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JP7034655B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 Download PDF

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JP7034655B2 JP2017193654A JP2017193654A JP7034655B2 JP 7034655 B2 JP7034655 B2 JP 7034655B2 JP 2017193654 A JP2017193654 A JP 2017193654A JP 2017193654 A JP2017193654 A JP 2017193654A JP 7034655 B2 JP7034655 B2 JP 7034655B2
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Description

本発明は、電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ、および電子写真装置に関する。
電子写真装置に用いられる電子写真感光体として、導電性支持体上に、下引き層、感光層を有するものが広く使用されている。下引き層は、支持体欠陥の隠蔽、干渉縞抑制などの他、支持体からの電荷注入阻止、感光層で発生した電子の輸送といった役割を担っている。
近年の、感光層に含有される電荷発生物質の高感度化に伴い、電荷の発生量が多くなり、感光層と下引き層との界面近傍に電荷が滞留しやすくなり、その結果、ゴースト現象が発生しやすいという課題がある。具体的には、出力画像中、前回転時の像露光の履歴が残った部分のみの濃度が高くなる、いわゆるポジゴースト現象が発生しやすい。
このような、ゴースト現象を抑制する技術として、下引き層に金属酸化物、および、電子輸送物質を含有させて、電荷の滞留を抑制する技術が知られている。
特許文献1には、下引き層に、金属酸化物粒子、および、アントラキノン化合物などのアクセプター性化合物を含有させる技術が開示されている。上記金属酸化物粒子としては、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛などの導電性金属酸化物粒子を用いるのが好ましく、上記アクセプター性化合物としては、特に、金属酸化物粒子と反応可能なアントラキノン構造を有することが好ましい。下引き層にアクセプター性を付与することで、ゴースト現象、支持体から感光層側への電荷注入による黒点状の画像欠陥(以下、黒ぽちともいう)、かぶりなどの画質欠陥が抑制されることが記載されている。
特許文献2には、下引き層に、金属酸化物粒子、および、ヒドロキシ基またはアミノ基を有するベンゾフェノン化合物を含有させる技術が開示されている。上記の置換基を有するベンゾフェノン化合物は、金属酸化物粒子と相互作用することで、下引き層中の金属酸化物粒子間または感光層から下引き層への電子の授受をスムーズにさせることにより、ゴースト現象を抑制していると推測される。
特開2006-221094号公報 特開2013-137518号公報
本発明者らが検討した結果、金属酸化物粒子として、酸化アルミニウム粒子のみを含有させた下引き層は、低温低湿環境下において暗減衰が大きく、ポジゴースト画像が発生することが課題であった。
そこで、ポジゴースト画像の発生を抑えることを目的として、下引き層に含有させる金属酸化物粒子として、酸化アルミニウム粒子と、酸化チタン粒子を混合した。その場合、ポジゴースト画像の発生の抑制効果はあるものの、酸化チタン粒子の重量比が大きくなると、高温高湿環境下において、クラックが発生しやすくなり、ポジゴースト画像の発生の抑制と、クラック発生の抑制とを両立させることが困難であることが分かった。
したがって、本発明の目的は、低温低湿環境下において、ポジゴースト画像の発生が抑制され、かつ、高温高湿環境下において、クラック発生が抑制された電子写真感光体を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、前記電子写真感光体を搭載したプロセスカートリッジ、および、前記プロセスカートリッジを備えた電子写真装置を提供することにある。
上記の目的は、以下の本発明によって達成される。
支持体と、下引き層と、感光層とをこの順に有する電子写真感光体において、
該下引き層が、
金属酸化物粒子(α)および
結着樹脂(β)
を含有し、
該下引き層中の該金属酸化物粒子(α)の含有量Mαと、該結着樹脂(β)の含有量Mβの質量比Mα/Mβが、下記式(A)
1.0≦Mα/Mβ≦4.0 (A)
を満たし、
該金属酸化物粒子(α)が、少なくとも酸化アルミニウム粒子おび酸化チタン粒子を含有し、
該下引き層中の、該酸化アルミニウム粒子の含有量と、該酸化チタン粒子の含有量との合計が、該下引き層中の該金属酸化物粒子(α)に対して50質量%以上であり
該下引き層中の、該酸化アルミニウム粒子の含有量MAlと、該酸化チタン粒子の含有量MTiの質量比MAl/MTiが、下記式(B)
0.25≦MAl/MTi≦1000 (B)
を満たし、
該酸化アルミニウム粒子が、シランカップリング剤で表面処理されている、
ことを特徴とする電子写真感光体に関する。
また、本発明は、前記電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、および、クリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段と、を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジに関する。
また、本発明は、前記電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段、および、転写手段を有する電子写真装置に関する。
以上説明したように、本発明によれば、低温低湿環境下におけるポジゴースト画像の発生の抑制、および、高温高湿環境下におけるクラック発生の抑制に優れた電子写真感光体を提供することができる。また、本発明によれば、前記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ、および電子写真装置を提供することができる。
本発明の電子写真感光体の構成の一例を示す概略図である。 電子写真感光体の周面に凹部を形成するための圧接形状転写加工装置の一例を示す図である。 フィッティングの例を示す図である。 電子写真感光体の周面に形成された凹部の開口面および断面を模式的に示す図である。 電子写真感光体の周面に形成された凹部の開口部の形状の例を示す図である。 電子写真感光体の周面に形成された凹部の断面の形状の例を示す図である。 本発明の電子写真感光体を搭載したプロセスカートリッジ、および前記プロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。 (a):電子写真感光体の製造例で用いたモールドを示す上面図である。(b):(a)に示されたモールドにおける凸部のB-B断面図である。(c):(a)に示されたモールドにおける凸部のC-C断面図である。 1ドット桂馬パターン画像を示す図である。 ゴースト評価用画像を示す図である。
本発明は支持体と、下引き層と、感光層とをこの順に有する電子写真感光体において、
該下引き層が、
金属酸化物粒子(α)および
結着樹脂(β)
を含有し、
該下引き層中の該金属酸化物粒子(α)の含有量Mαと、該結着樹脂(β)の含有量Mβの質量比Mα/Mβが、下記式(A)
1.0≦Mα/Mβ≦4.0 (A)
を満たし、
該金属酸化物粒子(α)が、少なくとも酸化アルミニウム粒子おび酸化チタン粒子を含有し、
該下引き層中の、該酸化アルミニウム粒子の含有量と、該酸化チタン粒子の含有量との合計が、該下引き層中の該金属酸化物粒子(α)に対して50質量%以上であり
該下引き層中の、該酸化アルミニウム粒子の含有量MAlと、該酸化チタン粒子の含有量MTiの質量比MAl/MTiが、下記式(B)
0.25≦MAl/MTi≦1000 (B)
を満たし、
該酸化アルミニウム粒子が、シランカップリング剤で表面処理されている、
ことを特徴とする電子写真感光体に関する。
本発明の電子写真感光体が、低温低湿環境下におけるポジゴースト画像の発生抑制、および、高温高湿環境下におけるクラック発生の抑制に優れる理由について、本発明者らは、以下のように推察している。
本発明において、下引き層に含有される金属酸化物粒子、すなわち、酸化アルミニウム粒子と酸化チタン粒子が、下引き層の導電性を担っている。ここで、酸化チタンは酸化アルミニウムより導電性が高いことから、酸化アルミニウム粒子と酸化チタン粒子を混合して下引き層に含有させると、酸化アルミニウム粒子のみを含有させた下引き層より導電性の高い下引き層が得られる。したがって、酸化アルミニウム粒子と酸化チタン粒子を混合して下引き層に含有させることで、下引き層に滞留する電荷が少なくなり、低温低湿環境下においても、暗減衰量の増大を抑えることができ、ポジゴースト画像の発生を抑制することができる。ポジゴースト画像の発生の抑制の観点から、酸化アルミニウム粒子の含有量MAlと酸化チタン粒子の含有量MTiとの質量比MAl/MTiは1000以下であることが求められ、10以下であることがより好ましい。
しかしながら、下引き層中の酸化チタン粒子の質量比が大きくなると、すなわち、質量比MAl/MTiが小さくなると、クラックが発生しやすくなることが、本発明者らの検討の結果から分かった。クラック発生抑制の観点から、質量比MAl/MTiは0.25以上であることが求められ、さらに、0.5以上であることがより好ましい。
すなわち、本発明の電子写真感光体の下引き層に含有される酸化アルミニウム粒子と酸化チタン粒子を特定の質量比とすることで、酸化アルミニウム粒子と酸化チタン粒子が下引き層中に均一に分散される。そのような下引き層とすることで、低温低湿環境下においても導電性が良好であり、さらに高温高湿環境下においてもクラックが発生しにくい下引き層を形成することができると考えている。このような下引き層を形成することで、ポジゴースト画像の発生の抑制と、クラック発生の抑制とが両立された電子写真感光体を得ることができると考えている。
以下に、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
[電子写真感光体]
本発明における電子写真感光体の構成は、支持体上に、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層をこの順で積層した構成である。必要に応じて、電荷発生層と支持体の間に導電層を、電荷輸送層上に保護層を設けても良い。なお、本発明においては電荷発生層と電荷輸送層とを併せて感光層と呼ぶ。
図1に、本発明の電子写真感光体の層構成の一例を示す。図1中、支持体101上に、下引き層102、電荷発生層103、電荷輸送層104が積層されている。すなわち、図1には、電荷発生層103と電荷輸送層104が積層した積層型の感光層105を有する電子写真感光体が示されている。
本発明の電子写真感光体は、電荷輸送物質を表面層に含有する。本発明の電子写真感光体における表面層とは、電子写真感光体が保護層を設ける場合には保護層を指し、保護層を設けない場合には電荷輸送層を指す。また、感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質を含有する単層型感光層で構成されてもよい。
本発明の電子写真感光体を製造する方法としては、後述する各層の塗布液を調製し、所望の層を順番に塗布して、乾燥させる方法が挙げられる。このとき、塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、インクジェット塗布、ロール塗布、ダイ塗布、ブレード塗布、カーテン塗布、ワイヤーバー塗布、リング塗布などが挙げられる。これらの中でも、効率性および生産性の観点から、浸漬塗布が好ましい。
以下、本発明の電子写真感光体の構成について説明する。
<支持体>
本発明において、支持体は導電性を有する導電性支持体であることが好ましい。また、支持体の形状としては、円筒状、ベルト状、シート状などが挙げられる。中でも、円筒状支持体であることが好ましい。また、支持体の表面に、陽極酸化などの電気化学的な処理、ブラスト処理、切削処理などを施してもよい。
支持体の材質としては、金属、樹脂、ガラスなどが好ましい。
金属としては、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、金、ステンレス、これらの合金などが挙げられる。中でも、アルミニウムを用いたアルミニウム製支持体であることが好ましい。
また、樹脂やガラスには、導電性材料を混合または被覆するなどの処理によって、導電性を付与することが好ましい。
<導電層>
本発明の電子写真感光体において、支持体の上に、導電層を設けてもよい。導電層を設けることで、支持体表面の傷や凹凸を隠蔽することや、支持体表面における光の反射を制御することができる。
導電層は、導電性粒子と、樹脂と、を含有することが好ましい。
導電性粒子の材質としては、金属酸化物、金属、カーボンブラックなどが挙げられる。
金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ビスマスなどが挙げられる。金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などが挙げられる。
これらの中でも、導電性粒子として、金属酸化物を用いることが好ましく、特に、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛を用いることがより好ましい。
導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、金属酸化物の表面をシランカップリング剤などで処理したり、金属酸化物にリンやアルミニウムなど元素やその酸化物をドーピングしたりしてもよい。
また、導電性粒子は、芯材粒子と、その粒子を被覆する被覆層とを有する積層構成としてもよい。芯材粒子としては、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛などが挙げられる。被覆層としては、酸化スズなどの金属酸化物が挙げられる。
また、導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、その体積平均粒子径が、1nm以上500nm以下であることが好ましく、3nm以上400nm以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。
また、導電層は、シリコーンオイル、樹脂粒子、酸化チタンなどの隠蔽剤などをさらに含有してもよい。
導電層は、上記の各材料および溶剤を含有する導電層用塗布液を調製し、この塗膜を支持体上に形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。導電層用塗布液中で導電性粒子を分散させるための分散方法としては、ペイントシェーカー、サンドミル、ボールミル、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。
導電層の平均膜厚は、1μm以上50μm以下であることが好ましく、3μm以上40μm以下であることが特に好ましい。
<下引き層>
本発明の電子写真感光体において、支持体または導電層と、感光層との間には、下引き層が設けられる。
下引き層は、金属酸化物粒子(α)、結着樹脂(β)および、溶剤を含有する下引き層用塗布液を支持体または導電層上に塗布して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させることにより形成することができる。
金属酸化物粒子は、少なくとも酸化アルミニウム粒子、および、酸化チタン粒子を含有し、さらに他の金属酸化物粒子を混合して用いることができる。ここで下引き層中の酸化アルミニウム粒子の含有量と、該酸化チタン粒子の含有量との合計は、下引き層中の金属酸化物粒子(α)に対して50質量%以上であり、かつ、下引き層中の酸化アルミニウム粒子と、該酸化チタン粒子の質量比MAl/MTiは、0.25以上1000以下である。
下引き層に含まれる金属酸化物粒子は、黒ぽちを抑制するため、シランカップリング剤などの表面処理剤を用いて表面処理して用いてもよい。ここで、シランカップリング剤は下記式(1)で示される化合物を用いてもよい。
Figure 0007034655000001
式(1)中、R~Rは、それぞれ独立に、アルコキシ基またはアルキル基を示す。ただし、R~Rの少なくとも2つはアルコキシ基である。Rは、炭素数nのアルキル基であり、nは6以上18以下の整数である。
上記式(1)で示される化合物としては、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシランなどが挙げられる。
また、シランカップリング剤としては、上記式(1)で示される化合物以外のシランカップリング剤、例えば、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、(フェニルアミノメチル)メチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノイソブチルメチルジメトキシシラン、N-エチルアミノイソブチルメチルジエトキシシラン、N-メチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランなどを用いてもよい。
これらの中でも、酸化アルミニウム粒子に対しては上記式(1)で示される化合物が好ましく、さらにRの炭素数nが6以上12以下の整数である式(1)で示される化合物が好ましく、特にオクチルトリエトキシシランを用いることが好ましい。また酸化チタン粒子に対してはN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシランを用いることが好ましい。
金属酸化物粒子を表面処理する方法は、一般的な方法が用いられる。たとえば、乾式法や湿式法が挙げられる。
乾式法は、金属酸化物粒子をヘンシェルミキサーのような高速攪拌可能なミキサーの中で攪拌しながら、表面処理剤を含有するアルコール水溶液、有機溶媒溶液、または水溶液を添加し、均一に分散させた後に乾燥を行うものである。
また、湿式法は、金属酸化物粒子と表面処理剤とを溶剤中で攪拌、またはガラスビーズなどを用いてサンドミルなどで分散するものであり、分散後、ろ過、または減圧留去により溶剤除去が行われる。溶剤の除去後は、さらに100℃以上で焼き付けを行うことが好ましい。
金属酸化物に対する、上記式(1)の化合物の表面処理量X(質量%)は、例えば、スペクトリス(株)製の波長分散型蛍光X線分析装置(商品名:Axios)を用いて測定することが可能である。測定対象としては、電子写真感光体の感光層、さらに必要に応じて下引き層を剥離し、下引き層を削り取り、その削り取った下引き層を使用することでも可能である。また、下引き層に用いた表面処理された金属酸化物粒子を使用することでも可能である。
ここで表面処理量Xとは、表面処理された酸化アルミニウム粒子中のアルミニウム原子の質量をM´Alとし、上記式(1)で示される化合物由来のケイ素原子の質量をM´Siとしたときの質量比M´Si/M´Alより以下の式で算出される値とする。
X=(M´Si/M´Al)×100(質量%)
上記式で求めたXと上記式(1)で示される化合物中のRで示されるアルキル基の炭素数nを乗じた値(X×n)が10以上330以下となるように表面処理することで、黒ぽちの発生の抑制と、電位変動の抑制との両立に優れた下引き層を得ることができる。さらに、(X×n)の値が10以上220以下であると、本発明の感光体がより優れた効果を発揮するため好ましい。
下引き層に含有させる結着樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレンオキシド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、セルロース樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、メチロール基、アルキル化メチロール基、エポキシ基、金属アルコキシド基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、カルボン酸無水物基、炭素-炭素二重結合基などが挙げられる。これらの中でも、ブロックイソシアネート基が好ましい。
下引き層中の金属酸化物粒子(α)と結着樹脂(β)との質量比(Mα/Mβ)は、1.0以上4.0以下である。
下引き層には、さらに添加剤を含有させてもよく、例えば、アルミニウムなどの金属粉体、カーボンブラックなどの導電性物質、電荷輸送物質、金属キレート化合物、有機金属化合物などの公知の材料を含有させることができる。
電荷輸送物質としては、キノン化合物、イミド化合物、ベンズイミダゾール化合物、シクロペンタジエニリデン化合物、フルオレノン化合物、キサントン化合物、ベンゾフェノン化合物、シアノビニル化合物、ハロゲン化アリール化合物、シロール化合物、含ホウ素化合物などが挙げられる。電荷輸送物質として、重合性官能基を有する電荷輸送物質を用い、上記の重合性官能基を有するモノマーと共重合させることで、硬化膜として下引き層を形成してもよい。
下引き層は、上記の各材料および溶剤を含有する下引き層用塗布液を調製し、この塗膜を支持体または導電層上に形成し、乾燥および/または硬化させることで形成することができる。
下引き層用塗布液に用いられる溶剤としては、アルコール、スルホキシド、ケトン、エーテル、エステル、脂肪族ハロゲン化炭化水素、芳香族化合物などの有機溶剤が挙げられる。本発明においては、アルコール系、ケトン系溶剤を用いることが好ましい。
下引き層用塗布液を調製するための分散方法としては、ホモジナイザー、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ロールミル、振動ミル、アトライター、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。
下引き層の平均膜厚は、0.1μm以上30μm以下であることが好ましく、0.1μm以上10μm以下であることがより好ましく、0.3μm以上5μm以下であることが特に好ましい。
<感光層>
電子写真感光体の感光層は、主に、(1)積層型感光層と、(2)単層型感光層とに分類される。(1)積層型感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と、を有する感光層である。(2)単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質を共に含有する感光層である。
(1)積層型感光層
積層型感光層は、電荷発生層と、電荷輸送層と、を有する。
(1-1)電荷発生層
電荷発生層は、電荷発生物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。
電荷発生物質としては、アゾ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、フタロシアニン顔料が好ましい。フタロシアニン顔料の中でも、オキシチタニウムフタロシアニン顔料、クロロガリウムフタロシアニン顔料、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が好ましい。
電荷発生層中の電荷発生物質の含有量は、電荷発生層の全質量に対して、40質量%以上85質量%以下であることが好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルブチラール樹脂がより好ましい。
また、電荷発生層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤をさらに含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、などが挙げられる。
電荷発生層は、上記の各材料および溶剤を含有する電荷発生層用塗布液を調製し、この塗膜を下引き層上に形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
電荷発生層の平均膜厚は、0.1μm以上1μm以下であることが好ましく、0.15μm以上0.4μm以下であることがより好ましい。
(1-2)電荷輸送層
電荷輸送層は、電荷輸送物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。
電荷輸送物質としては、例えば、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。
電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有量は、電荷輸送層の全質量に対して、25質量%以上70質量%以下であることが好ましく、30質量%以上55質量%以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂としては、特にポリアリレート樹脂が好ましい。
電荷輸送物質と樹脂との含有量比(質量比)は、4:10~20:10が好ましく、5:10~12:10がより好ましい。
また、電荷輸送層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。
電荷輸送層は、上記の各材料および溶剤を含有する電荷輸送層用塗布液を調製し、この塗膜を電荷発生層上に形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤または芳香族炭化水素系溶剤が好ましい。
電荷輸送層の平均膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、8μm以上40μm以下であることがより好ましく、10μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
(2)単層型感光層
単層型感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質、樹脂および溶剤を含有する感光層用塗布液を調製し、この塗膜を下引き層上に形成し、乾燥させることで形成することができる。電荷発生物質、電荷輸送物質、樹脂としては、上記「(1)積層型感光層」における材料の例示と同様である。
<保護層>
本発明において、感光層の上に、保護層を設けてもよい。保護層を設けることで、耐久性を向上することができる。
保護層は電荷輸送物質を含有し、さらに導電性粒子および樹脂を含有することが好ましい。
導電性粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物の粒子が挙げられる。
電荷輸送物質としては、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂が好ましい。
また、保護層は、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として形成してもよい。その際の反応としては、熱重合反応、光重合反応、放射線重合反応などが挙げられる。重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。重合性官能基を有するモノマーとして、電荷輸送能を有するモノマーを用いてもよい。
保護層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤、などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。
保護層は、上記の各材料および溶剤を含有する保護層用塗布液を調製し、この塗膜を感光層上に形成し、乾燥および/または硬化させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、スルホキシド系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。
保護層の平均膜厚は、0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、1μm以上7μm以下であることが好ましい。
<電子写真感光体の表面加工>
本発明において、電子写真感光体の表面加工を行ってもよい。表面加工を行うことで、電子写真感光体に接触させるクリーニング手段(クリーニングブレード)の挙動をより安定化させることができる。表面加工の方法として、凸部を有するモールドを電子写真感光体の表面に圧接し、形状転写を行う方法や、機械的研磨による凹凸形状付与を行う方法が挙げられる。このように、電子写真感光体の表面層に凹部または凸部を設けることで、電子写真感光体に接触させるクリーニング手段の挙動をより安定化させることができる。
上記凹部または凸部は、電子写真感光体の表面の全域に形成されていてもよいし、電子写真感光体の表面の一部分に形成されていてもよい。凹部または凸部が電子写真感光体の表面の一部分に形成されている場合は、少なくともクリーニング手段(クリーニングブレード)との接触領域の全域には凹部または凸部が形成されていることが好ましい。
凹部を形成する場合は、凹部に対応した凸部を有するモールドを電子写真感光体の表面に圧接し、形状転写を行うことにより、電子写真感光体の表面に凹部を形成することができる。
<電子写真感光体の周面に凹部を形成する方法>
形成するべき凹部に対応した凸部を有するモールドを電子写真感光体の周面に圧接し、形状転写を行うことにより、電子写真感光体の周面に凹部を形成することができる。
図2に、電子写真感光体の周面に凹部を形成するための圧接形状転写加工装置の例を示す。
図2に示す圧接形状転写加工装置によれば、被加工物である電子写真感光体2-1を回転させながら、その周面に連続的にモールド2-2を接触させ、加圧することにより、電子写真感光体2-1の周面に凹部や平坦部を形成することができる。
加圧部材2-3の材質としては、例えば、金属、金属酸化物、プラスチック、ガラスなどが挙げられる。これらの中でも、機械的強度、寸法精度、耐久性の観点から、ステンレス鋼(SUS)が好ましい。加圧部材2-3は、その上面にモールド2-2が設置される。また、下面側に設置される支持部材(不図示)および加圧システム(不図示)により、支持部材2-4に支持された電子写真感光体2-1の周面に、モールド2-2を所定の圧力で接触させることができる。また、支持部材2-4を加圧部材2-3に対して所定の圧力で押し付けてもよいし、支持部材2-4および加圧部材2-3を互いに押し付けてもよい。
図2に示す例は、加圧部材2-3を電子写真感光体2-1の軸方向と垂直な方向に移動させることにより、電子写真感光体2-1が従動または駆動回転しながら、その周面を連続的に加工する例である。さらに、加圧部材2-3を固定し、支持部材2-4を電子写真感光体2-1の軸方向と垂直な方向に移動させることにより、または、支持部材2-4および加圧部材2-3の両者を移動させることにより、電子写真感光体2-1の周面を連続的に加工することもできる。
なお、形状転写を効率的に行う観点から、モールド2-2や電子写真感光体2-1を加熱することが好ましい。
モールド2-2としては、例えば、微細な表面加工された金属や樹脂フィルム、シリコンウエハーなどの表面にレジストによりパターニングをしたもの、微粒子が分散された樹脂フィルム、微細な表面形状を有する樹脂フィルムに金属コーティングを施したものなどが挙げられる。
また、電子写真感光体2-1に押し付けられる圧力を均一にする観点から、モールド2-2と加圧部材2-3との間に弾性体を設置することが好ましい。
電子写真感光体の周面の凹部や平坦部や凸部などは、例えば、レーザー顕微鏡、光学顕微鏡、電子顕微鏡、原子間力顕微鏡などの顕微鏡を用いて観察することができる。
レーザー顕微鏡としては、例えば、(株)キーエンス製の超深度形状測定顕微鏡VK-8550、超深度形状測定顕微鏡VK-9000、超深度形状測定顕微鏡VK-9500、VK-X200、VK-X100;オリンパス(株)製の走査型共焦点レーザー顕微鏡OLS3000;レーザーテック(株)製のリアルカラーコンフォーカル顕微鏡オプリテクスC130などが利用可能である。
光学顕微鏡としては、例えば、(株)キーエンス製のデジタルマイクロスコープVHX-500、デジタルマイクロスコープVHX-200;オムロン(株)製の3DデジタルマイクロスコープVC-7700などが利用可能である。
電子顕微鏡としては、例えば、(株)キーエンス製の3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡VE-9800、3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡VE-8800;エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製の走査型電子顕微鏡コンベンショナル/Variable Pressure SEM;(株)島津製作所製の走査型電子顕微鏡SUPERSCAN SS-550などが利用可能である。
原子間力顕微鏡としては、例えば、(株)キーエンス製のナノスケールハイブリッド顕微鏡VN-8000;エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製の走査型プローブ顕微鏡NanoNaviステーション;(株)島津製作所製の走査型プローブ顕微鏡SPM-9600などが利用可能である。
以下に、電子写真感光体周面の凹部の観察方法について説明する。
まず、電子写真感光体の周面を顕微鏡で拡大観察する。電子写真感光体の周面は周方向に曲がった曲面となっているため、その曲面の断面プロファイルを抽出し、曲線(円弧)をフィッティングする。図3に、フィッティングの例を示す。図3に示す例は、電子写真感光体が円筒状である場合の例である。図3中、実線は電子写真感光体の周面(曲面)の断面プロファイル3-1であり、破線は断面プロファイル3-1にフィッティングした曲線3-2である。断面プロファイル3-1にフィッティングした曲線3-2が直線になるように断面プロファイル3-1の補正を行い、得られた直線を電子写真感光体の長手方向(周方向に直交する方向)に拡張した面を基準面とする。電子写真感光体が円筒状でない場合も、円筒状である場合と同様にして基準面を得る。
図4に、電子写真感光体の周面に形成された凹部の開口面の例および周方向からみたときの断面の例を示す。なお、図4の凹部の断面の例は、上記補正後の断面プロファイルである。
図5(A)~(J)に、凹部の開口部の形状の例を示す。
図6(a)~(h)に、凹部の断面の形状の例を示す。
[プロセスカートリッジ、電子写真装置]
本発明のプロセスカートリッジは、これまで述べてきた電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とする。
また、本発明の電子写真装置は、これまで述べてきた電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有することを特徴とする。
図7に、電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成の一例を示す。
円筒状(ドラム状)の電子写真感光体1は、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。電子写真感光体1の表面は、回転過程において、帯電手段3により、正または負の所定電位に帯電される。なお、図7においては、ローラー型帯電部材によるローラー帯電方式を示しているが、コロナ帯電方式、近接帯電方式、注入帯電方式などの帯電方式を採用してもよい。帯電された電子写真感光体1の表面には、露光手段(不図示)から露光光4が照射され、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。露光光4は、目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強度変調された光であり、例えば、スリット露光やレーザービーム走査露光などの像露光手段から出力される。電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5内に収容されたトナーで現像(正規現像または反転現像)され、電子写真感光体1の表面にはトナー像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像は、転写手段6により、転写材7に転写される。このとき、転写手段6には、バイアス電源(不図示)からトナーの保有電荷とは逆極性のバイアス電圧が印加される。また、転写材7が紙である場合、転写材7は給紙部(不図示)から取り出されて、電子写真感光体1と転写手段6との間に電子写真感光体1の回転と同期して給送される。電子写真感光体1からトナー像が転写された転写材7は、電子写真感光体1の表面から分離されて、定着手段8へ搬送され、トナー像の定着処理を受けることにより、画像形成物(プリント、コピー)として電子写真装置の外へプリントアウトされる。電子写真装置は、転写後の電子写真感光体1の表面に残ったトナーなどの付着物を除去するための、クリーニング手段9を有していてもよい。また、クリーニング手段を別途設けず、上記付着物を現像手段などで除去する、いわゆる、クリーナーレスシステムを用いてもよい。本発明においては、上記の電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5、およびクリーニング手段9などから選択される構成要素のうち、複数の構成要素を容器に納め、一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、それを電子写真装置本体に対して着脱自在に構成できる。例えば以下のように構成する。帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段9から選択される少なくとも1つを、電子写真感光体1とともに一体に支持してカートリッジ化する。これを、電子写真装置本体のレールなどの案内手段12を用いて、電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ11とすることができる。電子写真装置は、電子写真感光体1の表面を、前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理する除電機構を有していてもよい。また、本発明のプロセスカートリッジ11を電子写真装置本体に着脱するために、レールなどの案内手段12を設けてもよい。本発明の電子写真装置は、電子写真感光体1、ならびに、帯電手段3、露光手段、現像手段5および転写手段6からなる群より選択される少なくとも1つの手段を有することを特徴とする。
本発明の電子写真感光体は、レーザービームプリンター、LEDプリンター、複写機、ファクシミリ、および、これらの複合機などに用いることができる。
以下、実施例および比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
〔実施例1〕
<表面形状形成前の電子写真感光体の作製>
・支持体
支持体(導電性支持体)として、円筒状アルミニウムシリンダー(JIS-A3003、アルミニウム合金、直径30mm、長さ357.5mm、肉厚0.7mm)の表面を、以下の条件で切削処理したものを用いた。
切削条件としては、R0.1のバイトを用い、主軸回転数=10000rpm、バイトの送り速度を0.03~0.06mm/rpmの範囲で連続的に変化させた。
このように表面加工を行なったアルミニウムシリンダーを電子写真感光体の支持体として用いた。
・下引き層の形成
酸化アルミニウム粒子(平均一次粒径:13nm、比表面積:99m/g)100部をトルエン500部と攪拌混合し、オクチルトリエトキシシラン(商品名:KBE3083、信越化学工業(株)製)0.71部を添加し、6時間攪拌した。
その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、140℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された酸化アルミニウム粒子M1を得た。なお、表面処理された酸化アルミニウム粒子M1の表面処理量X、および、X×nは、表1に記載のとおりである。酸化アルミニウム粒子M1の表面処理量Xは、後述の方法で電子写真感光体を作成した後、下引き層を削り取り、スペクトリス(株)製の波長分散型蛍光X線分析装置(商品名:Axios)を用いて測定した。
酸化チタン粒子として、以下の無機シリカ10%で被覆した酸化チタン粒子(以下、「シリカ被覆酸化チタン粒子」ともいう。)を用いた。シリカ被覆酸化チタン粒子(商品名:TKP-101、テイカ(株)製、平均一次粒径:6nm、比表面積:300m/g)100部をトルエン500部と攪拌混合し、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン(商品名:KBM602、信越化学工業(株)製)0.32部を添加し、1時間攪拌した。
その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、130℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された酸化チタン粒子N1を得た。
次に、ポリオールとしてブチラール(商品名:BM-1,積水化学工業(株)製)15部、およびブロック化イソシアネート(商品名:スミジュール3175、住化コベストロウレタン(株)(旧:住友バイエルウレタン(株))製、不揮発分:75%、ブロック剤:オキシム系)15部を、メチルエチルケトン90部と1-ブタノール90部の混合溶媒に溶解させた。この溶液に、前記表面処理された酸化アルミニウム粒子M1を40.5部、前記表面処理された酸化チタン粒子N1を13.5部、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン(和光純薬工業(株)製)0.28部を加え、これを直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で23±3℃雰囲気下で3時間分散した。
分散処理後、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)(旧:東レダウコーニングシリコーン(株))製)0.01部を加えて攪拌し、下引き層用塗布液を調製した。
得られた下引き層用塗布液を上記支持体上に浸漬塗布して塗膜を形成し、塗膜を30分間160℃で乾燥させることによって、膜厚が2μmの下引き層を形成した。なお、下引き層中のMα/Mβ、および、MAl/MTiは、表1に記載のとおりである。
・電荷発生層の形成
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°および28.1°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)4部、および、下記構造式(A)で示される化合物0.04部を、シクロヘキサノン100部にポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX-1、積水化学工業(株)製)2部を溶解させた液に加えた。その後、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルにて23±3℃の雰囲気下で1時間分散処理し、分散処理後、酢酸エチル100部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を10分間90℃で乾燥させることによって、膜厚が0.15μmの電荷発生層を形成した。
Figure 0007034655000002
・電荷輸送層の形成
次に、下記構造式(B)で示される化合物60部、下記構造式(C)で示される化合物30部、下記構造式(D)で示される化合物10部、および、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)100部、下記式(E)で示される構造単位を有するポリカーボネート(粘度平均分子量Mv:20000)0.2部を、o-キシレン272部、安息香酸メチル256部、および、ジメトキシメタン272部の混合溶剤に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。
この電荷輸送層用塗布液を前記電荷発生層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を50分間115℃で乾燥させることによって、膜厚18μmの電荷輸送層を形成した。
Figure 0007034655000003
(式(E)中、0.95および0.05は2つの構造単位のモル比(共重合比)である。)
・保護層の形成
下記構造式(F)で示される構造単位を有する樹脂(重量平均分子量:130,000)1.65部を、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)社製)40部、および、1-プロパノール55部の混合溶剤に溶解した。その後、四フッ化エチレン樹脂粉体(商品名:ルブロンL-2、ダイキン工業(株)製)30部を加えた液を、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM-110EH、米Microfluidics(株)製)に通し、分散液を得た。
その後、下記式(G)で示される正孔輸送性化合物52.0部、下記式(H)で示される化合物(シグマ-アルドリッチ製)2.0部、下記式(I)で示される化合物(アロニックスM-315、東亞合成(株)製)16.0部、シロキサン変性アクリル化合物0.75部(BYK-3550、ビックケミー・ジャパン(株)製)、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン35部、および、1-プロパノール15部を前記分散液に加え、ポリフロンフィルター(商品名:PF-040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過を行い、保護層用塗料を調製した。
Figure 0007034655000004
(式(F)中、0.5は2つの構造単位のモル比(共重合比)である。)
この保護層用塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を5分間40℃で乾燥させた。乾燥後、窒素雰囲気下にて、加速電圧70KV、吸収線量15kGyの条件で1.6秒間電子線を塗膜に照射した。その後、窒素雰囲気下にて、塗膜の温度が135℃になる条件で15秒間加熱処理を行った。なお、電子線の照射から15秒間の加熱処理までの酸素濃度は15ppmであった。次に、大気中において、塗膜の温度が25℃になるまで自然冷却し、その後、塗膜が105℃になる条件で1時間加熱処理を行い、膜厚5μmの保護層(表面層)を形成した。
このようにして、保護層を有する、表面形状形成前の電子写真感光体を作製した。
<電子写真感光体の表面加工>
・モールド圧接形状転写による凹部の形成
概ね図2に示す構成の圧接形状転写加工装置に、モールドとして概ね図8(a)に示すモールドの最大幅X’(モールド上の凸部を上から見たときの軸方向の最大幅、すなわちB-B断面図における幅。):30μm、モールドの最大長さY(モールド上の凸部を上から見たときの周方向の最大長さ、すなわちC-C断面図における長さ。):75μm、モールドの最大高さH:1.0μm、面積率60%のモールドを設置し、作製した凹部形成前の電子写真感光体の周面に対して加工を行った。加工時には、電子写真感光体の周面の温度が120℃になるように電子写真感光体およびモールドの温度を制御し、7.0MPaの圧力で電子写真感光体と加圧部材を押し付けながら、電子写真感光体を周方向に回転させて、電子写真感光体の周面の全域に凹部を形成した。
このようにして、周面に凹部を有する電子写真感光体を作製した。
・電子写真感光体の周面の観察
得られた電子写真感光体の周面を、レーザー顕微鏡((株)キーエンス製、商品名:X-100)で50倍レンズにより拡大観察し、電子写真感光体の周面に設けられた凹部の判定を行った。観察時には、電子写真感光体の長手方向に傾きが無いように、また、周方向については、電子写真感光体の円弧の頂点にピントが合うように、調整を行った。観察は一辺500μmの正方形領域に対して行い、拡大観察を行った画像を画像連結アプリケーションによって連結して拡大観察画像を得た。また、得られた結果については、付属の画像解析ソフトにより、画像処理高さデータを選択し、フィルタタイプメディアンでフィルタ処理を行った。
上記観察によって凹部の深さ、開口部の軸方向の幅、開口部の周方向の長さ、面積、2つの直線で形成された頂部(交点)の角度、などを求めた。結果を以下に示す。
開口部の軸方向の最大幅:30μm
開口部の周方向の最大長さ:75μm
面積:150000μm
形状深さ:0.5μm
頂部に向かう二つの線と軸方向の直線とで成す角度:76度
頂部の角度:28度
最も深い点から頂部に引いた直線と開口部との角度:0.5度
なお、電子写真感光体の周面を、他のレーザー顕微鏡((株)キーエンス製、商品名:X-9500)を用い、上記と同様の方法で観察を行ったところ、同様の結果が得られた。
〔実施例2〕
実施例1において、下引き層用塗布液の調合に用いる、ブチラール、ブロックイソシアネートの使用量をそれぞれ24.5部、とした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。なお、下引き層中のMα/Mβ、および、MAl/MTiは、表1に記載のとおりである。
〔実施例3〕
実施例1において、下引き層用塗布液の調合に用いる、ブチラール、ブロックイソシアネートの使用量をそれぞれ7.1部、とした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。なお、下引き層中のMα/Mβ、および、MAl/MTiは、表1に記載のとおりである。
〔実施例4〕
酸化アルミニウム粒子(平均一次粒子径:18nm、比表面積:65m/g)100部をトルエン500部と攪拌混合し、オクチルトリエトキシシラン(商品名:KBE3083、信越化学工業(株)製)2.17部を添加し、6時間攪拌した。
その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、140℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された酸化アルミニウム粒子M2を得た。なお、酸化アルミニウム粒子M2の表面処理量X、および、X×nは、表1に記載のとおりである。
実施例1において、酸化アルミニウム粒子M1を酸化アルミニウム粒子M2に変更して下引き層塗布液を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔実施例5〕
酸化アルミニウム粒子(平均一次粒子径:0.1μm、比表面積:10.3m/g)100部をトルエン500部と攪拌混合し、オクチルトリエトキシシラン(商品名:KBE3083、信越化学工業(株)製)6.84部を添加し、6時間攪拌した。
その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、140℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された酸化アルミニウム粒子M3を得た。なお、酸化アルミニウム粒子M3の表面処理量X、および、X×nは、表1に記載のとおりである。
実施例1において、酸化アルミニウム粒子M1を酸化アルミニウム粒子M3に変更して下引き層塗布液を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔実施例6〕
チタン粒子(商品名:TTO-55、石原産業(株)製、平均一次粒径:35nm、比表面積:40m/g)100部をトルエン500部と攪拌混合し、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン(商品名:KBM602、信越化学工業(株)製)2.38部を添加し、1時間攪拌した。
その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、130℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された酸化チタン粒子N2を得た。
実施例1において、酸化チタン粒子N1を酸化チタン粒子N2に変更して下引き層塗布液を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔実施例7〕
チタン粒子(商品名:CR-EL、石原産業(株)製、平均一次粒径:0.25μm、比表面積:6.8m/g)100部をトルエン500部と攪拌混合し、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン(商品名:KBM602、信越化学工業(株)製)13.97部を添加し、1時間攪拌した。
その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、130℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された酸化チタン粒子N3を得た。
実施例1において、酸化チタン粒子N1を酸化チタン粒子N3に変更して下引き層塗布液を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔実施例8〕
酸化亜鉛粒子(商品名:MZ300、テイカ(株)製、平均一次粒径:35nm、比表面積:30m/g)100部をトルエン500部と攪拌混合し、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン(商品名:KBM602、信越化学工業(株)製)3.17部を添加し、1時間攪拌した。
その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、130℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された酸化亜鉛粒子P1を得た。
実施例1において、下引き層用塗布液の調合に用いる、酸化アルミニウム粒子M1を21.87部、酸化チタン粒子N1を7.29部、酸化亜鉛粒子P1を24.84部、とした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。なお、下引き層中のMα/Mβ、および、MAl/MTiは、表1に記載のとおりである。
〔実施例9〕
実施例1において、下引き層用塗布液の調合に用いる、酸化アルミニウム粒子M1を17.5部、酸化チタン粒子N1を36.5部、とした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。なお、下引き層中のMα/Mβ、および、MAl/MTiは、表1に記載のとおりである。
〔実施例10〕
実施例1において、下引き層用塗布液の調合に用いる、酸化アルミニウム粒子M1を49部、酸化チタン粒子N1を5部、とした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。なお、下引き層中のMα/Mβ、および、MAl/MTiは、表1に記載のとおりである。
〔実施例11〕
実施例1において、下引き層用塗布液の調合に用いる、酸化アルミニウム粒子M1を12.5部、酸化チタン粒子N1を41.5部、とした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。なお、下引き層中のMα/Mβ、および、MAl/MTiは、表1に記載のとおりである。
〔実施例12〕
実施例1において、下引き層用塗布液の調合に用いる、酸化アルミニウム粒子M1を49.9部、酸化チタン粒子N1を4.1部、とした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。なお、下引き層中のMα/Mβ、および、MAl/MTiは、表1に記載のとおりである。
〔実施例13〕
実施例1において、下引き層用塗布液の調合に用いる、酸化アルミニウム粒子M1を53.5部、酸化チタン粒子N1を0.5部、とした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。なお、下引き層中のMα/Mβ、および、MAl/MTiは、表1に記載のとおりである。
〔実施例14〕
実施例1において、下引き層用塗布液の調合に用いる、酸化アルミニウム粒子M1を53.946部、酸化チタン粒子N1を0.054部、とした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。なお、下引き層中のMα/Mβ、および、MAl/MTiは、表1に記載のとおりである。
〔実施例15〕
実施例1において、酸化チタン粒子N1を、アルミナ処理チタン粒子(商品名:TTO-55(A)、石原産業(株)製、平均一次粒径:35nm)に変更して下引き層塗布液を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔実施例16〕
実施例1において、酸化チタン粒子N1を、表面処理されていない酸化チタン粒子N0(平均一次粒子径:6nm)に変更して下引き層塗布液を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔実施例17〕
酸化アルミニウム粒子(平均一次粒子径:13nm、比表面積:99m/g)100部をトルエン500部と攪拌混合し、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン(商品名:KBM602、信越化学工業(株)製)0.96部を添加し、6時間攪拌した。
その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、140℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された酸化アルミニウム粒子M4を得た。
実施例1において、酸化アルミニウム粒子M1を酸化アルミニウム粒子M4に変更して下引き層塗布液を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔実施例18〕
酸化アルミニウム粒子(平均一次粒子径:13nm、比表面積:99m/g)100部をトルエン500部と攪拌混合し、ヘキシルトリメトキシシラン(商品名:KBM3063、信越化学工業(株)製)0.38部を添加し、6時間攪拌した。
その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、140℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された酸化アルミニウム粒子M5を得た。なお、酸化アルミニウム粒子M5の表面処理量X、および、X×nは、表1に記載のとおりである。
実施例1において、酸化アルミニウム粒子M1を酸化アルミニウム粒子M5に変更して下引き層塗布液を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔実施例19〕
酸化アルミニウム粒子(平均一次粒子径:13nm、比表面積:99m/g)100部をトルエン500部と攪拌混合し、ドデシルトリメトキシシラン(商品名:D3383、東京化成工業(株)製)0.68部を添加し、6時間攪拌した。
その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、140℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された酸化アルミニウム粒子M6を得た。なお、酸化アルミニウム粒子M6の表面処理量X、および、X×nは、表1に記載のとおりである。
実施例1において、酸化アルミニウム粒子M1を酸化アルミニウム粒子M6に変更して下引き層塗布液を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔実施例20〕
酸化アルミニウム粒子(平均一次粒子径:13nm、比表面積:99m/g)100部をトルエン500部と攪拌混合し、オクタデシルトリメトキシシラン(商品名:O0256、東京化成工業(株)製)0.53部を添加し、6時間攪拌した。
その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、140℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された酸化アルミニウム粒子M7を得た。なお、酸化アルミニウム粒子M7の表面処理量X、および、X×nは、表1に記載のとおりである。
実施例1において、酸化アルミニウム粒子M1を酸化アルミニウム粒子M7に変更して下引き層塗布液を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔実施例21〕
酸化アルミニウム粒子(平均一次粒子径:18nm、比表面積:65m/g)100部をトルエン500部と攪拌混合し、オクチルトリエトキシシラン(商品名:KBE3083、信越化学工業(株)製)2.17部を添加し、6時間攪拌した。
その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、140℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された酸化アルミニウム粒子M8を得た。なお、酸化アルミニウム粒子M8の表面処理量X、および、X×nは、表1に記載のとおりである。
実施例1において、酸化アルミニウム粒子M1を酸化アルミニウム粒子M8に変更して下引き層塗布液を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔実施例22〕
酸化アルミニウム粒子(平均一次粒子径:13nm、比表面積:99m/g)100部をトルエン500部と攪拌混合し、イソブチルトリメトキシシラン(商品名:Z-2306、東レ・ダウコーニング社製)0.22部を添加し、6時間攪拌した。
その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、140℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された酸化アルミニウム粒子M9を得た。なお、酸化アルミニウム粒子M9の表面処理量X、および、X×nは、表1に記載のとおりである。
実施例1において、酸化アルミニウム粒子M1を酸化アルミニウム粒子M9に変更して下引き層塗布液を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔実施例23〕
酸化アルミニウム粒子(平均一次粒子径:13nm、比表面積:99m/g)100部をトルエン500部と攪拌混合し、オクタデシルトリメトキシシラン(商品名:O0256、東京化成工業(株)製)0.84部を添加し、6時間攪拌した。
その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、140℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された酸化アルミニウム粒子M10を得た。なお、酸化アルミニウム粒子M10の表面処理量X、および、X×nは、表1に記載のとおりである。
実施例1において、酸化アルミニウム粒子M1を酸化アルミニウム粒子M10に変更して下引き層塗布液を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔実施例24〕
実施例1において、酸化アルミニウム粒子M1を、表面処理されていない酸化アルミニウム粒子M0(平均一次粒子径:13nm)に変更して下引き層塗布液を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔実施例25〕
実施例1において、膜厚が5μmの下引き層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔実施例26〕
実施例1において、膜厚が10μmの下引き層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔実施例27〕
実施例1において、膜厚が18μmの下引き層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔実施例28〕
実施例1において、膜厚が30μmの下引き層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔実施例29〕
実施例1において、下引き層用塗布液の調合に用いる、ブチラール、ブロックイソシアネートに代えて、結着樹脂としてアルコール可溶性共重合ポリアミド(商品名:アミランCM-8000、東レ(株)製、ナイロン6/66/610/612共重合体)30部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔実施例30〕
実施例1において、下引き層用塗布液の調合に用いる、ブチラール、ブロックイソシアネートに代えて、結着樹脂としてフェノール(商品名:プライオーフェンJ-325、DIC(株)(旧:大日本インキ(株))製)30部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔実施例31〕
実施例1において、支持体上に形成した下引き層塗膜を、50分間150℃で乾燥させることによって、膜厚が1.2μmの下引き層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔実施例32〕
実施例1において、支持体上に形成した下引き層塗膜を、20分間170℃で乾燥させることによって、膜厚が1.2μmの下引き層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔実施例33〕
以下のように、表面処理された支持体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
支持体(導電性支持体)として、円筒状アルミニウムシリンダー(JIS-A3003、アルミニウム合金、直径30mm、長さ357.5mm、肉厚0.7mm)の表面を、以下の条件で切削処理したものを用いた。
支持体を施盤に装着し、ダイヤモンド焼結バイトにて、外径30.0±0.02mm、振れ精度15μm、表面粗さRz=0.2μmになるように切削加工した。この時の主軸回転数は3000rpm、バイトの送り速度は0.3mm/revで加工時間はワークの着脱を除き24秒であった。
表面粗さの測定は、JIS B 0601に準拠し小坂研究所表面粗さ計サーフコーダーSE3500を用い、カットオフを0.8mm、測定長さを8mmで行った。
得られたアルミニウム切削管に対して、液体(湿式)ホーニング装置を用いて、下記条件にて液体ホーニング処理を行った。
(液体ホーニング条件)
研磨材砥粒=球状アルミナビーズ平均粒径30μm
(商品名:CB-A30S、昭和電工株式会社製)
懸濁媒体=水
研磨材/懸濁媒体=1/9(体積比)
アルミニウム切削管の回転数=1.67S-1
エアー吹き付け圧力=0.15MPa
ガン移動速度=13.3mm/sec.
ガンノズルとアルミニウム管の距離=200mm
ホーニング砥粒吐出角度=45°
研磨液投射回数=1回(片道)
ホーニング後のシリンダー表面粗さはRmax2.53μm、Rz1.51μm、Ra0.23μm、Sm34μmであった。上記の様にして湿式ホーニング処理を施した直後にアルミニウムシリンダーを、いったん純水を張った浸漬槽に浸漬し、引き上げ、シリンダーが乾燥する前に純水シャワー洗浄を施した。その後、吐出ノズルより85℃の温水を基体の内表面に吐出、接触させ、外表面を乾燥させた。その後、自然乾燥にて基体内表面を乾燥させた。
以上のように表面加工を行なったアルミニウムシリンダーを電子写真感光体の支持体として用いた。
〔実施例34〕
以下のように、支持体上に、導電層を設けたこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
被覆層を有する酸化チタン粒子57部(商品名:パストランLRS、三井金属鉱業(株)製)、レゾール型フェノール樹脂35部(商品名:フェノライト J-325、DIC(株)(旧:大日本インキ化学工業(株))製、固形分60%のメタノール溶液)、2-メトキシ-1-プロパノール33部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して、分散液を調製した。この分散液に含有される粉体の平均粒径は、0.30μmであった。この分散液に、シリコーン樹脂(商品名:トスパール120、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社(旧:東芝シリコーン(株))製)8部を2-メトキシ-1-プロパノール8部に分散した液を添加した。さらに、シリコーンオイル0.008部(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)(旧:東レシリコーン(株))製)を添加した。このようにして調製した分散液を、上記のアルミニウムシリンダー上に浸漬法によって塗布し、これを150℃に調整した熱風乾燥機中で30分間加熱硬化し、分散液の塗布膜を硬化させることにより、膜厚30μmの導電層を形成した。
〔実施例35〕
以下のように電荷輸送層を形成し、保護層を設けなかったこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
前記構造式(B)で示される化合物72部、前記構造式(D)で示される化合物8部、および、下記構造式(J)で示される化合物100部、下記構造式(K)で示される化合物1.8部を、o-キシレン360部、安息香酸メチル160部、および、ジメトキシメタン(メチラール)270部の混合溶剤に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。
この電荷輸送層用塗布液を前記電荷発生層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を50分間125℃で乾燥させることによって、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
Figure 0007034655000005
(式(J)中、0.7および0.3は2つの構造単位の共重合比を示す。また、式(K)中、0.8および0.2は2つの構造単位の共重合比を示す。)
〔比較例1〕
実施例1において、下引き層用塗布液の調合に用いる、ブチラール、ブロックイソシアネートの使用量をそれぞれ29.5部、とした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔比較例2〕
実施例1において、下引き層用塗布液の調合に用いる、ブチラール、ブロックイソシアネートの使用量をそれぞれ6.5部、とした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔比較例3〕
実施例8において、下引き層用塗布液の調合に用いる、酸化アルミニウム粒子M1を19.44部、酸化チタン粒子N1を6.48部、酸化亜鉛粒子P1を28.08部、とした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔比較例4〕
実施例1において、下引き層用塗布液の調合に用いる、酸化アルミニウム粒子M1を9部、酸化チタン粒子N1を45部、とした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。なお、下引き層中のMα/Mβ、および、MAl/MTiは、表1に記載のとおりである。
〔比較例5〕
実施例1において、下引き層用塗布液の調合に用いる、酸化アルミニウム粒子M1を53.95部、酸化チタン粒子N1を0.05部、とした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。なお、下引き層中のMα/Mβ、および、MAl/MTiは、表1に記載のとおりである。
Figure 0007034655000006
<電子写真感光体の評価>
作製した電子写真感光体を、以下に示す評価装置1および2に装着し、以下に示す評価を行った。
〔評価装置1〕
実施例1~35、および、比較例1~5において作製した電子写真感光体を、キヤノン(株)製の複写機imageRUNNER(iR)(登録商標)-ADV C5051の改造機(帯電手段は直流電圧をローラー型の接触帯電部材(帯電ローラー)に印加する方式、露光手段はレーザー像露光方式(波長780nm))に装着して評価を行った。
詳しくは、クラック評価における画像の出力は、常温常湿(23℃/50%RH)環境下no、ゴースト評価における画像の出力は、低温低湿(15℃/10%RH)環境下に上記評価装置を設置した。シアン色用のプロセスカートリッジに、製造した電子写真感光体を装着して、シアンのプロセスカートリッジのステーションに装着し、評価を行った。
帯電条件としては、帯電ローラーに印加する直流成分(初期暗部電位(Vd))を、クラック評価においては、-700V、ゴースト評価においては、-750Vとした。また、露光条件としては、レーザー露光光を照射した場合の繰り返し使用前の初期明部電位(Vl)が、クラック評価においては、-200V、ゴースト評価においては、-150Vとなるように露光条件を調整した。
なお、電子写真感光体の表面電位は、上記評価装置から現像用カートリッジを抜き取り、そこに電位測定装置を挿入し、測定を行った。電位測定装置は、現像用カートリッジの現像位置に電位測定プローブ(商品名:model6000B-8、トレック・ジャパン(株)製)を配置することで構成されており、電子写真感光体に対する電位測定プローブの位置は、電子写真感光体の母線方向の中央、電子写真感光体の表面からのギャップを3mmとした。さらに、電子写真感光体中央部の電位を表面電位計(商品名:model344、トレック・ジャパン(株)製)を用いて測定した。
〔評価装置2〕
実施例1において作製した電子写真感光体を、キヤノン(株)製の複写機iR-ADV C5051の改造機(帯電手段は直流電圧に交流電圧を重畳した電圧をローラー型の接触帯電部材(帯電ローラー)を電子写真感光体に当接して印加する方式、露光手段はレーザー像露光方式(波長780nm))に装着して評価を行った。
詳しくは、クラック評価における画像の出力は、常温常湿(23℃/50%RH)環境下に、ゴースト評価における画像の出力は、低温低湿(15℃/10%RH)環境下に上記評価装置を設置した。シアン色用のプロセスカートリッジに、製造した電子写真感光体を装着して、シアンのプロセスカートリッジのステーションに装着し、評価を行った。
クラック評価における帯電条件としては、帯電ローラーに印加する交流成分をピーク間電圧1300V、周波数1300Hzとし、直流成分(初期暗部電位(Vd))を-700Vとした。ゴースト評価における帯電条件としては、帯電ローラーに印加する交流成分をピーク間電圧1350V、周波数1300Hzとし、直流成分(初期暗部電位(Vd))を-750Vとした。また、露光条件としては、レーザー露光光を照射した場合の繰り返し使用前の初期明部電位(Vl)が、クラック評価においては、-200V、ゴースト評価においては、-150Vとなるように露光条件を調整した。
なお、電子写真感光体の表面電位は、上記評価装置から現像用カートリッジを抜き取り、そこに電位測定装置を挿入し、測定を行った。電位測定装置は、現像用カートリッジの現像位置に電位測定プローブ(商品名:model6000B-8、トレック・ジャパン(株)製)を配置することで構成されており、電子写真感光体に対する電位測定プローブの位置は、電子写真感光体の母線方向の中央、電子写真感光体の表面からのギャップを3mmとした。さらに、電子写真感光体中央部の電位を表面電位計(商品名:model344、トレック・ジャパン(株)製)を用いて測定した。
・クラックの評価
クラックの評価は、塗膜表面の顕微鏡観察、および、電子写真感光体を評価装置に装着して出力した画像の観察により行った。
塗膜表面の顕微鏡観察については、実施例1~35、および、比較例1~5に記載の方法で下引き層のみを支持体上に形成し、それを高温高湿(30℃/80%RH)の環境下でそれぞれ7日間、14日間、および28日間放置後、塗膜表面を光学電子顕微鏡で観察することで、評価した。
画像の観察は以下のように行った。実施例1~35、および、比較例1~5に記載の方法で製造した電子写真感光体を高温高湿(30℃/80%RH)環境下でそれぞれ7日間、14日間、および28日間放置後、常温常湿(23℃/50%RH)環境下で1日間放置した。放置後の電子写真感光体を装着した現像用カートリッジを上記評価装置1、および、2に取り付け、A4サイズの普通紙を用いて、ベタ黒、ベタ白、1ドット桂馬パターンのシアン単色ハーフトーンの画像をそれぞれ出力し、出力した画像を観察することにより評価した。なお、1ドット桂馬パターンのハーフトーン画像とは、図9に示すパターンのハーフトーン画像である。
上記の方法で行った、塗膜表面の電子顕微鏡観察、および、画像の観察をもとに、以下のクラック評価ランクに従って評価した。本発明において、ランクA、および、Bは本発明の効果が得られているレベルであり、その中でもランクAは優れているレベルであると判断した。一方、ランクCは本発明の効果が得られていないレベルと判断した。
A:下引き層の表面を光学顕微鏡で観察し、クラックの発生が確認できないもの
B:下引き層の表面を光学顕微鏡で観察するとクラックの発生が確認できるが、ベタ黒、ベタ白、1ドット桂馬パターンのハーフトーンのいずれの画像上でも、そのクラックによる画像欠陥が見られないもの
C:下引き層の表面を光学顕微鏡で観察するとクラックの発生が確認でき、かつ、ベタ黒、ベタ白、1ドット桂馬パターンのハーフトーンのいずれかの画像上で、そのクラックによるものと考えられる画像欠陥が見られるもの
このようにして、評価装置1を用いて評価した結果を表2に、また、評価装置2を用いて評価した結果を表3に示す。
・ゴーストの評価
また、ゴースト評価は、以下の方法で行った。実施例1~35、および、比較例1~5に記載の方法で製造した電子写真感光体を、上記評価装置1、および、2とともに、低温低湿(15℃/10%RH)環境下で3日間放置した。放置後の電子写真感光体を装着した現像用カートリッジを評価装置1、および、2に取り付け、上記に記載の初期Vd、および、Vlに調節後、同環境下で通紙使用前(初期)のゴースト評価用画像出力を行った。その後、1分間に4枚プリントできる間欠モードで、0.5mm幅のラインを縦10mmおきに印字する条件で2000枚の通紙使用を行った。通紙使用後、上記レーザー露光量条件の下で通紙使用直後、および2000枚通紙使用15時間後でのゴースト評価用画像出力を行った。
ゴースト評価用画像は、以下のようにして作製した。まず、図10に示すように、画像の先頭部に「白画像」中に四角の「ベタ画像」を出力した後、図9に示す「1ドット桂馬パターンのハーフトーン画像」を作製したものである。なお、図10中、「ゴースト」部は、「ベタ画像」に起因するゴーストが出現し得る部分である。
ゴースト画像評価のサンプリングは、評価装置1、および、2の現像ボリュームのF5(濃度の中心値)モードおよびF9(濃度の薄い)モード(ゴーストがより見えやすいモード)で各々実施した。評価は目視で行い、下記の基準でゴーストの程度を評価した。本発明において、ランクA、および、Bは本発明の効果が得られているレベルであり、その中でもランクAは優れているレベルであると判断した。一方、ランクC、D、Eは本発明の効果が得られていないレベルと判断した。
A:いずれのモードでもゴーストは見えない
B:一方のモードでゴーストがうっすら見える
C:いずれのモードでもゴーストがうっすら見える
D:いずれのモードでもゴーストが見える
E:いずれのモードでもゴーストがはっきり見える
このようにして、評価装置1を用いて評価した結果を表2に、また、評価装置2を用いて評価した結果を表3に示す。
Figure 0007034655000007
Figure 0007034655000008
表2に示す通り、本発明の電子写真感光体、プロセスカートリッジ、および、電子写真装置であれば、クラック発生の抑制、および、ポジゴースト画像の発生の抑制のいずれについても良好な結果が得られることが分かる。比較例のように、MAl/MTiが0.25より小さい場合にはクラックが発生し、MAl/MTiが1000より大きい場合には、ポジゴーストが発生するため、本発明の目的を達成できないことが分かる。
さらに、表3に示す通り、評価装置2のような、帯電手段として直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を帯電部材に印加する方式よりも、評価装置1のような、帯電手段として直流電圧のみを印加する方式のほうが、本発明の効果が充分に得られることが分かる。
101 基体
102 下引き層
103 電荷発生層
104 電荷輸送層
105 感光層
2-1 電子写真感光体
2-2 モールド
2-3 加圧部材
2-4 支持部材
3-1 断面プロファイル
3-2 断面プロファイルにフィッティングした曲線
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段
H モールドの最大高さ
X’ モールドの最大幅
Y モールドの最大長さ

Claims (13)

  1. 支持体と、下引き層と、感光層とをこの順に有する電子写真感光体において、
    該下引き層が、
    金属酸化物粒子(α)および
    結着樹脂(β)
    を含有し、
    該下引き層中の該金属酸化物粒子(α)の含有量Mαと、該結着樹脂(β)の含有量Mβとの質量比Mα/Mβが、下記式(A)
    1.0≦Mα/Mβ≦4.0 (A)
    を満たし、
    該金属酸化物粒子(α)が、少なくとも酸化アルミニウム粒子おび酸化チタン粒子を含有し、
    該下引き層中の、該酸化アルミニウム粒子の含有量と、該酸化チタン粒子の含有量との合計が、該下引き層中の該金属酸化物粒子(α)に対して50質量%以上であり
    該下引き層中の、該酸化アルミニウム粒子の含有量MAlと、該酸化チタン粒子の含有量MTiとの質量比MAl/MTiが、下記式(B)
    0.25≦MAl/MTi≦1000 (B)
    を満たし、
    該酸化アルミニウム粒子が、シランカップリング剤で表面処理されている、
    ことを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記質量比MAl/MTiが、下記式(C)
    0.5≦MAl/MTi≦10 (C)
    を満たす請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記酸化アルミニウム粒子が、下記式(1)で示される化合物で表面処理された酸化アルミニウム粒子であり、
    Figure 0007034655000009
    (式(1)中、R~Rは、それぞれ独立に、アルコキシ基またはアルキル基を示す。ただし、R~Rの少なくとも2つはアルコキシ基である。Rは、炭素数nのアルキル基であり、nは6以上18以下の整数である。)
    表面処理された酸化アルミニウム粒子中のアルミニウム原子の質量をM´Alとし、上記式(1)で示される化合物由来のケイ素原子の質量をM´Siとしたときの質量比M´Si/M´Al×100で表される表面処理量Xと、前記nとを乗じた値(X×n)が、10以上330以下である請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記値(X×n10以上220以下である、請求項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記nが、6以上12以下の整数である、請求項またはに記載の電子写真感光体。
  6. 前記nが、8である請求項に記載の電子写真感光体。
  7. 前記下引き層の膜厚が、0.1μm以上10μm以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  8. 前記結着樹脂が、ウレタン樹脂である請求項1~のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  9. 前記酸化チタン粒子が、シランカップリング剤で表面処理されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  10. 前記酸化チタン粒子が、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシランで表面処理されている、請求項9に記載の電子写真感光体。
  11. 請求項1~10のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
    帯電手段、現像手段、および、クリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段と
    を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジ。
  12. 請求項1~10のいずれか1項に記載の電子写真感光体、ならびに、
    帯電手段、露光手段、現像手段、および、転写手段
    を有する電子写真装置。
  13. 前記帯電手段が、前記電子写真感光体に当接するように配置された帯電ローラーに直流電圧のみを印加することにより前記電子写真感光体を帯電する方式の帯電手段である、請求項12に記載の電子写真装置。
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