JP7193239B2 - 非水電解質二次電池の製造方法及び非水電解質二次電池 - Google Patents
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Description
好ましい方法として、前記酸化銅被膜形成工程では、前記負極集電板の前記酸化銅被膜層の厚さを0.005μm以上0.04μm以下とし、前記硫化銅被膜形成工程では、前記負極集電板の前記硫化銅被膜層の厚さを0.01μm以上、かつ、前記負極集電板の前記酸化銅被膜層の厚さと前記負極集電板の前記硫化銅被膜層の厚さとを足した厚さを0.07μm以下に形成する。
好ましい方法として、前記負極集電板の前記酸化銅被膜層の厚さは、0.03μmよりも厚い。
通常、酸化銅被膜層の厚さは0.03μmを超えると溶接性が低下し、電池抵抗が増加する。この点、このような方法又は構成によれば、硫化銅被膜層があることにより、酸化銅被膜層の厚さが0.03μmを超えても適切な溶接性が維持されるとともに、電池抵抗の増加が抑制される。
非水電解質27は、非水溶媒に支持塩が含有された組成物である。ここで、非水溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等からなる群から選択された一種または二種以上の材料を用いることができる。また、支持塩としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3、LiI等から選択される一種または二種以上のリチウム化合物(リチウム塩)を用いることができる。
図2に示すように、正極板21は、帯状の電極芯体としての正極基材211と、正極基材211の内周面211A及び外周面211Bに、それぞれの正極合剤層212,213とを備えている。正極基材211は、正極に適する金属箔が使用され、例えば、所定の幅を有し、厚さが15μmの帯状のアルミニウム箔である。また、正極基材211は、幅方向片側の縁部に沿って未塗工部211Mを有している。正極合剤層212,213は、未塗工部211Mを除いて、正極基材211の両面に保持されて、正極基材211に塗工された合剤層形成部を形成している。また正極基材211は、未塗工部211Mに上記正極のリード部21Aを有している。正極合剤層212,213には、正極活物質が含まれており、該正極活物質を含む正極合剤を正極基材211に塗工することによって形成されている。
図2に示すように、負極板22は、帯状の電極芯体としての負極基材221と、負極基材221の内周面221A及び外周面221Bに負極合剤層222,223とを備えている。負極基材221には、負極に適する金属箔が好適に使用され、例えば、所定の幅を有し、厚さが10μmの帯状の銅箔が用いられる。また、負極基材221の幅方向片側には、縁部に沿って合剤層非形成部としての未塗工部221Mを有している。負極合剤層222,223は、未塗工部221Mを除いて、負極基材221の両面に保持されている。負極合剤層222,223には、負極活物質が含まれており、該負極活物質を含む負極合剤を負極基材221に塗工することによって形成されている。
図2に示すように、負極基材221は、負極合剤層222,223が形成されていない未塗工部221Mとを有している。また、負極基材221は、負極集電板として負極の集電板14Mと電気的に接続されており、負極のリード部22Aの圧縮された部分22Cに集電板14Mが接合される。本実施形態では、負極板22と負極の集電板14Mとから負極が構成される。
図1に示すように、集電板14は、接続される正極板21又は負極板22の電極芯材と同じ種類の金属材から構成される。集電板14は、外部端子13と正極のリード部21Aとを電気的に接続する長い板状の金属板、及び外部端子13と負極のリード部22Aとを電気的に接続する長い板状の金属板である。集電板14の一方は、正極のリード部21Aに接続される正極の集電板14Pであり、他方は、負極のリード部22Aに接続される負極の集電板14Mである。よって、正極の集電板14Pは、正極基材211と同じアルミニウム合金から構成され、負極の集電板14Mは、負極基材221と同じ銅材から構成される。本実施形態では、正極板21と正極の集電板14Pから正極が構成されている。
そして、本実施形態の二次電池10の製造方法における接合工程では、負極板22の圧縮された部分22Cに集電板14Mを溶接により接合する。この溶接では抵抗溶接を用いるとよい。接合工程では、未塗工部221Mの中間付近部分を積層方向に寄せ集めた圧縮された部分22Cを、集電板14Mの溶接部分14Cに溶接している。溶接では、溶接装置の2つの電極が、圧縮された部分22Cと集電板14Mとを挟むように配置される。そして、一方の電極を他方の電極に押し当てることによって、負極基材221における未塗工部221Mの圧縮された部分22Cと負極の集電板14Mの溶接部分14Cとが当接するようにして抵抗溶接をする。
以下、図4及び図5を参照して、具体的な実施例の一例と比較例の一例とについて説明する。リスト41は、実施例と比較例とを示している。リスト41において、第2の厚さとしての「硫化銅厚み(μm)」が硫化銅被膜層143の厚さであり、第1の厚さとしての「酸化銅厚み(μm)」が酸化銅被膜層142の厚さであり、「総厚み(μm)」が酸化銅被膜層142の厚さと硫化銅被膜層143の厚さとを足した厚さである。また、硫化銅厚みが「0μm」のときに実施例は無く、硫化銅厚みが「0.01μm(10nm)」のときには実施例22~25が、硫化銅厚みが「0.03μm(30nm)」のときには実施例32~35がある。また、硫化銅厚みが「0μm」のときには比較例11~17があり、硫化銅厚みが「0.01μm」のときには比較例21,26があり、硫化銅厚みが「0.03μm」のときには比較例31,36がある。
<実施例22>
(負極板22)
厚さが10μmの帯状の電解銅箔の表面にクロム系の三価クロム錯体を用いた平均厚さが2nmのクロメート被膜層224が施されている負極基材221と該負極基材221の一方の端部(未塗工部221M)を除いた部分に塗工された負極合剤層222,223とを備えた負極板22を用意した。次に、負極板22の負極基材221における未塗工部221Mにプラズマ照射を行うことで酸化銅被膜層225を形成して、実施例22に係る二次電池10の負極板22を用意した。なお、プラズマ照射には、春日電機(株)製の特殊高周波電源CTシリーズ:CT-0212を使用し、高周波電源に接続された電極間を搬送される電解銅箔の搬送速度は15m/min、印加電圧は14kVであり、このときの電力は0.5kWである。
厚みが1mmの銅によって構成された集電板14Mを用意した。集電板14Mには、酸化銅被膜形成工程で0.005μmの酸化銅被膜層142を形成し、その後、硫化銅被膜形成工程で0.01μmの硫化銅被膜層143を形成した。よって、総厚みは0.015μmである。そして、この集電板14Mを電極体20の中央部分に寄せ集めた未塗工部221Mである圧縮された部分22Cに沿うように、電極体20との溶接部分14Cを折り曲げ加工した。その後、集電板14Mの溶接部分14Cは厚みが0.6mmになるようにプレス加工した。そして、集電板14Mに異物除去のためバレル研磨及び脱脂処理を行って、実施例22に係る集電板14Mを作製した。
負極板22(負極基材221)の圧縮された部分22Cに、集電板14Mの溶接部分14Cを当接するようにして以下の溶接電源および溶接条件で抵抗溶接をした。
溶接条件:投入電圧8V、時間6ms、加圧1.5kN
<実施例23~25>
負極の集電板14Mにおける、酸化銅被膜層142の厚みが実施例22と相違するだけであとは実施例22と同様に作成した。具体的には、酸化銅被膜形成工程で作成した酸化銅被膜層142の厚みが、実施例23では0.01μm、実施例24では0.03μm、実施例25では0.04μmである。よって、実施例23では総厚みは0.02μmであり、実施例24では総厚みは0.04μmであり、実施例25では総厚みは0.05μmである。その後、硫化銅被膜形成工程で0.01μmの硫化銅被膜層143を形成し、抵抗溶接を行った。
負極の集電板14Mにおける、酸化銅被膜層142の厚みが実施例22と相違するだけであとは実施例22と同様に作成した。具体的には、比較例21では、酸化銅被膜層142の厚みが0μm、つまり設けられず、比較例26では、酸化銅被膜形成工程で作成した酸化銅被膜層142の厚みが0.06μmである。よって、比較例21では総厚みは0.01μmであり、比較例26では総厚みは0.07μmである。その後、硫化銅被膜形成工程で0.01μmの硫化銅被膜層143を形成し、抵抗溶接を行った。
負極の集電板14Mにおける、硫化銅被膜層143の厚みが実施例22と相違するだけであとは実施例22と同様に作成した。具体的には、酸化銅被膜形成工程で0.005μmの酸化銅被膜層142を形成し、その後、硫化被膜形成工程で0.03μmの硫化銅被膜層143を作成し、抵抗溶接を行った。よって、総厚みは0.035μmである。
負極の集電板14Mにおける、酸化銅被膜層142の厚みが実施例32と相違するだけであとは実施例32と同様に作成した。具体的には、酸化銅被膜形成工程で作成した酸化銅被膜層142の厚みが、実施例33では0.01μm、実施例34では0.03μm、実施例35では0.04μmである。よって、実施例33では総厚みは0.04μmであり、実施例34では総厚みは0.06μmであり、実施例35では総厚みは0.07μmである。その後、硫化銅被膜形成工程で0.03μmの硫化銅被膜層143を形成し、抵抗溶接を行った。
負極の集電板14Mにおける、酸化銅被膜層142の厚みが実施例32と相違するだけであとは実施例32と同様に作成した。具体的には、比較例31では、酸化銅被膜層142の厚みが0μm、つまり設けられず、比較例36では、酸化銅被膜形成工程で作成した酸化銅被膜層142の厚みが0.06μmである。よって、比較例31では総厚みは0.03μmであり、比較例36では総厚みは0.09μmである。その後、硫化銅被膜形成工程で0.03μmの硫化銅被膜層143を形成し、抵抗溶接を行った。
負極の集電板14Mにおける、硫化銅被膜形成工程を行わない点、及び、酸化銅被膜層142の厚みが実施例22と同一又は相違することの他は実施例22と同様に作成した。具体的には、比較例11では、酸化銅被膜層142の厚みが0μm、つまり設けない。また、酸化銅被膜形成工程で作成した酸化銅被膜層142の厚みが、比較例12では0.005μm、比較例13では0.01μm、比較例14では0.03μm、比較例15では0.04μm、比較例16では0.05μm、比較例17では0.06μmである。よって、総厚みも、比較例12では0.005μm、比較例13では0.01μm、比較例14では0.03μm、比較例15では0.04μm、比較例16では0.05μm、比較例17では0.06μmである。その後、抵抗溶接を行った。
実施例22~25,32~35、及び比較例11~17,21,26,31,36において、それぞれの負極基材221と集電板14Mとの間の抵抗上昇率を測定した。抵抗上昇率は、二次電池10の充放電を所定の時間だけ行ったとき、使用前の電池抵抗に対する使用後の電池抵抗の割合を抵抗上昇率として測定する。
実施例22~25,32~35、及び比較例11~17,21,26,31,36において、それぞれの負極基材221と集電板14Mとの間の溶接強度を測定することで溶接性を判定した。引張試験機を用いて、該引張試験機に負極の集電板14Mと抵抗溶接された電極体20を固定し、負極の集電板14Mの先端をつかみ引張上げたときの破断ピーク強度を測定した。
本実施形態の硫化銅被膜層143の作用について説明する。
抵抗溶接には酸化銅被膜層142が必要である。このことは、図4のリスト41において、酸化銅厚み0μmである比較例11,21,31は、リスト41で「×」が付されていて溶接性が良好でないことより明らかである。つまり、溶接強度が低下する。
また、硫化銅被膜層143は、リード部22Aの有機被膜層226との親和性が高い。親和性が高いことによって、抵抗溶接におけるリード部22Aと集電板14Mとの溶接性が高められて、剥離強度で測られる溶接強度が高く維持されるようになる。
(1)集電板14Mの酸化銅被膜層142の成長が硫化銅被膜層143によって抑制されるようになる。これにより、酸化銅被膜層142の膜厚増大による電池抵抗の増加を抑制することができる。
(3)酸化銅被膜層142を抵抗溶接が可能な厚さにすることができるとともに、電池抵抗の増加を抑制しつつ、適切な溶接性を維持することができる。
なお上記実施形態は、以下の態様で実施することもできる。
・上記実施形態では、集電板14Mを所定雰囲気下において加熱処理することで酸化銅被膜層142を形成する場合について例示した。しかしこれに限らず、負極集電板の表面に酸化銅被膜層を形成する方法は、負極基材に酸化銅被膜層を形成する方法と同様であってもよい。すなわち、一例としては、コロナ放電によるプラズマ照射または紫外線(UV)照射等の物理的エネルギーを表面に照射する処理方法が挙げられる。
Claims (5)
- 正極と負極とを備えた電極体と、非水電解質とが電池ケース内に収容された非水電解質二次電池の製造方法であって、
前記負極は、銅材からなる負極集電板と、該負極集電板と電気的に接続されている負極板とを備えており、
前記負極板は、表面がクロメート処理されたクロメート被膜層形成銅箔を電極芯体とし、前記電極芯体に負極活物質を含む負極合剤層が形成されている合剤層形成部と、前記電極芯体に前記負極合剤層の形成されていないリード部とを有しており、
前記リード部には、前記クロメート被膜層の上に順に、酸化銅被膜層と、硫化系化合物やその分解生成物を含む有機被膜層とが設けられており、
前記負極集電板の前記銅材の表面に0.005μm以上0.04μm以下の第1の厚さの酸化銅被膜層を形成する酸化銅被膜形成工程と、
前記酸化銅被膜形成工程で形成した前記酸化銅被膜層の表面に0.01μm以上の第2の厚さで、かつ、前記負極集電板の前記酸化銅被膜層の厚さと前記負極集電板の硫化銅被膜層の厚さとを足した厚さが0.07μm以下の硫化銅被膜層を形成する硫化銅被膜形成工程と、
前記硫化銅被膜層を介して前記負極集電板を前記負極板の前記リード部の一部に抵抗溶接によって接合する接合工程とを備える
非水電解質二次電池の製造方法。 - 前記酸化銅被膜形成工程は、前記負極集電板の所定雰囲気下での加熱処理であり、
前記硫化銅被膜形成工程は、前記負極集電板の硫化水溶液への浸漬処理である
請求項1に記載の非水電解質二次電池の製造方法。 - 前記負極集電板の前記酸化銅被膜層の厚さは、0.03μmよりも厚い
請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池の製造方法。 - 正極と負極とを備えた電極体と、非水電解質とが電池ケース内に収容された非水電解質二次電池であって、
前記負極は、銅材からなる負極集電板と、該負極集電板と電気的に接続されている負極板とを備えており、
前記負極板は、表面がクロメート処理されたクロメート被膜層形成銅箔を電極芯体とし、前記電極芯体に負極活物質を含む負極合剤層が形成されている合剤層形成部と、前記電極芯体に前記負極合剤層の形成されていないリード部とを有しており、
前記リード部には、少なくとも、前記クロメート被膜層の上に順に、酸化銅被膜層と、硫化系化合物やその分解生成物を含む有機被膜層とが設けられており、
前記負極集電板は、少なくとも、前記銅材の表面から順に、0.005μm以上0.04μm以下の第1の厚さの酸化銅被膜層と0.01μm以上の第2の厚さで、かつ、前記負極集電板の前記酸化銅被膜層の厚さと前記負極集電板の硫化銅被膜層の厚さとを足した厚さが0.07μm以下の硫化銅被膜層とを有しているとともに、前記負極板の前記リード部の一部に抵抗溶接によって接合されている
非水電解質二次電池。 - 前記負極集電板の前記酸化銅被膜層の厚さは、0.03μmよりも厚い
請求項4に記載の非水電解質二次電池。
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