質量%)}
→生成したTi2O3中のTi量(質量%)=2×{鋼中のO量-(生成したCaO中のO量(質量%))-(生成したMgO中のO量(質量%))-(生成したREM2O3中のO量(質量%)}-(生成したAl2O3中のO量(質量%))}
→(生成したCaO中のO量(質量%))=0.4×Ca
→(生成したMgO中のO量(質量%))=0.66×Mg
→(生成したREM2O3中のO量(質量%))=0.17×REM
→(生成したAl2O3中のO量(質量%))=0.89×Al
Oとの化学的親和力の強い順にCaO→MgO→REM2O3→Al2O3の反応が生じ、溶鋼中の溶存Oが減少していく。これで脱酸が完了する場合は、OTi≦0で表される。脱酸が完了せずに溶存Oが残る場合は、OTi>0、eTi=Ti-2OTiで表され、Alより弱脱酸元素であるTiがTi2O3として脱酸に寄与し、Ti含有量から脱酸で消費されたTi量(生成したTi2O3中のTi量)を差し引いた残りが有効チタン量eTiとなる。
Nとの化学的親和力の強い順にTiN→BN→AlNの反応が生じ、固相γ中の固溶Nが減少していく。まず、脱酸で消費された残りのTiが脱窒反応を起こす。これで脱窒が完了する場合は、f-N≦0で表され、γ中に固溶Nが存在しないので、BがBNを形成せずにすべてが固溶Bとして存在する。一方、Tiによって脱窒が完了せず、固溶Nが残る場合は、f-N>0で表され、Bの一部がBNを生成して残りが固溶Bとなる。
eB=10000×{B-0.77×(N-0.29×eTi)}
(P:0.020%以下)
Pは、不純物元素であり、良好な脆性破壊伝播停止特性とHAZの靭性を安定的に確保するために、0.020%以下に低減する必要がある。
Sは、0.010%以下に抑える必要がある。Sが0.010%を超えると、硫化物の一部が粗大化して破壊起点として有害性をもたらし、鋼板とHAZの靭性が劣化する。靭性向上のため、Sを0.004%以下または0.003%以下に制限してもよい。
Niは、靭性の劣化を抑えて強度を確保するために有効である。そのためには0.10%以上のNiを含有させることが好ましい。しかしながら、Niは合金コストが非常に高い上に、表面疵の手入れ工程が発生するという問題がある。したがって、Niは1.00%以下に抑える。また、Niの含有量は極力低くすることが好ましく、0.70%以下、0.50%以下または0.30%以下に制限しても良い。
Cu、Cr、Moは、強度を確保するために有効であり、その効果を享受するため少なくともCu:0.10%以上、Cr及びMo:0.03%以上の含有が必要である。一方、HAZ靭性を劣化させる観点から、それぞれ1.00%、0.80%、0.40%が上限である。MoはNi同様に高価な元素であり、さらにHAZのMA生成を助長する危険性も高いので、Moの含有量はNi同様に極力低くすることが好ましい。HAZ靭性向上のため、Cu、Crを0.50%以下または0.30%以下に、Moを0.30%以下または0.1%以下に制限しても良い。
REM及びZrは、脱酸と脱硫に関与して、中心偏析部の粗大な延伸MnSの生成を抑えて硫化物を球状無害化し、鋼板とHAZの靭性を改善する。これらの効果を発揮するためには、REM及びZrの含有量の下限はいずれも0.0003%である。ただし、含有量を増やしても効果は飽和するため、経済性の観点から上限はいずれも0.0100%である。なお、本発明で含有するREMとは、LaやCeなどのランタノイド系元素と、スカンジウム、イットリウムである。
なお、鋼成分の残部はFeおよび不可避不純物である。
本発明の鋼板は、板厚中心から両面方向へ板厚1/4厚みにおける金属組織が、フェライトを面積率で3%~20%又は15度大角粒径が85μm以下かつアスペクト比が1.8以上の旧オーステナイト粒からなる層を含むことが好ましい。
本発明の鋼板の製造方法では、TMCP条件の精緻な制御と、有効ボロン量eBを4.0以下、B/N比を0.20~0.50に制御することでγ中に焼入性に寄与する固溶Bと変態核として寄与する析出B(BN)を併用して、高強度と細粒化効果による高靭性に同時に達成することができる。すなわち、固溶Bにより母材およびHAZのγ粒界からの粒界フェライト粗大化を抑制する一方、HAZではBNを析出させて、微細な粒内変態フェライト生成核とする。これらを組み合わせて母材の高強度化およびHAZ組織全体の細粒化、靱性向上の両立を図る。
製鋼工程において溶鋼の脱酸・脱硫と鋼成分を制御し、連続鋳造によって表1-1~1-3に示す鋼組成を有する鋼No.1~33のスラブを作製した。そして、前記スラブを表2-1の項目「加熱温度」に示す温度に加熱し、1パス当たり8%以上の圧下率にて最小板厚120mmまで圧延した。次いで、圧延された各スラブに対して、項目「板厚(mm)」の板厚になるまで熱間圧延を行った。
Claims (6)
- 質量%で、
C :0.05~0.12%
Si:0.20%以下
Mn:1.00~2.00%
Nb:0.004~0.020%
V :0.01~0.10%
Ti:0.0030~0.0180%
Al:0.0040~0.0800%
N :0.0030~0.0080%
B :0.0006~0.0025%
Ca:0.0003~0.0040%
Mg:0.0003~0.0040%
O :0.0015~0.0040%
を含有し、
P :0.020%以下
S :0.010%以下に制限され、
残部が鉄および不可避的不純物からなり、
下記式(1)の炭素当量Ceq(W)が0.34~0.42%であり、
下記式(2)のPcmが0.185~0.230であり、
下記式(3)のf-Nが10.0以上であり、
下記式(4)のeBが4.0以下であり、
N含有量に対するB含有量の割合(B/N)が、0.20~0.50であり、
鋼中に、円相当直径で0.5~5.0μmの粒子が1.00×102~1.00×104個/mm2の個数密度で存在し、前記粒子のうち、原子%で10%以上のCaあるいはMgを含む粒子の割合が30%以上であり、
下記式(6)のOTiが0以下であり、
下記式(7)のPcmESが0.16以下である
ことを特徴とする鋼板。
ここで、
Ceq(W)=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14・・・(1)
Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5×B・・・(2)
f-N=10000×(N-eTi/3.4)・・・(3)
eB=10000×〔B-0.77×{N-0.29×(Ti-2×OTi)}〕・・・(4)
eTi=Ti-2×OTi・・・(5)
OTi=O-0.4×Ca-0.66×Mg-0.17×REM-0.89×Al・・・(6)
PcmES=C/4+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/3+Nb/2+23×MAX(B-10.8/14.1×MAX(N-Ti/3.4,0),0)・・・(7)
とし、
式(1)乃至式(7)に示す元素は、鋼中に含有されているそれぞれの元素の含有量(質量%)とし、不可避的不純物として混入した元素も計算に含める。また、式(6)によって与えられるOTiが0以下の場合、式(4)及び(5)において、OTiに0を代入する。また、式(7)において、MAX(N-Ti/3.4,0)は、「N-Ti/3.4」と0のうち大きい方の値、MAX(B-10.8/14.1×MAX(N-Ti/3.4,0),0)は、B-10.8/14.1×MAX(N-Ti/3.4,0)を計算した結果と0のうち大きい方の値を意味するものとする。 - さらに、質量%で、
Cu:0.10~1.00%
Ni:0.10~1.00%
Cr:0.03~0.80%
Mo:0.03~0.40%
REM:0.0003~0.0100%
Zr:0.0003~0.0033%
のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1に記載の鋼板。 - 前記PcmESが0.13~0.16であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の鋼板。
- 板厚中心から両面方向へ板厚1/4厚みにおける金属組織が主としてベイナイトからなり、フェライトを面積率で3%~20%含有し、旧オーステナイト粒のパンケーキ厚みが85μm以下かつアスペクト比が1.8以上であることを特徴とする、請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の鋼板。
- 40mm~100mmの板厚を有することを特徴とする、請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の鋼板。
- 引張強さが550MPa~740MPa、降伏比が78%以下であることを特徴とする、請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の鋼板。
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