JP7165315B2 - アルミニウム合金板と鋼板の摩擦撹拌接合方法 - Google Patents
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Description
a) アルミニウム合金板と鋼板とを重ね合わせた被接合体に対し、回転ツールをアルミニウム合金板の表面から回転させながら挿入するとともに、上記回転ツールを接合方向に移動させ、摩擦撹拌により接合材料を塑性流動させることによって、アルミニウム合金板と鋼板とを摩擦撹拌接合する際、プローブの先端をアルミニウム合金板と鋼板の合せ面より鋼板側まで挿入することで、合せ面に両材料の新生面同士が接触する接合界面を形成することができ、冶金的な接合状態を確保することができる。
b) 上記接合界面が形成され、冶金的な接合状態が達成される過程において、両材料の主成分である鉄とアルミニウムが拡散し、接合界面を跨いで両材料に分布する状態となるが、この拡散範囲内に鉄とアルミニウムからなる脆弱な金属間化合物が生成した場合には、接合強度が低下する原因となる。
c) 上記金属間化合物の生成を抑制するには、接合界面を跨いで両材料に分布する鉄とアルミニウムの拡散を抑制する必要があり、そのためには、新生面同士が接触する接合界面が形成された直後のピーク温度(最高到達温度)とその後の冷却速度を適正範囲に制御する必要がある。
d) 摩擦撹拌接合においては、回転ツールで接合材料を摩擦撹拌するときに発生する摩擦発熱と塑性発熱によって接合部が加熱されるが、上記回転ツールとして、先端に同軸的に配設されたプローブとショルダーが別体に構成され、それぞれが別個に回転速度を制御可能な複動式回転ツールを用いることで、プローブおよびショルダーにより発生する熱をそれぞれ別個に制御することができる。従って、上記複動式回転ツールを、アルミニウム合金板と鋼板との摩擦撹拌接合に適用することで、接合界面のピーク温度および冷却速度を適正範囲に制御することができる。
e) 具体的には、上記回転ツールのショルダーの回転速度をプローブの回転速度より高くする場合には、プローブ先端によるアルミニウム合金板と鋼板との合せ面の摩擦撹拌を最小限に留めるとともに、上記プローブの回転による入熱不足をショルダーによる摩擦撹拌で補完することで、接合界面のピーク温度を抑制することができる。逆に、上記回転ツールのプローブの回転速度をショルダーの回転速度より高くする場合には、プローブ先端によりアルミニウム合金板と鋼板の合せ面を十分に摩擦撹拌するとともに、ショルダーによる摩擦撹拌を最小限に留めることができるので、接合界面の冷却速度を高めることができる。
本発明は、上記の新規な知見に基づき、開発したものである。
記
1000≦SS≦1700 ・・・(1)
300≦PS≦500 ・・・(2)
記
300≦SS≦500 ・・・(3)
1000≦PS≦1700 ・・・(4)
記
12≦SD≦18 ・・・(5)
4≦PD≦8 ・・・(6)
記
1000≦SS≦1700 ・・・(1)
300≦PS≦500 ・・・(2)
記
300≦SS≦500 ・・・(3)
1000≦PS≦1700 ・・・(4)
記
12≦SD≦18 ・・・(5)
4≦PD≦8 ・・・(6)
上記複動式の摩擦撹拌接合には、図3に示した形状、寸法の複動式の回転ツールを用いた。上記回転ツールのショルダーおよびプローブには、接合材料である表1に記載のアルミニウム合金板および鋼板よりも高い硬さの、ビッカース硬さHvが530の工具鋼(SKD61)を素材としたものを用いた。また、接合する際、上記複動式の回転ツールのショルダーおよびプローブは、共に時計回りに回転させた。また、その他の接合条件については表2に示した。
<接合状態の成否>
接合状態の成否は、作製した接合継手が接合した後、自ずと剥離する状態であるか否かを確認した。剥離しない場合は接合状態成立をとして「〇」、剥離した場合は接合状態不成立として「×」として示した。
<金属間化合物の厚さ>
金属間化合物の厚さは、作製した接合継手を、接合部を横切る(接合方向と直角)方向に切断し、その断面に露出した接合界面中央部を、走査型電子顕微鏡を用いて5000倍で、3ヶ所以上の箇所の金属間化合物の厚さの測定し、その平均値を求めた。
<接合継手の引張試験>
接合継手の引張試験は、作製した接合継手から、図4に示したように、接合部を引張方向に対して直角になるように含む、幅20mmの引張試験片を採取し、引張試験を行い、剪断強度を測定した。
まず、本発明の条件を満たす、No.1、3および4の継手は、いずれも接合状態が成立し、かつ、接合界面の金属間化合物の厚さが0.7μm以下であり、引張強度(剪断引張強さ)も4.6kN以上の強度を得ることができた。
これに対して、No.8,10,12および14~17の比較例の継手は、プローブ先端のAl合金板と鋼板との合せ面から鋼板側への挿入量Pが本発明の範囲より小さいため、接合界面が形成されず、接合後に自ずと剥離する状態となり、接合状態が不成立であった。
また、No.7,9,13,19および20の比較例の継手は、ショルダーの回転速度SSおよびプローブの回転速度PSのいずれかが本発明の範囲の上限を超えていたため、プローブもしくはショルダーからの発熱量が過剰となり、接合状態は成立したものの、接合界面の金属間化合物の厚さが0.9μm以上になり、継手の引張強度が4.4kN以下となった。
また、No.11の比較例の継手は、プローブ先端の合せ面から鋼板側への挿入量Pが本発明の範囲より大き過ぎたため、プローブ先端による鋼板側の摩擦撹拌による発熱が過大となり、接合界面のピーク温度が上昇し過ぎたため、接合状態は成立したものの、接合界面の金属間化合物が0.9μm以上になり、継手の引張強度が4.4kN以下となった。
また、No.18の比較例の継手は、ショルダーの回転速度SSが本発明の範囲の下限を下回っていたため、ショルダーによるアルミニウム合金板表面の摩擦撹拌による発熱が、冶金的に接合された接合界面を形成するのに不十分であったため、接合状態が成立し、接合界面の金属間化合物も0.7μm以下に抑制できたものの、継手の引張強度が4.4kN以下となった。
また、No.21の比較例の継手は、回転ツールの傾斜角度αが5°を超えていたため、表面が凹型となって、継手の引張強度が4.4kN以下となった。
No.22の比較例の継手は、接合速度JSが200mm/分を超えていたため、摩擦撹拌による発熱が不足して塑性流動が十分に得られず、接合状態が不成立であった。
2:鋼板
3:複動式の回転ツール
4:プローブ
5:ショルダー
6:アルミニウム合金板と鋼板の合わせ面
7:接合界面
8:接合部
9:裏当て治具
10:塑性流動領域
Claims (5)
- アルミニウム合金板と鋼板とを重ね合わせ、鋼板側に裏当て治具を当接して固定した被接合体を、回転ツールとして先端に同軸的に配設したプローブとショルダーが別体に構成され、回転速度を別個に設定可能とした複動式回転ツールを用い、上記複動式回転ツールのプローブを回転させながら被接合体のアルミニウム合金板側から鋼板側まで挿入し、かつ、上記複動式回転ツールのショルダーをアルミニウム合金板の表面に回転させながら当接した状態で、上記回転ツールを接合方向に移動させることで被接合体を摩擦撹拌し、塑性流動させて摩擦撹拌接合する方法において、
上記回転ツールのショルダーの回転速度SS(回/分)をプローブの回転速度PS(回/分)より高くすることを特徴とする摩擦撹拌接合方法。 - 接合速度JSを50~200mm/分とし、上記ショルダーの回転速度SS(回/分)およびプローブの回転速度PS(回/分)を、それぞれ下記(1)式および(2)式を満たす値とすることを特徴とする請求項1に記載の摩擦撹拌接合方法。
記
1000≦SS≦1700 ・・・(1)
300≦PS≦500 ・・・(2) - 上記ショルダーの直径SD(mm)およびプローブの直径PD(mm)を、それぞれ下記(5)式および/または(6)式を満たす値とすることを特徴とする請求項1または2に記載の摩擦撹拌接合方法。
記
12≦SD≦18 ・・・(5)
4≦PD≦8 ・・・(6) - アルミニウム合金板の表面から回転させながら挿入する回転ツールのプローブ先端を、アルミニウム合金板と鋼板の合せ面から鋼板側へ挿入する挿入量P(mm)を0mm超え0.5mm以下とすることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の摩擦撹拌接合方法。
- アルミニウム合金板の表面から回転させながら挿入する回転ツールの回転軸を、アルミニウム合金板の表面に対する垂線に対し、接合方向とは反対側に0°超え5°以下の傾斜角度αで傾斜させることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の摩擦撹拌接合方法。
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