JP7118713B2 - インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 - Google Patents
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Description
本発明のインクジェット記録方法は、第1インクを記録媒体に付与する記録工程と、第2インクを、第1インクを付与した領域の少なくとも一部に重なるように記録媒体に付与する記録工程とを有するインクジェット記録方法である。
第1インクは、銀粒子を含有する水性インクである。以下、第1インクを構成する成分について説明する。
銀粒子は、銀原子で構成されている。銀粒子は、銀原子以外にも、他の金属原子、酸素原子、硫黄原子、炭素原子などを含んで構成されていてもよいが、銀粒子中の銀原子の割合(%)は、50.0質量%以上であることが好ましい。
銀粒子の体積基準の累積50%粒径とは、粒径積算曲線において、測定された銀粒子の総体積を基準として小粒径側から積算して50%となった粒子の直径のことである。銀粒子の体積基準の累積50%粒径(nm)は、200nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましい。その理由は以下のとおりである。
銀粒子の分散方法としては、分散剤として界面活性剤を用いる界面活性剤分散タイプ、分散剤として樹脂を用いる樹脂分散タイプなどが挙げられる。勿論、第1インクにおいては、分散方法が異なる銀粒子を併用することも可能である。
第1インクは、銀粒子の分散剤として用い得る界面活性剤とは別に、さらに界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などを用いることができる。なかでも、界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤であることが好ましい。ノニオン性界面活性剤としては、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。なかでも、ノニオン性界面活性剤は、グリフィン法によるHLB値が10以上であることが好ましい。HLB値が10より小さいと、疎水性が高いため、第1インク中で溶けにくくなる。ここで、グリフィン法によるHLB値は、界面活性剤のエチレンオキサイド基の式量と界面活性剤の分子量から、HLB値=20×(界面活性剤のエチレンオキサイド基の式量)/(界面活性剤の分子量)の式より算出される。HLB値は、界面活性剤(化合物)の親水性や親油性の程度を、0から20の範囲で示すものである。HLB値が低いほど化合物の親油性(疎水性)が高いことを示す。一方、HLB値が高いほど化合物の親水性が高いことを示す。
第1インクは、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有する。水としては脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。水溶性有機溶剤としては特に限定されるものではなく、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、及び含窒素化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。また、これらの水溶性有機溶剤の1種又は2種以上をインクに含有させることができる。
第1インクには、上記成分の他に、尿素やその誘導体、トリメチロールプロパン、及びトリメチロールエタンなどの温度25℃で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。また、第1インクには、必要に応じて、pH調整剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、及びキレート剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
第1インクの温度25℃における粘度(mPa・s)は、1mPa・s以上5mPa・s以下であることが好ましく、1mPa・s以上3mPa・s以下であることがさらに好ましい。また、インクの温度25℃における表面張力(mN/m)は、10mN/m以上60mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以上60mN/m以下であることがより好ましく、30mN/m以上40mN/m以下であることがさらに好ましい。インクの表面張力は、インク中の界面活性剤の種類や含有量を適宜決定することで、調整できる。
第2インクは、染料を含有する水性インクである。以下、第2インクを構成する成分について説明する。
染料は、一般のインクジェット用のインクの色材として用いることのできるアニオン性染料であれば、特に限定されるものではない。なかでも染料は、アゾ骨格、フタロシアニン骨格、アントラピリドン骨格、及びキサンテン骨格からなる群より選択される少なくとも1種を有する化合物であることが好ましい。さらに、染料としては、インクの信頼性の観点から、インク中では溶解し、画像の発色性の観点から、記録媒体で凝集しやすい染料であることが好ましい。染料の有する骨格の種類やアニオン性基の数などにより、インク中での溶解性と、記録媒体での凝集性とのバランスを調整できる。
第2インクは、水性媒体として水を含有する水性インクである。水性媒体には、さらに水溶性有機溶媒を含有させることができる。水としては脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。水溶性有機溶剤としては特に限定されるものではなく、アルコール類、グリコール類、アルキレングリコール類、ポリエチレングリコール類、含窒素化合物類、及び含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。また、これらの水溶性有機溶剤の1種又は2種以上をインクに含有させることができる。
第2インクには、前記成分の他に、尿素やその誘導体、トリメチロールプロパン、及びトリメチロールエタンなどの常温(温度25℃)で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。また、第2インクには、必要に応じて、界面活性剤、樹脂、pH調整剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、及びキレート剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
第2インクの温度25℃における粘度(mPa・s)は、1mPa・s以上5mPa・s以下であることが好ましく、1mPa・s以上3mPa・s以下であることがさらに好ましい。また、第2インクの温度25℃における表面張力(mN/m)は、10mN/m以上60mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以上60mN/m以下であることがより好ましく、30mN/m以上40mN/m以下であることがさらに好ましい。第2インクの表面張力は、第2インク中の界面活性剤の種類や含有量を適宜決定することで、調整できる。
記録媒体は、インク受容層を有する。インク受容層は、多価金属塩、及びカチオン性樹脂の塩からなる群より選択される少なくとも1種のカチオン性化合物を含有する。インク受容層は通常、基材上に設けられる。
基材は、樹脂層を有する紙を用いることが好ましい。樹脂層は、紙の片面に設けられてもよいし、紙の両面に設けられてもよい。樹脂層を有する紙としては、例えば、熱可塑性樹脂を含有する樹脂層を有する紙などが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体などが挙げられる。なかでも熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン樹脂であることが好ましい。ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレンなどが挙げられる。なかでもポリオレフィン樹脂は、ポリエチレンであることが好ましい。ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)であることが好ましい。樹脂層は、不透明度、白色度、色相などを調整するために、白色顔料や蛍光増白剤や群青などを含有してもよい。なかでも、不透明度を向上するために、白色顔料を含有することが好ましい。白色顔料としては、酸化チタンなどが挙げられる。樹脂層中の白色顔料の含有量(質量%)は、25.0質量%以下であることが好ましい。紙としては、木材パルプを主原料とし、必要に応じてポリプロピレンなどの合成パルプや、ナイロン及びポリエステルなどの合成繊維を加えて抄紙したものが挙げられる。木材パルプとしては、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)などが挙げられる。基材の厚さ(μm)は、50μm以上400μm以下であることが好ましい。
インク受容層は、単層でもよいし、2層以上の複層でもよい。また、インク受容層は、上記基材の片面のみに設けられてもよく、両面に設けられてもよい。
塩化物イオンの捕捉剤は、1,2,3-ベンゾトリアゾール又はその誘導体であることが好ましい。1,2,3-ベンゾトリアゾールの誘導体としては、1-(メトキシメチル)-1H-ベンゾトリアゾール、1-(ヒドロキシメチル)-1H-ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
有機系の酸化防止剤は、アスコルビン酸又はその塩であることが好ましい。アスコルビン酸の塩を形成するカチオンとしては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属のイオン、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属のイオンなどが挙げられる。
インク受容層は、無機粒子を含有することが好ましい。無機粒子の一次平均粒子径は、150nm以下が好ましく、1nm以上100nm以下がより好ましく、3nm以上30nm以下がさらに好ましい。無機粒子の一次平均粒子径は、電子顕微鏡によって観察した際の無機粒子の一次粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径の数平均粒子径である。このとき100点以上で測定を行う。
インク受容層は、バインダーを含有することが好ましい。バインダーとは、無機粒子を結着し、膜を形成することができる材料を意味する。
インク受容層の耐水性を高めるために、インク受容層は、架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤としては、ジルコニウム系化合物、アミド系化合物、アルミニウム系化合物、ホウ酸、及びホウ酸塩などが挙げられる。これらの架橋剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。特にバインダーとしてポリビニルアルコールやその誘導体を用いる場合は、上記した架橋剤の中でも、ホウ酸やホウ酸塩を用いることが好ましい。ポリビニルアルコールやその誘導体は、親水性が高く、ポリビニルアルコールやその誘導体の有するヒドロキシ基とインク中の水が反応して、膨潤してしまう。これにより、インクの吸収性が低下してしまう場合がある。インク受容層がポリビニルアルコールやその誘導体を含有する場合でも、インク受容層が架橋剤を含有することで、インク中の水ではなく、架橋剤とヒドロキシ基が反応するため、インクの吸収性の低下を抑制できる。
カチオン性化合物は、多価金属塩、及びカチオン性樹脂の塩からなる群より選択される少なくとも1種である。カチオン性樹脂の塩の分子量は、1,000以上100,000以下であることが好ましい。カチオン性樹脂の塩のアミン価は、50mgKOH/g以上であることが好ましく、300mgKOH/g以上であることがさらに好ましい。
インク受容層は、これまで述べてきたもの以外のその他の添加剤を含有してもよい。具体的には、pH調整剤、増粘剤、離型剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、硬化剤などが挙げられる。
記録媒体の紙面pHは、6.0以下であることが好ましい。記録媒体の紙面pHとは、インク受容層のpHのことである。前記紙面pHが6.0を超えると、水酸化物イオンの量が多いため、水酸化物イオンと銀粒子の表面のイオン化された銀(銀イオン)が反応して、酸化銀(Ag2O)が形成される。この酸化銀により、銀粒子と銀粒子が融着しにくくなるため、緻密な銀層を形成しにくくなる。これにより、画像の発色性、及び光沢性が十分に得られない場合がある。
記録媒体を製造する方法は、第1塗工液を調製する工程、及び第1塗工液を基材に塗工する工程を有することが好ましい。さらに、カチオン性化合物、並びに、塩化物イオンの捕捉剤及び有機系の酸化防止剤の少なくとも一方を含む液体(以下、「第2塗工液」と記載)を基材に塗工する工程を有することが好ましい。以下、記録媒体の製造方法について説明する。
記録媒体に形成された銀層の緻密度は、走査型電子顕微鏡(SEM)で記録媒体の断面を観察することで得られる値である。銀層に細孔がない場合の緻密度を100%と定義する。そのため、銀層の緻密度が小さいほど、銀層に細孔が多いことを意味している。
(基材1の作製)
カナダ標準濾水度が450mLCSFの広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)80部、カナダ標準濾水度が480mLCSFの針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)20部、カチオン化澱粉0.60部、重質炭酸カルシウム10部、軽質炭酸カルシウム15部、アルキルケテンダイマー0.10部、カチオン性ポリアクリルアミド0.03部を混合し、これらの固形分の含有量が3.0%となるように水を加えて、紙料を得た。次いで、紙料を長網抄紙機で抄造し、3段のウエットプレスを行った後、多筒式ドライヤーで乾燥した。その後、サイズプレス装置で乾燥後の固形分が1.0g/m2となるように酸化澱粉水溶液を含浸、乾燥させた。さらに、マシンカレンダー仕上げをして、坪量が170g/m2、ステキヒトサイズ度100秒、透気度50秒、ベック平滑度30秒、ガーレー剛度11.0mN、膜厚が100μmの基紙を作製した。次いで、低密度ポリエチレン(LDPE)70部、高密度ポリエチレン(HDPE)20部、及び酸化チタン10部の樹脂組成物を、乾燥塗工量が25g/m2となるように、基紙の片面に塗工した。なお、この面を基材の表面とする。さらに、低密度ポリエチレンを、基紙のもう一方の面に塗工することで、基材1を得た。
軽質炭酸カルシウム20.0部を、広葉樹晒クラフトパルプ100.0部のスラリー中に添加し、カチオン澱粉2.0部、無水アルケニルコハク酸系中性サイズ剤0.3部を添加し、十分に混合して抄紙原料とした。長網多筒式抄紙機を用いて水分を10%まで乾燥させ、サイズプレスで酸化澱粉の7%溶液を両面で4g/m2塗布し、さらに水分を7%まで乾燥させて坪量110g/m2の基紙を作製した。その基紙の表裏両方の面に高密度ポリエチレン70部と低密度ポリエチレン20部で構成される樹脂組成物を、片面あたり30g/m2の塗工量となるように溶融押し出し塗布して、基材2を得た。
(無機粒子分散液1の調製)
純水160.0g中に、アルミナ水和物(DISPERAL HP14、サソール製)40.0g、メタンスルホン酸0.6gを添加した。その後、ミキサーで30分間撹拌し、無機粒子であるアルミナ水和物を20.0%含有する無機粒子分散液1を調製した。無機粒子分散液中のアルミナ水和物の一次平均粒子径は130nmであった。
イオン交換水498部に、酢酸2部を添加した。この酢酸水溶液をホモミキサー(T.K.ホモミキサーMARKII2.5型、特殊機化工業製)で3000rpmの回転条件で撹拌しながら、アルミナ水和物(DISPERAL HP14、サソール製)100部を少量ずつ添加した。その後、30分撹拌することで、酢酸によりアルミナ水和物が分散され、アルミナ水和物を23.0%含有する無機粒子分散液2を調製した。
イオン交換水333部に、カチオン性ポリマー(シャロールDC902P、第一工業製薬製)4部を添加した。このカチオン性ポリマー水溶液をホモミキサー(T.K.ホモミキサーMARKII2.5型、特殊機化工業製)で3000rpmの回転条件で撹拌しながら、気相法シリカ(AEROSIL300、EVONIK製)100部を少量ずつ添加した。その後、得られた溶液をイオン交換水で希釈し、高圧ホモジナイザー(ナノマイザー、吉田機械興業社製)で2回処理することで気相法シリカを微粒子化して、気相法シリカを20.0%含有する無機粒子分散液3を調製した。
ポリビニルアルコール(PVA235、クラレ製、重合度:3500、ケン化度:88%)をイオン交換水中に溶解させて、固形分8.0%のポリビニルアルコール水溶液を得た。そして、無機粒子分散液1にポリビニルアルコール水溶液を、無機粒子の含有量に対して、ポリビニルアルコールの含有量が10.0%となるよう混合した。さらに、架橋剤であるオルトホウ酸をイオン交換水中に溶解させて、オルトホウ酸を3.0%含有するホウ酸水溶液を得た。無機粒子の含有量に対して、ホウ酸の含有量が1.0%となるよう、ホウ酸水溶液を混合して、第1塗工液1を得た。
ポリビニルアルコール(PVA235クラレ製、重合度:3500、ケン化度:88%)をイオン交換水中に溶解させて、ポリビニルアルコールを8.0%含有するポリビニルアルコール水溶液を得た。さらに、架橋剤であるオルトホウ酸をイオン交換水中に溶解させて、オルトホウ酸を3.0%含有するホウ酸水溶液を得た。これらの水溶液を用いて、表1に記載の含有量(部)となるように、第1塗工液2~6を調製した。
国際公開第2008/049519号公報の実施例2の調製方法の記載に準じて、銀粒子の分散液1(銀粒子の含有量が20.0%、樹脂の含有量が2.0%)を得た。さらに、特開2004-285106号公報の実施例2-2の調製方法の記載に準じて、銀粒子の分散液2(銀粒子の含有量が20.0%、界面活性剤の含有量が2.0%)を得た。銀粒子の分散液3及び4は、銀粒子の分散液2と同様の方法で調製したが、調製の際に撹拌速度を変更することで、D50の値を変更した。銀粒子の分散液5、6、7及び8は、銀粒子の分散液1と同様の方法で調製したが、分散剤の含有量を変更した。銀粒子のD50は、得られた画像の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して求め、表7に記載した。さらに、分散液中の分散剤の含有量も表7に記載した。
表8に記載の各成分を混合して、十分撹拌した後、ポアサイズ1.2μmのフィルターにて加圧ろ過を行い、第1インクを得た。アセチレノールE100は、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤である。アセチレノールE100は、グリフィン法により求められるHLB値が13である。化合物1は、後述に記載のとおり、C.I.アシッドブルー9である。
(染料の準備)
下記の化合物を準備した。化合物3の構造式は、遊離酸型で示すが、カリウム塩として使用した。
化合物1:C.I.アシッドブルー9
化合物2:C.I.アシッドレッド249
化合物3:特開2016-108545号公報の合成方法の記載に準じて合成した遊離酸型として、下記式(2)で表される化合物のカリウム塩
表9に記載の各成分を混合して、十分撹拌した後、ポアサイズ1.2μmのフィルターにて加圧ろ過を行い、第2インクを得た。アセチレノールE100は、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤である。
表10及び11に記載の第1インク及び第2インクを、それぞれインクカートリッジに充填し、熱エネルギーによりインクを吐出する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置(PIXUS MG3630、キヤノン製)にセットした。本実施例において、第1インクは、1/600インチ×1/600インチの単位領域に、約11.2ngのインク滴を2滴付与する条件で記録した画像を記録デューティが100%であると定義する。第2インクは、1/600インチ×1/600インチの単位領域に、約5.7ngのインク滴を2滴付与する条件で記録した画像を記録デューティが100%であると定義する。前記インクジェット記録装置を用いて、表10及び表11に記載の記録媒体に、記録デューティ100%で第1インクを付与した。その後、前記第1インクを付与した領域と少なくとも一部が重なるように、記録デューティ100%で第2インクを付与した。本発明においては、下記の評価の評価基準で、AAA、AA、A又はBを許容できるレベルとし、Cを許容できないレベルとした。評価結果は、表10及び11に記載する。
積分球型測色計CM-2600d(コニカミノルタ製)のSCIモードを用いて、以下のように測定し、発色性の評価を行った。銀粒子を含有する第1インクのみを用いて記録デューティ100%で記録した画像のa0 *及びb0 *、銀粒子を含有するインク及び染料を含有するインクを用いて各インクを記録デューティ100%で記録した画像のa1 *及びb1 *を測定した。これらの値を用いて、色差ΔEab={(a1 *-a* 0)2+(b1 *-b* 0)2}1/2の式からΔEabを算出した。a*及びb*は、CIE(国際照明委員会)により規定されたL*a*b*表示系の値である。ΔEabが2.0以上であると、銀色ではなく使用した染料の色調が認識できる画像となる。ΔEabの値が大きいと、使用した染料の色調が良く認識される画像となる。
AA:ΔEabが10.0以上12.0未満だった
A:ΔEabが6.0以上10.0未満だった
B:ΔEabが2.0以上6.0未満だった
C:ΔEabが2.0未満だった。
得られた画像について、変角分光光度計(GSP-2、村上色彩製)を用いて、鮮明度=L/w(Lは、分光光度計の受光部で測定される明度のうち、最も高い明度の値で、wはLの半値(L/2)を示す2点の受光角の幅)を測定した。鮮明度の値が0.2以上であれば、画像を目視で観察する場合に、観察する角度によって明度が変化するため、光沢性を有していると認識できる。
AA:鮮明度が0.6以上だった
A:鮮明度が0.4以上0.6未満だった
B:鮮明度が0.2以上0.4未満だった。
第1インクにより記録デューティが100%であるベタ画像を記録した。このベタ画像を、温度25℃、相対湿度50%の環境に1日置いて乾燥させ、光沢度計(VG7000、日本電色工業製)を用いて60度鏡面光沢度を測定した(試験前の光沢度aとする)。その後、槽内温度25℃、相対湿度80%としたガス腐食試験機(スガ試験機製)内にベタ画像を36時間載置することで、混合ガス(0.90ppmのNO2ガス、0.05ppmのSO2ガス、及び0.15ppmのO3ガス)にベタ画像を晒した。その後、ベタ画像の60度鏡面光沢度を再び測定した(試験後の光沢度bとする)。そして、b/a×100(%)の式に基づいて、光沢度の低下率を算出して、以下の基準で光沢性の経時変化を評価した。光沢度の低下率が小さいほど、光沢性の低下が抑制された画像であることを意味する。
A:光沢度の低下率が、50%未満だった
B:光沢度の低下率が、50%以上だった。
Claims (17)
- 第1インクを記録媒体に付与する記録工程と、
第2インクを、前記第1インクを付与した領域の少なくとも一部に重なるように前記記録媒体に付与する記録工程と、を有するインクジェット記録方法であって、
前記第1インクが、銀粒子を含有する水性インクであり、
前記第2インクが、アニオン性染料を含有する水性インクであり、
前記記録媒体が、多価金属塩、及びカチオン性樹脂の塩からなる群より選択される少なくとも1種のカチオン性化合物を含有するインク受容層を有し、
前記多価金属塩が、(i)鉄、アルミニウム、及びジルコニウムからなる群より選択される少なくとも1種の多価金属のイオンと、酢酸イオン、塩化物イオン、及び硫酸イオンからなる群より選択される少なくとも1種の陰イオンとの塩、並びに、(ii)ポリ塩化アルミニウム、からなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記カチオン性樹脂の塩が、1級乃至4級アミン構造を有する樹脂の硝酸塩、及び1級乃至4級アミン構造を有する樹脂の硫酸塩からなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記インク受容層の単位面積あたりの前記カチオン性化合物の含有量(g/m2)が、0.20g/m2以上であることを特徴とするインクジェット記録方法。 - 前記多価金属塩が、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸鉄(II)、及びポリ塩化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記カチオン性樹脂の塩が、ポリアリルアミン硝酸塩である請求項1に記載のインクジェット記録方法。 - 前記カチオン性化合物が、ポリアリルアミン硝酸塩である請求項1に記載のインクジェット記録方法。
- 前記インク受容層の単位面積あたりの前記カチオン性化合物の含有量(g/m2)が、5.00g/m2以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記銀粒子の体積基準の累積50%粒径(nm)が、150nm以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記銀粒子の体積基準の累積50%粒径(nm)が、1nm以上である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記インク受容層が、塩化物イオン、並びに、塩化物イオンの捕捉剤、及び有機系の酸化防止剤からなる群より選択される少なくとも1種を含有する請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記インク受容層が、塩化物イオン、及び、塩化物イオンの捕捉剤を含有する請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記塩化物イオンの捕捉剤が、1,2,3-ベンゾトリアゾール又はその誘導体であり、前記有機系の酸化防止剤が、アスコルビン酸又はその塩である請求項7又は8に記載のインクジェット記録方法。
- 前記インク受容層が、下記の条件(1)及び(2)の少なくとも一方を満たす請求項7乃至9のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
条件(1) 前記インク受容層の単位面積あたりの前記塩化物イオンの捕捉剤の含有量(g/m2)が、0.02g/m2以上0.15g/m2以下である。
条件(2) 前記インク受容層の単位面積あたりの前記有機系の酸化防止剤の含有量(g/m2)が、0.05g/m2以上0.25g/m2以下である。 - 前記インク受容層が、ポリビニルアルコール又はその誘導体、及び架橋剤を含有し、
前記インク受容層中の前記架橋剤の含有量が、前記ポリビニルアルコール又はその誘導体の含有量に対して、0.40当量以上1.00当量以下である請求項1乃至10のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。 - 前記架橋剤が、ホウ酸又はその塩である請求項11に記載のインクジェット記録方法。
- 前記記録媒体の紙面pHが、6.0以下である請求項1乃至12のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記インク受容層の単位面積あたりの前記カチオン性化合物の含有量(g/m2)が、0.70g/m2以上である請求項1乃至13のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記第1インク中の前記銀粒子の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、2.0質量%以上15.0質量%である請求項1乃至14のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記第2インク中の前記アニオン性染料の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、1.0質量%以上10.0質量%である請求項1乃至15のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 第1インクを記録媒体に付与した後に、第2インクを前記記録媒体に付与する手段を備えたインクジェット記録装置であって、
前記第1インクが、銀粒子を含有する水性インクであり、
前記第2インクが、アニオン性染料を含有する水性インクであり、
前記記録媒体が、多価金属塩、及びカチオン性樹脂の塩からなる群より選択される少なくとも1種のカチオン性化合物を含有するインク受容層を有し、
前記多価金属塩が、(i)鉄、アルミニウム、及びジルコニウムからなる群より選択される少なくとも1種の多価金属のイオンと、酢酸イオン、塩化物イオン、及び硫酸イオンからなる群より選択される少なくとも1種の陰イオンとの塩、並びに、(ii)ポリ塩化アルミニウム、からなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記カチオン性樹脂の塩が、1級乃至4級アミン構造を有する樹脂の硝酸塩、及び1級乃至4級アミン構造を有する樹脂の硫酸塩からなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記インク受容層の単位面積あたりの前記カチオン性化合物の含有量(g/m2)が、0.20g/m2以上であることを特徴とするインクジェット記録装置。
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