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JP7106854B2 - 樹脂製密閉容器 - Google Patents

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JP7106854B2 JP2017238994A JP2017238994A JP7106854B2 JP 7106854 B2 JP7106854 B2 JP 7106854B2 JP 2017238994 A JP2017238994 A JP 2017238994A JP 2017238994 A JP2017238994 A JP 2017238994A JP 7106854 B2 JP7106854 B2 JP 7106854B2
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Description

本発明は、容器及び蓋から成る易開封性密閉容器に関するものであり、より詳細には、リシールに際して容易に蓋を容器口部に嵌合可能な樹脂製の密閉容器に関する。
食品用途の包装容器として、樹脂製の容器のフランジ部に可撓性を有する蓋をヒートシールで密封して成る密閉容器が広く使用されている。
このような密閉容器は、容器の密閉性を確保する一方、ヒートシールで溶着された蓋を手で容易に剥離して開封できるという、密封性能とは相反する性能を有することも要求されている。
このような密閉容器としては、例えば下記特許文献1には、容器の少なくとも内層を含む層が剥離可能に形成され、前記フランジ部上面には、開封開始部と、2本の周状の切り込みが設けられ、前記2本の周状の切り込みのうち外側の切り込みと連接して、前記フランジ部の上面より低い部分が形成されており、前記フランジ部の上面より低い部分が、前記外側の切り込みより浅く、開封開始部において、前記蓋材のヒートシール部が、外側の切り込みに向かってからす口状に突出した形状且つ前記フランジ部の上面より低い部分にはみ出して形成されている易開封性容器が提案されている。
一方、ヒートシール容器においても、内容物が残った場合などに、一旦容器から引き剥がした蓋を再び容器に嵌合して、再密封(リシール)できることが望まれており、このため落とし蓋形状の成形蓋を使用することにより、リシール性を持たせた密閉容器も提案されている(特許文献2)。
再密封可能なヒートシール容器としては、例えば下記特許文献3には、表面樹脂層と特定のスチレン系熱可塑性エラストマーを主成分とする粘着樹脂層とヒートシール性樹脂層とから成る再封機能付き多層フィルムを用いて成る包装体が提案されている。
特許第4719411号公報 特開2004-331156号公報 特開2007-125820号公報
上記特許文献1に記載された易開封性容器は、開封開始部のヒートシール部の外端が常に外側の切り込みと一致していると共に、ヒートシール部と開封開始部を除いた2本の周状の切り込みとの間に非融着部を設けていることから、優れた易開封性を有するが、この易開封性容器では、リシールをすることができない。
また上記特許文献2に記載された落とし蓋形状の成形蓋は、可撓性の高いシート状の蓋に比して厚みがあり剛性が高いことから、シール性に劣ると共に開封に際して蓋が歪みやすい場合がある。
更に上記特許文献3に記載された再封機能付き多層フィルムを用いて成る包装体においては、特定の粘着樹脂層を用いることにより、剥離時に露出した表面樹脂層と粘着樹脂層が手や指による加圧接着のみで再封止性が発現されるが、再密封した際の密封性の点で未だ十分満足するものではなく、しかも容器及び蓋を多層構造にする必要があり、経済性や生産性の点で未だ十分満足するものではない。
また本発明者等は、上記問題が解決された密閉容器として、容器本体と、別体のフランジ部材とから成る容器と、該容器の開口部を覆う蓋部材とから成る密閉容器であって、開封に際して前記容器本体と前記フランジ部材の接合面が剥離することを特徴とする密閉容器を提案した(特願2016-116084)。
上記密閉容器においては優れた密閉性と易開封性を有すると共に、リシールも可能であるが、容器本体とフランジ部材が密着するように一体的に成形されているため、リシールに際してフランジ部材を容器口部に嵌合し難いという問題があった。
従って本発明の目的は、優れた密封性と易開封性とを有すると共に、リシールに際して蓋を容器口部に容易に嵌合可能であり、しかも生産性や経済性にも優れた密閉容器を提供することである。
本発明によれば、少なくとも底部及び側壁部を有する容器本体、及び該容器本体とは別体のフランジ部材とから成る容器と、該容器の開口部を覆う蓋部材とから成る密閉容器であって、前記フランジ部材が、環状のフランジ部及び該フランジ部の下面から下方に延び且つ容器本体側壁部外面と密着する環状側壁から成り、前記環状側壁の容器本体側壁部外面との接合面には、係合用突起が形成されており、前記容器本体側壁部外面の環状側壁との接合面には、前記容器本体と前記フランジ部材が一体化した状態において前記係合用突起と係合する、前記係合用突起の形状に合致する環状の係合用凹部が形成されており、前記係合用突起よりも上方に位置する接合面は、容器軸方向にストレート状の接合面として形成されており、前記係合用突起よりも下方に位置する接合面は、下方に行くに従って前記環状側壁の内径が大きくなるテーパ状の接合面として形成されており、開封後の環状側壁下端の内径が容器本体口部の外径よりも大きくなるようにテーパが形成されていることを特徴とする密閉容器が提供される。
本発明の密閉容器においては、
1.前記容器本体側壁部外面には、テーパが形成された接合面の下部に段差が形成されていること、
2.前記環状側壁には下端から上方に延びる切欠きが形成されていること、
3.前記環状側壁には径方向外方に延びる凸部が形成されていること、
4.前記環状側壁が、長さが3~15mmの範囲にあり、テーパ角度が軸方向に対して2~15°の範囲にあること、
5.前記フランジ部材の最内周には、下に凸の環状凸状が形成されていること、
6.突起よりも下方のテーパ角度よりも小さいテーパ角度のテーパ状であること、
が好適である。
本発明によればまた、上記密閉容器の成形方法であって、容器本体を先に成形し、該容器本体をフランジ部材成形金型に設置した後、該金型にフランジ部材を構成する樹脂を供給して、容器本体及びフランジ部材を一体に成形し、容器本体及びフランジ部材の接合面がフランジ部材を構成する樹脂の収縮により密着することを特徴とする密閉容器の成形方法が提供される。
本発明の密閉容器においては、別途成形された容器本体をフランジ部材成形のための金型内に設置して、フランジ部材を構成する樹脂を供給して、フランジ部材の成形と容器本体との一体化を同時に行うことにより、フランジ部材の成形収縮によって、容器本体及びフランジ部材が接着性に乏しい或いは接着性のない樹脂の組み合わせで成形されていても、容器本体及びフランジ部材がぴったりと密着していることから、優れた密閉性を有している。
また開封に際しては容器本体とフランジ部材の接合面は非接着又は弱接着(易剥離)であることから容易に剥離するため、蓋と強固に接合されたフランジ部材が容器本体から容易に取り外され、開封することが可能になる。
更に、リシールに際しては、フランジ部材の環状側壁との容器本体側壁部外面との接合面の下部に、環状側壁下端の内径が容器本体口部の外径よりも大きくなるようにテーパが形成されていることから、リシールに際してフランジ部材の環状側壁下端が容器口部先端にぶつかったりすることなく、容器口部と容易に嵌合することが可能であり、リシール性にも優れている。
本発明の密閉容器においては更に、上記のようにフランジ部の環状側壁が容器本体の側面と密着するように形成されており、この環状突起と容器本体の側面の接合面に互いに係合する係合用突起が形成されていることがより好適であり、これにより、意図外に蓋の開封方向(上下方向)の力が作用しても容易に係合が解除されず、リシール時の密封性をも確保することが可能になる。
本発明の密閉容器の一例を示す図であり、(A)は斜視図、(B)は(A)のX-X側断面図を示す。 図1に示す密閉容器の部分拡大図である。 本発明の密閉容器の開封機構を説明するための図である。 本発明の密閉容器のリシール時の状態を説明するための図である。 フランジ部材の他の態様を示す部分斜視図である。 開封力の測定方法を説明するための図である。
(密閉容器)
本発明の密閉容器を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明の密閉容器1は、容器本体2、容器本体の開口部に位置し、容器本体とは別体のフランジ部材3、及びフランジ部材3にヒートシールで溶着される蓋4からなっている。
容器本体2は、図1に示すように、少なくとも底部21、側壁部22から成っている。またフランジ部材3は、図1(B)から明らかなように、容器本体2の開口部先端23と全周にわたって当接し、容器本体の開口部先端23の部分から外方に延びる環状のフランジ部31、このフランジ部31の下面から下方に延び、容器本体側壁部22の外面と密着し、容器本体の側壁部上方を外側からタガ締めする環状側壁32から成っている。
容器本体とフランジ部材が一体化した状態では、フランジ部材は成形収縮により容器本体をタガ閉めしているが、フランジ部材は容器本体に拘束されていることにより大きな縮径が起きていない。しかし、フランジ部材が容器本体から取り外されると、拘束していた容器本体がなくなるためフランジ部材は縮径を起こす。この開封し縮径した後のフランジ部の下面から下方に伸びている環状側壁部32の下端の内径をD2´とする。
本発明においては、後述するように、この開封し縮径した後の環状側壁32の下端の内径(D2´)が容器本体口部の外径(D1)よりも大きくなるようにテーパが形成されていることが重要な特徴であり、これにより、前述したように、リシールの際にフランジ部材3の環状側壁32下端が容器口部先端23にぶつかることなく容易に容器口部に嵌合できる。
図1に示す具体例においては、フランジ部材3の環状側壁32及び容器本体側壁部22に、環状側壁32の内面に環状の係合用突起33、及びこの係合用突起33の形状に合致する環状の係合用凹部24が容器本体外面側に形成されている。なお反対に環状側壁32の内面に係合用突起の形状に合致する環状の係合用凹部、及び容器本体外面側にこの環状の係合用凹部に合致する係合用突起が形成されていても良い。これにより環状側壁32によるフランジ部材3の容器本体への固定のみならず、環状側壁32と容器本体側壁部22間の係合によって更にフランジ部材3を容器口部に強固に固定できる。
蓋4は、フランジ部材3の外径とほぼ同じ大きさのシート状蓋であり、フランジ部材3のフランジ部31上面とヒートシール等の接合方法により剥離不可能に固着されており、その一端にフランジ部材3外縁よりも外側に延びる開封用片41が形成されている。
前述したとおり、本発明の密閉容器においては、容器本体とフランジ部材が、互いに接着性に乏しい或いは非接着性の樹脂の組み合わせから成形されていることから、開封に際して、容器本体及びフランジ部材の接合面が容易に剥離し、容器本体からフランジ部材が分離することにより、フランジ部材と一体化した蓋が容器本体から取り除かれて開口が形成される。
図2は、上述した図1の密閉容器のP部分を拡大して示す図である。
本発明の密閉容器においては、フランジ部材3の環状側壁32の係合用突起33よりも下方に位置する容器本体側壁部22との接合面34が、下方に行くにしたがって、環状側壁の内径が大きくなるテーパ状の接合面として形成されている。また容器本体2の側壁部22にも同様に、このテーパ状の接合面34に対応するように、下方に行くに従って容器本体側壁部の外径が大きくなるテーパ状の接合面25として形成されている。このテーパは、開封し縮径した後の環状側壁32のテーパ状の接合面34の下端における内径(D2´)が、容器本体2の口部先端における外径(D1)よりも大きくなるように形成されている。
また容器本体側壁部22には、係合用凹部24より下方で、容器本体側壁が下方に行くに従って外径が大きくなるようなテーパ状接合面25が形成されることに伴い、テーパ状接合面が容器本体側壁部22よりも突出した状態になることから、テーパ状接合面25の下端において、段差26が形成される。この段差26は、複数の容器をスタッキングする際に、容器が密着して取り外せなくなることを防止できると共に、容器口部の強度を向上できるため、繰り返しリシールを行うことによる容器へのダメージを軽減できる。さらにフランジ部材成形時に容器本体を金型内に設置する位置決めとして使用できる。
本発明において、テーパ角度(図2のθ)は、上記の容器本体口部先端における外径(D1)と開封し縮径した後の環状側壁下端の内径(D2´)がD2´>D1となる限り特に限定されないが、環状側壁の長さが3~15mmの範囲にある場合には、2~15°の範囲にあることが好ましい。さらに3~10°の範囲にあることが好適である。
図3は、本発明の密閉容器の開封操作を説明するための図であり、図3(A)は、密封状態を示す図であり、図3(B)は蓋4の開封用片41を引き上げ始めた状態を示す図であり、図3(C)はフランジ部材3の環状側壁32が容器本体から外れた状態を示す図である。
上述したとおり、密閉状態においては、図3(A)に示すように、容器本体2の開口先端部23及び側壁部22の上方が、フランジ部材3のフランジ部31の内周側と環状側壁32と容易に剥離可能に接合していると共に、フランジ部材の環状側壁32は成形時に樹脂が収縮することにより外側から容器側壁部22の上方をタガ締めし、更に容器本体2の側壁部外面と環状側壁32の内面に形成された互いに嵌合し合う係合用凹部24及び係合用突起33によってがっちりと組み合わされている。また蓋4は、フランジ部材3と溶着部5によって剥離不可能に接合されているので、容器内は確実に密閉状態が維持されている。
図3(B)に示すように、開封するために蓋4の開封用片41を上方に引き上げると、フランジ部材3もこれに追従し、容器本体及びフランジ部材の接合面が剥離し始めると共に、環状側壁32による外側からのタガ締めが緩められ、係合用凹部24と係合用突起33の係合が解除され始める。更に開封用片41を引き上げると、図3(C)に示すように、フランジ部材3が容器本体から完全に分離して開封される。
図4は、図1の密閉容器において、開封した後、リシールする際の状態を示す拡大断面図である。リシールに際して、フランジ部材3の環状側壁32の内面が容器口部側壁部外面と当接するように、フランジ部材を容器口部に嵌合させるが、本発明の密閉容器においては、開封し縮径した後のフランジ部材3の環状側壁32の下端の内径(D2´)が容器口部先端の外径(D1)よりも大きいことから、フランジ部材の環状側壁の下端36と、容器口部先端23がぶつかることなく、フランジ部材3を容器口部に嵌合できる。
本発明の密閉容器においては、後述するように、予め成形された容器本体をフランジ部材を形成するための金型に設置して、フランジ部材の成形と、フランジ部材と容器との一体化を同時に行うことにより成形されることから、フランジ部材の環状側壁は成形時に収縮して容器本体をタガ締めするように一体化される。このため、容器本体とフランジ部材の環状側壁は高い密着性を有していることから、容器は高い密封性を発現できる。フランジ部材3と容器本体2との接合面の一部は、開口部先端23から容器本体2の内側側壁にかけて存在している。そのため、フランジ部材3の最内周には下に凸の環状突部39が存在する。これにより内圧が接合面に集中することを回避できる。
その一方、フランジ部材の材質によっては、開封に際してフランジ部材を容器本体から脱離させるのにある程度の力が必要になってしまう場合があるが、図5(A)に示すように、フランジ部材の環状側壁32に下端から延びる切欠き(或いは薄肉部)37を形成したり、或いは図5(B)に示すように、径方向外方に突出する凸部38を形成しておくことにより、開封性を高めることが可能になる。
(使用樹脂)
本発明においては、容器本体及びフランジ部材が、フランジ部材の成形と同時に容器本体と一体化されていることから、容器本体及びフランジ部材を構成する樹脂が全く接着性のない樹脂の組み合わせであっても密閉状態を確実に維持可能であり、開封時においては容器本体及びフランジ部材は容易に剥離することができる。勿論、容器本体を構成する樹脂とフランジ部材を構成する樹脂を易剥離性を発現可能な組み合わせにすることもできるが、この場合には、接着強度を調整することが好ましい。密封性能及び易開封性能の両方を満足するために好適な接着強度としては、図6に示すように、フランジ部材3に溶着された蓋4の一端にプッシュプルゲージ6を取り付け、これを蓋4に対して45度の方向に引き上げることによって測定した開封力(剥離強度)が、0.5~2.5Kgfの範囲にあることが望ましい。
尚、容器本体を構成する樹脂とフランジ部材を構成する樹脂の組み合わせ以外にも、フランジ部材の環状側壁と容器本体の接合面に形成される係合用突起及び係合用凹部間の係合によって密封性能を高めることができる。
非接着性の樹脂の組み合わせとしては、容器本体をプロピレン系重合体から構成する場合、フランジ部材をエチレン系重合体から構成することができる。
また容易に凝集破壊を生じて易開封性を発現可能な樹脂の組み合わせとしては、ヒートシール性があり且つ相溶性のない2種以上の熱可塑性樹脂を適宜組み合わせることができる。例えば、容器本体をプロピレン系重合体から構成する場合、フランジ部材をエチレン系重合体とプロピレン系重合体のブレンド物から構成することにより、密封性を確保しつつ易剥離性を保持することができ、ブレンド物のブレンド比を適宜変更することにより剥離強度を調整することができる。
上記プロピレン系重合体としては、ホモポリプロピレンの他、プロピレンとエチレンもしくは他のα-オレフィン、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン等とのランダム共重合体等を挙げることができる。また上記エチレン系重合体としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中・高密度ポリエチレン(MDPE、HDPE)等のエチレンの単独重合体、もしくはエチレンと、例えば1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン等の他のα-オレフィンや、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、酢酸ビニル、スチレン等のビニル系単量体等との共重合体、或いはアイオノマー等を挙げることができる。
またブレンド物としては上記オレフィン系重合体同士の組み合わせ以外にも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートイソフタレート共重合体等の熱可塑性ポリエステル樹脂や、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂等と、上記オレフィン系重合体との組み合わせ等も使用することができる。
ブレンド物としてプロピレン系重合体とエチレン系重合体を使用する場合に、ブレンド物から成るフランジ部材がプロピレン系重合体から成る容器本体との良好な易剥離性を発現するためには、プロピレン系重合体とエチレン系重合体を重量比で、5:5~9.5:0.5の範囲でブレンドしたブレンド物を好適に使用することが好ましい。
本発明において、容器本体、フランジ部材、及び蓋の樹脂の組み合わせとしては、これに限定されないが、以下の組み合わせを例示することができる。
例えば、容器本体とフランジ部材を非接着の樹脂から成形する場合には、容器本体をプロピレン系重合体で成形し、フランジ部材をエチレン系重合体で成形し、蓋の少なくとも内層を、フランジ部材と同様のエチレン系重合体から形成することができる。容器本体及びフランジ部を易剥離性の樹脂から成形する場合には、容器本体をプロピレン系重合体で成形し、フランジ部材をプロピレン系重合体とエチレン系重合体のブレンド物で成形し、蓋の少なくとも内層を、フランジ部材と同様のプロピレン系重合体とエチレン系重合体のブレンド物から形成することができる。
また本発明においては、フランジ部材と蓋との間の接合は上述したとおりヒートシールにより剥離不可能に接合することが特に好適であるが、酸変性オレフィン系樹脂等の接着性樹脂を用いた接合や、蓋或いはフランジ部材にレーザ照射により発熱する材料を含有させてレーザ溶着により剥離不可能に接合することもできる。
本発明の密閉容器における容器の形状は、特に限定されず、開口部の形状が円形、楕円形の他、矩形であってもよい。またフランジ部で蓋を接合し得るかぎり、カップ型、トレイ型等従来公知の形状を採用できる。更に容器本体は、前述した樹脂の単層構成であってもよいが、フランジ部材との接合面が上述した条件を満足する限り、ガスバリア性中間層等を有する多層構成であってもよい。
本発明の密閉容器に使用される蓋としては、フランジ部材と剥離不可能に接合される以外は、従来公知の蓋を使用することができる。
例えば、フランジ部材と同様の樹脂から成る層をフランジ部材側に少なくとも有する可撓性の単層フィルム又は多層フィルム、具体的には、前記内層/ガスバリア性中間層/外層等から成る可撓性積層体を挙げることができる。
上記ガスバリア性中間層を構成する材料としては、アルミニウム箔等の金属箔、無機蒸着フィルム、エチレンビニルアルコール共重合体等のガスバリア性樹脂等を例示できる。
また、フランジ部材と同様の樹脂から成る層をフランジ部材側に少なくとも有する落とし蓋形状の成形蓋であってもよい。このような落とし蓋形状の成形蓋は、シートからの熱成形、圧縮成形、射出成形等の従来公知の方法により成形することができる。
(製造方法)
本発明の密閉容器において容器は、前述した構成を有する限り、種々の方法で製造することができるが、好適には、予め成形された容器本体と、フランジ部材を成形しながら一体化することにより、成形時の樹脂の収縮を利用して効率よく、両者を密着させることが可能になる。
すなわち、予め射出成形等で成形した容器本体を、フランジ部材成形用の圧縮成形型又は射出成形型に挿入して、フランジ部材を圧縮成形又は射出成形により成形するインサート成形によって、容器本体及びフランジ部材を一体的に成形することができる。
容器及び蓋の接合は、前述したとおり、ヒートシール等によって行うことができる。
本発明を次の例によりさらに説明する。
(容器先端部外径及びフランジ環状側壁部内径測定)
容器本体及びフランジ部材を一体に成形したカップ型容器において、フランジ開口部を蓋部材にてヒートシールした後、一度開封させる。その後、容器本体先端部の外径(D1)及びフランジ部の下面から下方に伸びる環状側壁部最下部の内径(D2´)をノギスによって測定し、クリアランス(D2´-D1)を算出した。サンプル数はN=1である。その結果を、表1に示す。
(再封性評価)
再封しやすさについて検証するために官能評価を行った。
容器本体及びフランジ部材を一体に成形したカップ型容器において、フランジ開口部を蓋部材にてヒートシールした後、一度開封させる。その後、無作為に選んだ5人に再封性の評価をしてもらい、一人でも再封できない人がいた場合は×とし、すべて再封できた場合は○とした。結果を、表2に示す。
(開封力評価)
容器本体及びフランジ部材を一体に成形したカップ型容器において、フランジ開口部を蓋部材にてヒートシールした後、図6に示すように先端に締め具を取り付けたフォースゲージ((株)イマダ製 PSM-10)によりフランジ部及び蓋部材をともにクランプして角度45°で引張り開封させ、そのとき引張力の最大値を測定した。これを開封力とした。前記フォースゲージは10kgfまでしか測定できないため、開封力が10kgf以上の値の場合、開封できないとし開封の可否を判定した。
なおフランジ部材のフランジ下面から下方に伸びる環状側壁部に凹部または凸部のある場合は、その部分の径方向外側を占め具でクランプして開封する。凹部または凸部がない場合は周方向どこでもよい。サンプル数はN=3である。結果を、表3及び4に示す。
[実施例1]
ホモポリプロピレン樹脂((株)プライムポリマー製 J105G)をφ30押出機(L/D=25)に供給し、押出機温度230℃、ダイ温度230℃、樹脂圧力9.0MPaの条件で押し出すと共に切断し、溶融樹脂塊を得た。この溶融樹脂塊を25℃の圧縮金型内に搬送して、胴部先端を予め規定し、容器胴部及び底部を形成する部分の厚みを変化させながら、圧縮成形を行い、図2に示す断面構造を有し、かつ後のフランジ部材との接合面に10°のテーパ角度θを有している、容器厚さ1.0乃至1.6mm、容器高さ94.5mm、容器外径51.4mm、重量12gの単層の容器本体を得た。
次いで、この単層の容器本体を射出成形金型に設置した後、射出成形機((株)新潟鐵工所製 NN75JS)にて、バレル設定温度を180℃の条件で高密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン(株)製 HJ590N)をこの射出成形金型に供給して、容器本体にフランジ部材を一体に成形し、図2に示す断面構造を有し、かつフランジ部下面から下方に伸びる環状側壁部に図5(A)に示す幅1mmの凹部を有する、重量13.3gのカップ型容器を得た。
[実施例2]
前記実施例1と同条件で圧縮成形を行い、図2に示す断面構造を有し、かつ後のフランジ部材との接合面に5°のテーパ角度θを有している、容器厚さ1.0乃至1.6mm、容器高さ94.5mm、容器外径51mm、重量11.8gの単層の容器本体を得た。
次いで、実施例1と同条件で射出成形を行い、図2に示す断面構造を有し、かつフランジ部下面から下方に伸びる環状側壁部に図5(B)に示す幅1mmの凸部を有する、重量13.3gのカップ型容器を得た。
[比較例1]
前記実施例1と同条件で圧縮成形を行い、図2に示す断面構造を有し、かつ後のフランジ部材との接合面にテーパ角度を有していない、容器厚さ1.0乃至1.6mm、容器高さ94.5mm、容器外径50.8mm、重量12gの単層の容器本体を得た。
次いで、前記実施例1と同条件で射出成形を行い、図2に示す断面構造を有する、重量14gのカップ型容器を得た。
[比較例2]
前記実施例1と同条件で圧縮成形を行い、単層の容器本体を得た。
次いで、前記実施例1と同条件で射出成形を行い、フランジ部下面から下方に伸びる環状側壁部に幅1mmの凹部を有しない、重量13.3gのカップ型容器を得た。
[比較例3]
前記実施例2と同条件で圧縮成形を行い、単層の容器本体を得た。
次いで、前記実施例2と同条件で射出成形を行い、フランジ部下面から下方に伸びる環状側壁部に幅1mmの凸部を有しない、重量13.3gのカップ型容器を得た。
Figure 0007106854000001
Figure 0007106854000002
Figure 0007106854000003
Figure 0007106854000004
1 密閉容器、2 容器本体、3 フランジ部材、4 蓋、21 底部、22 側壁部、23 開口部先端、24 係合用凹部 25 テーパ状接合面、26 段差、31 フランジ部、32 環状突起、33 係合用突起、34 テーパ状接合面、36 環状側壁下端、37 切欠き、38凸部。

Claims (7)

  1. 少なくとも底部及び側壁部を有する容器本体、及び該容器本体とは別体のフランジ部材とから成る容器と、該容器の開口部を覆う蓋部材とから成る密閉容器であって、
    前記フランジ部材が、環状のフランジ部及び該フランジ部の下面から下方に延び且つ容器本体側壁部外面と密着する環状側壁から成り、
    前記環状側壁の容器本体側壁部外面との接合面には、 係合用突起が形成されており、
    前記容器本体側壁部外面の環状側壁との接合面には、前記容器本体と前記フランジ部材が一体化した状態において前記係合用突起と係合する、前記係合用突起の形状に合致する環状の係合用凹部が形成されており、
    前記係合用突起よりも上方に位置する接合面は、容器軸方向にストレート状の接合面として形成されており、前記係合用突起よりも下方に位置する接合面は、下方に行くに従って前記環状側壁の内径が大きくなるテーパ状の接合面として形成されており、
    開封後の環状側壁下端の内径が容器本体口部の外径よりも大きくなるようにテーパが形成されていることを特徴とする密閉容器。
  2. 前記容器本体側壁部外面には、テーパが形成された接合面の下部に段差が形成されている請求項1記載の密閉容器。
  3. 前記環状側壁には下端から上方に延びる切欠きが形成されている請求項1又は2記載の密閉容器。
  4. 前記環状側壁には径方向外方に延びる凸部が形成されている請求項1又は2記載の密閉容器。
  5. 前記環状側壁が、長さが3~15mmの範囲にあり、テーパ角度が軸方向に対して2~15°の範囲にある請求項1~4の何れかに記載の密閉容器。
  6. 前記フランジ部材の最内周には、下に凸の環状突部が形成されている請求項1~5の何れかに記載の密閉容器。
  7. 請求項1~の何れかに記載の密閉容器の成形方法であって、容器本体を先に成形し、該容器本体をフランジ部材成形金型に設置した後、該金型にフランジ部材を構成する樹脂を供給して、容器本体及びフランジ部材を一体に成形し、容器本体及びフランジ部材の接合面がフランジ部材を構成する樹脂の収縮により密着することを特徴とする密閉容器の成形方法。
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