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JP2019019234A - インク、インク収容容器、画像記録装置、画像記録方法、及び記録物 - Google Patents

インク、インク収容容器、画像記録装置、画像記録方法、及び記録物 Download PDF

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JP2019019234A JP2017139201A JP2017139201A JP2019019234A JP 2019019234 A JP2019019234 A JP 2019019234A JP 2017139201 A JP2017139201 A JP 2017139201A JP 2017139201 A JP2017139201 A JP 2017139201A JP 2019019234 A JP2019019234 A JP 2019019234A
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Abstract

【課題】保存安定性及び吐出安定性に優れたインクを提供することを目的とする。【解決手段】銀と、水と、アミン化合物と、を含み、前記アミン化合物がNH2基とOH基を有し、前記アミン化合物が有する前記NH2基の数Xと、前記OH基の数Yが、次式、3≦X+Y、X≦Y、を満たすインクである。前記アミン化合物の分子量が300以下であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、インク、インク収容容器、画像記録装置、画像記録方法、及び記録物に関する。
金属光沢を有するものは人々にきらびやかな印象を与えるため、日常生活のあらゆる場面で目にする機会が多い。金属そのものを用いてその意匠性を付与する場合もあるが、基材に金属光沢を有する着色組成物を被覆することにより意匠性を付与することが多い。
前記被覆する方法としては、光輝性を有する顔料を含む印刷インキを用いて各種印刷方式で印刷する方法や、接着剤や熱融着により転写箔する方法が用いられてきた。
金属光沢の中でも、とりわけ金色は富の象徴であり、太古の昔から人々に好まれてきており、正月などのおめでたい行事には欠かせない色である。一方、銀色も落ち着いた風合いで人気が高く、様々な場面で見かけることが多い。また、銀色は金色と異なり、その他の色の着色組成物と混合することにより、金色を含む様々な金属光沢色を表現することができるため、金色よりも汎用性が高く、産業上利用価値が高い。
従来、銀色の金属光沢を有する着色組成物に用いられる顔料としてはアルミニウム微粒子が広く使用されている。
また、インクジェット印刷技術の発展により、インクジェット印刷でも金属光沢を有する印刷物を得たいという要望が高まっている。例えば、市販の鱗片状アルミニウム顔料や酸化チタン被覆マイカ顔料などを光輝顔料として含有するインクジェットインクが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、金属コロイドを含むインク組成物を多孔質の被印刷物の表面に印刷することで高い光沢性を有する印刷物が得られる印刷方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
本発明は、保存安定性及び吐出安定性に優れたインクを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明のインクは、銀と、水と、アミン化合物と、を含み、前記アミン化合物がNH基とOH基を有し、前記アミン化合物が有する前記NH基の数Xと、前記OH基の数Yが、下記式(1)及び下記式(2)を満たす。
3≦X+Y・・・式(1)
X≦Y・・・式(2)
本発明によると、保存安定性及び吐出安定性に優れたインクを提供することができる。
本発明のインクを用いる記録装置の一例を示す図である。 本発明のインクを収容するメインタンクの斜視図である。
(インク)
本発明のインクは、銀と、水と、アミン化合物と、を含み、前記アミン化合物がNH基とOH基を有し、前記アミン化合物が有する前記NH基の数Xと、前記OH基の数Yが、下記式(1)及び下記式(2)を満たすインクである。
3≦X+Y・・・式(1)
X≦Y・・・式(2)
更に必要に応じて、有機溶剤、樹脂、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えてもよい。
本発明のインクは、従来のインクでは、銀等の金属コロイドの比重が有機顔料と比較して重いことに由来し、金属コロイドが沈降しやく、経時によりインクの粘度が変化したり沈降物が生じるため、保存安定性が失われてしまい、ノズル抜けが発生し、吐出安定性に問題があるという知見に基づくものである。
更に、吐出が不安定になることで塗膜が不均一となり、金属光沢や鏡面性(写像性)が失われたり、色味が不自然な銀色になってしまうという知見に基づくものである。
以下、本発明のインクに用いる銀、水、アミン化合物、樹脂、添加剤等について説明する。
<銀>
前記銀は、得られる画像に対して優れた金属光沢を付与することができる。また、前記銀は、各種金属の中でも白色度が高い金属であり、他色のインクと組み合わせることにより、様々な金属色を実現することができる。更に、前記銀は、水との反応性が弱いため水中でも安定である。その結果、環境負荷が低減できる水系光輝性インクへの展開が可能である。なお、前記銀としては、銀粒子を用いることが好ましい。
従来の光輝性顔料としては、例えば、パール顔料や金属粒子などが挙げられる。前記パール顔料の代表例としては、二酸化チタン被覆雲母、魚鱗薄、酸塩化ビスマス等の真珠光沢や干渉光沢を有する顔料などが挙げられる。しかし、これらの顔料の粒子サイズはミクロンオーダーでありインクジェットヘッドでの吐出に制限があり好ましくない。また、粒径を小さくしていきインクジェット吐出性を高めていくと、吐出性はある程度確保されるが、粒径が小さすぎるため、干渉による光沢が原理的に発現しないという問題がある。一方、前記金属粒子の代表例としては、アルミニウム、クロム、インジウム、銅、金、銀等の粒子などが挙げられる。これらの中でも、毒性が弱い点から、アルミニウム、金、銀が好ましく用いられている。しかし、前記アルミニウムは、水と反応して酸化物を生じて経時で白色化してしまう傾向にある。また、前記金は、高価であり、色味の調整に制限があるため好ましくない。更に、前記金属粒子は、いずれも有機顔料と比較すると比重が重いため、金属粒子を分散してインクとした際に、金属粒子が沈降しやすく、その結果としてノズル抜けが発生する問題がある。更に、吐出が不安定になるため、記録媒体に印刷した際に、記録媒体上に金属粒子が均一に付着しないため金属光沢や鏡面性(写像性)が損なわれてしまうという問題がある。
前記銀粒子の動的光散乱法による50%累積体積粒径(D50)としては、5nm以上2,200nm以下が好ましく、5nm以上2,053nm以下がより好ましい。前記50%累積体積粒径(D50)が、5nm以上であると、細孔を有するインク受容層を有する記録媒体に銀粒子を含むインクを付与しても、多孔質を有するインク受容層中に銀粒子が数多く入り込んでしまうことがなく、銀のナノ粒子としての色味(黄色)が反映して色味が不自然になること、あるいは金属光沢を発現しないことがないため好ましい。また、前記50%累積体積粒径(D50)が、2,200nm以下であると、経時で銀粒子が沈降したり、吐出が不安定になることがないため好ましい。
前記銀粒子の動的光散乱法による90%累積体積粒径(D90)としては、4,000nm以下が好ましく、2,000nm以下がより好ましく、1,890nm以下が特に好ましい。前記90%累積体積粒径(D90)が、4,000nm以下であると、前記銀粒子がインク吐出ヘッドのノズルに対して充分に小さく、安定して吐出することができるので好ましく、2,000nm以下であると、銀粒子の一次的な凝集が起こってもインク吐出に影響を及ぼしにくく、連続吐出安定性の面からより好ましい。
前記50%累積体積粒径(D50)、及び前記90%累積体積粒径(D90)は、銀粒子の直径、存在数を求める測定を行い、結果を統計的に処理して得られる粒径加積曲線から、総体積の50%となるときの銀粒子の直径を50%累積体積粒径(D50)、総体積の90%となるときの銀粒子の直径を90%累積体積粒径(D90)とした値である。前記銀粒子の直径は、銀粒子自身の直径であってもよいし、銀粒子がコロイド状で分散している場合には、前記粒子コロイドの直径であってもよい。
前記銀粒子の直径は、水中分散状態であるなら、例えば、動的光散乱法に基づく粒子径分布測定装置を用いて求めることができる。前記動的光散乱法による粒子径分布測定装置としては、例えば、ナノトラック Wave−UT151(マイクロトラック・ベル株式会社製)、ナノトラック Wave−EX150(日機装株式会社製)、ELSZ−2、DLS−8000(以上、大塚電子株式会社製)、LB−550(株式会社堀場製作所製)などが挙げられる。
なお、これら以外でも電子顕微鏡法によって測定することができる。前記電子顕微鏡により銀粒子の写真を得て、この写真を画像処理して計測することにより、銀粒子の直径を求めることができる。一例として、写真よりランダムに写真中の50個以上の銀粒子の面積を求め、同等となる円の直径を計算して粒径として求める。そして得られた粒径から粒径加積曲線を求めることができる。
<銀粒子の製造方法>
前記銀粒子の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、インゴット等を粉砕することにより得られた粗大粉末を所望の粒径まで粉砕する粉砕法、蒸着等の気相成膜法などによりフィルム上に形成した銀膜を前記フィルムから剥離して粉砕させる方法(特に、液体中において剥離して粉砕を行い、液体中に分散させる方法)、湿式還元法のような化学的な造粒法等の方法、各種アトマイズ法などが挙げられる。
前記湿式還元法としては、例えば、硝酸銀の水溶液にアンモニア水を加えて銀アンミン錯体を形成した後、ホルマリン、ヒドラジンなどの還元剤を添加して銀に還元させて銀粉を得る方法や硝酸銀の水溶液に水酸化ナトリウムを加えて酸化銀粒子を生成させた後、ホルマリン、ヒドラジンなどの還元剤を添加して銀に還元させて銀粉を得る方法などが挙げられる。その後、必要に応じて、銀粒子を含有する溶液を固液分離して固形分としての銀粒子と溶液に分離し、その銀粉を適当な洗浄剤で洗浄して銀粉に付着した液体を除去し、更に銀粉を乾燥して水分を除去し、解砕や分級などの処理を行うことで求める粒度の銀粒子を得ることができる。
前記アトマイズ法としては、例えば、溶融銀(溶湯)を水やガス等の冷却剤に衝突させ、微粉化して製造する方法である。前記アトマイズ法によると、粒径の揃った銀粒子が得られる。
<銀粒子分散液の製造方法>
前記銀粒子を水中に分散させて銀粒子分散液を得るには、銀粒子表面に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法、銀粒子の表面を樹脂にて被覆して分散させる方法、分散剤を用いて分散させる方法などが挙げられる。
前記銀粒子の表面を樹脂にて被覆して分散させる方法としては、銀粒子をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能なものを用いることができる。この場合、インクに配合される銀粒子はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない銀粒子や、部分的に被覆された銀粒子が水中に分散していてもよい。
前記分散剤を用いて分散させる方法としては、例えば、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法などが挙げられる。
前記分散剤としては、銀粒子や使用するインクの系に応じて、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アニオン界面活性剤、及びHLB値が10以上20以下のノニオン界面活性剤が好ましい。
前記アニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、NH、Na、Ca等)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩(例えば、NH、Na、Ca等)、ジアルキルサクシネートスルホン酸Na塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物Na塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩(例えば、NH、Na等)、ラウリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート塩、オレイン酸塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ジオクチルスルホコハク酸Na塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物Na塩、ポリオキシエチレンスチレンフェニルエーテルスルホン酸NH塩が好ましい。
前記HLB値が10以上20以下のノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、アセチレングリコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−β−ナフチルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンスチレンフェニルエーテルが好ましい。
前記高分子型の分散剤としては、例えば、下記一般式(A)で表されるα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル共重合体、水溶性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ただし、前記一般式(A)中、Rは炭素数6以上30以下、好ましくは12以上22以下、より好ましくは18以上22以下のアルキル基を表す。nは1以上の整数を表し、20以上100以下の整数が好ましい。
前記一般式(A)で表されるα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体としては、原料として、炭素数が異なるオレフィンを含む、オレフィンの混合物を用いて合成することも可能である。
その場合は、Rとして、炭素数が異なるアルキル基がランダムに高分子鎖に導入された共重合体となる。
本発明においては、Rの炭素数が均一であるアルキル基が高分子鎖中に導入されたα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体だけでなく、前述のように、Rの炭素数が異なるアルキル基がランダムに高分子鎖中に導入されたα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体を、前記一般式(A)で表されるα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体として用いることも可能である。
前記一般式(A)で表されるα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5,000以上20,000以下が好ましい。前記重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
前記一般式(A)で表されるα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル共重合体、水溶性ポリウレタン樹脂及び水溶性ポリエステル樹脂は、常温においては固体であり、冷水には殆ど溶けないものである。しかし、前記共重合体及び前記樹脂の酸価と当量以上(好ましくは、酸価の1.0倍以上1.5倍以下)のアルカリ溶液又はアルカリ水溶液に溶解して用いた場合に分散剤としての効果を発現できる。また、前記共重合体及び前記樹脂をアルカリ溶液又はアルカリ水溶液にて溶解するには、加熱撹拌すると容易に溶解できる。前記α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体におけるオレフィン鎖が長い場合は比較的溶け難く、不溶物が残る場合があるが、適当なフィルター等で不溶物を除いて用いれば、分散安定化剤としての効果は損なわれない。
前記アルカリ溶液又はアルカリ水溶液における塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物;アンモニア、トリエチルアミン、モルホリン等の塩基性物質;トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、コリン等のアルコールアミンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記一般式(A)で表されるα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記市販品としては、例えば、T−YP112、T−YP115、T−YP114、T−YP116(以上、星光PMC株式会社製)などが挙げられる。
前記スチレン−(メタ)アクリル共重合体としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記市販品としては、例えば、JC−05(星光PMC株式会社製)、ARUFON UC−3900、ARUFON UC−3910、ARUFON UC−3920(以上、東亞合成株式会社製)などが挙げられる。
前記水溶性ポリウレタン樹脂としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記市販品としては、例えば、タケラックW−5025、タケラックW−6010、タケラックW−5661(以上、三井武田ケミカル株式会社製)などが挙げられる。
前記水溶性ポリエステル樹脂としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記市販品としては、例えば、ニチゴポリエスターW−0030、ニチゴポリエスターW−0005S30WO、ニチゴポリエスターWR−961(以上、日本合成化学工業株式会社製)、ペスレジンA−210、ペスレジンA−520(以上、高松油脂株式会社製)などが挙げられる。
前記高分子型の分散剤の酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40mgKOH/g以上400mgKOH/g以下が好ましく、60mgKOH/g以上350mgKOH/g以下がより好ましい。前記酸価が、40mgKOH/g以上であると、アルカリ溶液の溶解性を高くすることができ、400mgKOH/g以下であると、分散体の粘度を抑えることができ、インク粘度の上昇を抑制できるため吐出を良好に保つことができ、分散体の分散安定性が高い状態にて保つことができる。
前記高分子型の分散剤の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20,000以下が好ましく、5,000以上20,000以下がより好ましい。前記重量平均分子量が、20,000以下であると、アルカリ溶液の溶解性を高くでき、粘度が低いため分散体粘度を低下させることができ、5,000以上であると、顔料分散体の分散安定性をより向上することができる。前記重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
前記分散剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよく、高分子分散剤、低分子分散剤を複数種組み合わせて使用してもよい。前記複数種の分散剤を組み合わせて使用することにより分散剤の特長を生かした分散体を作り上げることができ、銀粒子の分散性と経時安定性とを高めることが可能となる。
前記分散剤の含有量としては、銀粒子100質量部に対して、1質量部以上100質量部以下が好ましく、10質量部以上50質量部以下がより好ましい。前記含有量が、1質量部以上であると、銀粒子を分散することができ、分散条件によっては一次粒子まで分散が可能となる。また、前記含有量が、100質量部以下であると、銀粒子に吸着していない過剰成分が余らず、インク物性に影響を与えない。そのため画像滲みや、耐水性、耐擦性の劣化、ノズルからの吐出性を悪化、及び経済性の劣化を抑制することができる。
前記銀粒子分散体としては、水、銀粒子、分散剤、及び必要に応じてその他の成分を合わせて分散する。前記分散は、分散機を用いることが好ましく、水中に前記分散剤を溶解させ、次に、前記銀粒子を加えて充分に湿潤させた後、ホモジナイザーによる高速撹拌、ビーズミルやボールミルのようなボールを用いた分散機、ロールミルのような剪断力を用いた混練分散機、超音波分散機等を用いる方法にて分散することにより、銀粒子分散液を作製することができる。
前記銀粒子の状態を観察するには、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察が有効である。また、銀粒子を確認するには顔料を樹脂に包埋して切断することにより断面を出し、観察することが有効である。前記銀粒子分散液の分散状態を把握するには、個々の粒子を観察するには観察試料作製時に凍結レプリカ法を用いて分散液を凍結し、割面を蒸着などで固定化することで、銀粒子の分散状態について状態を確認することが可能となる。
前記銀粒子の組成は、蛍光X線分析にてマクロな組成分析が可能であり、電子線マイクロアナライザ(EPMA)によって微小な部位に関しても組成分析を行うことができる。更にSEMと組み合わせてエネルギー分散型X線分光法(EDX)を用いることにより、銀粒子ごとの組成を把握することができる。
これら以外にも、X線光電子分光法(XPS)にて組成の最表層の元素分析や元素の化学状態を把握可能であり、詳細な膜状態を把握することができる。更にスパッタ法による表面エッチングを行うことで、三次元的な組成分布を把握することができる。
前記銀粒子分散液における銀粒子の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な分散性が得られ、インク処方の自由度を高める点から、1質量%以上50質量%以下が好ましく、1質量%以上30質量%以下がより好ましく、1質量%以上15質量%以下が特に好ましい。前記銀粒子の含有量が、1質量%以上であると、インクの処方として銀粒子濃度を調整することができる。また、前記含有量が、50質量%以下であると、分散液の粘度を低くすることができるため、インクを作製するときの取り扱いが容易になる。また、前記含有量が、30質量%以下であると、分散液製造時に撹拌しやすく分散効率をより向上することができる。
前記銀粒子分散液は、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子を除去することが好ましい。
<銀コロイドとして分散された銀粒子分散液の製造方法>
前記銀粒子は、その表面に保護コロイドが付着した銀コロイドとして、水系分散媒中に分散していることが好ましい。これにより、銀粒子の水系分散媒への分散性が特に優れたものとなり、インクの保存安定性を著しく向上できる。前記銀コロイドとしては、いかなる方法にて調製されたものであってもよく、例えば、銀イオンを含む溶液を用意し、この銀イオンを保護コロイドの存在下で還元剤により還元することにより得ることができる(例えば、特開2006−299329号公報等参照)。これらの方法によって金属コロイドを製造する際に、還元反応の前後の、任意の時点で水溶液に界面活性剤等を加えると、金属粒子の分散安定性を更に向上できる。
前記銀粒子の粒径は、前記還元剤による還元反応の制御によって制御することができる。すなわち、前記還元剤の添加速度や反応温度を調整することにより制御可能であり、例えば、還元剤の添加速度を遅めたり、液温を低めることで、より小さい粒子径に調整することが可能である。
前記保護コロイドとしては、銀粒子表面を保護する役割を果たす有機物であれば特に制限されないが、カルボキシル基を有する有機化合物、分散剤ポリマーが好ましく、いずれかを単独で使用しても、併用してもよいが、併用したほうが相乗効果があるため、より好ましい。
−カルボキシル基を有する有機化合物−
前記カルボキシル基を有する有機化合物におけるカルボキシル基の数としては、1分子あたり、1以上であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
なお、前記カルボキシル基を有する有機化合物において、一部又は全部のカルボキシル基は、塩(例えば、アミンとの塩、金属塩等)を形成していてもよい。特に、本発明では、カルボキシル基(特に、すべてのカルボキシル基)が、塩[特に、塩基性化合物との塩(アミンとの塩又はアミン塩等)を形成していない有機化合物(すなわち、遊離のカルボキシル基を有する有機化合物)を好適に使用できる。
前記カルボキシル基を有する有機化合物としては、カルボキシル基を有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、カルボキシル基以外の官能基(又は金属化合物又は金属ナノ粒子に対する配位性基等)を有していてもよい。
このようなカルボキシル基以外の官能基(又は配位性基)としては、例えば、ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選択された少なくとも1種のヘテロ原子を有する基(又は官能基)又は、これらの塩を形成した基(アンモニウム塩基等)などが挙げられる。これらの官能基は、1種単独で、又は2種以上組み合わせてカルボキシル基を有する有機化合物が有していてもよい。
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
前記窒素原子を有する基としては、例えば、アミノ基、置換アミノ基(ジアルキルアミノ基等)、イミノ基(−NH−)、窒素環基(ピリジル基等の5〜8員窒素環基、カルバゾール基、モルホリニル基等)、アミド基(−CON<)、シアノ基、ニトロ基などが挙げられる。
前記酸素原子を有する基としては、例えば、ヒドロキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のC1−6アルコキシ基)、ホルミル基、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、酸素環基(テトラヒドロピラニル基等の5〜8員酸素環基等)などが挙げられる。
前記硫黄原子を有する基としては、例えば、チオ基、チオール基、チオカルボニル基(−SO−)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基等の炭素数1〜4のアルキルチオ基等)、スルホ基、スルファモイル基、スルフィニル基(−SO−)などが挙げられる。
前記カルボキシル基を有する有機化合物としては、これらの官能基のうち、カルボキシル基と塩を形成可能な塩基性基(特に、アミノ基、置換アミノ基、イミノ基、アンモニウム塩基等)を有していない化合物であるのが好ましい。
代表的なカルボキシル基を有する有機化合物には、カルボン酸が含まれる。このようなカルボン酸としては、例えば、モノカルボン酸、ポリカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸(又はオキシカルボン酸)などが挙げられる。
前記モノカルボン酸としては、例えば、飽和脂肪族モノカルボン酸、不飽和脂肪族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸などが挙げられる。
前記飽和脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプリル酸、カプロン酸、ヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、シクロヘキサンカルボン酸、デヒドロコール酸、コラン酸等の炭素数1以上34以下の脂肪族モノカルボン酸(好ましくは炭素数1以上30以下の脂肪族モノカルボン酸)などが挙げられる。
前記不飽和脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、アビエチン酸等の炭素数4以上34以下の不飽和脂肪族モノカルボン酸(好ましくは炭素数10以下30以上の不飽和脂肪族モノカルボン酸)などが挙げられる。
前記芳香族モノカルボン酸としては、例えば、安息香酸、ナフトエ酸等の炭素数7以上12以下の芳香族モノカルボン酸などが挙げられる。
前記ポリカルボン酸としては、例えば、脂肪族飽和ポリカルボン酸、脂肪族不飽和ポリカルボン酸、芳香族ポリカルボン酸などが挙げられる。
前記脂肪族飽和ポリカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の炭素数2以上14以下の脂肪族飽和ポリカルボン酸(好ましくは炭素数2以上10以下の脂肪族飽和ポリカルボン酸等)などが挙げられる。
前記脂肪族不飽和ポリカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ソルビン酸、テトラヒドロフタル酸等の炭素数4以上14以下の脂肪族不飽和ポリカルボン酸(好ましくは炭素数4以上10以下の脂肪族不飽和ポリカルボン酸等)などが挙げられる。
前記芳香族ポリカルボン酸としては、例えば、フタル酸、トリメリット酸等の炭素数8以上12以下の芳香族ポリカルボン酸などが挙げられる。
前記ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、ヒドロキシモノカルボン酸、ヒドロキシポリカルボン酸などが挙げられる。
前記ヒドロキシモノカルボン酸としては、例えば、脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸、芳香族ヒドロキシモノカルボン酸などが挙げられる。
前記脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸としては、例えば、グリコール酸、乳酸、オキシ酪酸、グリセリン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、コール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、12−オキソケノデオキシコール酸、グリココール酸、リトコール酸、ヒオデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、アポコール酸、タウロコール酸等の炭素数2以上50以下の脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸(好ましくは炭素数2以上34以下の脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸、更に好ましくは炭素数2以上30以下の脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸等)などが挙げられる。
芳香族ヒドロキシモノカルボン酸としては、例えば、サリチル酸、オキシ安息香酸、没食子酸等の炭素数7以上12以下の芳香族ヒドロキシモノカルボン酸などが挙げられる。
前記ヒドロキシポリカルボン酸としては、脂肪族ヒドロキシポリカルボン酸などが挙げられる。
前記脂肪族ヒドロキシポリカルボン酸としては、例えば、タルトロン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸等の炭素数2以上10以下の脂肪族ヒドロキシポリカルボン酸などが挙げられる。
なお、前記カルボン酸は、塩を形成していてもよく、無水物、水和物などであってもよい。ここで、カルボン酸は、前記と同様に、塩(特に、アミンとの塩等の塩基性化合物との塩)を形成していない場合が多い。
前記カルボキシル基を有する有機化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記カルボキシル基を有する有機化合物としては、脂肪族ヒドロキシカルボン酸(脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸及び脂肪族ヒドロキシポリカルボン酸)等のヒドロキシカルボン酸が好ましい。
前記脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、脂環族ヒドロキシカルボン酸(又は脂環族骨格を有するヒドロキシカルボン酸が好ましい。
前記脂環族ヒドロキシカルボン酸(又は脂環族骨格を有するヒドロキシカルボン酸としては、例えば、コール酸等の炭素数6以上34以下の脂環族ヒドロキシカルボン酸が好ましく、炭素数10以上34以下の脂環族ヒドロキシカルボン酸がより好ましく、炭素数16以上30以下の脂環族ヒドロキシカルボン酸が特に好ましい。
また、前記コール酸等の多環式脂肪族ヒドロキシカルボン酸、デヒドロコール酸、コラン酸等の多環式脂肪族カルボン酸などは、嵩高い構造を有しており、銀粒子の凝集を抑制する効果が大きいため好ましい。
前記多環式脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、縮合多環式脂肪族ヒドロキシカルボン酸、好ましくは炭素数10以上34以下の縮合多環式脂肪族ヒドロキシカルボン酸、より好ましくは炭素数14以上34以下の縮合多環式脂肪族ヒドロキシカルボン酸、特に好ましくは炭素数18以上30以下の縮合多環式脂肪族ヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。
前記多環式脂肪族カルボン酸としては、例えば、縮合多環式脂肪族カルボン酸、好ましくは炭素数10以上34以下の縮合多環式脂肪族カルボン酸、より好ましくは炭素数14以上34以下の縮合多環式脂肪族ヒドロキシカルボン酸、特に好ましくは炭素数18以上30以下の縮合多環式脂肪族カルボン酸などが挙げられる。
前記カルボキシル基を有する有機化合物の数平均分子量としては、例えば、1,000以下、好ましくは800以下、更に好ましくは600以下であってもよい。また、カルボキシル基を有する有機化合物のpKa値は、例えば、1以上、好ましくは2以上、より好ましくは2以上8以下であってもよい。なお、前記数平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
−分散剤ポリマー−
本発明では、保護コロイドを、前記カルボキシル基を有する有機化合物と分散剤ポリマーとで組み合わせて構成する。このような組合せで保護コロイドを構成することにより、粗大粒子が著しく少ない銀粒子を含む銀コロイドが得られる。特に、本発明では、前記特定の保護コロイドの組合せにより、粗大粒子が少ないにもかかわらず、銀粒子の割合を大きくでき、銀コロイド(又はその分散液)の保存安定性にも優れている。
前記分散剤ポリマー(又は高分子型分散剤)としては、銀粒子を被覆可能であれば特に限定されないが、両親媒性の分散剤ポリマー(又はオリゴマー型分散剤)を好適に使用できる。
前記分散剤ポリマーとしては、例えば、通常、塗料、インク分野などで着色剤の分散に用いられている分散剤ポリマーなどが挙げられる。
前記分散剤ポリマーとしては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、水溶性ウレタン樹脂、水溶性アクリルウレタン樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール、天然ポリマー、ポリエチレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記スチレン系樹脂としては、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。
前記アクリル系樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体などが挙げられる。
前記セルロース誘導体としては、例えば、ニトロセルロース、エチルセルロース等のアルキルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース等のアルキル−ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のカルボキシアルキルセルロース等のセルロースエーテル類などが挙げられる。
前記ポリアルキレングリコールとしては、例えば、ゼラチン、デキストリンなどが挙げられる。
前記ポリアルキレングリコールとしては、例えば、液状のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。
代表的な分散剤ポリマー(両親媒性の分散剤ポリマー)としては、例えば、親水性モノマーで構成された親水性ユニット(又は親水性ブロック)を含む樹脂(又は水溶性樹脂、水分散性樹脂)などが挙げられる。
前記親水性モノマーとしては、例えば、カルボキシル基又は酸無水物基含有単量体、ヒドロキシル基含有単量体などの付加重合系モノマー、アルキレンオキシド(エチレンオキシド等)などの縮合系モノマーなどが挙げられる。
前記酸無水物基含有単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等の(メタ)アクリル系単量体、マレイン酸等の不飽和多価カルボン酸、無水マレイン酸などが挙げられる。
前記ヒドロキシル基含有単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ビニルフェノールなどが挙げられる。
前記縮合系モノマーとしては、ヒドロキシル基等の活性基(例えば、前記ヒドロキシル基含有単量体等)との反応により、親水性ユニットを形成していてもよい。
前記親水性モノマーとしては、1種単独で又は2種以上組み合わせて親水性ユニットを形成していてもよい。
前記分散剤ポリマーとしては、少なくとも親水性ユニット(又は親水性ブロック)を含んでいればよく、親水性モノマーの単独又は共重合体(例えば、ポリアクリル酸又はその塩等)であってもよく、前記例示のスチレン系樹脂やアクリル系樹脂等のように、親水性モノマーと疎水性モノマーとのコポリマーであってもよい。
前記疎水性モノマー(非イオン性モノマー)としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル系モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマー、α−炭素数2以上20以下オレフィン系モノマー、酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル系モノマーなどが挙げられる。前記疎水性モノマーは、1種単独で又は2種以上組み合わせて疎水性ユニットを構成していてもよい。
前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸炭素数1以上20以下アルキル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキル、(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリール、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−フェニルエチル等の(メタ)アクリル酸アラルキルなどが挙げられる。
前記α−炭素数2以上20以下オレフィン系モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ドデセンなどが挙げられる。
前記分散剤ポリマーとしては、コポリマー(例えば、親水性モノマーと疎水性モノマーとのコポリマー)である場合、前記コポリマーは、ランダムコポリマー、交互共重合体、ブロックコポリマー(例えば、親水性モノマーで構成された親水性ブロックと、疎水性モノマーで構成された疎水性ブロックとで構成されたコポリマー)、くし型コポリマー(又はくし型グラフトコポリマー)などであってもよい。
前記ブロックコポリマーの構造としては、特に限定されず、ジブロック構造、トリブロック構造(ABA型、BAB型)などであってもよい。
また、前記くし型コポリマーにおいて、主鎖は、前記親水性ブロックで構成してもよく、前記疎水性ブロックで構成してもよく、親水性ブロック及び疎水性ブロックで構成してもよい。
なお、前記親水性ユニットとしては、例えば、アルキレンオキシド(エチレンオキシド等)で構成された親水性ブロック(ポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド等のポリアルキレンオキシド)などの縮合系ブロックで構成することもできる。
前記親水性ブロック(ポリアルキレンオキシド等)と疎水性ブロック(ポリオレフィンブロック等)とは、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合などの連結基を介して結合していてもよい。
前記結合は、例えば、疎水性ブロック(ポリオレフィン等)を変性剤で変性した後、親水性ブロックを導入することにより形成してもよい。
前記変性剤としては、例えば、不飽和カルボン酸又はその無水物((無水)マレイン酸等)、ラクタム又はアミノカルボン酸、ヒドロキシルアミン、ジアミンなどが挙げられる。
また、ヒドロキシル基やカルボキシル基などの親水性基を有するモノマー(前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなど)から得られるポリマーと、前記縮合系の親水性モノマー(エチレンオキシド等)とを反応(又は結合)させることにより、くし型コポリマー(主鎖が疎水性ブロックで構成されたくし型コポリマー)を形成してもよい。
更に、共重合成分として、親水性の非イオン性モノマーを使用することにより、親水性と疎水性とのバランスを調整してもよい。
このような成分としては、例えば、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(例えば、数平均分子量200〜1,000)等のアルキレンオキシ(特にエチレンオキシ)ユニットを有するモノマー又はオリゴマーなどが挙げられる。
また、親水性基(カルボキシル基など)を変性(例えば、エステル化)することにより親水性と疎水性とのバランスを調整してもよい。
前記分散剤ポリマーとしては、官能基を有していてもよい。
前記官能基としては、例えば、酸基(又は酸性基、例えば、カルボキシル基(又は酸無水物基)、スルホ基(スルホン酸基)など)、ヒドロキシル基などが挙げられる。これらの官能基は、1種単独で又は2種以上組み合わせて分散剤ポリマーが有していてもよい。これらの官能基の中でも、酸基を有していることが好ましく、カルボキシル基を有していることがより好ましい。
また、前記分散剤ポリマーが、酸基(カルボキシル基等)を有している場合、少なくとも一部又は全部の酸基(カルボキシル基等)は、塩(アミンとの塩、金属塩等)を形成していてもよいが、特に、本発明では、カルボキシル基(特に、すべてのカルボキシル基)等の酸基が、塩[特に、塩基性化合物との塩(アミンとの塩又はアミン塩等)]を形成していない分散剤ポリマー[すなわち、遊離の酸基(特にカルボキシル基)を有する分散剤ポリマー]を好適に使用できる。
前記酸基(特にカルボキシル基)を有する分散剤ポリマーの酸価としては、例えば、1mgKOH/g以上100mgKOH/g以下が好ましく、3mgKOH/g以上90mgKOH/g以下がより好ましく、5mgKOH/g以上80mgKOH/g以下が更に好ましく、7mgKOH/g以上70mgKOH/g以下が特に好ましい。なお、酸基を有する分散剤ポリマーにおいて、アミン価は0mgKOH/g(又はほぼ0mgKOH/g)であってもよい。
なお、前記分散剤ポリマーにおいて、上記のような官能基の位置は、特に限定されず、主鎖であってもよく、側鎖であってもよく、主鎖及び側鎖に位置していてもよい。
このような官能基は、例えば、親水性モノマー又は親水性ユニット由来の官能基(例えば、ヒドロキシル基等)であってもよく、官能基を有する共重合性モノマー(例えば、無水マレイン酸等)の共重合によりポリマー中に導入することもできる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、分散剤ポリマーとして、特開2004−207558号公報の記載の高分子分散剤(高分子顔料分散剤)を使用してもよい。
前記分散剤ポリマーとしては、合成したものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。 前記市販品の分散剤ポリマー(又は少なくとも両親媒性の分散剤で構成された分散剤)としては、例えば、ソルスパース13240、ソルスパース13940、ソルスパース32550、ソルスパース31845、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース41090等のソルスパースシリーズ[アビシア社製];ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック164、ディスパービック166、ディスパービック170、ディスパービック180、ディスパービック182、ディスパービック184、ディスパービック190、ディスパービック191、ディスパービック192、ディスパービック193、ディスパービック194、ディスパービック2001、ディスパービック2050等のディスパービックシリーズ[ビックケミー株式会社製];EFKA−46、EFKA−47、EFKA−48、EFKA−49、EFKA−1501、EFKA−1502、EFKA−4540、EFKA−4550、ポリマー100、ポリマー120、ポリマー150、ポリマー400、ポリマー401、ポリマー402、ポリマー403、ポリマー450、ポリマー451、ポリマー452、ポリマー453[EFKAケミカル株式会社製];アジスパーPB711、アジスパーPAl11、アジスパーPB811、アジスパーPB821、アジスパーPW911等のアジスパーシリーズ[味の素株式会社製];フローレンDOPA−158、フローレンDOPA−22、フローレンDOPA−17、フローレンTG−700、フローレンTG−720W、フローレン−730W、フローレン−740W、フローレン−745W等のフローレンシリーズ[共栄社化学株式会社製];ジョンクリル678、ジョンクリル679、ジョンクリル62などのジョンクリルシリーズ[ジョンソンポリマー株式会社製]などが挙げられる。
これらのうち、酸基を有する分散剤ポリマーとしては、例えば、ディスパービック190、ディスパービック194などが挙げられる。
前記分散剤ポリマーの数平均分子量としては、1,500以上100,000以下が好ましく、2,000以上80,000以下がより好ましく、3,000以上50,000以下が更に好ましく、7,000以上20,000以下が特に好ましい。なお、前記数平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
前記銀のインク中の含有量としては、インク全量に対して、下限値としては1質量%以上が好ましく、2.5質量%以上が更に好ましく、上限値としては15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が特に好ましい。前記銀の含有量が、1質量%以上であると、得られる画像の金属光沢度や写像性が良好となり、15質量%以下であると、インクの保存安定性や吐出安定性を向上することができる。
<アミン化合物>
本発明で用いられるアミン化合物としては、NH基とOH基を有し、前記アミン化合物が有する前記NH基の数Xと、前記OH基の数Yが、下記式(1)及び下記式(2)を満たす化合物であれば特に制限はない。
3≦X+Y・・・式(1)
X≦Y・・・式(2)
本発明のアミン化合物を含むことで、銀を含む本発明の水系インクでは、銀の分散性が向上し、インクの保存安定性や吐出安定性を向上することができる。
NH基の数(X)とOH基の数(Y)の合計数は、下限値としては3個以上であり、上限値としては10個以下が好ましく、4個以下が特に好ましい。
NH基の数(X)よりもOH基の数(Y)が多いことが好ましい。
前記アミン化合物は下記一般式(1)で表される化合物がより好ましく、インクの保存安定性や吐出安定性を向上することができる。また、優れた金属光沢性及び写像性が得られる。
一般式(1)
ただし、前記一般式(1)中、Rは水素原子、メチル基、エチル基、又は−CHOHを表し、n1、及びn2は0〜1の整数を表す。
前記一般式(1)で表される化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリ(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−アミノ−1,2−プロパンジオールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アミン化合物の含有量としては、インク全量に対して、0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、0.1質量%以上1質量%以下がより好ましい。
前記アミン化合物の含有量がインク全量に対して、0.1質量%以上5質量%以下である場合、インクの保存安定性や吐出安定性を向上することができる。
前記アミン化合物の分子量としては、300以下であることが好ましく、200以下であることがより好ましく、150以下が更に好ましく、125以下が特に好ましい。
前記アミン化合物の分子量が300以下であると、記録媒体に対してインクを付与して形成したインク層中の銀が充分に凝集することが可能となり、より高い金属光沢性及び写像性が得られる。
下記式(3)で表される、前記インク中における前記銀の含有量(A)と、前記インク中における前記アミン化合物の含有量(B)の比率(A/B)は、1以上50以下が好ましく、5以上25以下がより好ましい。前記比率(A/B)が1以上50以下であると、インク中の前記銀と、前記アミン化合物の割合が適切となり、特にインクの保存安定性や吐出安定性を向上することができる。
1≦A(質量%)/B(質量%)≦50・・・式(3)
<有機溶剤>
本発明に使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物も好適に使用される。炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物は、記録媒体として紙を用いた場合に、インクの浸透性を向上させることができる。
有機溶剤のインク中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<水>
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%〜60質量%がより好ましい。
<樹脂>
インク中に含有する樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いても良い。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることが可能である。前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な定着性、高い画像硬度を得る点から、10nm以上1,000nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記樹脂の含有量としては、インク全量に対して、0.1質量%以上9質量%以下が好ましく、1質量%以上9質量%以下がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%以上9質量%以下であると、得られる画像の耐擦過性を向上することができる。
インク中の固形分の粒径については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、吐出安定性、画像濃度などの画像品質を高くする点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上1000nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。固形分は樹脂粒子や顔料の粒子等が含まれる。粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
<添加剤>
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。
前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S−1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
一般式(S−1)
(但し、一般式(S−1)式中、m、n、a、及びbは、それぞれ独立に、整数を表わし、Rは、アルキレン基を表し、R’は、アルキル基を表す。)
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(信越化学工業株式会社)、EMALEX−SS−5602、SS−1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ−2105、FZ−2118、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK−33、BYK−387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、フッ素置換した炭素数が2〜16の化合物が好ましく、フッ素置換した炭素数が4〜16である化合物がより好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F−1)及び一般式(F−2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
一般式(F−1)
上記一般式(F−1)で表される化合物において、水溶性を付与するためにmは0〜10の整数が好ましく、nは0〜40の整数が好ましい。
一般式(F−2)
2n+1−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)−Y
上記一般式(F−2)で表される化合物において、YはH、又はCmF2m+1でmは1〜6の整数、又はCHCH(OH)CH−CmF2m+1でmは4〜6の整数、又はCpH2p+1でpは1〜19の整数である。nは1〜6の整数である。aは4〜14の整数である。
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。この市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR、キャプストーンFS−30、FS−31、FS−3100、FS−34、FS−35(いずれも、Chemours社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF−136A,PF−156A、PF−151N、PF−154、PF−159(オムノバ社製)、ユニダインDSN−403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Chemours社製のFS−3100、FS−34、FS−300、株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF−151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN−403Nが特に好ましい。
インク中における界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性、吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
<消泡剤>
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
<防腐防黴剤>
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
<防錆剤>
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
<pH調整剤>
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE−80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。
本発明のインクは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、導電パターンを形成するために用いるものではないため、導電性用途としては使用できない。
<記録媒体>
記録媒体としては特に制限はなく、普通紙、光沢紙、特殊紙、布などを用いることもできるが、非浸透性基材を用いても良好な画像形成が可能である。
前記非浸透性基材とは、水透過性、吸収性が低い表面を有する基材であり、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない材質も含まれ、より定量的には、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である基材をいう。
前記非浸透性基材としては、例えば、塩化ビニル樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネートフィルムなどのプラスチックフィルムを、好適に使用することができる。
記録媒体としては、一般的な記録媒体として用いられるものに限られず、壁紙、床材、タイル等の建材、Tシャツなど衣料用等の布、テキスタイル、皮革等を適宜使用することができる。また、記録媒体を搬送する経路の構成を調整することにより、セラミックスやガラス、金属などを使用することもできる。
本発明の記録媒体として、最も好ましい形態は、表面に多孔質を有するものであり、前記多孔質としては、インク中の銀粒子を吸収することなく、色材以外の水などの構成成分を吸収できれば特に限定はないが、インクを構成する溶液を吸収する孔を有した印刷媒体であればよい。
本発明において、孔とは、記録媒体上に形成された前記多孔質を画像記録側から観察した際に観測される空隙のことを言う。なお、観察方法としては、SEMを用いて前記記録媒体上の前記多孔質を撮影した画像を観察することが挙げられる。
前記多孔質の平均孔径としては、100nm以上400nm以下であることが好ましく、下限値としては150nm以上がより好ましく、200nm以上が更に好ましく、上限値としては300nm以下がより好ましい。前記平均孔径が、100nm以上であると、金属光沢度と写像性に優れた画像を得ることができ、400nm以下であると、耐擦過性に優れた画像を得ることができる。
本発明において、平均孔径とは、前記観測された空隙について、最長と最短の2本の対角線の長さを求め、前記2本の対角線の平均値のことを言う。なお、前記対角線の長さは、前記多孔質のSEM画像から求められる。本発明において多孔質の平均孔径とは、前記多孔質の前記平均孔径の平均値のことを言う。
前記多孔質の平均厚みとしては、1μm以上50μm以下であることが好ましく、5μm以上30μm以下がより好ましい。前記平均厚みが、1μm以上50μm以下であると、銀粒子を含むインクを付与した場合に、効率よく溶液を吸収することができ、銀色の高写像性印刷面を得ることができる。
本発明において、多孔質の厚みは、垂直方向の記録物の切断面におけるSEM画像から算出することができる。具体的には、記録物断面の中点と、断面の一端と前記中点との中間点と、断面のもう一端と前記中点との中間点と、の計3点での多孔質の厚みの平均値のことを言う。
前記多孔質を有する記録媒体の多孔質の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、紙;ポリエチレンテレフタラート(PET)、塩ビ等の樹脂系基材への成膜性、膜均一性、密着性、及び安全性に優れているものが好ましい。
前記多孔質材質としては、例えば、シリカ、アルミナなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多孔質材質としては、シリカやアルミナを含む多孔質層が設けられた状態で市販されている記録媒体でもよく、非吸収(低吸収)記録媒体に別途、アルミナやシリカを含む塗布液を用いて塗膜して多孔質を形成してもよい。
前記多孔質としては、市販のシリカやアルミナのゾルやゲル状のコーティング材を用いて形成することができる。
前記コーティング材としては、シリカやアルミナの形状は球状でもよく、粒子が特殊処理により数珠状に連なったり分岐して繋がったもの(鎖状、パールネックレス状など)でもよい。
また、前記コーティング材の表面は、アンモニア、カルシウム、アルミナ等のイオンや化合物で変性されていてもよい。
前記コーティング材としては、シリカとして、スノーテックスS、スノーテックスN、スノーテックUP、ST−XS、ST−O、ST−C、ST−20(以上、日産化学工業株式会社製)、カタロイドSI−350、カタロイドSI−30、SN、SA、S−20L、S−20H、S−30L、S−30H(以上、日揮触媒化成株式会社製)、アエロジル200、200V、200CF、300(以上、日本アエロジル株式会社製);アルミナとして、アルミナクリアゾール5S、F1000、F3000、A2(以上、川研ファインケミカル株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多孔質の形成方法としては、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などが挙げられる。
前記多孔質を有する記録媒体としては、市販品を用いることができる。前記市販品としては、例えば、IJ用フィルムRM−1GP01(株式会社リコー製、多孔質の平均孔径:230nm)、NB−WF−3GF100(多孔質の平均孔径:210nm)、NB−RC−3GR120(多孔質の平均孔径:250nm)(三菱製紙株式会社製)PT−201A420(多孔質の平均孔径:270nm)、SD−101A450(多孔質の平均孔径:250nm)、GL−101A450(多孔質の平均孔径:240nm)、GP501A450(多孔質の平均孔径:250nm)、SP−101A450(多孔質の平均孔径:210nm)、PT−101A420(多孔質の平均孔径:240nm)、PR101(多孔質の平均孔径:270nm)(キヤノン株式会社製)、EJK−QTNA450(多孔質の平均孔径:200nm)、EJK−EPNA450(多孔質の平均孔径:210nm)、EJK−CPNA450(多孔質の平均孔径:220nm)、EJK−RCA450(多孔質の平均孔径:240nm)、EJK−CGNA450(多孔質の平均孔径:190nm)、EJK−GANA450(多孔質の平均孔径:180nm)、EJK−NANA450(多孔質の平均孔径:170nm)、EJK−EGNA450(多孔質の平均孔径:200nm)(エレコム株式会社製)、WPA455VA(多孔質の平均孔径:200nm)、WPA450PRM(多孔質の平均孔径:210nm)、G3A450A(多孔質の平均孔径:220nm)、G3A450A(多孔質の平均孔径:210nm)、WPA420HIC(多孔質の平均孔径:280nm)(富士フイルム株式会社製)、KA420SCKR(多孔質の平均孔径:240nm)、KA450PSKR(多孔質の平均孔径:230nm)、KA450SLU(多孔質の平均孔径:210nm)(セイコーエプソン株式会社製)、BP71GAA4(多孔質の平均孔径:220nm)(ブラザー工業株式会社製)などが挙げられる。
<樹脂層>
前記樹脂層は、印刷層の上に配置されることが好ましい。
前記樹脂層に用いられる樹脂としては、透明性が高いことが好ましい。
前記樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ナイロンなどが挙げられる。
前記樹脂の被覆方法としては、ラミネート処理で印刷表面又は印刷物全体を被覆する方法が好ましい。
また、透明樹脂を水や溶剤に溶解して塗布するオーバーコートで被覆する方法でもよい。
前記樹脂層の形成方法としては、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などが挙げられる。
前記樹脂層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、樹脂被覆後のb*値の点から、5μm以上300μm以下が好ましい。
前記印刷物は、直接記録媒体にインクだけを印刷した場合、記録媒体上に銀顔料が付着した状態であるため、これだけでは耐擦過性が不足する傾向にある。また、特にインク中の顔料が銀ナノ粒子の場合、色味が不自然な銀色になってしまうという問題がある。更に、色材を含まない樹脂インクを印字した後に、銀インクを印字した場合、耐擦過性はある程度向上するがまだ不十分であり、色味も不自然な銀色になってしまうという問題がある。そのため、印刷層上に透明の樹脂層を設けることにより、耐擦過性を向上することができる。
<記録物>
本発明のインク記録物は、記録媒体上に、本発明のインクを用いて形成された画像を有してなる。
インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により記録して記録物とすることができる。
<記録装置、記録方法>
以下は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)を用いた場合について説明するが、これらに代えて、あるいは、これらに加えて、銀を含むインクを用いれば良い。
本発明のインクは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
本発明において、記録装置、記録方法とは、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
この記録装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
記録装置、記録方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥手段を有しても良い。加熱手段、乾燥手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱手段、乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。加熱、乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。
また、記録装置、記録方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
また、記録装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、この記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
記録装置の一例について図1乃至図2を参照して説明する。図1は同装置の斜視説明図である。図2はメインタンクの斜視説明図である。記録装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えばアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
この記録装置には、インクを吐出する部分だけでなく、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
前処理装置、後処理装置の一態様として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)などのインクの場合と同様に、前処理液や、後処理液を有する液体収容部と液体吐出ヘッドを追加し、前処理液や、後処理液をインクジェット記録方式で吐出する態様がある。
前処理装置、後処理装置の他の態様として、インクジェット記録方式以外の、例えば、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法による前処理装置、後処理装置を設ける態様がある。
なお、インクの使用方法としては、インクジェット記録方法に制限されず、広く使用することが可能である。インクジェット記録方法以外にも、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などが挙げられる。
本発明のインクの用途は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、印刷物、塗料、コーティング材、下地用などに応用することが可能である。更に、インクとして用いて2次元の文字や画像を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。
立体造形物を造形するための立体造形装置は、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、インクの収容手段、供給手段、吐出手段や乾燥手段等を備えるものを使用することができる。立体造形物には、インクを重ね塗りするなどして得られる立体造形物が含まれる。また、記録媒体等の基材上にインクを付与した構造体を加工してなる成形加工品も含まれる。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された記録物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形する用途に好適に使用される。
また、本発明の用語における、画像形成、記録、印字、印刷等は、いずれも同義語とする。
記録媒体、メディア、被印刷物は、いずれも同義語とする。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
<樹脂エマルジョンの調製例>
攪拌機、還流冷却管、及び温度計を挿入した反応容器に、ポリカーボネートジオール(1,6−ヘキサンジオールとジメチルカーボネートの反応生成物)1,500g、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)220g及びジプロピレングリコールジメチルエーテル(bp171℃)1,347gを窒素気流下で仕込み、60℃に加熱してDMPAを溶解させた。
次いで、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを1,445g、ジブチルスズジラウリレート(触媒)を2.6g加え90℃まで加熱し、5時間かけてウレタン化反応を行い、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。
反応混合物を80℃まで冷却しこれにトリエチルアミン149gを添加・混合したものの中から4,340gを抜き出して、強攪拌下、水5,400g及びトリエチルアミン15gの混合溶液の中に加えた。
次いで、氷1,500gを投入し、35質量%の2−メチル−1,5−ペンタンジアミン水溶液626gを加えて鎖延長反応を行い、固形分濃度が30質量%となるように溶媒を留去し、ポリカーボネート変性ウレタン樹脂エマルジョン(ウレタン樹脂成分30質量%、水64質量%、ジプロピレングリコールジメチルエーテル6質量%)を得た。
次いで、得られたポリカーボネート変性ウレタン樹脂エマルジョン10,000gを抜き出し、強攪拌下、水2,000gを加え、樹脂エマルジョン(ウレタン樹脂成分25質量%、水70質量%、ジプロピレングリコールジメチルエーテル5質量%)を得た。
得られた樹脂エマルジョンをスライドガラス上に膜厚10μmとなるように塗布し、100℃30分間で乾燥させて樹脂フィルムを成形し、微小表面硬度計(FISCHERSCOPE HM2000、フィッシャー社製)を用いて、ビッカース圧子を9.8mNの荷重をかけて押し込んだ際のマルテンス硬度は120N/mmであった。
(銀粒子分散液の調製例1)
<銀粒子分散液1の調製>
硝酸銀66.8g、カルボキシル基を有する分散剤ポリマー(ビッグケミージャパン株式会社製、商品名:「ディスパービック190」、溶媒:水、不揮発成分40質量%、酸価:10mgKOH/g、アミン価:0mgKOH/g)7.2g、及びコール酸(和光純薬工業株式会社製)1.8gを、イオン交換水100gに投入し、激しく撹拌し、懸濁液を得た。この懸濁液に対して、ジメチルアミノエタノール(和光純薬工業株式会社製)100gを水温が50℃を超えないように徐々に加えたのち、水温60℃のウォーターバス中で2時間加熱撹拌した。得られた反応液を、ガラスフィルタ(ADVANTEC社製、GC−90、平均孔径:0.8μm)にてろ過し、銀を15質量%、水を37.8質量%含む銀粒子分散液を得た。
得られた銀粒子分散液1の粒度分布を、粒度分析装置(Nanotrac Wave−EX150、日機装株式会社製)を用いて測定したところ、50%累積体積粒径(D50)が5nm、及び90%累積体積粒径(D90)が30nmであった。
(銀粒子分散液の調製例2〜3)
<銀粒子分散液2〜3の調製>
銀粒子分散液の調製例1において、下記表1に示す銀粒子の50%累積体積粒径(D50)、及び90%累積体積粒径(D90)になるように、ジメチルアミノエタノールの加える速度と、水温を調節した以外は、銀粒子分散液の調製例1と同様にして、銀を15質量%含む銀粒子分散液2〜3を得た。
(銀粒子分散液の調製例4)
<銀粒子分散液4の調製>
反応容器中で純水700gに硝酸銀(関東化学株式会社製)340gを添加し、完全に溶解させ硝酸銀水溶液を調製した。これにアンモニア水(関東化学株式会社製、特級)をアンモニア濃度25質量%となるように調整したアンモニア水700gを添加し、撹拌してアンミン銀錯体水溶液を調製し、23℃に温調した。
異なる容器に純水1,260gにヒドロキノン(関東化学株式会社製)111g、及び無水亜硫酸カリウム(関東化学株式会社製)50gを溶解させて還元剤水溶液を調製し、23℃に温調した後、この還元剤水溶液に、同じく23℃に温調した上記のアンミン銀錯体水溶液を一気に添加し、10分間撹拌することにより銀粒子の還元析出を完了させた。
その後、銀粒子をブフナー漏斗にて濾過して回収し、水1Lを用いた水洗を3度繰り返し、乾燥させて銀粒子を得た。
得られた銀粒子15質量部、レオドールTW−O120V(花王株式会社製)3質量部、及び純水82質量部をビーカーに加え、スターラーで充分に撹拌した後、水冷しながら超音波ホモジナイザー(株式会社日本精機製作所製、US−300T(チップ直径:26mm))にて200μAで1時間処理し分散処理を行い、銀を15質量%含む銀粒子分散液4を得た。
得られた銀粒子分散液4の粒度分布を、粒度分析装置(Nanotrac Wave−EX150、日機装株式会社製)を用いて測定したところ、50%累積体積粒径(D50)が1,540nm、及び90%累積体積粒径(D90)が3,020nmであった。
(銀粒子分散液の調製例5)
<銀粒子分散液5の調製>
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社製、E−5100、平均厚み100μm)にコロナ処理を行い、その表面にポリビニルピロリドンK15(関東化学株式会社製)5質量%、フッ素系界面活性剤(Capstone FS−3100、DuPont社製)0.1質量%、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル(関東化学株式会社製)10質量%、及びイオン交換水84.9質量%を混合溶解した塗工液をバーコーターで塗布し、70℃で15分間乾燥することで、PETフィルム上に剥離樹脂層を塗布したPETフィルムを作製した。
真空蒸着装置を用いて、前記PETフィルム上に、平均厚み100nmの銀蒸着層を形成し、薄層膜PETフィルムを作製した。
得られた薄層膜PETフィルムを高純水に浸漬し、超音波洗浄機(アズワン社製、VS−150)にて剥離処理を行った。2時間の処理にてPETフィルムから剥離樹脂層ごと銀薄層膜を剥離した後、PETフィルムを取り除いて遠心分離器にて1,000Gを1時間かけることで銀薄層膜を沈殿成分とし分離した。上澄みを廃棄して純水を追加して再度分散させ、遠心分離にて沈殿分離する作業を3度行い銀薄層膜の洗浄を行った。
沈殿成分の固形分を熱分析の熱重量測定から求め、銀固形分100質量部に対して10質量部のレオドールTW−O120V(花王株式会社製)を加え、銀固形分が15質量%となるように純水を加え、水冷しながら超音波ホモジナイザー(US−300T、株式会社日本精機製作所製、チップ直径:26mm)にて200μAで1時間処理し分散処理を行った。
得られた銀薄層膜分散液を、平均孔径が18μmのSUSメッシュフィルター(ポール社製、LCF−241)にて加圧濾過を行い、続いて、平均孔径が5μmのセルロースアセテートメンブランフィルターにて加圧濾過して粗大粒子を除去し、銀を15質量%含む銀粒子分散液5を得た。
得られた銀粒子分散液5の粒度分布を、粒度分析装置(Nanotrac Wave−EX150、日機装株式会社製)を用いて測定したところ、50%累積体積粒径(D50)が1,610nm、及び90%累積体積粒径(D90)が1,890nmであった。
(銀粒子分散液の調製例6)
<銀粒子分散液6の調製>
銀粒子(商品名:AGC−2011、福田金属箔粉工業社製)15質量部、アニオン界面活性剤(商品名:パイオニンA−51−B、竹本油脂株式会社製)2質量部、及びイオン交換水83質量部をプレミックスした後、水冷しながら超音波ホモジナイザー(US−300T、株式会社日本精機製作所製、チップ直径:26mm)にて200μAで1時間処理し分散して、銀を15質量%含む顔料分散液6を得た。
得られた銀粒子分散液6の粒度分布を、粒度分析装置(Nanotrac Wave−EX150、日機装株式会社製)を用いて測定したところ、50%累積体積粒径(D50)が2,053nm、及び90%累積体積粒径(D90)が4,950nmであった。
(銀粒子分散液の調製例7)
<銀粒子分散液7の調製>
銀粒子(商品名:AGC−156I、福田金属箔粉工業社製)15質量部、アニオン界面活性剤(商品名:パイオニンA−51−B、竹本油脂株式会社製)2質量部、及びイオン交換水83質量部をプレミックスした後、水冷しながら超音波ホモジナイザー(US−300T、株式会社日本精機製作所製、チップ直径:26mm)にて200μAで1時間処理し分散して、銀を15質量%含む顔料分散液7を得た。
得られた銀粒子分散液7の粒度分布を、粒度分析装置(Nanotrac Wave−EX150、日機装株式会社製)を用いて測定したところ、50%累積体積粒径(D50)が2,801nm、及び90%累積体積粒径(D90)が8,560nmであった。
(銀粒子分散液の調製例8)
<銀粒子分散液8の調製>
銀粒子分散液の調製例1により得られた銀粒子分散液1をロータリーエバポレーターにより濃縮し、ガラスフィルタ(ADVANTEC社製、GC−90、平均孔径:0.8μm)にてろ過し、銀を25質量%含む銀粒子分散液8を得た。
得られた銀粒子分散液8の粒度分布を、粒度分析装置(Nanotrac Wave−EX150、日機装株式会社製)を用いて測定したところ、50%累積体積粒径(D50)が5nm、及び90%累積体積粒径(D90)が30nmであった。
(インクの調製例1)
<インク1の調製>
下記処方の材料を合計で100質量部となるように混合撹拌した後、フィルター(LCF−24110、日本ポール株式会社製、SUS304Lリジメッシュ、ろ過精度:18μm)を用いて、ろ過を行い、インク1を得た。
−処方−
・銀粒子分散液1・・・33.4質量部
・2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール(東京化成工業株式会社製)・・・0.2質量部
・2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオール(東京化成工業株式会社製)・・・0.5質量部
・1,2−プロパンジオール(東京化成工業株式会社製、bp:188℃)・・・10.2質量部
・3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(東京化成工業株式会社製、bp:240℃)・・・15.0質量部
・防腐防黴剤(商品名:プロキセルLV、アビシア社製)・・・0.1質量部
・シリコーン系界面活性剤(商品名:KF−351A、信越化学工業株式会社製)・・・1.0質量部
・イオン交換水・・・残量
(インクの調製例2〜32)
<インク2〜32の調製>
インクの調製例1において、下記表2〜5に示すように、銀粒子分散液の種類及び添加量、アミン化合物の種類及び添加量、樹脂エマルジョンの添加量、1,2−プロパンジオールの添加量を変更した以外は、インクの調製例1と同様にして、インク2〜32を得た。
※樹脂エマルジョン:樹脂エマルジョンの調製例のポリカーボネート変性ウレタン樹脂エマルジョン
なお、アミン化合物については、以下に記載の化合物を使用した。
・トリ(ヒドロキシメチル)アミノメタン(東京化成工業株式会社製)
・2−アミノ−1,3−プロパンジオール(東京化成工業株式会社製)
・2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール(東京化成工業株式会社製)
・3−アミノ−1,2−プロパンジオール(東京化成工業株式会社製)
・(2S,3S,4R)−2−アミノ−1,3,4−オクタンデカントリオール(東京化成工業株式会社製)
・トリエタノールアミン(東京化成工業株式会社製)
・2−メチルアミノメタノール(東京化成工業株式会社製)
<実施例1〜32、比較例1〜4>
まず、インクジェットプリンタ(株式会社リコー製、IPSiO GXe5500)を用いて、表6に示す記録媒体に対して、300dpi×300dpi、かつ1画素当たり30pLで吐出して、5cm×5cmのベタ画像を25℃で、表6〜7に示すインクを記録することにより、記録物を得た。
次に、得られた記録物について、以下のようにして、「インク経時評価」、「光沢度」、「耐擦過性」、及び「写像性」を評価した。結果を表8に示す。
<インク経時評価>
−保存安定性(粘度変化率)−
得られたインク1〜32の24時間後の粘度を初期粘度η1、70℃の恒温層に2週間保存し経時促進させた後の経時粘度をη2とし、E型粘度計「ELD型粘度計」(東機産業社製)を用いて、25℃、回転数50rpmという条件で測定した。粘度変化率は、初期粘度と経時粘度の差を、初期粘度の値で割ったものであり、下記評価基準に基づいて評価した。また、目視にて、沈降物の有無を確認した。なお、B以上が、実用上問題のないレベルであり、好ましくはA以上である。
−評価基準−
S:粘度変化率が±2%以内であり、沈降物が目視で確認できない。
A:粘度変化率が±2%を超え、±5%以内であり、沈降物が目視で確認できない。
B:粘度変化率が±2%を超え、±5%以内であり、沈降物が5つ以下存在する。
C:粘度変化率が±5%を超える、若しくは沈降物が5つを超えて存在する。
−吐出安定性(ノズル抜け)−
得られたインク1〜32をインクジェットプリンタ(株式会社リコー製、IPSiO GXe5500)に充填し、インクジェット用光沢紙(画彩写真仕上げValue、富士フイルム株式会社製)上にノズルチェックパターンを印刷して、全ノズル数384に対してインク1〜32が吐出された吐出ノズル数を確認し、下記評価基準に基づいて、「ノズル抜け」を評価した。なお、B以上が、実用上問題のないレベルであり、好ましくはA以上である。
−評価基準−
S:吐出ノズル数が384
A:吐出ノズル数が336以上384未満
B:吐出ノズル数が192以上336未満
C:吐出ノズル数が192未満
(光沢度)
記録媒体に対して300dpi×300dpi、かつ1画素当たり30pLとしてインクを吐出して形成した5cm×5cmのベタ画像の乾燥後の印刷物の20°光沢度を光沢度計(BYK Gardener社製、マイクロトリグロス)により測定し、下記評価基準に基づいて、「光沢度」を評価した。なお、B以上が、実用上問題のないレベルであり、好ましくはA以上である。
−評価基準−
S:20°光沢度が800以上
A:20°光沢度が500以上800未満
B:20°光沢度が350以上500未満
C:20°光沢度が250以上350未満
D:20°光沢度が250未満
(写像性)
300dpi×300dpi、かつ1画素当たり30pLとしてインクを吐出して形成した5cm×5cmのベタ画像の乾燥後の記録物の写像性値Cを、装置名:ICM−1型(スガ試験機株式会社製)を使用し、JIS−H8686で規定される写像性測定方法により光学くし幅が2.0mmの写像性を測定し、下記評価基準に基づいて、「写像性」を評価した。なお、B以上が、実用上問題のないレベルであり、好ましくはA以上である。
−評価基準−
S:写像性値Cが50以上
A:写像性値Cが30以上50未満
B:写像性値Cが15以上30未満
C:写像性値Cが5以上15未満
D:写像性値Cが5未満
(耐擦過性)
記録媒体に対して300dpi×300dpi、かつ1画素当たり30pLとしてインクを吐出して形成した5cm×5cmのベタ画像の乾燥後の記録物を学振型磨耗堅牢度試験機(装置名:AB−301、テスター産業株式会社製)にセットし、接触部に白綿布(JIS L0803に準拠)を取り付けた摩擦子(荷重:300g)にて10回擦り、その劣化具合を目視にて観察し、下記評価基準に基づいて、「耐擦過性」を評価した。なお、B以上が、実用上問題のないレベルであり、好ましくはA以上である。
−評価基準−
S:傷の数が5本未満であり、下地が見えない
A:傷の数が5本以上10本未満であり、下地が見えない
B:傷の数が10本以上あり、下地(被印刷物)の露出が5%未満
C:傷の数が10本以上あり、下地(被印刷物)の5%以上が露出
なお、記録媒体については、以下に記載のものを用いた。
記録媒体の多孔質の平均孔径は、記録媒体表面のSEM観察により求めた。
記録媒体1:プラチナフォトペーパー(ELECOM社製、EJK−QTA420)、インク受容層有り、多孔質の平均孔径:200nm
記録媒体2:EPSON写真用紙〔光沢〕(EPSON社製、KA450PSKR)、インク受容層有り、多孔質の平均孔径:90nm
記録媒体3:CANON スーパーフォトペーパー(CANON社製、SP−101A450)、インク受容層有り、多孔質の平均孔径:120nm
記録媒体4:画彩 写真仕上げPro(富士フィルム社製、WPA460PRO)、インク受容層有り、多孔質の平均孔径:380nm
記録媒体5:ピクトリコ・フォトペーパー(CANON社製、PPR200−A4/20)、インク受容層有り、多孔質の平均孔径:430nm
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 銀と、水と、アミン化合物と、を含み、前記アミン化合物がNH基とOH基を有し、前記アミン化合物が有する前記NH基の数Xと、前記OH基の数Yが、下記式(1)及び下記式(2)を満たすことを特徴とするインクである。
3≦X+Y・・・式(1)
X≦Y・・・式(2)
<2> 前記アミン化合物の分子量が300以下である前記<1>に記載のインクである。
<3> 前記アミン化合物が、下記一般式(1)で表される化合物である前記<1>又は<2>に記載のインクである。
一般式(1)
ただし、前記一般式(1)中、Rは水素原子、メチル基、エチル基、又は−CHOHを表し、n1、及びn2は0〜1の整数を表す。
<4> 前記インク中における前記銀の含有量が、1質量%以上15質量%以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載のインクである。
<5> 前記インク中における前記アミン化合物の含有量が、0.1質量%以上5質量%以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載のインクである。
<6> 前記インク中における前記銀の含有量(A)と、前記インク中における前記アミン化合物の含有量(B)との比率が、下記式(3)で表される前記<1>から<5>のいずれかに記載のインクである。
1≦A(質量%)/B(質量%)≦50・・・式(3)
<7> 樹脂を更に含み、前記インク中における、前記樹脂の含有量が0.1質量%以上9質量%以下である前記<1>から<6>のいずれかに記載のインクである。
<8> 前記<1>から<7>のいずれかに記載のインクを容器中に収容してなることを特徴とするインク収容容器である。
<9> 前記<1>から<7>のいずれかに記載のインクと、前記インクを吐出するインク吐出部と、を有することを特徴とする画像記録装置である。
<10> 前記<1>から<7>のいずれかに記載のインクを、記録媒体に対して吐出する工程を含むことを特徴とする画像記録方法である。
<11> 前記記録媒体が、前記記録媒体の表面に多孔質を有し、前記多孔質の平均孔径が100nm以上400nm以下である前記<10>に記載の画像記録方法である。
<12> 記録媒体上に、銀とアミン化合物を有し、前記アミン化合物がNH基とOH基を有し、前記アミン化合物が有する前記NH基の数Xと、前記OH基の数Yが、下記式(1)及び式(2)を満たすことを特徴とする記録物である。
3≦X+Y・・・式(1)
X≦Y・・・式(2)
前記<1>から<7>のいずれかに記載のインク、前記<8>に記載のインク収容容器、及び前記<9>に記載の画像記録装置、前記<10>から<11>のいずれかに記載の画像記録方法、及び前記<12>に記載の記録物は、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
400 画像形成装置
401 画像形成装置の外装
401c 装置本体のカバー
404 カートリッジホルダ
410 メインタンク
410k、410c、410m、410y ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク
411 インク収容部
413 インク排出口
414 収容容器ケース
420 機構部
434 吐出ヘッド
436 供給チューブ
特開2005−036079号公報 特許第4165860号公報

Claims (12)

  1. 銀と、水と、アミン化合物と、を含み、
    前記アミン化合物がNH基とOH基を有し、
    前記アミン化合物が有する前記NH基の数Xと、前記OH基の数Yが、下記式(1)及び下記式(2)を満たすことを特徴とするインク。
    3≦X+Y・・・式(1)
    X≦Y・・・式(2)
  2. 前記アミン化合物の分子量が300以下である請求項1に記載のインク。
  3. 前記アミン化合物が、下記一般式(1)で表される化合物である請求項1又は2に記載のインク。
    一般式(1)
    ただし、前記一般式(1)中、Rは水素原子、メチル基、エチル基、又は−CHOHを表し、n1、及びn2は0〜1の整数を表す。
  4. 前記インク中における前記銀の含有量が、1質量%以上15質量%以下である請求項1から3のいずれかに記載のインク。
  5. 前記インク中における前記アミン化合物の含有量が、0.1質量%以上5質量%以下である請求項1から4のいずれかに記載のインク。
  6. 前記インク中における前記銀の含有量(A)と、
    前記インク中における前記アミン化合物の含有量(B)との比率が、下記式(3)で表される請求項1から5のいずれかに記載のインク。
    1≦A(質量%)/B(質量%)≦50・・・式(3)
  7. 樹脂を更に含み、
    前記インク中における、前記樹脂の含有量が0.1質量%以上9質量%以下である請求項1から6のいずれかに記載のインク。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載のインクを容器中に収容してなることを特徴とするインク収容容器。
  9. 請求項1から7のいずれかに記載のインクと、
    前記インクを吐出するインク吐出部と、
    を有することを特徴とする画像記録装置。
  10. 請求項1から7のいずれかに記載のインクを、記録媒体に対して吐出する工程を含むことを特徴とする画像記録方法。
  11. 前記記録媒体が、前記記録媒体の表面に多孔質を有し、前記多孔質の平均孔径が100nm以上400nm以下である請求項10に記載の画像記録方法。
  12. 記録媒体上に、銀とアミン化合物を有し、
    前記アミン化合物がNH基とOH基を有し、
    前記アミン化合物が有する前記NH基の数Xと、前記OH基の数Yが、下記式(1)及び式(2)を満たすことを特徴とする記録物。
    3≦X+Y・・・式(1)
    X≦Y・・・式(2)
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