以下、図面を参照して実施の形態について説明する。各図において共通または対応する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を簡略化または省略する。本開示は、以下の各実施の形態で説明する構成のうち、組み合わせ可能な構成のあらゆる組み合わせを含み得る。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による給湯装置を示す図である。本実施の形態1の給湯装置1Aは、浴槽10へ給湯する機能と、浴槽10を洗浄するための泡沫を浴槽10に供給する機能とを有する。本明細書において、泡沫とは、気泡が多数集まることでクリーム状の塊を形成する泡を意味する。すなわち、泡沫とは、フォーム(foam)を意味する。以下の説明では、洗剤すなわち界面活性剤が混合された水を「洗剤水」と称する。以下の説明では、浴槽10に溜められた湯水を「浴水」と呼ぶことがある。
図1に示すように、給湯装置1Aは、水を加熱する加熱手段2と、タンクユニット3と、リモコン装置4とを備える。本実施の形態の給湯装置1Aは、タンクユニット3内に貯湯タンク5を備えた貯湯式給湯装置に相当する。本発明は、貯湯式給湯装置以外の給湯装置(例えば瞬間式給湯装置)にも適用可能である。
給湯装置1Aの動作を制御する制御手段に相当する制御装置6がタンクユニット3内に備えられている。制御装置6は、例えば、プロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータを備えたものでもよい。制御装置6と、リモコン装置4との間は、有線通信または無線通信により、双方向に通信可能である。制御装置6と、リモコン装置4とが、ネットワークを介して通信可能でもよい。リモコン装置4は、ユーザーインターフェースの例である。本実施の形態において、リモコン装置4は、浴室に設置されたものでもよい。または、例えばスマートフォンのような携帯情報端末が給湯装置1Aのユーザーインターフェースとしての機能を有するように構成してもよい。
リモコン装置4は、表示部4a及び操作部4bを備える。表示部4aは、例えば、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイでもよい。表示部4aは、例えば、給湯装置1Aの状態に関する情報、給湯装置1Aの設定内容に関する情報などを表示できる。表示部4aは、使用者に情報を報知する報知手段に相当する。操作部4bは、使用者が操作するためのボタン、ダイヤル、キーなどを含んでもよい。表示部4aは、操作部の機能を兼ね備えるタッチスクリーンでもよい。リモコン装置4は、スピーカ、マイク等をさらに備えてもよい。本実施の形態におけるリモコン装置4は、例えば音声案内装置のような、表示部4a以外の報知手段を備えてもよい。
貯湯タンク5は、湯水を貯留する。温度による水の密度の違いにより、貯湯タンク5内には、上側が高温で下側が低温の温度成層を形成できる。貯湯タンク5の下部に給水管7が接続されている。上水道等の水源から供給される水は、給水管7を通って貯湯タンク5内に流入する。
加熱手段2は、ヒートポンプ装置を備えたものでもよい。第一通路8は、貯湯タンク5の下部と、加熱手段2の水入口との間をつなぐ。第二通路9は、加熱手段2の湯出口と、貯湯タンク5の上部との間をつなぐ。貯湯タンク5の水を加熱手段2により加熱する運転である沸上運転のときには、以下のようになる。貯湯タンク5内の下部の水が第一通路8を通って加熱手段2へ送られる。加熱手段2で加熱された高温の湯は、第二通路9を通って、貯湯タンク5の上部に流入する。
給湯装置1Aは、湯を浴槽10へ供給可能である。浴槽10の内壁に浴槽アダプタ13が設置されている。浴槽アダプタ13は、放出口14及び吸入口15を有する。放出口14は、浴槽10内へ流体を放出可能である。吸入口15は、浴槽10内の流体を吸入可能である。吸入口15は、放出口14よりも低い位置にある。
タンクユニット3内には、水ポンプ11と、浴水を加熱するための追焚熱交換器12とが配置されている。第三通路16は、追焚熱交換器12の浴水の出口と、放出口14との間をつなぐ。第四通路17は、吸入口15と、追焚熱交換器12の浴水の入口との間をつなぐ。第四通路17の途中に水ポンプ11が配置される。
水ポンプ11が運転されると、次のように浴水が循環する。浴槽10内の浴水が吸入口15から第四通路17に引き込まれ、追焚熱交換器12へ送られる。追焚熱交換器12を通過した浴水は、第三通路16を通って、放出口14から浴槽10内へ放出される。水ポンプ11、追焚熱交換器12、第三通路16、第四通路17により、浴水の循環流路が形成される。
本実施の形態における追焚熱交換器12は、吸入口15から吸入された浴水を加熱する浴水加熱手段に相当する。給湯装置1Aは、追焚熱交換器12により加熱された浴水を浴槽10内に戻す追焚運転を実施可能である。追焚熱交換器12は、貯湯タンク5から循環流路(図示省略)を通って供給される高温水と浴水との間で熱を交換することで浴水を加熱するものでもよいし、燃料の燃焼により加熱する燃焼式加熱装置または電気ヒータ等を備えたものでもよい。
タンクユニット3内には、混合弁18が配置されている。混合弁18は、湯側入口、水側入口、及び出口を有する。混合弁18の湯側入口は、給湯管19を介して貯湯タンク5の上部につながる。混合弁18の水側入口は、水源からの低温水を供給する給水管20につながる。混合弁18の出口は、給湯管38を介して、第四通路17の途中の位置につながる。
浴槽10に湯を溜める湯張り動作のときには、以下のようになる。貯湯タンク5から給湯管19を通って供給される高温水と、給水管20から供給される低温水とが混合弁18にて混合され、温度調整される。混合弁18で温度調整された湯は、給湯管38、第三通路16、及び第四通路17を通って、浴槽10へ流入する。湯張り動作のときには、浴槽アダプタ13の放出口14及び吸入口15の両方から湯が浴槽10内へ流入する。
給湯装置1Aは、気液混合装置21と、空気ポンプ22と、空気供給弁23とをさらに備える。気液混合装置21は、放出口14の上流側に配置される。図示の例では、気液混合装置21は、第三通路16の途中に接続されているとともに、タンクユニット3の外部であって浴槽10の近くに配置されている。空気ポンプ22及び空気供給弁23は、タンクユニット3内に配置されている。空気ポンプ22は、気体通路24を介して気液混合装置21に接続されている。空気供給弁23は、気体通路24の途中に配置され、気体通路24を開通させたり遮断したりすることのできる電磁弁である。空気供給弁23が開かれ、空気ポンプ22が運転されると、空気が気体通路24を通って気液混合装置21へ供給される。本実施の形態における空気ポンプ22は、気液混合装置21へ気体を供給する給気装置に相当する。
水ポンプ11が運転されると、浴槽10内の液体が第三通路16を通過するので、浴槽10内の液体が気液混合装置21へ供給される。本実施の形態における水ポンプ11は、気液混合装置21へ液体を供給する給液装置に相当する。気液混合装置21は、空気ポンプ22により供給された気体と、水ポンプ11により供給された液体とを混合させる機能を有する。
例えば湯張り動作のときには、空気供給弁23を閉じることにより、浴水が気体通路24に流入することを防止できる。例えば湯張り動作のときには、空気供給弁23を閉じるとともに、空気ポンプ22を停止することにより、気液混合装置21によって気体を混合することなく、気体を含まない液体の湯だけを浴槽10へ流入させるようにしてもよい。
本実施の形態では、浴槽10を洗浄する際に、気液混合装置21により生成された泡沫を放出口14から浴槽10内へ放出する運転を行うことができる。この運転を以下「泡沫供給運転」と称する。本実施の形態における泡沫供給運転のときには、以下のようになる。浴槽10内の浴水に洗剤を添加することで、浴槽10内に洗剤水を生成する。水ポンプ11及び空気ポンプ22が運転される。水ポンプ11が運転されると、浴槽10内の洗剤水が気液混合装置21へ供給される。気液混合装置21にて、洗剤水と、空気ポンプ22により供給された空気とが混合することにより、泡沫が生成される。この泡沫が放出口14から浴槽10内へ放出される。
本実施の形態の給湯装置1Aでは、浴槽10内の水位が放出口14と吸入口15との間になる状態で、水ポンプ11及び空気ポンプ22を運転することにより、泡沫供給運転を実施する。図1は、浴槽10内の液面90が放出口14よりも低く吸入口15よりも高い位置にある状態を表している。図1に示すような状態は、「浴槽10内の水位が放出口14と吸入口15との間になる状態」に相当する。上記のようにして泡沫供給運転を継続して実施すると、放出口14から放出される泡沫が液面90の上に溜まっていく。液面90の上に溜まった泡沫は、放出口14から続いて放出される泡沫に押されて、さらに上方へ盛り上がっていく。このようにして、浴槽10内の液面90よりも上の空間が泡沫で満たされていく。これにより、浴槽10の内壁の全周に渡って泡沫が付着するので、浴槽10の内壁の全周に対して洗浄効果を及ぼすことができる。
図1中の泡沫上面91は、浴槽10内の液面90よりも上の空間に溜まった泡沫の上面の例を示す。この例の泡沫上面91は、浴槽10の内壁の上端の近くに位置する。この例のように、制御装置6は、浴槽10の内壁の上端に近い位置にまで泡沫が満たされるように、泡沫供給運転を継続して実施してもよい。そのようにすることで、浴槽10の内壁の上端に近い位置にまで、泡沫による洗浄効果を及ぼすことができる。
制御装置6は、図1に示す泡沫上面91の位置からさらに泡沫供給運転を継続して実施してもよい。すなわち、制御装置6は、浴槽10から泡沫が溢れ出る状態になるまで、泡沫供給運転を継続して実施してもよい。そのようにすることで、浴槽10の上端の縁部に対しても、泡沫による洗浄効果を及ぼすことができる。
放出口14から放出される泡沫の泡径は、例えば、1μmから5000μmの範囲にあってもよい。なお、泡径とは、個々の気泡の直径を算術平均した値を意味するものとする。すなわち、泡径とは、個数平均径を意味するものとする。泡径は、例えば、レーザー回折・散乱法または画像解析法により計測することができる。放出口14から放出される泡沫は、直径50μm以下の気泡を含んでもよい。そのような微細な気泡を含む泡沫によれば、特に優れた洗浄性能が得られる。放出口14から放出される泡沫は、直径500μm以上の気泡を含んでもよい。そのような比較的大きい径の気泡を含む泡沫を放出することで、浴槽10内に泡沫をより迅速に満たすことが可能となる。
気液混合装置21は、例えば、流路内に配置された固定翼を備えていてもよい。この場合には、以下のようになる。固定翼は、流路の軸線を中心に旋回する旋回水流を形成する。気液混合装置21内に導入された空気は、旋回水流により、せん断破砕されながら洗剤水と混合する。空気がせん断破砕されることで、洗剤水と空気とを効率良く混合することができ、かつ生成される泡沫もより細かくなり、高い洗浄力を有する泡沫を浴槽10へ供給することができる。
あるいは、気液混合装置21は、流路内部に網目状の板が水流に対して垂直方向に設けられていて、通過する空気が細かくされて洗剤水と混合する構造を備えたものでもよい。
給湯装置1Aは、タンクユニット3内に配置された流量調整弁25をさらに備える。流量調整弁25は、追焚熱交換器12と気液混合装置21との間の第三通路16の途中に配置されている。流量調整弁25は、開度を変えることにより、第三通路16を通過する液体の流量、すなわち気液混合装置21へ供給される液体の流量を調整できる。流量調整弁25の開度を小さくすると、気液混合装置21へ供給される液体の流量が低下する。流量調整弁25は、気液混合装置21に流入する液体の流量を調整可能な液体流量調整手段に相当する。
制御装置6は、水ポンプ11の運転速度を調整するポンプ速度調整機能を有する。水ポンプ11の運転速度とは、水ポンプ11の回転速度でもよい。制御装置6が、水ポンプ11の運転速度を高くすると気液混合装置21へ供給される液体の流量が増加し、水ポンプ11の運転速度を低くすると気液混合装置21へ供給される液体の流量が低下する。制御装置6によるポンプ速度調整機能は、水ポンプ11の運転速度を調整するポンプ速度調整手段に相当する。また、制御装置6によるポンプ速度調整機能は、気液混合装置21に流入する液体の流量を調整可能な液体流量調整手段に相当する。
本実施の形態の給湯装置1Aは、制御装置6によるポンプ速度調整機能と、流量調整弁25との双方を液体流量調整手段として備えるが、変形例として、制御装置6によるポンプ速度調整機能と、流量調整弁25とのいずれか一方のみを液体流量調整手段として備えるようにしてもよい。
気液混合装置21により泡沫を生成する際には、気液混合装置21における気体すなわち空気と洗剤水との混合比が極めて重要になる。当該混合比を以下「気液混合比」と称する。適切な気液混合比に比べて洗剤水の混合割合が高すぎると、液体中に気泡が散在する気液二相流の状態になってしまい、泡沫が生成されない可能性がある。また、適切な気液混合比に比べて洗剤水の混合割合が高すぎると、泡沫に含まれる水分量が多くなるので、泡沫が重くなり、浴槽10内で泡沫を上方へ盛り上げることが困難になる。
泡沫生成運転のとき、制御装置6は、水ポンプ11の運転速度と流量調整弁25の開度との少なくとも一方を調節することにより、洗剤水の流量を調整可能である。これにより、気液混合比が適切な値になるように確実に調整することが可能となる。その結果、気液混合装置21により泡沫を効率良く生成することができ、泡沫生成速度を向上することができ、大量の泡沫を放出口14から迅速に放出することが可能となる。また、本実施の形態であれば、浴槽10の湯張り動作と追焚運転に用いる配管を利用して泡沫を生成可能であるので、装置構成を簡素化する上で有利になる。
気液混合装置21により泡沫を生成するときには、気液混合装置21に流入する気体である空気の体積流量が、気液混合装置21に流入する洗剤水の体積流量に対して、2倍以上、20倍以下となることが好ましく、3倍以上、10倍以下となることがより好ましい。上記のような範囲にすることで、気液混合比がより適切な値になり、比較的小さい泡径を有する、きめ細かい良好な泡沫をさらに効率良く生成することができる。制御装置6は、洗剤水の流量を前述したようにして調整することで、気体の体積流量と洗剤水の体積流量との比率を上記のような範囲に調整することが可能である。なお、「気体の体積流量」とは、気体の圧力が大気圧である場合に換算したときの気体の体積流量であるものとする。
例えば、制御装置6は、空気ポンプ22を一定の運転条件で運転するとともに、水ポンプ11の運転速度を調整して洗剤水の流量を調節することにより、気液混合比を調整してもよい。あるいは、制御装置6は、水ポンプ11の運転速度を一定の運転速度に保つとともに、流量調整弁25の開度を調整して空気の流量を調節することにより、気液混合比を調整してもよい。
泡沫生成運転のときに、気液混合装置21に流入する洗剤水の体積流量は、2L/min以上、10L/min以下となることが好ましい。家庭用のサイズの浴槽10を想定した場合には、気液混合装置21に流入する洗剤水の体積流量を上記の範囲にすることで、泡沫生成速度を過不足のない適切な速度にすることが可能となる。また、制御装置6は、泡沫生成運転のときの洗剤水の流量が、追焚運転のときの浴水の流量よりも低くなるように制御してもよい。そのようにすることで、泡沫生成運転のときに、洗剤水の混合割合が、適切な気液混合比に比べて高くなることをより確実に防止できる。
給湯装置1Aは、タンクユニット3内に配置された水位センサ26をさらに備える。水位センサ26は、水ポンプ11よりも上流側の第四通路17の途中に配置されている。水位センサ26は、浴槽10内の水位を検出する水位検出手段に相当する。第四通路17内の圧力は、浴槽10内の水位に応じて変化する。水位センサ26は、第四通路17内の圧力を検出することにより、浴槽10内の水位を検出可能である。
本実施の形態における浴槽10の底部には、自動で開閉可能な自動排水栓27が設置されている。自動排水栓27が閉じているときには浴槽10内に浴水等の液体を溜めることができる。自動排水栓27が開くと、浴槽10内の液体が、自動排水栓27を通って、浴槽10の外部の例えば下水管(図示省略)へ排出される。自動排水栓27を開くことで、浴槽10内の液体をすべて外部へ排出することができる。自動排水栓27は、アクチュエータ(図示省略)により駆動されることで開閉する。制御装置6は、自動排水栓27の開閉動作を制御可能である。制御装置6が自動排水栓27の動作を直接的に制御してもよいし、浴室またはその近くに設置された自動排水栓27の制御ユニット(図示省略)へ制御装置6が指令を送ることによって制御装置6が間接的に自動排水栓27の動作を制御してもよい。
リモコン装置4は、自動排水栓27を作動させるための使用者の操作を受け付け可能でもよい。この場合、使用者は、自動排水栓27を開くための指令と、自動排水栓27を閉じるための指令とをリモコン装置4に対して入力可能である。使用者は、リモコン装置4を操作することで、自動排水栓27を遠隔操作することができる。
図2は、実施の形態1による給湯装置1Aの制御装置6が実行する処理を示すフローチャートである。リモコン装置4は、操作部4bの一部としての洗浄ボタンを備えている。洗浄ボタンは、使用者が給湯装置1Aに対して浴槽10の洗浄を開始させるために操作するボタンである。本実施の形態において、浴槽10を洗浄する際には、使用者は、浴槽10に残った浴水に洗剤を投入する。これにより、浴槽10内の浴水は、洗剤水となる。その後、使用者が洗浄ボタンを押下すると、給湯装置1Aは、浴槽10を洗浄するための動作を開始する。
図2のステップS1で、制御装置6は、洗浄ボタンが押下されたかどうかを判断する。洗浄ボタンが押下されていない場合にはステップS1の処理を繰り返し、洗浄ボタンが押下された場合にはステップS2へ進む。
ステップS2で、制御装置6は、自動排水栓27を開く。これにより、浴槽10内の水位が低下し始める。以下の説明では、水位センサ26により検出される浴槽10内の水位を「浴槽水位」と称する。ステップS2からステップS3に進み、制御装置6は、浴槽水位が放出口14の位置以下になったかどうかを判断する。浴槽水位がまだ放出口14の位置以下になっていない場合にはステップS3の処理を繰り返し、浴槽水位が放出口14の位置以下になった場合にはステップS4へ進む。
ステップS4で制御装置6は、水ポンプ11及び空気ポンプ22を起動する。続いてステップS5として制御装置6は、空気供給弁23を開く。ここまでの処理により泡沫生成運転が開始した状態となり、放出口14から泡沫が放出され始める。泡沫生成運転においては、前述したようにして、気液混合比が調整される。
続いて、ステップS6として制御装置6は、自動排水栓27を閉じる。このように、本実施の形態では、制御装置6は、浴槽水位が放出口14と吸入口15との間の位置になる状態で自動排水栓27を閉じて泡沫供給運転を実施する。浴槽水位が吸入口15の位置よりも低くなると洗剤水を第四通路17に引き込めなくなるので、泡沫生成運転を継続できなくなる。これに対し、本実施の形態であれば、ステップS6の処理によって自動排水栓27を閉じることで、浴槽水位が放出口14と吸入口15との間の位置に保つことができる。このため、必要な時間だけ泡沫生成運転を確実に継続することが可能となる。
ステップS6からステップS7へ進み、制御装置6は、浴槽10内が泡沫で満たされたかどうかを判断する。まだ浴槽10内が泡沫で満たされていない場合にはステップS7の処理を繰り返し、浴槽10内が泡沫で満たされた場合にはステップS8へ進む。
なお、浴槽10内が泡沫で満たされたかどうかは、例えば以下のようにして判定することができる。浴槽10内に供給された泡沫の総量は、泡沫生成運転を継続した時間に比例すると考えることができる。よって、制御装置6は、泡沫生成運転を継続した時間が所定の閾値に達した場合には、浴槽10内が泡沫で満たされたと判定することができる。
また、泡沫生成運転の最中は、液面90よりも下にある洗剤水の一部が、泡沫に含まれる水分として、液面90よりも上の空間に移行していくので、浴槽水位が徐々に低下していく。浴槽10内に供給された泡沫の総量は、泡沫生成運転の最中に浴槽水位が低下した低下量に比例すると考えることができる。よって、制御装置6は、泡沫生成運転の最中の浴槽水位の低下量を水位センサ26により検出し、当該低下量が所定の閾値に達した場合には、浴槽10内が泡沫で満たされたと判定することができる。
浴槽10内が泡沫で満たされた場合には泡沫をそれ以上供給する必要はない。このため、ステップS8にて制御装置6は、水ポンプ11及び空気ポンプ22を停止し、続くステップS9にて制御装置6は、空気供給弁23を閉じる。これにより、泡沫生成運転が終了する。
ステップS9からステップS10へ進み、制御装置6は、泡沫生成運転を終了してから所定時間が経過したかどうかを判断する。まだ所定時間が経過していない場合にはステップS10の処理を繰り返し、所定時間が経過した場合にはステップS11へ進む。浴槽10の内壁の汚れを十分に落とすには、ある程度の時間継続して、泡沫を付着させておくことが望ましい。ステップS10の「所定時間」は、浴槽10の内壁の汚れを十分に落とすために必要な時間に相当している。
ステップS11で、制御装置6は、自動排水栓27を開く。これにより、浴槽10内に残っている洗剤水が排出され始め、浴槽水位が低下していく。ステップS11からステップS12へ進み、制御装置6は、浴槽10内の排水が完了したかどうかを水位センサ26の信号により判断する。浴槽10内の排水が完了していない場合にはステップS12の処理を繰り返し、浴槽10内の排水が完了した場合にはステップS13へ進む。ステップS13で、制御装置6は、リモコン装置4の表示部4aと音声案内装置との少なくとも一方の報知手段を用いて、洗浄が完了したことを使用者に報知する。以上により、図2のフローチャートの処理が終了する。
ステップS13の処理によって洗浄が完了したことを知った使用者は、浴室へ行き、シャワー等を用いて浴槽10内のすすぎを行う。すすぎが終了すると、洗浄作業が完了となる。
図2の例では、浴槽10内が泡沫で満たされるまで泡沫生成運転を継続しているが、変形例として、制御装置6は、浴槽10の上端の位置よりも低い目標位置まで泡沫が満ちた時点で泡沫生成運転を停止してもよい。また、使用者がリモコン装置4を操作することによって当該目標位置を自身で設定できるように構成してもよい。
給湯装置1Aが備える制御装置6は、以下のように構成されてもよい。制御装置6の各機能は、処理回路により実現されてもよい。制御装置6の処理回路は、少なくとも1つのプロセッサと少なくとも1つのメモリとを備えてもよい。少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つのメモリに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、制御装置6の各機能を実現してもよい。制御装置6の処理回路は、少なくとも1つの専用のハードウェアを備えてもよい。制御装置6の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、他の一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、制御装置6の各機能を実現しても良い。単一の制御装置6により動作が制御される構成に限定されるものではなく、複数の制御装置が連携することで動作を制御する構成にしてもよい。
実施の形態2.
次に、図3から図5を参照して、実施の形態2について説明するが、前述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分については説明を簡略化または省略する。図3は、実施の形態2による給湯装置1Bを示す図である。図3に示すように、実施の形態2の給湯装置1Bは、洗剤を自動で供給する洗剤供給部を備える点において、実施の形態1の給湯装置1Aと異なる。実施の形態2によれば、浴槽10を洗浄するときに使用者が洗剤を浴槽10内に投入する作業をする必要がないので、使い勝手をさらに向上できる。
本実施の形態における洗剤供給部は、洗剤を貯留する洗剤タンク28と、洗剤通路29とを備える。洗剤タンク28は、洗剤通路29を介して、気液混合装置21に接続されている。図示の例では、洗剤タンク28は、浴槽10の近くに配置されている。洗剤タンク28は、浴槽10の上面と浴槽10の内壁とで形成される内部空間に配置されている。この場合、使用者が洗剤タンク28に洗剤を補給するための補給口と、当該補給口を閉じるためのリッドとが、浴槽10の上面、または浴槽10の側面に設けられていてもよい。
図4は、実施の形態2による給湯装置1Bが備える気液混合装置30を示す縦断面図である。図4に示すように、実施の形態2における気液混合装置30は、流体の流れを絞って流速を増加させることで、低速部に比べて低い圧力を発生させるベンチュリ機構を有する。気液混合装置30は、入口部30a、固定翼30b、縮径部30c、気体導入部30d、拡径部30e、及び最小内径部30gを備える。水は、図4中の矢印で示す進行方向Pのように、図中で左側から右側に向かって進む。入口部30aの内径は、少なくとも部分的に、進行方向Pに沿って一定である。入口部30aの内部に固定翼30bが設置されている。固定翼30bは、入口部30aを通過する水の流れに旋回力を与えることで、流路の軸線30fを中心に旋回する旋回水流SFを発生させる。縮径部30cは、入口部30aの下流側に同軸的に形成される。縮径部30cの内径は、進行方向Pに沿って連続的に縮小する。縮径部30cの内部空間は、円錐状をなす。縮径部30cは、固定翼30bにより発生させた旋回水流SFの半径を縮小し、旋回水流SFを高速化する。
気体導入部30dは、縮径部30cの下流端部の最小内径部30gに、径方向の外側から気体を導入する通路を有する。空気ポンプ22からの気体通路24が気体導入部30dに接続されている。拡径部30eは、縮径部30cの下流側に同軸的に形成される。拡径部30eの内径は、進行方向Pに沿って連続的に拡大する。拡径部30eの内部空間は、円錐状をなす。
洗剤通路29は、気液混合装置30の内部へ延びている。洗剤通路29は、入口部30aの内部において、固定翼30bの中心部分またはその近くに形成された出口29aを有する。出口29aは、固定翼30bに連結されていてもよい。気液混合装置30の外部における洗剤通路29には、洗剤の流路を開閉可能な洗剤供給弁31が設置されている。制御装置6は、気液混合装置30へ洗剤を供給する場合には洗剤供給弁31を開く。それ以外の場合には、制御装置6は、洗剤供給弁31を閉じる。これにより、気液混合装置30内の流体が洗剤通路29へ逆流することを防止できる。
旋回水流SFの中心部分には、負圧が生じる。洗剤タンク28から洗剤通路29を通って気液混合装置30へ供給された洗剤は、出口29aから旋回水流SFの中心部分へ放出される。本実施の形態であれば、旋回水流SFの中心部分に生じる負圧を用いることで、ポンプを必要とすることなく、洗剤タンク28から気液混合装置30へ洗剤を供給することが可能となる。このため、製品の小型化及びコスト低減に有利になる。ただし、洗剤を送るためのポンプを設けてもよいことは言うまでもない。
泡沫生成運転のときには、出口29aから洗剤が放出されることで、固定翼30bの下流側の旋回水流SFは洗剤水になる。気体導入部30dから導入された空気が洗剤水の旋回水流SFによりせん断されることで、泡沫が生成される。特に、本実施の形態であれば、泡径の小さい、きめ細かい泡沫を生成する上で有利になる。
本実施の形態では、気体導入部30dからの空気を最小内径部30gに導入することで、空気をより高い効率で洗剤水の旋回水流SFに混合することが可能となる。このため、泡沫をより高い効率で生成できる。
図示の構成に代えて、洗剤通路29の出口29aを、気体導入部30dと同じく、最小内径部30gに形成してもよい。その場合、最小内径部30gの負圧が大きいので、洗剤供給量が過剰になることを防止するために、出口29aの開口面積を気体導入部30dの流路断面積よりも小さくするか、洗剤供給量を調整するための調整弁を設けることが望ましい。
図5は、実施の形態2による給湯装置1Bの制御装置6が実行する処理を示すフローチャートである。図5に示すフローチャートと、前述した図2に示すフローチャートとの相違点は、ステップS5とステップS6との間にステップS14が挿入されていることと、ステップS9とステップS10との間にステップS15が挿入されていることだけであるので、相違点を中心に説明し、同様の事項については説明を省略する。なお、前述したように、本実施の形態では、使用者は、浴槽10を洗浄する前に浴槽10内に洗剤を投入する必要はない。
ステップS5までの処理によって、水ポンプ11及び空気ポンプ22が起動されるとともに空気供給弁23が開かれる。その後、制御装置6は、ステップS14として、洗剤供給弁31を開く。これにより、洗剤が自動で気液混合装置30へ供給され、泡沫生成運転が開始した状態となる。
泡沫生成運転を終了する場合には、制御装置6は、ステップS9で空気供給弁23を閉じた後、ステップS15として洗剤供給弁31を閉じる。
本実施の形態における洗剤供給部は、気液混合装置30に洗剤を流入させるようにしているが、変形例として、気液混合装置30よりも上流側の浴水に洗剤を流入させるように洗剤供給部を構成してもよい。
また、本実施の形態では、浴槽10から気液混合装置30へ供給される浴水を用いて泡沫を生成するようにしているが、変形例として、タンクユニット3から気液混合装置30へ供給される湯水を用いて泡沫を生成してもよい。タンクユニット3から気液混合装置30へ供給される湯水を用いて泡沫を生成する場合には、浴槽10内に水がない状態であっても、泡沫を生成することができる。
制御装置6は、洗浄ボタンが押下されたときに、浴槽10内に水があるかどうかを水位センサ26の信号により判断し、浴槽10内に水がない場合には、タンクユニット3から気液混合装置30へ湯水を供給することによって泡沫を生成するように制御してもよい。
実施の形態3.
次に、図6を参照して、実施の形態3について説明するが、前述した実施の形態1及び2との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分については説明を簡略化または省略する。図6は、実施の形態3による給湯装置1Cを示す図である。図6に示すように、実施の形態3の給湯装置1Cは、実施の形態2の給湯装置1Bと比べて、浴槽10内へ流体を放出する第二放出口32と、流路切替弁33と、第二浴槽アダプタ34とをさらに備えることが異なる。
第二浴槽アダプタ34は、浴槽アダプタ13よりも高い位置において、浴槽10の内壁に設置されている。泡沫を放出可能な放出口14は、浴槽アダプタ13ではなく第二浴槽アダプタ34に形成されている。第二放出口32は、浴槽アダプタ13に形成されている。第二放出口32は、放出口14よりも低い位置にある。
本実施の形態における流路切替弁33は、入口と、第一出口と、第二出口とを有する三方弁に相当する。流路切替弁33の入口に第三通路16の下流端が接続されている。第五通路35は、流路切替弁33の第一出口と、放出口14との間をつなぐ。気液混合装置30は、第五通路35の途中に接続されている。第六通路36は、流路切替弁33の第二出口と、第二放出口32との間をつなぐ。
流路切替弁33は、第三通路16を第五通路35に連通させるとともに第六通路36を遮断する第一状態と、第三通路16を第六通路36に連通させるとともに第五通路35を遮断する第二状態とに流路を切り替え可能である。これにより、流路切替弁33は、第三通路16から流入した流体を気液混合装置21へ供給するか第二放出口32へ供給するかを切り替えることができる。
浴槽10を洗浄する場合には、制御装置6は、流路切替弁33を第一状態に切り替える。これにより、洗剤水を気液混合装置21へ供給し、泡沫を放出口14から浴槽10内へ放出することができる。
例えば湯張り動作あるいは追焚運転のように、洗剤を含まない湯水を浴槽10内へ流入させる運転を行う場合には、制御装置6は、流路切替弁33を第二状態に切り替える。これにより、湯張り動作あるいは追焚運転のときには、比較的低い位置にある第二放出口32から湯水を浴槽10内に流入させることができる。
泡沫生成運転のときには、浴槽10内の液面93が放出口14の高さ以下であることが必要となる。本実施の形態であれば、放出口14が実施の形態1及び2よりも高い位置にある。このため、例えば図6中の液面93のように、浴槽10内の水位が比較的高い場合であっても、泡沫生成運転を実施可能である。よって、実施の形態1及び2よりも早い段階から、泡沫生成運転を開始できる。
本実施の形態では、浴槽10には、自動排水栓27に代えて、通常の手動の排水栓37が設置されていてもよい。本実施の形態であれば、浴槽10内の水位が比較的高い状態から泡沫生成運転を実施できる。このため、浴槽10の排水栓37が開かれることで浴槽10内の水位が低下している最中に泡沫生成運転を実施した場合においても、浴槽10内の水位が吸入口15の位置に低下するまでの時間が長いので、浴槽10を泡沫で満たすための時間を十分に確保できる。それゆえ、本実施の形態であれば、浴槽10からの排水を停止した状態で泡沫生成運転を実施しなくてもよいので、必ずしも自動排水栓27を設ける必要はない。
浴槽10に手動の排水栓37が設置されている場合には、浴槽10の洗浄を開始するとき、使用者は、排水栓37を手動で開いた後、洗浄ボタンを押下する。洗浄ボタンが押下されると、制御装置6は、泡沫供給運転を開始する前の浴槽10内の水位が放出口14よりも高い位置にある場合には、浴槽10内の水位が放出口14の位置以下まで低下した後に泡沫供給運転を開始する。一方、泡沫供給運転を開始する前の浴槽10内の水位が放出口14の位置以下である場合には、制御装置6は、洗浄ボタンが押下された後、直ちに泡沫供給運転を開始してもよい。本実施の形態であれば、浴槽10からの排水を停止した状態で泡沫生成運転を実施する必要がなく、浴槽10からの排水の最中に浴槽10の洗浄を済ませることができる。このため、浴槽10の洗浄に要する時間を短縮できる。
制御装置6は、浴槽10の排水が完了した後、洗剤供給弁31を閉じて、タンクユニット3から第五通路35を経由して放出口14へ湯水を供給してもよい。そのようにすることで、高い位置にある放出口14から、洗剤を含まない湯水がすすぎ水として浴槽10内に放出されるので、洗浄後の浴槽10のすすぎを自動で行うことが可能となる。