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JP7282019B2 - シリコンウェーハ及びその熱処理方法 - Google Patents

シリコンウェーハ及びその熱処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、シリコンウェーハ及びその熱処理方法に関し、特にチョクラルスキー法(CZ法)により育成されたシリコン単結晶からスライスされたシリコンウェーハに対して急速昇降温熱処理(RTP)を行い、BMD(Bulk Micro Defect)密度、及び無欠陥層(DZ層:Denuded Zone層)の厚さ(幅)を制御するシリコンウェーハの熱処理方法に関する。
半導体デバイスを形成するための基板としてシリコンウェーハが用いられている。このシリコンウェーハの表面近傍(表面部)はデバイス活性領域となり、この領域には、COP(Crystal Originated Particle)、BMD(Bulk MicroDefect)核等の結晶欠陥が存在しないことが要求される。
従来、表面部に結晶欠陥が存在しないシリコンウェーハを得るには、例えば特許文献1に開示されるように、チョクラルスキー法(CZ法)によりシリコン単結晶を引き上げる際、結晶引上速度vと単結晶内の引上軸方向の温度勾配の平均値Gとの比(v/G値)を制御することにより無欠陥の単結晶シリコンインゴットを育成し、これをスライスして得ることができる。
しかしながら、無欠陥の単結晶シリコンインゴットを育成するには、結晶の育成速度(引上速度v)を低速に制御しなければならないため、長時間を要し、製造単価が高くなるという課題があった。
前記課題を解決するため、近年では、単結晶シリコンインゴットを高速育成し(この場合はCOP、BMD核が形成される)、スライスしたシリコンウェーハに対して高温での熱処理を施し、ウェーハ表面部に無欠陥層(DZ層:Denuded Zone層)を形成する方法が多く採用されている。
例えば、特許文献2には、不活性ガス或いは還元性ガスの雰囲気中において、1100℃以上の高温下で、1分以上の熱処理を施すことにより、ウェーハ表面部の固溶酸素を外方拡散させ、COPやBMD核等を消滅させる方法が開示されている。
或いは、特許文献3に開示されるように、シリコンウェーハに対して、1150℃以上の高温で秒単位(数秒~60秒)の急速昇降温熱処理(RTP(Rapid Thermal Process)処理)を施し、デバイス活性領域となるウェーハの表面部に無欠陥層を形成する方法が開示されている。
特開平8-330316号公報 特開2001-284362号公報 特表2001-509319号公報
ところで、高速育成した単結晶インゴットをスライスしたシリコンウェーハに対し高温の熱処理を行い表面部のボイド欠陥を消去する方法において、例えば特許文献1に開示された方法では、1100℃以上の温度で1~2時間の熱処理を行っている。
しかしながら、温度が1200℃付近の高温で長時間の熱処理になると、炉体の影響により汚染する、或いは、ウェーハ周端部に接触するウェーハ支持部からスリップ転位が発生し、ウェーハが塑性変形する等の不具合が発生する虞があった。
また、特許文献3に開示されるように数秒~60秒といった短時間の急速昇降温熱処理を行う方法にあっては、特許文献2記載の発明が有する課題(炉体からの汚染、スリップ転位)の発生は抑制されるものの、使用するサンプルによって無欠陥層の厚さが大きくばらつき、均質な無欠陥層の製品を製造することが困難であるという課題があった。
また、急速昇降温熱処理での冷却処理時には、ウェーハ内部(バルク層)にBMD核が形成されるが、そのBMD核密度もサンプルによってばらつきが生じるという課題があった。
前記のような事情のもと、本願発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を行い、ウェーハ内部(バルク層)におけるBMD核の密度が、急速昇降温熱処理後のウェーハの窒素濃度、酸素濃度、空孔濃度の積に比例することを知見し本発明をするに至った。
本発明の目的は、シリコンウェーハに熱処理を施すことによりウェーハ表面部に無欠陥層を形成するシリコンウェーハの熱処理方法において、ウェーハ表層に無欠陥層を形成するとともにウェーハ内部にBMD核を形成し、前記無欠陥層の厚さ及びBMD核密度を制御することのできるシリコンウェーハの熱処理方法を提供することにある。
前記課題を解決するためになされた、本発明に係るシリコンウェーハは、急速昇降温熱処理が施されることにより表層に無欠陥層が形成され、前記無欠陥層の下にバルク層が形成されたシリコンウェーハであって、前記急速昇降温熱処理後の前記無欠陥層における酸素濃度と窒素濃度と空孔濃度との積は、9×1044(/cm未満であることに特徴を有する。
尚、前記バルク層における酸素濃度と窒素濃度と空孔濃度との積は、9×1044(/cm以上2×1045(/cm以下であることが望ましい。
また、前記バルク層におけるBMD密度は、BMD密度(/cm)=3.8×10-36×窒素濃度(/cm)×酸素濃度(/cm)×空孔濃度(/cm)-3.43×10であることが望ましい。
このような構成によれば、無欠陥層の深さ(幅)が均一で、バルク層に形成されるBMD核の密度が制御されたシリコンウェーハを得ることができる。
また、前記課題を解決するためになされた、本発明に係るシリコンウェーハシリコンウェーハの熱処理方法は、急速昇降温熱処理を施すことによりウェーハ表面部に無欠陥層を形成するシリコンウェーハの熱処理方法において、急速昇降温熱処理後の酸素濃度と窒素濃度と空孔濃度との積を、9×1044(/cm未満に制御することにより無欠陥層を形成することに特徴を有する。
尚、急速昇降温熱処理後の酸素濃度と窒素濃度と空孔濃度との積を、9×1044(/cm以上2×1045(/cm以下に制御することによりBMD核を形成することが望ましい。
このようなシリコンウェーハの熱処理方法によれば、急速昇降温熱処理後の酸素濃度と窒素濃度と空孔濃度との積が9×1044(/cm未満であれば無欠陥層を形成でき、9×1044(/cm以上であればBMD核を残存させることができる。また、熱処理前後において、酸素濃度の変化は少ないが、窒素濃度及び空孔濃度は深さに比例して大きくなるため、前記積は深さに比例して大きくなる。そのため、無欠陥層の深さのポイントにおいて前記積が9×1044(/cmとなるよう調整することにより、所望の無欠陥層の深さ(幅)を得ることができ、また、その下層にBMD核を有するバルク層を形成することができる。
本発明によれば、シリコンウェーハに熱処理を施すことによりウェーハ表面部に無欠陥層を形成するシリコンウェーハの熱処理方法において、ウェーハ表層に無欠陥層を形成するとともにウェーハ内部にBMD核を形成し、前記無欠陥層の厚さ及びBMD核密度を制御することのできるシリコンウェーハの熱処理方法を提供することができる。
図1は、本発明に係るシリコンウェーハを模式的に示す断面図である。 図2は、本発明のシリコンウェーハの熱処理方法に用いられるRTP装置の一例の概要を示す断面図である。 図3は、本発明のシリコンウェーハの熱処理方法の手順を示すフローである。 図4は、実施例の結果を示すグラフである。 図5は、実施例の結果を示す他のグラフである。 図6は、実施例の結果を示す他のグラフである。 図7は、実施例の結果を示す他のグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係るシリコンウェーハを模式的に示す断面図であり、図2は、図1のシリコンウェーハを製造するための熱処理方法に用いられるRTP(急速昇降温熱処理)装置の一例の概要を示す断面図である。
図1に示すシリコンウェーハWは、表層に無欠陥層(DZ層)1が形成され、その下層にBMD核を含むバルク層2が形成されている。
前記無欠陥層1においては、急速昇降温熱処理後における酸素濃度と窒素濃度と空孔濃度との積が9×1044(/cm未満に形成されている。
一方、前記バルク層2においては、急速昇降温熱処理後における酸素濃度と窒素濃度と空孔濃度との積が9×1044(/cm以上2×1045(/cm以下に形成されている。また、バルク層2に形成されるBMD核(析出核)の密度は、下記式(1)に従い求めることができる。
BMD密度(/cm)=3.8×10-36×窒素濃度×酸素濃度×空孔濃度-3.43×10 ・・・(1)
尚、前記シリコンウェーハW全体における熱処理後の酸素濃度は、1.2×1018atoms/cm~0.8×1018atoms/cmであり、熱処理後の窒素濃度は、2.5×1014atoms/cm~5×1015atoms/cmに形成されている。
続いて、前記シリコンウェーハWを形成するためのシリコンウェーハの熱処理方法について説明する。
本発明のシリコンウェーハの熱処理方法に用いられるRTP装置10は、図2に示すように、雰囲気ガス導入口20a及び雰囲気ガス排出口20bを備えたチャンバ(反応管)20と、チャンバ20の上部に離間して配置された複数のランプ30と、チャンバ20内の反応空間25にウェーハWを支持するウェーハ支持部40とを備える。また、図示しないが、ウェーハWをその中心軸周りに所定速度で回転させる回転手段を備えている。
ウェーハ支持部40は、ウェーハWの外周部を支持する環状のサセプタ40aと、サセプタ40aを支持するステージ40bとを備える。チャンバ20は、例えば、石英で構成されている。ランプ30は、例えば、ハロゲンランプで構成されている。サセプタ40aは、例えば、シリコンで構成されている。ステージ40bは、例えば、石英で構成されている。
図2に示すRTP装置10を用いてウェーハWに対しRTPを行う場合は、チャンバ20に設けられた図示しないウェーハ導入口より、ウェーハWを反応空間25内に導入し、ウェーハ支持部40のサセプタ40a上にウェーハWを支持する。そして、雰囲気ガス導入口20aから後述する雰囲気ガスを導入すると共に、図示しない回転手段によりウェーハWを回転させながら、ランプ30によりウェーハW表面に対してランプ照射をすることで行う。
尚、このRTP装置10における反応空間25内の温度制御は、ウェーハ支持部40のステージ40bに埋め込まれた複数の放射温度計50によってウェーハWの下部のウェーハ径方向におけるウェーハ面内多点(例えば、9点)の平均温度を測定し、その測定された温度に基づいて複数のハロゲンランプ30の制御(各ランプの個別のON-OFF制御や、発光する光の発光強度の制御等)を行う。
具体的に説明すると、最初にチョクラルスキー法により育成したシリコン単結晶インゴットからスライスされたシリコンウェーハを製造する。チョクラルスキー法によるシリコン単結晶インゴットの育成は周知の方法にて行う。
すなわち、石英ルツボに充填した多結晶シリコンを加熱してシリコン融液とし、このシリコン融液の液面上方から種結晶を接触させて、種結晶と石英ルツボを回転させながら引上げ、所望の直径まで拡径して直胴部を育成することでシリコン単結晶インゴットを製造する。
こうして得られたシリコン単結晶インゴットは、周知の方法によりシリコンウェーハに加工される。
すなわち、シリコン単結晶インゴットを内周刃又はワイヤソー等によりウェーハ状にスライスした後、外周部の面取り、ラッピング、エッチング、研磨等の加工工程を経て、シリコンウェーハを製造する(図3のステップS1)。
なお、ここで記載された加工工程は例示的なものであり、本発明は、この加工工程のみに限定されるものではない。
次に、製造されたシリコンウェーハに対して急速昇降温熱処理(RTP)を行う。
ここで同一のシリコン単結晶から得られた複数のシリコンウェーハのうち、例えば1枚目のウェーハWは、酸素濃度、窒素濃度、及び空孔濃度の測定に用いる。具体的には複数の深さポイントについて初期酸素濃度、窒素濃度を公知の測定方法により求める。次に、測定した各深さポイントにおける初期酸素濃度、初期窒素濃度と、熱処理時の拡散係数により熱処理後の酸素濃度、窒素濃度、空孔濃度を求める(ステップS2)。
尚、熱処理前後の酸素濃度については、殆ど変化しないことが既知であり、初期酸素濃度の値を熱処理後の酸素濃度の値として用いることができる。
熱処理後の窒素濃度については、その深さ分布として計算式(2)を用いて求める。式(2)において、Coは初期窒素濃度、hはサンプル厚さ、xは表面からの深さ(cm)、Dは窒素の拡散係数、tは熱処理時間である。
Figure 0007282019000001
また、熱処理後の空孔濃度(深さ分布)は、公知の方法(例えば、非特許文献K. Nakamura, T. Saishoji, and J. Tomioka, SolidState Phenom., 82-84, 25(2002)にて開示)により求める。
尚、熱処理前の酸素濃度は、1.2×1018atoms/cm~0.8×1018atoms/cmであることが望ましい。そのように酸素濃度の範囲とすれば、最高到達温度1300℃以上の急速昇降温熱処理においてグローイン析出欠陥が消滅し、デバイス熱処理時(約700℃)にBMD析出核をバルク層2に残存させることができる。
また、熱処理前の窒素濃度は、2.5×1014atoms/cm~5×1015atoms/cmであることが望ましい。そのような窒素濃度の範囲とすれば、最高到達温度1300℃以上の急速昇降温熱処理においてグローイン空洞欠陥(COP)を消滅させる。
また、冷却過程にて過飽和となった空孔と酸素の結合によりBMD核が形成される。冷却時に過飽和となった空孔は表面に拡散するが窒素が空孔の拡散を妨害する。その為、窒素、空孔、酸素それぞれ濃度が高いとより多くBMDが形成されることとなる。
また、熱処理後の空孔濃度は、1×1014(/cm)以下であることが望ましい。そのような空孔濃度とすれば、急速昇降温熱処理により導入された空孔によりボイド欠陥の再形成を防止することができる。
次いで、シリコンウェーハWの表層における目的とする幅で無欠陥層を形成するために、前記測定した酸素濃度、窒素濃度、及び空孔濃度に基づき、急速昇降温熱処理で制御する最高到達温度を決定する(ステップS3)。
より具体的には、任意の深さのポイント(無欠陥層1の深さとする点)において、窒素濃度と酸素濃度と空孔濃度との積が9×1044(/cmとなるように熱処理時の最高到達温度と時間を調整する。
これは、急速昇降温熱処理後のシリコンウェーハWにおいて、ウェーハ表面からの深さに比例して前記酸素濃度と窒素濃度と空孔濃度との積が大きくなり、その積が9×1044(/cm以上になると、析出核を有するバルク層2が形成されるためである。言い換えると、ウェーハ表面から所定の深さまでの酸素濃度と窒素濃度と空孔濃度との積が9×1044(/cm未満であれば、その表層部に析出核が生じない無欠陥層1が形成されることになる。
尚、バルク層2におけるBMD密度(/cm)は、3.8×10-36×窒素濃度×酸素濃度×空孔濃度-3.43×10 ・・・(1)により求めることができるが、この値を任意の値に制御する場合には、シリコン単結晶製造時に窒素濃度、酸素濃度を調整すればよい。
次に、図2に示すようなRTP装置10において、所望の温度(例えば、500℃)で保持されたチャンバ20内に前記製造したシリコンウェーハWを設置する(ステップS4)。
チャンバ20内は、雰囲気ガス導入口20aから酸化性ガスを導入し(ボイド欠陥を消滅させるため)、これがウェーハ表面に曝される状態とする(ステップS5)。
そして、ハロゲンランプ30によりチャンバ20内を加熱し、前記決定した最高到達温度(例えば1300℃)、及び時間(例えば30秒間)の急速昇降温熱処理(RTP)を行い、120℃/秒で降温し、シリコンウェーハWをチャンバ20より取り出す(ステップS6)。
これにより目的とする深さの無欠陥層1が形成され、バルク層2においては、BMD核が形成されたシリコンウェーハWが製造される。
2枚目以降については、1枚目と同様にステップS3~S5を繰り返し行う。
このように本発明に係る実施の形態によれば、急速昇降温熱処理後の酸素濃度と窒素濃度と空孔濃度との積が9×1044(/cm未満であれば無欠陥層を形成でき、9×1044(/cm以上であればBMD核を残存させることができる。また、熱処理前後において、酸素濃度の変化は少ないが、窒素濃度及び空孔濃度は深さに比例して大きくなるため、前記積は深さに比例して大きくなる。そのため、無欠陥層の深さのポイントにおいて前記積が9×1044(/cmとなるよう調整することにより、所望の無欠陥層1の深さ(幅)を得ることができ、また、その下層にBMD核を有するバルク層2を形成することができる。
また、バルク層2におけるBMD密度(/cm)は、3.8×10-36×窒素濃度×酸素濃度×空孔濃度-3.43×10 ・・・(1)により求めることができ、シリコン単結晶製造時に窒素濃度、酸素濃度を調整することにより任意のBMD密度を得ることができる。
尚、前記実施の形態においては、バルク層2にBMD核を形成する場合について説明したが、バルク層2にBMD核を形成しない場合には、ウェーハの全深さにおいて急速昇降温熱処理後の酸素濃度と窒素濃度と空孔濃度との積が9×1044(/cm未満となるよう制御すればよい。
本発明に係るシリコンウェーハ及びその熱処理方法について、実施例に基づきさらに説明する。本実施例では、前記実施の形態に基づき以下の実験を行った。
本実施例では、それぞれ酸素濃度、窒素濃度の異なる5枚(実施例1~5)のシリコンウェーハに対し、図2に示したRTP装置を用い、最高到達温度1300℃、30秒の急速昇降温熱処理を行い、120℃/秒で降温した。
尚、窒素濃度を求める式(2)におけるサンプルの厚さhは0.077cm、窒素の拡散係数Dは1300℃において2.88×10-6(cm/sec)とした。
Figure 0007282019000002
また、実施例1における酸素濃度と窒素濃度と空孔濃度との積は、1.7×1042~2.0×1045(/cmの間で変化させた。
実施例2における酸素濃度と窒素濃度と空孔濃度との積は、1.84×1042~2.0×1045(/cmの間で変化させた。
実施例3における酸素濃度と窒素濃度と空孔濃度との積は、2.20×1042~2.0×1045(/cmの間で変化させた。
実施例4における酸素濃度と窒素濃度と空孔濃度との積は、1.9×1042~2.0×1045(/cmの間で変化させた。
実施例5における酸素濃度と窒素濃度と空孔濃度との積は、2.20×1042~2.0×1045(/cmの間で変化させた。
前記急速昇降温熱処理後、現像熱処理(780℃を3時間、更に1000℃を16時間)を施し、ウェーハ深さ方向のBMD密度を求めた。
BMD密度の結果を図4のグラフに示す。図4のグラフにおいて、縦軸はBMD密度(/cm)、横軸はウェーハ表面からの深さ(μm)である。
図4のグラフに示すように実施例1~5は互いにBMD密度と無欠陥層の深さが異なることが示された。これは、酸素濃度、窒素濃度が異なることが影響していると考えられる。
また、図5に急速昇降温熱処理後のウェーハ深さに対する空孔濃度の変化を示す。また、図6に急速昇降温熱処理後のウェーハ深さに対する窒素濃度の変化を示す。
図5のグラフにおいて、縦軸は空孔濃度(/cm)、横軸はウェーハ表面からの深さ(μm)である。また、図6のグラフにおいて、縦軸は窒素濃度(/cm)、横軸はウェーハ表面からの深さ(μm)である。
図5、図6のグラフに示すように、ウェーハ表面からの深さに比例して窒素濃度、及び空孔濃度が大きくなることが示された。酸素濃度については、酸素の拡散係数が小さいため酸素濃度の変動は略無い。そのため、酸素濃度と窒素濃度と空孔濃度との積は、ウェーハ表面からの深さに比例して大きくなることを確認した。
また、図7のグラフに酸素濃度と窒素濃度と空孔濃度との積に対するBMD密度を示す。図7のグラフにおいて、横軸は酸素濃度と窒素濃度と空孔濃度との積((/cm)、縦軸はBMD密度(/cm)である。
図7のグラフより、実施例1~5のいずれも略同様の直線上に分布していることを確認した。また、酸素濃度と窒素濃度と空孔濃度との積が9×1044(/cm未満であれば、ウェーハ表層に無欠陥層が形成されることを確認し、9×1044(/cm以上2×1045以下の範囲でバルク層に任意の密度のBMD核を形成できることを確認した。
また、この結果よりBMD密度(/cm)=3.8×10-36×窒素濃度×酸素濃度×空孔濃度-3.43×10 ・・・(1)を導出した。
1 無欠陥層
2 バルク層
10 RTP装置
20 チャンバ(反応管)
20a 雰囲気ガス導入口
20b 雰囲気ガス排出口
25 反応空間
30 ランプ
40 ウェーハ支持部
40b ステージ
50 放射温度計
W ウェーハ

Claims (5)

  1. 急速昇降温熱処理が施されることにより表層に無欠陥層が形成され、前記無欠陥層の下にバルク層が形成されたシリコンウェーハであって、
    前記急速昇降温熱処理後の前記無欠陥層における酸素濃度と窒素濃度と空孔濃度との積は、9×10 44 (/cm 未満であることを特徴とするシリコンウェーハ。
  2. 前記バルク層における酸素濃度と窒素濃度と空孔濃度との積は、9×10 44 (/cm 以上2×1045(/cm以下であることを特徴とする請求項1に記載されたシリコンウェーハ。
  3. 前記バルク層におけるBMD密度は、
    BMD密度(/cm)=3.8×10-36×窒素濃度(/cm)×酸素濃度(/cm)×空孔濃度(/cm)-3.43×10 であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載されたシリコンウェーハ。
  4. シリコンウェーハに急速昇降温熱処理を施すことによりウェーハ表面部に無欠陥層を形成するシリコンウェーハの熱処理方法において、
    急速昇降温熱処理後の酸素濃度と窒素濃度と空孔濃度との積を、9×1044(/cm未満に制御することにより無欠陥層を形成することを特徴とするシリコンウェーハの熱処理方法。
  5. 急速昇降温熱処理後の酸素濃度と窒素濃度と空孔濃度との積を、9×1044(/cm以上2×1045(/cm以下に制御することによりBMD核を形成することを特徴とする請求項4に記載されたシリコンウェーハの熱処理方法。
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