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JP7255118B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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JP7255118B2
JP7255118B2 JP2018179366A JP2018179366A JP7255118B2 JP 7255118 B2 JP7255118 B2 JP 7255118B2 JP 2018179366 A JP2018179366 A JP 2018179366A JP 2018179366 A JP2018179366 A JP 2018179366A JP 7255118 B2 JP7255118 B2 JP 7255118B2
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Description

本発明は、画像形成装置に関する。
電子写真法による画像の形成は、例えば、像保持体表面を帯電させた後、この像保持体表面に画像情報に応じて静電荷像を形成し、次いでこの静電荷像を、トナーを含む現像剤で現像してトナー像を形成し、このトナー像を記録媒体表面に転写及び定着することにより行われる。
例えば、特許文献1には、「用紙にトナーを定着させるための定着部と、前記定着部の用紙搬送方向下流側に設けられた用紙搬送路が搬送方向に関して湾曲して延びる湾曲部と、吸気口が開口されて前記用紙搬送路の前記湾曲部の径方向外側に配置されて用紙搬送方向と交差する用紙幅方向に延びるダクトと、前記ダクトの内部で気流を発生させるために前記ダクトの前記吸気口に隣接して設けられて用紙幅方向に並べて配置されて吸気側が前記定着部を指向する2個のファンと、を備える画像形成装置」が開示されている。
また、特許文献2には、「離型剤を含有するトナーを用いてシートに形成された未定着トナー像と接して加熱する第1回転体と、前記第1回転体との間にニップ部を形成して前記シートを挟持搬送する第2回転体と、前記第1回転体の外側表面とを間隔を存して覆うカバー部材と、ファンと、前記ファンによるエアーを前記第1回転体の端部に向けて導くダクトと、を有し、前記カバー部材は前記ニップ部のシート入口近傍から前記ダクトに至るまで延在している定着装置」が開示されている。
また、特許文献3には、「加熱手段を有する定着部材と、前記定着部材と接触しトナー画像を保持した用紙が挟み込まれるニップ部を形成する加圧部材と、前記ニップ部の用紙出口近傍に向けて開口した吐出口を備えた送風ダクトと、前記送風ダクトを介し前記用紙出口近傍へ空気を吐出する送風手段と、前記用紙の搬送路の上側に配設され前記ニップ部から排紙される前記用紙をガイドするガイド部材を備えたガイド手段とを備え、前記ニップ部で前記トナー画像を保持した用紙を加熱加圧しながら搬送してトナー画像を用紙に定着する定着装置であって、前記ニップ部近傍に、前記用紙を前記ガイド部材に付勢する付勢手段を有する定着装置」が開示されている。
特開2017-134103号公報 特開2016-075781号公報 特開2011-209504号公報
近年、省エネルギー性の要求から低温定着性に優れたトナーが望まれており、融解温度が低い離型剤(例えば、融解温度が100℃以下である離型剤)が含まれたトナー粒子を有するトナーが用いられている。
また、画像のグロス(光沢性)を高める観点などから、互いの外周面同士が接触して第1接触領域を形成する第1回転体対を有し、トナー像が転写された記録媒体を第1接触領域に挿通して加熱する第1定着部、及び互いの外周面同士が接触して第2接触領域を形成する第2回転体対を有し、第1接触領域に挿通された後の記録媒体を第2接触領域に挿通して加熱する第2定着部を備える定着手段が用いられている。
しかし、融解温度が低い離型剤を含むトナーを用いかつ上記の定着手段によって定着を行ってトナー画像を形成した場合、第1定着部における第1接触領域の上流側において、気化した離型剤に由来する粒径100nm以下の粒子(所謂UFP;Ultra-Fine Particle)が発生しやすい傾向があることが分かってきた。そして、発生した粒子(UFP)は画像形成装置の外部に排出される場合がある。
本発明の課題は、融解温度が60℃以上100℃以下の離型剤を含むトナー粒子を有するトナーを含む現像剤により形成され、かつ記録媒体の表面に転写されたトナー像を、記録媒体の表面に定着させる定着手段として、互いの外周面同士が接触して第1接触領域を形成する第1回転体対を有し、トナー像が転写された記録媒体を第1接触領域に挿通して加熱する第1定着部、及び互いの外周面同士が接触して第2接触領域を形成する第2回転体対を有し、第1接触領域に挿通された後の記録媒体を第2接触領域に挿通して加熱する第2定着部を有する定着手段を備えた画像形成装置において、第1接触領域の記録媒体搬送方向上流側かつ記録媒体のトナー像を有する面側において、第1接触領域の周辺に設けられた送気入口、及び第2接触領域の記録媒体搬送方向下流側かつ記録媒体のトナー像を有する面側において、記録媒体の搬送路の周辺に設けられた送気出口を連結し、送気入口から入った気体を送気出口から記録媒体に向けて排気する送気管を備えない場合に比べ、粒径100nm以下の粒子(UFP)の装置外への排出量が抑制された画像形成装置を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。
<1>
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
融解温度が60℃以上100℃以下の離型剤を含むトナー粒子を有するトナーを含む現像剤を収容し、前記現像剤により前記像保持体の表面に形成された静電荷像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記トナー像を前記記録媒体の表面に定着させる定着手段であって、互いの外周面同士が接触して第1接触領域を形成する第1回転体対を有し、前記トナー像が転写された前記記録媒体を前記第1接触領域に挿通して加熱する第1定着部、及び互いの外周面同士が接触して第2接触領域を形成する第2回転体対を有し、前記第1接触領域に挿通された後の前記記録媒体を前記第2接触領域に挿通して加熱する第2定着部を有する定着手段と、
前記第1接触領域の前記記録媒体搬送方向上流側かつ前記記録媒体の前記トナー像を有する面側において、前記第1接触領域の周辺に設けられた送気入口、及び前記第2接触領域の前記記録媒体搬送方向下流側かつ前記記録媒体の前記トナー像を有する面側において、前記記録媒体の搬送路の周辺に設けられた送気出口を連結し、前記送気入口から入った気体を前記送気出口から前記記録媒体に向けて排気する送気管と、
を備える画像形成装置。
<2>
前記トナー粒子における前記離型剤の融解温度が60℃以上90℃以下である<1>に記載の画像形成装置。
<3>
前記トナー粒子における前記離型剤がパラフィンワックスである<1>又は<2>に記載の画像形成装置。
<4>
前記トナー粒子が結晶性樹脂を含む<1>~<3>のいずれか1項に記載の画像形成装置。
<5>
前記結晶性樹脂の含有量がトナー粒子の質量に対して3質量%以上20質量%以下である<4>に記載の画像形成装置。
<6>
前記結晶性樹脂の含有量がトナー粒子の質量に対して5質量%以上15質量%以下である<5>に記載の画像形成装置。
<7>
前記トナー粒子のトルエン不溶分が25質量%以上40質量%以下である<1>~<6>のいずれか1項に記載の画像形成装置。
<8>
前記トナー粒子の形状係数SF1が140以上である<1>~<7>のいずれか1項に記載の画像形成装置。
<9>
前記送気出口が、前記第2接触領域に挿通された後であって、かつ加熱された前記トナー像が固化しきる前の状態にある前記記録媒体に対して、排気し得る位置に設けられた<1>~<8>のいずれか1項に記載の画像形成装置。
<10>
前記第1定着部から前記第2定着部までの間の前記記録媒体の搬送路において、前記記録媒体の前記トナー像を有する面側の少なくとも一部を覆う被覆部材を更に備える<1>~<9>のいずれか1項に記載の画像形成装置。
<11>
前記第1接触領域の前記記録媒体搬送方向上流側の端部から前記送気入口へと流れる気流を形成する整流板を更に備える<1>~<10>のいずれか1項に記載の画像形成装置。
<12>
前記送気管の内部を加熱する手段を有する<1>~<11>のいずれか1項に記載の画像形成装置。
<13>
前記第1回転体対での加熱によって前記記録媒体上の前記トナー像に与えられる熱量が、前記第2回転体対での加熱によって前記記録媒体上の前記トナー像に与えられる熱量よりも小さい<1>~<12>のいずれか1項に記載の画像形成装置。
<14>
前記第1回転体対における定着設定温度が100℃以上200℃以下である<13>に記載の画像形成装置。
<15>
前記第1回転体対における定着設定温度が120℃以上200℃以下である<14>に記載の画像形成装置。
<16>
前記第1回転体対における定着設定温度[T1]と、前記トナー粒子における前記離型剤の融解温度[T2]と、の差[T1-T2]が40℃以上120℃以下である、<14>又は<15>に記載の画像形成装置。
<17>
前記第1回転体対が、前記記録媒体の前記トナー像を有する面に接触して前記トナー像を加熱するベルト回転体と、前記記録媒体の逆側の面に接触するロール回転体との回転体対であり、前記第2回転体対が、前記記録媒体の前記トナー像を有する面に接触して前記トナー像を加熱するロール回転体と、前記記録媒体の逆側の面に接触するロール回転体との回転体対である<1>~<16>のいずれか1項に記載の画像形成装置。
<18>
前記送気出口の前記第2接触領域に近い側の端部と、前記第2接触領域の前記記録媒体搬送方向下流側端部との、前記記録媒体搬送方向における距離が、10mm以上40mm以下である<1>~<17>のいずれか1項に記載の画像形成装置。
<19>
前記送気入口の前記第1接触領域から遠い側の端部と、前記第1接触領域の前記記録媒体搬送方向上流側端部との、前記記録媒体搬送方向における距離が、20mm以上60mm以下である<1>~<18>のいずれか1項に記載の画像形成装置。
<1>、又は<17>に係る発明によれば、融解温度が60℃以上100℃以下の離型剤を含むトナー粒子を有するトナーを含む現像剤により形成され、かつ記録媒体の表面に転写されたトナー像を、記録媒体の表面に定着させる定着手段として、互いの外周面同士が接触して第1接触領域を形成する第1回転体対を有し、トナー像が転写された記録媒体を第1接触領域に挿通して加熱する第1定着部、及び互いの外周面同士が接触して第2接触領域を形成する第2回転体対を有し、第1接触領域に挿通された後の記録媒体を第2接触領域に挿通して加熱する第2定着部を有する定着手段を備えた画像形成装置において、第1接触領域の記録媒体搬送方向上流側かつ記録媒体のトナー像を有する面側において、第1接触領域の周辺に設けられた送気入口、及び第2接触領域の記録媒体搬送方向下流側かつ記録媒体のトナー像を有する面側において、記録媒体の搬送路の周辺に設けられた送気出口を連結し、送気入口から入った気体を送気出口から記録媒体に向けて排気する送気管を備えない場合に比べ、粒径100nm以下の粒子(UFP)の装置外への排出量が抑制された画像形成装置が提供される。
<2>に係る発明によれば、離型剤を含むトナー粒子を有するトナーを含む現像剤により形成され、かつ記録媒体の表面に転写されたトナー像を、記録媒体の表面に定着させる定着手段として、互いの外周面同士が接触して第1接触領域を形成する第1回転体対を有し、トナー像が転写された記録媒体を第1接触領域に挿通して加熱する第1定着部、及び互いの外周面同士が接触して第2接触領域を形成する第2回転体対を有し、第1接触領域に挿通された後の記録媒体を第2接触領域に挿通して加熱する第2定着部を有する定着手段を備えた画像形成装置において、第1接触領域の記録媒体搬送方向上流側かつ記録媒体のトナー像を有する面側において、第1接触領域の周辺に設けられた送気入口、及び第2接触領域の記録媒体搬送方向下流側かつ記録媒体のトナー像を有する面側において、記録媒体の搬送路の周辺に設けられた送気出口を連結し、送気入口から入った気体を送気出口から記録媒体に向けて排気する送気管を備えない場合に比べ、離型剤の融解温度が60℃以上90℃以下であっても、粒径100nm以下の粒子(UFP)の装置外への排出量が抑制された画像形成装置が提供される。
<3>に係る発明によれば、融解温度が60℃以上100℃以下の離型剤を含むトナー粒子を有するトナーを含む現像剤により形成され、かつ記録媒体の表面に転写されたトナー像を、記録媒体の表面に定着させる定着手段として、互いの外周面同士が接触して第1接触領域を形成する第1回転体対を有し、トナー像が転写された記録媒体を第1接触領域に挿通して加熱する第1定着部、及び互いの外周面同士が接触して第2接触領域を形成する第2回転体対を有し、第1接触領域に挿通された後の記録媒体を第2接触領域に挿通して加熱する第2定着部を有する定着手段を備えた画像形成装置において、第1接触領域の記録媒体搬送方向上流側かつ記録媒体のトナー像を有する面側において、第1接触領域の周辺に設けられた送気入口、及び第2接触領域の記録媒体搬送方向下流側かつ記録媒体のトナー像を有する面側において、記録媒体の搬送路の周辺に設けられた送気出口を連結し、送気入口から入った気体を送気出口から記録媒体に向けて排気する送気管を備えない場合に比べ、離型剤がパラフィンワックスであっても、粒径100nm以下の粒子(UFP)の装置外への排出量が抑制された画像形成装置が提供される。
<4>、<5>、又は<6>に係る発明によれば、融解温度が60℃以上100℃以下の離型剤を含むトナー粒子を有するトナーを含む現像剤により形成され、かつ記録媒体の表面に転写されたトナー像を、記録媒体の表面に定着させる定着手段として、互いの外周面同士が接触して第1接触領域を形成する第1回転体対を有し、トナー像が転写された記録媒体を第1接触領域に挿通して加熱する第1定着部、及び互いの外周面同士が接触して第2接触領域を形成する第2回転体対を有し、第1接触領域に挿通された後の記録媒体を第2接触領域に挿通して加熱する第2定着部を有する定着手段を備えた画像形成装置において、第1接触領域の記録媒体搬送方向上流側かつ記録媒体のトナー像を有する面側において、第1接触領域の周辺に設けられた送気入口、及び第2接触領域の記録媒体搬送方向下流側かつ記録媒体のトナー像を有する面側において、記録媒体の搬送路の周辺に設けられた送気出口を連結し、送気入口から入った気体を送気出口から記録媒体に向けて排気する送気管を備えない場合に比べ、トナー粒子が結晶性樹脂を含む場合であっても、粒径100nm以下の粒子(UFP)の装置外への排出量が抑制された画像形成装置が提供される。
<7>に係る発明によれば、トナー粒子のトルエン不溶分が25質量%未満である場合に比べ、粒径100nm以下の粒子(UFP)の装置外への排出量が抑制された画像形成装置が提供される。
<8>に係る発明によれば、融解温度が60℃以上100℃以下の離型剤を含むトナー粒子を有するトナーを含む現像剤により形成され、かつ記録媒体の表面に転写されたトナー像を、記録媒体の表面に定着させる定着手段として、互いの外周面同士が接触して第1接触領域を形成する第1回転体対を有し、トナー像が転写された記録媒体を第1接触領域に挿通して加熱する第1定着部、及び互いの外周面同士が接触して第2接触領域を形成する第2回転体対を有し、第1接触領域に挿通された後の記録媒体を第2接触領域に挿通して加熱する第2定着部を有する定着手段を備えた画像形成装置において、第1接触領域の記録媒体搬送方向上流側かつ記録媒体のトナー像を有する面側において、第1接触領域の周辺に設けられた送気入口、及び第2接触領域の記録媒体搬送方向下流側かつ記録媒体のトナー像を有する面側において、記録媒体の搬送路の周辺に設けられた送気出口を連結し、送気入口から入った気体を送気出口から記録媒体に向けて排気する送気管を備えない場合に比べ、トナー粒子の形状係数SF1が140以上であっても、粒径100nm以下の粒子(UFP)の装置外への排出量が抑制された画像形成装置が提供される。
<9>に係る発明によれば、送気管における送気出口が、第2接触領域に挿通された後であって、かつ加熱されたトナー像が固化しきった後の状態にある記録媒体に対して、排気し得る位置に設けられている場合に比べ、粒径100nm以下の粒子(UFP)の装置外への排出量が抑制された画像形成装置が提供される。
<10>に係る発明によれば、第1定着部から第2定着部までの間の記録媒体の搬送路において、記録媒体のトナー像を有する面側の覆う部材を一切備えない場合に比べ、粒径100nm以下の粒子(UFP)の装置外への排出量が抑制された画像形成装置が提供される。
<11>に係る発明によれば、第1接触領域の記録媒体搬送方向上流側の端部から送気管における送気入口へと流れる気流を形成する整流板を備えない場合に比べ、粒径100nm以下の粒子(UFP)の装置外への排出量が抑制された画像形成装置が提供される。
<12>に係る発明によれば、送気管の内部を加熱する手段を有さない場合に比べ、粒径100nm以下の粒子(UFP)の装置外への排出量が抑制された画像形成装置が提供される。
<13>に係る発明によれば、第1回転体対での加熱によって記録媒体上のトナー像に与えられる熱量が、第2回転体対での加熱によって記録媒体上のトナー像に与えられる熱量よりも大きい場合に比べ、粒径100nm以下の粒子(UFP)の装置外への排出量が抑制された画像形成装置が提供される。
<14>、又は<15>に係る発明によれば、第1回転体対における定着設定温度が200℃超である場合に比べ、粒径100nm以下の粒子(UFP)の装置外への排出量が抑制された画像形成装置が提供される。
<16>に係る発明によれば、第1回転体対における定着設定温度[T1]とトナー粒子における離型剤の融解温度[T2]との差[T1-T2]が120℃超である場合に比べ、粒径100nm以下の粒子(UFP)の装置外への排出量が抑制された画像形成装置が提供される。
本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置が備える、定着装置及び送気管の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置が備える、定着装置及び送気管の他の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置が備える、定着装置及び送気管の他の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置が備える、定着装置及び送気管の他の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置が備える、定着装置及び送気管の他の一例を示す概略構成図である。
以下、本発明の一例である実施形態について詳細に説明する。
<画像形成装置>
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、現像剤を収容し、前記現像剤により前記像保持体の表面に形成された静電荷像を現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、前記トナー像を前記記録媒体の表面に定着させる定着手段と、を備える。
なお、現像手段に収容される現像剤は、融解温度が60℃以上100℃以下の離型剤を含むトナー粒子を有するトナーを含む。
また、定着手段は、互いの外周面同士が接触して第1接触領域(以下単に「第1ニップ」とも称す)を形成する第1回転体対を有し、前記トナー像が転写された前記記録媒体を前記第1接触領域(第1ニップ)に挿通して加熱する第1定着部、及び互いの外周面同士が接触して第2接触領域(以下単に「第2ニップ」とも称す)を形成する第2回転体対を有し、前記第1接触領域(第1ニップ)に挿通された後の前記記録媒体を前記第2接触領域(第2ニップ)に挿通して加熱する第2定着部を有する。
そして、本実施形態では、さらに前記第1接触領域(第1ニップ)の前記記録媒体搬送方向上流側かつ前記記録媒体の前記トナー像を有する面側において、前記第1接触領域(第1ニップ)の周辺に設けられた送気入口、及び前記第2接触領域(第2ニップ)の前記記録媒体搬送方向下流側かつ前記記録媒体の前記トナー像を有する面側において、前記記録媒体の搬送路の周辺に設けられた送気出口を連結し、前記送気入口から入った気体を前記送気出口から前記記録媒体に向けて排気する送気管を備える。
なお、以下の説明において、融解温度が60℃以上100℃以下である離型剤を含むトナー粒子を有する静電荷像現像用トナーを「特定トナー」と称する場合がある。
また、以下の説明において、「上流側」と言う場合は記録媒体搬送方向における上流側を指し、「下流側」と言う場合は記録媒体搬送方向における下流側を指す。
画像形成装置においては、近年、省エネルギー性の要求に対して、トナー像を定着するときの消費電力を削減させる目的で、トナーを低温定着化する技術が採用されている。例えば、低温定着性向上のために、画像形成装置の現像手段に収容される現像剤には、融解温度が低い離型剤(例えば、融解温度が100℃以下である離型剤)を含有するトナー粒子を含むトナーが用いられる場合がある。
また、形成される画像におけるグロス(光沢性)を高める観点などから、定着手段において、2段階で加圧及び加熱を施して定着を行う方式が採用されている。例えば、互いの外周面同士が接触して第1ニップを形成する第1回転体対を有し、トナー像が転写された記録媒体を第1ニップに挿通して加熱する第1定着部、及び互いの外周面同士が接触して第2ニップを形成する第2回転体対を有し、第1ニップに挿通された後の記録媒体を第2ニップに挿通して加熱する第2定着部を備える定着手段(以下単に「本実施形態における2段階定着手段」とも称す)が用いられている。
しかし、融解温度が低い離型剤を含むトナーを用いて画像を形成した場合、定着手段によってトナー像が加熱されて記録媒体に定着される際に、前記離型剤がその融解温度の低さに起因して気化し易い傾向があることが分かってきた。特に、上記の本実施形態における2段階定着手段によって定着を行う場合、第1定着部における第1ニップの上流側において、気化する離型剤の量が多い傾向にあることが分かった。
その理由について、まず第1定着部における第1ニップと第2定着部における第2ニップとにおける離型剤の気化のし易さを比べる。第2ニップには、既に第1ニップにおいて離型剤の気化が生じた後のトナー像を有する記録媒体が挿通されるため、第2ニップに比べて第1ニップでの加熱時の方が気化する離型剤の量が多くなり易いと考えられる。また、記録媒体が水分を含んでいる場合(例えば記録媒体が紙である場合など)には、この水分の気化に伴って離型剤の気化も発生し易くなる。そのため、先に加熱が行われる第1ニップの方が記録媒体からの水分の気化が生じやすく、それにより気化する離型剤の量も多くなり易いと考えられる。
次に、第1ニップにおける上流側及び下流側での離型剤の気化のし易さを比べる。第1定着部における第1回転体対では、少なくとも一方の回転体から記録媒体上のトナー像に対して熱が加えられる。なお、回転体の表面温度は記録媒体(又はその上に保持されるトナー像)に接触した時点から低下していくため、第1ニップ内における回転体の表面温度は上流側に近いほど高く、つまり第1ニップ内で回転体の表面温度が最も高いのは上流側の末端となる。そのため、第1ニップ内では、上流側端部に挿通されたときがトナー像に最も高い温度が加えられるときであり、第1ニップの上流側の方が下流側よりも気化する離型剤の量が多くなり易いと考えられる。また、既述の通り、記録媒体が水分を含んでいる場合には、この水分の気化に伴って離型剤の気化も発生し易く、先に加熱が行われる第1ニップ内の上流側の方が下流側よりも記録媒体からの水分の気化が生じやすく、それにより気化する離型剤の量も多くなり易いと考えられる。
なお、以上のようにして気化した離型剤は空気中で再凝固することで、気化した離型剤に由来する粒径100nm以下の粒子(所謂「UFP(超微粒子粉じん)」)となる。そして、この発生した粒子が画像形成装置の外部に排出されることがある。
そのため、粒径100nm以下の粒子(UFP)の装置外への排出量を低減することが求められている。
これに対し、本実施形態に係る画像形成装置では、第1ニップの上流側かつ記録媒体のトナー像面側の第1ニップ周辺に送気入口を有し、第2ニップの下流側かつ記録媒体のトナー像面側の記録媒体搬送路周辺に送気出口を有する送気管を備える。そのため、第1定着部の第1ニップの上流側において発生した、気化した離型剤に由来する粒径100nm以下の粒子(UFP)は、周囲の空気とともに送気入口から送気管内に進入する。その後、粒子(UFP)は空気とともに送気出口まで搬送され、送気出口から記録媒体に向けて排気される。記録媒体上に到達した粒子(UFP)は、トナー像表面又は記録媒体表面のトナー像が存在しない領域に付着し、そのまま記録媒体上に固定された状態で記録媒体と共に装置外へ搬送される。つまり、トナー像中の離型剤から発生した粒子(UFP)を、送気管を通じて再び記録媒体上に戻して付着させることで、粒子(UFP)が空気中を漂ってそのまま装置外へ排出されることが抑制されるものと考えられる。
本実施形態では、以上のようにして粒径100nm以下の粒子(UFP)の装置外への排出量が低減される。
ここで、送気入口が設けられる「第1接触領域の周辺」とは、第1接触領域においてトナー像、記録媒体等の中から発生し上流側に浮遊してくる気化物、及びこの気化物が再び凝固して生じた粒子等を、送気入口から取り込み得る距離までの範囲を指す。この範囲に送気入口を設けることで、第1接触領域(第1ニップ)においてトナー像中の離型剤が気化し再凝固することで発生し、かつ第1接触領域の上流側に浮遊するUFPが送気入口から取り込まれる。
また、送気出口が設けられる「記録媒体の搬送路の周辺」とは、送気出口から記録媒体に向けて排気された空気中に含まれるUFPが、記録媒体上のトナー像表面及び記録媒体表面のトナー像を有しない領域に付着し得る距離までの範囲を指す。この範囲に送気出口を設けることで、記録媒体に向けて排気されたUFPが記録媒体上に付着しかつ記録媒体に固定された状態のまま記録媒体と共に装置外に搬送され、UFPが空気中を漂ってそのまま装置外へ排出されることが抑制される。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の構成について詳細に説明する。
ここで、本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体の表面に形成されたトナー像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;像保持体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー像の転写後、帯電前に像保持体の表面に除電光を照射して除電する除電装置を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写装置は、例えば、表面にトナー像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写部材と、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写部材と、を有する構成が適用される。
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、像保持体を少なくとも含む部分が、画像形成装置に対して着脱されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。
ここで、本実施形態に係る画像形成装置の構成を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の一例の構成を示した概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置10は、図1に示すように、例えば、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kと、各画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト115に順次転写(一次転写)させる一次転写部118と、中間転写ベルト115上に転写された重畳トナー像を用紙K(記録媒体の一例)に一括転写(二次転写)させる二次転写部120と、二次転写された画像を用紙K上に定着させる定着装置50(定着手段の一例)と、を備えている。また、画像形成装置10は、各装置(各部)との間で情報の授受を行って、各装置(各部)の動作を制御する制御部140を有している。
なお、中間転写ベルト115、一次転写部118、及び二次転写部120を有するユニットが、転写手段の一例に該当する。
画像形成装置10の各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、表面に形成されるトナー像を保持する像保持体の一例として、矢印A方向に回転する感光体111(像保持体の一例)を備えている。
感光体111の周囲には、帯電手段の一例として、感光体111を帯電させる帯電器112が設けられ、静電荷像形成手段の一例として、感光体111上に静電荷像を書込むレーザ露光器113(図中露光ビームを符号Bmで示す)が設けられている。
また、感光体111の周囲には、現像手段の一例として、各色成分トナーが収容されて感光体111上の静電荷像をトナーにより可視像化する現像器114が設けられ、感光体111上に形成された各色成分トナー像を一次転写部118にて中間転写ベルト115に転写する一次転写ロール116が設けられている。
なお、上記の各色成分トナーの少なくとも1つとして、特定トナーが用いられる。低温定着性を確保する点で、本実施形態では、各色成分トナーの全てが特定トナーであることが好ましい。
さらに、感光体111の周囲には、感光体111上の残留トナーが除去される感光体クリーナ117が設けられ、帯電器112、レーザ露光器113、現像器114、一次転写ロール116及び感光体クリーナ117の電子写真用デバイスが感光体111の回転方向に沿って順次配設されている。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト115の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に、略直線状に配置されている。
中間転写ベルト115は、各種ロールによって図1に示すB方向に目的に合わせた速度で循環駆動(回転)されている。この各種ロールとして、モータ(不図示)により駆動されて中間転写ベルト115を回転させる駆動ロール131、各感光体111の配列方向に沿って略直線状に延びる中間転写ベルト115を支持する支持ロール132、中間転写ベルト115に対して張力を与えると共に中間転写ベルト115の蛇行を抑制する補正ロールとして機能する張力付与ロール133、二次転写部120に設けられる背面ロール125、中間転写ベルト115上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けられるクリーニング背面ロール134を有している。
一次転写部118は、中間転写ベルト115を挟んで感光体111に対向して配置される対向部材としての一次転写ロール116で構成されている。一次転写ロール116は、芯体と、芯体の周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。芯体は、鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5Ωcm以上108.5Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。
そして、一次転写ロール116は中間転写ベルト115を挟んで感光体111に圧接配置され、更に一次転写ロール116にはトナーの帯電極性(マイナス極性とする。以下同様。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体111上のトナー像が中間転写ベルト115に順次、静電吸引され、中間転写ベルト115上において重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
二次転写部120は、背面ロール125と、中間転写ベルト115のトナー像保持面側に配置される二次転写ロール122と、を備えて構成されている。
背面ロール125は、表面がカーボンを分散したEPDMとNBRとのブレンドゴムのチューブ、内部はEPDMゴムで構成されている。そして、その表面抵抗率が10Ω/□以上1010Ω/□以下となるように形成され、硬度は、例えば、70°(アスカーC:高分子計器社製、以下同様。)に設定される。この背面ロール125は、中間転写ベルト115の裏面側に配置されて二次転写ロール122の対向電極を構成し、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール126が接触配置されている。
一方、二次転写ロール122は、芯体と、芯体の周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。芯体は鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5Ωcm以上108.5Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。
そして、二次転写ロール122は中間転写ベルト115を挟んで背面ロール125に圧接配置され、更に二次転写ロール122は接地されて背面ロール125との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部120に搬送される用紙(記録媒体の一例)K上にトナー像を二次転写する。
また、中間転写ベルト115の二次転写部120の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト115上の残留トナーや紙粉を除去し、中間転写ベルト115の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナ135が接離自在に設けられている。
なお、中間転写ベルト115、一次転写部118(一次転写ロール116)、及び二次転写部120(二次転写ロール122)が、転写手段の一例に該当する。
一方、イエローの画像形成ユニット1Yの上流側には、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)142が配設されている。また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ143が配設されている。この基準センサ142は、中間転写ベルト115の裏側に設けられたマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部140からの指示により、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは画像形成を開始するように構成されている。
更に、本実施形態に係る画像形成装置では、用紙Kを搬送する搬送手段として、用紙Kを収容する用紙収容部150、この用紙収容部150に集積された用紙Kを予め定められたタイミングで取り出して搬送する給紙ロール151、給紙ロール151により繰り出された用紙Kを搬送する搬送ロール152、搬送ロール152により搬送された用紙Kを二次転写部120へと送り込む搬送ガイド153、二次転写ロール122により二次転写された後に搬送される用紙Kを定着装置50(定着手段の一例)へと搬送する搬送ベルト155、用紙Kを定着装置50に導く定着入口ガイド156を備えている。
制御部140は、装置全体の制御及び各種演算を行うコンピュータとして構成されている。具体的には、例えば、制御部140は、CPU(中央処理装置; Central Processing Unit)、各種プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)、プログラムの実行時にワークエリアとして使用されるRAM(Random Access Memory)、各種情報を記憶する不揮発性メモリ、及び入出力インターフェース(I/O)を備えている(いずれも不図示)。CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ、及びI/Oの各々は、バスを介して接続されている。
なお、画像形成装置10は、制御部140の外に、操作表示部、画像処理部、画像メモリ、記憶部、及び通信部等を備えている(いずれも不図示)。操作表示部、画像処理部、画像メモリ、記憶部、及び通信部の各部は、制御部140のI/Oに接続されている。制御部140は、操作表示部、画像処理部、画像メモリ、記憶部、及び通信部の各部との間で情報の授受を行って、各部を制御する。定着設定温度についても、制御部140で制御される。
次に、本実施形態に係る画像形成装置の基本的な作像プロセスについて説明する。
本実施形態に係る画像形成装置では、図示しない画像読取装置や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置により画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。
画像処理装置では、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、レーザ露光器113に出力される。
レーザ露光器113では、入力された色材階調データに応じて、例えば半導体レーザから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々の感光体111に照射している。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各感光体111では、帯電器112によって表面が帯電された後、このレーザ露光器113によって表面が走査露光され、静電荷像が形成される。形成された静電荷像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの感光体111上に形成されたトナー像は、各感光体111と中間転写ベルト115とが接触する一次転写部118において、中間転写ベルト115上に転写される。より具体的には、一次転写部118において、一次転写ロール116により中間転写ベルト115の基材に対しトナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト115の表面に順次重ね合わせて一次転写が行われる。
トナー像が中間転写ベルト115の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト115は移動してトナー像が二次転写部120に搬送される。トナー像が二次転写部120に搬送されると、搬送手段では、トナー像が二次転写部120に搬送されるタイミングに合わせて給紙ロール151が回転し、用紙収容部150から目的とするサイズの用紙Kが供給される。給紙ロール151により供給された用紙Kは、搬送ロール152により搬送され、搬送ガイド153を経て二次転写部120に到達する。この二次転写部120に到達する前に、用紙Kは一旦停止され、トナー像が保持された中間転写ベルト115の移動タイミングに合わせて位置合わせロール(不図示)が回転することで、用紙Kの位置とトナー像の位置との位置合わせがなされる。
二次転写部120では、中間転写ベルト115を介して、二次転写ロール122が背面ロール125に加圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された用紙Kは、中間転写ベルト115と二次転写ロール122との間に挟み込まれる。その際に、給電ロール126からトナーの帯電極性(マイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)が印加されると、二次転写ロール122と背面ロール125との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト115上に保持された未定着トナー像は、二次転写ロール122と背面ロール125とによって加圧される二次転写部120において、用紙K上に一括して静電転写される。
その後、トナー像が静電転写された用紙Kは、二次転写ロール122によって中間転写ベルト115から剥離された状態でそのまま搬送され、二次転写ロール122の用紙搬送方向下流側に設けられた搬送ベルト155へと搬送される。搬送ベルト155では、定着装置50における最適な搬送速度に合わせて、用紙Kを定着装置50まで搬送する。定着装置50に搬送された用紙K上の未定着トナー像は、定着装置50によって熱及び圧力で定着処理を受けることで用紙K上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Kは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙収容部(不図示)に搬送される。
一方、用紙Kへの転写が終了した後、中間転写ベルト115上に残った残留トナーは、中間転写ベルト115の回転に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニング背面ロール134及び中間転写ベルトクリーナ135によって中間転写ベルト115上から除去される。
[定着手段]
本実施形態における定着手段は、互いの外周面同士が接触して第1接触領域(第1ニップ)を形成する第1回転体対を有し、トナー像が転写された記録媒体を第1接触領域(第1ニップ)に挿通して加熱する第1定着部、及び互いの外周面同士が接触して第2接触領域(第2ニップ)を形成する第2回転体対を有し、第1接触領域(第1ニップ)に挿通された後の記録媒体を第2接触領域(第2ニップ)に挿通して加熱する第2定着部を有する。
このように、第1定着部と第2定着部とを有する、2段階で加圧及び加熱を施して定着を行う方式を採用することで、未定着のトナー像に対して付与される総熱量を確保しつつ各定着部での定着設定温度を低減することができる。したがって、画像の定着強度を確保しつつ、低温定着による省エネルギー化を達成し得る。
また、2段階で加圧及び加熱を施して定着を行う方式の場合、両定着部それぞれに別の役割を担わせることができる。例えば、第1定着部にトナー像の定着性を高める役割を担わせ、第2定着部にトナー像の表面の平滑性を高める役割を担わせることができ、これにより画像の定着強度を確保しつつ、グロス(光沢性)の高い画像が得られる。
本実施形態では、第1回転体対での加熱によって記録媒体上のトナー像に与えられる熱量が、第2回転体対での加熱によって記録媒体上のトナー像に与えられる熱量よりも小さいことが好ましい。
これにより、第1回転体対での定着設定温度が低減され、つまり第1接触領域(第1ニップ)でトナー像に掛けられる熱の温度が低くなるため、トナー像中に含まれる離型剤等の成分が気化する量、及び記録媒体中の水分が気化する量等を抑制し得る。その結果、第1ニップの上流側に発生するUFPの量を抑制し易くなる。
また、第1回転体対での熱量が第2回転体対での熱量より小さい構成とすることで、第1定着部にトナー像の定着性を高める役割を担わせ、第2定着部にトナー像の表面の平滑性を高める役割を担わせられる。これにより、画像の定着強度を確保しつつ、グロス(光沢性)の高い画像が得やすくなる。
なお、「熱量」とは、トナー像に掛けられる熱の温度と、トナー像に熱が掛けられる時間との積で表される。したがって、第1又は第2回転体対における定着設定温度、第1接触領域(第1ニップ)又は第2接触領域(第2ニップ)における記録媒体搬送方向の幅、及び記録媒体の搬送速度によって制御される。
第1回転体対における定着設定温度は、100℃以上200℃以下であることが好ましく、120℃以上200℃以下であることがより好ましく、140℃以上180℃以下であることがさらに好ましい。
第1回転体対の定着設定温度が100℃以上であることで、画像の定着性を確保しやすくなる。一方、第1回転体対の定着設定温度が200℃以下であることで、低温定着による省エネルギー化を達成し易くなり、さらに第1ニップの上流側に発生するUFPの量を抑制し易くなる。
一方で、第2回転体対における定着設定温度は、140℃以上220℃以下であることが好ましく、160℃以上220℃以下であることがより好ましく、170℃以上210℃以下であることがさらに好ましい。
第2回転体対の定着設定温度が140℃以上であることで、グロス(光沢性)の高い画像が得やすくなる。一方、第2回転体対の定着設定温度が220℃以下であることで、低温定着による省エネルギー化を達成し易くなる。
第1回転体対と第2回転体対との定着設定温度の差(第2回転体対の温度-第1回転体対の温度)は、画像の定着強度を確保しつつ、グロス(光沢性)の高い画像が得やすいとの観点から、10℃以上80℃以下であることが好ましく、20℃以上60℃以下であることがより好ましく、20℃以上40℃以下であることがさらに好ましい。
ここで、第1回転体対及び第2回転体対における定着設定温度について説明する。
第1回転体対及び第2回転体対それぞれにおける加熱は、通常はトナー像に接触する側の回転体が担う。例えば、記録媒体のトナー像を有する面側に接触する回転体が、その内側及び外側の少なくとも一方に加熱の機構を備える加熱加圧回転体であり、記録媒体のトナー像を有さない面側に接触する回転体が、加熱を行わずに加圧を行う加圧回転体である態様が挙げられる。ただし、トナー像を有する面側に接触する回転体及びトナー像を有さなる面側に接触する回転体の両方の回転体に、加熱の役割を担わせてもよい。
そして、第1回転体対及び第2回転体対における定着設定温度とは、第1回転体対又は第2回転体対のトナー像に接触する側の各回転体の表面における、トナー像に接触する箇所の温度の目標値を指す。つまり、トナー像に接触した瞬間であってトナー像へまだ熱が移動していない状態の回転体の表面温度の目標値を指す。
本実施形態では、第1回転体対が、記録媒体のトナー像を有する面に接触してトナー像を加熱するベルト回転体と、記録媒体の逆側の面(つまりトナー像を有さない面)に接触するロール回転体との回転体対(つまりベルト-ロール回転体対)であり、第2回転体対が、記録媒体のトナー像を有する面に接触してトナー像を加熱するロール回転体と、記録媒体の逆側の面に接触するロール回転体との回転体対(つまり2ロール回転体対)であることが好ましい。
上記のベルト-ロール回転体対では、接触領域(ニップ)の記録媒体搬送方向の幅を広くすることができ、つまりトナー像に熱をかける時間を長くすることができる。よって、第1回転体対がこの態様であることで、与えられる熱量を確保しつつ定着設定温度を低減でき、画像の定着強度を確保しつつ低温定着による省エネルギー化を達成し易くなる。そして、第1ニップの上流側に発生するUFPの量を抑制し易くなる。
また、上記の2ロール回転体対では、トナー像に対して高い圧力を掛けることができる。よって、第2回転体対がこの態様であることで、グロス(光沢性)の高い画像が得やすくなる。
ただし、本実施形態における定着手段はこの態様に限定されるものではない。第1回転体対及び第2回転体対がそれぞれ取り得る態様としては、例えば、記録媒体のトナー像を有する面に接触してトナー像を加熱するベルト回転体と、記録媒体の逆側の面に接触するロール回転体との回転体対(つまりベルト-ロール回転体対);記録媒体のトナー像を有する面に接触してトナー像を加熱するロール回転体と、記録媒体の逆側の面に接触するベルト回転体との回転体対(つまりロール-ベルト回転体対);記録媒体のトナー像を有する面に接触してトナー像を加熱するロール回転体と、記録媒体の逆側の面に接触するロール回転体との回転体対(つまり2ロール回転体対);記録媒体のトナー像を有する面に接触してトナー像を加熱するベルト回転体と、記録媒体の逆側の面に接触するベルト回転体との回転体対(つまり2ベルト回転体対)等が挙げられる。
また、上記のベルト回転体としては、金属層を備えたベルト回転体を用いたIH(induction heating)加熱方式のベルト回転体を用いてもよい。
本実施形態では、第1回転体対及び第2回転体対として、それぞれこれらの態様の回転体対を自由に採用し得る。
ここで、本実施形態における定着手段について図面を参照しつつ説明する。
図1及び図2に示される定着装置50は、定着手段の一例である。
図2は、画像形成装置10における定着装置50及びダクト100を拡大して示す概略構成図である。
定着装置50は、第1定着部として、回転駆動しながら用紙K(記録媒体の一例)のトナー像を有さない面側に接触して加圧する加圧ロール61と、回転駆動しながら用紙Kのトナー像を有する面側に接触して加圧及び加熱を施す加熱ベルト62と、を有する。加圧ロール61と加熱ベルト62とが第1回転体対の一例であり、加圧ロール61と加熱ベルト62とが接触している領域によって第1ニップ(第1接触領域)N6が形成されている。
また、加圧ロール61及び加熱ベルト62の下流側には、第2定着部として、回転駆動しながら用紙K(記録媒体の一例)のトナー像を有さない面側に接触して加圧する加圧ロール34と、回転駆動しながら用紙Kのトナー像を有する面側に接触して加圧及び加熱を施す加熱ロール32と、を有する。加圧ロール34と加熱ロール32とが第2回転体対の一例であり、加圧ロール34と加熱ロール32とが接触している領域によって第2ニップ(第2接触領域)N6が形成されている。
(第1定着部)
・加熱ベルト
加熱ベルト62としては、例えば樹脂材料や、金属材料を用いたものが挙げられる。なお、加熱ベルト62は単層構成のベルトであっても、複数の層が積層された積層構成のベルトであってもよい。
単層構成のベルトとしては樹脂材料を用いたベルトが挙げられる。樹脂材料としては、例えば、一般的にエンジニアリングプラスチックと呼ばれる樹脂が挙げられる。
エンジニアリングプラスチックとしては、例えば、フッ素樹脂、ポリイミド(PI、熱硬化性ポリイミド、熱可塑性ポリイミド)、フッ化ポリイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルフォン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、全芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)等が挙げられる。これらの中でも、ポリイミド、フッ化ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等は、機械的強度、耐熱性、耐摩耗性等の点で好ましい。
また、単層構成のベルトとしては金属材料を用いたベルトが挙げられる。金属材料としては、例えば、SUS、ニッケル、銅、アルミ等の各種金属が挙げられる。
また、積層構成のベルトとしては、例えば基材と弾性層と表面層とがこの順に積層されたベルトが挙げられる。
基材としては、例えば樹脂材料や金属材料を用いたものが挙げられ、これらの材料としては前記の単層構成のベルトにおいて列挙した樹脂材料及び金属材料が挙げられる。なお、樹脂材料の層と金属材料の層とを積層して基材としてもよい。
弾性層は、加熱ベルト62への外周側からの加圧に対して弾性を付与する観点で設けられる層である。
弾性層の材質としては、例えば、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム等が挙げられ、耐熱性、熱伝導性、絶縁性等の観点から、例えば、シリコーンゴムが好ましい。
表面層には、例えば耐熱性や離型性が求められる。この観点から、表面層を構成する材料には耐熱性離型材料を用いることが好ましく、具体的にはフッ素ゴム、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、耐熱性離型材料としては、フッ素樹脂がよい。
このようなフッ素樹脂として、具体的には、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、フッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。
なお、基材と弾性層との間、及び、弾性層と表面層との間の少なくとも一方には、接着層を有していてもよい。
・押圧パッド
加熱ベルト62の内側には、加熱ベルト62を介して加圧ロール61を押圧し、加熱ベルト62と加圧ロール61との間に用紙Kが通過する第1ニップN6を形成する押圧パッド64を備えている。さらに、加熱ベルト62の内側には、ベルト走行ガイド63と、ベルト走行補助ガイド66とが設けられ、加熱ベルト62がベルト走行ガイド63、ベルト走行補助ガイド66、及び押圧パッド64の外周面に沿って周回移動するよう構成されている。なお、ベルト走行ガイド63と押圧パッド64とは、加熱ベルト62の内側においてホルダ65に取り付けられている。また、ベルト走行ガイド63と加熱ベルト62との間には、加熱ベルト62の加熱源として発熱体69が設けられている。
押圧パッド64は、例えば、加熱ベルト62の内側において金属製等のホルダ65に支持されている。押圧パッド64は、加熱ベルト62を介して加圧ロール61と対向するよう配置され、加熱ベルト62の内周面から加熱ベルト62を加圧ロール61へ押圧して、加熱ベルト62と加圧ロール61との間に、用紙Kが通過する第1ニップN6を形成している。
なお、加熱ベルト62と加圧ロール61とは相対的に加圧されていればよく、従って、加熱ベルト62が押圧パッド64によって加圧ロール61側に向けて加圧されていてもよく、加圧ロール61が加熱ベルト62側に向けて加圧されていてもよい。
押圧パッド64の材質は、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、PES樹脂(ポリエーテルサルフォン)、PPS樹脂(ポリフェニレンサルファイド)等の樹脂や、鉄、アルミニウム等の金属等が挙げられる。なお、前記樹脂に対してさらにカーボンブラック、グラファイト、金属粉末等の導電性を有する粒子を含有してもよい。
・ベルト走行ガイド及びベルト走行補助ガイド
ベルト走行ガイド63及びベルト走行補助ガイド66は、加熱ベルト62の内側において加熱ベルト62の形状に沿うよう円弧状に設けられ、加熱ベルト62が周回移動し得るよう支持する。
ベルト走行ガイド63及びベルト走行補助ガイド66の材質は、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、液晶ポリマー(LCP)等の耐熱性樹脂や、更に耐久性や摩擦係数を下げるためのフィラーを前記耐熱性樹脂に加えたもの等が挙げられる。
・発熱体
また、加熱ベルト62に熱を付与する加熱源として、ベルト走行ガイド63と加熱ベルト62との間に発熱体69が設けられている。
発熱体69は、例えば、加熱ベルト62の形状に沿うように円弧状となっている。発熱体としては、例えば、電力を供給することでジュール発熱する抵抗発熱体を一対の支持板で挟み込んだ構成となっており、抵抗発熱体から発生する熱が支持板を介して加熱ベルト62に伝達される態様が挙げられる。支持板の材質は、伝熱性の観点等から、アルミニウム、ステンレス等の金属が望ましい。なお、定着装置50の加熱源としては、発熱体に制限されず、例えば、ハロゲンランプ等の公知の加熱源を使用してもよい。
・加圧ロール
加圧ロール61は、例えば、中実の金属製等のコア(円柱状芯金)61A、コア61Aの周囲に配置される弾性層61B、及び弾性層61Bの周囲に配置される表面層61Cを備える円筒状ロールである。加圧ロール61は、その形状、構造、大きさ等につき制限はなく、目的に応じて公知の加圧ロールが使用される。
コア61Aの両端部は、例えば、不図示の軸受け部材によって回転自在に支持されていると共に、コア61Aの両端部に配置されたコイルバネ等の付勢部材により加熱ベルト62に対して予め定められた圧力で圧接されている。
加圧ロール61のコア61Aの材質は、例えば、鉄、アルミニウム(例えば、A-5052材)、SUS、銅等の熱伝導率の高い金属または合金、セラミックス、繊維強化金属(FRM)等が挙げられる。
加圧ロール61の弾性層61Bの材質は、例えば、硬度(JIS-A:JIS-KA型試験機により測定される硬度)が15°以上60°以下のゴム、エラストマー、発泡状の樹脂等が挙げられ、より具体的には、シリコーンゴム、フッ素ゴム、中空ガラスビーズを充填した液状シリコーンゴム等が挙げられる。
また、加圧ロール61の表面層61Cの材質は、樹脂等が挙げられる。表面層61Cを形成する樹脂としては、例えば、耐熱性、離型性等の点から、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フッ化ポリイミド等が挙げられる。
なお、コア61Aと弾性層61Bとの間、及び、弾性層61Bと表面層61Cとの間の少なくとも一方には、接着層を有していてもよい。
以上の構成において、加圧ロール61が、例えば図示しない駆動モータにより回転し、この回転に従動して加熱ベルト62は、加圧ロール61の回転方向と反対の方向へ回転する。すなわち、例えば、加圧ロール61が図2における時計方向へ回転するのに対して、加熱ベルト62は反時計方向へ回転する。
(第2定着部)
・加熱ロール
加熱ロール32は、円筒状の芯材32Aと、芯材32Aを被覆する弾性層32Bと、弾性層32Bを被覆する表面層32Cと、を有している。なお、芯材32Aと弾性層32Bとの間、及び、弾性層32Bと表面層32Cとの間の少なくとも一方には、接着層を有していてもよい。
そして、加熱ロール32の内部には、加熱ロール32を内周部側から加熱する加熱源32Dが配置されている。
芯材32Aの材質としては、例えば、ステンレス(SUS)、鉄、銅等の金属、合金、繊維強化メタル(FRM)、セラミックスなどが挙げられる。
弾性層32Bの材質としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。
表面層32Cの材質としては、例えば、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フッ素樹脂等が挙げられるが、離型性の面からフッ素樹脂が好ましい。
加熱源32Dは、例えば、単一又は複数のハロゲンランプから構成されている。加熱源としては、ハロゲンランプに限られず、発熱する他の発熱部材を用いてもよい。
加熱源32Dから発せられた熱が、芯材32A、弾性層32B、及び表面層32Cを伝達して、加熱ロール32の表面温度が上昇するようになっている。
・加圧ロール
加圧ロール34は、円柱状の芯材34Aと、芯材34Aを被覆する弾性層34Bと、弾性層34Bを被覆する表面層34Cと、を有している。なお、芯材34Aと弾性層34Bとの間、及び、弾性層34Bと表面層34Cとの間の少なくとも一方には、接着層を有していてもよい。
芯材34Aの両端部は、加圧ロール34が回転するように支持部材に支持されており、付勢部材が支持部材を介して加圧ロール34を加熱ロール32側に付勢している。これにより、加圧ロール34は、搬送される用紙Kを加熱ロール32側に加圧するようになっている。
芯材34A、弾性層34B、表面層34C、及び接着層の材質としては、それぞれ、加熱ロールにおける芯材32A、弾性層32B、表面層32C、及び接着層の材質と同様である、好ましい例も同様である。
以上の構成において、加圧ロール34は、例えば、不図示の駆動モータにより回転し、この回転に従動して加熱ロール32が回転する。すなわち、例えば、加圧ロール34が図2における時計方向へ回転するのに対して、加熱ロール32は反時計方向へ回転する。
次いで、定着装置50の動作について説明する。
定着装置50では、まず第1定着部の一例である加圧ロール61及び加熱ベルト62において、第1ニップN6にトナー像を有する用紙Kが挿通される。具体的には、加圧ロール61が図示しない駆動モータにより回転し、この回転に従動して加熱ベルト62は、加圧ロール61の回転方向と反対方向へ回転する。そして、未定着のトナー像が表面に形成された用紙Kが、定着入口ガイド156(図1参照)によって導かれて、加熱ベルト62と加圧ロール61とによって形成される第1ニップN6に搬送される。用紙Kが第1ニップN6を通過する際に、用紙K上のトナー像には第1ニップN6に作用する圧力及び熱が加えられ、その後第1ニップN6から用紙Kが排出される。
次いで、加圧ロール61及び加熱ベルト62により形成される第1ニップN6から排出された用紙Kは、第2定着部の一例である加圧ロール34及び加熱ロール32において、第2ニップN3に挿通される。具体的には、加圧ロール34が図示しない駆動モータにより回転し、この回転に従動して加熱ロール32は、加圧ロール34の回転方向と反対方向へ回転する。そして、第1ニップN6から排出された用紙Kが、加熱ロール32と加圧ロール34とによって形成される第2ニップN3に搬送される。用紙Kが第2ニップN3を通過する際に、用紙K上のトナー像には第2ニップN3に作用する圧力及び熱が加えられ、その後第2ニップN3から用紙Kが排出される。
こうして、加圧ロール61及び加熱ベルト62並びに加圧ロール34及び加熱ロール32により、トナー像が用紙Kの表面に定着される。
[送気管]
本実施形態に係る画像形成装置は、定着手段における第1接触領域(第1ニップ)の記録媒体搬送方向上流側かつ記録媒体のトナー像を有する面側において、第1ニップの周辺に設けられた送気入口、及び第2接触領域(第2ニップ)の記録媒体搬送方向下流側かつ記録媒体のトナー像を有する面側において、記録媒体の搬送路の周辺に設けられた送気出口を連結し、送気入口から入った気体を送気出口から記録媒体に向けて排気する送気管を備える。
このように、送気入口と送気出口とを連結する送気管を備えることで、第1定着部の第1ニップの上流側において発生した、気化した離型剤に由来する粒径100nm以下の粒子(UFP)が送気出口に搬送され、かつ送気出口から記録媒体に向けて排気される。そして、粒子(UFP)が記録媒体上に付着し固定された状態で記録媒体と共に装置外へ搬送されることで、粒子(UFP)が空気中を漂ってそのまま装置外へ排出されることが抑制される。つまり粒径100nm以下の粒子(UFP)の装置外への排出量が低減される。
ここで、本実施形態における送気管について図面を参照しつつ説明する。
図2に示されるダクト100は、送気管の一例である。
ダクト100は、第1回転体対に相当する加圧ロール61及び加熱ベルト62によって形成される第1ニップ(第1接触領域)N6の上流側であって、用紙Kのトナー像を有する面側において、第1ニップN6の周辺に設けられた送気入口102を有する。また、第2回転体対に相当する加圧ロール34及び加熱ロール32によって形成される第2ニップ(第2接触領域)N3の下流側であって、用紙Kのトナー像を有する面側において、用紙Kの搬送路の周辺に設けられた送気出口104を有する。この送気入口102と送気出口104とが、加熱ベルト62及び加熱ロール32の用紙K搬送路と反対側(つまり図2における加熱ベルト62及び加熱ロール32の上側)を通るダクト100によって連結されている。
ダクト100には、第1ニップN6の上流側且つ用紙Kのトナー像を有する面側における第1ニップN6周辺の空気が、矢印U1で示すように、送気入口102から入り込む。そして、この空気は、矢印U2で示すように、ダクト100内を通って送気出口104まで送気され、さらに矢印U3で示すように、送気出口104から用紙Kに向けて排気される。
図2に示すダクト100は、内部にファン106、108を有する。ファン106、108が設けられることで、ダクト100内に強制的に気流を発生させられるため、送気入口102において吸気を生じさせ、かつ送気出口104における排気力を高められる。これにより、第1ニップN6の上流側且つ用紙Kのトナー像を有する面側における第1ニップN6周辺の空気とUFPとを送気入口102から取り込み易くなる。また、送気出口104から用紙Kに向けて空気をより強い風力で排気させられ、用紙K上にUFPを付着させ易くなる。
なお、ダクト100内に設けられるファンの数は、特に限定されず、例えばダクト100の幅方向において複数のファンを並べて設置してもよい。また、図2では送気方向において2箇所にファン106、108を設けているが、送気方向における設置数も1箇所であってもよく3箇所以上であってもよい。
なお、本実施形態では、ダクト100の内部にファン等の強制的に気流を発生させる装置を備えていなくてもよい。その場合、第1ニップN6の上流側において、用紙Kの搬送、加熱ベルト62及び加圧ロール61の回転駆動等によって発生する気流の流れに応じて、第1ニップN6の上流側周辺の空気が送気入口102に自然に入り込む構成とすることができる。なお、この構成は、送気入口102の形状及び配置位置の調整等によって達成し得る。
ダクト100の形状は、送気方向に対する垂直断面での形状が、幅方向(加圧ロール61、加熱ベルト62、加圧ロール34、及び加熱ロール32における軸方向と同じ方向を指す)が長辺となる長方形の角形状である。なお、ダクト100の送気方向に対する垂直断面での形状は、送気入口102の部分を除いて、ダクト100全体で同形状となっている。
ただし、ダクト100の断面形状はこれに限られず、例えば丸形状や楕円形状であってもよい。
ダクト100内側(つまり空気の流路部分)の幅方向の長さは、用紙Kの幅方向長さ(画像形成装置内に挿通し得る最大幅の用紙の幅方向長さ)より長く設定されている。具体的には、用紙Kの幅方向長さに対して両端側にそれぞれ10mm以上30mm以下長い幅を有していることが好ましい。なお、送気量をダクト100全体にわたって均一に近い状態とする観点から、ダクト100内側の幅方向の長さは、ダクト100全体にわたって等しいことが好ましい。
ダクト100内側(つまり空気の流路部分)における送気方向に対する垂直断面の面積は、送気する空気量に応じて自由に設定される。なお、送気量をダクト100全体にわたって均一に近い状態とする観点から、ダクト100内側における送気方向に対する垂直断面の面積は、ダクト100全体にわたって等しいことが好ましい。
ダクト100の経路は、図2に示すように、送気入口102から一旦用紙Kの搬送路から離れる方向(つまり図2における上側)に向かい、その後用紙搬送方向に直角に折れて加熱ベルト62及び加熱ロール32の用紙K搬送路と反対側(つまり図2における加熱ベルト62及び加熱ロール32の上側)を通り、さらに用紙Kの搬送路方向に直角に折れて、用紙Kの搬送路の周辺に設けられた送気出口104に繋がっている。
ただし、ダクト100の経路はこれに限られず、例えば図2に示すような直角に折れる経路ではなく、湾曲した経路を有していてもよい。
ダクト100の材質については、特に限定されるものではなく、耐熱性を備えた従来公知の材料が用いられる。例えば金属材料等が挙げられ、具体的には、鋼板、めっき鋼板(例えば亜鉛めっき鋼板、合金めっき鋼板)、ステンレス鋼板、塩化ビニル被覆鋼板等が挙げられる。
・送気入口
送気入口102の形状は、加熱ベルト62及び加圧ロール61の軸方向から見た際に、用紙K搬送路に対して傾斜しており、送気入口102が第1ニップN6の方向に向いた形状を有する。つまり、送気入口102の加熱ベルト62に近い側の端部102Aが用紙Kの搬送路からより遠く、送気入口102の加熱ベルト62から遠い側の端部102Bが用紙Kの搬送路により近い位置に配置されている。そして、この端部102Aと端部102Bとが直線的に結ばれた形状であることで、送気入口102が第1ニップN6の方向に向くよう配置されている。
送気入口102が上記の第1ニップN6の方向に向いた形状を有することで、第1ニップN6上流側に発生した離型剤由来のUFPが送気入口102から取り込まれ易くなる。
なお、送気入口102が設けられる、第1ニップN6の周辺とは、第1ニップN6においてトナー像、用紙K等の中から発生し上流側に浮遊してくる気化物、及びこの気化物が再び凝固して生じた粒子等を、送気入口102から取り込み得る距離までの範囲を指す。
ここで、送気入口102の各部からの距離について説明する。第1ニップN6上流側に発生した離型剤由来のUFPが送気入口102から取り込まれ易くする観点から、送気入口102の各部からの距離は、以下の範囲であることが好ましい。
送気入口102の加熱ベルト62に近い側の端部102Aは、第1ニップN6の上流側端部から10mm以上40mm以下(より好ましくは10mm以上30mm以下)の距離に設置されることが好ましい。
端部102Aは、加熱ベルト62の表面から10mm以上50mm以下(より好ましくは10mm以上30mm以下)の距離に設置されることが好ましい。
端部102Aは、用紙K搬送路から10mm以上40mm以下(より好ましくは10mm以上30mm以下)の距離に設置されることが好ましい。
送気入口102の加熱ベルト62から遠い側の端部102Bは、第1ニップN6の上流側端部から20mm以上60mm以下(より好ましくは20mm以上50mm以下)の距離に設置されることが好ましい。
端部102Bは、用紙K搬送路から20mm以上60mm以下(より好ましくは20mm以上50mm以下)の距離に設置されることが好ましい。
・整流板
ダクト100の送気入口102には、第1ニップN6の上流側端部から送気入口102へと流れる気流を形成する整流板110が設けられている。
整流板110を設けることで、第1ニップN6の上流側に発生した離型剤由来のUFPが送気入口102から取り込まれ易くなる。
図2では、整流板110の一端が、送気入口102の加熱ベルト62から遠い側の端部102Bと接しており、整流板110は用紙K搬送路と平行に、第1ニップN6方向に延びるよう配置されている。整流板110における送気入口102の端部102Bと接していない側の一端は、用紙K搬送方向において送気入口102の端部102Aよりも第1ニップN6により近い位置となるよう配置されている。整流板110の幅方向長さは、送気入口102の幅方向長さと同じ長さに設定されている。
ただし、整流板110を配置する位置や整流板110の形状は、これに限定されず、第1ニップN6の上流側端部から送気入口102へと流れる気流を形成する態様であればよい。
整流板110には、整流板110と用紙Kとの間の空気が送気入口102側に流入し得るよう、穴110Aが設けられている。整流板110に穴110Aを設けることで、用紙Kの搬送により生じる気流に伴って整流板110と用紙Kとの間の風圧が強まることが抑制され、用紙K上の未定着のトナー像に乱れが生じることが抑制され易くなる。
整流板110に設ける穴110Aの形状は、特に限定されず、整流板110の用紙K搬送路方向を向く平面における形状が、円形状、用紙K搬送方向に延びる筋状形状、用紙K搬送方向と直交する方向に延びる筋状形状等であってもよい。穴110Aの数は、特に限定されず、未定着のトナー像の乱れを抑制する観点から、自由に設定される。
・送気出口
送気出口104の形状は、加熱ロール32及び加圧ロール34の軸方向から見た際に、用紙K搬送路に対して平行な形状であり、送気出口104が搬送路を通過する用紙Kに対して対向するよう配置されている。
送気出口104が上記の用紙Kに対向する形状を有することで、ダクト100によって送気されたUFPを用紙K上に付着させ易くなる。
なお、送気出口104が設けられる、用紙Kの搬送路の周辺とは、送気出口104から用紙Kに向けて排気された空気中に含まれるUFPが、用紙K上のトナー像表面及び用紙K表面のトナー像を有しない領域に付着し得る距離までの範囲を指す。
ここで、送気出口104の各部からの距離について説明する。
送気出口104は、UFPを用紙K上に付着させ易くする観点から、用紙K搬送路から10mm以上40mm以下(より好ましくは10mm以上30mm以下)の距離に設置されることが好ましい。
送気出口104は、第2ニップN3に挿通された後であって、かつ加熱されたトナー像が固化しきる前の状態にある用紙Kに対して、排気し得る位置に設けられることが好ましい。固化しきる前のトナー像、つまりまだ溶融状態であるトナー像に対して送気出口104から排気を行うことで、UFPを用紙K上のトナー像に付着させ易くなる。
この観点から、送気出口104の加熱ロール32に近い側の端部104Aと第2ニップN3の下流側端部との用紙K搬送方向における距離(つまり第2ニップN3の下流側端部と用紙K搬送路上の端部104Aに相当する位置との距離)が、10mm以上40mm以下(より好ましくは10mm以上30mm以下)であることが好ましい。
また、送気出口104の加熱ロール32に近い側の端部104Aは、加熱ロール32の表面から10mm以上40mm以下(より好ましくは10mm以上30mm以下)の距離に設置されることが好ましい。
ここで、ダクト100の動作について説明する。
ダクト100では、ファン106、108が図示しない駆動モータにより回転し、ダクト100内に気流を発生させる。そして、未定着のトナー像が表面に形成された用紙Kが第1ニップN6を通過する際に、トナー像、記録媒体等の中から発生し上流側に浮遊してくる気化物、及びこの気化物が再び凝固して生じた粒子等が、第1ニップN6の上流側周囲の空気と共に、矢印U1で示すように送気入口102から取り込まれる。そして、送気入口102から取り込まれた空気は、矢印U2で示すように、ファン106、108によってダクト100内に生じた気流により、送気出口104まで送気されて排出される。送気出口104から排出された空気は、矢印U3で示すように、用紙K搬送路に到達する。そのため、送気出口104から排出された空気中に含まれるUFPは、用紙K上のトナー像、用紙K表面のトナー像を有さない領域等に付着する。その後、UFPが付着した用紙Kは搬送路上を搬送されて、装置外に排出される。
なお、ダクト100内を移動する空気の流速(送気速度)は、特に限定されるものではないが、用紙Kの搬送速度に合わせて設定されることが好ましい。より具体的には、送気入口102から入り込んだ空気が送気出口104から排出されて用紙K搬送路に到達するまでの時間と、第1ニップN6の上流側端部に挿通された用紙Kが送気出口104から排出される空気が到達する位置に達するまでの時間と、が同期するよう設定されることが好ましい。上記のように設定することで、第1ニップN6の上流側端部において用紙K上のトナー像中から発生したUFPを、同じ用紙K(つまりUFPの発生源である離型剤が含まれるトナー像を有する用紙K)上に付着させられる。
[送気管の変形例]
送気管の形状、配置位置等は、図2に示すダクト100の態様に限定されるものではない。
例えば、送気管の内部を加熱する手段を有することが好ましい。
送気管の内部の空気が加熱されることで、送気管内を通過するUFPが冷えて凝固し、送気管の内側に付着することが抑制される。その結果、送気管の内側に付着したUFPの凝固物がさらに大きな塊となり、送気の妨げとなることが抑制される。
ここで、送気管の内部を加熱する手段を備えた態様について、図を用いて説明する。
図3は、ダクト200が加熱ベルト62の加熱源である発熱体69、及び加熱ロール32の加熱源32Dに近い位置に配置された態様を示す概略構成図である。
なお、図3に示される加熱ベルト62、加圧ロール61、加熱ロール32、及び加圧ロール34の態様、並びにダクト200における送気入口202、送気出口204、ファン206、208、及び整流板210等の態様は、図1と同様であり、ここでは詳細な説明を省略する。
ダクト200の経路は、図3に示すように、送気入口202から一旦用紙Kの搬送路から離れる方向(つまり図3における上側)に向かい、その後用紙搬送方向に直角に折れて加熱ベルト62及び加熱ロール32の用紙K搬送路と反対側(つまり図3における加熱ベルト62及び加熱ロール32の上側)を通り、さらに用紙Kの搬送路方向に直角に折れて、用紙Kの搬送路の周辺に設けられた送気出口204に繋がっている。ただし、ダクト200の配置位置は、加熱ベルト62及び加熱ロール32の用紙K搬送路と反対側(つまり図3における上側)において、加熱ベルト62に近い位置及び加熱ロール32に近い位置となるよう配置されている。
そのため、加熱ベルト62の内側にある発熱体69からの熱、及び加熱ロール32の内側にある加熱源32Dからの熱によってダクト200が加熱される。これにより、UFPが凝固してダクト200の内側に付着することが抑制され、さらには付着したUFP凝固物がさらに大きな塊となって送気の妨げとなることが抑制される。
ダクト200の、加熱ベルト62の用紙K搬送路と反対側(つまり図3における上側)での、加熱ベルト62に最も近い箇所における距離は、10mm以上50mm以下(より好ましくは10mm以上30mm以下)であることが好ましい。
ダクト200の、加熱ロール32の用紙K搬送路と反対側(つまり図3における上側)での、加熱ロール32に最も近い箇所における距離は、10mm以上50mm以下(より好ましくは10mm以上30mm以下)であることが好ましい。
また、送気管の内部を加熱する手段を備えた他の態様について、さらに図を用いて説明する。
図4は、ダクト300に対し、加熱ロール32の周辺の暖められた空気を取り込む構成を備えた態様を示す概略構成図である。
なお、図4に示される加熱ベルト62、加圧ロール61、加熱ロール32、及び加圧ロール34の態様、並びにダクト300における送気入口302、送気出口304、ファン306、308、及び整流板310等の態様は、図1と同様であり、ここでは詳細な説明を省略する。
ダクト300の経路は、図3に示すように、送気入口302から一旦用紙Kの搬送路から離れる方向(つまり図3における上側)に向かい、その後用紙搬送方向に直角に折れて加熱ベルト62及び加熱ロール32の用紙K搬送路と反対側(つまり図3における加熱ベルト62及び加熱ロール32の上側)を通り、さらに用紙Kの搬送路方向に直角に折れて、用紙Kの搬送路の周辺に設けられた送気出口304に繋がっている。ただし、加熱ロール32の用紙K搬送路と反対側(つまり図3における加熱ロール32の上側)に、空気取り込み口314を有する管318が設けられている。そして、管318は、ダクト300における、加熱ロール32の用紙K搬送路と反対側(つまり図3における加熱ロール32の上側)の位置に接続されている。管318は、内部にファン316を備えており、加熱ロール32の周辺の空気が空気取り込み口314から取り込まれて、管318内を通ってダクト300に送気される。
そのため、加熱ロール32の内側にある加熱源32Dからの熱によって暖められた加熱ロール32周辺の空気が、空気取り込み口314からダクト300内に取り込まれ、ダクト300の内部が加熱される。これにより、UFPが凝固してダクト300の内側に付着することが抑制され、さらには付着したUFP凝固物がさらに大きな塊となって送気の妨げとなることが抑制される。
管318内側(つまり空気の流路部分)の幅方向の長さは、ダクト300と同じ幅方向長さに設定されている。ただし、加熱ロール32の周辺から取り込む空気の量に応じて、自由に設定される。
管318内側(つまり空気の流路部分)における送気方向に対する垂直断面の面積は、加熱ロール32の周辺から取り込む空気の量に応じて、自由に設定される。
空気取り込み口314の、加熱ロール32の表面からの最短の距離は、ダクト300内を加熱し易くする観点から、10mm以上50mm以下(より好ましくは10mm以上30mm以下)であることが好ましい。
[被覆部材]
本実施形態において、第1定着部と第2定着部との間の構成は、図2~図4に示す構成に限定されるものではない。
例えば、第1定着部から第2定着部までの間の記録媒体の搬送路において、記録媒体のトナー像を有する面側の少なくとも一部を覆う被覆部材を備えることが好ましい。
ここで、トナー像中の離型剤の気化に起因して生じるUFPは、第1定着部における第1ニップの上流側においてのみ生じるのではない。例えば、第1ニップ上流側よりも発生量は少ないと考えられるものの、第1ニップの下流側においてもUFPが発生する場合がある。
これに対し、第1定着部から第2定着部までの間の記録媒体の搬送路において、記録媒体のトナー像を有する面側の少なくとも一部を覆う被覆部材を備えることで、UFPの発生が抑制されたり、発生したUFPがさらに装置内に浮遊することが抑制される。その結果、UFPの装置外への排出量が低減される。
ここで、第1定着部から第2定着部までの間の記録媒体の搬送路において、記録媒体のトナー像を有する面側の少なくとも一部を覆う被覆部材を備えた態様について、図を用いて説明する。
図5は、第1ニップN6から第2ニップN3までの間で用紙Kを両面から挟持して搬送する搬送ベルト42、44を備えた態様を示す概略構成図である。
なお、図5に示される加熱ベルト62、加圧ロール61、加熱ロール32、及び加圧ロール34の態様、並びにダクト100、送気入口102、送気出口104、ファン106、108、及び整流板110等の態様は、図1と同様であり、ここでは詳細な説明を省略する。
図5に示す定着装置は、第1ニップN6に挿通された後の用紙Kを両面から挟持して第2ニップN3まで搬送する搬送ベルト42、44を備える。この搬送ベルト42は、用紙Kのトナー像を有する面側に直に接しており、用紙Kのトナー像を有する面側を覆っている。一方、搬送ベルト44は用紙Kのトナー像を有さない面側に直に接している。搬送ベルト42はロール46A、46Bに架け渡されて張架されている。ロール46A、46Bの少なくとも一方は、搬送ベルト42を回転駆動させるための駆動ロールである。また、搬送ベルト44はロール48A、48Bに架け渡されて張架されている。ロール48A、48Bの少なくとも一方は、搬送ベルト44を回転駆動させるための駆動ロールである。
このように、第1ニップN6から第2ニップN3までの間の用紙Kの搬送路において、用紙Kのトナー像を有する面側を、直に接するように覆う搬送ベルト42を備えることで、離型剤の気化物がトナー像から外に浮遊することが抑制される。そのため、離型剤の気化物が空気中に浮遊し冷却されて固化することが抑制され、つまりUFPの発生が抑制されるものと考えられる。
搬送ベルト42が用紙Kに直に接している領域の用紙K搬送方向における長さは、UFPの発生を抑制する観点から、第1ニップN6の下流側末端から第2ニップN3の上流側末端までの長さに対して、90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。
なお、搬送ベルト42が用紙Kに直に接している領域の長さの上限値は、加熱ベルト62及び加熱ロール32と搬送ベルト42との位置関係、加圧ロール61及び加圧ロール34と搬送ベルト44との位置関係等に応じて、搬送ベルト42、44が設置可能な範囲内で決定される。
搬送ベルト42、44の幅方向の長さは、用紙Kの幅方向長さよりも長く設定されている。
搬送ベルト42、44の構成としては、例えば、前述の加熱ベルト62に用いられる構成のベルトが、好適に用いられる。
また、第1定着部から第2定着部までの間の記録媒体の搬送路において、記録媒体のトナー像を有する面側の少なくとも一部を覆う被覆部材を備えた他の態様について、さらに図を用いて説明する。
図6は、第1ニップN6から第2ニップN3までの間で、用紙Kのトナー像を有する面側を、用紙Kから離れて覆う被覆板52を備えた態様を示す概略構成図である。
なお、図6に示される加熱ベルト62、加圧ロール61、加熱ロール32、及び加圧ロール34の態様、並びにダクト100、送気入口102、送気出口104、ファン106、108、及び整流板110等の態様は、図1と同様であり、ここでは詳細な説明を省略する。
図6に示す定着装置は、第1ニップN6に挿通された後の用紙Kに対し、トナー像を有する面側を用紙Kから離れて覆う、被覆板52を備える。
このように、第1ニップN6から第2ニップN3までの間の用紙Kの搬送路において、用紙Kのトナー像を有する面側を、離れて覆う被覆板52を備えることで、第1ニップN6挿通後の用紙K上のトナー像からUFPが発生した場合であっても、被覆板52によりUFPが装置内に浮遊することが抑制される。被覆板52によって浮遊することが抑制されたUFPは、その多くが再度トナー像又は用紙Kのトナー像を有しない領域に付着するものと考えられる。その結果、UFPの装置外への排出量が低減される。
被覆板52によって用紙Kが覆われる領域の用紙K搬送方向における長さは、UFPの装置外への排出量を抑制する観点から、第1ニップN6の下流側末端から第2ニップN3の上流側末端までの長さに対して、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
なお、被覆板52によって用紙Kが覆われる領域の長さの上限値は、加熱ベルト62及び加熱ロール32と被覆板52との位置関係等に応じて、被覆板52が設置可能な範囲内で決定される。
被覆板52の幅方向の長さは、用紙Kの幅方向長さよりも長く設定されている。
被覆板52の材質としては、特に限定されるものではない。なお、耐熱性を有する材料が好適に用いられ、例えば、金属板、樹脂板等が好適に用いられる。
以上、図2~図6を用いて本実施形態における定着装置及び送気管の実施態様について説明したが、これらの態様に限定されるものではなく、本実施形態による効果を損なわない範囲で、その構成等を自由に変更し得ることは言うまでもない。
〔現像剤〕
次いで、本実施形態に係る画像形成装置において、現像手段に収容される現像剤が有するトナーについて、詳細に説明する。
以下、本実施形態におけるトナーの詳細について説明する。
本実施形態におけるトナーは、トナー粒子と、必要に応じて、外添剤と、を含んで構成される。
(トナー粒子)
トナー粒子は、例えば、結着樹脂と、離型剤と、必要に応じて、着色剤と、その他添加剤と、を含んで構成される。
-離型剤-
離型剤の融解温度は、60℃以上100℃以下であり、60℃以上90℃以下が好ましく、60℃以下75℃以下がより好ましい。
離型剤の融解温度が100℃以下であることで、トナーの低温定着性が高められ、これにより画像形成装置での定着温度を低減し得る。ただし、離型剤の融解温度が100℃以下であるとトナーの定着の際に離型剤の気化が生じ易く、気化した離型剤が空気中で再び凝固することでUFPが発生し易い。しかし、その場合でも、本実施形態によればUFPの画像形成装置外への排出量が低減される。
一方、離型剤の融解温度が60℃以上であることで、トナーの定着の際に離型剤が溶融し過ぎることで定着部材へ離型剤が付着することが抑制される。また、UFPが発生し過ぎることを抑制し得る。
離型剤の融解温度は、離型剤の種類の選択等の公知の方法により制御される。
なお、融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K 7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
離型剤としては、特に限定されるものではないが、例えばモンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物系・石油系ワックス;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリブテンワックス等の炭化水素系ワックス;シリコーンワックス;オレイン酸アミドワックス、エルカ酸アミドワックス、リシノール酸アミドワックス、ステアリン酸アミドワックス等の脂肪酸アミドワックス;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル、カルボン酸エステル等のエステル系ワックス;及びそれらの変性物等が挙げられる。
なお、これらの中でも、トナーの低温定着性の観点から、パラフィンワックス、セレシン、カルナバワックス、脂肪酸エステル、及びモンタン酸エステルが好ましく、パラフィンワックスがより好ましい。
離型剤は、1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、その内の少なくとも1種の離型剤における融解温度が前述の範囲であり、更には含まれる全ての離型剤の融解温度が前述の範囲であることが好ましい。
離型剤の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
・離型剤の融解温度と定着設定温度
なお、離型剤の融解温度[T2]は、画像形成装置の第1回転体対における定着設定温度[T1]に対して、その差[T1-T2]が40℃以上120℃以下であることが好ましく、50℃以上110℃以下であることがより好ましく、60℃以上100℃以下であることが更に好ましい。
離型剤の融解温度[T2]よりも定着設定温度[T1]が高く且つその差[T1-T2]が120℃以下であることで、画像形成装置での定着温度を低減し得る。一方、前記差[T1-T2]が40℃以上であることで、トナーの定着の際における定着部材へのトナーの付着を抑制し得る。
ただし、前記差[T1-T2]が120℃を超えるとトナーの定着の際に離型剤の気化が生じ易く、気化した離型剤が空気中で再び凝固することでUFPが発生し易い。しかし、その場合でも、本実施形態によればUFPの装置外への排出量が低減される。
-結着樹脂-
結着樹脂としては、例えば、スチレン類(例えばスチレン、パラクロロスチレン、α-メチルスチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2-エチルヘキシル等)、エチレン性不飽和ニトリル類(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オレフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン等)等の単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合せた共重合体からなるビニル系樹脂が挙げられる。
結着樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等の非ビニル系樹脂、これらと前記ビニル系樹脂との混合物、又は、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等も挙げられる。
これらの結着樹脂は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、トナーの低温定着性を高める観点から、結着樹脂として結晶性樹脂を含むことが好ましい。
結着樹脂としては、ポリエステル樹脂が好適である。結着樹脂としては、結晶性ポリエステルが好適である。
ポリエステル樹脂としては、例えば、公知の非晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂と共に、結晶性ポリエステル樹脂を併用してもよい。
なお、樹脂の「結晶性」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指し、具体的には、昇温速度10(℃/min)で測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃以内であることを指す。
一方、樹脂の「非晶性」とは、半値幅が10℃を超えること、階段状の吸熱量変化を示すこと、又は明確な吸熱ピークが認められないことを指す。
・非晶性ポリエステル樹脂
非晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合体が挙げられる。なお、非晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等)、脂環式ジカルボン酸(例えばシクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。これらの中でも、多価カルボン酸としては、例えば、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステル等が挙げられる。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等)、脂環式ジオール(例えばシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等)、芳香族ジオール(例えばビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等)が挙げられる。これらの中でも、多価アルコールとしては、例えば、芳香族ジオール、脂環式ジオールが好ましく、より好ましくは芳香族ジオールである。
多価アルコールとしては、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上の多価アルコールを併用してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上80℃以下が好ましく、50℃以上65℃以下がより好ましい。
なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K 7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000以上1000000以下が好ましく、7000以上500000以下がより好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、2000以上100000以下が好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の分子量分布Mw/Mnは、1.5以上100以下が好ましく、2以上60以下がより好ましい。
なお、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC-8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM-M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
非晶性ポリエステル樹脂は、周知の製造方法により得られる。具体的には、例えば、重合温度を180℃以上230℃以下とし、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる方法により得られる。
なお、原料の単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪い単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い単量体とその単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
・結晶性ポリエステル樹脂
結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合体が挙げられる。なお、結晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
ここで、結晶性ポリエステル樹脂は、結晶構造を容易に形成するため、芳香族を有する重合性単量体よりも直鎖状脂肪族を有する重合性単量体を用いた重縮合体が好ましい。
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸等の二塩基酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価のカルボン酸としては、例えば、芳香族カルボン酸(例えば1,2,3-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。
多価カルボン酸としては、これらジカルボン酸と共に、スルホン酸基を持つジカルボン酸、エチレン性二重結合を持つジカルボン酸を併用してもよい。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えば主鎖部分の炭素数が7以上20以下である直鎖型脂肪族ジオール)が挙げられる。脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,14-エイコサンデカンジオールなどが挙げられる。これらの中でも、脂肪族ジオールとしては、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオールが好ましい。
多価アルコールは、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のアルコールを併用してもよい。3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ここで、多価アルコールは、脂肪族ジオールの含有量を80モル%以上とすることがよく、好ましくは90モル%以上である。
結晶性ポリエステル樹脂の融解温度は、50℃以上100℃以下が好ましく、55℃以上90℃以下がより好ましく、60℃以上85℃以下が更に好ましい。
なお、融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、6,000以上35,000以下が好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、非晶性ポリエステル樹脂と同様に、周知の製造方法により得られる。
結着樹脂の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、40質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上90質量%以下がより好ましく、60質量%以上85質量%以下が更に好ましい。
また、結晶性樹脂の含有量としては、トナーの低温定着性を高める観点から、トナー粒子全体に対して、3質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
-着色剤-
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレートなどの種々の顔料、又は、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系などの各種染料等が挙げられる。
着色剤は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
着色剤は、必要に応じて表面処理された着色剤を用いてもよく、分散剤と併用してもよい。また、着色剤は、複数種を併用してもよい。
着色剤の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がより好ましい。
-その他の添加剤-
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の周知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
-トナー粒子の特性等-
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯材(コア粒子)と芯材を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。
ここで、コア・シェル構造のトナー粒子は、例えば、結着樹脂と必要に応じて着色剤及び離型剤等のその他添加剤とを含んで構成された芯材と、結着樹脂を含んで構成された被覆層と、で構成されていることがよい。
トナー粒子の体積平均粒径(D50v)としては、2μm以上10μm以下が好ましく、4μm以上8μm以下がより好ましい。
なお、トナー粒子の各種平均粒径、及び各種粒度分布指標は、コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)を用い、電解液はISOTON-II(ベックマン・コールター社製)を使用して測定される。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径として100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャンネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、数粒径D16p、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、累積数平均粒径D50p、累積84%となる粒径を体積粒径D84v、数粒径D84pと定義する。
これらを用いて、体積粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2、数粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)1/2として算出される。
トナー粒子の形状係数SF1としては、140以上155以下が好ましく、143以上153以下がより好ましく、145以上151以下が更に好ましい。
ここで、トナー粒子が混練粉砕法等の粉砕法によって作製された場合、その形状は不定形になり、例えば形状係数SF1は140以上となる。そして、形状係数SF1が140以上であるトナー粒子では、その製法に由来して表面に離型剤が露出し易くなる。表面に露出している離型剤は、トナーの定着の際に熱によって気化しやすいため、結果としてUFPが発生し易い。しかし、その場合でも、本実施形態によればUFPの画像形成装置外への排出量が低減される。
なお、形状係数SF1は、下記式により求められる。
式:SF1=(ML/A)×(π/4)×100
上記式中、MLはトナーの絶対最大長、Aはトナーの投影面積を各々示す。
具体的には、形状係数SF1は、主に顕微鏡画像又は走査型電子顕微鏡(SEM)画像を、画像解析装置を用いて解析することによって数値化され、以下のようにして算出される。すなわち、スライドガラス表面に散布した粒子の光学顕微鏡像をビデオカメラによりルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個の粒子の最大長と投影面積を求め、上記式によって計算し、その平均値を求めることにより得られる。
トナー粒子のトルエン不溶分は、25質量%以上40質量%以下が好ましく、28質量%以上38質量%以下がより好ましく、30質量%以上35質量%以下が更に好ましい。
トナー粒子のトルエン不溶分が上記範囲であることで、離型剤がトナー粒子中に閉じ込められて、離型剤の表面への露出が抑制される。その結果、離型剤によるUFPの発生が抑制される。
ここで、トナー粒子のトルエン不溶分とは、トルエンに不溶なトナー粒子の構成成分である。つまり、トルエン不溶分は、トルエンに不溶な結着樹脂の成分(特に結着樹脂の高分子量成分)を主成分(例えば全体の50質量%以上)とした不溶分である。このトルエン不溶分は、トナー中に含まれる架橋樹脂の含有量の指標と言える。
トルエン不溶分は、次の方法により測定された値とする。
秤量したガラス繊維製の円筒ろ紙に秤量したトナー粒子(又はトナー)を1g投入し、加熱式ソックスレー抽出装置の抽出管に装着する。そして、フラスコにトルエンを注入して、マントルヒーターを用いて110℃に加熱する。また、抽出管に装着した加熱ヒーターを用いて抽出管の周部を125℃に加熱する。抽出サイクルが4分以上5分以下の範囲で1回となるような還流速度で抽出を行う。10時間抽出した後、円筒ろ紙とトナー残渣を取り出して乾燥し、秤量する。
そして、式:トナー粒子(又はトナー)残渣量(質量%)=[(円筒ろ紙量+トナー残渣量)(g)-円筒ろ紙量(g)]÷トナー粒子(又はトナー)質量(g)×100に基づいて、トナー粒子(又はトナー)残渣量(質量%)を算出し、このトナー粒子(又はトナー)残渣量(質量%)をトルエン不溶分(質量%)とする。
なお、トナー粒子(又はトナー)残渣は、着色剤、外添剤等の無機物、及び結着樹脂の高分子量成分等からなる。また、トナー粒子に離型剤を含む場合、加熱による抽出を行うことから、離型剤はトルエン可溶分となっている。
トナー粒子のトルエン不溶分は、例えば、結着樹脂において、1)末端に反応性官能基を有する高分子成分に架橋剤を添加して架橋構造、又は分岐構造を形成する方法、2)末端にイオン性官能基を有する高分子成分に多価金属イオンにより架橋構造又は分岐構造を形成する方法、3)イソシアネートなどの処理による樹脂鎖長の延長、分岐を形成する方法等により調整される。
(外添剤)
外添剤としては、例えば、無機粒子が挙げられる。該無機粒子として、SiO、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO)n、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等が挙げられる。
外添剤としての無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量としては、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下である。
外添剤としては、樹脂粒子(ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メラミン樹脂等の樹脂粒子)、クリーニング活剤(例えば、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の粒子)等も挙げられる。
外添剤の外添量としては、例えば、トナー粒子に対して、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。
(トナーの製造方法)
次に、本実施形態におけるトナーの製造方法について説明する。
本実施形態におけるトナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して、外添剤を外添することで得られる。
トナー粒子は、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法等)のいずれにより製造してもよい。トナー粒子の製法は、これらの製法に特に制限はなく、周知の製法が採用される。
これらの中でも、凝集合一法により、トナー粒子を得ることがよい。
・凝集合一法
具体的には、例えば、トナー粒子を凝集合一法により製造する場合、
結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液を準備する工程(樹脂粒子分散液準備工程)と、樹脂粒子分散液中で(必要に応じて他の粒子分散液を混合した後の分散液中で)、樹脂粒子(必要に応じて他の粒子)を凝集させ、凝集粒子を形成する工程(凝集粒子形成工程)と、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して加熱し、凝集粒子を融合・合一して、トナー粒子を形成する工程(融合・合一工程)と、を経て、トナー粒子を製造する。
以下、各工程の詳細について説明する。
なお、以下の説明では、着色剤、及び離型剤を含むトナー粒子を得る方法について説明するが、着色剤、離型剤は、必要に応じて用いられるものである。無論、着色剤、離型剤以外のその他添加剤を用いてもよい。
-樹脂粒子分散液準備工程-
まず、結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と共に、例えば、着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液、離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液を準備する。
ここで、樹脂粒子分散液は、例えば、樹脂粒子を界面活性剤により分散媒中に分散させることにより調製する。
樹脂粒子分散液に用いる分散媒としては、例えば水系媒体が挙げられる。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも特に、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。非イオン系界面活性剤は、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用してもよい。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂粒子分散液において、樹脂粒子を分散媒に分散する方法としては、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル等の一般的な分散方法が挙げられる。また、樹脂粒子の種類によっては、例えば転相乳化法を用いて樹脂粒子分散液中に樹脂粒子を分散させてもよい。
なお、転相乳化法とは、分散すべき樹脂を、その樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(O相)に塩基を加えて、中和したのち、水媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの、樹脂の変換(いわゆる転相)が行われて不連続相化し、樹脂を、水媒体中に粒子状に分散する方法である。
樹脂粒子分散液中に分散する樹脂粒子の体積平均粒径としては、例えば0.01μm以上1μm以下が好ましく、0.08μm以上0.8μm以下がより好ましく、0.1μm以上0.6μm以下が更に好ましい。
なお、樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製、LA-700)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を引き、全粒子に対して累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとして測定される。なお、他の分散液中の粒子の体積平均粒径も同様に測定される。
樹脂粒子分散液に含まれる樹脂粒子の含有量としては、例えば、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましい。
なお、樹脂粒子分散液と同様にして、例えば、着色剤粒子分散液、離型剤粒子分散液も調製される。つまり、樹脂粒子分散液における粒子の体積平均粒径、分散媒、分散方法、及び粒子の含有量に関しては、着色剤粒子分散液中に分散する着色剤粒子、及び離型剤粒子分散液中に分散する離型剤粒子についても同様である。
-凝集粒子形成工程-
次に、樹脂粒子分散液と共に、着色剤粒子分散液と、離型剤粒子分散液と、を混合する。
そして、混合分散液中で、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とをヘテロ凝集させ目的とするトナー粒子の径に近い径を持つ、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とを含む凝集粒子を形成する。
具体的には、例えば、混合分散液に凝集剤を添加すると共に、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後、樹脂粒子のガラス転移温度(具体的には、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度-30℃以上ガラス転移温度-10℃以下)の温度に加熱し、混合分散液に分散された粒子を凝集させて、凝集粒子を形成する。
凝集粒子形成工程においては、例えば、混合分散液を回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温(例えば25℃)で上記凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後に、上記加熱を行ってもよい。
凝集剤としては、例えば、混合分散液に添加される分散剤として用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩、2価以上の金属錯体が挙げられる。特に、凝集剤として金属錯体を用いた場合には、界面活性剤の使用量が低減され、帯電特性が向上する。
凝集剤の金属イオンと錯体若しくは類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体等が挙げられる。
キレート剤としては、水溶性のキレート剤を用いてもよい。キレート剤としては、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸、イミノジ酸(IDA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)等が挙げられる。
キレート剤の添加量としては、例えば、樹脂粒子100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上3.0質量部未満がより好ましい。
-融合・合一工程-
次に、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度以上(例えば樹脂粒子のガラス転移温度より10から30℃高い温度以上)に加熱して、凝集粒子を融合・合一し、トナー粒子を形成する。
以上の工程を経て、トナー粒子が得られる。
なお、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を得た後、当該凝集粒子分散液と、樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と、を更に混合し、凝集粒子の表面に更に樹脂粒子を付着するように凝集して、第2凝集粒子を形成する工程と、第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して加熱をし、第2凝集粒子を融合・合一して、コア/シェル構造のトナー粒子を形成する工程と、を経て、トナー粒子を製造してもよい。
ここで、融合・合一工程終了後は、溶液中に形成されたトナー粒子を、公知の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て乾燥した状態のトナー粒子を得る。
洗浄工程は、帯電性の点から充分にイオン交換水による置換洗浄を施すことがよい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等を施すことがよい。また、乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、気流乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
そして、本実施形態におけるトナーは、例えば、得られた乾燥状態のトナー粒子に、外添剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えば、Vブレンダー、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー等によって行うことがよい。更に、必要に応じて、振動篩分機、風力篩分機等を使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
・混練粉砕法
また、本実施形態におけるトナー粒子は、混練粉砕法等の粉砕法によって作製してもよい。なお、粉砕法により作製された場合、その形状は不定形になり、例えば形状係数SF1は前述の範囲となる。そして、その製法に由来して表面に離型剤が露出し易くなるため、UFPが発生し易くなる。しかし、その場合でも、本実施形態によればUFPの装置外への排出量が低減される。
混練粉砕法は、結着樹脂と、融解温度が前述の範囲である特定パラフィン系ワックスを少なくとも含む離型剤と、を溶融混練した後、粉砕、分級することでトナー粒子を製造する方法である。混練粉砕法では、例えば、結着樹脂及び離型剤を含む構成成分を溶融混練する混練工程と、溶融混練物を冷却する冷却工程と、冷却後の混練物を粉砕する粉砕工程と、粉砕物を分級する分級工程と、を経てトナー粒子が製造される。
以下、混練粉砕法の各工程の詳細について説明する。
-混練工程-
混練工程は、結着樹脂及び離型剤を含む構成成分(樹脂粒子形成材料)を溶融混練し、混練物を得る工程である。
混練工程に用いられる混練機としては、例えば、三本ロール型、一軸スクリュー型、二軸スクリュー型、バンバリーミキサー型が挙げられる。
また、溶融温度としては、混練する結着樹脂及び離型剤の種類、配合比等に応じて決定されればよい。
-冷却工程-
冷却工程は、上記混練工程において形成された混練物を冷却する工程である。
冷却工程では、混練工程終了直後の分散状態を保つために、混練工程終了の際における混練物の温度から4℃/sec以上の平均降温速度で40℃以下まで冷却することが好ましい。
なお、平均降温速度とは、混練工程終了の際における混練物の温度から40℃まで降温させる速度の平均値をいう。
冷却工程における冷却方法としては、例えば、冷水又はブラインを循環させた圧延ロール及び挟み込み式冷却ベルト等を用いる方法が挙げられる。なお、前記方法により冷却を行う場合、その冷却速度は、圧延ロールの速度、ブラインの流量、混練物の供給量、混練物の圧延時のスラブ厚等で決定される。スラブ厚は、1mm以上3mm以下の薄さであることが好ましい。
-粉砕工程-
冷却工程により冷却された混練物を、粉砕工程で粉砕することで粒子が形成される。
粉砕工程では、例えば、機械式粉砕機、ジェット式粉砕機等が使用される。
-分級工程-
粉砕工程で得られた粉砕物(粒子)は、必要に応じて、分級工程にて分級を行ってもよい。
分級工程においては、従来から使用されている遠心式分級機、慣性式分級機等が使用され、微粉(目的とする範囲の粒径よりも小さい粒子)及び粗粉(目的とする範囲の粒径よりも大きい粒子)が除去される。
そして、本実施形態におけるトナーは、例えば、得られた乾燥状態のトナー粒子に、外添剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えばVブレンダー、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー等によって行うことがよい。更に、必要に応じて、振動篩分機、風力篩分機等を使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
(現像剤)
本実施形態における現像剤は、本実施形態におけるトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態における現像剤は、本実施形態におけるトナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、当該トナーとキャリアと混合した二成分現像剤であってもよい。
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、磁性粉からなる芯材の表面に被覆樹脂を被覆した被覆キャリア;マトリックス樹脂中に磁性粉が分散・配合された磁性粉分散型キャリア;多孔質の磁性粉に樹脂を含浸させた樹脂含浸型キャリア;等が挙げられる。
なお、磁性粉分散型キャリア及び樹脂含浸型キャリアは、当該キャリアの構成粒子を芯材とし、これに被覆樹脂により被覆したキャリアであってもよい。
磁性粉としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられる。
被覆樹脂、及びマトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、オルガノシロキサン結合を含んで構成されるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
なお、被覆樹脂、及びマトリックス樹脂には、導電性粒子等、その他添加剤を含ませてもよい。
導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等の粒子が挙げられる。
ここで、芯材の表面に被覆樹脂を被覆するには、被覆樹脂、及び必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液を芯材表面に噴霧するスプレー法、芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
二成分現像剤における、トナーとキャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100が好ましく、3:100乃至20:100がより好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下においては、特に断りのない限り「部」は質量基準である。
<結晶性樹脂(A)の作製>
まず、三口フラスコに、セバシン酸ジメチル100部と、ヘキサンジオール67.8部と、ジブチルすずオキサイド0.10部とを入れ、窒素雰囲気下で、反応中に生成された水は系外へ除去しながら、185℃で5時間反応させた後、徐々に減圧しながら220℃まで温度をあげて、6時間反応させた後、冷却した。こうして、重量平均分子量が33700の結晶性樹脂(A)を用意した。
<非晶性樹脂の作製>
(非晶性樹脂(1)の作製)
また、三口フラスコに、テレフタル酸ジメチル61部と、フマル酸ジメチル75部と、ドデセニルコハク酸無水物34部と、トリメリット酸16部と、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物137部と、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物191部と、ジブチルすずオキサイド0.3部とを入れ、窒素雰囲気下で、反応により生成された水は系外へ除去しながら、180℃で3時間反応させた後、徐々に減圧しながら280℃まで温度をあげて、2時間反応させた後、冷却した。こうして、重量平均分子量が19000の非晶性樹脂(1)を用意した。
(非晶性樹脂(2)の作製)
テレフタル酸ジメチル60部、フマル酸ジメチル74部、ドデセニルコハク酸無水物30部、及びトリメリット酸22部とした以外は、非晶性樹脂(1)の作製と同様にして非晶性樹脂(2)を作製した。非晶性樹脂(2)の重量平均分子量は19500であった。
(非晶性樹脂(3)の作製)
テレフタル酸ジメチル60部、フマル酸ジメチル70部、ドデセニルコハク酸無水物29部、及びトリメリット酸29部とした以外は、非晶性樹脂(1)の作製と同様にして非晶性樹脂(3)を作製した。非晶性樹脂(3)の重量平均分子量は18200であった。
(非晶性樹脂(4)の作製)
テレフタル酸ジメチル55部、フマル酸ジメチル64部、ドデセニルコハク酸無水物27部、及びトリメリット酸46部とした以外は、非晶性樹脂(1)の作製と同様にして非晶性樹脂(4)を作製した。非晶性樹脂(3)の重量平均分子量は17200であった。
<トナーの作製>
(トナー粒子(1)の作製)
非晶性樹脂(1)79部と、着色剤(C.I.Pigment Blue 15:1)7部と、離型剤(パラフィンワックス、融解温度73℃、日本精鑞株式会社製)5部と、結晶性樹脂(A)(融解温度71℃)8部とを、ヘンシェルミキサ(日本コークス工業株式会社製)に投入し、周速15m/秒で5分間撹拌混合した後、得られた撹拌混合物をエクストルーダー型連続混練機で溶融混練した。
ここで、エクストルーダーの設定条件は、供給側温度が160℃、排出側温度が130℃、冷却ロールの供給側温度が40℃、排出側温度が25℃であった。なお、冷却ベルトの温度を10℃に設定した。
得られた溶融混練物を冷却させた後、ハンマーミルを用いて粗粉砕し、次いでジェット式粉砕機(日本ニューマチック工業社製)を用いて6.5μmに微粉砕し、更にエルボージェット分級機(日鉄鉱業株式会社製、型式:EJ-LABO)を用いて分級して、体積平均粒子径6.9μmのトナー粒子(1)を得た。
トナー粒子(1)の形状係数SF1は145であり、トルエン不溶分は25質量%であった。
(トナー粒子(2)の作製)
非晶性樹脂(1)の代わりに非晶性樹脂(2)を用いた以外はトナー(1)の作製と同様の方法で、体積平均粒子径6.8μmのトナー粒子(2)を得た。
トナー粒子(2)の形状係数SF1は147であり、トルエン不溶分は29質量%であった。
(トナー粒子(3)の作製)
非晶性樹脂(1)の代わりに非晶性樹脂(3)を用いた以外はトナー(1)の作製と同様の方法で体積平均粒子径7.0μmのトナー粒子(3)を得た。
トナー粒子(3)の形状係数SF1は149であり、トルエン不溶分は35質量%であった。
(トナー粒子(4)の作製)
非晶性樹脂(1)の代わりに非晶性樹脂(4)を用いた以外はトナー(1)の作製と同様の方法で体積平均粒子径7.3μmのトナー粒子(4)を得た。
トナー粒子(4)の形状係数SF1は151であり、トルエン不溶分は40質量%であった。
(トナー粒子(5)の作製)
離型剤に、セレシンワックス(融解温度92℃)を用いた以外はトナー(1)の作製と同様の方法で体積平均粒径6.8μmのトナー粒子(5)を得た。
トナー粒子(5)の形状係数SF1は148であり、トルエン不溶分は33質量%であった。
(トナー粒子(C1)の作製)
離型剤に、パラフィンワックス(ベーカーペトロライト製:ポリワックス725、融解温度105℃)を用いた以外はトナー(1)の作製と同様の方法で体積平均粒子径7.0μmのトナー粒子(C1)を得た。
トナー粒子(C1)の形状係数SF1は146であり、トルエン不溶分は45質量%であった。
(トナー及び現像剤の作製)
各トナー粒子100部と、外添剤として市販のヒュームドシリカRX50(日本アエロジル製)1.2部とを、ヘンシェルミキサー(三井三池製作所製)を使用して周速30m/s、5分の条件で混合し、トナー(1)~(5)、及び(C1)を得た。
続いて、得られた各トナー8部と、キャリア100部とを混合して、それぞれ現像剤(1)~(5)、及び(C1)を作製した。
なお、キャリアは、フェライト粒子(体積平均粒径:50μm)100部と、トルエン14部と、スチレン-メチルメタクリレート共重合体(成分比:スチレン/メチルメタクリレート=90/10、重量平均分子量Mw=80000)2部とを、まず、フェライト粒子を除く上記成分を10分間スターラーで撹拌させて分散した被覆液を調製し、次に、この被覆液とフェライト粒子とを真空脱気型ニーダー(井上製作所製)に入れて、60℃において30分撹拌した後、さらに加温しながら減圧して脱気し、乾燥させ、その後105μmで篩分して得たものである。
<実施例A1~A5>
画像形成装置(富士ゼロックス社製、製品名「ApeosportV C3375」)を用い、図2に示す構成の定着装置及び送気管として、下記の定着装置A及び送気管Aを備える装置に改造した。更に、画像形成装置の排気口に設けられているフィルターを取り外した。そして、この画像形成装置の現像装置内に、表1に示す現像剤を収容した。
・定着装置A
具体的には、第1定着部として図2に示す加熱ベルト62及び加圧ロール61を備え、第2定着部として図2に示す加熱ロール32及び加圧ロール34を備える定着装置とした。
第1定着部における加熱ベルト62の定着設定温度を140℃とし、加熱ベルト62及び加圧ロール61により形成される第1ニップN6の用紙K搬送方向の長さ(所謂ニップ幅)を8mmとした。
第2定着部における加熱ロール32の定着設定温度を180℃とし、加熱ロール32及び加圧ロール34により形成される第2ニップN3の用紙K搬送方向の長さ(所謂ニップ幅)を10mmとした。
これにより、第1定着部の加熱ベルト62及び加圧ロール61によってトナー像に与えられる熱量は、第2定着部の加熱ロール32及び加圧ロール34によってトナー像に与えられる熱量よりも小さく設定されている。
なお、第1定着部における加熱ベルト62の定着設定温度[T1]と、現像剤中のトナー粒子に含まれる離型剤の融解温度[T2]と、の差[T1-T2]を、表1に示す。
・送気管A
具体的には、図2に示すダクト100を備え、さらに図2に示す整流板110を備える送気管を設置した。
ダクト100の形状は、送気方向に対する垂直断面での形状が、幅方向(加熱ベルト62の軸方向と同じ方向)が長辺となる長方形の角形状であり、送気入口102の部分を除いてダクト100全体で同形状となっている。
ダクト100の幅は、用紙Kの幅方向長さに対して、両端側でそれぞれ10mmずつ長い幅である。
ダクト100は、図2に示す位置にファン106及び108を備え、かつダクト100の幅方向において一端から多端まで複数のファンが並べられており、これによって送気入口102から送気出口104に向かう気流が形成される。
送気入口102の形状は、加熱ベルト62の軸方向から見た際に、用紙K搬送路に対して傾斜しており、送気入口102が第1ニップN6の方向に向いた形状を有する。
送気入口102の加熱ベルト62に近い側の端部102Aが設置される位置は、第1ニップN6の上流側端部からの距離が30mm、加熱ベルト62の表面からの距離が20mm、用紙K搬送路からの距離が20mmである。
送気入口102の加熱ベルト62から遠い側の端部102Bが設置される位置は、第1ニップN6の上流側端部からの距離が40mm、用紙K搬送路からの距離が30mmである。
送気入口102には、整流板110が設けられている。整流板110は、その一端が送気入口102の加熱ベルト62から遠い側の端部102Bと接しており、さらに用紙K搬送路と平行に、第1ニップN6方向に延びるよう配置されている。整流板110における送気入口102の端部102Bと接していない側の一端(第1ニップN6に近い側の一旦)は、第1ニップN6の上流側端部から5mmの距離に配置されている。
整流板110の幅は、ダクト100の幅と同じに設定されている。整流板110の厚みは、5mmである。
整流板110は、穴110Aを有している。穴110Aは、直径5mmの円形状の穴であり、用紙K搬送方向及びこの搬送方向に直交する方向にそれぞれ5mm間隔で形成されている。
送気出口104の形状は、加熱ロール32の軸方向から見た際に、用紙K搬送路に対して平行な形状であり、送気出口104が搬送路を通過する用紙Kに対して対向するよう配置されている。
送気出口104が設置される位置は、用紙K搬送路から20mmである。
送気出口104の加熱ロール32に近い側の端部104Aと第2ニップN3の下流側端部との用紙K搬送方向における距離(つまり第2ニップN3の下流側端部と用紙K搬送路上の端部104Aに相当する位置との距離)は、10mmである。つまり、第2ニップN3挿通後の用紙Kに対して、トナー像が固化しきる前に送気出口104から排気が行われる位置に、送気出口104が設置されている。
また、送気出口104の加熱ロール32に近い側の端部104Aが設置される位置は、加熱ロール32の表面から20mmである。
用紙Kの搬送速度は121mm/secである。
ダクト100内を移動する空気の流速(送気速度)は、送気入口102から入り込んだ空気が送気出口104から排出されて用紙K搬送路に到達するまでの時間と、第1ニップN6の上流側端部に挿通された用紙Kが送気出口104から排出される空気が到達する位置に達するまでの時間と、が同期するよう設定されている。
ダクト100の、加熱ベルト62の用紙K搬送路と反対側(つまり図2における上側)での、加熱ベルト62に最も近い箇所における距離は、20mmである。
ダクト100の、加熱ロール32の用紙K搬送路と反対側(つまり図2における上側)での、加熱ロール32に最も近い箇所における距離は、20mmである。
<実施例B1~B5>
実施例A1~A5で設置した送気管Aに替えて、図3に示す構成の送気管、具体的には下記送気管Bを備える装置とし、かつ第1定着部における加熱ベルトの定着設定温度及び第2定着部における加熱ロールの定着設定温度を表1に記載の値としたこと以外は、実施例A1~A5と同構成の画像形成装置を準備した。
・送気管B
ダクト200の、加熱ベルト62までの距離及び加熱ロール32までの距離を変更したこと以外は、送気管Aと同構成のダクトを設置した。
ダクト200の、加熱ベルト62の用紙K搬送路と反対側(つまり図3における上側)での、加熱ベルト62に最も近い箇所における距離は、10mmである。
ダクト200の、加熱ロール32の用紙K搬送路と反対側(つまり図3における上側)での、加熱ロール32に最も近い箇所における距離は、10mmである。
<実施例C1~C5>
実施例A1~A5で設置した送気管Aにおいて、整流板110を設置しない構成の送気管(送気管C)とし、かつ第1定着部における加熱ベルトの定着設定温度及び第2定着部における加熱ロールの定着設定温度を表1に記載の値としたこと以外は、実施例A1~A5と同構成の画像形成装置を準備した。
<実施例D1~D5>
実施例A1~A5で設置した定着装置Aに替えて、図5に示す構成の定着装置、具体的には下記定着装置Bを備える装置とし、かつ第1定着部における加熱ベルトの定着設定温度及び第2定着部における加熱ロールの定着設定温度を表1に記載の値としたこと以外は、実施例A1~A5と同構成の画像形成装置を準備した。
・定着装置B
図5に示す搬送ベルト42及び44を設けたこと以外は、定着装置Aと同構成の装置とした。
搬送ベルト42、44は、第1ニップN6に挿通された後の用紙Kを両面から挟持して第2ニップN3まで搬送し、搬送ベルト42は用紙Kのトナー像を有する面側に直に接し、搬送ベルト44は用紙Kのトナー像を有さない面側に直に接している。
搬送ベルト42はロール46A、46Bに架け渡されて張架され、回転駆動される構成であり、搬送ベルト44はロール48A、48Bに架け渡されて張架され、回転駆動される構成である。
搬送ベルト42が用紙Kに直に接している領域の用紙K搬送方向における長さは、第1ニップN6の下流側末端から第2ニップN3の上流側末端までの長さに対して、90%である。
搬送ベルト42、44の幅は、用紙Kの幅方向長さに対して、両端側でそれぞれ10mmずつ長い幅である。
<実施例E1~E5>
実施例A1~A5で設置した定着装置Aに替えて、第1定着部における第1回転体対が2ロール回転体対である下記定着装置Cを備える装置とし、かつ第1定着部における加熱ロールの定着設定温度及び第2定着部における加熱ロールの定着設定温度を表1に記載の値としたこと以外は、実施例A1~A5と同構成の画像形成装置を準備した。
・定着装置C
図2に示す定着装置50において、第1回転体対に相当する加熱ベルト62及び加圧ロール61を、加熱ロール32及び加圧ロール34と同構成の2ロール回転体対に変更したこと以外は、定着装置Aと同構成の装置とした。
第1回転体対により形成される第1ニップのニップ幅、及び第2回転体対により形成される第2ニップのニップ幅を、いずれも20mmとした。
<比較例1>
実施例A1の画像形成装置において、送気管Aを有さない(つまりダクト100、ファン106、108、及び整流板110を有さない)構成の画像形成装置とし、かつ第1定着部における加熱ベルトの定着設定温度及び第2定着部における加熱ロールの定着設定温度を表1に記載の値としたこと以外は、実施例A1と同構成の画像形成装置を準備した。
<参考例1>
実施例A1において、画像形成装置の現像装置内に収容する現像剤を、現像剤(C1)に変更し、かつ第1定着部における加熱ベルトの定着設定温度及び第2定着部における加熱ロールの定着設定温度を表1に記載の値としたこと以外は、実施例A1と同構成の画像形成装置を準備した。
<評価>
(低温定着性の評価)
J紙(A4)上にトナーの載り量が4.0g/mになる4cm×5cmの未定着画像のパッチを作成し、これをプロセススピード140mm/secに固定した条件で印画し、第1定着部での定着設定温度を80℃~180℃の範囲で5℃おきに温度を変え、かつ第2定着部での定着設定温度を前述の温度℃に固定して定着し、オフセットの起こらない最も低い定着温度(最低定着温度)を測定し、以下の基準で評価した。
評価基準は、次の通りである。
A(◎): 最低定着温度が120℃未満
B(○): 最低定着温度が120℃以上130℃未満
C(△): 最低定着温度が130℃以上140℃未満
D(×): 最低定着温度が140℃以上
(画像の光沢性(グロス)評価)
J紙(A4)上にトナーの載り量が4.0g/mになる4cm×5cmの未定着画像のパッチを作成し、これをプロセススピード140mm/secに固定した条件で印画し、第1定着部及び第2定着部での定着設定温度を前述の温度℃に固定して定着し、画像を20枚出力した。
最後に出力された画像について、評価機器(BYKガードナー、micro-TRI-gross、60°gloss)により、光沢性(グロス、単位:%)を測定し、以下の基準で評価した。
評価基準は、次の通りである。
A(◎): グロスが30以上
B(○): グロスが20以上30未満
C(△): グロスが5以上20未満
D(×): グロスが5未満
(UFPの評価)
温度22℃、湿度55%RHの環境下、A3サイズの用紙1000枚に、画像濃度100%の画像を連続して形成した。画像形成中に、画像形成装置から排出されるUFPを、富士ゼロックス社内国際検証センターにおいて、RAL UZ-171に基づいて、粒子エミッション率(PER10 PW)を測定した。
測定された粒子エミッション率の値[単位(粒子数/10分)]を元に、G1~G3の3段階で評価した。なお、比較例1の送気管(ダクト)を有さない装置を備えた場合を基準(G3)として相対評価で行った。G1が最も値が小さく、UFPが少ないことを示す。
Figure 0007255118000001
上記結果から、各実施例は、比較例に比べ、トナーに含まれる離型剤に由来するUPFの排出量が抑制されることが分かった。
なお、参考例は、トナーに含まれる離型剤の融解温度が100℃を超えているため、トナーに含まれる離型剤に由来するUPFの排出量が少なかった。
また、参考例では、最低定着温度が、実施例及び比較例に比べて高いため、低温定着性は低い結果となった。
1Y,1M,1C,1K 画像形成ユニット
10 画像形成装置
32 加熱ロール
32A 芯材
32B 弾性層
32C 表面層
32D 加熱源
34 加圧ロール
34A 芯材
34B 弾性層
34C 表面層
42、44 搬送ベルト
46A、46B、48A、48B ロール
50 定着装置
52 被覆板
61 加圧ロール
61A コア
61B 弾性層
61C 表面層
62 加熱ベルト
63 ベルト走行ガイド
64 押圧パッド
65 ホルダ
66 ベルト走行補助ガイド
69 発熱体
100、200、300 ダクト
102、202、302 送気入口
102A、102B 端部
104、204、304 送気出口
104A 端部
106、108、206、306、316 ファン
110、210、310 整流板
110A、210A、310A 穴
111 感光体
112 帯電器
113 レーザ露光器
114 現像器
115 中間転写ベルト
116 一次転写ロール
117 感光体クリーナ
118 一次転写部
120 二次転写部
122 二次転写ロール
125 背面ロール
126 給電ロール
131 駆動ロール
132 支持ロール
133 張力付与ロール
134 クリーニング背面ロール
135 中間転写ベルトクリーナ
140 制御部
142 基準センサ
143 画像濃度センサ
150 用紙収容部
151 給紙ロール
152 搬送ロール
153 搬送ガイド
155 搬送ベルト
156 定着入口ガイド
314 空気取り込み口
318 管
K 用紙
N3 第2ニップ
N6 第1ニップ

Claims (19)

  1. 像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
    融解温度が60℃以上100℃以下の離型剤を含むトナー粒子を有するトナーを含む現像剤を収容し、前記現像剤により前記像保持体の表面に形成された静電荷像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
    前記トナー像を前記記録媒体の表面に定着させる定着手段であって、互いの外周面同士が接触して第1接触領域を形成する第1回転体対を有し、前記トナー像が転写された前記記録媒体を前記第1接触領域に挿通して加熱する第1定着部、及び互いの外周面同士が接触して第2接触領域を形成する第2回転体対を有し、前記第1接触領域に挿通された後の前記記録媒体を前記第2接触領域に挿通して加熱する第2定着部を有する定着手段と、
    前記第1接触領域の前記記録媒体搬送方向上流側かつ前記記録媒体の前記トナー像を有する面側において、前記第1接触領域の周辺に設けられた送気入口、及び前記第2接触領域の前記記録媒体搬送方向下流側かつ前記記録媒体の前記トナー像を有する面側において、前記記録媒体の搬送路の周辺に設けられた送気出口を連結し、前記送気入口から入った気体を、気化した前記離型剤に由来する粒径100nm以下の粒子と共に、前記送気出口から前記記録媒体に向けて排気する送気管と、
    を備える画像形成装置。
  2. 前記トナー粒子における前記離型剤の融解温度が60℃以上90℃以下である請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記トナー粒子における前記離型剤がパラフィンワックスである請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記トナー粒子が結晶性樹脂を含む請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  5. 前記結晶性樹脂の含有量がトナー粒子の質量に対して3質量%以上20質量%以下である請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 前記結晶性樹脂の含有量がトナー粒子の質量に対して5質量%以上15質量%以下である請求項5に記載の画像形成装置。
  7. 前記トナー粒子のトルエン不溶分が25質量%以上40質量%以下である請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  8. 前記トナー粒子の形状係数SF1が140以上である請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  9. 前記送気出口が、前記第2接触領域に挿通された後であって、かつ加熱された前記トナー像が固化しきる前の状態にある前記記録媒体に対して、排気し得る位置に設けられた請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  10. 前記第1定着部から前記第2定着部までの間の前記記録媒体の搬送路において、前記記録媒体の前記トナー像を有する面側の少なくとも一部を覆う被覆部材を更に備える請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  11. 前記第1接触領域の前記記録媒体搬送方向上流側の端部から前記送気入口へと流れる気流を形成する整流板を更に備える請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  12. 前記送気管の内部を加熱する手段を有する請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  13. 前記第1回転体対での加熱によって前記記録媒体上の前記トナー像に与えられる熱量が、前記第2回転体対での加熱によって前記記録媒体上の前記トナー像に与えられる熱量よりも小さい請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  14. 前記第1回転体対における定着設定温度が100℃以上200℃以下である請求項13に記載の画像形成装置。
  15. 前記第1回転体対における定着設定温度が120℃以上200℃以下である請求項14に記載の画像形成装置。
  16. 前記第1回転体対における定着設定温度[T1]と、前記トナー粒子における前記離型剤の融解温度[T2]と、の差[T1-T2]が40℃以上120℃以下である、請求項14又は請求項15に記載の画像形成装置。
  17. 前記第1回転体対が、前記記録媒体の前記トナー像を有する面に接触して前記トナー像を加熱するベルト回転体と、前記記録媒体の逆側の面に接触するロール回転体との回転体対であり、前記第2回転体対が、前記記録媒体の前記トナー像を有する面に接触して前記トナー像を加熱するロール回転体と、前記記録媒体の逆側の面に接触するロール回転体との回転体対である請求項1~請求項16のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  18. 前記送気出口の前記第2接触領域に近い側の端部と、前記第2接触領域の前記記録媒体搬送方向下流側端部との、前記記録媒体搬送方向における距離が、10mm以上40mm
    以下である請求項1~請求項17のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  19. 前記送気入口の前記第1接触領域から遠い側の端部と、前記第1接触領域の前記記録媒体搬送方向上流側端部との、前記記録媒体搬送方向における距離が、20mm以上60mm以下である請求項1~請求項18のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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