JP7180476B2 - インク - Google Patents
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Description
そこで、水不溶性の着色剤、樹脂粒子、シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、ピロリドン誘導体、1,2-アルキルジオール、多価アルコール、及び水を含有し、前記樹脂粒子が、樹脂定着粒子と、ワックス粒子とを含有する水性インク組成物を用いたインクジェット記録方式の印刷方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、アクリル樹脂粒子、及びウレタン樹脂粒子を含み、前記ウレタン樹脂粒子の含有量(質量%)と、前記アクリル樹脂粒子の含有量(質量%)との質量比(ウレタン樹脂粒子/アクリル樹脂粒子)を特定することで、耐擦過性の向上と、吐出安定性、及び保存安定性の成立を狙ったインクが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
本発明のインクは、水、色材、有機溶剤、アクリル樹脂粒子、及びポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子を含有するインクであって、前記有機溶剤が、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-1-ブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、1-メトキシ-2-プロピルアセテ-ト、及びブチルプロピレングリコールの少なくともいずれかであり、前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子の破断強度が、30MPa以上であり、前記アクリル樹脂粒子のガラス転移点(Tg)が40℃以上であり、前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子と前記アクリル樹脂粒子との質量比(ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子/アクリル樹脂粒子)が、25/75~75/25であり、前記アクリル樹脂粒子の含有量が、インク全量に対して、4.5質量%以下であり、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
従来のインクでは、軟包装向け高分子フィルムへ画像を形成する際の耐擦過性が十分ではなかった。
また、白色顔料を使用した場合の耐擦過性が十分ではなかった。白色顔料は特に軟包装向け高分子フィルムへ用いられるが、隠蔽度を高めようとすると顔料の添加量を上げる必要があり、インク中の不揮発成分が多くなり、インクの粘度が上昇するため、吐出安定性、デキャップ時の放置安定性が低下するという問題がある。
形成する画像において十分な耐擦過性を得るためには、インク中に含有する樹脂粒子の含有量を増やす方法があるが、そのようなインクではインク中の不揮発成分が多くなり、インクの粘度が上昇するため、吐出安定性、デキャップ時の放置安定性が低下するという問題がある。
前記有機溶剤としては、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-1-ブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、1-メトキシ-2-プロピルアセテ-ト、及びブチルプロピレングリコールの少なくともいずれかである。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。特に、有機溶媒が、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールの場合には、高い吐出安定性と、デキャップ時の放置安定性を両立するために好適である。また、軟包装向けの高分子フィルムに画像を形成した際の乾燥性を向上させることができる。
前記有機溶剤としては、上記以外のその他の有機溶剤をさらに含有していてもよい。
前記水溶性有機溶剤としては、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。前記水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、エチル-1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ε-カプロラクタム、γ-ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物も好適に使用される。炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールなどが挙げられる。グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物は、記録媒体として紙を用いた場合に、インクの浸透性を向上させることができる。
前記アクリル樹脂粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリルシリコーン樹脂粒子、スチレン-アクリル樹脂粒子等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、スチレン-アクリル樹脂粒子が好ましい。前記アクリル樹脂粒子が、スチレン-アクリル樹脂粒子であると、耐擦過性に優れる画像を形成することができる。
前記スチレン-アクリル樹脂粒子としては、例えば、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-α―メチルスチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-α―メチルスチレン-アクリル酸-アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。これらの中でも、スチレン-アクリル酸共重合体が特に好ましい。
なお、共重合体の形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、前記スチレン-アクリル系樹脂には、スチレン-アクリル酸、メタクリル酸以外のモノマーに由来する成分が含まれていてもよい。このようなモノマーの例としては、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体や、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。これらのモノマーはその1種又は2種以上を上記のスチレンとアクリル酸又はメタクリル酸モノマー成分に添加することができる。
前記ガラス転移点(Tg)としては、モノマーから求められる理論Tgを用いてもよい。
また、前記アクリル樹脂粒子の含有量としては、色材の含有量に対して、0.7質量%以下が好ましく、0.3質量%以上0.7質量%以下、0.5質量%以上0.7質量%以下がより好ましい。
前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子は、ポリカーボネート系ウレタン樹脂で形成された粒子である。前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂は、その分子中にポリカーボネート構造を有しているウレタン樹脂である。前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子は、破断伸度が300%以上900%以下であることが好ましく、350%以上850%以下であることがより好ましく、400%以上800%以下であることが更に好ましい。前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子の破断伸度が300%以上であると、形成する画像の耐擦過性を向上させることができ、破断伸度が900%以下であることにより、インクジェットノズル近傍にてインクが乾燥し始めた際に形成される樹脂被膜の膜強度が低いため、インクの吐出が開始されると、インクが吐出される圧力で樹脂被膜が破壊されるため、インクジェットノズル近傍における樹脂の造膜を抑制し、吐出安定性を向上させることができる。
前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子を用いて、1cm四方の、平均厚さ1μmのフィルムを作成し、破断伸度、破断強度測定器(島津製作所製の製品名Autograph AGS-5kNX)を用いて、引張速度:50mm/minでフィルムを延伸した際の破断伸度、破断強度として測定することができる。
インク中の固形分の粒径については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、吐出安定性、画像濃度などの画像品質を高くする点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上1000nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。固形分は樹脂粒子や顔料の粒子等が含まれる。粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記アクリル樹脂粒子を含有するインクは、吐出安定性に優れるが、前記アクリル樹脂粒子の硬度が高く弾性が低いため、得られる画像の耐擦過性が低くなる傾向にある。
これに対して、前記ウレタン樹脂粒子を含有するインクは、前記ウレタン樹脂粒子が前記アクリル樹脂粒子より硬度が低く弾性が高いため、得られる画像の耐擦過性が高くなる傾向にある。しかし、前記ウレタン樹脂粒子を含有するインクは、水素結合力が強いため造膜しやすく、記録ヘッド部において固着物を発生しやすく、インクの吐出安定性が低くなる傾向にある。前記ウレタン樹脂粒子を含有するインクを用いる場合には、記録ヘッド部での固着物発生を防止するために、前記ウレタン樹脂粒子の含有量を多くできず、耐擦過性を十分に満足する画像を得ることができないという問題がある。
また、前記ウレタン樹脂粒子を含有するインクにより得られる画像の機械的強度は向上できるが、画像の動摩擦係数が大きくなることも知られている。
前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子と前記アクリル樹脂粒子との質量比(前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子/前記アクリル樹脂粒子)としては、25/75~75/25(0.3以上3以下)であることが好ましく、30/70~70/30(0.4以上2.5以下)がより好ましく、50/50(1)が更に好ましい。前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子と前記アクリル樹脂粒子との質量比(前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子/前記アクリル樹脂粒子)が、25/75~75/25(0.3以上3以下)であると、耐擦過性に優れる画像を形成するインクを得ることができ、さらに吐出安定性に優れるインクとすることができる。樹脂粒子の混合比率は、使用する記録媒体や製品の扱われる条件により適宜選択することができる。繰り返して擦過が行われるような場合には、前記ウレタン樹脂比率を高く、50/50(1)以上とすることが好ましい。
前記色材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、顔料、染料を使用可能である。顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。また、混晶を使用しても良い。
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等がある。
前記顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能なものを用いることができる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
前記分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
前記分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
竹本油脂社製RT-100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
前記分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記酸化チタンの中でも、白色顔料として一般的なルチル型の酸化チタンが好ましい。このルチル型の酸化チタンは、自ら製造したものであってもよく、市販されているものであってもよい。ルチル型の酸化チタン(粉末状)を自ら製造する場合の工業的製造方法として、従来公知の硫酸法及び塩素法が挙げられる。ルチル型の酸化チタンの市販品としては、例えば、Tipaque(登録商標) CR-60-2、CR-67、R-980、R-780、R-850、R-980、R-630、R-670、PF-736等のルチル型(以上、石原産業社(ISHIHARA SANGYO KAIS HA, LTD.)製商品名)が挙げられる。
前記顔料に、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを得ることが可能である。また、顔料と、その他水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを製造することも可能である。
ただし前記白色顔料については、50%平均粒子径(以下、「D50」ともいう。)が、50nm以上500nm以下が好ましく、150nm以上350nm以下がより好ましい。D50が上記の範囲内にあると、印刷された画像の耐擦性及び画像の視認性が優れたものとなるため、高画質の画像を形成することができる。ここで、本明細書における「酸化チタンの50%平均粒子径」は、インク組成物を調製する前における酸化チタンのD50でなく、インク組成物中に存在する酸化チタンのD50を意味する。また、本明細書における「50%平均粒子径」とは、動的光散乱法による球換算50%平均粒子径を意味し、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%~60質量%がより好ましい。
前記水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水;超純水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分としては、ワックス、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
前記ワックスは、画像(インク膜)表面の動摩擦係数低減することができ、特にウレタン樹脂粒子と組み合わせることにより、画像の耐擦過性を飛躍的に向上できる。
これは、画像の耐擦過性を向上させるために含有されるウレタン樹脂粒子により動摩擦係数が高くなるのを抑制でき、画像が受ける力が低減するとともに、ウレタン樹脂粒子が持つ機械的強度が十分に発揮されるため、耐擦過性を飛躍的に向上できると推測される。
前記ワックスとしては、水分散性ワックスエマルジョンが好ましい。
前記ワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィンワックスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、保存安定性の点から、ポリエチレンワックスが好ましい。
前記ワックスとしては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、商品名:HYTEC E-8237(ポリエチレンワックス、融点:106℃、平均粒径:80nm、東邦化学工業株式会社製)、商品名:AQUACER531(ポリエチレンワックス、融点:130℃、ビックケミー社製)、商品名:AQUACER515(ポリエチレンワックス、融点:135℃、ビックケミー社製)、商品名:AQUACER537(パラフィン、融点:110℃、ビックケミー社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ワックスの融点としては、70℃以上170℃以下が好ましく、100℃以上140℃以下がより好ましい。前記融点が、70℃以上であると、画像がべたつくことがなく、画像を重ねても画像転写は発生しなく、170℃以下であると、画像を擦ったときの摩擦熱で融解し、滑り性が得られるため、耐擦過性が良好となる。
前記ワックスの体積平均粒径としては、200nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。前記体積平均粒径が、200nm以下であると、ノズルやヘッド内のフィルターに引っかかることがなく、良好な吐出安定性が得られる。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(マイクロトラック MODEL UPA 9340、日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
前記ワックスの含有量としては、インク全量に対して、固形分で0.09質量%以上0.5質量%以下が好ましい。前記固形分濃度が、0.09質量%以上0.5質量%以下であると、得られる画像(インク膜)表面の動摩擦係数の低減に十分効果があり、また、インクの保存安定性、及び吐出安定性にも悪影響を与えにくい。
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
インク中における界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性、吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
前記防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンなどが挙げられる。
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE-80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7~12が好ましく、8~11がより好ましい。
インクを分析して、ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子の破断伸度、アクリル樹脂粒子のガラス転移点(Tg)、ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子と前記アクリル樹脂粒子との質量比、アクリル樹脂粒子及び前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子の総量を分析する方法としては、例えば、以下のようにして行うことができる。インクを遠心分離し、ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子を単離する。ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子の同定は、NMR、IR等で行う。単離したポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子を用いて、ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子の破断伸度、アクリル樹脂粒子のガラス転移点(Tg)、ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子と前記アクリル樹脂粒子との質量比、アクリル樹脂粒子及び前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子の総量を測定、算出する。
前記非浸透性基材としては、例えば、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルムなどが挙げられる。
前記ポリプロピレンフィルムとしては、例えば、東洋紡製P-2002、P-2161、P-4166、SUNTOX製PA-20、PA-30、PA-20W、フタムラ化学製FOA、FOS、FORなどが挙げられる。
前記ポリエチレンテレフタレートフィルムとしては、例えば、東洋紡製E-5100、E-5102、東レ製P60、P375、帝人デュポンフィルム製G2、G2P2、K、SLなどが挙げられる。
また、前記ナイロンフィルムの例としては、東洋紡製ハーデンフィルムN-1100、N-1102、N-1200、ユニチカ製ON、NX、MS、NKなどが挙げられる。
本発明のインク記録物は、記録媒体上に、本発明のインクを用いて形成された画像を有してなる。
前記記録媒体としては、特に限定されないが、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷紙等が挙げられる。
前記非浸透性基材としては、例えば、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルムなどが挙げられる。
前記ポリプロピレンフィルムとしては、例えば、東洋紡製P-2002、P-2161、P-4166、SUNTOX製PA-20、PA-30、PA-20W、フタムラ化学製FOA、FOS、FORなどが挙げられる。
前記ポリエチレンテレフタレートフィルムとしては、例えば、東洋紡製E-5100、E-5102、東レ製P60、P375、帝人デュポンフィルム製G2、G2P2、K、SLなどが挙げられる。
また、前記ナイロンフィルムの例としては、東洋紡製ハーデンフィルムN-1100、N-1102、N-1200、ユニチカ製ON、NX、MS、NKなどが挙げられる。
本発明のインクは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
本発明において、記録装置、記録方法とは、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
この記録装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
記録装置、記録方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥手段を有しても良い。加熱手段、乾燥手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱手段、乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。加熱、乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。
また、記録装置、記録方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
また、記録装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、この記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
記録装置の一例について図1乃至図2を参照して説明する。図1は同装置の斜視説明図である。図2はメインタンクの斜視説明図である。記録装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えばアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
前処理装置、後処理装置の一態様として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)などのインクの場合と同様に、前処理液や、後処理液を有する液体収容部と液体吐出ヘッドを追加し、前処理液や、後処理液をインクジェット記録方式で吐出する態様がある。
前処理装置、後処理装置の他の態様として、インクジェット記録方式以外の、例えば、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法による前処理装置、後処理装置を設ける態様がある。
基材の加熱に使用する加熱装置は、多くの既知の加熱装置のうちの1つまたは複数を使用することができる。例えば、強制空気加熱、輻射加熱、伝導加熱、高周波乾燥、及びマイクロ波乾燥用の装置であり、これらは1種または2種以上を併用することもできる。このような加熱装置は、既存のインクジェットプリンターに組込んだものであっても、また、既存のインクジェットプリンターに外付けされたものであってもよい。
基材の加熱温度は乾燥性を考慮すると高いことが好ましい。しかしながら、加熱温度が高すぎると、基材がダメージを受けたり、インクヘッドが暖まることによって不吐出が生じたり、均一なインク塗膜の形成を妨げたりすることがあるので注意が必要である。一般的に、印字中は30℃以上、60℃以下の範囲で加熱することが好ましい。また、印字後の乾燥温度は110℃以下で制御することが好ましい。
白色顔料として酸化チタン「R62N」(堺化学工業(株)製)250g、顔料分散剤として「デモールEP」(花王(株)製)10g(有効成分で2.5g)を用い、イオン交換水740gと混合し、ビーズミル((株)シンマルエンタープライゼス製、DYNO-MILL KDL A型)を用いて、0.5mmΦのジルコニアビーズを充填率80%、滞留時間2分間で分散し、分散剤分散型白色顔料分散体Wを得た。
Cabot Corporation社製のカーボンブラック(Black Pear ls 1000)100gを、2.5N(規定)の次亜塩素酸ナトリウム溶液3000mLに添加し、温度60℃、速度300rpmで攪拌し、10時間反応させて酸化処理を行い、カーボンブラックの表面にカルボン酸基が付与された顔料を含有する反応液を得た。この反応液を濾過し、濾別したカーボンブラックを水酸化ナトリウム溶液で中和し、限外濾過を行い顔料分散体を得た。次いで、該顔料分散体とイオン交換水を用いて透析膜による限外濾過を行い、さらに超音波分散を行った。その後、固形分濃度が20%になるように水分量を調整し、固形分濃度20%の自己分散型ブラック顔料分散体Aを得た。
Cabot Corporation社製のカーボンブラック(Black Pear ls 1000)100gと竹本油脂(株)製のナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物(パイオニンA-45-PN)15gとイオン交換水280gの混合物をプレミックスした後、ダイノーミル(シンマルエンタープライゼス社製)で直径0.3mmジルコニアビーズを用いて、回転速度10m/sec、液温10℃の条件で30min分散し顔料分散体を得た。次いで、得られた顔料分散液とジルコニアビーズを分離し、0.8μmメンブレンフィルター(セルロースアセテートタイプ)で濾過した。その後、固形分濃度が20%になるように水分量を調整し、固形分濃度20%の分散剤分散型ブラック顔料分散体Bを得た。
アクリル酸5.0質量部、サイラエース210(ビニルトリメトキシシラン、チッソ株式会社製)6質量部、メタクリル酸-2-エチルヘキシル6.0質量部、アクリル酸2-エチルヘキシル22.0質量部、メタクリル酸シクロヘキシル5.0質量部、スチレン22.0質量部、乳化剤としてアクアロンKH-20(第一工業製薬株式会社製の反応性乳化剤)1.5質量部、及びイオン交換水53.1質量部の混合物をバッチ式ホモミキサーで乳化し、アクリル樹脂粒子分散液Ac-1を作製し、滴下槽に入れた。
得られたアクリル樹脂粒子分散液Ac-1について、動的光散乱法による累積50%粒子径(D50)を測定したところ、80nmであった。また、ビニルトリメトキシシランを除くモノマーから求められる理論Tgは30℃であった。また、固形分濃度は、39.4質量%であった。
アクリル樹脂粒子分散液Ac-1の調製において、下記の組成に変更した以外は、アクリル樹脂粒子分散液Ac-1と同様にして、アクリル樹脂粒子分散液Ac-2を調製した。
・メタクリル酸: 3.0質量部
・アクリル酸ブチル: 25.0質量部
・アクリルアミド: 1.0質量部
・スチレン: 29.0質量部
・サイラエース210*1: 6質量部
*1:サイラエース210(ビニルトリメトキシシラン、チッソ株式会社製)
アクリル樹脂粒子分散液Ac-1の調製において、下記の組成に変更した以外は、アクリル樹脂粒子分散液Ac-1と同様にして、アクリル樹脂粒子分散液Ac-3を調製した。
・メタクリル酸: 3.0質量部
・アクリル酸ブチル: 20.0質量部
・アクリルアミド: 1.0質量部
・スチレン: 34.0質量部
・サイラエース210*1: 6質量部
*1:サイラエース210(ビニルトリメトキシシラン、チッソ株式会社製)
表2から表7に記載の組成に基づいて、各材料を混合し、分散機で十分に撹拌した後、0.8μmメンブレンフィルター(セルロースアセテートタイプ)で濾過し、インク1~23を作製した。表中、サーフィノール440(日信化学工業株式会社)は非イオン性の界面活性剤である。
なお、インクに使用したポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子は、下記表1に記載の市販品を用いた。
作製したインクをインクジェットプリンター(株式会社リコー製IPSiO GXe5500)に充填し、記録媒体としてPP(東洋紡製パイレンP2102)、PET(東洋紡製エスペットE5100)、NY(東洋紡製ハーデンN1100)のそれぞれに対してベタ画像を印刷し、80℃、5minの条件で乾燥させた。
ベタ画像は、Microsoft Wordにて作成した50mm×50mmのベタ画像とした。
マイペーパー(リコー製PPC普通紙)上に両面テープで固定した各フィルムを背面マルチ手差しフィーダーから給紙し、フィルム面上に印字した。
ベタ画像を乾いた綿布(カナキン3号)で400gの加重をかけて擦過し、X-Rite eXact(X-Rite社製)を用いて、画像濃度を測定し、下記の評価基準に基づき「耐擦過性」を評価した。なお、下記の評価基準において、「画像濃度が低下」とは、印字した画像を擦過する前後の画像濃度の変化率が80%以上となる場合を意味する。なた、白インクを用いた場合には、測定する画像を印字した紙の裏面に黒濃度が1.2以上の黒い紙をおいて画像濃度を測定した。
A:50回以上擦っても画像が変化しない。
B:50回擦った段階で多少の傷が残るが画像濃度には影響せず、実使用上問題ない。
C:20回以上50回未満擦過する間に画像濃度が低下してしまう。
D:20回未満の擦過で画像濃度が低下してしまう。
インクジェットプリンター(株式会社リコー製IPSiO GXe5500)にて、A4サイズの全面ベタ画像を100枚光沢紙きれいモードにて連続印刷を行い、目視で印刷した画像を観察し、下記評価基準に基づき「吐出安定性」を判定した。
A:100枚終了後まで画像が変化しない。
B:50枚から100枚終了までに画像にスジやムラが発生する。
C:50枚終了以前に画像にスジやムラが発生する。
インクジェットプリンター(株式会社リコー製IPSiO GXe5500)にて、印刷途中で電源を遮断し、室温23℃、湿度50%にて72時間放置し、再度通電後に印刷を行った。下記の評価基準に基づき「デキャップ性」を判定した。
A:通常の初期化動作にて、濃度ムラやカスレ、抜けなどの異常が発生しない。
B:通常の初期化動作にて、濃度ムラやカスレ、抜けなどの異常が発生するが、リフレッシングで回復する。
C:通常の初期化動作だけではなく、リフレッシングを5回以上実施しないと回復しない。
また、「リフレッシング」とは、インクジェットノズルから、一度に多量のインクを廃棄する動作であり、前記プリンターに搭載された機能である。
<1> 水、色材、有機溶剤、アクリル樹脂粒子、及びポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子を含有するインクであって、
前記有機溶剤が、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-1-ブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、1-メトキシ-2-プロピルアセテ-ト、及びブチルプロピレングリコールの少なくともいずれかであり、
前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子の破断強度が、30MPa以上であり、
前記アクリル樹脂粒子のガラス転移点(Tg)が40℃以上であり、
前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子と前記アクリル樹脂粒子との質量比(ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子/アクリル樹脂粒子)が、25/75~75/25であり、
前記アクリル樹脂粒子の含有量が、インク全量に対して、4.5質量%以下である、
ことを特徴とするインクである。
<2> 前記色材が、白色顔料である前記<1>に記載のインクである。
<3> 前記3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールの含有量が、5.0質量%以上20.0質量%以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載のインクである。
<4> 前記<1>から<3>のいずれかに記載のインクを有することを特徴とするインクカートリッジである。
<5> 前記<4>に記載のインクカートリッジを有することを特徴とするインクジェット記録装置である。
401 外装
401c カバー
404 カートリッジホルダ
410、410k、410c、410m、410y メインタンク
411 インク収容部
413 インク排出口
414 収容容器ケース
420 機構部
436 供給チューブ
434 吐出ヘッド
Claims (3)
- 水、色材、有機溶剤、アクリル樹脂粒子、及びポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子を含有するインクであって、
前記有機溶剤が、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-1-ブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、1-メトキシ-2-プロピルアセテ-ト、及びブチルプロピレングリコールの少なくともいずれかであり、
前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子の破断強度が、30MPa以上であり、
前記アクリル樹脂粒子のガラス転移点(Tg)が40℃以上であり、
前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子と前記アクリル樹脂粒子との質量比(ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子/アクリル樹脂粒子)が、25/75~75/25であり、
前記アクリル樹脂粒子の含有量が、インク全量に対して、4.5質量%以下である、
ことを特徴とするインク。 - 前記色材が、白色顔料である請求項1に記載のインク。
- 前記3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールの含有量が、5.0質量%以上20.0質量%以下である請求項1から2のいずれかに記載のインク。
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